平成14年12月


12月31日(火)

●残すところ2002年もきょう一日。明暗入り乱れ、実に様々なことがあった。この地域でも、国内でも、世界でも…。回復への期待を裏切った経済の現状からくる雇用の不安、消費の低迷が重くのしかかり、気持ちが滅入りがちな1年だった▼確かに明るいニュースもあった。小柴、田中さんのノーベル賞のダブル受賞、サッカーのW杯の開催…。明るさ・暗さが混じるのが北朝鮮の拉致問題。被害者5人が帰ってはきたが、その家族の問題は未解決。さらに死亡が伝えられた人がおり、被害者がまだいることも▼逆に暗い話となると、きりがないほどに。株価の低迷、金融の不安、企業の破綻など混迷を深めた経済に代表されるが、相次いだ牛肉の偽装事件、国会議員の収賄や秘書給与流用疑惑…。企業の倫理や政治に対する信頼がさらに大きく揺るぐ年でもあった▼一方、目を函館・道南に移し、それを本紙の重大ニュースから拾ってみると。函館市の市制80周年、水深14メートル岸壁の供用開始、JR函館駅着工・スーパー白鳥の運行、野外劇サミットの開催、ラーメンサミットの開催、五島軒の火災、森町でのバス転落事故などが挙げられている▼ここ数年はまさに混迷続き。今年も脱却する道筋が得られなかったばかりか、さらに深めた感を否めない。国際的にはイラン・北朝鮮問題で緊張が走り、国内では政治が不安定。来年も先行き不透明な年明けになりそうだが、こみ上げてくるのは「何とか明るい話題に満ちた年であるように」という思い。この地域も、国内も、そして世界も…(A)


12月30日(月)

●「おじいちゃん、おばあちゃん、お正月に行くからね。お年玉ね」。電話のかけ方を覚えた孫からラブコール。幼稚園でカルタ取りや羽子板のつき方を習ったという。お年玉をやって、おせち料理を食べて、孫たちとお正月の遊びをして、定番の新年になりそう▼昔はお金ではなく、大人も子供も丸い餅をもらっていた。花柳界のおひねりの影響もあって戦後お金になった。今年の小学生のお年玉の平均額は2万5538円で、前年に比べ886円減少し2年ふりにダウン(第一勧銀調べ)。約8割の児童が「ためる」と答えており、お年玉にもデフレの波▼おせち料理のベスト5は、栗きんとん、カズノコ、黒豆、ダテマキ、お雑煮。遊びのベスト5は、凧あげ(32・8%)、カルタ、百人一首、羽根突き、コマ回し。最近のTVゲームは10位(3・5%)だ。そういえば、子供の頃、金槌で砕いた鏡餅を食べて、百人一首を競った▼正月の遊びには謂われがあって勉強になる。羽子板は中国がルーツといわれ、羽に付いている黒い玉は無患子(むくろじ)という大木の種。文字通り「子が患わ無い」の意味で、無病息災のお守りとして贈られるようになった。戦争で味方への連絡に使った凧あげも中国から伝わった▼オカメやひょっとこの福笑いは、アニメキャラクターものの福笑いに変わった。「笑いは百薬の長」といわれ、笑いは心と身体の栄養源だ。今年の明るい話題はノーベル賞のダブル受賞くらいだったが、新年は幸せを願って空高く揚がる凧に「笑う門には福来る」の思いを託したい。(M)


12月29日(日)

●ついにクローン人間(女の子)が誕生。ラエリアン・ムーブメント(本部・スイス)によると、クローン赤ちゃんを産んだのは米国出身の30代の女性という。そっくりさん以上のそっくりさんになるのだろうか。詳細は分からないが、事実だとすると大変なニュース…▼29年前の12月13日、仏のジャーナリスト・エラルが身長120センチ、長い黒髪の異星人に遇った時、エラルに「昔、私たちがDNAを使って地球上に初めてクローン人間を創った。イエスも仏陀もモーゼもそうである」と告げた。これを受けて、クロン技術の教義を持つラエリアンを設立した▼同じ遺伝子を持つクローン人間をつくるには皮膚などから採取した体細胞と卵子を使う。体細胞は男女どちらのものでも可能。精子を使わず、卵子からも核を除いているので遺伝情報は引き継がない。子供は両性の資質を次の世代につなぐ存在だが、クローンは個人の身分でしかないという▼夫との間に子供が出来なかった30代の女性は、自分の体細胞を使って自ら妊娠した。ラエリアンではまだ4、5人が妊娠しており、20万ドル(約2400万円)を提供するとクローン人間づくりを引き受けると言っている。バチカンは「人間の尊厳を否定するもの」と反対。各国でも禁止している▼また、3人の妊娠に成功したとしているイタリアの医師も、来年1月にはクローン赤ちゃんが誕生すると発表した。今回の出産は倫理面を含め「人間誕生」に大きな課題を投げかけている。(M)


12月28日(土)

●国際情勢、国内政治、そして経済、混迷を深めた今年も残すところ、あと数日。慌しい年の瀬を迎えているが、1年を振り返ると、実に様々な出来事が頭によみがえってくる。今年は仕方ない、でも来年こそは…。そんな思いだけは共通しているに違いない▼12月に入って、今年も漢字や四字熟語など1年を総括する言葉が次々発表された。毎年ながら世相を反映していて感心するが、今年も然り。日本漢字能力検定協会恒例の「今年の漢字」に選ばれたのは「帰」だった。続く2位は「北」で、3位は「拉」▼全国から寄せられた約6万余の応募から選ばれた結果だが、この3字の背景にあるのは今年最大のニュース。「北」朝鮮に「拉」致された人のうち5人が「帰」国したことを、国民がどれだけ重く受け止めたかの証。ちなみに「帰」は約6%を占め、3字合わせると10%にも…▼その一方、風刺的なのが四字熟語。株価の低迷を皮肉った凍傷株価(東証株価)に始まって、サッカーのW杯を表した日本熱闘(日本列島)、田中さんのノーベル賞に関連した突然権威(突然変異)、未許可の食品添加物が使われていた事件を皮肉った添加御免(天下御免)…▼納得させられるが、最高傑作は「必生帰願」。言わずと知れた必勝祈願をもじった熟語だが、被害者の気持ちを見事なまでに表現している。漢字にしても、熟語にしても何か明るさが足りない、そんな印象を受けるが、「それが今年」と言い聞かせるしかない。(A)


12月27日(金)

●函館にとって19世紀はまさに激動の世紀であったと同時に、最も光り輝いた魅力あふれる時代でもあった。これに焦点を当てた二つの労作が、偶然にも今年、相次いで出版された▼その1冊は9月に出て、本紙でも取り上げられた小林裕幸氏の「箱館をめぐる人物史」(函館大学出版会)。小林氏は武田斐三郎と栗本鋤雲の二人をクローズアップし、丹念に埋もれた事実を取り上げながら、当時の箱館を甦えらせている▼もう一冊は7月に出たヘルベルト・プルチョウ氏の「外国人が見た19世紀の函館」(武蔵野書院)。当時、函館を訪れ、あるいは住み着いた外国人60人以上の見聞録や日記、紀行、手紙を、アメリカやヨーロッパの図書館などに残されている資料から掘り起こして、函館の町と人々を浮かび上がらせようと試みた労作▼外国人の職業は船長、船員、探検家、宣教師、外交官、軍人、医師、商人など多彩だが、彼らはそれぞれの専門的、職業的関心から、函館について記述している。1811年のゴロウニン、1854年のペリーに始まり、明治天皇の函館行幸を記したクローに終わる、実に多くの外国人が登場する▼その中で面白く、注目されるのは、ほぼ全員が函館の景色を絶賛していること。道路が広く、静かで、人々の暮らしぶりが清潔であり、礼儀正しいと。確かに魚の悪臭について嫌悪する記述もあるが、概ね好感を抱かれていたようで、今日の観光都市・函館を予感させる一面をうかがうことができる。(T)


12月26日(木)

●11月末現在が多いが、年末になると、この1年の実態をまとめた各種の統計が目につく。つい先日も警察庁から刑法犯の認知件数が発表された。気持ちもふさぎがちな世相を反映してだろう、増加の推移。それも「大幅に」という但し書きが付くほどに▼年間どのぐらいの事件が警察に持ち込まれているか。想像もつかぬが、実はこれが驚くほどの数。ちなみに今年(11月末現在)は260万8584件。全国で1日7145件、1時間あたり298件も発生している勘定になる。12月分が加わっていないのに…▼その8割を占めるのが“どろぼう”といわれる窃盗犯。だが、さらに注目すべきは殺人などの凶悪犯、粗暴犯なども増加していることであり、少年の検挙者が際立ってきたこと。つい最近、函館でもあったが、ひったくりなど路上犯罪では検挙者の7割が少年という▼深刻に受け止めなければならない。ひと昔前の少年犯罪は非行のレベルだった。それが今やそうでない。その背景は、社会としてどう対処するか、大きな問題を提起されている。それにしても犯罪が多すぎる。北海道もけっして例外でない▼11月までに8万7952件。特徴的なのは殺人、強盗などに加え、詐欺や横領などが増加していること。犯罪は社会情勢を反映すると言われるが、雇用環境などの現実が導いているのかもしれないと思えてくる。警察庁は来年を「犯罪抑止元年」と位置づけている。犯罪防止へ、地域も無関心でいられない。(N)


12月25日(水)

●今年のキーワードの一つに「内部告発」がある。米誌タイム最新号は、恒例の「今年の人(パーソンズ・オブ・ザ・イヤー)」にFBIのコリン・ローリーさんら女性3人を選んだ。FBIのテロ対策の遅れや、エンロン、ワールドコムの不正経理を告発した▼日本では雪印乳業(雪印食品)、日本ハム(日本フード)の牛肉偽装、ダスキン(ミスタードーナツ)、USJなどの不祥事が従業員や関係者の告発で発覚した。中でも東京電力の原発トラブル隠しは検査を請け負った会社の米人技術者で、原子炉のひび割れの点検虚偽記載などを告発した▼「愚かな消費者はだましておくに限る」といわんばかりに、商品表示を操作・偽装するなど、情報弱者の消費者をバカにした企業倫理。しかし、表面化すると企業が受けるダメージは無限だ。「知っていた」従業員も密告や告げ口というマイナスイメージがある内部告発に二の足を踏む▼告発者の保護が必要。内閣府によると、不正を告発した従業員らの不利益を被らないよう保護する法制度導入について、90%の企業が賛成している。米国では、59%の人が「内部告発はヒーロー(英雄)である」と考え、73%が不正を目撃したら「自分も告発する」と答えている▼タイム誌は選考理由に、女性3人の「曇りのない目と勇気」をたたえ「企業や政府への信頼回復に向けて立ち上がった」ことを上げている。組織(企業)がまともに機能していれば、内部告発などしなくてもよいのだが…。先日も、ある食品メーカーが期限切れの餃子をお歳暮の中に入れていた。許せない。(M)


12月24日(火)

●「山の環境を守ろう」。遅ればせながら叫ばれている。国内外を問わずだが、手付かずの自然が残る山が多いと言われる北海道も例外でない。その荒れぶりから入山制限をしている山もあるほどだが、これまでの守る取り組みは総じて不十分▼ついに道も腰をあげ、庁内組織としてとりあえず大雪山系に絞っての共生プロジェクト会議を発足させたと聞く。関係条例の制定も視野に入れた検討作業が始まるが、一歩前進。実態がどうにもならなくなってからでは遅い、今ならまだ間に合うという意味において▼登山ツアーに象徴されるが、近年の登山ブームは目を見張るほど。その火付け役となったのは中高年齢者で、知名度の高い山は押しなべて入山者増加の基調。それに比例して事故が増えているほか、し尿などによる生態系の破壊などが新たな問題として浮上している▼当たり前のことだが、山の植生は、人が入れば入るほど影響を受ける。最近でこそ採取が減ったと言われるが、植物の踏みつけに始まり、ごみの問題やし尿処理など。確かにバイオトイレの設置や携帯用トイレ持参運動が浸透しつつあるが、完全な域には達していない▼清々しい空気、かわいい植物、雄大で美しい景観…。登山には様々な魅力がある。ちょっとした山ならルートも整備されていて、今の時代、夏山は癒しの手軽なレジャー。それに伴って抱える問題が派生してくるが、規制ばかりが対策でない。大事なのは「共生」の道を追求し続けること。知恵と行動が求められている。後世のために…。(A)


12月23日(月)

●保守党と民主党の一部議員による新党が25日にも結成される。政党の離合集散はこの10年ほどの間、目まぐるしく繰り返されてきた。まだ記憶に新しいが、日本新党、新進など脚光を浴びながらも、数年しか持たずに姿を消した政党も…▼ようやく落ち着きを取り戻したかに見えていたが、どうしてどうして。種火は常にくすぶり続けていることを教えられる。それにしても「この年末の押し迫った時期に」と思うが、それなりの背景があってのこと。大方の見るところ一致するが、一つは保守党の生き残りへの模索▼次が寄り合い所帯である民主党の内部事情、それに政党助成金の申請時期が迫っていることが加わる。確かに保守党は政権与党に身を置いているから今があるが、支持率は最低で、先行きに展望すら立たない。一方、先の代表選で露呈した通り民主党も一枚岩でない▼相容れない議員は…。政党助成金や既存政党には移れない比例当選者のことを考えると新党結成、それも今しかない、と。冷ややかな見方が物語っているように直接、政局に影響する動きではないが、その裏に、どう感じるかは別に解散総選挙風を感じなくもない▼臨時国会は内容のないまま終わったが、政局はむしろ波乱含み。政治家は常に選挙を意識する、この新党は参加する議員の思惑が一致したということだろう。政策効果が一向に見えない経済対策、丸投げ批判をされた道路民営化問題の今後の対応、下がった内閣支持率。統一地方選挙に加え、解散総選挙…来年は選挙の年かもしれない。(N)


12月22日(日)

●22日は冬至。今年のキーワードは拉致、日朝首脳会談、核開発、総領事館、永住帰国など北朝鮮関連が中心で、明るい話題が少ないまま暮れようとしている。冬至は1年で1番長い夜を祝う日。クリスマス、お正月を迎える心の準備を始める日でもある▼昔のペルシャでは太陽の誕生日(冬至祭)で、これがローマで収穫の神と光の神のお祭りになり、クリスマスになった。中国では冬至節。カボチャの黄色や小豆の赤い色には魔除けや災難除けの力があるといい、小豆粥を食べて疫病を払った。韓国では濃い小豆に小さな米団子を入て祝う▼日本では冬至にカボチャ。室町時代にカンボジアから伝えられ、太陽をいっぱい浴びた6〜8月頃が旬。ビタミンA、Cが豊富で皮膚や粘膜を強くし風邪の予防になる。乾燥した種は漢方薬。インフレエンザなんか吹っ飛ばす。野菜不足の冬に食べる、先人の知恵はすごい▼カボチャは低血圧の改善にも効果があり、病院食にも出てくる。子供の頃、食べた加賀地方の冬至料理、カボチャと小豆の煮物が懐かしい。れんこん、ぎんなん、きんかんなど「ん」の付くものを食べると「運」にあやかれるという。それに新陳代謝を活発にする柚子湯もたまらない▼「お正月の晩ご飯は料理をいつもより多く作って、子供たちと食べた」と話す曽我ひとみさんは、クリスマスも正月も一人ぼっち。冬至は陽の光と暖かさが始まるターニング・ポイント。拉致家族にとって「冬至冬中冬はじめ」というところか。春は遠い。カボチャを食べて「忍のパワー」をたくわえよう。(M)


12月21日(土)

●「母さん、ヨメさん、見つかったよ。とても優しい人だよ。連れてゆくからね」。お前の手紙、母さんは涙でクシャクシャになったよ。お前が小児まひになったのは四歳の時。高熱とけいれんが収まった後、お前の右足は動かなくなった。毎日の厳しいリハビリ…▼幼いお前を抱いて何度、海に飛び込もうとしたことか。でも、お前は「母ちゃん、母ちゃん」と泣きながら抱きついてきた。一番辛かったのは、お前なんだよね。父さん、母さんを責めたり、愚痴をこぼしたりしなかった。社会人となり、自立し★た。優しい嫁さんに一日も早く会いたいよ。待ってるよ▼猪苗代町の「母から子への手紙」の大賞に選ばれた伊東百合子さん(横浜市)の手紙。猪苗代は新千円札の肖像画に決まった野口英世博士の郷里。母のシカは渡米した博士に「おまイのしせ(出世)にたまけました。わたしもこころぼそくありまする。ドカはやくきてくだされ」と手紙を書いた▼この手紙をモチーフに親子関係を見直そうと企画したのが「母から子への手紙」。北海道から沖縄まで3503点が応募。アメリカ、フランス、ドイツ 、オランダ、中国などに住む日系人の母親からも寄せられた。いずれも子への深い愛情が込められている▼手紙を渡された女子高生は「字の一つ一つが母の声として胸の奥まで伝わったきた」と感激。携帯やパソコンの普及で手紙離れが進んでいるが、人が書いた文字は書き手の感情が素直に伝わってくる。絆をテーマに手書きの「父から子への手紙」や「恩師への手紙」も投函しよう。(M)


12月20日(金)

●雇用不安解消はついに越年。せめて来年に明るい兆しでもあれば別だが、聞くのは辛い話ばかり。離職後に就職活動を断念した人が出ているほか、高卒の新規内定者は全国平均でも5割未満、そして経団連は来年の春闘は雇用維持を理由に賃下げ方針…▼政府の政策とは裏腹に、生き残りをかける企業は人員抑制、賃金抑制に転じ、失業率は依然として5%台。いわゆる求職活動にも限界説が飛び交っている。厚生労働省が行った求職者追跡実態調査の結果は深刻な現実を浮き彫りに。再就職できた人は約半数でしかなかった▼中でも厳しいのは45歳代以上。この調査でも仕事を見つけるのを諦めた人は19・1%も。実に5人に1人。経験とか希望など条件を満たして再就職できる人は極く一部でしかない現実がはっきりうかがえる。新規学卒者を取り巻く環境とて少しも変わらない▼学校や関係機関が開拓努力を続けているにもかかわらず、10月末現在の高卒内定率は全国平均で47・1%。北海道にとってはそれも羨望の数字。なにせ地域的に悪い方から数えた方が早い25・1%、4人に1人でしかない。卒業があと3カ月後に迫っている時期だというのに…▼雇用の安定は生活、社会の安定を意味する。経済対策として優先すべきは雇用対策と言われるのもそれ故だが、その流れとして賃下げ風も吹き始めている。国民押しなべて「じっと我慢」から、今や「もう我慢できん」という心境。それを政治はどこまで感じ取っているのか、考えるとさらに怒りがこみ上げてくる。(N)


12月19日(木)

●「ヒトデ」。漁業者にとっては厄介者だが、それを農業に生かす研究事業が始まる。堆肥化のリサイクルシステムを確立しようとする取り組み。道がその実証試験を十勝の大樹産業クラスター研究会に委託したもので、研究成果に寄せる関係者の期待は大きい▼二枚貝などを食するヒトデは、カゴ漁の際、大量に混入するなど漁業者にとっては悩みの種。その漁獲量は道内で年間1万6千トンとも言われるが、漁獲効率が悪いばかりか、厄介なのは食用にも適さず使い道がないため、埋め立てなどで処理しているのが実情▼いわば漁業系廃棄物であり、処理費用もばかにならない。道路の改良資材として試験が進むホタテの貝殻同様、有効利用に向けた対策が求め続けられてきた。その過程で農業用の堆肥化がクローズアップされているものの、まだ実用化には至っていない▼その中で2年前から独自に肥料作りを模索しているのが同研究会。大樹町は一方で酪農が盛んな町でもあり、委託試験に適した土地柄。大樹漁協が捕獲したヒトデを実験牧場に持ち込み、家畜のふん尿に入れて堆肥化する研究が行われる▼課題となるのはヒトデの配合割合、使用した牧草などの発芽であり生育状況…。考え方はよくても実用化に結びつくとは限らないから、処理・販売経費もポイントになる。道内の一次産業振興を考える時、漁業と農業の連携は欠かせないテーマだが、この堆肥化研究は紛れもない一事例。なお解決しなければならない問題を抱える現実を教えられる。(A)


12月18日(水)

●年配者には分からない若者言葉など、日本語の乱れが指摘されて久しい。その一方、国際化の流れの中で外来語というか、カタカナ表現、英字表現などが実に増えている。街中でもそうだが、新聞も然り。紙面を見ていくと、本当に多いことを気づかされる▼例えばPKO、NGO、NPO、FAなど。いずれも頭文字をとった表記で一般化しているが、それでも理解できる人ばかりでない。文中ではカッコ書きの説明をつけることが可能。しかし、見出しとなると字数に制限があってなかなか。それはカタカナ表現にも言える▼対応に悩む一方で、多用過ぎという思いを持たれていることは事実。NHK放送文化研究所が行った調査結果もそれを裏付けている。ひもとくと、8割の人が「テレビや新聞で外来語が多く使われている」と受け止め、半数が「意味が分かりにくい」と答えている▼この調査では幾つかの言葉に対する認識度、理解度も調べていて興味深い。例を挙げると、さすがに「リストラ」は9割以上が認識、理解をしているが、「ハザードマップ」や「コンテンツ」となると、認識している人は5割程度で、理解は2、3割まで落ちている▼賛否も両論。「漢字と違って文字から意味がとりにくい」という拒否派と、「新しい感覚が出せる」という容認派がいずれも3割ほど。なるほどと思うが、テレビや新聞により求められるのは、多くの人が分かるかどうかという視点。この調査からも改めて教えられる。(H)


12月17日(火)

●「インターネットの自殺掲示板で知り合った男性と死にます」「いつ来ますか。七輪で確実に死ねます」―見ず知らずの男女が初めて出会った日に命を絶った。直接顔を合わせないのにインターネットを通じて共感・同情した現代の自殺の形。最も恐れられていた事件▼先日の毎日新聞によると、東京の30歳の男性と大阪の32歳の女性。サイトで交際して1か月。女性は「生きる気力をなくした。人と話すのも嫌だ」と遺書を残して、男性がパソコンに入力した道順で男性の部屋へ。女性は「1人で死ぬのは寂しい。相手は誰でもよかった」という▼サイトには少年少女の自殺掲示板、中年の自殺掲示板、高齢者の自殺掲示板など多数。9日のサイトを開いてみたら「心中相手を探しております。練炭、コンロ、睡眠薬、全て揃えました」「自殺を考えている人とメール交換をしてみたい」「もう死んじゃいましたか」などびっしり▼男性のメールからは何か死ぬことを楽しみにしているようにさえ読めたという。顔見知りでない2人が出会った初日に心中するなんて考えられない。サイトで社会病理の形態が広まった。中には「生きることに全く悩みのない人はいない。少しでも可能性のある人は頑張りましょう」と呼び掛けるメールもあるにはある▼パソコンのネット上には自殺に関する情報がいっぱい。若者は判断に迷ってしまう。サイトを開いて、自殺願望に悲しすぎる運命から脱皮し「生」を説く相談員が必要だ。(M)


12月16日(月)

●税収が不足すれば新たな財源を見つければいい、それも取りやすいところから。分かりやすい論理だが、その矛先を国民に向けられては叶わない。だが、政治は…。庶民の気持ちを無視するかのように、発泡酒・ワインとたばこの増税をしようとしている▼かつてない長期低迷に陥り、先行きにも不透明感が漂うわが国経済。雇用不安が広がり、消費は依然として不振状態。その余波で企業の生産活動は落ち込み、ぎりぎりの経営を強いられている。余波は税収にも。それぐらい誰もが理解できる▼だが、問題はそこから。こうした現実を直視して国はどれだけ節減の努力をし、手を打ってきたか。少なくても会計検査院から毎年、膨大な無駄遣いが指摘されている。なのに、そこには目を瞑って一方的な増税宣言とは。それで問題の解決が図られるならまだしも、僅かな足しでしかない▼健康面などの是非はともかく酒・たばこは庶民のささやかな楽しみ。とりわけ発泡酒はビールメーカーの努力が生み出したものであり、定着を確認したところでの横取りとも写る。確かに発泡酒は10円、たばこにしても1本1円だが、金額の問題でない▼容認できないのは、税制改正の名のもと「取りやすいところから取ろう」という安易な姿勢。議論は国会の場に移されるが、政治がまずすべきは無駄のない効率的な財政運営をさせること。その上での増税提案でなければ理解は得られない。「つけは国民に回す」。そんな思いしか伝わってこない。(N)


12月15日(日)

●最近のテレビを観ていて気づくのは、函館もたびたび登場する旅番組と、家のリフォーム番組が多いこと。ほぼ毎日のようにどこかの局で放送している。それも1時間、中には2時間番組も…。特に観たいと思う番組のない時には重宝。これだけ多いということには、それなりの理由がある▼推測するに、その理由は大きく二つ。一つは制作費が安くて済むこと、もう一つはその割りに視聴者受けすること。1時間ドラマ1本を制作するには、ギャラなども含めると大変な額になる。時間もかかる。それで視聴率を稼げればいいが、必ずしもその保証はない▼その点、この二つは…。旅行は誰しもが求める楽しみであり、リフォームも抱き続ける夢。しかも、テレビ局にとってはそれなりのタレントで製作でき、取材される側も「この機会に」と全面的に協力してくれる。局にも、取材先にも、視聴者にもメリットがあるとすれば、追随した番組が出てくるのも頷ける▼もたらされる情報は、先々考える旅行や、リフォームをする場合の参考になる。そして、何より貢献しているのは、家族に語らいの場を提供していることだろう。「ここへ行ってみたいな」「うちを直すとしたらこれがいい」とか…▼閉塞感が広がっている今の時代だから受けている、確かにそうだろう。したくても出来ないから、よけいに気持ちをくすぐる。そう考えると、これらの番組は時代が導いたものと言えなくもない。「せめて夢をどうぞ」。そう問いかけられているようにも思えてくる。(A)


12月14日(土)

●拉致被害者の永久帰国を願って、今年の世相を表す漢字に「帰」が選ばれた。「人々の心、山、川、谷、みんなあたたかく、美しく見えます…」。24年ぶりに帰郷した曽我ひとみさんの詩「かえってきました」にフォーク調の曲も付いた。5人が帰国して15日で2カ月▼ひとみさんは平壌で横田めぐみさんと暮らしていた時、2人で『故郷』や『紅葉』を歌った。めぐみさんが朝顔を押し花にし、小さな紙に付けて言葉を書き「これを持っていって記念にしてね」と渡してくれた。「兎追いしかの山…」めぐみさんの声が今でも聞こえてくるという▼何度でも言う。拉致は国家主権の侵害であり、国際法上の基本的人権の侵害であり、相殺も時効もない国際法違反。北朝鮮の「核施設を再稼動」のという反発に日朝交渉はかすんでいるが、9日の朝鮮中央通信は、ひとみさん夫婦らの名前を挙げて拉致問題に関する日本の記事を報じている▼「故郷訪問として日本に行った拉致関連者5人を家族、親戚のいる共和国(北朝鮮)に戻すよう求める声が家族たちと日本社会で日増しに高まっている」と。ちょっと待て。日本では北側に残された子供たちを返せという声が高まっているのだ。全く逆の情報を流している▼蓮池薫さんは21歳の誕生日を迎えた長女について「さびしい誕生日になった。帰ってくる日が誕生日。その日まで頑張る」と親の心境を話した。子供たちは北朝鮮の瀬戸際外交の板挟みになっている。これ以上、奇数な運命の時間を刻んではいけない。函館出身の小住健蔵さんも早く帰してほしい。(M)


12月13日(金)

●「言動は人を表す」。そんな話を聞いたことがある。実際に誰しも失礼なものの言い方に直面した経験があるはずだが、最近、そう感じたのはテレビなどのインタビューに答える自民党の一部長老議員の、いかにも人を小ばかにしたような発言▼道路四公団の民営化推進委員会の審議、答申を巡る発言だったが、「素人さんに何が分かるかいな」「机上の論理はいくらでもどうぞ」などに始まって、最後には「多数決による報告書など参考にする必要もない」等々。さも偉そうな口調で…▼問題に関する考え方は別として、委員はそれぞれ見識を持った人たち。これほどオープンに開かれた委員会・審議会も珍しかったし、真剣に議論している姿も伝わってきた。その中身に賛同できないにしても、政治家ならば、まず努力を多とする発言から始まって然るべき▼ところが、こうした議員の姿勢たるや…。何か勘違いをしているのではないか。自分たちだけが専門家で、自分たちの考えがすべて善であり、「意に沿うかどうか」しか、判断の基準として持ち合わせていないのだろう▼ともかく相手の意見、考えを尊重するところは少しもなく、都合が悪くなると、さらに高飛車に…。そこから生まれるのは不快感だが、我々の日常でも大なり小なりあり得ること。そう考えると、まさに反面教師。冷ややかに受け止められても、尊敬されないことだけは頭に入れておきたい。(N)


12月12日(木)

●今、日本人の多くはわずか10数年前の自信をすっかりなくし、漠然とした不安を抱いているようにみえる。90年代は「失われた10年」と言われるが、それ以前には考えられなかったことが今や常識となっている▼まだいい方だとはいえ函館も例外でないが、多くの都市では大規模スーパーやコンビニ、ディスカウントショップが圧巻、流通システムが革命的に変化してしまった。同時に、ライフスタイルも変わり、結婚しない男女が増え、終身雇用制はすでに崩壊しつつある▼企業への帰属意識も希薄になりつつある。西欧に追いつき、追い越すためのシステムが目標に達した途端、次なる目標を見失い、機能不全に陥ってしまったとでも言おうか。そして、この先、どうしたらいいのか、具体的な方向を見い出せないでいる▼しかも社会の変化に対応すべき政治は、変化を望まない既得権者の方にしか目が向いていない。政党はすっかり信用を失い、無党派を装わなければ選挙にならない事態が生まれている。なのに日本人は怒ることを忘れてしまった▼豊かになるにしたがい、問題を直視するのを避けるのが身についたのだろう。難しい課題は外国の顔色をうかがいながら流れに身を任せてきたが、そうやり過ごせる時代ではなくなっている。時間がかかっても現実から目をそらしてはいけない。怒るべき時には怒り、腹を据えて、舵を切らなければならない。長いように見える夜も、いずれは明けるのだから。(T)


12月11日(水)

●人間が生きるに欠かせないものが幾つかあるが、調味料の基本とも言われる「塩」もその一つ。それ故に、わが国では長年、専売制がとられ、国が管理してきた歴史がある。それがようやく自由化され、製造、販売の規制が解かれてまだ日が浅い▼店頭に並べられる種類は増え、著名な料理人のこだわりにも必ず「塩」が出てくる。「使っているのは何処どこ産の塩」「決め手はこの塩」などといった話を聞いたことがあるはず。それだけ選択肢があるということだが、さらに広がる可能性は大▼ただし、その情報を消費者は意外なまでに知らない。せいぜい店頭情報ぐらいだが、「塩」のことなら何でも分かる、そういった本が旭屋出版から出された。神奈川県在住の玉井恵さんが執筆した「日本の塩100選」だが、まさに塩通になれる1冊。その中で、玉井さんはこう記している▼「原料が海水であれば塩はすべて同じと思われますが、日本を取り囲む海の様子は、サンゴの海、コンブの海、海流や潮流など様々で、塩もそれぞれ個性を持つことになります」。そして北海道の宗谷とオホーツクを加え、全国区の「塩」について、その特徴や連絡先などを紹介している▼昨今、特にそうだが、食を取り巻く世界のキーワードは本物志向。水や農産物の例が分かりやすいが、少々値が張ろうとも求められているのは安心・安全。「塩」も完全に選んで使う時代…。「そのためには知識を」。この本はそう教えてくれている。(H)


12月10日(火)

●忘年会、新年会…。年末年始は酒を飲む機会が多い。そうなると懸念されるのが、重大事故に結びつきかねない飲酒運転の増加。道交法上の罰則が強化されはしたが、現実は、となると、普段の月でも潜在的にかなりいると指摘されている▼「ついつい」とか「そんなに飲んでいないから」といった言い訳が多いのだそうだが、その人たちにとっては「飲んだら乗るな」「乗るなら飲むな」の“格言”もどこへやら。その飲酒運転は、都会よりむしろ地方に多いと言われる▼それはマイカー通勤が多いことと無関係でないよう。公共交通機関が十分でないからマイカーなのか、その逆なのか、函館も例外でなく車への依存度は高い。飲酒するのに車で行く神経がまず問われるが、残念ながらそれも現実である▼近年は地方都市でも運転代行業が定着し、利用が増えていると聞く。環境は確実に整っているのに、なお…。「地域としても何か対策を講じなければ」。取り組みが広がっている深夜のバス運行も広義に考えればその一つかもしれない▼札幌は別格だが、例えば帯広では12月の金、土曜日に実施中。午後11時過ぎに繁華街から近隣町を含め住宅団地のある地域に向けて4方向に走らせている。料金は一律500円だから、タクシーより安い。だが、地域がどんな手を差し延べようと、大事なのは自覚の問題。悲しいかな、飲酒運転の実態はいみじくもその欠如を象徴する事例とも言える。 (N)


12月8日(日)

●釧路市に続いて旭川市でも助役ら幹部職員が、公職選挙法違反に問われ、逮捕された。地位を利用して選挙運動にかかわってはならない、それは幹部でなくても分かり切った公務員としてのいろは。同法の第百三十六条のニはこう規定している▼「次に該当する者はその地位を利用して選挙運動をすることができない。一、国又は地方公共団体の公務員…」。これほど明快なのに、露見することはないと高をくくっていたのだろうか。範を示すべき幹部が守るべき一線を踏み外してしまった。そのつけはあまりにも大きい▼釧路市長らが関与した釧路町長選では市町村合併の推進派候補が苦戦していた、旭川市長選は若手の対立候補の出現で現職に厳しい選挙が予想された。結果をみると、釧路町では慎重派候補が当選、旭川市では現職の勝利は僅差だった。厳しい選挙、踏み外した背景はさまざま推測できる▼だが、生み出したのは行政機関に対する不信感。強い批判に弁解の余地はない。確かに、過去に公務員が公選法違反に問われた事例は数多い。道内でもけっして珍しくはないが、このように市長(釧路)、助役、特別職らが相次いで逮捕されたのはまれ▼まちのイメージに傷がついたばかりか、釧路市では財政状況が苦しい中、しかも年末を控えた忙しい時期に市長選挙を強いられている。市民もたまったものでない。大きな代償を払ったこの事件が教えてくれた教訓を無にしないように…。来年春には統一地方選挙を迎える。(Y)


12月7日(土)

●政策に意見を求められる有識者機関が、雑念を排除して議論できないとしたら、存在意義はない。その基本的なところを問われたのが道路関係四公団民営化推進委員会。というより今井敬委員長。しかも議論の場を投げ出すに至っては見識を疑われて仕方ない▼提起されている高速道路問題は、必要性と経営視点の追求。考え方は多様にあり、極めて難しい判断が求められる。従前の考えを踏襲することがいいのかどうか、古くて新しいテーマだが、小泉構造改革の中で大きく位置づけられたには相応の事情がある▼委員はそうそうたるメンバー。審議も比較的オープンに行われてきた。ところが、最終報告をまとめる段階になって予期せぬ事態に。委員長が立場を放棄してしまった。「国会を通らない案では」。これが理由というのでは言葉を失う▼委員会の独自性、主体性を放棄したに等しい行為。それでなくても自民の道路族議員は機会あるごとに委員会をけん制し、国土交通省にも反省の姿勢がない中である。報告書はあくまで意見であり見解。それを受けての最終判断は政府、国会がすることで、責任など派生しないのに▼だが、今井委員長は自説に固執し続け、土壇場でとった道は辞任だった。解せない。勘繰りと指摘されるかもしれないが、その背景に言うに言えない何かがあった…。今井委員長に聞きたい。「何があったんですか」と。真剣な議論が伝わっていただけに残念でならない。(A)


12月6日(金)

●悪の枢軸、偽装牛肉、疑惑のデパート、全面安、不審船、ムネオハウス、拉致、ワン切り、びみょ…。そんな中、アゴヒゲアザラシの「タマちゃん」が今年の流行語大賞(「現代用語の基礎知識」選)に選ばれた。タマちゃんの受賞の言葉をバウリンガルの翻訳機にかけてみた…▼お母さんや仲間とはぐれて多摩川に迷い込んだの。海でカニやエビ、魚を食べ、川に戻るという生活の繰り返し。鶴見川、大岡川にも行った。川は以前よりも汚れておらず、スイスイ泳げた。平らなコンクリート護岸で寝そべるのがお気に入り。「タマちゃーん」と呼ばれて4カ月▼そんな仕草に「ほほえましい。幸せになれる」「心身ともに癒やされる」と言われるのが嬉しい。でも、東京湾はダイオキシンなど化学物質の濃度が高いの。環境浄化も必要ね。故郷の北極圏に帰るのは難しそう。お母さんに会いたいな。拉致家族も早く一緒に暮らせるようにしてね▼昨年は「米百俵」「聖域なき改革」など小泉首相のキャッチフレーズが流行語大賞を総なめしたが、経済対策や改革の色がDミがれてきた。短命では困る。「道路つくるの?」「びみょー」では納得できない。臥牛子は独断と偏見で阿弥陀堂の「おうめ婆さん」に大賞をあげたい▼「質素なものばかり食べていたのが長寿につながったとしたら、貧乏はありがたいこと」「雪が降り、山と里の境が消えて一年がめぐる、人の一生も同じ」と、心の病にかかった中年夫婦に生きる意味と喜びを取り戻させた。勇気と希望を与える言葉がほしい。タマちゃん、船のスクリューに巻き込まれないでね。(M)


12月5日(木)

●11月末だったが、毎日新聞のある記事に目がいった。『新撰組「函館」の場面まで放映を』という見出しがついた記事。04年に放映されるNHKの大河ドラマ「新撰組」についての要望なのだが、その記事を関心持って読んだのは函館も関係する話だったから▼このドラマは新撰組の局長・近藤勇が主人公に組み立てられそうなのだが、いち早く要望の声を上げたのが副長・土方歳三の出身地である東京都日野市の商工会。ありがたい話で、その内容は「土方が戦死した函館のシーンまで放映してほしい」というもの▼同紙の報じる同商工会の本音は「地域の活性化のために土方の登場場面を多くしてもらえないかな」というところにあるが、それだけに運動には真剣なよう。11月初めから署名活動をスタートさせ、函館や会津若松、京都などの商工団体にも賛同を求める意向を示している▼既に集めた署名は1千人余り。年内には1万人を集めてNHKに提出したいとしている。観光面などに象徴されるが、NHKの大河ドラマの影響力が大きいことは、過去の例が物語っている。脚本を曲げるわけにはいかないが、「出来れば…」というのはご当地心理▼閉塞感が広がるこの時代。地域を活性化させるために、それぞれの事情を抱えながら各地、苦慮している。同商工会の取り組みも起爆剤を求めた一つの取り組み。結果はともかく、動き自体が活力を生み出すこともある。さて函館は…。対応が注目される。(A)


12月4日(水)

●友だち同士なら出来るが、職場や公の場で自分の考えを述べることが出来ない、そんな人が増えているという。それもそのはず、今やメール全盛の時代。面と向かわなくても用件は伝えられる。パソコン1台あれば生活に支障はない。便利、便利…▼社会もメール会話があたかも近代的な取り組みの証とばかり容認している。それが直接話す機会を減らしていることを招致していながら。確かに「伝える」という視点では同じかもしれない。だが、込められる心の度合いとなると差は明らか。それは人間性が加味されているか否かの差でもある▼それでなくても今の若者はマニュアル世代。教えてくれるというより、そうするよう仕向けられている。だからこそ、自分の考え、意見を話す機会が必要。その視点に立った催しの一つに函館大学の弁論大会がある▼今年が3回目。昨年に続いて聞かせてもらったが、改めて思ったのは今の時代だからこそ意義がある。壇上に立つまでには、何を話すかに始まって、主張をまとめるまで、常に考えることが求められる。当然ながら問題意識も芽生えてくる▼登壇した学生が留学生を含め5人と少なく、その分を社会人や専任講師が補った感があるが、焦ることはない。学生と社会人が意見を述べ合う、そういう機会を提供していくところに価値があるのだから。こうした取り組みはいわば時代の要請、近い将来、函館を代表する大会となることを期待したい。 (N)


12月3日(火)

●アフガニスタンの空爆、復興支援のニュースやレポートを見ていて、いつもある種の違和感を覚えていた。それは先進国の画一的な近代化論理が現地で乖離を生んでいるのではないかという危惧に似た思い。ペシャワール会の中村哲氏によると、アフガニスタンの大半の地域は自給自足…▼「カネはなくとも食っていける」が生活の基本だという。日本の国土の1・7倍、その8割が山岳地帯で、9割以上を占める人々が農民・遊牧民。独立心が強く、割拠性が著しい風土だとも言われる。カブールなどの大都市を除けば、貨幣の意義は「物々交換の貝殻」以上のものではなく、経済の立て直しなどと言っても容易でない▼したがって復興支援の名目で、国際社会が持ち込もうとする近代的価値観は至るところで抵抗に遭い、人権を守るはずであった自由とデモクラシーが混乱を増幅させ、タリバンの圧制から女性の権利を解放するはずも、売春の自由まで解放したという▼また、こういう話もある。農村や遊牧社会ではごく当然の子供の手伝い〜それは次世代への生産技術の不可欠の伝承でもある〜が、抑圧された小児労働として人権侵害とされたとか。その国の伝統的生活や文化のあり方を無視し、先進国の価値観を押し付けて成功した例はない▼それはこれまでの歴史が教える通りである。手間hメがかかる、効率が悪い、回り道が多いかもしれない。でも仕方ない。資金と資材、人材を主とし、やり方などはその国に任せるべき、そんな思いがこみ上げてくる。(T)


12月2日(月)

●国会こそ税金の無駄遣いの最たるもの。もはや議員も半数に減らした方がいい。経済の再生をはじめ重要法案を審議する名目で召集されたはずの臨時国会なのに休会状態とは…。これでは与党にも、野党にも政治不信の現実を憂いる資格はない。自分たちが原因を生み出しているのだから▼それにしてもひど過ぎる。委員会の出席率の悪さがすべてを物語っているが、ここまできたら会期を繰り上げて閉会すべき。政治課題に取り組む姿勢もないのに、開会中に要する経費がもったいない。党内抗争の明け暮れに税金を使われては叶わない▼自民党も相変わらずだが、民主党も情けないの一言に尽きる。この時期に自民内で反小泉集会を開催する見識のなさにも驚くが、民主は代表選挙後の党内不統一がさらに色濃く、解党寸前の様相。またまた政党の離合集散を予見させている▼そこには「国民のために良かれ」という発想はない。すべて自分たちのため。最近の選挙結果が答えを教えているのに、自民も民主も正解を知ろうともしていない。政治不信、政党不信(政党離れ)を加速させているだけで、回復する流れは生まれない▼企業も、個人も閉塞感を抱えている。「何とかしてほしい」。最も頼りとされて然るべきは政治なのだが、その思いは遠のくばかり。諦めるしかないかという思いもこみ上げてくる。だが、怒ろう。怒りの声を挙げよう▼こんなことを続けている政党に莫大な政党助成金が交付されているのだから。(A)


12月1日(日)

●気ぜわしい中で12月を迎えた。1年を振り返るにはまだ早いが、函館・道南地域でも様々な動きがあった。函館だけをみても、ゴミの有料化、市バスの民営化、14メートル岸壁の完成、駅や空港の改築着工、ラーメンサミットや野外劇サミットの開催…▼残るは1カ月。関係者の努力が開花し、冬の函館観光に一層の貢献が期待されるXマスファンタジー、イルミナシオン映画祭が彩りを添える。まだ、歴史は浅いが、いずれも函館ならではのイベント。対外的な評価は高く、新たな一面が加わるなど今年も話題は豊富▼その開幕に連動するかのように1日、函館―八戸間にJRの新型特急「スーパー白鳥」がデビューした。東京からの東北新幹線が、現在の盛岡から八戸まで延びるのに合わせての導入。函館と東北地域を結ぶ鉄路は時間短縮され、利便性、快適性が一段とアップした▼推測の域を出ず、なお未知数の部分が多いが、函館、八戸ともども観光面での期待は大きい。とりわけ函館は。ここで利用増を実現させることが、将来に大きな意味を持つから。地域の悲願でもある新幹線の青森・函館同時開業。ここ1年ほどの実績が問われてくる▼空路との競争は激しい。鍵は北関東あたりまで観光利用の域が生まれるかどうか、という見方もあるが、そのためにも欠かせないのが地域の応援。Xマスファンタジーなどを恰好の呼び水に、函館も観光宣伝のシフトを東北に向けている。まずはスタートダッシュを決めたい。(A)


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