平成16年6月


6月30日(水)

●「出生率1・29」ショック。子どもを産みたくても、子育てに金がかかりすぎる、というの本音のようだ。しかし、知人の医者によると、最近は不妊の相談にくる若い夫婦が少なくないという▼各自治体は「子どもの笑顔が社会の活力になり、未来に希望が持てるマチづくり」を合言葉に、子育て支援を実施しているが、昨年の出生率は東京渋谷区の0・75をはじめ、軒並み過去最低(北海道は1・20)。子どもの割合も過去最低の13・9%と30年連続で低下。先進国でも最低の数字だ▼これから50年にかけて1・39に回復すると見込んだ年金改革にも影響が懸念される。スウェーデンでは、出産後1年は育児休暇をとって育児に専念、復職しても就学までの数年は勤務時間を短縮するなど、支援体制を充実してから4年間で出生率が0・15ポイントも上昇している▼私事だが、孫は2年生、1年生、3歳の3姉妹。就学前は上の2人は月額各5000円をもらっていた。今度、国会で支給延長が可決され、3年生まで、下の子は1万円もらえるので、親は大助かり。税制は違うが、スウェーデンでは16歳まで児童手当が支給されている▼育児休業制度の整備、放課後の預かり施設、休日の保育施設など、今年度中にまとまる新しいエンゼルプランが待たれる。金がかかり過ぎるから産めない、はあまりにも寂しくはないか。急ぐべきは産みやすく、子育てしやすい環境づくり。「出生率1・29」は、そう問いかけている。(M)


6月29日(火)

●「函館にI・J・Uターンしたいのだが」。そんな相談があっても、実際に踏み切った人となると多くない。その背景にある、目に見えない壁が「職」―。函館市のまとめから浮き彫りにされた一つの現実だが、それは「何が必要か」の問いかけでもある▼函館市も他市にもれず、I・J・Uターン希望相談の窓口を開いている。その統計によると、ここ数年の相談は10年ほど前に比べ半数以下に落ち込み、2002年度は75件に。昨年度は再び100件台に戻ったが、実際に「職」を得て移住した人は、わずか6人だった▼気候は温暖、魚をはじめ新鮮な食材にも恵まれ、都市環境もそこそこに整った“生活しやすい北国の都市”。こんな謳(うた)い文句を並べても異議の声はない函館だが、こと「職」に関しては…。魅力的な雇用の場が少ない、との外部評価にも頷くしかない▼「大企業がないのは仕方ないにしても、問題は人材に重きを置く企業が少ないこと」。以前、ある経済人が自戒を込めて、こう語っていたのを思い出すが、函館はどちらかと言えば人材供給都市。市外に出た学生のUターンが極端に少ないことが、それを端的に物語っている▼仕事重視から生活重視へ、時代はそう流れているが、ただ、住みやすいからどうぞ、では、いつまで経っても「(移り住みたい)希望はあれど」の域を脱せない。本当に“人誘致”を考えるなら、せめて行政と経済界が共通認識を持ち、連携した体制をとらなければ。この統計にはそんなメッセージが隠されている。(A)


6月28日(月)

●小泉首相が厚生年金の過去を突かれて「人生いろいろ」と開き直った年金改革問題、国民への説明よりもブッシュ米大統領への伝達を優先させた自衛隊のイラク多国籍軍参加問題。公示された参院選は、この2点を争点に舌戦が展開されている▼そんな中、読売新聞によると、愛知県の高校教諭が中間試験で「イラク戦争についてどう思うか」という記述問題(「肯定なら0点」「否定なら5点」)を出した。生徒に配った解答例には「他国に軍隊を送ることはいけません。罪のない人たちが殺されています」などとも記載されていた▼高校生がイラク戦争に関心を持つことは悪いことではない。劣化ウラン弾の怖さを調べるためイラクに入り人質となった今井紀明さんも高校を卒業したばかり。しかし、自分が受け持つ2クラスの試験に、イラク戦争について意見を聞く記述問題を独断で追加するのは、いかがなものか▼自衛隊が派遣されているサマワには主権移譲後にイラク人による「地域治安部隊」が発足する。また、小泉首相は自衛隊が多国籍軍に参加した後、活動地域を拡大するとも言及している。その多国籍軍参加を口約束したブッシュ大統領の支持率は47%、不支持率は51%と逆転している▼教諭は「自衛隊はイラクのため良いことをしている」などとした解答は「低俗な例と指摘している」という。授業中に居眠りをした生徒に「血で反省文を書け」とカッターナイフを渡した教諭(福岡市)の姿勢と何ら変わらない。参院選は必ず投票所に行って、年金問題、イラク問題に解答を出そう。(M)


6月27日(日)

●「災害は忘れた頃にやってくる」と言われる。それは忘れてならない日常教訓だが、自然災害を例にとっても、ある程度予測が成り立つ台風・大雨を除いては直前対処が難しい。地震に至っては予知がまだまだのレベルであり、後手になりがち▼だから、日ごろからの備えが必要、となるのだが、叫ばれる割には不十分。北海道も南西沖地震をはじめ幾つも大災害を経験している。その都度、個人はもとより行政にも緊張が走り、備えの取り組みがクローズアップされるが、時間の経過とともに緊張は薄らいで…▼報道されたので覚えている人もいよう、先日、消防庁が興味を引くデータを発表した。自然災害、原子力事故、テロ対策などに関して都道府県がどの程度、防災力・危機管理能力を備えているかを数値化したランクだが、都道府県の備えの差が改めて浮き彫りに▼最も評価が高かったのは東京(100点満点で69・4)。ほかに埼玉、福島、石川の3県が60以上だが、北海道はどのランクか、と思いきや、何と26・9。多くの県と同様、公共施設の耐震化や民間との情報共有の不十分さなどが指摘されて、都道府県別で下から2番目▼確かに、備えには予算も時間もかかる。耐震化一つとっても、おいそれとはいかない。ただ、人の命にかかわる問題。「自らを守る」の意識とともに大事なのは、地域としてどう備えるかという現実的な取り組み。このデータは視点を変えた備えを求める警告であり、淡々と見過ごすわけにはいかない。(A)


6月26日(土)

●すっかり緑が濃くなった五稜郭公園は、今年も函館野外劇の季節を迎えようとしている。水舞台や観覧席などの会場設営も終わって、一帯は本番近しの雰囲気。スタッフら関係者は気ぜわしく準備に追われている▼「市民創作」とうたった野外劇が函館に産声を上げたのは、今から17年前。素晴らしいロケーション、格好の舞台と成り得る五稜郭公園があったことも大きいが、誕生の原動力となったのは、函館に誇れる文化財産を築き上げよう、という多くの人の熱き思い▼何度か危機もあった。運営環境の厳しさからだが、頑張ったかいがあって、ここ数年、道内外での知名度、評価は上昇の動き。ツアー入場者が増え、さらに今年初めて旅行代理店による貸し切り公演が実現したのは紛れもないその証し。雑誌や機関誌などの紹介記事も増えている▼国内に函館と肩を並べる野外劇はない。それだけ難しい事業ということだが、裏を返すと、それは素晴らしい財産ということ。対外的な評価が高まる理由もそこにある。なのに、17年目を迎える今も、地元の意識はいま一つの域を抜け出ていない▼「五稜郭を舞台に函館地方の歴史スペクタクル75分」。街に張られたポスターに書かれたキャッチコピーだが、今年の初演は7月9日。最終の8月7日まで延べ10回の公演が予定されている。観に行こう、必ずや野外劇サ文化財産を体感するはずである。その上で発信しよう、函館には自慢できる、素晴らしい野外劇があることを。(A)


6月25日(金)

●札幌で7月、100社あまりが参加して「サマータイム」の実験が行われる。札幌商工会議所の昨年来の提唱を受けたもので、行動の第一弾。机上では省エネ効果、経済効果がはじかれ、しかも北海道は導入適地と言われるだけに、実験は注目に値する▼直訳すると「夏時間」だが、夏の間だけ時計を1時間進めて、長い昼の時間帯を有効に使おうという趣旨であり制度。欧米を中心に80カ国ほどで定着している。わが国では戦後の1948(昭和23)年に導入されたが、4年間もったものの、長続きしなかった▼理由は日の出・日の入り時間に地域差があること。その結果、全国一律が馴染まなかったわけだが、緯度が高く、夏季の日照時間が長いという特性を持つ北海道は導入適地。実際に今の時期だと午後7時過ぎまでは明るく、言われる“効果”は説得力を持つ▼ちなみに昨年、札幌商工会議所が北洋銀行などの協力で推定した経済効果は1165億円。もちろん個々の企業や団体が得る効果もあるが、単独での実施となると、そう簡単でない。取引先と業務の時間帯が合わなければ営業に支障が出る、といった問題などが立ちはだかってくる▼北海道でも足並みがPコうのは難しい、という声の裏にあるのは、そうした懸念。だからと言って、端から諦めるのはいかがなものか。札幌商工会議所の提唱は、そのメッセージであり、北海道が問われている自立精神の問いかけ。「まずはやってみようよ」。今年の意義はそこに見い出せる。(Y)


6月24日(木)

●「砂山の砂に腹這い 初恋の いたみを遠く…」。かけ出し記者の40数年前に「このまま侵食が続くと、大森浜は100年後になくなっているだろう」という記事を書いたが、先日、数年ぶりに大森浜に降りて、ろうそく文字「SLOW88」を見た▼大森浜は石川啄木がいたころは文字通りの「砂山」で、海岸線は現在より30〜40メートル沖合いだった。湯の川温泉の付近まで続いていた。砂山からすべり降りて遊んだという。海岸侵食は昭和30年代の後半から激しくなり、全国で約2400ヘクタールの砂が消失(毎年、東京ドーム34個分)している▼大森浜は海岸沿いに消波ブロックを積み、離岸堤などを築いて、侵食を防いできたが、侵食防止の効果はあまり上がっていない。最近は地球温暖化も影響しているようで、このまま温暖化が進むと、100年後の海面は最大88センチ上昇するというデータもある▼「砂浜復元に新工法」の記事を読んだ。九州大学などが開発したもので、屋根瓦のような形のブロックを海底に並べて砂の移動を自在に制御し、砂が自然に岸方向へ流れるようにする仕組み。今、玄界灘の海岸で実証実験中。1年かけて砂の移動状況やブロックの配置方法などを研究する▼道内では小樽の海水浴場が大打撃を受けている。砂が流失する大森浜も「遠くおもひ出づる日」は、さらに遠のく。油などで海が汚れると「鳴き砂」も聞けなくなる。護岸工事などで生態系が崩れると、砂山も崩れる。観光客が砂に腹這い、漁り火を満喫できる大森浜をなんとか取り戻したい。(M)


6月23日(水)

●3年に1度の参議院議員選挙があす公示される。誰もが知る通り参院選は選挙区と比例代表から成るが、確かに身近でない。広い北海道とはいえ一つの選挙区で、定数は2。改選現職2人と話題の候補を含め5人が挑む選挙となる▼最近はその名にふさわしくない、とも言われるが、今なお“良識の府”の名が残る参議院。衆議院と国政を担う立場は一緒だが、存在感は…。それは先の国会終盤でも露呈したが、現実評価は厳しく、残念ながら答えは投票率に表れている▼全国的に低く、函館・道南も然り。今回の改選組とは違うが、北海道選挙区に10人が立候補した3年前の前回、函館市の投票率は51・78%、渡島管内では58・19%。前々回に比べ若干、上がったとはいえ、60%にも届かないレベル。今回もその投票率が懸念されている▼だが、冷静に考えると、今回の参院選は国政の行方を占うというか、今後の政局に大きく影響する選挙と言って過言でない。内政では財政に始まって年金の問題など様々な懸案、外交面ではイラク問題などを抱え、「さぁ、どうする」かが問われているから▼投票はその意思表示。「家計は厳しく、負担は増える」では、政治不信が増幅するのも分かるが、「何も変わらない」からは、何も動かない。「街頭演説の最後に、自分でなくてもいいから投票所に行こう、と呼びかけているんですよ」。ある候補予定者の話だが、その動かす力は投票から生まれる。投票日は7月11日。忘れずに!(N)


6月22日(火)

●「2100年頃の夏季…。平均気温は現在より最大1・5度程度上昇し、早朝の気温が25度以上の地域は関東ほぼ全域に広がり、日中は35、36度を超える猛暑に見舞われる」。6月はじめ、気象庁はこんな100年後の気候の予測を発表した▼地球温暖化に伴い近年、世界はもちろん、わが国周辺でも気候の変化がみられる。気象庁は1995(平成7)年から温暖化予測情報を公表しているが、これほどの先の予測は初めて。あらゆるデータを駆使して開発した“気候モデル”をベースにはじき出した結果という▼科学技術の進歩を実感するが、同時に教えられるのが、温暖化対策は急務な課題ということ。1997(平成9)年に京都で開かれた国際会議が思い出される。国民に「このままでは大変」という思いを抱かせた会議だからだが、その危機意識はようやく芽生えてきたところ▼既に異常気象と言われ、温暖化の元凶とも言われる二酸化炭素など温室効果ガス6種類の削減は不可避。排出量が増え続ける流れの中、わが国は2010(平成22)年までに20年前比で6%の削減を迫られている▼その鍵を握るのは企業だが、大事なのは国民一人ひとりが出来ることを心がける意識。いわゆる家庭での省エネ、車の排ガス抑制、さらに都市での緑化…。そう難しくはない。「対策を急がなければ後世につけを残すことになる」。気象庁が発表したこの予測は、分かりやすい一つの啓蒙であり、警告とも言える。(H)


6月21日(月)

●イカの内臓(イカゴロ)の有効な再利用策は、函館など水産都市の長年にわたる懸案。重金属のカドミウムが含まれているから、そのまま捨てることは許されない。カドミウムを除去して何かの原料に再利用するにも採算面が重くのしかかる▼既に釣りの餌などでの加工品が出回っているほか、函館の道立工業技術センターが研究中の魚i。作りなども注目されているが、大量の処理策として熱い視線が注がれてきたのが養魚の飼料化。「なんとか道を開けないか」。道立の試験研究機関が連携して取り組んでいる▼排出される量たるや函館だけでも年間1万トンとも。「なんとか早く」の関係者の願いに応えるかのように、試験場から明るい話が飛び込んできた。養魚飼料に加工するまでの技術を生み出し、実験の成果も得たことから、11月には学会に報告されるという▼本紙の16日付紙面によると、除去技術の開発は道工試、魚粉などを混ぜた飼料の開発は釧路水試ということだが、道立栽培漁業センター(鹿部)で行われた給mノ実験では、クロゾイの稚魚は、イカゴロを加工した原料をより多く混ぜた餌の方に食いつきがあった、と▼いわゆる残渣物に関しては処理法とともに採算に見合う再利用の研究が求められるが、同時に現場を支える体制の確立も不可欠。産業の将来にかかわる問題だからで、地域課題と言われるのもそれ故。イカゴロの養魚飼料化研究は紛れもなく、その期待に応える取り組みであり、実用化に向けてのさらなる研究成果が待たれる。(A)


6月20日(日)

●「自分史」という言葉を聞いたことがあるだろうか。説明するまでもなく「自分の歴史」。生きてきた軌跡をまとめたものを指すが、筆が立つか否かは別にして、出来れば、というのは誰しもが抱く思い。現実に取り組む人が増えているようだ▼実際に北九州市が行っている自分史文学賞の応募も増加の傾向。「人生はひとつの長編小説です」をキャッチコピーに始まって15年目だが、増えている姿は送られてきた昨年の報告書からもうかがえる。前の年より83点多い443点(うち北海道から11点)の応募があったというのだから▼人にはそれぞれの人生がある。「自分史」がその記録だとすると、それは自己満足でしかない、と言う人もいるが、だから何だというのだろう。売って収入でも得ようとするなら話は別だが、「自分史」にその視点はない。意義はあくまで書き残すことである▼ちなみに昨年の大賞に輝いたのは71歳の男性の作品。家計を助けるため中学を退学して職についた後の人生を描いた、いわば生活記録だったが、審査委員の三浦朱門氏は講評でこう書いている。「ありふれた生活を淡々と、気張らずに、またありのままに書いたのが立派だった」▼そうなのだ、何も構えることはない。うまく書けない、表現できない、と気に病む必要もない。「自分史」には書き方のスタイルもなければ、何時までという時間の制約もなく、製本するか否かも自由。その一方、書き終わった後には確実に達成感を味わえる。もちろん気が向けば文学賞に応募するもいい。(H)


6月19日(土)

●おいしそうにハンバークを食べるお父さん、笑顔で愛車を洗っているお父さん、日曜大工で汗を流しているお父さん、頭髪が立っているお父さん…本紙が募集した「お父さんの似顔絵」。展示会で子どもたちが表情豊かに描いた作品を見てきた▼秦の始皇帝時代の父親像は「真人(しんじん)」といわれ、水に入っても濡れず、火に入っても焼けず、雲気をしのぎ、天地とともに長久である人をさした。近年は加山雄三さん、長島茂雄さんらが理想の父親像の常連になっており、たくましさ、華やかさの中に優しさが加わった▼子どもには、汗を流して働いている姿が一番よく映るようだ。古代エジプト人はピラミッド造成で労働したあと、食卓を囲んで子どもたちと接触した。また、ハンムラビ法典によると「楽しいこと、それは夕食時にビールを飲むこと。嫌なこと、それは戦いに行くこと」とあり、「父の日」は2000年前から▼「父親を尊敬し、称え祝う日」だ。スーパーのチラシにネクタイ、靴などのプレゼントが躍っている。今年は、お父さんそっくりのフィギュア(人形)が登場した。正面と横の顔写真をもとに粘土でつくるもの。そっくりさんを贈られる心境は複雑だろうが、けっこう人気がある▼『父の日に「就職ガイド」送られて』(サラリーマン川柳)。リストラなどで「生活が苦しい」お父さんが急増。しかし、同級生殺害事件の被害者の父親が「背中がかゆくなると、怜美はハイハイと言って来てくれた」と言うように、そばに元気な子どもがいることが最大の贈り物。20日は「父の日」。(M)


6月18日(金)

●「話を聞いてほしい」。そんな思いを持つ子どもたちがかけて寄こし、受けた電話は3日間で213件。全国一斉に行われた5月の“子どもの日チャイルドライン”に初めて加わった函館の結果だが、悩める子ども社会の一端をうかがうことが出来る▼家族のこと、学校のこと、自分のことなどで悩みを抱えても、話せる相手がいない。今の時代、そんな子どもが少なくないと言われる。チャイルドラインはこうした時代背景があって生まれた、子どものためのホットライン。18年前にイギリスで始まり、わが国では6年前から▼函館での取り組みについては本欄でも2度ほど触れてきたが、関係者の努力によって“子どもの日…”に参加するまでに。受けた213件を年齢別にみると、明らかな中では小学生が75件、中学生が31件など▼その話の内容もさることながら、ここで認識しなければならないのは、聞いてほしくて電話をかけ、受けてもらった子どもが、函館だけでも、このわずかな期間だけでも、200人以上もいた事実。ちなみに全国では話を聞いた数だけで1万6670件という▼この数は「子どもたちが日常的に話を聞いてもらいたがっている」ことの証し。道内では7月に予定の札幌に続いて、函館も年内の常設化を目指している。地域として今後どう後押ししていくか。「『ほんとうに楽しかったんです!』女の子が何回も私に言った」。スタッフの一人が報告書に残したこの一文が、それを問いかけている。(A)


6月17日(木)

●「誰もがストレスを持ち、誰しもうつ病になる可能性がある、それが現代」。そうかもしれない。実際、今を称して“一億総ストレス社会”と言う人がいるぐらいだから。それだけストレスを抱える人が多いという比ゆだろうが、大人ばかりか子どもまでも▼ストレスとは、精神的な負担によってもたらされる心身のひずみ。人間にはそれぞれ自分のリズムがあり、満足できる状況下では安定しているが、そうでない環境に置かれると…。そこに生まれるのがストレスであり、さらに高じると体や心が変調をきたしてくる▼現代は競争社会であり、勝ち負けや速度が優先される。サラリーマン社会はもとより、子どもや主婦を取り巻く社会も然り。負けてはならない、急げ急げと忙しい。常に尻をたたかれている感じ。実際に自分のペースを守り続けることが困難になってきている▼その一方で、“個の時代”という言葉に象徴されるが、人間関係は希薄に。一人で考え、一人で悩む、さらには気分が落ち込み、気持ちの張りも乏しくなって…。厚生労働省の2002年調査によると、うつ病を中心にした気分障害の患者数は約71万人で、3年前の1・6倍という▼この現実が言わんとしているのは、誰しもがそうなる可能性を秘めているということ。うつ病はいわば典型的な現代病であり、社会が対処を問われている病。遅ればせながらというか、ようやく専門に研究する学会(日本うつ病学会)が誕生するが、改めて今が難しい病を抱えた時代であることを考えさせられる。(N)


6月16日(水)

●木々の葉は緑を増し、鳥の鳴き声が耳に。虫も少なく、函館山は今、最高の季節。1週ごとに変化する、そう言って過言でないほど違った姿を見せている。その移ろいに触れたくて…。散策に訪れた人はそれぞれのペースで心地いい汗を流している▼函館山は観光面から考えられがち。確かに現実論として観光に果たしている役割は大きいが、それ故か意外と無関心な人が多く、散策を楽しむとなると極く一部の人たち。だが、数ある都市の中で、これほど身近で、これほど自然が多様な山は、そうあるものでない▼旧登山道をはじめ幾つか散策路が整備され、いずれも1時間程度で頂上域にたどりつける。無理のない距離で、こう配も手ごろだから、草花などを楽しみ、植生の変化を感じ取りながら登ることが出来る。小学校低学年の児童の体力でもけっして難しい山ではない▼しかもあちこちに要塞跡があるなど、歴史的価値も持っている。「ふるさと教材ここにあり」の感を抱くが、遠足などに利用されたのは過去の話。鳥や木、花に触れ、地域の歴史、函館の地学的成り立ちなども学べ、さらにゴミの持ち帰りなどの公徳心を教えることも▼別の言葉を使うと「生きた教材ここにあり」である。せめて小学校の何年生かになると、各校、各クラス交替で出かけるようにすることを考えるべき。登山口までの足も、市教委が学校からのバスを用意すれば済むこと。日程は調整すればいい。函館山には検討するだけの価値があると思うが、いかがだろうか。現状はあまりにもったいない。(H)


6月15日(火)

●「大切なお花たち みんな元気に大きく それなのに なめくじ 音もなく近づいて すぐに食べてしまう…」。今、園児や児童の間で、2つの歌が人気という。「なめくじ 逃げ〜、逃げ〜」と「ととべんきのうた」だ。いずれも会社のCMソング▼淡褐色で3条の帯を持つ草食性のナメクジは、這った跡に粘液の筋をつけ、気持ち悪い。ユーモラスな振り付けつきの歌は、ナメクジやカタツムリの忌避剤を製造している会社が作った。CDチャートの上位、幼稚園のお遊戯曲にも使われ、職場でもプチブームとか▼もう1つは「でっかいうんち ちっちゃなうんち おしりをふいたそのかみも なが〜せ ながせ」。陶器メーカーが20年ほど前に作った歌で、幼稚園や学校の野外教室などで歌われてきたが、母親からの希望も多く、ついにCDに。それも盆踊り、カラオケなど5つのバージョンで▼メーカーのアンケートによると、「学校でうんちをしたくない」小学生が約4割を数え、「絶対にしない」は12%。理由は「恥ずかしいから」「扉のあるトイレに入ると、からかわれるから」など。このため、最近は男子の小便器をなくして個室にした学校もあるという▼6月の水無月は「水が無い」のではなく、逆で「水が要求される月」の意味だ。栄養をもらわなければ農作物は育たないように、「イヤ〜な環境」では子供たちの心は育たない。歌でも歌って、自然にトイレにいけたら健康的にもよい。「なめくじ、逃げ〜」「うんち なが〜せ」。何とも楽しい栄養ではないか。(M)


6月13日(日)

●「年金」はまさに満身創痍。関連法案が成立したばかりというのに。それも仕方ない。肝心なことは先送りし、とりあえずの辻褄合わせをしただけ。まあ何もしなかったよりはまし、という程度なのだから。本質論議はむしろこれから、というのもそれ故▼問題は幾つもあるが、まず手を打つべきは保険料の運用管理。“ざる管理”と揶ゆされて当然なほどの呆れる現実が露呈されている。このままでは今、直面している未納の解消も進まない。もう一つは少子化政策などと連動させた信頼に足る将来展望を示すことである▼年金は受給者を支払者が支える構図であり、人口構造抜きに考えられない。なのに、早くもその根幹をなす出生率で読みの甘さを露呈した。法案の検討はそんな昔でなかったはずだが、いきなり改正案の前提が揺らいだ感は否めない▼説得力を損なっては、信頼は得られない。当面の課題として提起されている未納問題は、その端的な表れだが、鍵を握るのは支払える環境づくり。年金に対する意識は別にして、保険料を支払うには、働いて、収入がなければならない。生活の見通しが前提となる▼未納率は全体で37・2%と言われる。だが、若年層では24歳未満で52・6%、25―29歳で50・6%。ところが、25歳未満は失業率が高く、定職率が低い。この現状が改善されない限り、いくら呼び掛けたところで答えは明らか。雇用政策は安心して子どもを育てられる政策と同じぐらい「年金」に大きな意味を持っている。(N)


6月12日(土)

●「摩周丸をもっと身近な存在にすべき」。保存活用懇談会(二本柳慶一会長)がまとめた提言は、突き詰めれば、こういった趣旨に理解できる。「単なる歴史を伝える展示物から、利活用を促す方向に」という言葉に置き換えると、さらに分かりいい▼世紀の大事業と言われたトンネルの開通によって、青函連絡船が80年の歴史を閉じたのは1988(昭和63)年。“歴史の伝道師”として選ばれたのが摩周丸で、函館港に展示されて15年を経たが、運営維持に悩みを抱え、昨年、市が買い取って再出発したところ▼だが、現状のままでいいか、となると…。実際に訪れてみると、広いスペースが遊んでいる。甲板に上がると、海を渡る空気もすがすがしく、景観も素晴らしい。しばし、のんびりしたいと思っても、そんな場所もなく、展示物を見たらどうぞお帰りくださいか、と映る▼法の壁が立ちはだかり、難しい問題が多々。確かにそれもあろうが、一歩踏み出さないことには何も始まらない。今や規制緩和の時代、あれもこれも無理と考えるべきでない。懇談会も同じ思いなのだろう、提言は宿泊研修の場などとしても考えようと踏み込んでいる▼「規模はともかく“イカ博物館”を設けてはどうか」。以前にそんな声を聞いたことがあるが、いずれにしても今のままではもったいない。懇談会の提言が今後どう生かされるか注目されるが、今後も「展示物」とする考え方をとっていくか否か、答えはそこから出てくるような気がする。(N)


6月11日(金)

●離農者が増え、就農者が増えない。何とかしなければ、このままでは…。北海道農業が数十年来、抱え続けている課題だが、行政サイドの対策は決め手に欠け、事態は深刻さを増すばかり。渡島管内の新規就農者も毎年、数えるほどしかいない▼食糧基地を自認する北海道。国策に乗って経営の大型化が進められた一方、鍵を握る人の問題は今日まで解決策を見いだせないできた。逆に専業農家数は減少を続け、全道で1985(昭和60)年に4万7500戸あったのが、2000(平成12)年段階で3万戸を割っている▼その最大の要因として挙げられるのが、後継者の問題。農家の子弟で学卒やUターンなどで就農した人をみても、全道で昨年は前の年より26人下回って671人。渡島では4人減の15人でしかなかった。こうした現実に危機感を募らせ、行動を起こした大学教授がいる▼拓殖大学北海道短大教授の相馬暁さん。農試勤務が長く、道内農業界ではよく知られる人だが、その相馬さんが提唱したのが仮称・新規就農トラスト。賛同する人からの寄付を元に「一から農業を始めようと意欲を持つ人(新規参入希望者)に奨学金を」という構想である▼新たに農業を始めるのは、容易なことでない。知識や技術の習得ばかりか、農地や機械の確保に要する膨大な投資…。地域として何か支える知恵はないものか、という思いの中から生まれたのが、35人が呼びかけ人に名を連ねたこの支援策という。担い手対策の新たなファクターとして理解の広がりが望まれる。(A)


6月10日(木)

●「時は金なり」という諺があるが、時は意識するしないにかかわらず、正確に刻まれ、過ぎ去っていく。今、この瞬間も。長い人生だから時間を気にせずに、と言われる一方で、限りある人生だから時間を大切にしなければ、という言い方も…▼どちらも間違ってはいないのだろうが、今の世は紛れもなく急ぎ足。それは時計メーカーのセイコーが数年前に行った、今の時代を乗り物から選んでもらった調査からもうかがえる。賛同する率が高かったのは、鈍行列車、自転車、船など速度の遅い乗り物ばかりだった▼「人生はトコトコ鈍行で各駅停車がいい」のに、現実はそれを許さず「無理やり新幹線に乗せられて途中で降りたくても降ろしてもらえない」と。確かにかつて言われた十年一昔は、今や三年一昔かもしれない。それほどまでに世の中の流れが速い、付いていくのがやっと…▼その一方で、日常的な時間の感覚に目を向けると、まさに人それぞれ。冠に都市名をつけた「○○時間」は定刻を守られないことの揶揄だが、待つにも限度がある。同じセイコーの調査によると、相手にもよるが、平均して待つ限度は25分、待たせる限度は17分という▼きょう10日は「時の記念日」。1920(大正9)年というから、84年前に生活改善同盟会によって制定されたが、「時間をきちんと守り…」は今に通じる趣旨。過ぎ去った時間、日々は、どうもがいても取り戻すことは出来ない。“時の価値”は何よりも大。きょうはその認識を新たにする日としたい。(H)


6月9日(水)

●4月だったから記憶が薄らいだかもしれないが、本紙の社会面に道南の自殺者統計の記事が載っていた。全国的な例に漏れず道南でも増えているという記事だったが、道警函館方面本部のまとめによると、昨年1年間に自ら命を絶った人は195人▼同本部管内では2001年までは、せいぜい150人前後。それが2002年に184人を数え、昨年はさらに11人多く…。原因もかつては病苦が多かったが、ここ数年の背景は経済情勢。昨年の場合も経済・生活苦が病苦を上回って40%の78人▼さらに辛い思いを抱かせるのが年齢。50歳代が53人(27%)、40歳代が43人(22%)など、働き盛りの中高年が約半数というのだから。昨年の全国実態はまだ発表されていないが、同本部管内の実態は全国的な流れそのもの。ちなみに過去の全国統計をひも解くと…▼10年余り前の1993年に2万1000人だったのが、1998年以降は連続して3万人台となり、一昨年は3万2143人。そのうち経済・生活苦が動機と思われるケースが25%を占め、中でも負債の重圧、事業の不振、失業が前の年より大幅に増えていた▼実際に冷え込んだ経済情勢によって、中小零細企業は資金繰りに苦しみ、労働者には失業や減収の波が。頑張ったものの、気持ちを保ち切れなくなって…。この自殺統計から「国の政治、経済が庶民の生活安定を担う原点」であることを教えられるが、同時に景気の回復こそ“特効薬”とも教えている。


6月8日(火)

●「すごいことを成し遂げましたね」。心底からそう思う。幅広い見識に加えて衰えぬ熱意と努力。ただただ脱帽するばかりだが、その人は函館市船見町の称名寺住職、須藤隆仙さん。わが国の後世に残る貴重な学術事典を上梓した。「世界宗教用語大事典」▼仏教をはじめキリスト教、ユダヤ教、イスラム教など、宗教ごとにまとめられた事典は珍しくもない。ただ、あらゆる宗教に関する言葉や解説が網羅された一冊となると無きに等しい。それだけ編纂が難しいという証しだが、薦められたとはいえ、須藤さんは挑んだ▼網羅する言葉などの選択から手がけて執筆へ。長年かけて集めていた資料があったとはいえ、助手もいない中で並大抵の苦労でない。最終的に収録した用語だけでも約1万5000語を数えるのだから。1日10語を書いたとして要する時間は1500日▼毎朝午前3時から机に向かう日々。体を壊したことがあったとも言うが、書き上げて終わりでない。気が遠くなるような校閲作業が待っていた。須藤さんは懐かしそうに振り返るが、大変さは容易に想像がつく。1135ページの大作を執筆4年、校閲1年半で、とは…▼「高校生以上の人が無理なく理解できる内容にしたつもりです。今、心の時代と言われる中で、この事典が宗教を学ぶ一助になれば、うれしいですね」。須藤さんはこう語っているが、その気持ちのすべてがずしりと重いこの一冊に凝縮されている。素晴らしい社会貢献。心から拍手を送りたい。お疲れさまでした、という言葉とともに。(A)


6月7日(月)

●北海道教育大学函館校が創立90周年を迎えた。いわゆる拓殖教育を基礎に、近年は教員養成大学として果たしてきた役割は誰もが認めるところ。しかし、少子化など取り巻く環境の変化は大学にも変革を迫り、今まさに将来像を問いかけられている▼同校が函館師範学校として誕生したのは1914(大正3)年。「第一回入学式(入学生八〇人)が挙行され、四月一〇日授業が開始されている」。函館市史はこう記しているが、国立大学法人に移行した今年度からは「教養系キャンパス」として位置づけられることに▼式典、祝賀会に、劇作家・平田オリザ氏を迎えての記念講演…。創立90周年の記念事業はこの12日に行われるが、それとは別に特記されるのが記念企画と銘打った提言募集。というのも、募集テーマが意外だから。学問的なものと思いきや、何と「函館校に望むこと」である▼地域はどんな大学であってほしいと願っているか。同校に限らず、これまでそんな問いかけなどあったろうか。今の時代を感じさせるが、まずは大学側が踏み込んだ。「多くの人の意見をうかがいたい」と。それを受けて地域が応じる番である。ちなみに募集は6月30日までで、400字から800字以内…▼生かされる提言があるかないか、すべては未知数だが、意義は取り組み自体に。地域との距離を縮めたいとする思いが伝わってくるからで、募集に踏み切った段階で目的の半分は達した、とも言える。同校がどんな将来像を描くか、大学にとっても、地域にとっても提言募集が実り多い結果をもたらすことを期待したい。


6月6日(日)

●醜い“国会劇”の中で年金改革関連法案が参院で可決され、成立した。何としても成立させたい与党、成立阻止を掲げる野党…。一時は3党合意によって、話し合い路線が浮上したが、結果的に民主の党内事情が影を落とした印象は免れない▼年金問題は国民の最大の関心事。保険料、受給年齢や受給額、すべてが将来の自分に跳ね返ってくることであり、久々に国会に目が向けられた。だが、映ってきたのは、何とも情けない姿ばかり。未加入、未納議員が芋づる式に出てくるに及んで、もはや迷走状態に▼国会というところは本当に不可思議な世界。民主はもっと攻め切れるはずだったが、ペースを握れなかった。攻守逆転、それは菅前代表の辞任が、福田前官房長官にタッチの差で先を越されたことと無関係でない。しかも後任代表の選出でつまずき、態勢の立て直しに追われては…▼年金財政をここまで放置した責任はともかく、今、問われているのは将来的に揺るぎない制度にすること。じゃ、与党案がそれに値するかとなると、実際に問題点が多々指摘されている。だから廃案にして一から議論をし直そう、という主張は理解するに難しくない▼国民が願っているのは、信頼出来る制度であってほしいということ。法案は成立したが、年金議論はこれで終わったわけではない。与野党を問わず、各政党には新たな議論を提起する姿勢が求められている。今後どう主張し、国民がどう反応するか、参院選はその格好の舞台にほかならない。(N)


6月5日(土)

●北海道観光には様々な甘言、苦言が交錯する。印象、思いなど、そこを左右するのは個人の感性とはいえ、受ける側として大事なことは苦言に耳を傾ける姿勢。苦言は“相手”を思う気持ちの表れであり、改善すべきヒントにほかならない▼切れ味が良すぎて物議を醸し出したが、評価されていい苦言があった。新聞などでも報じられたが、今年の1月のことで、語ったのは先月退任した前北海道財務局長。北海道経済を掌握する財務省の出先機関のトップという立場の人ということもあって、反響を呼んだ▼共感する声があった中で、残念だったのは北海道観光協会が冷静さを欠いたことだが、それは北海道観光を評したこの発言だった。「自然は一流、施設は二流、料理は三流、サービスは四流、関係者の意識は五流」。確かに手厳しい。だからと言って外れてもいない▼特に四流、五流とされたサービス、意識は、北海道観光の課題として挙げられて久しい。先日、今後10年を見越した観光基本計画の素案をまとめた函館市も然り。素案では年間650万人の入り込みを掲げ、幾つか対応策を打ち出している中にも、この認識がのぞく▼「観光都市としての雰囲気の醸成」という表現で。今でも努力している、確かにその姿もある。だが、観光は「これで最高」はないと言われる産業。将来を考え、さらに入り込みを増やそうとするなら、努力も上積みしなければ…。苦言はそのためのアドバイス、改めてこの「…流」発言を正面から受け止めたい。(A)


6月4日(金)

●毎日、郵送で届く地域紙に目を通していると、これは函館・道南にも参考になるのではないか、といった記事に出会う。先日もあった、考えてみる価値十分、と思った記事が。それは「不用植物のあっせん好評」という見出しのグリーンバンクに関する記事だった▼グリーンバンクとは、直訳すると緑の銀行となるが、市民から提供された不用樹木の交換制度。花や木は好きだが、転居先には育てる場所がない、歳をとって管理に手が回らなくなった、誰か引き取ってくれる人がいたら…。その一方で譲り受けたいという人もいる▼じゃ、あっせん役を務めましょう、というのがグリーンバンク。もちろん無料で。全国的に取り組みが広がっており、インターネットで調べると、あるわあるわ…。近くでは苫小牧市にも。これは、と思った記事が苫小牧だった。「苫小牧民報」の報道によると、評判は上々と▼5年ほど前に誕生した苫小牧サンガーデン。その事務室横に提供情報を掲示する方法をとっているそうだが、橋渡しの成立は鉢物を中心に年間1000件以上にも。ちなみに2002年度には提供のあった1125件の96%の1079件が引き取られた▼さらに2003年度は、提供された1182件すべてが新しい育て主の手に渡ったという。少なくとも1000ほどの植物が、枯らされる運命を免れたということである。緑を大切にする、その精神を担うグリーンバンク制度は、環境への意識が問われる今の時代に必要な取り組み。さらに広がっていい。函館・道南でも…。


6月3日(木)

●「たいへん、悪いことをした。ごめんね、ごめんね」。補導された小6女児が泣きじゃくった。佐世保市の小学校で、同級生の女児の首をカッターナイフで切り、死亡させるという悲惨な事件が発生した。成績もよかったのに、なぜ…▼2人を含む児童3人はパソコンのチャット仲間。インターネットの書き込みを巡ってトラブルもあったとも言われる。学校の中でも相手に怒りを覚えることは多々ある。その怒りを抑えるコントロールがキレたのか。理非の判断が十分あったとは思えない▼児童の殺人で思い出すのは、10歳の2人が4歳児を殺害した英国の「バルジャー」事件。11年前、幼児にレンガや石を投げて殺したうえ、線路上に死体を置いてひかせた。動機については法廷でも説明できなかった。今は2人は別の名前と身分証明書をもらい、仮釈放されている▼この裁判を傍聴し「少年たちの迷宮」にまとめたジャーナリストは「コンピューターとビデオに囲まれて育った少年たちは10歳で既に大人だ。問題行動に気づいたら原因を調べ、排除しなければ。親も学校も地域も、少年を取り巻く人々が一致して見守る必要がある」と訴えている▼昨夏、長崎で起きた幼児誘拐殺人でも12歳のシグナルを把握できなかった。女児も多情多感な年ごろ。コントロールを失ったカッターナイフが「心のノート」まで引き裂いてしまった。何故? その答えをどう出すか、社会は厳しく、辛い問題を提起されている。(M)


6月2日(水)

●参院選は公示まで3週間ほどに迫っているが、選挙の雰囲気が少しも漂ってこない。参院選は低調と言われ続け、その姿は投票率からもうかがえるが、今回はさらに深刻、という見方が一般的。答えは明確で、政治が信頼を得ていないから▼国民の政治意識の表れ方は正直だ。各政党の政策が伝わってきた時、野党の主張に訴えるものがある時には高まり、逆の時には鈍る。今まさに行財政改革をはじめ年金問題、イラク問題、拉致問題など政治課題が山積している時だが、国民にとっての状況は残念ながら後者▼与党も与党なら、野党も野党であり、その分かりやすい事例が年金問題。大変な実態になって、今、国民の関心事は年金が将来どうなるのかということ。与党案は財政の辻褄合わせと言われるが、国会の議論は国会議員の未加入・未納問題ばかり。各党の対案が少しも見えてこない▼極端な言い方かもしれないが、完全な永田町論理の世界に。今後、どうしてくれるのだろうか、という国民の思いから離れてしまった。野党第一党の民主にしても、与党案を廃案に追い込もうとするのはいい、だが、その後どうするのか、最も訴えるべきはそこなのに…▼支持低迷の全国紙世論調査の結果はその表れ。反応させていない。投票率は「政治への期待の表れ」と評する向きもあるが、その前提となるのが「政治に対する信頼」。国民が送っているメッセージに対する答えが返ってきたら投票率は上がるのに、現実は…。悲しいかな、永田町は分かろうともしていない。


6月1日(火)

●公的なもの、業界的なものを含め、ほぼ毎日が「何の日」かになっている。いわば記念日だが、その数、年間にしたら数百といったレベル。当然ながら幾つか重なり合っている日も少なくない。その多い方にランクされる日の一つが6月1日▼雑学研究会の「今日は何の日」(PHP研究所刊)によると、あるわあるわ。比較的浸透しているのは気象記念日(気象庁)、電波の日(旧郵政省)と人権擁護委員の日(法務省ほか)か。いずれも公的な意味合いが強く、記念の事業などが行われているから当然と言えば当然▼これら公的外では函館も縁の深い写真の日(日本写真協会)が際立つ存在。わが国で初めて写真撮影が行われたと伝えられる日が6月1日で、それは今から160年あまり前の1841(天保12)年のこと。函館の写真の始まりはその10年ほど後で、ペリー来航の時代…▼佐藤清一氏が著作した「箱館写真のはじまり」(五稜郭タワー株式会社刊)には、こんな記述がある。「六月一日は、日本の『写真の日』にあたるが、この日はペリーから松前藩主三人へ、それぞれ写真が贈られた日である」。函館は道内最古の湿板写真が残っている地でもある▼このほか真珠の日(日本真珠振興会)、ねじの日(日本ねじ工業協会)、バッジの日(徽章工学協会)、ガムの日(日本チューインガム協会)、麦茶の日(全国麦茶工業協同組合)、梅の日(梅研究会)、氷の日(日本冷凍事業協会)…。それぞれ理由づけがあるというのだから、6月1日は特別な日とも思えてくる。(H)


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