平成17年1月


1月31日(月)

●毎年2月1日から7日までは生活習慣病予防週間…。こう言われると、そういう週間があったな、と思い出すが、残念ながら国民の意識はいま一つ。とは言いながらも、生活習慣病が大きな問題となっている現実を考えると、忘れてならぬ重要な週間▼生活習慣病について改めて説明するまでもなかろうが、確認のため記すと…。がんや脳卒中、心臓病など中高年に発症しやすい病気の総称。糖尿病、高血圧症、肺気腫、肝硬変、脂肪肝、老人性難聴、慢性気管支炎、白内障なども範ちゅうとされる▼分かりやすく表現すると、長年の生活習慣が積もり積もって発症する病気となろうか。1996(平成8)年に、かつての成人病から生活習慣病に名が変わったのもそれ故だが、バランスのとれた食事、適度な運動、十分な休養など、日常生活での注意が鍵を握るとされる▼だが、この注意が出来そうでなかなか。頭では理解していても、具体的な行動となると…。そんな悩みの声が多いのは、それだけ息の長い啓蒙が大事ということ。その一つのきっかけづくりが予防週間であり、1958(昭和33)年に設けられてから46年になる▼2月が週間に選ばれた裏にはそれなりの理由がある。寒冷期で、特に脳卒中が多発する時期だからだが、その時期は間もなく…。応募作品の中から厚生労働省が選んだ今年度の週間標語は「めざそう健康長寿、見直そう生活習慣」。このストレートな言葉の中に、すべてのメッセージが凝縮されている。(A)


1月30日(日)

●3月に新たな航空会社2社が函館に参入する。一社は“道民の翼”と呼ばれてきたエア・ドゥ(北海道国際航空)で、3月18日から東京線に1日2往復就航する。もう一社は帯広線で航空業界に進出するエアトランセで、同時期の就航を目指している▼函館―東京線は現在、日本航空と全日空合わせて一日7往復。さらなる増便とともに、出発と到着時間に幅を生み出せる夜間駐機の実現など、まだまだ課題はあるが、エア・ドゥの参入もその一つだった。旭川に先を越されはしたが、ついにその日がやってくる▼確かに地域が期待したのは、現行プラスエア・ドゥの実質的な増便。全日空がその分、減便する方針ということで、それが当初からかなわないのは残念だが、大事に考えたいのは就航する航空会社の数。将来的に競争原理が働く可能性があるからで、函館がこの就航を歓迎すべき理由もそこにある▼エア・ドゥが新千歳―東京に就航した時、1998(平成10)年12月の本欄は、こう問いかけている。「エア・ドゥが競争に勝ち抜いていけば次の路線計画へとつながり、函館―東京も見えてくる。そのためにも函館・道南からも、せめて心情的にエア・ドゥを応援したいと思う」▼「函館の観光需要の掘り起こしに貢献したい」。路線開設に当たって同社はこう述べ、今月は東京で大々的な就航記念イベントを開催。2月にも私鉄車両を使ったキャンペーンを打ち出している。エア・ドゥとエアトランセ…。新たな航空会社の参入が函館空港の新装に華を添えようとしている。(N)


1月29日(土)

●本や人の話で生き返ることを聞いたから、テレビや映画などで生き返るところを見たから、よいことをしたら生き返ると思うから、医学が発展すれば生き返ることができると思うから、血液や細胞からクローンができると思うから…。生き返る、そう思っている児童、生徒が10%以上もいた▼これは佐世保市の小6同級生殺人事件を受けて長崎県教委が行った「生と死」の意識調査の結果。今の子どもが持つ「死に対する認識」のほか、身近な人の誕生や死に喜びや悲しみを感じたことがあるかなどについても質問している▼その答えの中で、「死んだ人が生き返るか」の問いに15・4%が「生き返る」と。4年生で14・7%、6年生で13・1%、中学2年生は何と18・5%で、小学生より高い。大半は自分の経験によるものではなく、情報の影響のよう。冒頭は「生き返る」と答えた主な理由である▼「ゲームでリセットできる」と、仮想と現実の区別がつかないような答えを出した児童も。半数は動物の誕生を見た経験があり、8割が身近な人の死に悲しみを感じている。一方、人を傷つけたり、殺したりした時の法律や制裁については半数近くが知らないという▼相手やその家族に大きな悲しみを与えるな、親にも迷惑や心配をかけるな、と教えるしかないのか。学校や地域にビオトープ(動植物の生息空間)を造って、子どもたちに小魚や草花の「生きる力」に感動する舞台、機会を。飼育や栽培などの体験活動が一層必要かもしれない。(M)


1月28日(金)

●火山活動の程度を6段階で示す取り組みが進んでいる。身近の火山が今、どういう状況にあるのか、専門的な表現で説明されても理解しにくいが、その点、段階表記なら。安心していられるのか、注意が必要なのか、素人でもおおよその見当がつく▼それは気象庁が呼んでいる「火山活動度レベル」。一昨年、浅間山(群馬・長野)や雲仙岳(長崎)など5つの山に導入したのが始まり。活動の兆候がない(0)から、やや活発な活動に入っている(2)などがあって、大きな噴火活動で広域の警戒が必要(5)まで▼同じ地下型である地震は、発生のたびに震度表記される。確かに地震は結果であり、火山活動度は現実判断が加わるためレベルというか、ランクでの表記は難しいという見解もうなずけるが、情報を受け取る側からすると、注意させるのも簡単だし、状況認識もしやすい▼わが国は火山の多い国であり、近年も犠牲者を出した雲仙岳に始まり、全島避難を強いられた三宅島、一時避難を余儀なくされた道内の有珠山の噴火が記憶に新しい。大事なのは日ごろの注意で、「火山活動度レベル」にはその喚起役としての意義があり、さらに広がりを▼そうした声に応え、気象庁は2月1日から新たに7火山を加える。九重山(大分)、我妻山(福島・山形)など九州、関東、東北の火山で、道南にとって気がかりな北海道駒ケ岳を含め道内は見送られている。観測態勢の問題とも絡むが、指定がその充実をも意味するとしたら、求める運動が必要かもしれない。(A)


1月27日(木)

●デジタル画像化された函館の絵葉書が、28日まで市役所1階で展示されている。明治、大正、昭和それぞれの時代に作られ、販売された絵葉書で、いわば歴史の“証言者”とも言えるもの。函館の街の移り変わりの一端を垣間見ることができる▼絵葉書も大量な数になると、貴重な資料であり、立派な都市財産。とりわけ函館は歴史が古く、観光地としても脚光を浴びてきたことから作られた絵葉書は多い。変色や劣化などをさせてはせっかくの価値を失わせる。その対策としてデジタル保存されることに▼まさしく今の時代の保存方法だが、図書館が公立はこだて未来大学と共同で、その作業に手をつけたのは2003年度。所蔵資料をデジタル化して蓄積する事業の一環で、今回展示されたのは約1500枚。100センチ×70センチほどのパネル1枚に70枚ほど張られている▼プリントされたその1枚1枚は絵葉書サイズより小さめ。見づらいのが残念だが、手軽に函館の変遷を知ることができる、という点では十分過ぎるほど意味ある展示。その時々の函館山や十字街辺りの街並みなど、特に中高年齢者には何とも懐かしい光景が多々…▼絵葉書は大衆的なものであり、保存しておくだけではもったいない。この際、どうだろうか、何カ所かに常設展示することを考えては。例えばJR函館駅や函館空港、フェリーターミナル、さらには五稜郭タワーや芸術ホールなど。新しくオープンする中央図書館は改めて挙げるまでもない。(H)


1月26日(水)

●字があべこべになっているの。わたしが鏡に向かって一冊の本をかざすと、向こうのお部屋でも一冊かざすからなの。キティ、鏡のおうちはどう、お前にミルクをくれるかしら。多分、鏡の国のミルクは飲めないわね…(岡田忠軒訳「鏡の国のアリス」)▼小泉首相の答弁ぶりを国会中継でじっくり聴いた。少なくとも24日は鏡の中に入った答弁とは思われない。「誠意を持ってきちんと答弁するよう」。議長から異例の戒めを受けた。自身が映る鏡に向かって、言いたいことだけ言って、都合の悪いことは答えないのでは当然…▼イラク戦争にしても、大量破壊兵器が存続するという大義で始まった。ブーツ・オン・ザ・グラウンドで行っている構図の自衛隊派遣。サマワ住民のアンケートによると、86%が「自衛隊の活動に満足していない」、90%が「具体的な成果は感じられない」と答えている▼米国の調査機関も先ほど「大量破壊兵器はない」と調査を打ち切った。ブッシュ大統領は就任演説で「世界の圧政に終止符」と「自由」を強調しただけで、イラクの「大義」には触れなかったが、小泉首相も「国連の決議を支持した」と言うばかり▼12日には信管付きロケット弾が初めて撃ち込まれた。アリスは鏡がやわらかいガーゼみたいになった時、鏡を通り抜け、自分を見つめ直した。イラク、郵政民営化、政治とカネなど、問題山積の今国会。与野党とも納得する論戦を繰り広げてほしい、国民はそう願っているのだが。(M)


1月25日(火)

●「スローフード」。最近、よく耳にする言葉だが、実際になじむようになったのは最近のこと。食を見直そう、食を大事に考えよう、根底にはそんな思いがあり、その対極に位置する言葉がファストフードと言えば、意味が分かりやすい▼大量生産・大量消費、世界的に近年、食はその流れを強めてきた。だが、それでいいのか、という議論があるのも確かで、その動きを象徴するのが「スローフード」。地域の環境や文化に即した食を守り、発展させることが、居心地のいい世界を築くことにつながるのだ、と▼かみ砕いて言うなら、その精神は質の高い地域の小生産の食品を守る、質の高い産物を作る小生産者を守ることなどで、いわば地産地消に通じる運動。発祥はイタリアで、1986(昭和61)年に、ジャーナリストのカルロ・ペトリーニ氏という人が提唱して世界に…▼わが国に協会が発足したのは3年ほど前。道内では二つ組織(北海道スローフード協会、北海道スローフード・フレンズ)が活動中。普及の一環として道内の関係者が計画したのが、そのカルロ・ペトリーニ氏を招いたイベント。今月末、十勝の中札内村で開かれる▼昨年6月に始動したスローフード・ジャパン(国内32支部)のリーダー会議という位置づけだが、全国から100人以上が参加するという。さすが十勝、そんな思いもするが、意義は道内で開かれる点に。函館・道南からはちょっと離れているものの、道民がスローフード運動に接し、その精神を理解するまたとない機会となるから。(H)


1月24日(月)

●おかげさまで本紙は創刊して9年目の歴史を刻み始めた。何事もそうだが、振り返る時、月日の流れを早く感じるものだが、確かにあっという間の8年だった。「函館に、道南に地域紙を」。そんな声に後押しされて、準備段階から数えると10年になる▼創刊に当たっては通信社による記事配信の拒否、題字の問題をはじめ、予想だにしない経験もした。挙げればきりがないほどだが、ここまでするか、といった出来事も。その一部は明らかにされているが、その中で今日に至る力となったのは、厳しい叱責、批判も含めた地域の人たちの励まし▼それもこれもあって今がある、と認識している。創刊したのは1997(平成9)年1月1日。夕刊だった。朝刊に移行したのは、発行業務が軌道に乗ったと判断した2000(平成12)年のこと。紙齢は2800号台まで重ねてきて、今年の6月には3000号になる▼そして来年は節目の創刊10年の年を迎える。改めて「おかげさまで」という思いを肝に銘じるところだが、その一方で多くの人から創刊に伴う記録を活字として残すべき、というアドバイスをいただいている。新聞の創刊はまれで、逆に廃刊が目立つ時代。北海道でも北海タイムス、北見新聞などが姿を消した▼「それだけに…」ということだろうが、本紙に関しては違う意味合いも。創刊後、幾つか持ち込まれた出版の話は断ったが、10年は一つの区切り。創刊当時を語る資料はかなりの量になり、これまで表に出していない話も多い。アドバイスは「それらを基に何があったかを改めて明らかに」ということだろうが、それを拒む理由はどこにもない。(A)


1月23日(日)

●環境にやさしい乗り物として路面電車が見直されている。昭和の初期には全国の67都市で走っていたのが、車社会が台頭するや、それに押し切られるように昭和40年代になって姿を消し、現在は函館、札幌を含め18都市で運行されているだけ▼その函館も現在の路線は湯の川と谷地頭、どつくの2ルート。車両の老朽化や採算の課題を抱えながらも、市民や観光客の足としての役割を担っている。札幌も悩みは同じだが、経営の視点から市が問題を提起し、今まさに存続か廃止かをめぐる議論の真っ最中▼ちなみに札幌の路線は、南一条西四丁目からすすきのまでの8・5キロ。かつては北大前を通る路線など幾つかあったが、地下鉄にバトンタッチする形でこの1ルートだけが残って今日に。だが、利用者減と経費増で経営の悪化が予測される。で、どうするかと▼廃止という結論を出すのは簡単だが、存在が評価されている今の時代である。忘れてならないのは「一度レールを外すと元に戻せない」ということ。だから慎重に、と言われるが、知恵を絞ることで、民間移行ばかりでなく財政負担を軽減できる方途が見つけられるかも▼「路面電車を時代遅れの古い乗物とは見ずに、人と環境に優しい新しい都市内交通機関、更には街づくりの新しい手段として見直してはどうだろうか」。日本政策投資銀行中国支店の青木孝良氏が「日経研月報」(昨年9月号)への寄稿の中で行っている提言だが、この考え方こそ議論のベースにすべきではないか。他市のことで僭(せん)越ながら。(Y)


1月22日(土)

●「八戸工業大大学院のグループが『青函大橋』の実験模型を製作した」。先日の読売新聞青森版に、こんな記事が掲載されていた。実はこれ、本州と北海道をつなぐ夢の大橋の話。その記事は「将来の建設に向けた資料づくりを目指す」と結ばれていた▼北海道、青森県は数年前、津軽海峡軸構想の共同研究で合意している。「青函大橋」はその構想の中核とも言いえるプロジェクトだが、知事が代わってトーンダウン気味。ここ数年はとりわけ新幹線の着工議論が優先し、財政論議もあって架橋話は控えめに…▼「津軽海峡に橋を」とは、確かに壮大な構想。ただ考えてみると、青函トンネルにしても、室蘭の白鳥大橋にしても、夢が描かれたのは実現の50年ほども前。としたら「青函大橋」も端から論外と決めつけるのは早計。数十年が経って動き出さないとも限らない▼大事なのは科学的、技術的な研究を継続していくこと。その一翼を八戸工業大大学院のグループが担おうとしている。流れの速い海峡である、橋脚間をどの程度考え、どういった工法でどう橋脚を造るか、など難しいことばかり。この研究が注目される理由もそこにある▼実際の千分の一に当たる長さ12メートルの模型の製作を終了。今後、本格的に載荷実験などを通して歪みや強度、ケーブルの張りなどについての実験を進めていくという。夢を支え、それが現実になるのは、こうした地道な研究があればこそ。何年か後に明らかにされるであろう研究成果に夢と楽しみが広がる。(N)


1月21日(金)

●昔と今、子どもにとって親の存在は変わっているのだろうか、特に父親は…。かつての時代、子どもは「親の背中をみて育つ」と言われたが、親の権威が落ちてきたと言われる現実とも相まって、どうやら「そうでない」という見方が一般的▼今の中高年者が子どもの頃、先生や看護婦(師)など将来の職業に夢を抱きながらも、尊敬する人の代表は、と聞かれると、多くの子は「お父さん」と。それが歳を重ねるにつれ職業観も「父親の仕事を」と変わって、実際、親と同じ職業に就いた人が周りにも結構いる▼確かに今もいる。でも少なくなっている。ここではその是非を論じるつもりはないが、跡継ぎは別にして親が子どもに同じ職業を求めなくなっているのは事実。さらに雇用環境が許さなくなっているという背景もあるが、そこに見え隠れするのは、親は親、子は子という意識▼1年あまり前になるが、ある大学が行った調査結果が興味深い。中学3年生の約7割が父親と同じ仕事に就きたくない、と答えているのだ。母親の仕事についても約6割が否定的。気になるのはその理由だが「(何か)つまらなそう」「夜遅く帰ってくるから」などという▼切ない思いが込み上げてくるが、「(親が子に)いきいきとした姿を見せていないからではないか」という論評が聞かれるように、どうやら問題がありそうなのは親。将来、子どもがどんな職業に就こうが、親が問われているのは背中を見せているかどうかということ。我が身に置き換えて考えてみたい。(H)


1月20日(木)

●生老病死の世の中、宇宙旅行ができる時代まで長生きしたいが、いつ「病死の壁」にぶつかるか分からない。国内で鳥インフルエンザが騒がれてちょうど1年がたった今、感染性胃腸炎の集団感染が多発している。正体はノロウイルスという病原体▼この小型球形ウイルスは冬場に流行するのが特徴。感染者は全国で8000人以上、北海道が最も多く1600人を超え、ついに道南でも。八雲保健所管内の介護保健施設で27人(16日発表)、渡島管内の施設で70歳から90歳の30人が感染した(18日発表)▼大半は貝類の生食や保菌者が調理した食品を摂取するなどの経口感染。下痢や吐き気、発熱などが発症、2、3日で回復しているが、体力の弱い高齢者や幼児は肺炎などを起こして死に至ることもあり、広島県の養護老人施設では7人もの犠牲者が出た▼このウイルス、37年前に米国の小さなノーウオークという町の小学校で集団発生した急性胃腸炎の病原体をノーウオークウイルスと言ったことから、地名にちなんでノロウイルスと名付けられた、と聞く。厚生労働省は高齢者施設、医療機関、小学校、幼稚園などを対象に全国調査に乗り出している▼ある居酒屋では宴会料理を食べた43人が吐き気や腹痛を訴えた。ノロウイルス禍でびくびくしながら宴会なんて…。自衛策としては手洗い励行が第一。胃腸炎程度と軽く考えず、また施設の管理者は入所者の健康に細心の注意を払い、感染したら保健所へ。しばらくは注意が必要だ。(M)


1月19日(水)

●昨年末だった。「南茅部高校理科部が内閣総理大臣賞に」というニュースが飛び込んできたのは。それは日本学生科学賞(第48回)で、賞の名が物語るように研究部門で最高位の賞。全国数ある高校の中から選ばれたのだから賞賛して余りある▼日本学生科学賞は中学、高校の理科や科学の課題研究作品を対象にした国内最大規模のコンテスト。今回の研究部門への応募5000点という数からも、いかに偉大な賞か、を教えられるが、同校の研究テーマとは…。「偏光板とポリプロピレンによる着色現象に関する考察」▼何とも難しそうな研究であり、細かく説明されたところで理解に苦しむが、この研究には選ばれるに値する理由があったということ。ノーベル物理学賞受賞学者の学説の不備を実証したというのだから。紛れもなく部員が努力でつかんだ勲章にほかならない▼昨今、理科や科学関係の部活に生徒の反応が薄いといわれる。その中で同校理科部は指導者に恵まれたこともあって、以前から知られる存在。必ずしも部員が多いわけでなく、現在も野澤千春部長を含め5人だが、ともかく熱心。それがこの研究を導く原動力となった▼「(研究は)楽しかったけど、もういやだと思うこともあった」。野澤部長は本紙の取材に応え、こう話しているが、実際に千歳科学技術大学の実験装置を借りての分析も…。最終審査で高い評価を得たというのも裏づけがあってのこと。途中で諦めたりはせずによく頑張った、本欄でも改めて拍手を送りたい。(A)


1月18日(火)

●「安心・安全」が問われるのは食品ばかりでない。医療の現場も然りで、信頼できる病院、医師にどう巡り会うかは、患者にとって重大な関心事。それに対応する第三者機関があることを知っているだろうか、誕生して10年が過ぎるというのだが▼病院を選ぶ時、どこがいいか、悩むことは多い。人に尋ねたりした経験は多くの人が持っていようが、その一方で抱くのは「何か判断材料があれば」という思い。「第三者の目から病院を評価します」。そう標榜する財団法人日本医療機能評価機構がその任を担っている▼1995(平成7)年に設立され、2年後から病院の求めに応じて機能評価を実施して今に。その調査は500項目とも言われるが、ホームページによると、昨年11月22日現在、全国で評価認定を受けた病院は1446。函館・道南からも6つの病院が受けている▼患者にとって参考になるばかりか、医療機関にとっても大きなお墨付き。「認定の有無が病院選びの要素になる時代が来ている」と指摘する向きもあるが、だとしたら機構には認定基準の明確化がより求められる。それは「どう信頼度を高めるか」の問いかけでもある▼それに応え、同機構はつい最近、新たな認定基準などを公にした。医療機関の関心が高まることが予想されるが、この認定はいわば「きちんとしています」という保証であり、一つのステータス。「医療機関が選ばれる、選んでもらう時代になっている」。機構という名の審査機関の存在がそれを語りかけている。(N)


1月17日(月)

●あれから10年がたった。そう、あの阪神淡路大震災である。わが国の災害史上、忘れることの出来ない惨事だった。まさに直下型。神戸などを襲ったのは1995(平成7)年の1月17日。まだ眠りについている人が多い午前5時46分のこと▼あちこちで火の手が上がり、消火にもなす術がなく、ビルばかりか高速道路まで崩れ落ちて…。それは言葉を失う光景だった。その1年半前、道南は北海道南西沖地震に見舞われている。津波と火災…、あの奥尻とだぶって記憶に残っている人が多いに違いない▼死者は6000人を超え、負傷者は約4万3000人にも。倒壊した家屋は約40万棟を数え、神戸の街は見る影もなく様相を変えていた。それから10年、自然災害が続いた10年でもあった。伊豆諸島や鳥取地方での群発地震などのほか、昨年11月には新潟中越地震が…▼今なお多くの人が仮設住宅暮らしを強いられている。一方、火山ではこれまた避難を強いられた有珠山や三宅島の噴火があり、台風災害は毎年のように。国外では現実のスマトラ島沖地震が象徴的だが、こうした災害から教わる教訓こそ身を守る努力と事後の協力▼備えの意識と助け合いの精神、とも言えるが、そのボランティア精神を育てたと言われるのが、ほかならぬ阪神淡路大震災。数千人が見せた姿は「わが国のボランティア元年」と言わせ、その精神は今の新潟県中越、スマトラ沖地震などに生きている。きょうは「防災とボランティアの日」。神戸を語り継ぐ日でもある。(N)


1月16日(日)

●“縄文ロマン”という言葉があるが、北海道・北東北には学術的に価値ある縄文遺跡が多い。その代表格が集落群として特別史跡に指定されている青森県の三内丸山遺跡。すっかり整備され、今や一大見学スポットとなっているのは知られるところ▼道南も考古学的に貴重と言われる地域。「内浦湾沿岸の縄文文化遺跡群」は北海道遺産に選ばれているが、注目を集めている一つが南茅部の大船遺跡。1996(平成8)年の発掘調査で竪穴住居96棟をはじめ貯蔵穴、お墓などが発見され、総出土品は18万点とも…▼この発掘から、縄文中期には道南と北東北との間に円筒土器文化という共通の生活圏があった、と推測されている。その解明はまさにロマンの名に値するが、後世に伝えていくために大事なのは、そこに住む住民が共通の認識、思い入れを持ち、情報を共有すること▼そのきっかけづくりこそ、実際に見て、触れてもらうことであり、具体的な取り組みとして北海道、青森、秋田、岩手の4道県が企画したのが「北の縄文文化回廊展」。各市町村の協力を得て実現にこぎつけ、18日から25日まで、函館市(芸術ホール)で開かれる▼展示制作は道埋蔵文化財センターが担い、草創期・早期の土器・石器をはじめ、各地出土のヒスイ玉や道南の赤彩土器などが展示される。北の縄文文化に触れるまたとない機会。「遥かなる時空を超えて…今よみがえる」。ポスターはこんなコピーで多くの人の来場を呼びかけている。(H)


1月15日(土)

●今年の成人の日、若者の活発な意見が聞かれないと思ったら、NHKの「青春のメッセージ」が番組から消えていた。以前は「青年の主張」といい、時代を反映した主張を叫び、心の「SOS」をも発信、半世紀も続いた▼2年前の大会で、阪神淡路大震災で妹を失った23歳の女性は「犠牲になった人それぞれに人生があり、夢や未来があった。妹をただの数字にしたくない」と、心の痛みと葛藤など全国に発信した。また、交通事故を起こした元暴走族リーダーは「治ったら仲間たちとボランティアをやろう」と立ち上がった▼「ニッカボッカーのズボンに誇りを持って、仕事をしている」と胸を張った道南の青年もいた。元首相の海部俊樹氏はかつて「政界から陳情をなくせ」と訴えたという。確かに、この舞台は若者が抱える悩みなどを大人に発信する場でもあった▼先ほど、中3のカルタ・クイーンが誕生したが、歌を読み上げる発語直前の息を吸う音を聞き分けての結果だという。その裏にあるのは努力。いろいろ調べたり、苦しい体験を懸命に語り掛けることは「読解力」の向上にもつながる、主張、弁論などとともに、それを教える一例でもある▼「放課後の教室で泣いているのです」。1人の女の子が言いました。「これも1つの人生経験なんです」。瞬間的に感じとった子どもたちの輝きを語ったり、親の思いを代弁する「語り詩」(前田好一編著「心の教育への実践」)が共感を呼ぶ。後がまの「ライブジャム」は「青春メッセージ」の代弁にはならなかった。(M)


1月14日(金)

●人間には照れがある、日本人は特にそうだと言われ、特に「感謝の気持ちを表すのが下手」と。確かに、家族など身近な存在になればなるほど口にしない。そこにあるのは「言わなくても分かるだろう」という勝手な解釈だが、やはり伝えなければ…▼「夫から妻へ、妻から夫へ」。感謝のメッセージを伝え合う企画として考えられた「60歳のラブレター」(主催・住友信託銀行)。2000年に始まり、4年(回)目に選ばれた“ラブレター”160編を収めた第4巻(NHK出版・昨年10月出版)を読ませてもらった▼事務局では「作り事でも、きれい事でもない、まっすぐな気持ちで綴られた手紙の数々に、またしても涙を誘われる一冊」とコメントしているが、まさに包み隠しのない感動物語集と呼ぶに値する一冊。自分ともだぶって、ページをめくるにつれて感動が増していく▼病気を支えてくれたことへの感謝、互いの絆を確かめ合う思い、亡くなった伴侶への気持ち…。喜びもあれば、反省や懺悔の思いも…。文章の長短や表現のうまい下手ではない。感動を伝えるのは、あくまで気持ちと教えられる。はがき1枚に綴られた物語は年々増えて、第4号には1万2953編もが▼エッセイストで選考委員の一人、佐川良枝さんのまえがきも素晴らしい。選考会を終えて会場を出た直後の感想をこう記している。「…(今年も、すてきなラブレターに会えてよかった…)よい香りのする文章に触れられた幸せをかみしめながら家路につく」と。「60歳のラブレター」のすべてが凝縮されている。(H)


1月13日(木)

●「スルメイカの長距離輸送に弾み」「パック詰め56時間生存」。昨年末の本紙1面に、こんな見出しが躍った。札幌、東京などへの輸送実験を行った実績があり、2005度中の実用化を目指すというのだから、今後に期待を抱かせるに十分な話都会では函館の生きたイカに対する価値は高く、需要は多い、とされるものの、輸送方途が長年の懸案。というのもイカは墨を吐き合い、時間の経過とともに水槽の水質が悪化するためで、大型水槽を搭載した専用輸送車も広がりは…。スルメイカは特に難しいとされているだが、イカは函館の特産品であり、その活路は大事な地域テーマ。この記事によると、開発に成功した道立工業技術センターなどによる研究チームがまず突き止めたのが、海水の二酸化炭素濃度や酸性度の上昇が死亡までの時間に影響すること。そこから掘り下げて…海水や酸素の成分を変えたりした実験の末、生み出されたのが、海水と酸素を充てんしたパックに1匹ずつ詰めるという方途。労苦は実り、56時間というから、まる2日と8時間生かせるまでに。その後の輸送実験の結果も良く、さらなるデータを集めているところ研究に手がつけられてから5年余り。確かに実用化に当たってはコスト面の課題も抱えるが、それも技術開発がなければ浮上せず、今後に委ねられる問題。それよりも…。地域の産業振興に寄与する研究の成果として、地域課題の一つの扉が開こうとしている。この研究成果にはそれだけの意味がある。(N)


1月12日(水)

●「地域との関係がより深まった」という受け止めが6割。説明を要するが、実はこれ「メセナ」活動を展開した企業の実感。このほかでも「企業イメージやブランド価値が向上した」「会社の知名度が上がった」など、実施はプラス、の評価が明らかに「メセナ」とは芸術文化活動を支援するという旨の仏語。わが国では企業の文化・社会事業活動、いわゆる社会貢献活動という趣旨の言葉として登場、現実に取り組みが広がり始めて15年ほどに。企業は地域や顧客に支えられている、という思いに立脚している演劇など芸術活動への主催・支援をはじめ、イベントの共催や場所や人材の提供、顕彰事業など、その活動内容は様々。資金が伴うため大企業とはレベルが違うとはいえ、映画祭の開催、定期的な講演会の開催などが見られる函館・道南を含め、道内でも際立つ事例は結構…利益を計上し、回せる資金があるならば取り組むべき、と教えているのが、昨年、企業メセナ協議会が実施した調査結果。地域との関係、顧客との関係が深まり、企業イメージやブランドイメージが上がった…。そんな答えが多かったという識者に言わせると、当然の答え、となるが、明らかに読み取れるのは「メセナ」が社会との好ましい関係を築く役割を果たしている、ということ。それは社会的信用を高めていることを意味している。成せる企業は耳を貸すべき、この結果にはそんなメッセージが込められている。(A)


1月11日(火)

●「確かめよう 歩行者 スピード 車間距離」。なかなかの秀作だが、これは全日本交通安全協会などが選んだ今年の運転者向け交通安全スローガン。逆に歩行者・自転車利用者向けとして選ばれたのは「やりません とび出し 手ばなし 二人乗り」聞き飽きるほど注意を促され、道路の改良など安全対策も進んだ、取り締まりも厳しいほどにされている。なのに減らない交通事故。もはや放っておくしかない、と言い放つのは簡単だが、人の命がかかわる問題だけに、同調するわけにはいかない我慢強くモラルに訴える。これこそ安全対策のベースになる取り組みと言われるが、その取り組みの一つが標語であり、全国区がこれ。1965(昭和40)年というから、その歴史は既に40年。第一号として採用されたのがシンプルな「世界の願い 交通安全」だったというさすがに全部を覚えている人はいまいが、幾つかは…。運転者向けでは「とび出すな 車は急に止まれない」「せまい日本 そんなに急いで どこへ行く」などは、今なお広く知られる存在。ちなみに昨年のスローガンは「運転中 メールひと文字 事故一生」だった注意しなければならないのは、運転者ばかりでない。「自分を守る」という点では自転車に乗ったり、歩いている人も同じ。「命はね 自分で守る たから物」(優秀作)だから。問われているのは、みんなが注意し合うこと。「よくみてね! いっぱいのばした もみじのて」。子どもから、こんなメッセージも届いている。(N)


1月10日(月)

●権利と義務をわきまえて地域づくりの役割をきちんと持ってくれるのが新成人の条件。ニューカレドニア諸島の成人の儀式はバンジージャンプ。ブラジルは激しくかんでくる3センチほどのアリを手袋に入れ痛みに耐えてこそ成人。前歯を4本折るという国も▼成人になる儀式もいろいろ。木古内の海岸で佐女川神社の神体を清める「みそぎ祭り」の4人の青年(行修者)も成人になる修行の一つか。スマトラ沖地震による津波で大きな被害を受けたインドやスリランカの女性は成人になって優美なサリーを着ることを楽しみにしているという▼日本の成人式は冠婚葬祭の「冠」で、男性は前髪を落とし、女性は髪型を丸まげに。小正月(15日)にやっていたが、3連休を増やすという理由で第2月曜日に。今年の新成人は全国で150万人。新函館市を含む渡島管内は5092人(前年比1人増)、檜山は650人(65人減)▼インドネシアでは17歳になると成人の仲間入り。成人式はないが「自動車の免許証が取れる」と待ち望んでいる。津波にさらわれた14歳の少年が飲まず食わず、10日間も木にしがみついて生還した。激流にほんろうされながらもいかだ(木)の上で、世のため必死に生き続けようとする「成人の心」に触れた▼「見たことも聞いたこともないツナミ。地上の楽園を襲った天災。数え切れない死に世界が泣いている〜」。被災地に流れる若者の鎮魂歌。10日は各地でお祝いの行事が行われるが、飲酒して罵声(ばせい)を飛ばしたり、羽織はかまの暴走行為などは許されない。もっと役立つことに青春をぶつけよう。(M)


1月9日(日)

●まだ年が明けたばかり、今年の重大(十大)ニュースを語るには早過ぎるが、この段階で既にランクイン間違いなし、と言い切れることがある。と言えば、多くの人が気づくに違いないが、それは北海道新幹線(新青森―新函館)の着工「新幹線を北の大地に」。新幹線は北海道というより道南にとって30年来の悲願だった。札幌までの開業見通しは不透明だが、青函トンネルから新函館までの間を走るのは紛れもない現実の話。ここに至るまで実に長い道のりだったが、いよいよ今年、その第一歩を踏み出す「何とか着工のゴーサインを」。願いが現実になったのは、政府・与党が2005年度初めの着工を決め、10年以内の完成方針を明らかにした昨年12月。初年度の事業費として30億円が盛り込まれ、5月にも起工式を行って、次年度からの本格工事への準備に入る確かに抱える課題も多い。並行する在来線のJR江差線をどうするか、新函館駅と函館市内を結ぶアクセスをどう考えるか、開業に照準を当てた活性化ビジョンをどう描き具現化していくか、などに加え、道や大野町などには地元負担が重くのしかかるただ、それもこれも開業によって広がる利便性、経済効果を享受するため地域に課せられた、いわば宿題。官は渡島支庁が4月に新幹線推進室を新設する意向のほか、函館市なども担当部署の充実を図っていく考えだが、民も置いていかれないように。10年は意外と早くやってくるから。(N)


1月8日(土)

●「江差追分」の一層の普及を目指す渡島協議会が昨年末、発足した。江差追分会本部の系列組織を尊重する一方、函館地区としてさらに活動の幅を広げたいと。会本部に所属する14支部が参加し、独自の発表大会の開催など今年から本格的な動きを始める▼わが国に数ある民謡の中で「江差追分」は、紛れもなく全国区上位にランクされる民謡。奥の深い、味わいのある民謡とも言われるが、それが逆に愛好者を引きつけてやまない。1963(昭和38)年に始まった全国大会(9月の第3金土日曜日に江差町で)は今も▼昨年は第42回だったが、毎年、全国から大勢の追分ファンが訪れる。その「江差追分」の起源は、明治30年ごろなど幾つかの説があるが、調子や曲節も変遷をたどって今の正調に。長い年月を通して積み重ねた歴史の裏に読み取れるのは、民謡の原点とも言われる心▼古き良き時代に江差の風土が唄わせ、それを先人が育て、唄い継ぎ、今に伝えられている。「目をつむって聴いていると、当時の江差の光景が頭に描けるような気がする」。こう感想を語った人がいるが、あながち大げさな話でない。その思いをもっと多くの人に…▼民謡の世界に限らず、次の時代へどう伝えるか、は今に生きる者の責務。その拠点として江差町には追分会館があり、伝承する組織として江差追分会がある。さらに地域として…。新たな役割を担うべく誕生したのが渡島協議会。関係者の思いと今後の活動に大きな期待が集まる。(H)


1月7日(金)

●『「顔の見える新聞」を目指し署名を増やします』。元日付の朝日新聞3面に、このような社告が載っていた。本紙はともかく、全国紙では毎日新聞に続いて。地味な扱いでの掲載が気になったが、新聞界に新たな流れを予感させる社告とも言えるわが国の新聞は客観報道を標榜してきた。というより、今もそうだが、そこにあるのは、新聞は最大公約数の意見、受け止め、という考え方。賛否を並列で載せる手法はその一つの形だが、署名を入れることはその客観報道理念に反することになると…そうだろうか。本当に客観なのか、そんな疑問が突きつけられていることも現実。掲載された記事に社が責任を持つのは当然だが、署名によって、それが変わるわけでもなければ、その理念が崩れるわけでもない。議論を経て、先駆けて「原則署名」に踏み切ったのは…本紙とも関連のある十勝毎日新聞社で、1995(平成7)年10月のこと。当時を知る一人だが、「読者の顔が見える新聞」を掲げる新聞社として「書き手の顔が見える記事」を志向するのは当然のこと、という考え方が出発点だった。新聞界の反響は大きかった朝日新聞もメディア欄などで取り上げたが、その一つ「私の紙面批評」の中で、玉木明氏はこう記していた。「日本の新聞がこのような記事の署名化をさらに推し進め、報道主体としての〈いま・ここ・わたし〉を取り戻したとき、その紙面も決定的に変貌を遂げているにちがいない」。あれから10年になる。(A)


1月6日(木)

●「海に入って、海を歩け」。神はモーゼに言った。モーゼが杖をかざすと、紅海は真っ二つに割れた。両側は高い「ツナミ」の壁。人々は対岸へ続く道を渡ったが、追っ手のエジプト軍が侵入した時、海はその道を閉ざしたため全滅した(映画「十戒」)▼津波は予告なしで数千キロも離れた沿岸を襲う。45年前の5月、南米チリ沖地震(M9・5)による津波は約1日かけて太平洋を横断し、日本では142人の犠牲者が出た。函館でも西浜や豊川岸壁の海水が約30メートルもひいたと思ったら、アッという間に津波が事務所の机に。怖かった…▼昨年末にインド洋を襲ったスマトラ沖地震(M9・0)による津波。犠牲者の数は5万、10万と日に日に増えて、ついに15万人にのぼる大惨事に。救援活動は進まず、180万人以上の人々が食料支援を待っている。気温が30度を超す暑い土地で、衛生状態が悪化し、伝染病のまん延も心配だ▼映像で見る被災地は地獄絵。ユニセフによると、犠牲者の3分の1以上が子ども(18歳未満)だといい、我が子を確認する父母の姿が痛々しい。目の前で親を奪われた子どもも多く、「心のケア」も必要になってくる▼「何をも殺してはならない」(モーゼの十戒)と戒めた神ですら、いや人間も自然の前では何と無力なことか。タイでは観光用の象が迫る災いをいち早くキャッチ、客を乗せたまま高台まで走って逃れた、と聞く。干支の酉は天変地異を察知してくれる霊長だ。被災地の復興に世界が協力しなければ…。(M)


1月5日(水)

●映画、テレビドラマ、コマーシャルなど、函館はその舞台によく登場する。はこだてフィルムコミッション(FC)を通して撮影された数だけでも、今年度は昨年10月末段階で55件。年度では70件ほどが予測され、改めて“撮影の街”を印象づけられる▼函館と映画、テレビドラマのかかわりは古い。舞台となり、撮影が行われた映画だけでもかなりの数。はこだてFCが作ったリストをひもとくと、その最初に記載されているのは1937(昭和12)年の東京映画「若い人」。「飢餓海峡」「居酒屋兆治」などヒット作も多い▼昨年も南茅部を主舞台にした「海猫」があり、「オー・ド・ヴィ」「パコダテ人」に続いて、函館港イルミナシオン映画祭のシナリオ大賞作品「狼少女」が今年早々、クランクインする。テレビドラマや旅番組、コマーシャルに至っては数え切れないほど▼こうした撮影の舞台となることで得られる最大のプラスは、街のイメージアップ。宣伝費に換算したら大変な額になる。「あらゆるロケーション撮影を誘致し、必要な世話をする非営利機関」のフィルムコミッションの設立に、各地が乗り出している理由もそこにある▼先陣は2000(平成12)年の大阪だったが、全国で今や70カ所ほどに。道内にも一昨年12月設立のはこだてFCを含め札幌、小樽、とかちなど7カ所あり、道も力を入れている。それにしても、函館がこれほど舞台として選ばれているとは…。歴史に培われた素晴らしいロケーションに感謝せずにいられない。(A)


1月4日(火)

●まだ知名度は低いが、1月は「食を考える月間」。平成14年度に設けられたというから、今年が3回目。浸透不足も仕方ないが、月間制定の背景にあるのは食に関する意識の高揚。「毎日のことだから、ちょっと考えてみませんか?」と問いかけている人間が生きていく上で欠かせない食。ところが、近年は若い世代を中心に食の知識が乏しく、食生活の偏り、乱れなどが指摘されている。実際、各種調査が明らかにしているように朝食抜きは増える一方。栄養のバランスを考えて、の視点も揺らぎつつあるこれでは拙いという対策の中で、必ず登場するのが食育という言葉。新しい用語かと思いきや、実は明治の代から使われていたという。「食育は知育、体育よりも先」などの記述は、食育なしに健全な心身を育むことはできない、という認識であり、いわば昔からの伝えその食育の定義は、いたって簡単。一人ひとりが自らの食について考え、判断できるようにすること。食の大切さを考える習慣を身につけてもらう教育であり啓蒙、という言い方に置き換えることもできるが、現実の取り組みの一つとして「食を考える月間」が…「食の大切さは自然と身につくはずなのに」と思う人もいようが、現実はそうなっていないということ。生活習慣病が問題になっているのはその表れで、広まっているのは、このままでは、という危機感。それでも最近は安全安心意識が高まってきている。「その輪をさらに」。月間はそう語りかけている。(A)


1月3日(月)

●子どもの頃、よく見た空を飛ぶ夢は、「初めて言語を獲得した時の全能感」を象徴し、新しい環境や課題に直面した時に、きっと今度も実現できる、そんなよいメッセージだという。今年の初夢は、3年前と同じように水族館(海の生態科学館)…▼4町村と一緒になった新函館市を支える2大資源の一つ「海洋国際都市」がグレードアップされる。とりわけ、コンブ、イカをはじめ築地市場で高値を呼ぶマグロ、タコ、タラなどが日本有数の「海の幸ゾーン」を形成。一方の観光資源には縄文遺跡や秘湯、景勝地などが加わる▼いくら資源が豊富でも陸と海ががっちり手をつながなければ、集客力はありえない。函館大の弁論部でも「水産と観光を柱とした魅力創出」が提言されていた。市は刺し身以外の料理も知ってもらおう、とイカのホームページを開設。小学校では総合学習でコンブ料理に取り組むなど、浜辺の学習に効果が出ている▼昨年暮れ、久しぶりに捕獲されたソデイカをはじめ、15メートルにもなるダイオウイカなど…。「函館に行って、天上の水槽を泳ぎ回る巨大なイカやタコに、津軽海峡で捕れた戸井ブランドの巨大マグロに会ってきた」。話だけでも楽しくなる▼睡眠の深さを脈拍から測定できる携帯型「睡眠計」が開発された。睡眠中の脳の活動(夢)も画像として解析できるようにもなったという。浅い眠りのレム睡眠では記憶や情動が活性化されると言われるが、まずは「イカと菜の花の酢の物」など、身近な夢から「正夢」になっていけば…。(M)


1月1日(土)

●2005年。まず願うのは「安定・安全・安心を感じることができる年に」という思い。これがなかなか難しい。過去、国内外に難問を抱えなかった年のなかったことが物語っているが、それにしてもここ数年は。政治も社会も閉塞感が広がっている2005年。こうあってほしい、抱く期待は様々。景気の本格的な回復、行財政改革の実効、年金問題の解決と方向づけ、凶悪犯罪の対策、さらに外交では拉致やイラク問題の解決などが頭に浮かんでくるが、それほどに「…ほしい」ことが山積している2005年。重要な意味を持つ年という点では地方も国と同じ。そのキーワードは「自立」であり「自律」。とりわけ求められているのが北海道で、道州制の検討も含め大きな課題を背負っている。市町村も然り。合併という言葉が象徴する新たな模索を強いられている2005年。将来へのレールをどう敷くか、この難しい問いかけは函館市にもずしりとのしかかる。というのも新市として歴史を刻み始めたばかりだから。実質的には新市元年であり、中核都市としてのビジョンを、振興策をどう描いていくか、が問われている2005年。国際水産・海洋都市構想が歩みを強める。交通網整備も高速道路の全面開通のめどこそ不透明ながら、悲願だった函館までの新幹線新規着工も決まった。将来のまちづくりに期待が膨らむが、その一方で「もっと知恵を、もっと議論を」の声も聞こえてくる2005年。忘れてはいけない、戦後60年の年でもある。(H)


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