平成17年11月


11月30日(水)

1年の月日は早いもので、今年もあと1カ月。景気の回復は実感するまでに至らず、郵政民営化をめぐる衆院の解散総選挙、JR西日本の脱線大惨事をはじめさまざまな出来事があった。せめて締めくくりの12月は平穏に、という思いが込み上げてくる▼そんな中、函館地域に目を移すと、どちらかと言うと明るい話が。北海道新幹線の着工に加え、JR函館駅前の整備完了、函館空港ターミナルの完成、新規航空会社の参入。さらに函館中央図書館の開館、森町と砂原町の合併、交通事故死者数も昨年を下回っている▼そして函館の12月と言えば、クリスマス・ファンタジー。今年も25日まで毎晩、ベイエリアをファンタジックな世界が包み込む。「全国には港があり、異国情緒にあふれ、夜景の美しい都市はいくつかあるが、ツリーが一番似合う雪があるのは函館だけ」と始まった▼1998年だった。姉妹都市のカナダ・ハリファクス市から巨大モミの木の寄贈を受けて。昨今、全国的に大掛かりなイルミメーションが登場しているが、メルヘンの世界の演出という点で、函館のツリーはまた別格。観光の視点からも知名度を高めている▼そして、もう一つ挙げなければならないのが、今年で11回目となる函館港イルミナシオン映画祭。ファンタジーとともに函館らしさに満ちあふれたイベントであり、函館の12月をホットにしてくれる。あすから師走―。大成功の余韻に浸りながら2005年のフィナーレを飾る、二つのイベントにそんな思いを託したい。(H)


11月29日(火)

愛煙家にはつらいところだが、公共の場所に限らず禁煙・分煙は今や社会の常識。東京などに続いて札幌市の駅周辺もいわゆる“歩きたばこ”が禁止され、JR北海道は本年度内にも特急列車の全面禁煙に踏み切る。その一方で施設などだが…▼例えば道が展開している「空気もおいしい店事業」。健康増進法で事業者に受動喫煙防止の努力義務が設けられたのに伴い打ち出した事業。飲食店内での禁煙、分煙を促す目的で、3年前の2002年からの取り組みだが、残念ながら登録数がなかなか増えていない状況▼ちなみに認定条件は室内の完全禁煙、間仕切りと換気扇や集煙装置による分煙措置などを取っていること。認定されると道から店頭に表示できるステッカーが交付される。店のイメージなどの面からもスムーズに広がるかと思われていたが、登録の現実は期待に反して…▼函館・道南に限らないが、至って低調。道がホームページで報告しているところによると、函館市内で登録済みの店は25店、渡島管内の町では9店。実際に何らかの対策をとっている店は結構あると推測されるのだが、登録行動をとった店はわずかの30店台▼確かに今の時代、禁煙・分煙は当然のことで、登録が店の“売り”にはならない、と判断されているのかもしれない。それならそれでいい、自然と流れが生まれて形作られていくに越したことはないのだから。ただ、観光都市としては「まだ(看板は)有効」という声もあるのだが…。(H)


11月28日(月)

選挙と国会が終わった途端、増税論議がにぎやかに。政府税調(政府税制調査会)が25日に行った税制改正についての答申は、政府与党の動きにお墨付きを与えたかのよう。というのも、減税分を元に戻すなど増税と映る内容が盛り込まれているから▼国の財政が破綻(はたん)状態にあることは、今や隠しようのない事実。国債という名の借金は、ぼう大なまでに膨れ上がっている。その対策は行財政の構造改革だが、取り組みが進んでいる姿が何ら見えてこない中で、際立って映るのは歳入の確保でつじつまを合わせる姿勢▼消費税の税率アップが最大の切り札と言われるが、その前に手をつけようとしているのがいわゆる減税部分の廃止。象徴的なのが1999年に景気対策として行った所得税と個人住民税の定率減税で、政府税調が下した判断は来年の半減、再来年の全廃…▼景気が回復基調に入ったというのが理由だが、少なくとも雇用や所得面で実感できる現実にはない。来年になれば感じとれる、というのだろうか、それが定かでない中で、筋書き通りに事を運ぼうとしている姿がこうも露骨に見えては、国民の理解を得られまい▼行財政改革が実効を上げているならまだしも、今なお掛け声ばかり。その中での“増税”は例えは悪いが、ザルに水をつぎ込むのと同じ。せめて「こうすればこうなる」といったビジョンを示すべきである。というのも鍵は納得できるかどうかだから。そのさらなる鍵は今、大合唱となっている改革の行方が握っている。(N)


11月27日(日)

「百鬼夜行」。さまざまな化け物や悪魔が夜歩き回って悪さをする。昔は夜遅くまで遊んでいると「人さらいに連れていかれるよ」としかられた。それが今は「百鬼昼行」か。広島市内で白昼、下校中の小学1年の女児が殺害された▼通学路が恐ろしい悪魔の道に変わった。下校していた女児は友だちと離れて通学路をちょっと外れた小路に入り、日ごろ、かわいがっていた飼い犬に会いに行ったのだろうか。絞殺され段ボール箱に入れられ、空き地に捨てられていた▼父親は「3歳のころから英語やピアノなどの教室に通い、勉強好きでやさしくて、かわいい女の子でした。母親の誕生日には自分で作詞した歌を歌っていたのが忘れられません。犯人がとても憎いです。早く捕まえて」と訴える。子どもを対象にした残忍な犯行に誰しも強い憤りを覚える▼別の女児3人が路地で写真を撮られるなど不審者情報が相次いでいた地域で、住民がパトロールを強化した矢先の惨事。1年前、奈良県でやはり小学1年の女児が下校時に誘拐されて殺された事件があったが、逮捕された男は性的犯罪を繰り返し、有罪判決を受けていた。フランスでは性犯罪者にGPS(衛星利用測位システム)の腕輪を装着するという▼今回の「百鬼昼行」も早く犯人を捕まえて厳罰に処してほしい。道教委は「通学路を複数で登下校させる」などの通達を出した。GPS付きのランドセルなども出ているが、子どもを守るのは学校、保護者、地域住民だ。通勤や買い物の際に学校周辺を通るだけでも効果は大きい。(M)


11月26日(土)

後を絶たないひき逃げ事件。何故、逃げるか。「刑罰が軽いということがあるのではないか」。そんな議論もあるが、被害者の家族となれば、その思いは何倍、何十倍にも増幅される。これでは絶滅など望めないと全国交通事故遺族の会が立ち上がった▼今月初めに毎日新聞が報じていたが、「厳罰に処すべき」と法改正を求める署名運動を展開している。起こしたくて事故を起こす人はいまい。そのほとんどが過失だが、問題は事故直後の対応。救急車を呼ぶなり、手当てをすることは当然の義務だが、それをしないのは故意の犯罪であり、単なる事故とは違う、と▼確かに刑罰の重い危険運転致死傷罪が設けられたが、ひき逃げ、業務上過失致死傷の罰則は5年以下の懲役。この二つの罪が適用されても10年にはならない。そればかりか5年以下といっても、5年が適用される例はまれ。一方、現実の発生状況は、というと…▼毎年かなりの数のひき逃げが起きており、被害者家族は増えるばかり。ちなみに昨年一年間に全国で発生したひき逃げは、ある統計によると、2万件に近いと報告されている。改めて多い現実を実感するが、さらに注視すべきは年々増える動きにあること▼ここまで多いと、遺族の会が「厳罰化しか(対策の)道はない」と主張する思いも分かる。その思いに立った行動が署名運動だが、逃げたら罪が重い、そう認識させる刑罰に…。遺族の会が社会に提起しているのは心からの叫び。それは「もっと社会で議論を」という問いかけにほかならない。(N)


11月25日(金)

「函館公園」が、新たに国が創設した登録記念物(名勝地)に選ばれた。函館として国指定、国選定、国登録の史跡、文化財等は20件目。歴史と文化に恵まれた都市としての面目躍如だが、その裏にあるのは「しっかり管理保存を」というメッセージ▼「函館公園」には誰しも一度は足を運んでいるはず。それほど市民になじみ、自慢の公園だが、津軽海峡を望む函館山南東ろくに造成されたのは、今から125年前の1879(明治12)年。「近代日本における代表的な都市公園の一つ」に数えられている▼函館市住宅都市施設公社の情報欄は、その特徴、造成秘話をこう紹介している。「当時のイギリス領事・ユースデンの『病人に病院が必要なように健康な人には休養する場所が必要』との呼びかけに多くの市民が賛同、資金や労力を提供し、市民参加で造築された」と▼いわば明治の人たちが残した誇れる都市財産。函館市が登録を求め、文化審議会が登録を認める判断をした理由はそこにある。「先人の偉業が文化財的に評価を得たもので、価値と魅力を一層高めるよう努力をしたい」。この井上博司市長の談話も、その認識に立っている▼そして、もう一つ文化審議会の内定で特記しなければならないのが、森町の鷲ノ木5遺跡が史跡に選ばれたこと。学術的にも貴重な大規模な環状列石が注目を集めているが、函館市南茅部の大船遺跡とともに縄文文化を伝える極めて貴重な考古学財産であり、道南地域としてこの報の喜びも分かち合いたい。(H)


11月24日(木)

競技者は感動を味わい、観る側は感動を享受する。スポーツの素晴らしさの一つがそこにある。確かに勝者、敗者という答えが出る厳しさはあるが、とりわけ勝者に感動の世界が生まれるのは、それぞれ「努力」の積み重ねというドラマを持っているから▼いかに非凡な運動能力を持つ人間でも、その力だけで答えを出すには限界がある。せいぜい小中学生までか、少なくとも国内、国際級ともなると、能力だけでは通じない。そこにまず求められるのが日々の努力。「努力なき勝者はいない」と言われる理由もそこにある▼確かに努力だけで答えが出せるか、と言われると、そうとも言い切れない。指導者など取り巻く環境も鍵を握るからだが、強いて努力のほかに、と聞かれると、その答えは「目標」「夢」…。目標や夢を持って努力する、実際にその結果として栄光の座をつかんだ人は大勢いる▼20日の東京国際女子マラソンで見事な優勝を遂げた高橋尚子選手は、その一人。2年前に辛酸をなめた大会を復活の舞台として選び、よみがえった精神力はたたえて余りあるが、その裏にあるのは「毎日こつこつと」という努力と「次は勝つ」という目標、夢の二文字▼「若い人でも中高齢者でも、一日だけの目標を持つだけでも…」。優勝直後のインタビューに対する答えが印象的だった。厳しい試練に打ち勝った人の話だけに説得力があるが、それは学校で、会社で、社会で通じる話。スポーツは人間教育の分かりやすい教科書であることを物語っている。(H)


11月23日(水)

「わが国の観光は長年、団体対応の画一型のサービスで通用したが、今やそうでない。団体から個人にシフトしつつある新たなニーズにどう対応していくか、コンセプトは非日常であり、体験、学習を含めた“産業観光”は一つの新しい切り口…」▼「産業観光の資源はいっぱいある。少なくても物づくりするところには…。鍵は地域がどう組み立て、どう情報を発信していくかである」。まだまだ続くが、これは函館国際観光コンベンション協会の創立70周年記念講演会で聞いた観光振興に関する話のさわり▼講演したのは名古屋商工会議所文化委員長の須田寛氏(元JR東海社長)。函館は将来に可能性がある、と激励もしてくれたが、それを裏返すと「観て歩き観光に甘んじている」という指摘にも聞こえる。確かに感じるところであり、いわば函館が抱えている課題▼体験、学習観光となり得る資源は、と見渡すと、函館はむしろ多い都市。須田氏は全国的に有名なイカ弁当を作る体験、ドックでの珍しい進水式学習などを挙げたが、大事なのは「よその人が見たり、聞いたりした時に『それは面白い』と感じることに目を向けること」なのだと▼ここ数年、函館を訪れる観光客も様変わりしてきたと言われる中、久々に示唆に富んだ素晴らしい話だった。「住むこと、訪れたことが『自慢』できるまちづくり…『観光文化』のあるまち・函館」。このキャッチフレーズをどう具現化していくか、そのヒントを須田氏が与えてくれたような気がする。(A)


11月22日(火)

「目には目を…」で有名な古代バビロニアのハムラビ法典に「家が倒壊して家主が死亡した場合は、その家をつくった建築技師を死刑にする。死亡したのが家主の息子なら技師の息子を死刑にする」という建設に関する条項があると、何かで読んだことがある▼過激な法律に聞こえるが、建築士による管理制度もない昔、大切な息子の命をかけてまで真剣に取り組めというのは現代にも通じる精神。ところが、その今、首都圏で耐震計算を偽造して建てられたマンションが問題になっている。その数21棟▼構造計算書は重力や地震などに建造物が耐えるために必要な鉄筋の本数、柱の太さなどを算出した書類。特に震度6弱の中規模地震で損壊しないか、震度6強―7の地震でも生命が守られるかが柱だが、国交省の再検査で16棟が震度5強で倒壊する恐れがあることが分かった▼1級建築士の耐震計算の偽造で、これらの建物は26―56%の耐震強度しか満たしておらず、鉄筋や梁(はり)の数が規定の半分しかないマンションや、家具や住民の重さにも耐えられない建造物もあるという。昨年、全国で起きた震度5強の地震は16回、今年は首都圏で直下型地震も発生している▼大半はローンを組んで入居している人たち。コスト削減が目的だったのか、検査機関がチェックを怠ったのか。1級建築士の資格取り消しだけでは済まされない。生命の安全に直接かかわる大問題である。偽造計算書の責任所在をはっきりさせ、息子の命をかけた精神に反しない厳罰が必要だ。地震はいつ起きるか分からないのだから。(M)


11月21日(月)

最初に聞いた時はまさかと思ったが、最近は「主人在宅ストレス症候群」なる精神症状があるという。定年になって一日中、家に居られると、うっとうしくなってストレスが増す、と。男にとっては何ともショッキングで、寂しくなるが、現実の話▼どんな夫婦でも不満はある。だが、そこはいい点を見ることで…。年に一度ぐらいいたわることを確認する日があっていい。語呂合わせだが、「いい夫婦の日」(11月22日)はそんな思いから生まれた。通産省(当時)と余暇開発センターが17年前に提唱した▼そして毎年、この日に向けて発刊され、感動を与えている本がある。今年も10月に第5集が出されたが、住友信託銀行が手がける、その本のタイトルは「夫から妻へ、妻から夫へ―60歳のラブレター」(NHK出版、定価本体1200円)。一般公募の作品集である▼今年の応募総数は1万481編で、本には155編が収められた。病気を支えてくれたことへの感謝、健康への気遣い、亡くなった伴侶に対する思い、苦しかった若き時代のエピソード、楽しかったこと…。実にさまざまな人間模様が描かれている。文章のスタイルも、長短もいろいろ▼こんなラブレターもあった。「私の父と暮らし始めた新婚生活。父が一番、あなたは二番。三年後に娘が生まれて三番に格下げ。父が亡くなり二番になって、娘が嫁いでやっと一番。おめでとうの言葉のかわりに、あなたからもらった二十五年分の私の笑顔を贈ります」。一読をお勧めしたい。(H)


11月20日(日)

昔をいまになすよしもがな。820年前、捕らわれの身となった静御前が鶴岡八幡宮で義経との悲恋を舞った。NHKの大河ドラマ「義経」は20日放送の一世一代の「静の舞い」でクライマックスを迎える▼悲劇は「非情もまた情なり」と頼朝が義経追討の命令を下してから始まった。静は白拍子の名手。京の都が3年も雨が降らず、高僧たちの雨乞いも効かなかった時、最後の100人目の雨乞い舞姫に召された静。曲を半分まで舞ったところ、黒い雲が洛中を覆い3日間も降り続いたという▼義経の子を身ごもったまま、頼朝の前で義経を慕う歌を高らかに唄いながら舞った。お腹のわが子は男児だったため直ちに殺されて、浜に捨てられた。過酷な運命を背負った静。帰洛したといわれるが、その後の消息は不明。その謎が全国各地に多くの伝説を生んだ。江差のoー島もその一つ▼義経が愛馬に乗って津軽海峡を渡り江差にたどり着いたのが義経北行ルート。愛馬が「白い岩」となり、そばには「弁慶の足跡」。京から追ってきた静がoー島に着いた時は、義経は北に出発していた。なんととしても会いたいと乙部の岬に先回りしたが義経は現れず、ついに川に身を投じた…▼静の出生地と伝わる京丹後市では白拍子姿のレリーフを建立した。「吉野山みねの白雪踏み分けて 入りにし人のあとぞ恋しき」。義経と惜別した吉野山を詠んだ一節は「愛のメッセージ」として今に通じる。(M)


11月19日(土)

今月初めの函館市議会(決算特別委員会)で、給食への地場産食材の使用を増やすべき、との議論があったという。本紙は市側の答弁として「大きな課題。関係機関と協議し、調査・研究をしたい」と伝えていたが、この指摘はあまりにも当然のこと▼学校給食はいうまでもなく教育の一環。それは健康や体づくりなどを考える食育であり、生産地などを学ぶ社会教育というか地域教育でもある。魚や肉、野菜類など給食で出される食材がどこで生産されたものか、特に地域の産業を知るまたとない機会ともなる▼そうでなくても函館・道南は、漁業と農業が一つの産業基盤になっている地。魚介類はもちろん野菜も数多くの種類が栽培されている。給食で「(この野菜は)大野で、七飯で生産…」と教えることで地元に対する知識が広がり、産物に愛着を抱かせる道にもつながる▼函館市の給食は栄養士が作った献立をベースに学校給食会が入札している。そこに産地指定があれば言うことはないが、実際に昨年度の場合を見ても、40種の野菜のうち地元産使用率が50%以上だったのはわずか12種で、逆に地元産ゼロの物もあるという▼わが国の食料自給率は40%でしかないと批判されているが、この給食の“地元自給率”もそのレベル…。産消協働とか地産地消が叫ばれている時代に、である。給食費との兼ね合いという問題もあろうが、教育プラス産業育成という視点からも地元産の利用増を求める声に異論はない。(N)


11月18日(金)

インフルエンザの予防接種は済ませましたか。「われわれはいま、鳥インフルエンザという新たな脅威に直面している。APEC首脳会議では、アジア諸国の講じる対策をいかに支援するか話し合いたい」。来日した米国のブッシュ大統領はこう話した▼同じ日、中国で2人が鳥インフルエンザに感染し、一人が死亡したことが確認された。今年は7月のロシア、カザフスタンをはじめ、トルコ、ルーマニア、英国などで感染者が出て、60人以上が死亡しているという報告もある▼思い出すのは、87年前に世界的に流行し、3000万人以上が死亡したスペイン風邪だが、鳥インフルエンザのウイルスが人から人に感染する異変が原因だったとも言われている。今年、もし人から人に感染する新型ウイルスが出現すれば、厚労省は国内で4人に1人が感染すると推計している▼ブッシュ大統領は緊急対策費として71億ドル(約8300億円)を予算化した。北京では生きた鳥の売買を禁止、日本は発生状況を6段階に分けた行動計画を策定した。専用ワクチンの優先生産や治療薬タミフルの確保などに当たるが、タミフルは品不足で各国が奪い合いの状態だという▼タミフルを飲んだ少年2人に異常が起きたのは、因果関係がはっきりしないこともあって、気がかりだが、身近な予防法はワクチンを接種することから。ともかく悪寒や高熱、全身に痛みなどが出たら、十分に睡眠、栄養、休養をとって、手洗い、うがいの励行を…。注意に過ぎることはない。(M)


11月17日(木)

函館要塞(ようさい)と麓(ふもと)の歴史的建造物を含めて世界遺産に…。何とも夢あふれる話だが、函館山はそれだけの価値があるということ。自然の遺産もさることながら、都市部に残る戦争遺産としては極めて珍しいうえ、状態も悪くなく、かけがえのない財産であるという▼そんな話を先日、函館産業遺産研究会の富岡由夫会長から聞く機会があった。函館山は植生など植物の観点から貴重と言われることが多い。それもそうなのだが、同時に貴重なのが要塞跡。函館山を散策したことのある人は承知だろうが、歩く中で結構、見かける▼御殿山、入江山、千畳敷など、主な、と付くだけでも10カ所。「函館要塞は日露戦争前に函館港を守るために造られた軍事拠点」(同研究会ホームページ)だが、専門家によると、鉄筋コンクリートのない時代に築造された要塞や軍用トンネルなどは、大変に貴重だと…▼だが、その保存対策はどうか、となると寂しい限り。素人目には荒れ放題、このまま放っておいては、と心配になる状態に映る。一般の人が立ち入れるようになって60年。それだけの年月が経つのに、その価値認識は…。残念ながら地元でも低いまま▼「その価値と保存の必要性をアピールする必要がある。世界遺産を視野に入れて…」。同研究会がそう判断し、具体的行動として調査に乗り出したのは1999年。今、大事なのは保存への取り組みであり、認識の広がり。まだ、夢の世界だが、現実にするか否か、その鍵は地域が握っている。(A)


11月16日(水)

毎月第3日曜日は何の日? そう聞かれると、残念ながら答えに窮する人が多いに違いない。求めた正解は「道民家庭の日」。2000年7月、青少年の非行防止道民総ぐるみ大会(北海道青少年育成協会主催)で採択されて今日に▼5年じゃ分からない人が多いのも仕方ない、とも言えるが、全国的には歴史があって…。この“家庭の日運動”発祥の地は鹿児島県の鶴田町。農業が主産業の町で、家族が団らんできる日を月に一度でも、という思いが原点で、今から50年前の1955(昭和30)年のこと▼言うまでもなく家庭は子どもたちが生活習慣や社会の常識など、いわば人間としての基礎を育(はぐく)む場であり、そこに欠かせないのが団らんの雰囲気。なのに、その家庭が…。健全な青少年の育成という観点から注目を浴び、国民運動として提唱されることに▼1966(昭和41)年というから40年になるが、個別に取り組んでいる自治体も全国的には多く、取り組みも様々。北海道ではホテルや旅館、ファミリーレストラン、遊園地などに協力を求めて家庭の日優待制度を展開中。「家族そろっての利用を」と呼びかけている▼もちろん、こうした日がなくてもいいのが理想。「毎日毎日が道民家庭の日となるよう…」。同協会のホームページも、こう語りかけているが、敢えて設けなければならない現実があることも事実。忸怩(じくじ)たる思いを禁じ得ないが、でも覚えておこう、毎月第3日曜日の「道民家庭の日」と、11月が全国青少年健全育成強化月間であることを。(H)


11月15日(火)

五稜郭公園の堀の水質汚濁に明るい光…。一般的に「堀は水の流れが悪く、そこに生じ汚濁を浄化するのは難しい」と言われる。専門的なことはともかく、なんとなく理解できるが、この難問に挑戦したのが市内の竹炭塗料製造販売会社の「炭効」▼本紙によると、同社が提案したのは「生態系の底辺である微生物の善玉菌を増やす役目をするEM菌を投入することにより、落ち葉など腐敗がたまったヘドロを自然浄化し、きれいな水質にする」という計画。企業として成果を証明する目的は当然として、実験はボランティア…▼国の特別史跡に指定されている五稜郭公園。そのお堀の水質については、かねて議論のあるところ。底はヘドロが多く、水は澱(よど)んで、清潔感に欠ける、と言われて久しい。函館では河川での浄化実験例があり、お堀でも、というのは、多くの人の素朴な疑問▼それだけに同社による浄化実験が注目されていた。第一段階の実験の舞台として選ばれたのが、二の橋を渡って左手の小堀。手がけたのは7月末で、10月末まで行われた結果は、対策に光。「汚濁指標である化学的酸素要求量など、あらゆるデータが改善された」という▼確かに、お堀となると、市や文化庁の判断もさることながら、面積や水量の桁(けた)が違うから大変な作業となろう。ただ、小堀とはいえ、この実験によって有効な手立てが一つ見つかったことは確か。橋の上からお堀を眺めた時に、もし透き通った水だったら…。そんな感動の光景が目に浮かんでくる。(H)


11月14日(月)

能登半島に住んでいた子供のころ、エチゼンクラゲとアメフラシが怖かった。巨大な「ピンクの悪魔」が湾を薄桃色に染めて、築港や岩場にびっしり。アメフラシの体から放出される紫色の体液で海は染まった。そのエチゼンクラゲが噴火湾でも漁業被害を出している▼東シナ海などで生まれるエチゼンクラゲは対馬海流に乗って日本海を北上、一部は津軽海峡を抜けて太平洋沿岸に。黒潮に乗って来るものもいて、11月いっぱいがピーク。今年は対馬海流の水温が高かったためか異状発生。その数、5億匹とも。桧山沿岸にまで達している▼「天災だ。漁にならない」―漁業者は嘆く。先ほど、南茅部の秋サケの定置網に1・5メートル、200キロものクラゲが引っ掛かった。網に入ると、駆除作業に手間取って操業時間は通常の5倍以上もかかる。南茅部沖を含め噴火湾全体で多い時は1日で200匹は掛かっているという▼例年だと1隻あたり1000尾捕れるサケが300尾まで落ち込んでいる。トコロテンのように切り刻む網を開発したり、網の入り口に防御網を取り付けたりしているが、あまり効果は上がっていない。そこで逆に「巨大クラゲを食べよう」と発想を転換したとこころも出てきた▼クラゲにはマグネシウムやカルシウムも豊富。軍艦巻きの上に乗せた寿司にしたり、混ぜご飯にしたり、つくだ煮にしたり…。ズワイガニがエチゼンクラゲを餌にしていることも分かった。しかし、隣国とも話し合って、日本の沿岸に来る前の小さなうちに駆除するのが一番の対策ではないか。(M)


11月13日(日)

北海道旅行をした九州の知人は「温泉の露天風呂から見る海峡のいさり火が一番よかった」と感激していた。こうこうと輝くイカ釣り漁船の集魚灯だ。その集魚灯の発電に使う燃料の高騰に加え、漁獲量も少なく、さらに発光ダイオード(LED)の出現で、イカ釣りに異変が起きているという▼本紙によると、函館水産物市場の今年上期統計で、取扱品目の約6割を占めるイカが前年に比べ13・6%も減った。海水温の上昇が影響し、原油高も重なったようだ。燃料の大半は集魚灯に使われており、中型船の場合、前年2500万円だったのが3250万円にはね上がっている▼燃料費を抑えるため昼間操業に切り替えるといった対策も。八戸市では70%が昼間の操業に移行したという。そこで注目されているのが、開発された青色発光ダイオードの集魚灯。水産庁などが昨年から函館沖や岩内沖、佐渡沖など5海域で試験操業を続けている▼省エネ効果の高いLEDだと、電力消費量が30分の1以下に減って、小型船で年間200万円も節約でき、青色も有効で電球と変わらない漁獲量だった。試験船の船長は「燃料代が2分の1少なくなった」と話している▼ただ、LEDの光は陸にまで届かない心配がある。立待岬から見るLED集魚灯は左右の船の集魚灯に比べ小さな点のよう。かつて集魚灯にはカーバイドを使った。その前は船首に松明(たいまつ)を燃やした。LEDが2年後に実用化されると、観光客をうならせる津軽海峡のいさり火風情が一変する。「漁り火の見えかくれする無月の夜」(桃流)(M)


11月12日(土)

よく言われる。北海道は、自然は一流だが、サービスは…。このままでは恥ずかしい、やさしく、あたたかく…迎える心の醸成こそ大切と、ホスピタリティー(もてなしの心)の向上が叫ばれて久しい。函館・道南も含めた全道的な課題として▼観光産業にとって最大のテーマは「新たな観光客の掘り起こし」もさることながら「リピーターをいかに増やすか」ということ。そのために強く求められるのは「いい印象を持って帰ってもらう」ことであり、具体的に一つの鍵とされるのが、このホスピタリティー▼現実にどうか、観光客から十分な満足度は得られていないことは、道が3年前に行った調査結果も教えている。例として「旅行全般を通じて北海道で受けた接客サービス」の項目をみると、満足だったと答えた人は59%。残念ながら3人に2人までいかないレベルだった▼このホスピタリティーという言葉、確かに最近際立って耳にするようになったが、実は古くて新しい問いかけ。道が掲げたのは1985(昭和60)年というから20年前になる。だが、なかなか浸透しない。さらなる取り組みが必要と今年7月に立ち上げた組織が「北海道観光のホスピタリティを考える」プロジェクト会議▼9月中旬に第1回会議を開催、10月20日には「観光ホスピタリティ」のホームページを開設した。「北海道への好印象と『また来たい!』と思う満足度を与えるような、道民総ぐるみのおもてなしの実践を」。改めてこう呼びかけている。(H)


11月11日(金)

「ステップアップ」という名の広報誌をご存知だろうか。函館市文化・スポーツ振興財団が毎月、発行しているものだが、この11月号は記念すべき200号。道内の同種団体から参考とされるほどの内容で、今や市民の間にすっかり定着した存在に▼市民会館、市民体育館、文学館や屋外スポーツ施設などの管理運営、さらに文化や芸術、スポーツ活動を振興する組織として同財団が発足したのは、今から16年前の1989年のこと。大会、行事の告知を含めPRを目的に発刊されたのが、この「ステップアップ」▼B5判で8nからスタートし、徐々に内容を一段と濃くして現在はA4判で24nに。特徴は「タウン誌的な作りの広報誌」。直接管理する施設のほか、民間を含めた各施設の開催情報を掲載する一方で、いわゆる“読ませもの記事”に意を用いた編集を続けている▼その代表格として挙げられるのが、180回になる「函館ゆかりの人物伝」。函館はさまざまな分野で、多くの逸材を輩出している都市だが、登場人物の中には、その道で名を残しながら市民の間で意外と知られていない人も。その人たちにスポットを当てる企画として高い評価を得ている▼このほか145回を数える対談の「talk to talk」や110回になる「郷土にエールを贈る 私を育ててくれた函館の街」なども、読ませる企画。「これがなければ…」。毎月楽しみにしている人が多い、という話もうなずける。編集は大変と推察するが、さらなる「ステップアップ」を期待したい。(A)


11月10日(木)

♪もしもこの頭上に落とされたものが ミサイルではなく 本やノートであったら 無知や偏見から 解き放たれて きみは戦うことをやめるだろう ♪もしもこの地上に響きあうものが 爆音ではなく 歌の調べであったら〜 生徒たちは4番まで作詞した▼3年前だった。「平和」をテーマにした広島市立大州中学校の卒業式でのこと。世界一長い平和の歌を目指して「ねがい」を4番まで作詞、170人の3年生が大合唱。「世界の言葉で5番の歌詞を作りましょう」と、世界の子どもたちに発信したところ、これまでに250を超える歌詞が集まったという▼♪もしもアフリカがその地の暖かさを愛(め)でるなら 戦争や武器捨てて 平和と愛…これが大きなねがい」(ケニア)。♪平和の声を響かせよう 平和の思いを地球に聞かせよう…(イラン)▼一番新しいのは広島のコンサート(6日)で歌われたチェルノブイリ原発事故で被ばくした女性の歌詞。▼♪この青空にいつまでも太陽が輝きますように 子どもたちの笑い声が消えないように〜▼あす11日は87年前に世界中の人たちが「戦うのはもうやめよう」と誓った世界平和記念日だが、その後も戦争は絶えない。イラクでは子どもを含む約1万3000人の民間人が犠牲になったと伝えられる▼もしもこの足下に植えられたものが 地雷ではなく 小麦の種であったら〜(3番の一節)。今も世界には飢えに苦しみ、食べるものを求める子どもたちがいる。この現実に目を向けて…。あすは「ねがい」の5番目の歌詞を考える日としよう。 (M)


11月9日(水)

「切っても、すっても変色しないリンゴが試験場で誕生」。そんな情報を10月末、毎日新聞が報じた。研究したのは青森県りんご試験場(黒石市)で、既に農家での試験栽培の段階に入っており、早ければ6年後にも市場に出回るという話▼リンゴと言えば青森がイメージされるが、七飯など道南も産地。ということで、このニュースに関心を寄せたのだが、明るい話題であることは確か。リンゴの消費量は減少傾向で、他の果物に押されがち。その中で「変色しない」は、新たなうたい文句と思えたから▼リンゴが米国から日本にやってきたのは1871(明治4)年。その4年後に政府から苗木が配布されたのが青森県のリンゴの始まり、と言われる。以来、果物の中心的存在として君臨してきたが、今、抱える生食の消費回復対策の一つと目されてきたのが脱変色の研究▼リンゴにはポリフェノールという物質が含まれており、それが空気中の酸素に触れると酸化酵素の働きが生まれ、変色するのだそう。確かに品種によって程度の差はあるが、いずれにしても、それが要因でカットフルーツから除外される形になっているのは現実…▼同試験場の挑戦が始まった。20年以上も前にさかのぼるが、二つの品種を交配することから手がけ、ようやく試験栽培までこぎつけたのが「青り27号」。農業の試験研究、とりわけ品種の改良には時間がかかる。このリンゴも然りだが、その分、たたえるに値する研究成果をもたらした、ということでもある。(H)


11月8日(火)

本欄でも触れたことのある「NIE運動」。「N」はニュースペーパー(新聞)で、「E」はエデュケーション(教育)。英単語の頭文字だが、「教育に新聞を」という意味であり、新聞は教材として役に立つので活用してください、という運動である▼米国で始まったのが、ほぼ50年前。子どもたちの文字離れ、読書嫌いの傾向に対処する一つの方策として提唱され、欧米各国へ。わが国で着目されたのは1980年代半ば。まだ20年ほどでしかないが、日本新聞協会も力を入れ、学校で徐々に運動の輪を広げている▼それを裏づけるかのように実践校は年々増え、6年前に全国で324校と300校台に乗ったあと、昨年は402校、そして今年は476校までに。北海道は先進的な地域で、毎年、全国の10%弱を占め、今年も全国と北海道の組織が認定した学校は41校を数える▼函館・道南でも毎年1、2校が実践しており、ここ数年では函館の北星小、椴法華中や函館白百合学園中高校などが。全国の研究発表などをみると、実に多様に活用されていることが分かる。「読む」から始めて「読んだ記事の感想を書く」などはその一例…▼「社会への興味・関心が高くなった」など、成果も報告されている。としたら、さらに広く実践してほしい、理解もしてほしい、と考えるのは当然。その推進策として今年設けられたのがNIE週間。毎年、11月の第一月曜日からの1週間で、今年はきのう7日から13日まで展開される。(A)


11月7日(月)

66歳、まだまだ現役、海外で漁業指導に…。函館市の泉滋さんがシニア海外ボランティアとして漁法や漁具の製造を教えるため、きょう7日、パナマに向けて出発する。期間は2年間。かつての経験が役に立つなら、という心意気は見習うところ大▼泉さんは元日魯漁業の北洋トロール船の船長を務めた漁業のプロ。現役時代の今から17年ほど前には国際協力事業団(現国際協力機構・JICA)の要請でペルーに渡った経験を持つほか、退職後、昨年まではマレーシアで漁具改良の指導を行ってきている▼パナマは3国目となるが、その思いについて泉さんは本紙の取材にこう答えている。「海外では日本の加工技術などを学びたい人たちも多い。自分の経験を生かした指導ができれば…」。知識、実績があるから、と言えばそれまでだが、かと言ってなかなかできることではない▼“第二の人生”を海外での技術指導に、という話で思い浮かぶのが、以前に本欄で紹介したことがある原正市さんという人。本道の稲作指導の第一人者と言われ、退職後の人生を中国での指導に注ぎ、高い評価を得た人として知られるが、泉さんはいわばその漁業編▼退職後が長い今の時代、どう生きていくかは誰もが考えること。社会のために、趣味に、など様々だが、泉さんから教えられるのは、まだまだという現役意識を持つことの大切さ。というのも泉さんが選んだのは紛れもない現役の仕事であり、輝いて見えるから。頑張ってきていただきたい。(H)


11月6日(日)

「僕にはもう彼らは人間じゃなく、モルモットに見えていたんだ」。14歳の時、劇物のタリウムで義母を毒殺した英国のグレアム・ヤング。父親や友人らも毒殺し、1960年代の毒殺魔として世界を戦りつさせ、その猟奇的な犯行は小説や映画にもなった▼アンソニー・ホールデン著の「毒殺日記」を思い出した。中学校の卒業文集で好きな人物としてグレアム・ヤングの名前を挙げた静岡県の16歳の女子高生が、自分の母親にタリウムを飲ませたという事件が報道されたから。自殺を図るところなどヤングを模倣している▼タリウムは殺そう剤として使われ、致死量は1グラムと言われる。女子高生は薬品に関して教師もついていけないほどの知識があり、薬局やインターネットを通じてタリウムやスズ化合物、硫酸などを入手。猫やハムスター、ハトなど小動物に薬品を与えて実験を続けていたよう▼母親に飲ませたのは8月中旬からということだが、インターネットのブログ(日記)に、苦しむ母親の姿を「2、3日前から脚の不調を訴えていたけど、遂(つい)に殆(ほとん)ど動けなくなった」などと、冷静かつ客観的に書き込んでいた。なんと冷酷な…▼警察の調べに「父親には親しみを感じていたが、母親は好きでも嫌いでもない」と話すだけで、動機には触れていないという。ヤングもウィリアム・バーマーという毒殺マニアを崇拝していた。多感な高校生はいろいろなものに感化されるが、こんな事例は前代未聞。少女を猛毒タリウムに走らせた心の「解毒」が必要だ。(M)


11月5日(土)

景気の判断は難しい。そのよりどころの一つは各種の経済データであり、企業などの聞き取り調査だが、一進一退の動向ではなおさら。良くなりつつあるのか、その流れにあるのか、またはそうでないのか。今の北海道もそんな状況下かもしれない▼北海道財務局の経済情勢報告からもうかがえる。7月には「一部に持ち直しの動きがみられる」だったのが、先日、発表された10月は「一部に持ち直しの動きは続いているものの、一方で弱い動きもあり、全体としては横ばいとなっている」。なかなか微妙である▼全国的には回復基調が言われている。設備投資や求人などのデータが裏づけているが、好調なのは愛・地球博に沸いた中部圏や首都圏などで、北海道などはまだまだ。その流れにないというのが実感であり、現実だが、それこそ「横ばい」感覚。決して歓迎される表現ではない▼経済情勢報告には、7月と10月の項目別比較もあった。個人消費は「横ばい」から「おおむね横ばい」に、上期の企業収益は「増益見込み」から「減益見込み」に、住宅建設は「前年を下回る」から「前年並み」に、そして観光は「前年を下回る」から「前年並み」に▼それを総合的に分析すると先の表現となるわけだが、はっきりしているのは「(北海道が)まだ厳しい状況にある」ということ。先行きについても「おおむね横ばいで推移するものと見込まれる」というのだから、判断の悩みはなおしばらく。「横ばい」から解放される日が待たれる。(N)


11月4日(金)

働きたいけど働く場所がない。せっかく働いても職種とのミスマッチ、早期離職、フリーターやニートの増加…。そんな中、職業意識の育成などに力を入れている就職支援センター「ジョブカフェ」の機能が高められ、就職活動などに効果を上げているという▼34歳以下の若者の職業適性診断やカウンセリングから職業紹介まで総合的な役割を担うジョブカフェ北海道は、函館など道内5カ所にサテライトを持つ。情報があふれて選択肢も多く、自分に向いた職業は何かと悩み、何回か就職試験に失敗し自己嫌悪に陥って引きこもるケースも少なくない▼そんな迷える若者の気持ちをほぐしてくれるのがジョブカフェ。アドバイザーが個別サポートや就職相談に応じ、情報誌をそろえたライブラリーもある。「仕事探しは、自分探し」と、積極活用を呼びかけ、函館サテライト(ミニジョブカフェ)には先ごろ専従職員が配置された▼本紙によると、本年度上期の利用者は298人で、前年度の約2倍。サービス業などに就職という実績を残しているが、札幌の本部とテレビ電話で就職相談ができる「個別ブース」も設置、さらに面接対策などを指導する動画「eラーニング」の配信も始まった▼多い日には10人以上が訪れ、コーヒーを片手に求人誌をめくっているという。残念ながら景気回復の風は津軽海峡を越えず、働く場の少ない道南地方だが、今月と来月は「就活サポートセミナー」が開催される。ジョブカフェがさらに多くの若者に認知され、活用が広がることを期待したい。(M)


11月3日(木)

第3次小泉内閣が発足した直後に電話で行った世論調査の結果を全国紙などが2日、速報した。民意として示された答えは、まさに予想通り。内外に山積する課題解決の展望が不透明な状況にもかかわらず、新内閣の支持率は各社そろって50%以上▼参考までに各社の数字をみると、高い方から順に読売新聞が63%、共同通信が60%、日本経済新聞と毎日新聞が56%、そして朝日新聞が55%。改造直後に支持率が上がることはよくあるが、小泉内閣がこれまでと違うのは高い水準で、その現象を生み出していること▼一般論として高い支持率というのは「期待に応えてきており、今後も…」という思いの表れだが、実際に小泉内閣を支えているのは枕詞ともなっている「改革」への期待感。しかし、他方では成果や実績を多くは望めない、そんな思いを抱いている側面があるのも確か▼それだけ根が深い課題や懸案ばかりということだが、その辺りの心理は読売新聞の速報からもうかがえる。72%が改革路線は進むと期待する一方、56%が年金などの「社会保障改革は実現できない」、54%がアジア政策などの「外交政策で成果をあげられない」と▼でも、この高い支持率。それは「でも見守るよ」というメッセージなのだろう。構造改革、三位一体改革、さらには税制改革など「改革」の2文字が発するイメージが新鮮に映っているとも言えるが、どう答えが出てくるか。「改革続行内閣」に与えられた期間は、とりあえず1年しかない。(N)


11月2日(水)

「今年こそは(都道府県別の)交通事故死者ワーストワンの返上を」。11月は路面状態が微妙な時期といったこともあり、道内では死亡事故が懸念される月。道警は11月が鍵を握るとして11月末まで交通死亡事故抑止の特別作戦を展開している▼特に公共交通機関が十分でない地方では“生活の足”になっているなど、わが国は今や完全な車社会。これまでは道路の改良整備の遅れなどもあって、1970(昭和45)年には1万6765人を数えるなど、年間の交通事故死者が1万人を超した時代も経験している▼幸い近年は減少傾向にあり、昨年は全国で7358人。国は7年後の2012年には5000人以下を目指す方針を掲げている。その中で13年連続して都道府県別で最も多い状況にあるのが北海道だが、1995年の632人から減少に転じ、昨年は391人▼今年も2カ月を残す10月30日現在で、昨年同期より74人少ない240人(函館方面本部管内は13人減の20人)。このまま、と願いたいが、過去の統計が物語っているように北海道は11月が事故の要注意時期。農産物の輸送に加え、冬の前の行楽、さらには…▼峠には雪が、雨上がりの夜の路面は凍結するなど、速度の出し過ぎ、無理な追い越しなどが大事故につながりかねない。冬道運転に慣れる前の11月は、特別作戦が必要な月とも言える。この道警の思いを自分に置き換え、せめてタイヤの交換は早めに。そうした意識こそが事故抑止の原点と思えるから。(A)


11月1日(火)

小泉改造内閣が発足した。新内閣が背負っているキーワードは「改革」。待ったなしの構造改革はまだ手がつけられたに過ぎないからだが、小泉首相の自民党総裁任期切れまで残された期間はわずか1年、新内閣の閣僚に与えられた時間も長くはない▼諸外国から指摘される通り、わが国の首相の在任は短い。平成に入って小泉首相が就任した13年4月までに10人を数えたことでも分かるが、既に4年半を経ている小泉政権は異例の部類。当然のこととして、今改造が注目されたのも「次の…」が焦点となるから▼永田町ではこの1カ月ほど「麻垣康三」という言葉が流れ渡った。後継者候補とされる4人の名から一文字とった“名前”だが、その顔ぶれは麻生太郎、谷垣禎一、福田康夫、安倍晋三の4氏。そのうち3人が官房長官や外務大臣など、重要とされるポストに就いた▼予想された通り「競って(首相の座を)勝ち取りなさい」ということかもしれない。その一方で、いわゆるサプライズはなかった。この組閣をどうみるか、その答えを出すのは早計だが、新閣僚に求められるのは、当面する政治課題への不退転の取り組みである▼内政では赤字の財政再建をどう進めるか、年金をはじめとする社会保障の将来をどう構築するか、など。外交では北朝鮮問題を含めた近隣アジア諸国との関係改善、さらに基地問題も加わってきた対米政策…。ポスト小泉もさることながら、国民は第3次小泉内閣に「今すぐ…」を求めている。(N)


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