平成17年2月


2月28日(月)

●函館塩ラーメンサミット。今年の中止が決定されているが、関係者が苦悩する一方で、継続開催を望む声が多い。それは函館まちづくりフォーラム委員会が行った調査結果からも明らかに。昨年の来場者の74%、4人に3人が「また来たい」と答えている▼ラーメン人気は今や全国的。そのラーメンと言えば、まず挙げられるのが北海道であり、函館の塩は札幌のみそ、旭川のしょうゆ、とともに並び称される存在。実際に塩を売りにしている店も多く、「函館の塩をさらにアピールする機会に」と始まったのがサミット▼開催を重ねること3回。動員した人数や会場周辺商店への波及なども加え、期待通りの評価を得てきたのは誰もが認めるところ。ただし、その裏では関係者の負担が大きく、「残念ながら継続は…」という事態に。それは地域への大きな問いかけでもある▼資金に始まり準備、運営など、イベントの開催はいわば苦労だらけ。脚光を浴びるイベントともなれば、なおさらのこと。そこで求められるのが地域の後押しだが、このサミットにしても十分だったのかどうか。本当にやめていいのかがなお問われている▼クリスマス・ファンタジーも含めて気軽に議論する中で検証してみようよ、という思いから同委員会が企画したのが函館まちづくりフォーラムの開催。3月5日午後1時半から函館大で開かれる。どう考えていけばいいのか、このフォーラムは地域イベントの問題点を検証し、新たな方策を探る機会を提案しようとしている。(A)


2月27日(日)

●広告費も景気を推し量るバロメーターと言われる。前年割れが続いてきたが、昨年は4年ぶりに前年を上回ったという。大手広告代理店・電通が2月中旬に発表した推定だが、ただし媒体によって明暗が。いわゆる勝ち組はテレビとインターネット▼あまり目にする数字でないだろうから、あえて明らかにすると、マスコミ4媒体(新聞、テレビ、ラジオ、雑誌)に、折り込みや屋外広告などを加えた昨年の総広告費は5兆8571億円という規模。その中で4媒体が占める割合は、というと63%で、3兆6760億円▼最も多いのは誰もが想像できるテレビ。前年比4・9%増の2兆436億円だった。ちなみに新聞は1兆559億円、雑誌は3970億円、ラジオが1795億円という実態だが、数年前から5番目の媒体がじわりじわりと。そう、インターネットという名の新媒体▼実績が数字として表われたのは、9年前の1996(平成8)年ごろから。16億円程度から始まり、1年か2年で100億円台、5年も経つと600億円規模にまで。その後も毎年伸びて一昨年は1000億円に乗せ、昨年は前年比53・3%増の1814億円という▼ラジオを抜いて4番目の存在に。ブロードバンドの普及などが追い風になったこともあるが、勢いは増すばかりで、雑誌も射程距離に。広告費で圧倒的なシエアを持つテレビ、急成長するインターネット…。そう言えば、今、世間を騒がせているフジテレビとライブドアは、そこに身を置く企業である。(N)


2月26日(土)

●厚遇もここまでくれば、ただただあきれるばかり。そんな思いしか込み上げてこないのが、大阪市の職員に対する異常なまでの公費負担。「公務員は恵まれている」と言われるが、そのレベルどころでない。市民に対する背信行為であり、言い訳は通じない▼役所という世界では、民間で考えられない“優遇制度”が現存してきた。財政事情から見直されつつあるが、その中で大阪市の事例は転々。何度も報じられているが、福利厚生に対する多額の公費投入、職員へのスーツ支給など、同じ公務員からも驚きの声が上がるほど▼何事にも限度というものがある。厳しい批判にさらされて、大阪市は160億円余の削減を打ち出したが、この額、なんと学校が7、8校は建つ金額。しかも普通なら「この財政が厳しい時代、批判は甘んじて受けます」となるはずのところ、そうじゃないというから、驚きはさらに▼職員組合の市労連が削減の受け入れに難色を示しているという。既得権は放棄しないという考えなのか、何とずれた時代感覚だろう。そこには市民がどう思っているか、自分たちをどう見ているかの視点すらない。怒り心頭であろう大阪市民の気持ちがよく分かる▼様々な指摘をされている道路公団や社会保険庁もそうだが、恐らく表面化しなかったら、従前通りこの厚遇を続けていたに違いない。「いいかげんにせよ」。ほかに浴びせる言葉はないが、市民、納税者のために、という職責の原点を自ら取り戻すかどうか。求められる答えはその1点に凝縮されている。(N)


2月25日(金)

●「スキミング」。国語辞典風に説明すると「他人のキャッシュ、クレジットカードの磁気記録情報を不正に読み出してコピーを作成、使用する行為」となろうか。現代の落とし穴とも言える犯罪行為であり、特に最近は連日のように関連記事が新聞紙面に▼科学技術の進歩は日常生活スタイルまで変えさせ、今やカード時代。金融機関のキャッシュカードをはじめ、一人が十数枚は持っているのではないか、と言われるほど。便利かと言えば便利なのだが、それも情報が完全にガードされている前提があってのこと▼ところが、知らない間に暗証番号が読み出され、被害をこうむる事件が出てくると、最も大事な信頼度が揺らぎかねない。カードを返却して昔のように通帳と印鑑で、と考える人が出ても不思議でなく、金融機関も「それは所有者責任」と言ってはいられない▼ある大手銀行が独自の補償策の検討を始めたことを明らかにしたが、セキュリティーに優れたICカード化を対策として打ち出しているところも。そんな中、全国ニュースとして報じられたが、東京都内の信用金庫がカードなしの新型口座を売り出し話題になっている▼預金を引きおろせるのは口座のある店舗だけ、もちろん本人しか認めず、あらかじめ決めた幾つかの合言葉で確認する、などスキミングどころでない徹底したアナログシステム。今の時代に、と言うなかれ、カードとの差はコミュニケーションの有無。今の時代への一つの問いかけかもしれない。(N)


2月24日(木)

●貴重な高山植物が群生する山は数多いが、国内有数に数えられる一つが日高山系の「アポイ岳」。身近で親しみやすい山として愛好者が多い。登った経験のある人も結構いようが、その植物数約80種と言われ、標高800メートルクラスの山では珍しい存在▼その価値は早くから評価され、1952(昭和27)年には、高山植物群落として国の特別天然記念物に。5月を迎えるや「ヒダカソウ」「サマニユキワリ」などが咲き始め、本格的な登山シーズンに入る5月下旬になると、登山道から眺められるだけでもかなりの数に▼かつて盗掘で悩んだ時代もあるが、地球温暖化の影響か、今は植生面での危機が叫ばれる事態。ハイマツが増殖して高山植物の生育範囲が狭められていると、専門家は指摘している。実際、全体として花が極端に減っている、という▼「今のうちに何とか手を打たなければ…」。アポイ岳ファンクラブなど地元の人や研究者が立ち上がった。この26日に発足会議を開いて、再生委員会(カムバック1952アポイ岳再生委員会)を発足させる。「保全から再生・復元へ」をうたい、今後の取り組みを決める▼希少価値のある高山植物を保護する事例は多いが、自然現象によって植生が変わってきた現実に目を向けた行動はまれ。その究極の目標は「どうすれば回復させ得るか」であり、調査を通した実態の把握から手がつけられることになろうが、この難しい問いかけに対する挑戦が今、始まろうとしている。(H)


2月23日(水)

●生と死は永遠のテーマだ。40数年前、記者になった頃、青函連絡船や立待岬からの投身自殺者が、水上警察だった旧函館西署の遺体安置室に運ばれた。連絡船から飛び込んだ遺体は損傷がなく、きれいな姿で「このまま生き返ってほしい」と合掌したものである▼先日、北見市の河川敷の堤防で倒れていた27歳の女性。駆けつけた救急隊員は意識や脈、瞳孔反応がなく、死後硬直もみられたため「死亡」と判断した。警察の遺体安置室に搬送されたが、1時間後に検視したところ心臓の鼓動を確認、生きていた。救急隊員の死亡判断に問題はなかったというが…▼一般に死亡宣告は医師が心臓の停止を確認した時。3年前、愛知県の病院で「ご臨終」を宣告された50代の主婦が、霊きゅう車も手配された20分後に息をふきかえしたという話もあれば、脳疾患で倒れた人の枕元で「ダメだな」と話しているのが聞こえ、自分から話せなく歯がゆかったという話も▼そういえば、英国で61歳の主婦が死亡宣告の4時間後に霊安室でいびきをかいていたというケースもあった。北見市の当日の気温は氷点下2・5度。専門家は「低体温の時は生命反応がなくても病院に運んで、蘇生への医療が必要」と説く▼臨死体験者は三途の川で「来るな」と言われ、引き返した…。あくまでも死亡を判断するのは救急隊員ではなく医師だ。論語ではこう言っている。「生きることも分からないのに、死のことが分かるはずがない、死を思いわずらうことなく今を精いっぱい生きよ」と。(M)


2月22日(火)

●北海道日本ハム球団は、キャンプ中にパチンコ店で喫煙していたダルビッシュ有投手(東北高校3年)に「自覚と責任を求める」(ヒルマン監督)として謹慎処分にした。高校も卒業式を前に停学処分を決めた▼妊婦がたばこを吸うと赤ちゃんの発育、知能の発達も悪くなるというし、米国の研究チームが実施した短期記憶力などの受動喫煙テスト(対象は6〜16歳)によると、ニコチン濃度が高くなるにつれ、読解、算数、論理的思考力の点数が低かったとも…▼世界で年間490万人がたばこ関連で死亡しており、仏教国ブータンが完全禁煙国家を宣言。ノルウェー、イタリア、キューバなども相次いで「禁煙法」を施行、レストランなどにも「分煙」を義務付けた。中国も高タールのたばこ販売を規制するという▼肺がんになる、心筋梗塞の危険性を高める、など言われる悪影響は数え切れない。子供がたばこを吸い始めるのは好奇心から。函館でも補導された少年の96%が喫煙(03年度)の経験があり、うち61%が高校生。しかも女子が男子を上回っているという話もある▼27日には約60カ国が批准した「たばこ規制枠組み条約」が発効する。発効から5年以内に広告を禁止する、未成年者に自動販売機を利用させないなどが柱。▼ダルビッシュ投手はまだ高校生であり、法を犯したことは事実。球団はボランティアなどの謹慎を、学校は停学処分を課したのは当然。代償は大きいが、それを糧として立ち直った“投球”をみせてほしい。(M)


2月21日(月)

●一向に減らないばかりか、新手が登場する消費者被害。苦情や相談、救済を求める件数が増え続けている。それに「おれおれ…」に始まった振り込め詐欺が横行して、今や「まずは疑ってかかれ」と認識しなければならないほどの現実に▼誰もが承知している。悪徳商法や架空請求などに対する啓発が必死に展開されていることは。注意を喚起するパンフ類は数多く出され、新聞やテレビなども実態を多角的に報道。さらに講演会の開催もあれば、消費者センターなど相談窓口も各地に設けられている▼だが、それでも後手に回り、お年寄りなど弱者を狙った“魔の手”は、あの手この手で忍び寄っている。さらに一歩進んだ対策が必要、ということで改めて注目されているのが地域の連携。函館でも検討されているが、一足早く江差で取り組みがスタートする▼江差町消費者被害防止ネットワークで、町内会などの住民組織が加わっているのが特徴。「今○○地区に不審な訪問販売が」とか「架空請求が○○地区に届き始めている」といった情報が、リアルタイムに近い状況で伝達でき、地域がそれを共有できる▼「地域で今、何が起きているか」が把握しやすく、予防対策としての効果は大きい。よく言われるが、注意してください、という一般論としての喚起には限界がある。確かに「身近で、今、こういったことが…」の情報なら、臨場感を伴って伝わってくる。「江差を参考に」。そんな思いがする。(A)


2月20日(日)

●「公共施設は住民が利用しやすいように」。当たり前のことだが、現実はまだ完全にその域にはない。官庁側は否定するにしても、管理の論理が先にありきの感は否めない。時々批判を浴びながらも、これまではその論理がまかり通ってきた▼確かに、結果として住民が許してきたということにもなるが、今の時代は…。大阪市のヤミ給与や背広支給などの呆(あき)れる実態は論外として、注がれる目は厳しくなるばかり。こうなっては本来のあるべき姿に戻らざるを得ない。そのキーワードとなる言葉は「住民本位」▼いわゆる役所の論理を捨てて、住民が何を求めているか、役所としてどう応えるか、という基本的な問いかけだが、そこに近づくための鍵は意識改革。施設の運営を例にとっても、どう管理するかでなく、どうしたら利用してもらい易いか、を考えることもその一つ▼そんな中、室蘭市から新たな情報が飛び込んできた。青少年科学館など社会教育4施設を夏・冬休み中、無休にする方針を固めた、と。既にやっていること、という施設もあろうが、全体として踏み切ろうとする同市の取り組みの裏にうかがえるのは、この「住民本位」の考え▼あらためて行政が問われているのは、住民とともに、の姿勢。パートナーシップや協働などさまざまな言葉が登場しているが、表現がどうあれ、前提となるのは住民と行政が理解し合える関係の構築。そのためにはまず行政が姿を見せなければ…。「変わったな」。こうした提案が最も伝わりやすい。(H)


2月19日(土)

●壊したり、なくしたりするのは簡単。何事もそうだが、一度失ったものは二度と取り戻すことはできない。「目先の事情にとらわれることなく…後悔なきように」と言われるのもそれ故。学術的に意義ある、貴重なものだとすると、なおさらのこと▼残った。守られた。約4000年前の縄文時代後期とされ、発掘が進む森町の「鷲ノ木5遺跡」。極めて価値が高いと位置づけられる大規模な環状列石(ストーンサークル)が注目を集めているが、建設中の高速道路建設計画ルートにあることから保存を巡って議論に▼「迂回にはばく大な経費がかかる」「保存を前提に考えるべき」。道路公団、地元の森町、さらには道教委、研究者を交え、この1年ほど議論が続けられてきたのは記憶に新しい。その結果、出された結論は「(環状列石の下を)トンネル化して、現状のまま保存する」だった▼「道と公団が事業連携して高速道路の建設費を軽減し、トンネル建設の財源をねん出する」「道教委は地元と協力して国の史跡指定に向けた手続きを進める」。道、道教委と道路公団の合意内容の一部だが、そこから伝わってくるのは、互いの立場を認め合った姿…▼森町ばかりか道南にとって、高速道路の工事継続と保存という両方の思いがかなったのだから、まさに最高の形での決着。意義ある議論から意義ある結論が導かれる、そんなモデル的な事例と言って過言でない。さて、どう保存し、守っていくか。新たな英知の結集が求められている。(N)


2月18日(金)

●「協働」という言葉が脚光を浴びている。何となくイメージが浮かぶ言葉だが、古い辞書には見当たらないところをみると、比較的新しい部類の言葉。「同じ目的のために協力して働くこと」。ちなみに最新版の辞書(三省堂・大辞林)はこう解釈している▼確かに響きもいい、言わんとしている趣旨もいい。そこからはNPO活動などに通じる精神もうかがえる。だからというわけでもないだろうが、行政の場で急激に使われるように。例えば兵庫県。参画と協働の推進に関する条例が施行され、参画協働課という部署も▼佐賀県は昨年10月末に県民協働宣言を打ち出した。こうした事例は数え切れないほどだが、「そうか」と改めて感心していたら北海道も。「産消協働」という言葉を編み出し、新しい運動を提案し始めた。推進道民会議を設け、1月31日に行った産消協働道民宣言がそれ▼地産消費とだぶって受け止めた人がいるかもしれないが、もっと大きな枠組みで幅広い観点から地域を考えていこうという問いかけ。「真っ先に選びたい道産のもの・サービス」「愛そう活かそう大地の恵み」など、アピールするための柱として5項目を挙げている▼その背景にあるのは「みんなで…」という思いであり、目指すは理解と協力の輪の広がりだが、頭で分かってもらえても実際の行動、そして成果となると容易なことでない。というのも主役は住民で、鍵を握るのは住民の意識だから。その醸成は「協働」の意味を真に知ってもらうことから始まる。(A)


2月17日(木)

●「私の祖父母は物を大事にしました。お米1粒こぼしても叱(しか)られた。小さい時から物を大事にしようと教えられました」。どんなものにも無駄がないという仏教の「もったいない」の精神で、生活空間のバイオ・リージョン(生命地域)まで実践(山口昭著「もったいない」)▼9本の苗木が3000万本の木に。植林活動でアフリカ女性で初めてノーベル平和賞を受賞したケニアのワンガリ・マータイさんは「3Rは大好きです。日本には≪もったいない≫というすばらしい言葉があります」とごみ減量、再使用、再利用の日本の3R運動を評価している(毎日新聞)▼温暖化防止には住民一人ひとりがライフスタイルを見直して、身近なことから始めるしかない。マータイさんは、ぜい弱な地球環境を救うには、すばらしい価値観をもつ「もったいないの心」を国際語にして世界に広めたいと、話したという▼日本の二酸化炭素などの排出削減は1990年比6%を目標に挙げたが、03年には8%ほど増えて、実質的には14%の削減が必要。よほどの覚悟がいる。スーパーの駐車場で買い物が終わるまでアイドリングしている車を見かけるが、車の1日5分のアイドリングストップで年間39キロ削減できるそうだ▼ほぼ20年ごとに地球の気温は1度高くなり、海面は上昇。ツバル共和国など南太平洋の島国は今世紀半ばまでに消滅するとさえ言われている。日本は「もったいない」の精神でアメリカ、中国、インドなどに議定書の批准を呼びかけよう。一世紀後に「日本人のおかげで地球は救われた」と言わせなければ…。(M)


2月16日(水)

●函館のシートベルト着用率は道内主要都市で最低。そんな調査報告が公にされている。函館の交通マナーというか、運転マナーについては様々指摘されるが、最低と聞いても、そうか、と。そんな感覚になっていることにハッとする▼北海道は全国的にも着用率が低く、道によると88%で全国36位。その低い北海道で、函館の低い姿がくっきりと。それも昨年ばかりでない、義務化されて以降ずっと。道警とJAFが昨年10月の初旬に10日間行った調査結果にもはっきりと表れている▼主要7市のうち最も着用率が高かったのは帯広で94%、さらに苫小牧の93%、旭川の91%、札幌の90%、釧路の89%などと続き、函館は、というと80%どころか70%にも届かない69%。この差は意識の差、と言われれば弁解の余地はない。なぜ函館だけがこうも…▼選挙の投票率もそうだが、どうしても理解に苦しむ。「シートベルトは命綱」という言葉がある。昨年(11月末現在)の統計で、運転中死者のうち非着用者は55%。「その55%の中の58%は締めていれば助かった可能性が大きい」。道の広報はこうも伝えている▼安全意識の指導、啓蒙活動はシートベルトの着用ばかりでないが、今の時代、運転マナーは大事な社会常識の一つ。それを守ってこそ、安全が確保されるのだが、真摯にそう受け止める姿勢がない限り、いくら叫んでも変わりはしない。問いかけられているのはこの低い着用率を恥ずかしいと思い、大変な汚名と感じるかどうか、ということ。その答えは今年の調査で明らかにされる。(N)


2月15日(火)

●産業の振興に試験研究機関が果たす役割は大きい。工業技術もさることながら、北海道の場合、特に農林水産業に目を向けると分かりいい。厳しい気候風土、土壌条件を克服して農業が今日の地位を築けたのも品種の開発、栽培技術の改良があったればこそ▼戦後の60年を振り返っても、昭和の30年代までは凶作年や冷害年の合間に平年作年がある、まさに自然との戦いと言って過言でなかったほど。試験研究機関に大きな期待が寄せられたのもうなずけるが、品種の開発、技術の改良にせよ、そうそう容易なことでない▼成果や効果が確認できるまでに数年を要し、それを農業現場に生かすまでとなると、なお時間がかかる。だが、地道な取り組みはうそをつくことはない。実際にそれが実を結んだ延長線上にあるのが今日の北海道農業。試験研究機関の役割に終わりはない▼出来れば…。研究機関―普及所―生産者の構図はそれとして、直接、生産者に解説する場があるべき、という考えが台頭したのも当然。新品種や新技術の発表会が開かれるようになって10年余り。国、道の試験研究機関が3カ所ある十勝が先鞭をつけ、道南でも今年で7回目に▼道南農業試験場が主催して17日、大野町農業振興センターで開かれる。ちなみに今年、発表される新技術は「ヒトデ混和たい肥の路地野菜へ施用」など6つ。確かに短時間だが、研究者と生産者の距離を近くさせる場、と考えれば、必ずしも時間は問題でない。大事なのはこうした場を通して接点を広げていくことだから。(A)


2月13日(日)

●地域の振興を論じる時、住民活動や文化活動を抜きにできない。それだけ意義を持っているということだが、功績を讃(たた)える表彰が多々あるのもそれ故。国レベルもあれば道、市町村レベルまで。道内で言うと「北海道地域文化選奨」は、その代表格▼地域の文化振興にまで活動が広がりを見せているかどうかに加え、将来への継続性、発展性が期待できるか、も選考基準になっているのが特徴。1993(平成5)年度に創設されて12年。過去11回で33の団体、企業が選ばれている。参考までに道南からは…▼第2回の五稜郭タワー株式会社(企業市民文化賞)を最初に、江差地域大学(第5回・地域文化選奨)、函館市民オペラの会(第8回・同特別賞)、七飯町民劇場(第9回・地域文化選奨)と続き、昨年は函館山ロープウエイ株式会社FMいるか(企業市民文化賞)が受賞している▼そして第12回の今年度は、こども冨貴堂(旭川)、やきもの21(江別)とともに、八雲町の八雲山車行列実行委員会が地域文化選奨特別賞に。知られるように道内三大あんどん祭りの一つ。町の青年団体が行った山車行列から始まり、20年余りで大きな存在に▼確かに歴史は浅いが、今や地域にすっかり根づいた存在。「心のふるさとづくりや地域の誇りづくりに大きく貢献しており、今後の地域文化の活性化に寄与することが期待される」。選考理由はこう讃えている。地域が生み出し、育てた地域文化の紛れもない実践例。表彰式はきょう旭川市で。拍手を送りたい。(H)


2月12日(土)

●1年にたった1度の待ちに待った日がやってきました。バレンタインデーだから、思いきって告白します。私は○○さんが好きです。はつらつとしたお仕事ぶりや私たちへのきめ細かい心配り。あなたの存在を頼りに仕事に励んでおります。お返事は1か月後のホワイトデーに…▼1736年前、ローマ帝国では若者が戦争へ行かないのは伴侶との別離を嫌がるからだ、と結婚は禁止されていた。あるキリスト教の司祭は隠れて結婚式を挙げる兵士たちをみかねて、密かに手助けしてやった。これが皇帝に知られ、2月14日に反逆罪で処刑された▼前者は日本郵政公社のホームページに公式に掲載されているバレンタインデーの告白文。こんな例文があるとは知らなかった。後者は男女の仲をとりもったがために、処刑されたアイルランド人の殉教者・バレンタイン。それ以来、女性が恋人に愛を告白する日に▼春を待つ小鳥たちが愛をささやき始める時季。50年ほど前からチョコメーカーが日本独特の恋愛文化にまで作り上げた。本命チョコ、義理チョコ、最近は女性同士が持ち寄る「友チョコ」や、ちょっと淋しい「自分チョコ」も多い。義理チョコは世界的にみて珍しい風習だという▼バレンタインデーの呪縛に悩み「最悪の事態に備えた自腹チョコ」派も。今年はチョコのほか、ハート型のステーキもお目見え。本命で3120円、義理で676円のお金を使い、1人9・5個贈るという。「愛のチョコ 賞味期限は無限です」が一番いい。大津波被災地には、救援チョコだ。(M)


2月11日(金)

●地域の産業振興等に道路が果たす役割は大きい。広い面積を持つ北海道は特にそうだが、その整備は、と言うと、遅れていた地域。開発予算の中で道路が柱として位置づけられてきたのもその表われだが、おかげで整備はかなり進んだものの、今なお開削工事中の所も▼2003年度段階で工事中のいわゆる開発道路は18路線。自然保護か開発かの議論に揺れ、時間の経過とともに費用対効果も薄れて事業中止となった日高中央横断道(静内―中札内)を筆頭に、その後、7路線が消え、残った11路線にも見直しの目が▼既存路線の状態が悪かったり、交通量が増えたりして、どうしても代替路線が必要とか特別な理由があれば別だが、そうでなければ…。財政や経済論理ばかりでなく、時間の経過とともに変化する社会情勢に照らして必要度を検証していくのは当然のこと▼道の「時のアセス」が誕生した根っこの考え方もそこにある。開発道路に関して言えば、検証しているのは北海道開発局の事業審議委員会だが、先日の会議で新たに5路線について事業の中止を答申した。いずれも着工から15年以上が経過し、工事の進ちょく率も60―20%という路線▼その中に道南の館町福島線(39・1キロ)も含まれている。地元からは「勝手なことを言うな」という声も聞こえてきそうだが、着工して30年も経ち、この先に難工事区間が控えていると言われれば…。完成すると便利、確かにそうだが、今や費用対効果が問われる時代である、となればうなずくしかない。(N)


2月10日(木)

●「妻パート 俺は日当で 子はニート」や振り込め詐欺などを風刺した恒例の「サラリーマン川柳」の入選作100編が決まった(第一生命)。インターネットで「ベスト10」の募集に「丸投げを 投げ返されて 雪だるま」に1票を投じた▼児童を対象にした読み書きの能力調査で、正答率が低かった「まるい形の葉っぱ」のまるは円が正解で丸は誤りだとありましたが、以前は円をまるいと読む教育はなかったような気がします。広辞苑でも「まるい」は「丸い・円い」とあって、それ以外の説明はありません(毎日新聞の投書欄)▼一般社会でさえ判然としない、このような問題を児童に解かせること自体、おかしいのではないかという。全く同感だ。「円い月」「円い鏡」「円刈り」などは、あまり聞いたことはない。家庭円満などは「欠けたところがない」ことから「円い」と読んでもいいが…▼「丸投げは どんな技かと 子にきかれ」という川柳もあり、小泉首相が「丸(円)投げ」をすればするほど窮地に追い込まれるの意味からも、冒頭の作品を支持した。丸い顔は短気な性格を隠すともいわれるが、スーパーで生後11カ月の幼児の命をナイフで奪った「だ円形の顔」の男は許せない▼刑務所から出たばかりで金も職もないとはいえ、「イライラが募った。たまたま幼児が目に入った」とは、何たることか。「円木警枕(えんぼくけいちん=わずかな時間でも働いたり、勉強すること)」が死語になったとは思いたくはないのだが、残念ながら現実は…。(M)


2月9日(水)

●「地球温暖化は既に現実で、対策を講じなければ…」。国立環境研究所(独立行政法人)が1月末に明らかにした研究報告だが、それは警告とも言える内容。確かに近年の気象状況、例えば気温や雨量などにしても昔と違うな、と感じているが、それにしても…▼「日本でも気候、生態系、都市環境、人の健康など幅広い分野において既に地球温暖化が原因と思われる影響が顕在化している」。この報告の現実認識だが、さらに続けて「地球温暖化の進行によって日本における影響の範囲や強度の増大が予測される」と▼実際に20世紀の100年間で、東京の平均気温は約2・9度、日本では約1度上昇し、熱帯夜が増え、真冬日が減少しているという。こうした気象の変化は当然ながら植物にも影響し、その事例として桜の開花時期のほか、アポイ岳(日高管内)の植生変化を挙げている▼ソメイヨシノで言えば、1989―2000年の平均開花日は、1971―2000年より3・2日早くなっているといい、またアポイ岳では「キタゴヨウの生育高度の上昇に伴い、ヒダカソウなどの高山植物が減少しハイマツ等が拡大している」▼そこで「このまま対策を講じなければ…」となるのだが、日本の夏の平均気温は4・2度上昇、降水量も19%増加するそうで、植物の生態系への影響が一層広がり、季節産業や日常生活にさらなる支障が生じかねない。色々な角度から言われるが、温暖化の事態は深刻。この研究報告の問いかけにも異論はない。(A)


2月8日(火)

●「将来への不安?」と聞かれたら、「そりゃあるよ、それも一つや二つでなく、数え切れないほど」という答えが一般的だろう。雇用の実態、不信感が増幅するばかりの年金問題は、多くの人に共通したその理由。残念ながら現実がそう教えてもいる▼覚えているだろうか、2月に入ってすぐ、こんなニュースが報じられた。一つは雇用情勢に関連して「常用雇用は7年ぶりに増加するも…」という記事であり、もう一つは年金の納付率で「設定した目標達成は初年度からほど遠く、2600億円の不足に」という話▼そこから読み取れるのは、何も変わっていないという姿。一般論ながら、雇用の安心は収入の安定につながり、年金などの納付にも結びつく。そこで大事になるのは雇用であり、政治に対する信頼だが、この両要素が満たされているならば将来への不安は軽減される▼ところが、その雇用はと言うと、増えたのはパート従業員。ついに就業者の25%まで占める実態を好転と言うのは…。フリーターやニートが増えている現実も厳然とあり、年金を取り巻く環境が厳しいことに変わりはない▼政治に対する信頼でもあればまだしも、それも欠けている。この1年、年金財政の管理運営での呆れる実態が次々と表面化したが、どう考え、どうしようとしているのか。国会での議論が聞こえてこないばかりか、行動する姿も伝わってこない。これでは…。政治が不安を増幅させていると言われても仕方ない。(N)


2月7日(月)

●地元が誇る農水産物も知名度を広げるとなると、そう簡単ではない。品質には絶対的な自信を持っているにしても、競合する産地との差別化をどう図っていくか、は大きな課題。鍵を握るのは宣伝と言われるが、最近はパンフレットにも様々な試みが▼そんな中、1月末の本紙で、こんな見出しの記事が目についた。「新鮮さアピール『知内魚全書』作製 パンフ配布へ」。知内町などが地場産魚介類の紹介パンフレットを作ったことを報じる記事だったが、これもその試みの一つ。現物を手にとってみると、確かに…▼四つ折で畳むと幅10センチ、縦21センチの大きさ。地元で獲れるカキ、マコガレイやヒラメ、ツブ、ウニ、アワビ、クロソイなど15種類ほどの水揚げ可能時期を月別表のスタイルで紹介していたり、旬の時期や食べ方をそれぞれ魚の絵入りで紹介しているのも新しい趣向▼いずれも「餌が豊富な津軽海峡の海流(しお)で育った…」とうたい、例えばマコガレイをみると…。旬は1月から4月と教えた上で「知内産のまこがれいは発育が良く、脂がのった絶品。まずは刺身だが、煮つけや唐揚げでもまた違った旨みを体験できる」など▼このパンフでうれしいのは、魚の旬を明記していること。魚を知って、関心を持ってもらうために欠かせない用件だからだが、次の時の参考に、と気づいたことが…。それは魚ごとに幾つかの調理方法(レシピ)を紹介する小型冊子である。紐を通して台所の壁にかけ、日常的に使ってもらえるかもしれない。(A)


2月6日(日)

●「マナー」は社会にとって永遠のテーマ。街中や乗り物をはじめ至る所で問われるが、現状はどう認識されているのだろうか。答えを求める調査は多々あるが、NTTドコモの新しい季刊誌「Anywhere」創刊号も多面的にその現実を教えている▼調査は設問が鍵を握ると言われるが、実態を興味深く知ってもらうという意味で分析、報告の仕方も大事。この調査を取り上げたのは、例えば「街中でキスする光景を見る」のと「電車内のケータイ会話の光景を見る」のとの不快度比較など、それを感じたから▼確かに興味がわいてくる。ちなみにその結果は、というと「街中でキス…」よりも「電車内のケータイ…」の方が不快度は上。率で示すと、74・6%対91・0%だった。さらに注目されるのが、五感と不快の関係。音やにおいなどの中で最も不快に感じるのは、という問いかけ…▼工事音や音楽音など、どの音が不快か、といった調査はよくあるが、五感の比較は珍しい。音が最も不快度を抱かれているという結果が導かれている。視覚の19%、においの27%に対し、音はこれらの2倍以上の54%も。その音の中でもケータイには厳しい評価が▼そこから透けて見える現実は「公共のマナーとして、より不快度を持たれているのは音で、とりわけケータイは」という姿。「環境の変化に応じて意識を変える。そんな姿勢から新しいマナーが生まれてくるのではないか」。自ら使用モラルに問題が多い現実を明らかにした上で、報告はこう締めくくっている。(H)


2月5日(土)

●「住所が分からない場合、自販機を探してください」。清涼飲料メーカーが、自社の屋外自販機に住所表示ステッカーを添付する作業に乗り出している。本紙も先日、函館・道南での添付開始を伝えたが、3月末までに予定しているのは3700台▼住み慣れた都市でも、自宅近辺から離れると漠然とした見当はつくものの、正確にはなかなか。函館で言うと、何々町ぐらいは言えるが、地番までは難しい。必要に迫られて何かに表示されていないかと周りを見渡した経験があろうが、表示がもっと身近にあれば…▼事件事故などに遭遇し、通報する時などには、特にそんな思いが。かつてのように公衆電話などからなら、ボックス内の表示で分かったものの、近年は携帯電話からの通報が増えている。近くに目印になる建物などがあれば別だが、意外と確認に手間取ることが多いという▼通報の55%が携帯。道警函館方面本部の昨年の統計だが、確かに「周りに表示があれば」ということになりかねない。その対策として白羽の矢が立ったのが自販機。全国消防長会の要請に全国清涼飲料工業会など業界団体が応えたもので、今まさに、その取り組みが▼言われてみれば、自販機は街角にたくさんある。全国で表示が予定されているのは約150万台ということだが、経費面から推しても、地域社会からも歓迎される、紛れもない業界の社会貢献事業。「住所の確認は自販機で」。そんな行動が定着するのも時間の問題かもしれない。(A)


2月4日(金)

●「健康は三度三度の食事とバランスのとれた栄養、そして適度な運動から」。よく聞き、忘れられないほど頭にたたき込まれている生活常識だが、現実にどうか、と問いただされると答えに窮してしまう。そんな一人だが、どうやら結構、多いらしい▼本欄では以前にも朝食の問題などを取り上げたことがあるが、食事が崩れ始めて久しいと言われる。サラリーマンばかりか学生、子どもにも朝食抜きが見られる、そんな報告もあるが、朝ごはん実行委員会が明らかにした20歳代独身女性の朝食実態調査の結果も然り▼約8割が朝食は取るべき、という認識を持ちながらも、実際には毎日食べている人は半数の51%。逆に毎日食べていない人が11・4%。4年前の調査では8%ということなので、朝食の摂取状況は悪化の動き。しかも「しっかりと」という点も薄れてきているよう▼これではまずいかな、そんな気持ちの表れがサプリメント、いわゆる栄養補助食品への依存ということに。同調査はその点も触れ、興味深い現実を浮き彫りにしている。それは利用実態だが、「ほとんど毎日利用している」と答えた人は27・3%を数え、4人に1人強…▼それに「週に何日かは」の13・4%を加えると、依存派は4割を超える。ただ、利用する理由が美容(42%)や体調維持(31%)などよりも栄養補給(55%)が多いのが気になるところ。「十分でない朝食やダイエットの補完をサプリメントで」。そんな姿が読み取れるからだが、これも現代の姿と言われれば…。複雑な思いが込み上げてくる。(H)


2月3日(木)

●「YES!clean」。この文字が浮かぶラベルを張った商品を見たことがあるだろう。北のクリーン農産物表示制度の認定基準に合致した、安心・安全のお墨付きを得た農産物という証。北海道クリーン農業推進協議会は「北海道安心ラベル」と呼んでいる▼道内ではこの数十年、土づくりをはじめ、質にこだわるさまざまな取り組みを重ねてきている。ただ、まだ十分ではなく、その中で消費者は農薬や化学肥料にも敏感になり、一方で輸入ものが増えるなど、今や農産物も安いだけでは…。質が問われる時代に入っている▼新たな対策が必要、と農業王国・道が考えた一つが、2000(平成12)年に発足したこの表示制度。農薬・化学肥料の3割減、三つの質(安全、おいしさ、栄養価)の向上、を期す生産者にマークの使用を認めるシステムで、今年度も新たに47の生産集団が認定された▼これで全道の登録は104市町村の246集団に。このうち渡島管内に目を移すと、地域柄、登録のほとんどが野菜関係。ホウレンソウ、ダイコン、ニンジン、カブの七飯町野菜生産出荷組合をはじめ、トマト、ハクサイ、レタスで大野町野菜振興会、さらに…▼トマトで上磯町施設園芸研究会、リンゴで七飯町果樹組合など。いずれも各町の中核的な生産組織であり、これからの取り組みが期待されるところ。「公的なお墨付きは付加価値を高める」。この制度の意義もそこにあり、とりわけ生産地の消費者には理解が求められる。(N)


2月2日(水)

●1月の中旬だった。道内のある地域紙に、こんな見出しの記事が載っていた。「札幌市 やめます『女性半額』 施設利用の優遇廃止検討」。これでは何のことか分からないかもしれないが、その公的な施設とは男女共同参画センターの、使用料をめぐる話▼性差はそれとして互いを尊重し合える社会を目指す、というのが男女共同参画の趣旨。としたら、女性だけ使用料が半額なのはおかしくはないか、逆差別であり廃止して男女一本化の料金体系にすべき。そう問われた札幌市がどう受け止めているかを報じた記事である▼その結論は2006年度にも性差別料金を取りやめる方針を固めた、と。わが国は男性優位の時代が長かった。「雇用をはじめ多くの分野で今なお」とも指摘されるが、男女同権から今叫ばれているのが共同参画。そこにあるのは精神論の域から行動の域に、という思い▼それを後押しする男女共同参画社会基本法が施行されたのは2001(平成13)年1月。函館市は次の定例市議会に提案する見通しだが、多くの地方自治体で条例化が進められている。札幌市のこの問題は、そうした中で提起された事例。そこからうかがえるのは行政も、社会もまだまだ手探り状態という姿である▼だから法や条例が必要といった話になるのだが、気づかいも過ぎては…。男女共同参画の根底にあるのは対等という思いであり、だとしたら「女性だけが使用する場合は…」の判断はどうか。これも一つの問いかけなのかもしれない。(Y)


2月1日(火)

●「独裁を排して自由のために戦え。人生は美しく、自由であり、すばらしいものだ。諸君の力を民主主義のために団結しよう」。チャプリンが映画「独裁者」のラストシーンで訴えた名演説。イラクで約半世紀ぶりに民主化の試金石になる国民議会の選挙が行われた▼フセイン元大統領の信任を問う国民投票で「信任も投票率も100%」というような独裁国家が崩壊して3年目。各国の軍隊による治安維持や復興活動の中、シーア派、スンニ派などの宗派対立、外国からの武装勢力も入り混じった不安定な生活からの脱出を願った選挙でもある▼投票所に充てられた学校は鉄条網や戦車、装甲車、兵士らに囲まれ、テロ攻撃を警戒しながら、立候補者リストが投票日直前まで公表されず候補者の政策など聞く余裕もなかった▼アフガンの大統領選挙では、タリバンが「攻撃すれば罪のない人々の生命が失われるから攻撃を控えた」という。銃をもてあそぶ武装勢力は大衆に支持されない。「子どもによい未来を与えるために投票した」という80代の女性は、リンカーンの金言「投票は銃弾より強し」を実証した▼アナン国連事務総長が「暴力による混乱にもかかわらず、多くのイラク人が選挙の権利を行使した」と語ったように、命がけだった投票を大事にしたい。正政府が樹立できるまでには宗派・民族間の対立など問題は山積している。チャプリンの「自由は決して失われぬ」を信じて民主国家を創ってほしいと切に思う。(M)


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