平成17年5月


5月31日(火)

●札幌を中心に今年も行われるサマータイム導入実験に、道も参加を明らかにした。札幌商工会議所が提唱して昨年試みられ、第2回として道内全域に参加を呼びかけての実施。昨年より10日間ほど長い6月20日から7月末まで40日間の計画だ▼サマータイムは明るい時間が長い夏場、時計の針を1時間進める制度。午前9時の始業開始を8時にして、終業を1時間早くする、といった明るい時間帯の有効利用策。夕方の時間を余暇にも活用できるといったプラス面があり、欧米では80カ国ほどで一般化している▼わが国でも戦後の一時期導入されたものの続かなかった。それが「再び…」となった背景にあるのは地球の温暖化対策。経済産業省はサマータイムの省エネ効果を原油に換算して年間約60万キロリットル、二酸化炭素など温室効果ガスの排出削減は44万トンと試算している▼国会でも議員立法で制度化する動きがあるが、全国的に先行したが札幌市。昨年は一部金融機関も含め215社・団体が参加した。その後のアンケートでは経営者の86%、従業員の70%が「基本的に賛成」と答え、理由として「作業効率の向上」などを挙げている▼そして今年は道も参加するという。現業部門まで含め一斉に、とはいかないが、知事部局を中心に7月4日から29日まで。「北海道の夏の資源“15時間を超える日昼時間”を有効利用しよう」(実験スローガン)。昨年を上回る参加規模となるのは確かだが、どこまで広がるか、今年が持つ意味は大きい。(H)


5月30日(月)

●学校現場の教材として新聞の活用を―。日本新聞協会がNIE(教室に新聞を)運動を提唱して15年ほど。その任を担う日本新聞教育文化財団は先ごろ今年度の第一次指定実践校を発表した。全国で379校、うち北海道内は35校(他に独自指定6校)▼子どもたちが本を読まなくなった、それに伴い読解力も劣ってきている、そう言われて久しい。この文字離れ、読書嫌いを何とかし、活字文化に親しむ手段として新聞を、と生まれたのがNIE運動。アメリカ、ヨーロッパなどが先行、わが国が後を追う形で展開されている▼その具体的な取り組みが、新聞を教材として授業に使ってもらうこと。既に数多くの事例が報告されているが、実際に新聞の提供を受けて取り組む学校が増えている。10年前の全国112校が、昨年度は当面の目標としてきた400校を超えた▼今年度の一次指定でも分かるように、北海道は全国のほぼ1割を占める先進地。札幌、帯広を中心に早くから運動が広がり、今や独自に実践校を指定するまでに。その中で函館・道南は遅れ気味だったが、今年度は鶴岡小(木古内町)と白百合学園中高校が取り組む▼どんな実践報告が届くか楽しみだが、全国的には「世の中の動きに敏感になった」「出来事に自分の考えや意見を持つようになった」といった成果が報告されている。「運動の輪をさらに」。NIE週間(11月の第一月曜日から1週間)が新設された今年、各地の実践例が発表される全国大会が8月、帯広で開催される。(A)


5月29日(日)

●孫や子を名乗る振り込み詐欺をはじめ、マルチまがいの商法、当選商法、点検商法など、高齢者を狙った悪徳商法が後を絶たない。特に埼玉県で80代の認知症(痴呆)の老姉妹から全財産を奪った悪質リフォームはひどい。成年後見制度が生かされていない▼認知症と知りながら、雨漏り防止に屋根裏を修理する、床下のシロアリを駆除するとして、見積書など作らず16社が群がっていた。最多の受注はシロアリ駆除業者の2500万円。その後の調べで新たに3業者が加わり、総額は5000万円を超えた▼9社は幽霊会社で二重取りしている形跡も。ある業者は市の消費者相談窓口に妹を連れて行き「先に契約した業者の工事はずさん」と訴え、妨害された業者も妹を相談窓口に連れて行き、正当性を主張し、姉妹から1800万円の代金をとっていた▼長野県でも63歳の認知症の女性が十数社から自宅のリフォームなど600万円の契約をさせられた。成年後見制度は認知症や知的障害者などで判断能力が不十分な人の財産管理や生活上の契約などを第三者が代理する制度。ただ、この制度を利用しているのは全国の自治体の2割弱(北海道は11・3%)という▼制度に対する認識も十分でなく、申し立ての手続きが煩雑というのが理由のよう。老姉妹の埼玉県では、ようやく後見人を立て損害賠償の手続きに入った。地域の認知症などの動向はある程度、把握されているはず。市役所だ、消費者センターだ、などと言わず、密に連携して悪徳業者を追放しなければならない。(M)


5月28日(土)

●現行法では手続きさえすれば誰でも閲覧できる住民基本台帳と選挙人名簿。プライバシーの保護が求められる時代に「このままでいいのか」と問題が提起されてきたが、その議論は個人情報保護法の施行を機に広がり、国も見直しへと動き始めた▼住民基本台帳は個人情報の原点。法整備されたのは38年ほど前のことで、今と違ってプライバシーに対する意識が低かった時代だった。「誰でも閲覧できる」が考え方のベースだが、公的な意味合いを持つ世論調査などのためより、今や営利目的での利用の方が多い現実に▼これでは是非を巡る議論が起きて当然。一方で、知り得た個々人の情報を第三者に渡したり、漏らしたりしてはいけないとする個人情報保護法が生まれている。企業などに規制を求めながら、最大量の公的情報がこの状態では整合性が問われて当然▼総務省がようやく腰を挙げ、5月の中旬に学識経験者らによる検討会を立ち上げた。それは担当省庁が現行法の非を認めたことを意味する。今後、議論を経て法の改正内容に焦点が移っていくが、閲覧可否の線引きなど最終的には難しい判断を迫られそう▼一般論として「公」か「私」かがポイントだが、それじゃどこまでが「私」で、どこまでを「公」とするか、その線引きは容易でない。検討会の議論、判断が注目される理由もそこにあるが、少なくても「原則非公開に」と考えるべきである。そうでなければ個人情報保護法は重みを失いかねない。(A)


5月27日(金)

●東京・霞ケ関と聞いて浮かぶのは、よく言うと中央官庁街、少々皮肉っぽく言うと官僚村というイメージ。日比谷公園、国会に近く、裁判所などもあるが、中核をなしているのは各省庁。そのお堅い雰囲気は道路を歩いていても伝わってくる▼男性はほとんど白ワイシャツにネクタイ姿。昼休み時間ともなると、霞ケ関ルックであふれかえる。そうでない服装は違和感を覚える、と言っては大げさかもしれないが、どうやら6月からその雰囲気が変わるらしい。というのも、ノーネクタイ・ノー上着勤務になるから▼理由は地球温暖化対策。わが国は温室効果ガス1990年比6%減の達成目標を世界に約束している。ところが、現実はかなり厳しい推移で、早くも達成が危ぶまれる状況。中央官庁も冷房温度の28度設定をはじめ節電などに取り組んでいるが、新たに服装も…▼このノーネクタイ・ノー上着も、かねて奨励されていたことだが、そこは官僚さん。さっぱり進まない。ということで、あらためての呼び掛けになったという次第。そう言えば、以前、半袖ジャケットの省エネルックなるものがあったが、何年たっても定着しなかった▼この霞ケ関ルックは見るからに暑苦しい。というより実際に暑いのだが、気になるのはノーネクタイの効果。体感温度を下げる作用があるらしい。その結果として冷房を強にしたりしなくなるはず、と。民間も歩調を合わせるといいが、どれだけ徹底し、どんな姿を見せてくれるか。体質まで変わってくれると、言うことはないのだが…。(H)


5月26日(木)

●青森県への感謝を忘れずに。22日に着工式を終えた北海道新幹線の建設。夢から現実へ、その鍵を握ったのが、新青森から北海道側部分の地元財政負担に対する青森県の理解だった。それも県年間予算の10分の1にも当たる720億円である▼建設工事や開業に伴う経済効果に目が行きがちだが、現実問題として悩み多いのは建設に伴う地元(都道府県)負担。全長149キロ、うち新設区間約67キロ(北海道側38キロ、青森側29キロ)の新青森―新函館間で、北海道と青森県が負担を求められるのは1560億円▼青森県は今、工事中の新八戸から新青森までも負担している。はっきり言って、北海道への期待は東京に抱くほど強くはない。しかも終着のメリットもなくなる。負担が伴わないならまだしも多額である。最終的に了承するに至る過程で議論があったというのもうなずける▼青森県の理解の上に立った着工と言われるのもそれ故。記念の集いで、青森県に感謝を、という言葉が何度か登場した裏には、そんな事情が。これに対し、三村申吾知事は集いでこう語った。「大変な部分もあるが、新幹線にはそれを乗り越え、有り余る効果がある」▼函館市と青森市には今に続く歴史があるが、いま一つだった北海道と青森県の交流。連絡船からトンネルへと時代が移り、新幹線がその距離をさらに縮める役割を果たすことは疑いの余地のないところ。「(新幹線が札幌の)ライラックの下を走る日を待ち望みます」(三村知事)。青森県からのメッセージが爽(さわ)やかに伝わってくる。(A)


5月25日(水)

●津軽海峡大橋の実現も夢ではない。そう思わせるかのように、瀬戸大橋、鳴門大橋、レインボーブリッジ…。優秀な技術者の力で次々と美しい橋が出来た。精密工学を取り入れた日本の橋梁(りょう)技術は世界一。津軽海峡の場合、海底深くに巨大コンクリート構造物を造る技術が残っているだけと言われる▼高さ300メートルの大橋の主塔。1個400トンの鋼鉄製ブロックを30個積み上げるのに、主塔の傾斜を誤差4ミリ以内に、ブロックの隙間も0・04ミリ以内に抑える技術力と聞く。多くの大橋を造った鋼鉄製橋梁建設業(47社)の談合事件で2組織が刑事告発された▼鋼橋の発注量は年々減っており、受注額の3%から4%の利幅では業界が共倒れになりかねない。また、10年ほど前から予定価格を漏らす「天の声」もなくなって、各社が「ワーク」と呼ばれる会合で談合を積み重ねてきたという。公共事業だから年間動く約3500億円は国民の税金だ▼特に幹事8社は個別の入札ごとに「ワーク」を行って、入札に参加するだけのサクラと呼ばれる業者や落札予定業者を指示していたよう。広辞苑にはサクラは「露天などで客のふりして他の客の購買心をそそる者、まわし者」とある。談合のサクラは散りかけた汚いサクラだ▼公取委が入手したルール集によると、落札の優先順位、秘密厳守のほか、これを破ったら登録メンバーから抹消する罰則も。大橋や桜は美しいが、利潤追求に突っ走るこうした企業の心は美しいとは言えない。優れた日本の橋梁技術に、談合といった“悪”で泥を塗らないでほしい。(M)


5月24日(火)

●人間性だとか、常識だとか、そんな話はしたくないが、現実は、と言うと、それが問われる出来事があまりに多い。マナーという言葉に置き換えてもいいが、中でも便乗的な憂さ晴らしとも言うべき嫌がらせ、言いがかりは許し難い犯罪行為▼それが今、JR西日本の運転士や車掌に対し行われているという。死者107人、多数のけが人を出したJR福知山線の快速脱線事故には、安全意識をはじめ問題は多々。確かに非難されて当然だが、向ける相手は会社であり、社員個々に矛先を向けるとは▼事故発生後、運転席後ろのガラスに「命」と書いた紙を逆さに張ったり、運転引き継ぎでホームに待機している運転士らへの暴力行為などは150件ほどというから情けない。それでなくても運転士らは厳しい視線を感じ、緊張して乗務する日々である▼その行為で何を求め、何を得ようとしているのか。それを問うたところで、もともと理性なき行為なのだから、答えがあろうはずがない。だからと言って、現実に起きている以上、放置してもおけない。冷静な気持ちで乗務できないならば、結果として事故にもつながりかねない▼自衛策を講じなければ…。同社が踏み切ったのが主要駅のホームへの警備員の配置。こうした大事件、大事故が発生すると、必ずと言っていいほど表面化する行為だが、そこに見え隠れするのは今の社会が抱えるゆがんだ姿。一日も早く警備員が要らなくなるように…。事故から1カ月になる。(N)


5月23日(月)

●大学生の就職意識は安定志向。もっと端的に言うなら、一生勤められる企業に就職したい、と考える学生が増えている、と。ここ何年か言われてきたことだが、東洋大学が行ったアンケート調査からも、改めてそんな姿が浮き彫りにされている▼かつての時代、就職は一生ものと言われた。就職した以上は苦しいことや不満があっても、転職することなく定年まで勤め上げるのが当然だった。それは永久就職という言葉に象徴されるが、経済の成長、社会認識の多様化などから、その価値観が揺らいで久しい▼確かに転職にも前向き、後ろ向きがある。しかも個人の問題であり、一概に論評できないが、キャリアアップという視点の転職は当然と受け止める時代。その認識は若い人により強いと思われがちだが、必ずしもそうでないようで。微妙な意識変化が垣間見える▼東洋大学が今年の新入生に聞いたところ、一生勤められる企業に就職したい、と考えている学生が5人のうち3人という61%。これを多いと読むかどうか、その判断は難しいが、はっきりしているのは5年前(2000年)調査の44%に比べ17ポイントも高まっていること▼当然ながら転職志向は減って5年前の33%から10%に。大学生活を始めたばかりの緊張した心理がそう言わせている面もあろうから、多少割り引いて受け止めなければならないが、5年前も同じ新入生。だとしたら経済の長引く低迷や厳しい雇用情勢が影を落としている、そう判断するしかない。(H)


5月22日(日)

●「函館市初めて来たけどなつかしい」「初春の一番星は五稜郭」「教会に黙礼をして去る晩夏」「朝市の魚屋の軒に菊一輪」…。これらの句は昨年応募のあった“はこだて観光俳句”の優秀作品の一部。先日、函館国際観光コンベンション協会から発表された▼観光都市の顔を持つ函館は、一方で歴史的に文学の薫り豊かな街でもある。中央で活躍する作家を何人も輩出しているほか、今も文学文化活動は盛ん。今風に言うなら観光俳句は観光と文学の融合だが、3年前に生み出されたのも、そんな土壌があったから▼市民、観光客を問わず「一句詠んで思い出に」というのが趣旨であり狙い。函館山など観光スポット7カ所に用紙を置いて応募してもらっている。大人から子どもまで、肩肘張らずに詠んでもらいたい、という関係者の思いに、666人が1027句(昨年)寄せてくれた▼それぞれの思いが読み取れる作品ばかりだが、少し残念なのは前年より減少したことか。6000通ほどあった、かつてのバレンタイン愛のメッセージとは、受け止め方も違うから単純に比較できないが、もう少し多くというのが率直な思い。とはいえ、大事なのは焦らず長い目で続けていくこと▼函館を胸に刻んでもらう、函館に愛着を抱いてもらう、その方途として将来に期待が広がる企画なのだから。道内でもこの企画が様になる都市はごくわずか。とすれば、求められるのは一層のPRと応募方法の検討。現在の募集方法である「訪れた人の部」に、「インターネットの部」などを加えることも考えられる。(H)


5月21日(土)

●北海道新幹線の新青森―新函館間の建設が始まる。工事実施計画が認可され、22日に新函館駅予定地(大野町)で行う起工式を経ていよいよ…。わが国第一号の東海道新幹線が登場して40年、さらに「新幹線を北の大地に」と運動を始めて30年での実現である▼国の財政事情などによる建設費問題、採算の議論など、浮かんでは沈み、沈んでは浮かぶといった曲折をたどるなど、ここに至るまでは長い道のりだった。何より膨大な投資が伴うプロジェクト。総建設費は駅舎関連を含め概算で4670億円とされ、自治体も負担を背負う▼だが、忘れてならないのは将来的な視点。極端な航空機への依存を解消し、補完する交通手段を確保することは、地域発展にとって重要な要素。その役割を担うのが新幹線であり、地域にもたらす意味は大きい▼北海道新幹線が接続する東北新幹線は、現終着の八戸から以北、新青森間で工事が進んでいる。その新青森から新函館までは、青函トンネルをはさんで距離にして約149キロ。工事期間は概(おおむ)ね10年とされているが、若干短縮の可能性も言われている▼工事実施計画が認可された際、高橋知事は「着工決定は終着でなくスタート。今後は新幹線を北海道の活性化につなげなければ」、井上市長は「新幹線効果を享受できる街づくりに取り組みたい」と語った。その思いを具現化する取り組みこそ急がなければならない。10年しかない、22日はそれを確認する日とも言える。(A)


5月20日(金)

●「地域の安全」に欠かせないのが住民の防犯活動。市町村には防犯協会があり、町会の防犯部などが一翼を担っている。その防犯組織として全国的に増える傾向にあるのが、警察庁などが力を入れている防犯ボランティア団体だ▼一向に歯止めがかからない犯罪。凶悪事件だけが注目されがちだが、空き巣を含めたいわゆる窃盗事件が驚くほど多い。函館でもこの10年ほど、年間4700件から5300件(函館市統計書)発生している。被害の程度は別にして1日平均10件以上…▼戸締まりなど防犯意識の徹底が叫ばれ、警察、防犯団体、住民の連携が求められるのもそれ故。警察白書(平成15年)もこう語っている。「犯罪の発生抑止に万全を期すためには、警察のみによる努力には限界があり、国民、地域社会、関係団体が果たすべき役割は大きい」▼そうした中で注目を集める存在が防犯ボランティア団体。急速に増えて全国で8079組織(昨年末現在)という。総じて60歳代が多く、若い人が少ないという悩みを抱えているが、その中心活動は地域のパトロール。函館でも今年から新たな動きが出始めている▼本紙も報じていたが、それは大川、花園町会などが踏み切った青色回転灯装備車での地域パトロール。最も効果ある防犯対策は“地域の目”と言われるだけに、こうした目に見える活動は歓迎すべきこと。「さらに広がりを…」。4月には「北海道犯罪のない安全で安心な地域づくり条例」も施行されている。(H)


5月19日(木)

●死者107人、多数のけが人を出した兵庫県尼崎市のJR西日本・福知山線の快速脱線事故。事故当時の悲惨な現場の光景が頭から離れない。間もなく発生から1カ月を迎えるが、次々と明らかになる「安全」を軽んじた姿。どうにも堪らない▼多数の人を乗せる鉄道事業者として忘れてならないのは「安全」。釈迦に説法だが、肝心の事業者に欠けていたとあっては、もはや言葉がない。新型の自動列車停止装置が未設置だったなど幾つか指摘されているが、根本的な原因となれば安全意識の欠如に尽きる▼そもそも規定の速度でさえ定時の運行が厳しいダイヤだったというのだから。大都市だから駅での停車時間も乗降客の数によって一律ではない、なのにダイヤでみている停車はわずか十数秒。これでは遅れが出ない方が不思議。しかも生じた遅れの対応は、というと、運転士任せ▼本当に「安全」を考えていたというなら、少しはズレを見込み、余裕を持たせたダイヤであるはず。だが、そうでなかった。この事故で明らかになったのは、大都会の鉄道が数秒、数十秒の誤差も問題となり、遅れの取り返しさえ難しいダイヤとなっていること▼さらに…。事故を起した快速のダイヤ、運転士に課してきた責任は、規定を無視して速度を上げてでも帳尻を合わせよ、といった業務命令と解釈されても仕方ない。時間と気持ちに余裕を、それは車の運転でも言われることだが、ましてや鉄道である。「余裕」なきところに「安全」はない、改めてこの大事故がそう教えている。(N)


5月18日(水)

●天山山脈からの雪解け水が流れ込むアンディジャン地方。シルクロード交易の中心地の一つだ。近郊の遺跡からはガンダーラ仏が発見され、インドから中国、日本へと仏教が伝来した。この「東方の真珠」ともいわれるウズベキスタンで悲惨な暴動事件が起きた▼ウズベクは、アレキサンダーの侵攻など常に大国の争奪戦場で、独立した時期は3000年の歴史の中で376年だけ。旧ソ連の崩壊後に共和国として独立したが、長期独裁政権と貧困に対する民衆の不満が噴出、東部のアンディジャンで大規模なデモ(13日)に▼ロシア紙などによると、デモには5万人の市民が蜂起、政府機関などを占拠。政府は「イスラム過激派が扇動した」と武力で弾圧したが、死者は500人とも700人ともいわれ、市民は「子供や女性、人質を含め死者は1000人を超す」と証言。数千人の避難民が隣国のキルギスに流れている▼中央アジアで民主化が進んだのは2年前から。昨年1月にはグルジア、今年1月にはウクライナ、3月にはキルギスで政変。いずれもアメリカが後押ししたようだが、ウズベクの場合はイラク戦争で基地を提供したことで静観。ロシアも「テロ掃討」などの面から黙認の様子▼遠い国の話ではない。ウズベキは親日家が多く、先の大戦でソ連に抑留された日本人の墓地も作った。日本はシルクロード外交で約530億円の開発援助を出している。キルギスの国境で座り込む子供や女性の姿が痛々しい。無差別銃撃より「温かい対話」での解決が望まれる。(M)


5月17日(火)

●「地域の人たちにも気軽に学ぶ機会を」。函館大谷短大が今年度も公開講座を企画し、受講を呼びかけている。踏み切って3年目。昨年からは1年を通し毎月2回ほどのペースで開催。既にポスター、パンフレットも出来、22日にスタートを切る▼ここ数年、函館市内の大学は公開講座を増やしている。時代の要請とも言われるが、大学側にとっては「地域に開かれた大学」を目指す取り組みの一環。同短大の講座の特徴は一時期に集中させず、年間を通して数多く用意している点。今年度も来年の3月まで11カ月かけての20講座▼幼小中教員、保護者向け教育講座「自ら学ぶ子どもをどのように育てるか」(講師・教育創造研究センターの高階玲治客員教授)を皮切りに始まり、6月は美術と宗教、7月は日本語と教育学と児童文学、8月は情報学と介護福祉学、9月は心理学などと続けられる▼さらには大学の特徴を生かした幼児教育、教育臨床学、健康運動、音楽などのほか、法律相談、視聴覚も。一、二を除いて土曜日の午後という時間設定であり、しかも受講は無料。大学の授業が、である。講座ごとに受け付けるから受講もしやすい▼すべてを受講すると、紛れもない質の高い生涯学習。地域にとっては何ともありがたい話であり、呼びかけに応じない手はない。常日ごろ縁遠い存在の大学に自分の身を置いて講義を聞く、そんな機会は滅多にない。考えるに値する。同短大公開講座係(TEL0138・51・1786)で問い合わせに応じている。(N)


5月16日(月)

●16日は「旅の日」で、17日が「パック旅行の日」ということは、ほとんど知られていない。たまたま一日違いだが、趣旨はまったく違って「旅の日」は「旅の心を大切に」という提唱なのに対し、「パック旅行の日」はシステムが生まれた単なる記念日▼趣味を聞かれると、旅行は読書、映画鑑賞などとともに挙げられる。確かに景気の動向、年による変動こそあれ、総体的に旅行ブームは衰え知らずであり、年々根強くといった姿は統計からも。国土交通省によると国内旅行者はここ数年1億9000万人レベル▼海外は、というと、渡航が自由化された40年ほど前に13万人だったのが、1990年に1000万人を超え、近年は1600万人台。パック旅行が押し上げた感があるが、そのシステムが生まれたのは戦後。世界で初めて企画、実施されたのはイギリスと言われる▼1961(昭和36)年というから、まだ44年。「便利で安い」が受けて、わが国でも普及して今や旅の主流。ツアーを含め旅行代理店などの店頭に並ぶ膨大な数のパンフレットがそれを物語っている。その一方で、最近は「自分のペースで旅したい」と個人旅行が増える傾向も…▼ツアーか個人か、その旅行形態はどうあれ、誰しも旅に求めることは同じ。日常からの解放であり、心身のリフレッシュ。一人のんびりもいい、家族や友だちと和気あいあいもいい。旅の魅力は個々人それぞれに楽しみ方があること。さて、今夏はどこへ、誰と…。そう考えるだけでも気持ちが弾んでくる。(H)


5月15日(日)

●ホッカイドウ競馬が存続の岐路に立たされている。馬産地だから何とか、という思いがするが、他の地方競馬の例に漏れず、厳しい経営環境は現実。「今年度の運営状況を踏まえ」のただし書き付きながら、道は廃止を含めて検討する方針を示唆している▼競馬には中央と地方がある。地方は今年4月現在で16。北海道のほか、ハルウララで名を知らしめた高知(高知県競馬組合)、先にオグリキャップが里帰りした笠松(岐阜県地方競馬組合)などが知られるが、実力馬がひしめき、人気を堅持している中央に比べて…▼いずれも楽ではない。過去に収益が一般財源を潤す時代もあったが、長引く不況の余波は大きく、ここ数年は押しなべて売り上げ減続き。道営(ホッカイドウ競馬)も手をこまねいているわけでなく、開催地の集約なども行ったが、収支好転の見通しとなるとなかなか▼確かに今、応援歌もできたコスモバルク人気があるが、明るい見通しを抱かせるまでには。折しも地方財政は火の車であり、赤字の補てんをし続けていく環境にない。そうなると避けられないのが存廃論議だが、単に競馬事業という視点からの答えはともかく、そう単純でない▼というのも軽種馬(競走馬)生産は北海道農業の一つのジャンルだから。わが国で毎年9000頭弱が生産されるが、その9割が北海道で、とりわけ日高では主要産業。地方競馬が廃止されると、需要と供給のバランスが崩れ、その影響はストレートに生産現場へ。そうなれば中央にも波及しかねない。どうするか、改めて幅広い議論が求められる。(A)


5月14日(土)

●函館駅前が生まれ変わった。一足早く開業していたJR函館駅に続き、土地区画整理による周辺整備が終了、さらに朝市の駅側も改築され、新しい外国車のミュージアムがオープンするなど様相は一変。話題づくしで観光シーズンを迎えている▼昔ほどでないまでも街の顔は駅前。たたずむと歴史を感じさせる都市、近代的な造りをした都市などさまざまだが、駅が玄関であるというのは今なお一般的な認識。函館市も然り。2年前までの駅舎、駅周辺は青函連絡船時代のなごりを伝え、その光景は函館の象徴的な姿でもあった▼市民ばかりか観光客にも愛された。その役割を担って約60年、時代は新しい顔としての駅舎、駅前を求めることに。これが函館の駅、駅前というイメージが定着するまでには時間がかかろうが、こうも変わるものかと思えるほど、見間違うほどの光景である▼だからだろう、印象も人によってまちまち。広々整然としていい、駅舎とマッチしていていい、と思う人もいれば、函館らしさがない、と話す人も。感性というか、感じ取り方だから当然だが、その中で結構聞くのは緑が少な過ぎる、木がもっとあっていい、という声…▼そういう目で眺めると確かに。車の視界とか案内標識の見やすさに支障が出るとか、そうなった事情はあるのだろうが、緑が弱く映る。また、函館山に向かう方向から右折しづらい、といった声も聞くが、徐々に手を加えていけばいい。新しい“函館駅前物語”は始まったばかりである。(N)


5月13日(金)

●高校生や大学生の通学の足は自転車。地方都市に共通した姿で、通学時間帯ともなると、どこの市町村でも“自転車軍団”が列をなす光景が見られる。雪の季節を除いて函館市内も然りだが、そのしわ寄せを受けているのが他ならぬバス会社▼雨の日こそ利用はあるが、学生さんは商売になりにくい、ということに。ダイヤの編成も難しければ、経営効率の点からも悩み多い。だったら通学路線は雨天運行にしてしまったらどうか、昨年からそう試みているバス会社が帯広にある。その名もずばり「あめばす」▼対象とした既存路線を原則運休とし、雨の日だけ運行することを考えた。なかなかのアイデアだが、そうは言っても雨の判断は難しい。しかも当日朝では混乱を招きかねない。ということで、この会社が目をつけたのが地元の新聞に掲載されている降水確率▼「あすの天気」で午前6時から10時までの降水確率が50%以上なら翌日は運行する、と。増便してもらえれば、といった声もあるようだが、問題は予報が当日の天気と一致するかどうか、ということ。ちなみに昨年は対象日数96日間のうち、運行は9日間だったという▼地方都市のバス会社にとって、公共性という使命の一方で、効率化は避けて通れない課題。この会社は地元紙の取材に「通常運行に比べ収支率が60%改善の効果を確認できた」と昨年の実績を答えている。それぞれ地域事情があり、あくまで帯広での事例だが、バス会社の苦労の一端が伝わってくる。(N)


5月12日(木)

●昔、ヒマラヤの森に飛んでいた共命(ぐみょう)鳥は一身双頭。食べ物も、考えることも違っていた。ある時、一方は「いまいましいやつめ、殺してやる」と片方に毒草を食べさせた。相手だけではなく、自分も気分が悪くなって、やっと気づいた▼共命鳥はクジャクやオウムとともに極楽に住む鳥。毒が回ったら「頭が2つあっても胴体は1つ。相手が食べた毒草は自分をも殺してしまう」のだ。この鳥は実は人間の顔をしていた。これを見て、他の共命鳥たちは「相手を滅ぼすことが自らを滅ぼす道」と知った…(経典)▼環境破壊や地球温暖化によって生態系が崩れ、人間の都合で絶滅した動植物は数知れない。野鳥は植物の種子を運んでくれる。かつて函館山の野鳥はアオジ、イソヒヨドリなど夏鳥70種、マヒワなどの越冬鳥50種、留鳥30種など150種は超えていたが、最近は種類や数が激減している▼旧山道を登りながら、心地よい小鳥の声を聞く春到来を実感する季節だが、昨年の台風の倒木被害などで函館山は明治30年ころの状態に戻っているという。五稜郭公園ではウグイスなど年間約90種の野鳥を確認できる。壁や窓ガラスへの衝突事故も多く、函館で年間200件ほどが衰弱、負傷していると言われる▼共命鳥の悲劇のように、自然を破壊し野鳥を追い詰めると、人間にはね返ってくる。相手を生かす道は自分を生かす道だ。16日まで愛鳥週間。昨年の啓発ポスターにヒナを守る家族の図柄があった。家の前でついばむスズメがかわいい。「庭雀日すがら去らず愛鳥日」(加古宗也)(M)


5月11日(水)

●健康づくりの原点は歩くことにあり、とも言われるが、いったい毎日どのぐらい歩いているだろうか。通勤はドアツードアの車、ちょっと出掛けるのも車。本当に歩かない。出張で東京などに行くと、足の疲れで、いやというほど教えられる▼同じサラリーマンでも都会の人は違う。通勤にしても、家から駅まで、階段を上り下りして、さらに歩いて会社に。通勤時間帯の光景が顕著だが、人の流れに乗らなければぶつかるから、歩き方も速い。エスカレーターにしても追い越し側を歩いていく人がかなり多い▼クラレ(東京)が行った調査によると、東京と大阪のビジネスマンが通勤と仕事で毎日歩く時間は、平均で1時間18分。特に営業系の人が長いが、事務系、技術系も含めて2割強がエレベーターは3階差までなら使用せず、半数以上がエスカレーターは追い越し側と▼一面で健康を意識した行動ともとれるが、実際に7割強の人が挙げた理由は「運動不足の解消」。通勤・仕事中の歩きで実践しているとも言えるが、それに比べてわれわれはどうか。日常的に言うと、東京や大阪のビジネスマンの半分、それすら下回っているレベルかもしれない▼歩くことの効用は知られる通り。健康維持や気分転換に加え、新しいことに気づく、考え事がまとまる、など。確かに平日の昼間歩くのは難しいとしても、朝の出勤前や、休日ならば…。大事に考えるべきは、歩くことに対する意識。函館・道南も心地よいウオーキングの季節を迎えている。(A)


5月10日(火)

●「もったいない」。最近はあまり耳にしなくなったが、かつて親が子どもに聞かせた言葉である。講談社の日本語大辞典によると、その意味大きく三つ。「おそれ多い。恐縮である」「よすぎてふさわしくない」より、実感として感じるのは残る一つ▼「有益・有用なものを使わずにおいたり、捨ててしまったり、むだに扱うのが惜しい」。特に後段である。「使い捨て」という言葉に象徴される昨今の無駄は目に余る。憂えなければならないのは無感覚になっている現実であり、このままでは…。その思いが今一つの運動に▼呼び掛け人はノーベル平和賞を受賞したケニア環境相のワンガリ・マータイさん。来日した際に「MOTTAINAI」を国際的に、と呼び掛けたのは、記憶に新しい。それを受けて福島県が県民運動の展開を打ち出した。循環型社会形成条例の制定を背景に環境面から▼既に提唱してきたリデュース(ごみの減量)、リユース(再使用)、リサイクル(再利用)に、リフューズ(ごみになるものを出さない)を加えて。この輪が国内、そして国際的に広がることが求められるが、見方を変えると、そこに見え隠れするのは現代社会が抱える病▼「本当の豊かさの裏には『ありがたい』とか『もったいない』という心がある。また、それがなければ本当の豊かさは根づかない」。10年ほど前に発刊された「もったいない 常識への謀反」(山口昭木の城たいせつ創業オーナー著)のまえがきにある言葉だが、それが今、あらためて重い響きをもって伝わってくる。(A)


5月9日(月)

●「身近に分かりやすい地図があれば」。観光地では誰しもそんな思いを抱いた経験があるはず。確かに観光案内所などに立ち寄るとマップも描かれたパンフレットが用意されてはいるが、たとえ逃しても確認できる術(すべ)があれば、それに越したことはない▼だからといって、美観上、あちこちに案内看板を置くわけにもいかない。じゃ、その任を私たちも担いますよ、と手を挙げたのが北海道コカ・コーラボトリングで、試みたのが自動販売機に観光地図を張りつけるという取り組み。これなら身近で、何より探しやすい▼その地図は観光名所や宿泊施設などを盛り込んだもので、もちろん現在地表示付き。自販機の最も目につくスペースが選ばれている。この連休前、第一弾として小樽で実施されたが、追っかけ函館でも。9日から観光スポットの約100台に掲示されるという▼観光地に限らず、大都会から地方まで街の至る所に自販機がある。その数は道内だけでも数万台とも十数万台とも言われるが、これらが社会的機能を発揮すると、その力は大。観光地図は好事例。方向音痴に陥った時などは自販機を探せばいい、となるのだから▼まさしく企業の社会貢献事業。今年の2月、本欄でも触れたが、全国清涼飲料工業会の取り組みに呼応して、同社は緊急時連絡に役立つ住所表示を自販機に取りつけたばかり。かつて美観論争もあった自販機が、今、新たな社会的な役割を担いつつあることを実感する。(H)


5月8日(日)

●運転士「乗っていた電車が脱線しました」。当直「けがは」。運転士「別に大丈夫と思います」。当直「けがはないのですか」。運転士「けがはない」。当直「もう一度聞きます。けがは」。運転士「大丈夫です」。当直「本当にけがはないんですね」。運転士「はい」…▼聖徳太子は憲法17条で「十三に曰く、諸の官に任ぜる者は同じく職掌を知れ。或いは病し或いは使して事をおこたること有らん…」と、その部局が全体(職場)の中でどういう役割を持っているのかをしっかり認識して仕事せよ、どんな係でも全体に通じる役割があると説く▼冒頭はJR尼崎脱線事故の快速電車に乗り合わせていた運転士と所属電車区の当直係長とのやりとり。当直は運転士に4回も「けがはないのか」と呼びかけている。運転士の「前の方がめちゃめちゃですわ」という返事に「まず乗客の救助に当たれ」と命令すべきだった。乗客よりも仲間か▼事故の約3時間後に別の車掌区の43人がボウリング大会とその後に2次会。さらにゴルフを続けたり、宴会を開いたグループも。所属が違っていても同じJR仲間。「全体に通じる役割」があったはず。聖徳太子は5条で「飲み食いのむさぼりをやめ」とも戒めている▼利益優先が気の緩み、会社の緩み、モラルの低下につながり、大惨事を呼んだ。犠牲者や家族、友人たちの怒りの声が聞こえぬか。ミスは人命に直結する。ソフト、ハード両面のフェイルセーフの充実こそ肝心だ。(M)


5月7日(土)

●大都市圏の団塊の世代は北海道に関心あり」。あくまで希望として割り引いて受け止めなければならないが、それにしても「北海道への移住を検討している人が結構いる」という調査結果に出会うや「もしかしたら本当なのかも」と思えてくる▼実際にそんな姿を映し出したのが、道が行ったインターネットによる調査。3月末に読売新聞などが報じていたが、東京、神奈川などの首都圏と愛知、大阪などの50歳、60歳代を対象に2回行われた。そこから浮かび上がったのが、8割が北海道移住に関心、という姿▼1回目の調査では10%が「実際に住んでみたい」と答え、さらに夏季だけ、何年かだけとかの「一時的に住んでみたい」が37%。2回目では「13%が移住のための本格検討を始めている」と。予想以上の率だが、驚くのはその半数が「今後6年以内に」と答えていること▼こうした動きを察し、道内の市町村はここ数年、移住誘致に力を入れ始めた。函館市も然り。サポートセンターを設置し、函館良いところ、を売り込む一方、さまざまな相談にのる体制を整えている。そして、遅ればせながら道も今年度から積極的に取り組む意向▼2007年から3年間で、毎年、高齢無職の1000世帯が移住した場合の経済波及効果は約5700億円。こんな欲張った皮算用をしてみせたが、それはともかく、歓迎すべき動きであることだけは確か。4日の本欄が伝えた国交省の調査による「2地域居住希望は56%」という話とのズレもない。(A)


5月5日(木)

●ヒノキのきこりが椴川を越えた時、鹿の群れを見た。弓矢で仕留めようとすると異様な行動。青、赤、黒、白の4頭の牡鹿が1頭の牝鹿をめぐって怒り猛っているではないか。お互いに益なしと感じた白鹿が和睦(ぼく)を話し合うと、5頭は踊りながら角を振り立て立ち去った…▼260年ほど前の話。鹿が争って、和解していく勇壮な振る舞いに笛や太鼓などをつけたのが「五勝手鹿子舞」。臥牛子が江差高校時代、古老から鹿子舞を教わって学校祭で舞った。この時の恩師が「いにしえ街道」に学術的なアドバイスをした故宮下正司先生だ▼宮下先生は鴎島沖に沈没した「開陽丸」の引き揚げを陣頭指揮。箱館戦争の際、榎本軍や政府軍の本陣になった東別院史にも携わった。いつも「北前船の頃は、買う組織、売る組織が団結し、ニシンの財産を不動産に換えるなど、江差商人にはバイタリティーがあった」と話されていた▼その東別院から鴎島入り口までの旧国道の「いにしえ街道」には学術的価値のある建造物は十数件あるが、横山家や中村家は昔のまま。道路を広げて電線を地中化。一般民家には最高400万円の補助を出し、漆喰(しっくい)塗りの純和風建築、下見坂張り、和洋折衷の家などが見事に復元された▼5日までのオープンフェアには五勝手鹿子舞も奉納された。大河ドラマ「義経」にちなんで義経伝説(鴎島の白い愛馬、弁慶の足跡)の解説板もできた。公立はこだて未来大が「開陽丸」を中核とした江差観光を提言している。いにしえ街道も加わり、函館とタイアップした広域観光を目指そう。(M)


5月4日(水)

●「定年後の生活は海外で」は、今や現実の話に。実践する人たちが増えているのも事実で、最近はテレビ番組などにも取り上げられ、そのお誘い情報はインターネットでも。紹介ビジネスが成り立ってきているところをみると、動きは本物と映る▼優に人生80年時代。年金生活を迎えると、誰しもその後の人生を考える。健康であれば、時間もあるから、趣味をはじめさまざまなことができる。新しい所ではしがらみも薄い。じゃ、考えるか、となるのも分からないわけではない。その選択肢として海外に脚光が▼確かに海外が注目されているが、その一方で「国内のどこかに」という動きも顕著。その姿は国土交通省のアンケート調査からも読み取れるが、都会の自宅のほかに農山漁村にも家を持つ2地域住居者が増えているそう。季節などによって行き来する新しいライフスタイル…▼確かにセカンドハウス的な住居がほしい、というのは誰にも共通したあこがれ。同調査によると、30万人以上の都市在住者の2・5%が既に2地域住居の持ち主。さらに「できれば将来そうしたい」と考えている人となると、50歳代では半数余りの56%を数える▼同調査から推定した2地域居住者はざっと100万人。それが2010年ごろには2倍の190万人になり、その後も増え続けるだろうと。相談の体制を整えましたというレベルをさらに一歩進め、長野県飯山市、鹿児島県名瀬市などでは、既に通い型の長期滞在者向け施策を始めている。(H)


5月3日(火)

●植樹の季節を迎えている。森林が果たす機能、役割はあらためて記すまでもない。日常的に恩恵を受けている、その森林が危機的な状況と言われて久しい。地球の温暖化は象徴的な現象だが、鍵を握る対策は植樹に力を入れることで、今やそれが世界的な課題▼国も力を入れ始めているが、道も…。「百年先を見据えた森林づくり」を打ち出し、2002(平成14)年3月に北海道森林づくり条例を制定、さらに翌年の3月には森林づくり基本計画を策定した。まだ2年ほどながら計画に基づく行動は確実に動き始めている▼もちろん柱は植樹だが、それに関係なく函館・道南は植樹活動が活発に繰り広げられている。中でも注目を集めているのが「百年の森」づくりを打ち出している大野町。「きじひき高原にかつての森を蘇(よみがえ)らせ、樹木が生い茂る大森林公園に」を目指して取り組んでいる▼今の時代、植樹や育樹など“緑の事業”は、住民の理解と協力なしには難しい。大野町はそのモデルケースとも言える存在だが、実際に植樹祭への参加者は年々増え、昨年は大野森づくり応援団も誕生。そして迎えた今年は北海道植樹祭として今月15日に▼単に木を植えるというほかに、植樹祭は教育的効果や家族、地域の交流といった視点からも意義が言われる。今年の北海道植樹祭を植樹の輪をさらに広げる起爆剤に。苫小牧で来年、開催される全国植樹祭のテーマ「明日へ 未来へ 北の大地の森づくり」は、紛れもない道民へのメッセージである。(A)


5月2日(月)

●3日は憲法記念日。わが国の憲法は平和主義と不戦を誓う「9条」と「男女平等」の2点をうたったのが自慢だ。が、なし崩しの憲法運用で自衛隊をイラクに派遣した中、衆院憲法調査会などの報告を受け「集団的自衛権」をめぐり論議が沸騰している▼政府の憲法解釈は集団的自衛権は持っているが、武力行使はできず、サマワでは正当防衛と緊急避難に限られている。自衛隊の国際協力は、米国主導の戦争が起きるたびに現実追認の形で9条を拡大解釈してきた。自民党の新憲法起草委でも集団的自衛権は明示されないようだ▼米軍はイラクの治安対策に戦闘用ロボットを開発。ロボットが相手を見つけ出して射殺する。集団的自衛権が容認されれば、自衛隊がロボットと一緒に戦うことになるのか。鉄腕アトムのロボット憲法に「ロボットは人を傷つけたり、殺したりできない」とあったっけ…▼59年前に「結婚は両性の合意のみに基づく」など男女平等(24条)の草案づくりに携わったベアテ・ゴードンさん(81歳)。先ほど来日、取りざたされている24条の改定に「なぜ今、変える必要があるのでしょうか」と嘆き、女性の立場から若い人に戦争の歴史を教えてほしいという▼世論調査によると、8割近くが改憲容認派だが、過半数は集団的自衛権に否定的で「ハト派的改憲」が増えそう。9条2項の「戦力の不保持と交戦権の否認」を都合のよいように解釈・乱用されては困る。十分に論点を煮詰めることが急務だ。(M)


5月1日(日)

●「30歳、40歳代の単身赴任者や独身者の高血圧割合は、家族との同居者に比べ高い」。4月初旬の日本内科学会で発表された調査研究報告の一つ。3週間ほど前の本欄で紹介したのを覚えている人もいようが、当の医師からご丁寧なメールをいただいた▼紹介の際に広島市にある中電病院の医師としか触れず、礼を失したが、その医師は平賀裕之内科副部長。「社員の健康管理を行っていく中で、今回の知見(単身赴任者や独身者らに高血圧の割合が高い現実)を見出したという▼高血圧を含め生活習慣病の拡大は今や大きな社会問題。その対策として不規則な食事、栄養摂取のバランスなど健康管理の重要性が叫ばれ、その指導も求められる時代。平賀医師は食事や栄養指導、さらには調理実習まで行って注意を促している人でもある▼「食べるだけなら不自由しない時代だが、大事なのは体や健康の視点」。先の本欄ではこの旨を書かせてもらったが、平賀医師が学会で発表に踏み切ったのも「外食に頼りがちな日本各地の単身赴任者への情報提供になるのでは、と考えて」の判断だったそう▼「ひとりでも食事に気を使っていただけたなら、私の学会発表はそれなりに意義があったというものです」。平賀医師のメールはこう結ばれていた。生活習慣病の対策は誰しも分かっているが、日常的な注意となるとおろそかになりがち。だからこそ根気強く啓蒙を続けなければならない、平賀医師の思いはそんな響きをもって伝わってくる。(H)


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