平成18年10月


10月31日(火)

●ばんえい競馬存続の鍵は、どうやら岩見沢市に委ねられた。現在の旭川、帯広、北見、岩見沢での開催という枠組みが幕を閉じることは既に決定も同然で、旭川と北見は廃止の方向。帯広は継続を考えているが、運営面などから1市での運営は難しく…▼かつて一般財源を潤す存在でもあったのが、レジャーの多様化、景気の低迷などから売り上げが低迷、昨年度末の累積赤字31億円は開催市の財政に重くのしかかってきて…。1カ月ほど前の本欄で「ばんえい競馬の危機」を伝えたが、今や最終的な判断段階に▼まさに、ぎりぎりの存続論議だが、一道民として残念という思いにかられる。「ばん馬は北海道の文化」と言う人もいるが、北海道の原風景の一つであることは確か。農業に貢献した農耕馬の力を試す、そんな道内のお祭りばん馬を原点に生まれて、ほぼ100年▼確かに、競馬と違って全国的でないからファンが限定される。それは見方を変えると希少価値でもあるのだが、映画関係者が目をつけたのは、その一つの証し。帯広競馬場を舞台に撮影された「雪に願うこと」が、昨年の東京映画祭でグランプリに輝いたのが記憶に新しい▼しかし、市町村財政の現実は、赤字を許してくれはしない。だが、進むも、去るも多額の負担をどうするかという問題を抱える点では一緒。だとしたら…。2市でもいい、最後まで継続の道を、と願いたい。もちろん、そこに国、道の知恵と支援があって然るべき。北海道で育てた“産業文化”なのだから。(N)


10月30日(月)

●カムチャツカの漁場に雇われた江差の繁治郎は親方の信心深いのにあてこんで「観音さまの日だけ休ませてくれ」と約束して、毎日仕事に出てこなかった。叱られると「観音さまは三十三体ある。ひと月休んでも、まだ三日貸しになる」と笑った▼繁治郎は働かないで、約束だからと給金だけはもらって帰った…。映画「釣りバカ日誌」のハマちゃん(社員)は、釣り仲間のスーさん(社長)に誘われ「有給休暇ぜんぶ使っちゃった。もう取れないのよ」「何か理由つけられないの」「親せきもみんな死なせちゃったしなあ」…▼「ずる休み」の仰天話が公務員の世界で表に出た。胃かいようや腰痛など14種類の病気を理由に34回も病欠を繰り返していた奈良市環境部に勤めいていた42歳の男性。5年間で8日しか働かないのに約2700万円の給与を受け取っていた▼1回の病気で90日まで休めるが、病名が変われば新たに90日の休みが取れる市の規則を悪用して、休暇を取り続けていた。診断の医師は「圧力に負けて次々と診断書を書いた」という。しかも高級外車で市を訪れ、建設業を営む親族の会社に仕事を回すよう頼んでいた。開いた口がふさがらない▼江差の繁治郎は、とんちと知恵で仕事のつらさや生活の貧しさをはねのけ、笑い飛ばして底辺に生きるやん衆らに夢を与えるトリックスターだった。5年間も不正な休暇を取った職員を見て見ぬふりをして、税金から“日当337万円”も支払うなんて「シンジラレナーイ」。市民が納得するよう説明し責任を取るべきだ。(M)


10月29日(日)

●安倍晋三首相率いる安倍政権が発足して1カ月が過ぎた。従来の枠組みにとらわれず、斬新で強烈な政権運営をした小泉前首相を「動」とすれば、安倍首相は「静」のイメージに映るが、しっくりとは映らないまでも、まずまず無難なスタート…▼就任早々、北朝鮮問題の協議国でありながら前首相の靖国参拝で関係が冷え込んだままの中国、韓国を訪問して首脳会談を実現。その途中に北朝鮮の核実験が表面化し、注目された対応も独自制裁をいち早く打ち出し、国連安保理決議をめぐっても重要な役割を果たした▼一方、内政では課題の多い教育問題を根本から考え直す教育再生会議を発足させたのが特記されるところ。また、注目された民主党の小沢一郎代表との党首討論(18日)も難なく終え、大阪9区と神奈川16区の衆院補選も勝利、着実に党内での評価を高めている▼それは世論調査の結果にも…。過去の例でも発足直後の支持率は高いものだが、ちなみに安倍内閣は共同通信で65%、読売新聞で70%、毎日新聞で67%など、総じて65―70%。この歴代3番目という高い支持は、この1カ月は継続したようで、今月中旬の読売の2回目も70%▼問題を正面から受け止めるまじめな姿勢が好感をもたれている、と分析する識者もいるが、真価が問われるのはこれから。難しい北朝鮮問題、東アジア諸国との関係維持をはじめ、国内では構造改革という名の行財政改革、景気対策、税制改革、年金など社会保障政策…。安倍政権を占うには、まだ早過ぎる。(N)


10月28日(土)

●26日夜、北海道では街、家を問わず“日本ハムフイーバー”に包まれた。札幌に本拠地を移して3年にして実現させた日本シリーズ制覇。共に喜び合う姿は完全に“道民球団”になったことの紛れもない証しであり、「感動をありがとう」の言葉にも実感がこもる▼屋外スポーツにおける北海道のハンディは冬であり、寒さと雪。それもあって野球も上位まで駒を進められない時代が長かったし、プロで活躍する選手も少ない。しかし、室内練習場の整備などが進んだことから、その厳しいハンディは徐々に軽減され…▼まず花開かせたのが高校野球の駒大苫小牧。甲子園での優勝は「北海道の野球を侮るな」というメッセージだった。敗れたとはいえ今夏の決勝戦で、さらに印象を強く植え付けた。その感動を増幅させるかのように盛り上げたのが、札幌ドームを本拠地にした北海道日本ハムファイターズ▼道民球団を標ぼうした取り組みは、今年の後半になって開花し、快進撃の原動力に。新人、若手がベテランとうまくかみ合って、ファンとの一体感もさらに。それはプロの組織運営の見本とも言え、プレーオフ、日本シリーズで、完全に結実させた感がある▼シリーズ制覇を決めた第5戦、札幌ドームで、街のあちこちで歓喜した人たちの数、テレビ平均視聴率52・5%(札幌地区)が、それを端的に物語っている。全国的な景気の回復基調から乗り遅れ、ともすればふさぎがちな北海道。経済効果という視点からも北海道日本ハムの活躍は、賞賛して余りある。(N)


10月27日(金)

●なけなしの金をはたいて質屋から自転車を請け出し、仕事にありついた父親。翌日、それを仕事中に盗まれた。息子と一緒に探し回ったが見つからず、逆に他人の自転車を盗んでしまう。戦後まもなく公開された伊映画「自転車泥棒」▼小4女児の孫の学芸会を観てきた。題名は「泥棒学校」。めざせ一流みがけ技術、おそねおそおき丈夫な体、人を見たら警察と思え、落し物名前をつけて自分の物。この「よいこのめあて」を大声で連呼、泥棒の練習をしてグループごと競い合う。ある深夜、裕福そうな豪邸に忍び込む▼気がつくと豪邸は鉄格子の刑務所だったという「落ち」はついているが、小学校の学芸会にふさわしいテーマだろうか。しかも学校の学に『學』を使っていたが、書き方が間違っていた。子供たちが自主的に考えたのか、先生が決めたのか、いずれにしても教育上、疑問が残る▼幼稚園児の間では、暗唱遊びが流行しているという。「ぎおんしょうじゃ(祇園精舎)のかねの…」と唱える。「泥棒学校」よりも、ほほえましい。仲間の危機を救うため不思議な世界に引き込む「ダレン・ジャン」や、食べ過ぎてお腹が痛くなった「はらぺこあおむし」など、児童書ベスト10に触れさせたい▼皇后さまは子供時代に得た読書の喜びを語られ、竹内てるよさんの詩「生まれて何も知らぬ 吾(わ)が子のl頬(ほお)に…」を朗読し「子供の未来はあらゆる可能性を含んでいる」と強調された。だが、選択を一歩誤ると…。きょうから「読書週間」が始まる。(M)


10月26日(木)

●「文字・活字文化が、人類が長い歴史の中で蓄積してきた知識及び知恵の継承及び向上、豊かな人間性の涵養(かんよう)並びに健全な民主主義の発達に欠くことのできないものであることにかんがみ…」。この仰々しい表現は文字・活字文化振興法の第1条(目的)▼国語力はすべての基本なのに、それが低下し、一方で活字離れも問題視されている。その要因として社会の変革などさまざま挙げられるが、現実は現実。今や教育界で共通した認識であり、それは数々の調査データからも明らか。対策を講じなければ、ということで…▼学校現場などで取り組みが進んでいる。読むことで、言葉を、文字を覚え、理解力、思考力がはぐくまれる。その一つの実践が「朝の読書」。授業前の10分間、自分の読みたい本を自由に読む読書運動で、1988(昭和63)年、千葉県の女子高で手がけたのが始まり▼全国的な推進組織も誕生して、実践校は昨年段階で既に2万校を超えたと発表されている。もう一つ新聞業界が提唱しているのがNIE(教育に新聞を)という運動。これまでに3200校が提供を受けた新聞を使った授業を実践、本年度も490校が取り組んでいる▼こうした動きを支援する観点から誕生したのが、昨年7月に施行された文字・活字文化振興法。国や地方自治体に施策を求める趣旨が盛り込まれているほか、第11条の第2項にはこんな規定も。「文字・活字文化の日は10月27日とする」。覚えておこう、この日は秋の読書週間の始まりの日でもある。(H)


10月25日(水)

●北海道で「北のみどり21プラン」に基づいた“緑作戦”が展開されている。道が進める「協働によるみどりの環境づくり」の一環で、その柱に据えられているのが「ふるさとにみどりをよみがえらそう運動」であり、「みどりのトンネルPR大作戦」など▼“緑”の力は、産業面ばかりか環境対策、さらには癒やし・安らぎ効果などさまざまな角度から言われる。だから大切なのだが、そのためにまず考えるべきは“緑”を身近に感じてもらう手立て。名木、巨木や森林浴コース、みどりのトンネルなどが果たす役割は大きい▼みどりのトンネルとは、道の両側から木が伸びて枝葉が重なりあってトンネルのような状態にある所。思い浮かべてみると、確かに身近にも結構ある。道のホームページには現在、46カ所が紹介されており、うち渡島からは8カ所、桧山からは1カ所が▼ちなみに函館市内からリストアップされているのは、桜で知られる桜ケ丘通り、石崎地主海神社と緑園通り、見晴公園の4カ所。さらに北斗市の戸切地陣屋跡桜並木、大野川沿い桜並木、森町の青葉ケ丘公園、八雲町の青少年旅行村…。そして厚沢部町の土橋自然観察教育林▼いずれも納得する所だが、もちろん、すべてではない。ただ、ここで特筆していいのは、この46カ所の中で19カ所が地域の人たちの手で管理されている所ということ。将来の“緑対策”としての大事なポイントはそこにある。理解の手始めに、みどりのトンネル巡り、も考えられていい。(H)


10月24日(火)

●政府は民間の協力を得て、石油代替燃料(エネルギー)の開発に乗り出す方針という。わが国の燃料は今や原油が主。重油、ガソリン、灯油がどれほど使われているかについて、あらためて説明するまでもない。その原油の依存先は誰もが知る中東である▼政情が不安定で、否応なしに原油価格の変動に振り回される。その影響は経済ばかりか生活をも直撃し、最近のガソリン価格の高騰は一つの例。考えられる対策は、新たな道の模索だが、諸外国に求めるにしても簡単に事は進まない。とすれば、次の手は代替燃料…▼身近でも結構、さまざま試みられている。以前に本欄でも取り上げたが、沖縄諸島や北海道で実験が進む車両燃料としてのバイオエタノールの開発も然り。4年後には10%混合を発売させたいと政府も力を入れている。ただ、それをもって問題が解決するなら簡単だが、そうではない▼使用量などの面から考えるべきは、工業用などを含めた燃料。10月中旬の日本経済新聞が報じていたが、その第1弾として政府が計画を温めているのが日本近海でのメタンハイグレードの産出。都市ガスや発電燃料になるもので、3年後の着手が考えられている▼消費燃料問題は、わが国が抱える最大とも言える課題。輸入原油に対する依存率が極めて高いことに理由があるが、今もさることながら、将来にぬぐい去れないのは、このままでいいのか、という思い。だとしたら、こうした代替燃料の開発、普及を目指す取り組みこそ急がなければならない。(N)


10月23日(月)

●厚沢部町に誕生した焼酎製造工場が本格操業に入った。長きにわたって経済が低迷したという背景もあるが、町村部での際立った企業進出はまれ。それだけに地元が寄せる期待は大きく、見学会に500人が訪れたことが、その証しとも言える▼立地したのは札幌酒精工業(札幌市)。ジャガイモでは知られる同町内で、サツマイモ「黄金千貫(こがねせんがん)」の栽培に挑戦する農家が現れたのは数年前。種イモからの苗づくり、ハウスでの温度管理など、地道な努力は報われ、安定栽培に一つのめどが…▼それを受けて同社は工場を建設、地元製造の体制を整えた。「黄金千貫」で言うと、初年度の今年は約200トンを受け入れ、720ミリリットル瓶に換算して約20万本を製造する計画という。原料(サツマイモ)生産地も、焼酎製造地も厚沢部の“厚沢部ブランド”の誕生は、もうそこまで▼商品名は「喜多里(きたさと)」。知られるように「喜び多きふる里は北海道にあり」という意味から命名された、と伝えられる。この「喜多里」シリーズには、ジャガイモ(メークイン)や昆布もあるが、同社も地域も熱い視線を送るのは、この北国産サツマイモ▼道南には地元産としてワイン、地ビールがあり、観光面などに寄与しているが、そこに原料も地元の焼酎が加わることに。酒類に限らず、地場産品が育つには地域のサポートが必要と言われる。地産地消、産消協働といった言葉で問いかけられているが、「喜多里」はその一品にほかならない。(N)


10月22日(日)

●一人暮らしのお年寄りが増えている。その数、全国で300万人を超えるとも言われ、国勢調査を踏まえた政府の報告でも「65歳以上の一人暮らし高齢者の増加は男女とも顕著」と。今でさえ、そうだとしたら、今後、さらに高齢化が進むと…▼15年ほど後の2020年には、夫婦とも高齢の全高齢者世帯を上回って、一人暮らしのお年寄りは高齢者がいる世帯の34・4%に達する見通しという。「住み慣れた所を離れたくない」など、その理由はさまざま。確かに日常生活に少しも問題のない元気なうちはいい▼歳を重ねるにつれて本人の不安は増し、離れている家族の心配は募る。その対策として近年は官民、ハード、ソフトの両面で次々とケアシステムが生まれているが、東京都が打ち出した新たな取り組みが注目されている。それは「水道使用状況を伝えることによる安否確認」▼依頼のお年寄り宅に、1時間ごとの水道使用量を記録できる電子メーターを設置し、使用情報を家族にPHS端末を使ってメール送信する、というシステム。水は1日何度も使用するものだから、異状があれば察知できる。これはいい、函館などでもできる▼一人暮らしのお年寄りと家族との接触は、けっして少なくない。電話などでの「毎日」が24%、「週1回以上」が33%という調査結果もある。本来、会話ができるに越したことはないが、こうしたシステムが本人にも、家族にも心強い存在となるのは確か。この東京都の「みまもりサービス」は、来年3月から1年の試行が始まる。(H)


10月21日(土)

●あらためて学校、教育委員会が問われている。滝川市(北海道)で小学6年女児、福岡県筑前町で中学2年男子生徒が自殺した問題の対応が、あまりにも人間的、教育的でないから。見せられている姿は言葉を失うことばかりで、情けなさ過ぎる▼滝川市のケースは1年前に起きていたこと。教育に携わる人でなくても、いじめを認識させる内容と分かる遺書が残されていたのに…。いずれ表に出るのは明らかなのに愚かというか、隠し通そうとし、その理由も調査が必要だから、ときては、もう呆れるほかない▼学校、市教委ばかりか道教委も然り。20日に明らかになったが、担当者に届いた遺書のコピーを上司に報告せず、しかも紛失していたというのだから。そこには問題意識のかけらも感じられない。筑前町のケースにしても本質的には同じ。事後処理を決定的に誤っている▼企業の不祥事にしてもそうだが、問題が表面化すると、まず隠そうとする。しかし、ほとんどの場合は何らかの証拠があり、証言者がいるもので、世間には目もあり、耳もある。隠し通せるものでなく、後から真実が表に出た時、問題は2倍にも、3倍にも膨れ上がる▼その轍(てつ)を踏んだ事例となった。事実は事実として潔く認め、明らかにすべきだったのに、今、これだけ問題が大きくなってから謝罪したところで、取り返しはつかない。逆に遅いという批判が伴うだけで、この2件のケースでは児童生徒が受ける傷も倍加させてしまった。関係者の責任は重いと言わざるを得ない。(N)


10月20日(金)

●「今後30年以内に震度6弱以上の地震が発生する可能性の高い地域が少なくなく、昨年3月の発表に比べ、東海などの太平洋側ではわずかながらも確率が上がっている」。9月末、政府の地震調査委員会が発表した確率論的地震動予測地図の骨子である▼わが国は地震国と言われるが、歴史的にマグニチュード7、震度5クラスの発生も多々、経験している。死者・行方不明14万人強、全壊家屋13万棟もの被害を被った関東大震災(1923年)は別格として、この20年ほどの間だけでも軽く十指を超える▼奥尻島や道南を襲った北海道南西沖地震(1993年)、6000人以上の死者を出した兵庫県南部地震(阪神淡路大震災、95年)は記憶に鮮烈だが、さらには鳥取県西部地震(2000年)、芸予地震(01年)などがあって、今なお復興事業が続く新潟中越地震…▼台風などと違って、地震の怖さは、今の科学を持ってしても予知が難しいこと。せめて「長期的な情報だけでも…」という思いに応えた一つが、この確率予測の発表。まだ2回目の発表だが、それによると、最も注意が必要なのが静岡(東海地区)で、30年以内の発生確率は86%▼北海道はどうかと言うと、根室が5番目の44%、道南に隣接の日高が10番目の32%という。「30年以内に…」とは、ばく然とし過ぎているととらえがちだが、発しているのは「常に備えを忘れずに」というメッセージ。あの新潟中越地震の最初の発生(04年10月23日、震度6強)から、間もなく2年になる。(H)


10月19日(木)

●今年の新聞週間(21日まで)の代表標語は「あの記事が わたしを変えた 未来を決めた」。独裁者の国家の住民は、核実験のニュースなど知らされず、原爆が落とされると瞬時に国土が破壊し、放射能を浴びて人々が死滅することも知らされない▼こんな経験がある。広島で被爆し道内に引き揚げた親子。ケロイドのある子どもは学校で「汚い、気持ち悪い(今は『キモイ』か)と、毎日のようにいじめられ、増水した川に入水自殺した。この時代は個人情報保護法などはなかったが、「まだ記事にしないで」と言われ、ペンが途中で止まった…▼優秀な生徒はイチゴ、劣等生はジャムと差別したり、「偽善者だ」と繰り返した先生の発言が、中学2年の生徒を自殺に追い込んだ。新聞が報じなかったら、遺書があったのに小学6年女児の自殺を「いじめ」と認めなかった滝川市教委の態度も闇に葬られていた▼ロシアではチェチェン紛争の調査報道をめぐって女性記者が殺害された。取材活動を理由にした殺人の可能性が高いとされる。ソ連崩壊後、42人の記者が殺されているというのは尋常ではない。政権に批判的な記者でも、その活動は守られるべきなのに…▼目を覆うような事故現場など、みんなが知るべき情報や、地域が共有すべき情報は少なくない。取材現場の集団的過熱取材は許されないが、書くべきは漏らさず書くという報道の原則は、いつの時代でも変わらない。「…わたしを変えた 未来を決めた」と言われる記事は、そこから生まれる。(M)


10月18日(水)

●毎年、数え切れないほど生み出される統計資料。確かに数値の世界だが、それが世の中の動きを客観的に浮かび上がらせる。継続的な統計ならば、前の年と比べてどうか、十年前と比べてどうか、など。「統計は生きもの」と言わせる理由もそこにある▼学説的に統計を定義するなら「ある目的を持って、一定の条件で調べ、集計したデータを加工した数値」ということになろうか。大きく分けて3つあって、1つは国勢調査をはじめとする政府(公的)統計であり、さらに業界などの民間統計、大学などの研究統計…▼種類や仕組みに違いはあれ、いずれも貴重であることに変わりない。さまざまな傾向や大方の動きが読み取れるからだが、さらに統計の素晴らしい点は「世界で共有し合える」こと。言語と違って、数値ゆえに誰もが理解できる。実はきょう10月18日は「統計の日」である▼この日が選ばれたいわれは…。わが国最初の近代的統計とされる府県物産表に関する太政官布告がなされた日(太陰暦の1870=明治3=年9月24日)ということからで、1973(昭和48)年7月、閣議で正式に定められて33年。毎年、啓蒙(もう)活動が行われている▼そこにあるのは、統計に対する国民の理解を喚起し、調査への協力を、という思い。個人情報保護との絡みもあって難しさを抱えているが、統計はいつの時代にも共通の社会に必要な資料。「生かします。あなたにもらった 貴重なデータ」。今年の統計標語(特選作)は、こう呼びかけている。(H)


10月17日(火)

●政治家の発言は重い。単に「誤解を招いたでは済まされない」のは、影響力が大きいから。時として国際問題にさえなりかねない。それなりの立場ともなるとなおさらだが、15日のテレビ番組での中川昭一自民党政調会長の発言「核保有について議論があっていい」も然り▼この日は、国連安保理で北朝鮮が実施を発表した核実験に対し、全会一致で制裁決議がされたばかり。わが国は議長国として難しいまとめ役を果たし、そうでなくても船舶の入港禁止など独自の制裁を発動したことで、国際社会から注目を集めている時である▼国民の多くが知っているが、被爆国のわが国は非核三原則を堅持している。沖縄返還の際の1967(昭和42)年、当時の佐藤栄作首相が国会答弁で「核は保有しない、核は製造もしない、核を持ち込まない」と答弁したのが最初で、4年後には衆議院が決議している▼それから40年ほどになるが、わが国は一貫して、この国是とも言われる原則を内外に示し、平和国家の証しとしてきた。それが与党の幹部の口から、あたかも否定したと受け取られかねない発言が簡単に出てくるとは…。その後、釈明しているが、誤解を与えたことは確か▼核開発をめぐって今、世界はびりびりしている。中国、ロシアを含め各国が北朝鮮への制裁決議に賛成したのは、まさにその証しだが、だからこそ冷静な対処が求められる。本意ならともかく、そうでないとしたら“中川発言”は軽率のそしりは免れず、厳しく批判されて仕方ない。(N)


10月16日(月)

●「旅」を嫌いという人は恐らくいまい。国内であろうが、海外であろうが、引きつける理由は「非日常の世界に身を置ける」から。見聞きし、体験するものすべてが新鮮に映り、感動を覚えることで心身が癒やされる。ただ、思いや好みは、人それぞれ…▼交通手段一つとっても、それが言える。絶対の飛行機派もいれば、列車がいい、船がいい、という人もいる。飛行機派は窮屈感を覚えても短時間、速いに越したことはないという説だろうし、列車派や船派としては多少時間がかかってもくつろぎの空間がいいと▼時間に余裕のない急ぎ派は飛行機、楽しみながらのゆったり派は列車や船…。その特徴を使え分けることで「旅」の幅は広がる。ただ現実はどうか、というと、飛行機派が圧倒的ながら、昨今は後者が次第に…。心身ともに疲れる世の中ゆえか、船が視線を集めているそう▼9月の函館には客室が数百、動く街ともいえる豪華客船が何度か入港した。経験した人から話を聞いたことがあるが、乗船中は命の洗濯であり、下船の際には「もう一度と思った」という。確かに船の「旅」は金と時間がかかるが、それこそ価値判断は人それぞれ…▼列車はどうか、というと、寝台の個室や新幹線の人気は高い。陸海空、いずれの玄関口も整っている函館だが、その現状をみると、飛行機は徐々に路線が広がっている、列車も、早ければ7、8年で新幹線が実現する。その一方で船は、青森とのフェリーを除けば他に…。残念ながら「旅」に結びつくに至っていない。(N)


10月15日(日)

●当社が公正取引委員会を相手取って提訴した事件記録閲覧謄写申請不許可処分取消請求訴訟は、ついに最高裁の判断に委ねられることになった。1審の東京地裁、2審の東京高裁ともに当社への全面開示を認め、敗訴した公取委が11日までに上告したため▼提訴に至る一連の経緯については、9月末の本欄で説明したが、当社が求めたのは利害関係人として公取委保管の事件記録(押収証拠、任意提出資料、供述調書など)の開示であり、その申請を公取委が拒否したことの法律判断。1審も、2審も極めて明快に公取委の主張を否定した▼いずれも「法律に基づいていないから無効」との判断だった。公取委の「企業秘密にかかわる情報の提供に協力を得られなくなり、審査に影響が出る」などの主張にも「(今の法律で支障があるなら)法律を改正すべき」として退けた▼当社はまったく関係のない事件記録を全面開示せよ、と言っているわけではない。求めているのは、当社が独禁法違反として申告した事件の当事者に対するものだけ。申告した当社はこの事件に関する限り紛れもない利害関係人のはずである▼それが、どうして今後の情報提供に影響する、という論理にまで飛躍するのか。公取委がこの判決を受け入れ難い事情は推察できる。当社の件ばかりか、これまでの対応を自ら否定することになるから。ただ、そこに見え隠れするのは役所の面子。長い目で見れば、法律の改正という道もあったはずなのに、上告した。残念というほかない。 (A)


10月14日(土)

●戦争という過酷な運命が子どもたちを引き裂く。少女と少年は霊きゅう車や教会の十字架を片っ端から盗み出し孤児院送りに。ルネ・クレマン監督は「禁じられた遊び」で子どもの目を通して反戦を訴えたが、隣国の核実験は、まったくその逆。とんでもない話である▼いつもは民族衣装なのに茶系のジャケット姿の女性アナウンサーが「核実験は100%…、われわれの知恵と技術…朝鮮半島の平和と安定を守る…」と放送、一方的に核保有国グループ入りを宣言。「国連が制裁を決議したら宣戦布告とみなす」と脅迫まがいの暴言まで▼ロシアや中国は友好国、韓国は国家統合を目指す同胞の国。敵がい心をむき出しにしている米国は、テポドンやノドンを撃ち込むには遠すぎる。残るは日本だけか。政府はさっそく船舶の入港禁止など制裁を強化した▼事業的に大麻を栽培、偽ドル札などを製造、闇の取引で武器を輸出して外貨を荒稼ぎしている、その国への制裁はまず経済から。マツタケ、アサリ、ウニ、カニ…輸出禁止はブローのように効くはず。韓国も食糧支援などの太陽政策を見直している▼世界を敵に回した“禁じられた遊び”や“危険な火遊び”は、いずれわが身を焦がす。「核攻撃の脅しなど自暴自棄にならないで」と教えたいのだが、何せ聞く耳を持たない。拉致した横田めぐみさんらを早く帰し、謝罪して6カ国協議に復帰するしか道がないはずなのに。墓地の少女と少年も十字架を盗まなかったら平和な日々が続いた…はずである。 (M)


10月13日(金)

●全国消費者団体連絡会(全国消団連)は、今年が結成50周年という。諸説はあるが、わが国の消費者運動の始まりは1945(昭和20)年と言われる。大阪の主婦が始めた物資獲得運動で、3年後には不良マッチ追放運動が繰り広げられ、主婦連の発足に▼先進国には経済発展の過程で、さまざまな消費者問題が提起された歴史がある。わが国でも不良商品の追放や苦情相談などから始まり、活動の幅を広げて近年は…。PL(製造物責任)法を求める運動をはじめ食品安全基本法、消費者契約法などの制定に役割を果たしている▼その大きな一翼を担っている団体に、現在、44の消費者団体が加入している全国消団連がある。1956(昭和31)年12月の結成で今年が節目の50周年。それを記念して募集したシンボルマークとキャッチコピーが決まった。マークは「消」の字を太陽のようにデザイン…▼キャッチコピーは5編が選ばれた。「一人の疑問はみんなの疑問 小さな声を大きな声へ」「消費者の声が聞こえる安心生活」「手をつなごう!消費者パワーは無限大∞」「消費者が暮らしを良くする社会を変える」「高い意識と強い意志 未来を創(つく)る消費者へ」▼社会の仕組みや経済の複雑化の進展は、難しい問題を生み出す。その中で消費者の立場をどう守っていくか、その鍵は厳しい目であり、立ち向かう行動。「消費者運動は生活を守る国民運動」とも言われるゆえんだが、消費者運動をここまでにした功績は、こうした団体の活動を抜きに語れない。(H)


10月12日(木)

●子どもの教育問題が取り上げられる時、必ず議論になるのが家庭における「躾(しつけ)」。じっとしていられない、話を聞けない、あいさつができないなど、就学後も基本的な躾がなっていない子がいる、とは、よく聞く話だが、それはうなずける一面▼「躾」は怒るとイコールではない。教育関係者に聞くと、ポイントは二つあって、日常的な触れ合いの中で、これ以上の行動はしていけないという“社会の枠”を教えることであり、あいさつや言葉づかい、決まり事を守るなど“社会の型”を身につけさせることという▼頭では分かるが、現実には簡単でない。そこに切り込んだ取り組み例が青森県にある。平内町が昨年度から始めた「脱いだ靴やスリッパをそろえよう」運動。9月中旬の読売新聞(青森版)が詳しく報じていたが、それは「躾」を考えてもらう上で一つのアイデア▼家でも、学校でも、脱いだ靴をそろえるのは当たり前だが、それが乱れているのは教えていないから。毎日、何度もすることであり、しかも具体的だから親も教えやすい。それが出発点だった。町の広報紙などで運動への理解を促しし、取り組みが始まって1年…▼今年6月に行った調査の結果、小中学生のいる家庭の75%、4世帯に3世帯が実践し、着実に浸透しているという。脱いだ靴をそろえるのは、基本的な礼儀であり、平内町のこの取り組みは「躾をきちんと…」という問いかけ。それにしても、悲しいのは…。今のわが国に、こうしなければならない現実があることだ。(H)


10月11日(水)

●季節は秋から冬への過度期を迎えている。紅葉前線は山頂部から麓(ふもと)へ、さらに平野部へと近づいてきて…。今、まさに紅葉観光真っ盛りとも言えるが、一方で気象を甘く見てはいけないとも言われる時期。7日からの3連休、山岳遭難事故が相次いだ▼9月はまだ夏の名残りがあるが、10月は朝晩の気温は低下し、日暮れは早くなるなど、全国的には秋…。だが、北海道や本州でも山間部は、同じ秋でも晩秋であり、所によっては冬状態。「10月だから、まだ大丈夫」という思いは、少なくとも山に関しては通用しない▼それをあらためて教えているのが、相次いだ遭難事故。長野県・白馬岳の7人遭難(4人死亡)をはじめ、同じ長野県・前穂高岳、岐阜県・奥穂高岳、北海道・旭岳で各1人死亡している。2000メートル級の山頂部ともなれば…。気象状況を甘く見たか、滑落死や凍死だった▼確かに7、8日は、台風崩れの低気圧が荒れ狂う異常な気象だったが、例えそうでなくても、変わり方が激しいなど10月の山は注意が必要と言われている。この時期の登山で突然の猛吹雪に見舞われ、視界を失った経験を持つ人がいると思うが、十分にあり得る現象▼その気象変化が今、刻々と山を下ってきており、朝晩の峠越えの道路は既に侮れない状況。先日も日勝峠(日高―十勝)が降雪のため、一時的ながら通行止めになったことが報じられた。心配されるのは交通事故。「峠を越える場合は、冬(スタッドレス)タイヤに換えてから」。備えに勝る安心はない。(H)


10月10日(火)

●休刊日


10月9日(月)

●悲しい事件を何度、経験したことか、社会が「子どもの安全」を問われるようになって久しい。全国各地で地域が立ち上がり、子どもを守る取り組みが広がっているが、登下校時などに見知らぬ人から声をかけられたという事例は一向に減っていない▼もちろん、道内でも。北海道警察本部のまとめによると、今年1月から8月までの8カ月間に把握した子ども(13歳未満)に対する“声かけ事案”は、全道で340件。その多くは札幌市とその近郊都市だが、道南でも20件ほどあって、函館市内は15件▼ちなみに昨年の同期は139件だった。今年はその2倍以上であり、1カ月平均にして40件以上というのだから多い。参考までに声をかけられた状況では、登下校時が最も多く163件(48%)で、塾等の途中が91件(27%)など。さらに場所では道路上が圧倒的に多い▼件数にして266件(78%)というから4件に3件まで。そのほかでは公園が38件(11%)、建物の中が15件(4%)など。こうしたデータからも、安心できる現実にないことを思い知らされるが、とっさに付近の家へ逃げ込んだケースが23件も報告されている▼「子どもの安全」に対する地域の連帯と、家庭、学校での対処教育は欠かせない。その合言葉は「いかのおすし」という。「ついて『いか』ない」「車に『の』らない」「『お』おごえをだす」「『す』ぐ逃げる」「周りの大人に『し』らせる」。悲しい現実だが、繰り返し教えることを怠るわけにはいかない。(N)


10月8日(日)

●選手を支える競技団体がこれほど腐っていたとは…。クリーンだとは思っていなかったが、それにしてもひど過ぎる。日本スケート連盟の不正経理はついに司直の手に委ねられた。これまでに明らかになっているだけでも、不適切などというレベルを通り越して、紛れもない犯罪…▼「競技団体に不祥事はつきもの」と指摘する識者がいるが、その両翼は権力争いであり、不正な経理操作。後者でよく指摘されるのは公金の私物化で、一部の役員が実権を握るなど、組織として機能していない団体に共通している。まさに日本スケート連盟がそうだった▼今年の4月に「財団法人日本体育協会及び加盟団体における倫理に関するガイドライン」が示されたばかり。日本スケート連盟も対象団体だが、その中に「不適切な経理処理に起因する事項」として、下記のような項目がある▼「経理処理については…内部牽制を組織化し、少数の担当役職員に任せきりにしない。同時に定期的なチェック、公認会計士などによる外部監査を受けるようにする」。そして、次に示すような行為は厳に禁じるよう罰則も含めて規定化することとし、不適切な報酬…▼社会で極めて常識的なことが、簡単に踏みにじられている。しかも、そこには「選手のために」という基本的な思いが欠落している。ガイドラインでは意味を持たないことが分かった以上、公認会計士による監査を毎年、義務づけるしかない。選手のことを考えると、裏切った役員の罪は科せられる刑事罰よりもさらに重い。(N)


10月7日(土)

●老後をどう生きていくか、5人に1人が65歳以上という社会を迎えて、60歳からを第二の成人としてのスタートと考えよう、と提唱する団体がある。全国老人福祉施設協議会で、その啓蒙(もう)手段として今年も「60歳からの主張」を募集している▼総理府の統計によると、わが国の65歳以上の人口は2640万人、75歳以上は1208万人。今後、さらに増える予測がされているが、昔と違って70歳前後でもまだまだ現役。というわけで、同協議会が発したのが「もっと行動し、主張しよう」という問いかけ▼これまでの人生で経験した味わいのある、深みのある意見を寄せ合おう、というのが趣旨。2003年に「青年の主張」ならぬ「60歳の主張」を募ったのが最初で、昨年から「60歳からの主張」に衣替えし、今年が3回目。ちなみに昨年の募集では505編が寄せられた▼目を通していて、優秀賞作品の一つの最後で目が止まった。「期待される人間像はご大層なものではない…次の枠組みを守った後は…自由に最終章を飾ればよい」とし、示した枠組みが(1)横着をせず常に頭を耕しておく(2)過去の栄光を語らない(3)体の不調を訴えない(4)人の話をよく聴く▼「この最後の項目がなかなか厄介で、明るく元気な人達は、ややもすると独演会を演じている。これは厳に慎みたい」と締めくくられていた。自戒の念もあるのだろうが、説得力のある主張。今年の締め切りは11月19日。詳しくは運営事務局(TEL03・3555・2727)へ。自分の考え、思いを発する機会として応募をお勧めしたい。(H)


10月6日(金)

●うさぎうさぎ なに見てはねる 十五夜お月さま見てはねる〜。6日は十五夜。月の満ち欠けは、生あるものは必ず滅するという宿命と死の再生につながる。潮の満ち干や女性の月経の周期は、生命の誕生を意味するという。お月見は女児たちを祝うお祭りでもある▼この月の月は最もさえ渡り、韓国では月見は女性の役割といい、中国でも女性が着飾って外出する風習がある所も。もちろん満月は豊穣(ほうじょう)の象徴で、月を見上げて大地に感謝する。江戸時代の月見だんごは満月のように丸く作られ、腹いっぱい食べさせたという▼「みんなに『キモイ』と言われとてもつらくなりました」と、7通の遺書を残して教室で自殺した滝川市の小6女児。友だちに「自殺したい」ともらすなど、SOSを発していた。学校側が「安らぎと救い」をもたらす月の輝きを常に観察していれば、悲劇は防げたかも▼米航空宇宙局(NASA)は12年後に4人の宇宙飛行士を送る計画を立てている。実現すれば人類の月面着陸はアポロ17号以来、46年ぶり。商魂たくましく月の土地を売り出したり、月面観光を募集したりする会社も出てくるだろう。携帯電話でつながりながら同じ月を眺めるのか…▼十五夜が曇っていたら翌日の十六夜(いざよい)、十六夜が雨だったら次の夜の立待月(たちまちづき)、次の日は居待月(いまちづき)、その次は臥待月(ふしまちづき)、5日目は更待月(ふけまちづき)と続く。なんと風情ではないか。漁火の海峡、大森浜を照らす中秋の名月に心を癒やそう。(M)


10月5日(木)

●国から都道府県、市町村に至るまで、共通して求められ、実効を迫られているのが行財政改革。もっと簡単な、誰にでも分かる言い方をするなら、多額の借金をなくして将来に心配のない財政にする取り組みを、ということだが、なかなか進まなくて…▼国債や借入金など、いわゆる国の借金の残高は、昨年度段階で813兆円。都道府県、市町村も、そのほとんどが起債などという名の多額の借金を抱えている。夕張市が身動き取れなくなって再建団体の申請をする事態になったが、その一歩寸前の自治体も少なくない▼企業で言えば倒産状態、人間で言えば危篤状態。そうなった責任の追及もさることながら、現状から抜け出して、流れを変えなければ、将来に大きなつけを残すことになるのは明白。その取り組みこそが行財政改革であり、避けては通れない至上命題▼その柱は職員数の削減といった事務経費の節減、行政事業の見直しや効率化などだが、進んでいるようで、そうとは言い難いのが現実。9月末に日本経済新聞が昨年度決算(速報値)の歳出総額から見た節減率(都道府県、市町村)を報じたが、前年度比で1%前後▼都道府県で1・2%、市町村では0・9%だったという。人件費の総額も都道府県、市町村そろって1・4%減少しただけ。確かに景気の回復で、今後、税収の伸びなどで歳入が好転するかもしれないが、だからと言って、行財政改革の手を緩める言い訳にはならない。さらに本腰を入れた取り組みが求められている。(N)


10月4日(水)

●「まちおこしの起爆剤に」。湯の川温泉のホテルなどが、この秋、「オンパク」を展開する。10月21日から11月5日までの16日間。初年度のコンセプトは「湯の川であなたを待つ50の扉」で、既に打ち出したプログラムは「50の扉」に匹敵するほど多彩に▼「オンパク」。聞き慣れない言葉だが、「温泉泊覧会」の略で、大分県の別府で4年前から始まった温泉を身近にしてもらう取り組み。ホテルや旅館などが生み出した体験型観光の成功例と言われている。新たな魅力づくりを模索する湯の川温泉が着目した▼狙いはいつもと違った“にぎやかさ”の創出であり、ホテル、旅館のほか香雪園も会場に。発表されているプログラムは50を超え、延べ開催回数は170ほど。料理教室やエステなどのほか、人気を集めそうなユニークなプログラムがめじろ押し。例えば香雪園では…▼「癒しのチェンバロ」や「散策と園亭での一服」「楽しい写真教室」などが予定され、湯倉神社では「桂枝光 湯けむり寄席」が。さらには「THE温泉卓球大会」「筝・木管フルート&ペシェミニオンinわか松」「パパは寿司職人」「いか墨画家に挑戦」などがホテルなどで▼参加料金は一部を除き、ほとんどが3000円以下。そこに「気軽に参加してもらいたい」というメッセージが読み取れる。そう、このオンパクは観光客向けだけではない。「主催は湯の川温泉のホテル・旅館 お客様は函館市民の皆様」。呼びかけるパンフレットには、こう記されている。(H)


10月3日(火)

●腎臓移植の希望登録者は全国で1万1000人余り、移植を20年も待っている患者もいると言われる。提供者が少ないためか、世界でも臓器売買が横行している。インドでは臓器を売る「腎臓村」と呼ぶスラム街もあるといい、中国では刑務所(死刑囚)からの臓器提供が大半だったという話も▼学生時代、大阪刑務所で看守を実習した時、服役者から「ダンナさん、新米じゃないかい」とからかわれた。そう、あの檀(旦)那さん。サンスクリット語の「ダーナ」で、施す、与えるという意味。ダーナがドネーション(提供)になり、ドナー(臓器提供者)となった▼身を捨てても人のために尽くす「慈悲行」だ。オスカー・ワイルドの「幸福な王子」は、苦しむ人々に自分の目や皮膚などを与えた。釈迦は過去世において飢えた虎に身を差し出した。インドのダキニ天は心臓や肝を食べる神だった。この頃から腑分け(臓器移植)はあった…▼宇和島市で腎臓移植(昨年手術)に絡み、レシピエント(移植を受けた患者)の59歳の男と仲介した女が逮捕された。手術後、知人のドナーの女性に現金30万円と150万円相当の新車を渡していた。女性には「借金を倍の500万円にして返す」と腎臓提供を迫ったという▼「死体、生体を問わず、臓器提供の対価として利益の供与、提供をしてはならない」。こう規定しているのが臓器移植法だ。臓器売買は許されない。ドナーはあくまでも善行に基づかなければ…。売買に頼らない社会環境づくりが急務だ。(M)

 

10月2日(月)

●言葉は思いを伝える基本的な表現手段。響きと印象を伴って伝わるからだが、使い方を間違えたりすると、意に反して誤解を招くことになる。誰しも大なり小なり、そんな経験があるはずだが、政治家などにとっては、それが命取りともなりかねない▼道南地域ではあまりお目にかからないが、9月末の産経新聞が安倍首相の就任会見の関連記事で、面白い取り上げ方をしていた。「幾つかの表現を多用していた」ことに焦点を当てた内容で、使った回数を報じ、それを多用したことの心理状態を探った記事だった▼就任したばかりで緊張もあった、丁寧に答えたいという思いもあったに違いない。本人が意識していたか否かは定かでないが、多用したのは「しっかりと」と「…思います」「…まいります」。その回数は「しっかりと」が32回で、ほぼ1分に1回登場した計算になると▼ちなみに「思います」は35回、「まいります」が22回…。よく数えたものだが、それはそれとして、よく「…思います」とか「…考えています」の多用は「自信のなさの表れ」と言われる。確かにそうだ。「やります」「進めます」などに比べると、確かに伝わり方が弱い▼首相は強いメッセージが求められる立場。分かりやすい成功例が小泉前首相で、対極的にも映る。その3日後の所信表明演説ではカタカナが多過ぎとも言われたが、この段階で、そう目くじらを立てる必要もない。それにしても、言葉というのは何とも奥が深く、難しい。(N)


10月1日(日)

●かつて財政を潤す役割を担った公営事業が、次々と存廃の岐路に立たされている。地方競馬が端的な例だが、北海道では「ホッカイドウ競馬」に加え、道内だけが売りの「ばんえい競馬」も多額の累積赤字を抱える厳しい情勢に陥って…▼ブルトン種など体重1トン級の重種馬が鉄そりを引いて障害を越える「ばんえい競馬」は、北海道の一つの原風景。あまり知られていないが、明治末期から大正時代にかけて道南でその基礎が出来上がったとされる。戦後、公営として運営されるようになり、現在は4市による組合で▼旭川、帯広、北見、岩見沢市だが、近年は収支が崩れて単年度赤字続き。開催による地域貢献度を認識しつつも、各市それぞれ厳しい財政事情を抱え、悠長に構えてもいられない。ということで、再建計画を策定したが、その初年度も7億円の赤字とあっては…▼崖(がけ)っぷちに立たされている「ホッカイドウ競馬」もそうだが、赤字だから即廃止、ともいかない。ファンがいて、それにかかわっている多くの人がいるからで、まさに経営との板挟み。「現在の4市開催から2市への集約案をまとめた」という情報も伝わってきている▼累積赤字は約31億円。これほど多額だと、ある意味、集約案も仕方ないと思えるが、簡単に割り切れる話でもない。悩みは募るばかりであり、最終判断が注目されるが、公営事業の厳しさは地方競馬ばかりでない。今年は健闘しているとはいえ「はこだて競輪」にとっても、けっしてひとごとではない。(N)


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