平成18年11月


11月30日(木)

●リストカット、イメージ、イルミネーション、カウンセラー…はんらんするカタカナ英語。意味がとれないものもあって困惑する、という投書をある新聞で読んだが、先日は「エンパワメント」や「ピヤ・サポート」というカタカナ文字を目にした▼いじめ防止の記事で。大阪府教委が「こどもエンパワメント支援指導」を導入するという。「内なる力を引き出す」という意味で、ゲームやロールプレーイング(役割演技)などを通じて暴力を防ぐコツを教えるもの。学年を超えて交流するのがピア(仲間)サポート(支援)▼都留文科大調査によると、いじめは先生と教え子が友だち感覚で接触する「なれ合い型」の学級で発生しやすく、先生が子どもに引きずられ加担することも否めないという。そんな中、エンパワメント要素の一つ、一人ひとりが大切な存在だと気づかせる「感情」が、いじめ防止にも有効だというのだが…▼いじめ予告手紙以来、生徒たちが「自分たちでいじめを根絶しよう」という動きが出始めている。山形では市内の全中学校の生徒会が「いじめは恥ずかしい行為」を共通スローガンに呼び掛け、東京の小学校では命を考える学習で輪から外れそうな子を隣の子が手を伸ばして引き寄せたという▼カタカナ語は何となく対症療法的な響き。原因が多様性(ダイバーシティ)の「いじめ」や「上司の(パワー)嫌がらせ(ハラスメント)」も然りか。先生や親たちから「十分な説明に基づく同意(インフォームド・コンセント)」を得て、子どもたちの自ら考え、解決する力を引き出す対策も必要なのではないか。(M)


11月29日(水)

●居眠り、私語、中座…国会から地方議会まで、議員の審議態度に関する評価は芳しくない。要は良識の問題だが、そんな姿を許しておけない、と各地で“監視役”が活躍し始めている。道内で知られる存在は札幌の市民団体「議会ウォッチャー」▼札幌市議会での監視報告が話題になったが、今度は道議会(9月の第3回定例会)で行った結果を公表、道議会にも提出した。厳しい採点はあらかじめ予想されたが、11月末に報じた新聞各紙によると、結果はその予想通りで、札幌市議会よりも悪かったという▼観察の対象となった行為は遅刻・早退、中座、居眠り、野次など。それによると道議108人のうち、遅れて議場に入ったり審議が終わる前に議場から去る遅刻・早退者が67人(延べ118人)で、途中で議場を出入りする中座者が71人(延べ132人)。さらに…。▼国会などでよく見かける光景だが、居眠りをしていた議員が65人(延べ110人)。この項目外では長時間の読書、自席を離れての私語なども指摘されているが、マイナス査定がなかった議員はわずか12人。総体的に審議態度が「極めて悪い」という評価だった▼これでは道政の懸案を審議する議会として批判を受けて当然。確かに身近な市町村議会と違って、国会や道議会は監視の目が希薄になりがちだが、だからと言って…。「議員としての自覚に欠ける」と酷評されている。それを当の議員がどう受け止めているか、ぜひとも聞いておきたい。来年の改選期を前に。(N)


11月28日(火)

●暇にまかせて、ある旅行代理店のホームページを開いていたら、一つのパック商品名のところで目が止まった。そこには「あけまして東京」と書かれていた。年末年始を東京で過ごそうか、と考える人には願ってもない商品の登場とも言える▼東京などの大都市から親や兄弟がいる古里へ、年末年始は帰省が定番だが、今の時代、親の方が子どもや孫のいる大都市でお正月を、と考えてもおかしくない。東京や京都などのホテルや旅館でのんびりと過ごしたい、そう思う熟年の夫婦だっているかもしれない▼年末に東京に着いて、元日は明治神宮などに初詣でをして、2日は箱根大学駅伝を沿道から見て…。横浜や鎌倉などに足を運ぶのもいい。通常のパックはあるが、格安の宿泊パックがあれば、なおありがたい。帰省とは逆方向だから飛行機の席に余裕もあるはずで十分、考えられる▼そこに注目したのだと思うが、この代理店が特定の航空会社と連携して打ち出した札幌から東京への料金は、観光向け宿泊パックで3泊4日4万5500円。12月30日から1月1日までの3日間、札幌を出発できる。もちろん1泊2日からあり、最大は4泊5日まで▼時代は変わってきて、予想しなかったところに需要がある、ということは珍しくない。この「あけまして東京」も然りで、どの程度の利用があるか定かでないが、初年度はともかく、外れる企画とは思えない。「これは…」と反応した一人だからだが、少なくとも旅行代理店の提案が感じられる。(N)


11月27日(月)

●12月1日は映画ファンならだれでも知る「映画の日」。函館では恒例の「函館港イルミナシオン映画祭」が幕を開ける。回を重ねて13回目。今や全国に数ある映画祭の中でも注目される存在で、今年も3日間、上映作品も多彩に繰り広げられる▼わが国で初めて映画が一般公開されたのは、1896(明治29)年の12月1日とされる。そこに「映画の日」となった由来があるのだが、今からさかのぼること110年ほど前。スクリーンに大雨が降るような映像で、見極めが大変だったという話だが、それでも…▼画期的な娯楽の出現ということで人気を集めたと言われる。明治、大正もさることながら、戦後の時代も映画抜きに娯楽を語れない。どんな小さな町にも映画館があった。満員で立ったまま見ることも珍しくなかったし、学校で上映会が開かれるなど最も身近な娯楽だった▼時代は変わって確かに映画館の数は減ったが、根強い映画ファンの層は今も。それに応える地域の取り組みが映画祭であり、今年の函館では、ロケ地ともなった「世界はときどき美しい」、寺島しのぶ主演の話題作「やわらかい生活」などの上映やトークショーが▼例年に増したにぎわいを期待したいが、その一方で気になるのが夕張。市の財政問題から補助の打ち切りで存続の危機が伝えられたが、映画祭の火を消すな、と有志がNPO法人化して継続の道を探ろうとしている最中。支援のメッセージを…。函館の映画祭は、そんな思いも込めて、いよいよ開幕を迎える。(H)


11月26日(日)

●「飲酒運転、ひき逃げの罰則や行政処分は、もっと重くすべき」。全国的に飲酒運転の撲滅機運が高まっているが、内閣府が10月に行った交通安全に対する特別世論調査でも、国民が違反者に厳しい目を向けている現実を、浮き彫りにしている▼7年前の11月、東名高速道路で飲酒運転の大型トラックに追突された車が炎上し、幼い姉妹が死亡した。その事故を機に5年前、危険運転致死傷罪を設けるなど罰則の強化が図られたが、この後も…。今年8月には福岡県で乳幼児3人が犠牲になる同様の事故が発生した▼確かに、罰則強化の効果はあった。それ以前は年間2万5000件ほどあった“飲酒がらみ事故”が、1万4000件弱にまで減少している。ただ“飲酒がらみ死亡事故”はここ1、2年、むしろ微増の傾向。発生件数(7月末比較)を見ても、一昨年の401件が…▼昨年は412件、そして今年は419件で、死亡事故全体に占める「飲酒あり」の構成比(同)も、一昨年が11・2%、昨年が12・5%で、今年は13・6%。問題を抱えたままという実態が変わっていないことを教えているが、世論調査の結果はその認識の表れ▼注目は「罰則、行政処分を強化すべき」と答えた人の割合だが、飲酒運転者に対して73%、ひき逃げ運転手に対して67%、飲酒運転同乗者に対して44%、そして酒類を提供した人に対しても43%…。「せめて危険運転致死傷罪をもっと適用できるようにすべき」。この数字(率)からは、そんな思いも読み取れる。 (H)


11月25日(土)

●函館野外劇を運営するNPO法人市民創作「函館野外劇の会」が、国土交通省が表彰する本年度の「手づくり郷土賞」(地域活動部門)に選ばれた。その価値や取り組みが認められた証しであり、記念すべき来年の第20回公演に向けて励みになる栄誉…▼函館には五稜郭跡(国の特別史跡)という格好の舞台があると、フリップ・グロード神父の提唱で函館野外劇がフランスのル・ピディフ野外劇に火種をもらって産声を上げたのは1988(昭和63)年。以来、毎年7月から8月にかけて10回の公演を続けている▼スタッフ、出演者みんなボランティア。市民が育てた“都市財産”と言われるのもそれ故だが、舞台、観客席設営など毎年、多額の経費がかさんで運営は今なお厳しいまま。それでも絶やさず、他に手がけた地域が幕を閉じた中で、対外的な評価は高まるばかり▼それは文化的な位置づけばかりか、今や観光資源としての見地からも…。サントリー文化賞、北海道地域づくり優良事例知事賞(1993年)、北海道ふるさと大賞(97年)、読売新聞社北の暮らし大賞(97年)など、数々の受賞歴が十分に物語っている▼その一方で、道外の旅行代理店も注目、公演の買い上げやツアー商品の開発といった動きも生まれている。ここまで築き上げた関係者の努力は賞賛して余りあるが、問題は今後。毎年抱える運営の苦労を、地域としてどう受け止め、どう考えていくか、そろそろ行政も市民もそれに応える段階を迎えている。(H)


11月24日(金)

●新聞社には出版社、個人から結構、新刊本が寄贈される。全国的に出された本もあれば、地元の人が自費で出版した本も…。ありがたいことで、特に毎年同じ時期に発刊される本は楽しみにしてしまう。そんな1冊に「60歳のラブレター」(NHK出版)がある▼実はこの本には「夫から妻へ、妻から夫へ」という副題がついている。最近は熟年離婚の増加がメディアで取り上げられる時代だが、長年連れ添った夫婦に「感謝の気持ちを1枚のはがきに託して…」という趣旨の事業。住友信託銀行が主催して6年になる▼中高年世代には、妻や夫に感謝の気持ちを口にするのは照れる、という思いがあるが、文章でなら…。今年寄せられたラブレターは9933通(うち男性は3039通)といい、10月中旬に出版された本には、その中から選ばれた157編が収録されている▼描かれているのはさまざまな人生模様。「呼んでも返事をしなくなったと思っていたのですが、耳が少し遠くなったのですね。だから小さい声で言います。『スキダヨ…』」「いるとうるさーい いないとさみしーい 文句の多い私ですが あなたといると 心はいつもあたたかです」▼ほとんどの“ラブレター”は、もっと長いのだが、この短い文章の中にも、夫婦のあったかい思いが伝わってくる。「作り事でも、きれい事でもない、率直な気持ちに思わず涙がにじんでくる」1冊。参考までに…。この本の印税は「NHK歳末たすけあい・海外たすけあい」に寄付されている。(H)


11月23日(木)

●微熱がある。風邪かな。落ち葉のじゅうたんのプロムナードを急ぐ。「人に猛威をふるう新型インフルエンザ発生の恐れが指摘されている」「インドネシアでは『人から人へ、さらに人へ』の連鎖は初めて」という記事が脳裏をよぎる▼インフルエンザは12月から3月にかけて流行するのが通常。ピークは1月下旬だが、今年は6月になって北海道、沖縄、岩手、秋田などで季節はずれのインフルエンザが流行。休校、学年閉鎖が相次いだ。B型とAソ連型だったが、短期間で気温が上下し、子供の体調に影響したようだ▼今季は鳥インフルエンザ(H5NI型)の感染が東南アジアを中心に広がり、人から人に感染しやすい新型が予想されている。これまでの新型は弱毒性だったが、鳥インフルエンザは強毒性で、感染したら世界で7400万人、日本で最大64万人が感染死すると推定されている▼今季のウイルス(B型)は京都などで初検出された。予防には接種を受ける、マスクを着用する、栄養と休養を十分取ることが肝心。抵抗力をつけるにはバナナが一番とも…。活性酸素を除去する抗酸化作用と白血球を増加させる作用が群を抜いており、免疫力アップには最適なのだという▼「普通の風邪と違って怖い感染症です。特に抵抗力の弱い高齢者や子供にとっては命にもかかわり『老人の最期の生命の灯火を消す疾患』と言っても過言ではありません」。ワクチンの接種をしてくれた病院の医師の話だが、それは「まずワクチンの予防接種を」という呼び掛けにほかならない。(M)


11月22日(水)

●「…100選」の話が2日続いたが、函館は最近、もう一つ選ばれている。「ヘリテージング100選」(毎日新聞社主催)。「旧函館区公会堂、函館ハリストス正教会復活聖堂、元町・末広町周辺の和洋折衷住宅など」の「函館市内」ということで▼あまり聞き慣れない言葉だが、ヘリテージングとは、近代遺産を観光の対象として楽しもうという提案で、さらにかみ砕くと遺産観光地100選。公募によって選ばれたのだが、北海道・東北・北関東のいわゆる東日本からは36カ所、うち道内からは4カ所がランク入り▼函館同様に街中に歴史的建造物が残り、運河の保存で根強い人気の「小樽市内」のほか、北海道の開拓当時の建物を移築再現した野幌森林公園内の「北海道開拓の村」、十勝の上士幌町で保存活動が進む糠平湖の「旧国鉄士幌線コンクリートアーチ橋梁群」…▼こうして選ばれることは、観光都市として、さらに“看板”を1枚もらったようなもの。自分たちで行きたい、楽しみたい場所を選択して、という旅行スタイルが増え、その度合いは今後ますます高まると言われる現在、与えられる “看板”は幾つあっても過ぎることはない▼ちなみに隣りの青森県からは「旧弘前市立図書館、旧東奥義塾外人教師館など」の「弘前市内」が選ばれている。建造物を見て歩くのも、街並みを眺めるのもいい、主催者は「わが国の近代遺産を楽しんでもらいたい」と趣旨を説明しているが、それは函館が発するメッセージにほかならない。(N)


11月21日(火)

●何事でも、いいことで選ばれるのは、うれしいもの。それも全国で指折りと認められるのは、ある意味、勲章であり誇り。昨日も「日本の歴史公園100選」に函館公園と五稜郭公園が選定された話に触れたが、近年、よく目にし、耳にする「○○100選」に函館・道南地域から、かなりの分野で…▼意外と覚えていないものだが、有名と思える方から挙げると、筆頭は「日本の道100選」の七飯・赤松街道、函館・大三坂道だが、「日本の音風景100選」の函館・ハリストス正教会の鐘、「さくら名所100選」の松前公園なども比較的知られている▼選ばれている数で多いのは函館山で、誰の目にも当然な「夜景100選」をはじめとして「21世紀に残したい日本の自然100選」「森林浴の森100選」など。このほか函館市関係では「都市景観100選」の西部地区、「日本の名湯100選」の湯の川温泉がある▼もう少し探すとあるわあるわ…。「日本の紅葉100選」に大沼公園、「日本の名城100選」に松前城と五稜郭、「日本の灯台100選」に恵山岬灯台、「日本の夕日100選」に江差、「快水浴場100選」に元和台海浜公園、「ダム湖100選」に笹流貯水池といった具合▼そのいずれもが第三者が認定した素晴らしさのお墨付き。選定したのが官公庁であろうと、民間団体であろうが、違いはない。残念ながら「かおり風景100選」「日本の名水100選」には漏れているが、これだけあれば…。函館・道南地域が都市、自然、文化財産の多い地域であることをあらためて教えられる。(A)


11月20日(月)

●「日本の歴史公園100選」。日本公園緑地協会などが都市公園法施行50周年を記念して今年行った事業だが、その審査結果の発表が10月末にあった。本紙も4日付の1面で報じていたが、函館・道南から函館公園と五稜郭公園がランクされた▼兼六園(金沢)、偕楽園(水戸)、後楽園(岡山)の“三大名園”をはじめ、全国には歴史的、質的に名だたる公園は数え切れないほど。今回の選定には全国から195カ所の推薦があったそうだが、第1号として選ばれたのは「100」を1割ほど超える112カ所▼“三大名園”はもちろん、誰もが知る東京の日比谷公園、上野恩賜公園、大阪の大阪城公園、広島の平和記念公園、仙台の青葉山公園など…。道内からは函館の2カ所のほかは、釧路の春採公園、根室の明治公園だけ。推薦しなかったか、札幌の大通公園、中島公園などの名はない▼函館公園の開園は1879(明治12)年。近代日本の先駆けとも言える存在の洋式公園で、園内には博物館施設のほか由緒ある碑なども。五稜郭公園は1864(元治元)年に竣工した西洋式城郭で、箱館戦争の舞台ともなり、1914(大正3)年からは公園に▼いずれも函館市の歴史的、都市的財産。桜(ソメイヨシノ)などの樹木も公園としての価値を高めている。せめて覚えておきたい、函館公園は文化財保護法に基づく登録記念物(名勝)であり、五稜郭公園は国の特別史跡ということを。その五稜郭公園では箱館奉行所の復元整備が進められている。(H)


11月19日(日)

●技術革新が急で、社会の動きも激しく、忙しい今の時代、ともすれば“ゆとり”に欠けるが、そんな時代だからこそ必要とされることが新しい言葉を伴って登場してくる。人間本来の生理に合ったスローな生活スタイルを提起する「ロハス」もそうだが…▼あらためて注目を集めている言葉に「ワーク・ライフ・バランス」がある。読んで字のごとし、働くことと生活の調和が大切という意味。忙し過ぎて余裕がない、そんな生活感覚はわが国が抱える課題の一つと言われる。戦後の復興期もそうだったが、違った意味で▼「働き方」と「暮らし方」の調和が崩れているということである。その認識に立ち、政府も2年前(2004年)に、仕事と生活の調和に関する検討会議報告書を公表したが、それを「次世代のための民間運動へ」と提唱しているのが、財団法人の社会経済生産性本部▼先ごろ推進会議を発足させた。そうした社会の実現こそ少子化対策と指摘する向きもあるが、同本部が打ち出している取り組みは提言と啓蒙(もう)。その具体的提唱の第1号が、23日の「勤労感謝の日」を「ワーク・ライフ・バランスの日」にしようという呼びかけ▼「勤労をたっとび、生産を祝い、国民互いに感謝しあう」という趣旨で「勤労感謝の日」が制定されて58年。この間に、社会の価値観も変わって、その趣旨は今の時代感覚に合っているかどうか。としたら、趣旨も名称も変えた方がいい。同本部の提唱もその一つだが、十分、検討に値する。(H)


11月18日(土)

●近年、政治家の質が問われている。自分の選挙を露骨に意識した姿勢も然り。自民党の内輪の話であり、賛成も反対もないが、郵政民営化造反議員の復党問題に絡んで“小泉チルドレン”が行った反対署名などは、それを感じさせる一つの例…▼小泉改革の柱である郵政民営化実現の一翼を担った自負から、言い分があるかもしれない。頼まれたか、公募に応じたかはともかく、最終的には自分が判断しての行動だったはず。そして政治家になった以上、次の道をどう切り開くかは、それぞれ培う自分の力である▼示し合わせたわけでもなかろうが、同時期に森元首相、小泉前首相、加藤元幹事長が、この問題に関して行った発言が興味深い。小泉前首相は…。「選んでもらったことに喜びを感じながら全力を尽くす。さらに使おうと有権者が思ったら、また使ってもらえる」(時事通信)▼森元首相は「選挙は1回ごと。…風で舞い上がってきたから、引き続き風を起こしてくれというのは政治家として言うべきではない」(日本経済新聞)、加藤元幹事長は「小泉チルドレン…(党の部会に)出席しない人が三分の一。これはもう不戦敗だ」(同)▼3人から伝わる思いは同じ。政治家になった以上は自分で努力をしなさい、という当たり前のこと。ある識者はテレビ番組で、こうも語っていた。「当選して(国会議員としての)仕事も十分していないのに、次の選挙を約束せよ、とは甘え過ぎ」。そう言われれば確かに…。そこに「国民が選んでいる」という事実もある。(N)


11月17日(金)

●厚生年金を離婚時に夫婦で分けられる“年金分割制度”が、来年4月から始まる。受給年齢になってから離婚した場合、現行の制度内容は「女性に不利」ということで生まれる制度だが、社会保険庁への相談件数などを見る限り、結構、関心は高いよう▼現行の年金は個人のものという思想に立っており、離婚した場合、年金額は主婦だった妻より、働いていた夫の方が多い。そこには家事や育児という労働で夫を支えてきたという精神が欠けている、つまり保険料は夫婦共同で納めたものと考えるべきではないか、と▼テレビや雑誌などで盛んに取り上げられ、本も出版されている。それが関心をあおったか、社会保険庁へ10月に寄せられた相談は実に6283件。このうち8割が女性で、既に各論に入り、自分の場合どう分割されるか、の問い合わせも1355人からあったという▼昨今、熟年離婚がことさら話題にされる。実際に増えている現実があるのだから仕方ないが、この制度はそれを助長させかねないと懸念する声がないわけでもない。同時に気になるのが「分割」という言葉を「半々」と誤解されていないか、ということである▼それにしても1カ月での、この相談、問い合わせ件数をどう理解すればいいのか。適用されるのは、あくまで来年4月以降の離婚者なのだから、先々の準備と受け止めておかしくない。「分割で自活できる年金額が得られるなら…」。この制度改正が時代の要請とはいえ、男性にとっては穏やかでいられない。(N)


11月16日(木)

●「緩やかな持ち直しの動きが続いている」。北海道財務局が10月末に発表した道内経済情勢の判断だが、この認識は前回発表(7月)と同じ。いまひとつ景気の回復感を実感できないでいる。識者もさまざまに提言するが、誰もが聞きたいのは「どうすれば…」の一点▼少し時間がたったが、10月末の読売新聞夕刊「窓」欄で「確かに」と思える寄稿を目にした。それは日本政策投資銀行北海道支店企画調査課長の亀森和博氏が寄せた「お国自慢が北海道を救う」という見出しの…。それぞれ出身地を自慢し合うことで人、物が動くきっかけになる、と▼北海道の主要産業は農業というのが一般的な受け止めだが、今や観光を抜きにはできない。道内にもたらす観光の最終需要は「1兆2000億円を上回る」(道の調査)と言われるが、氏が最近の気になる動きとして指摘するのが、道民の道内旅行の減少傾向である▼若い層を中心に、札幌と出身地周辺以外に行ったことのない人が意外と多いのだという。言われて見ればうなずけるが、氏はこう続ける。「観光という北海道の主力産業を道民自ら支える動きが減るのも寂しいが、道民が北海道を知らなくなるのはもっと寂しい」▼つまり、自分たちの住む北海道の良さをもっと知ろうよ、という問いかけであり、具体的な策として示したのが「お国自慢」。自分の出身地の素晴らしい点を発信し合おう、それが必ずや北海道の活性化につながるはず。氏はこう結んでいるが、この問いかけは実に分かりやすく、示唆に富んでいる。(H)


11月15日(水)

●冬を間近に控え、気になるのは冬型の交通事故。朝晩の冷え込みは一段と厳しくなり、雨降り後などは平地でも路面状態への注意が求められる。対策の基本は早めの冬タイヤ装着であり、もはや夏タイヤは危険との背中合わせ、という時期である▼道路事情、季節事情などもあって、死亡交通事故が多いのが北海道の悩み。長きにわたって都道府県別ワーストの汚名をいただいてきたが、実際に昨年までの5年間の平均年間事故死者数は418人という。昨年は302人で、200人台を射程距離にして迎えた今年…▼年始めから、その昨年を下回って推移してきた。昨年同期比20人以上減を記録していた時期もあったが、10月には様相が一変し、交通事故死者は昨年同月比で4人多い39人を数え、11月も危ないまま。12日には1日で5人など、13日現在、犠牲者は16人…▼1月からの累計は238人。都道府県別では愛知県(279人)に次いで多いが、それはともかく、大事なことは一人でも犠牲者を減らすこと。この238人は昨年同期に比べて16人少ないが、これからの季節を考えると「気をつけて」と声をからさずにいられない▼今年は飲酒運転に社会が厳しい目を向けた年だったが、問われているのは常にモラルであり、状況に合わせた備え。何度も言われることだが、(交通事故は)起こしてからでは遅い。備えを怠っての事故は、なおさら悔いが残る。備えをした上で、安全運転を心がける…。それに勝る安心はない。(H)


11月14日(火)

●「死ぬ事は苦しい、然し死ぬことが出来なければ猶(なお)苦しい。只(ただ)大抵のものは智慧(ちえ)が足りないから自然のままにして置くうちに、世間がいじめ殺してくれる。然し一癖あるものは世間からなし崩しにいじめ殺されて満足するものではない…」▼ほおをたたいた方は痛くないけど、たたかれた方は痛い。これを見ている人は痛くもかゆくもない。いじめは子供、先生、会社員、どの世界でも昔からあった。夏目漱石は『吾輩は猫である』などで「生きていることは苦しくなるだろう」と、いじめ社会の“生死”を予測していたとも受け止められる▼「いじめが原因で生きていることがつらい」。そんな自殺予告手紙が東京の中学男子や高2女子から文科相に届いたのをはじめ、道内では札幌や八雲でも…。文科相らは「命は自分だけのものではない。あと一日、生きて」と呼び掛けたが、その後もつらい状況が続いている▼いじめを相談できる相手は「友だち」が56%と多く、「親」は39%にとどまり、「先生」にいたっては19%(NPO調査)という。いじめが発覚して、追及されると言い逃れを連発し、ひたすら謝罪する学校側の醜態。「命を大切に」と諭していた校長まで自殺してしまっては、子供たちはどうしたらよいのか▼大変な社会問題である。“いじめ校舎”から一時避難し、冷静に見直すことも必要。萩原浩著「コールドゲーム」では、その最後で「人に頼ったらだめだ。自分が助かろうとしなくちゃ。生きなくちゃ」と訴えている。これ以上、悲しい知らせが飛び込んで来ないことを願うばかりである。(M)


11月13日(月)

●休刊日


11月12日(日)

●財政再建団体になるということは、こうも大変なことか、と教えられる。次々伝えられる夕張市の想像を超える話。確かに民間企業なら倒産状態だが、そこには自治もあれば、暮らす人がいる。その人たちが犠牲を強いられる現実は何とも忍び難い▼夕張市が明らかにした負債総額は632億円。肯定はできないながらも、これほど多額の負債を抱えた理由は分からないでもない。誰もが知るように炭鉱で栄華の時代を築いた都市だったのが、原油の台頭といったエネルギー革命の波を受けて、次々と閉山の憂き目に▼人口は減る。それを食い止め、税収を確保するためには、新たな産業創出が求められる。将来を託したのが観光であり、時代の流れもあって大規模施設を整備した。そこまでは責められない。問題はお役所仕事で、長年そのつけに目をつむってきたことである▼国、道の責任も免れられるものではないが、その追及はともかく、対策を急がなければならない。観光施設などの売却や市職員の大幅削減は当然のことだが、居たたまれないのは、病院の縮小をはじめ医療や福祉面などで、市民に負担がのしかかる話が出てきていること▼こんな話も報じられている。経費節減を理由に、地域の集会所が休館することになったため、地域の住民が暖房費などを自己負担することを条件に、使用を認めるよう市に願い出たという。市民には何の罪もないのに、それも仕方ないのだろうか。政治はどう応えるか、夕張市の高齢化率は40%を超えている。 (N)


11月11日(土)

●湯の川温泉の「はこだて湯の川オンパク」が、次への確かな手ごたえを残して幕を閉じた。10月21日から硬軟織り交ぜ、多彩な54のプログラムが展開されること16日間。総定員の84%に達する1951人が手軽に秋の湯の川温泉を楽しんだ▼函館観光は、5月の連休あたりから夏休みの終わりごろまでが入り込みのピーク。その後は秋の観光ツアーに主力が移り、湯の川温泉の客足も鈍くなり始める。しかも、従来から集客の対象を観光客に置いてきたため、地元の人たちとの間に距離も生まれつつあった▼「秋の湯の川温泉ににぎわいを…」。参考にしたのが別府温泉(大分県)で試みて好評の温泉博覧会(通称・オンパク)だった。「楽しみの中に身を置く、温泉の新たな時間を提案しよう」と企画したプログラムが、支持を得た。それは貴重な財産であり、今後に生きる経験…▼このオンパクにかける温泉街の熱意に、本紙も動かされた。スタート後も毎日プログラムの一つを取り上げて紹介するなど、紙面で後押ししてきたつもりだけに、成功をともに喜びたい心境。湯の川温泉を身近に感じさせもしたし、求められる提案の参考例を手にした意義も大きい▼今後への自信ともなった。実行委では次回を来年4月に予定している。参加者3000人を見込んで、70ほどのプログラムを用意して…。特に、好評だった“散策メニュー”は通年の開催も視野に入れて検討するという。湯の川温泉の挑戦は始まったばかりだが、その新たな息吹は市民にも伝わってくる。 (H)


11月10日(金)

●国民が豊かな生活を営むための源と言えば…。答えは「税金」だが、実際に税収がなければ国や地方の政治は動かない。そんなことは百も承知ながら、その仕組みが複雑、かつ難解なうえ、負担感が先に立つこともあってか、イメージは湿りがち▼さらに言うと、政治に対する信頼が揺るぎ、公平感にも疑問が持たれていることも影響している。行財政改革が問われているのも的確でなかった故であり、その一方で財政再建の名のもと増税論議ときては…。さらに滞納に加え、脱税の多さも不公平感を助長させている▼昨年度の租税滞納状況(国税庁)によると、新規の発生滞納額は9298億円。過去滞納分を合わせると、1兆7844億円という。滞納には事情があるとしても、脱税は…。強制捜査での摘発は氷山の一角だが、昨年度だけで214件、約274億円である▼税金の本来の趣旨から言うと、国民が「収める」という思いを抱くのが理想。だが、現実は「とられる」という思いの域を抜け出ていない。そこに税務当局の深い悩みがあるが、積み上げる道は地道な啓もう。ということで設けられているのが「税を考える週間」▼2年前までは「税を知る週間」だった。函館でも13日まで丸井今井でタックスフェアが開かれているが、全国的に11日から17日まで、理解を求める催事が繰り広げられる。今年の週間テーマは昨年同様「少子・高齢社会と税」。納税減を意味する少子高齢化時代が進む一途の中で、わが国は将来に難しい問題を突きつけられている。(N)


11月9日(木)

●11月の声を聞いて、ウインタースポーツの便りが入り始めた。スピードスケート、アイスホッケーが開幕し、間もなくスキーもシーズンを迎える。一方、お隣の青森県ではカーリング場開きが行われたという情報も。その中で函館・道南は…▼確かに、昔に比べると雪は少なく、気温も高め。函館・道南が道内では「冬の過ごしやすい地域」と言われる理由もそこにあるが、スケート、スキーなど冬のスポーツを縁遠くさせている理由もそこに。屋内リンクでもあれば違うが、函館には競輪場の屋外施設だけ▼「北国として冬を楽しむためにも…」。記憶から消えているだろうが、本紙創刊の翌年の本欄で、ホッケーとカーリングぐらいできる規模でいいから屋内リンクを持つべきだ、と提起したことがある。それは常呂町(網走管内)のカーリングブームを念頭に置いたものだった▼「カーリングなら函館・道南でもハンディはない。もしかしたらオリンピックだって狙える」。それから8年の間に、目をつけたのが、なんと青森市。トリノ五輪での「チーム青森」の活躍は青森の名を知らしめ、来年3月には女子の世界選手権開催地となるまでに▼今の建築技術ならば夏は夏、冬は冬で使える造りができるはず。何もカーリングにこだわっているわけではない。例えば、体に当たっても大丈夫なパックを開発して、子どもたちのミニホッケーを編み出してもいい。雪の上で、氷の上で、気軽に冬を楽しむ、函館・道南にはそんな場所が少な過ぎる。(H)


11月8日(水)

●「119番」を知らない人はいまい。また、お世話になった人も少なくないはず。火災、救急…いわば緊急事態の“生命線”であり、社会的に担い、果たしている役割は大。ところが、いたずらや軽い気持ちでの利用など、いわゆる非常識行為も結構…▼消防、救急車両にしても数に限りがある。そのために出動している間に、真に必要な重大なことが起きると、手配に手間取り、現場への到着が遅れかねない。「いたずら電話はやめて」「間違った場合は『間違いました』と言って」。消防庁などは正しい利用を呼びかけている▼全国消防長会によると、年間の119番受理件数は全国で約930万件という。特に救急分野では、素人に的確な要請か否かの判断を求めるには無理がある、という意見もあるが、目に余るということだろう、横浜市が打ち出した強行策が注目を集めている▼10月末の新聞各紙が一斉に報じていたが、それは「非常識な理由で119番通報した人から罰金を徴収する」というもの。社会通念上、非常識とみなされる行為は業務妨害に当たる、その考えに立って来年度中に条例を制定する方針で、本格的な議論を進めるという▼罰金をとることが目的でない、あくまで正しい利用を、という問いかけだが、問題がある以上、これも一つの考え方。制定されれば全国で初めての条例となる。あすは「119番の日」。1987(昭和62)年に消防庁が制定して19年。この日は「安心の窓口である119番のありがたみを考えて」と訴え続けている。(N)


11月7日(火)

●函館・道南が自慢できることの一つに文化活動がある。著名な書家、画家、芸術家を何人も輩出しているばかりか、市民レベルの意識は高く、活動も盛ん。今まさに文化の季節だが、この1週間余の間に“自慢の舞台”が相次いで披露された▼10月29日の函館子ども歌舞伎と、この3、4日に行われた函館市民オペラの公演。子ども歌舞伎は2年ぶりの第7回公演で、函館初の「神霊矢口の渡し」も賞賛された。一方、手づくりの市民オペラは第16回公演で、第1回の上演作品である「カルメン」を再演した▼子ども歌舞伎の旗揚げは1990年。市川団四郎さんの指導によって着実に力をつけ、2年ごとに自主公演しているほか、ここ数年は全国的な舞台にも参加するなど、専門家筋の評価は高まるばかり。それは市民オペラも同じで、全国に数ある中でも指折り…▼函館にはもう一つ舞台財産がある。夏に五稜郭公園をステージにして開かれる函館野外劇。わが国では追随するところがなく、今や全国的に知られる存在。観覧席などの設営に毎年多額の費用がかかるなど運営に苦しみながらも、来年は記念すべき第20回を迎える▼舞台に限らず文芸などの分野にも言えるが、こうした活動の維持には大変な苦労と労力が要求される。後援者をはじめ多くの人の支えがあって続けられることだが、その上に求められるのが幅広い理解と支援。寄付でもいい、チケットを買って足を運ぶことでもいい、それぞれの立場で考えてみたい。(H)


11月6日(月)

●中国の昔話。立冬がきて寒くなると、空から砂糖や小麦粉が交互に降ってくる村があった。小麦粉が降り出すと村人は大きな蔵に白い粉の入った袋を詰め込む。砂糖が降ってくると、土や砂がまじらないようにかき集めて蓄える。毎年、毎年、降ってきた▼村人は「今年も働かなくていいのだ」と、畑を耕して豆や麦など作らず、遊んでばかりいた。ところが、何年も経つと「ありがたい」「もったいない」という気持ちはなくなり、そまつにするようになった。「冷たい、冷たい」―ある冬、降ってきた白い粉は砂糖でも小麦粉でもなく、雪だった▼次の年も、その次の年も降るのは雪ばかり。すっかり怠けものになった村人たちは「助けてくれ」と天(太陽)を仰ぎました。孫に「村人のように怠けちゃダメだ。毎日、コツコツと勉強しなければ」と話したら「冬に雪が降るのはあたりまえじゃん。砂糖なんかはスーパーで買えばいい」。うーん…▼83年前の立冬に生まれたアルベール・カミュは「異邦人」で不条理を描いたが、死刑宣告を受けた主人公が殺人の理由を尋ねられた答えに「太陽がまぶしかったから」というセリフを吐かせた。太陽がまぶしいから殺人が許されることこそ不条理ではないか…▼「6カ国協議に日本は参加しなくてもいい」。ためたお金は核実験など軍事費に使い果たし、隣国の太陽政策で蓄えられた小麦粉など食糧も底をついているというのに、北の将軍様、何たる発言。これから降ってくるのは、米穀や小麦粉、砂糖ではなく「冷たい雪」なのだ。7日は立冬。(M)


11月5日(日)

●「8020(はちまるにいまる)運動」を、ご存知だろうか。まだなじみが薄いかもしれないが、歯の健康に関する運動。自分の歯を大事に、長持ちさせよう、そのためには目標を、ということで、つまり「80歳まで20本の歯を保とう」が、その趣旨▼「智歯(親知らず)を除く28本の歯のうち、少なくとも20本以上自分の歯があれば、ほとんどの食物をかみくだくことができ、おいしく食べられる」(財団法人8020推進財団)。歯科関係者が「自分の歯を大事にすることこそ健康への道」と教える理由もそこにある▼取り組みの出発点は子どものころからの虫歯予防だが、大前提は歯に対する認識を高めることであり、歯磨き指導など地道な取り組みの成果は確実に。自分の歯を持つ人の割合が高まっているのも一つの表れで、それは厚生労働省などが公表するデータからも明らか▼80歳での平均の歯数は8本台と言われるが、80歳でも20本以上持つ人は15%を超えている。「5人に1人、3人に1人となるように」。そんな思いに立って、当時の厚生省と日本歯科医師会により、この運動が提唱されたのは1989年というから17年▼函館はもちろん各地の歯科医師会が積極的に啓もうに取り組んでいるが、最近、帯広でスタートさせたのが一般人に推進員として活躍してもらう制度。第一期として高齢者コンクール受賞者を中心に24人を認定したという。注目に値する試みだが、さらなる運動の広がりを…。11月8日は「いい歯の日」である。 (N)


11月4日(土)

●全国一の入場者数を誇る旭山動物園のスターは、オランウータンの「モモちゃん」か。目がぱっちりで、愛くるしい顔。母親にしがみついて高さ17メートルの空中を渡る姿は、何ともほほえましい。無心に遊び、懸命に学習する子供たちの光景は活力を与えてくれる▼3歳と推定されるディキカ・ベビーの復元顔を見て驚いた。「モモちゃん」にそっくりなのだ。その昔、といっても100年や200年前ではない。330万年前の猿人の女児。エチオピアで発掘された最古の化石をもとに復元されたが、賢そうで偉い“大人”に成長したはずである▼「ディキカちゃん」が蘇(よみがえ)ったら…。一昨日も取り上げられていたが、いじめによる自殺や、高校生の必修科目の履修漏れには、驚くに違いない。人類が進化してきた歴史の学習などは、未来を考える人生の必修科目の一つである▼この問題では、受験のテクニックだけを詰め込むのが今の高校教育か、という断面がはっきりと表に出てしまった。必修科目の時間を受験に欠かせない英語や数学に振り向けられたため…。卒業に必要な単位が足りない高校3年生が全国で約8万3000人。卒業を危ぶまれる事態に直面した▼「生徒に不利にならないような処置を、一命を副(そ)えてお願いします」。茨城県では責任を取った校長が遺書を残して自殺した。補修授業の上限を70回とするなど救済策は固まったが、突然、聞かされた生徒の気持ちの動揺は、察してあまりある。(M)


11月3日(金)

●わが国が「南極観測」に参加して、今年で50年。ともすれば、厳寒地での壮絶な話の方に記憶が行きがちだが、地球温暖化ガスの変動の解析、オーロラ発生のメカニズムの解明やオゾン層破壊現象の発見など、この間に残した研究成果は数多い▼人類が南極大陸を発見したのは1820年と言われるが、世界が具体的に学術研究の場として着目し、具体的な行動に移したのは、それからほぼ130年後。南極会議の要請を受け、わが国が参加を決めたのは1955(昭和30)年。その翌年の11月8日だった▼わずか1年ほどの準備期間で、改造された灯台補給船「宗谷」が東京・晴海ふ頭を出港したのは。輸送、砕氷の大役を担い、第1次観測隊53人と樺太犬22頭を乗せて…。厚い氷の海との格闘、基地の建造など数々の苦難を克服して、第1次越冬隊11人がその歴史に1頁を記した▼それから船も「宗谷」から「ふじ」「しらせ」へとバトンをつなぎ、1959(昭和34)年には、前年、悪天候のため無人となる基地に置いてきた樺太犬のタロー、ジローが生存していたというニュースも。そして今、越冬隊は47次から48次に移ろうとしている▼その「宗谷」は東京の船の科学館で余生を送っているが、3代目の「しらせ」も既に船齢25年、後続船の建造が急がれる。南極観測は紛れもない学術的国際貢献。関係機関は記念事業を多々計画しているが、記念すべき11月8日を前に、あらためて50年の偉業を振り返り、その意義をかみしめたい。(H)


11月2日(木)

●いじめに履修漏れ、教育現場が大きく揺れている。いじめでは生徒、履修漏れでは校長の自殺者を出してしまった。それ自体が問題だが、輪をかけて問題視されるのが事後対応のお粗末さ。首を傾げるほど、危機管理能力のなさを露呈している▼滝川市の小学6年女児、福岡県筑前町の中学2年男子生徒の場合もそうだったが、岐阜県瑞浪市の中学2年女子生徒の自殺をめぐる対応は、理解に苦しむばかり。原因がいじめであることを認めたはずが、翌日には一転して否定し、再び認める。それも数日のことである▼「指導責任が問われる」「でき得るならば認めたくない」。こうした事態に直面した時、学校や教育委員会の幹部の頭にまず浮かぶのは、そんな思いなのかもしれない。報道などで知る限りだが、少なくとも3件の遺族、生徒に対する接し方からは、そう思われて仕方がない▼他に理由らしき事情が見当たらず、いじめをほのめかす遺書まであるのだから。「それだけで(自殺の)直接的な原因とは特定できない」などは、苦しく、醜い言い訳にしか映らない。正直に話すなど、瑞浪町でも生徒たちの方が、よほど正面から事件と向き合っていた▼いじめたとされる生徒の親も、そろって謝りに行った。外堀が埋められ、学校側や教育委員会も認めざるを得なかった、そう受け取った人も少なくないはず。それにしても重くのしかかるのは、生徒が口にしていた「(学校を)信頼できない」という思いであり、つらく、悲しい響きを持って伝わってくる。(N)


11月1日(水)

●大きな社会問題となっている飲酒運転。新聞などで報じられる事故はごく一部で、連日のように逮捕、検挙者が出ている。10月末の一斉取り締りでも全国で1053人、うち北海道で73人という、何とも懲りない実態だが、社会がようやく立ち上がりつつある▼飲酒運転は言わずと知れた交通3悪の筆頭。注意力が散漫になる、ブレーキ操作が遅れるなど、事故を起す危険度が極めて高いから。実際に死亡事故の1割が飲酒絡みという報告もあり、罰則規定を厳しくするなど対策が講じられてきてはいるが、法律だけでは…▼「社会が動き出さなければ」とは、かねて言われていたことだった。飲酒検知機能を装備した車の開発の動きも然りだが、鍵を握ると言えば飲食店。車で来た人には飲ませない、車で来て飲む人のキーは預かる、そういった取り組みが広がる動きに▼そして、ついに金融機関も。ある道内地域紙でこんな記事を目にした。「『飲酒運転しません』宣言すれば マイカーローン金利優遇」。網走信金が取り扱いを始めた「走快気分」という名の商品で、宣言書(同金庫で保管)に署名すれば基準金利より0・2%引き下げるという▼運転席で飲酒を検知したら車は動かない、それに越したことはないが、本来、モラルの話。だから厳しい目を向けなければならないわけだが、厳しく罰することと同時に、させないように仕向ける方策も大事。飲酒運転の撲滅に、それぞれの立場でやれることはまだある。(N)


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