平成18年12月


12月31日(日)

●世界や国内、地域、人それぞれに明暗さまざまなことがあった今年も、残すところ、きょう1日。来年に期待をつなぐ思いが一段と込み上げてくるが、その願いを短い言葉に託すとすると、「格差の是正」が間違いなくランクされよう▼格別なほどの差、格段違う差などから「格」と「差」をとって生まれたと考えれば、意味は分かりいい。国語辞典では「同類のものの間における価格、資格、等級、水準などの差」(三省堂)と解説されているが、それが今や世相を象徴的に表す言葉として使われている▼世界に目を移すと、国や地域による貧富の差は依然として大きく、富の部類に位置するわが国でも地域間の差もあれば、企業間、個人間にも存在してきたが、とりわけ今年は…。中でも問題視されたのは個人間だが、その裏にあるのが経済の低迷を経た中で生じた地域間、企業間の差▼今なお完全回復宣言の声が聞けない北海道に対し、東京などの首都圏は超高層ビルの建設ラッシュが続き、名古屋などの中部圏、近畿圏も大企業にけん引されて活況の域。来年の新規採用でも40%の企業が「予定数を確保できていない」(リクルート)という▼活況域がある一方で、他方に不況域を脱し切れていないところがある。雇用を例にとっても、形態が多様化しているという事情があるにせよ、ニートやフリーターの問題も格差の一つ。「至るところで格差が広がった」という指摘は切実であり、このままいったら…。来年こそは、その答えを求めたい。(H)


12月30日(土)

●山のお寺の鐘が鳴る〜。鐘は「時」を告げる。昔は遊びで夢中になっていても、鐘が鳴ると家に飛んで帰った。師走はさまざまな思いで1年が満ちていく「年満月」。その2006年もあとわずか。除夜の鐘は1年の区切りを伝える主役だ▼梵鐘(ぼんしょう)はインドから伝来。「梵」は古代インドのサンスクリット語のBRAHMAで神聖・清浄を意味し、清らかさを表す。よい余韻を残すには鐘を撞(つ)く撞木(しゅもく)の手入れが肝心。水に浸し樹液を抜くのに10年、乾燥させるのに10年、合わせて20年…▼日本三大梵鐘の一つ、京都・知恩院の大梵鐘の撞木(重さ350`)の話だが、台湾産の直径2bの杉を使って12年ぶりに新調。撞くたびに先端が欠けるため“先代”は当初より50aも短くなっていたという。インド、中国、朝鮮、日本と伝わった梵鐘にも悲しい伝説が▼何回も失敗した韓国最古の朝鮮鐘を鋳造する際、最後の寄進を求められた婦人が「もう何も差し上げるものはございません。この子でも…」と幼女を差し出した。「エミレ、エミレ(お母ちゃん)」と泣き叫ぶ幼女は煮えたぎる窯へ…。その鐘は“エミレの鐘”と呼ばれ、余韻は幼女の泣き声に。上段の「乳(ち)の間」には天女の姿▼道南の寺院でも世界平和と健康を願って、撞き手に一般参加も求めて除夜の鐘が鳴らされる。今年の列島は「泣きやまぬ」と虐待され、「金をくれ」といじめられ、子供の受難が相次いだ。撞けば「生きろ、生きろ。強くあれ。自殺なんかするな」(ロナウジーニョの色紙)の余韻がいつまでも響く。(M)


12月29日(金)

●東京地検が堀江ライブドア社長ら証取法違反で逮捕(1月)、トリノ五輪フィギュアで荒川金メダル(2月)、日銀が量的金融緩和策の解除を決定(3月)、偽メール国会質問で民主党執行部総退陣(3月)、証取法違反で村上ファンド社長逮捕(6月)…▼思いつくまま拾っただけだが、浮かび上がるのは今年も激動の1年だったということ。下期に目を移すと、その思いはさらに。陸自イラク派遣部隊の全員帰国完了(7月)、夏の高校野球で37年ぶりの決勝再試合、福岡県で飲酒運転の車による幼児3人死亡事故(8月)…▼秋篠宮家に皇室で41年ぶりに男児誕生、小泉首相が退陣し安倍内閣が発足(9月)、北朝鮮が核実験を実施、高校の未履修問題が表面化(10月)。9月以降は福島、和歌山、宮崎知事が官製談合容疑で逮捕という悲しく、情けない事件が表面化し、一昨日は行革担当相が辞任…▼安心安全の視点から議論のあった米国産牛肉の輸入再開とか、佐呂間町で9人が犠牲となった未曽有の竜巻事故(11月)、社会問題として忘れてならない児童・生徒のいじめによる自殺とその事後対応問題も社会を揺るがした▼出来事にはそれぞれに背景がある。それにしても、と思うのは政治の信頼。国民に響いてこない国会の論議、実感を覚えない行財政改革…。再雇用問題にせよ年金の問題にせよ、不信はいまだに取り除かれる気配がない。そんな中、来年は団塊世代の大量退職が始まる。(N)


12月28日(木)

●「函館市消費生活センターが受け付けた本年度上半期(4―9月)の相談件数は1645件」。11月末に本紙が報じていたが、驚くのはその約7割がいわゆる苦情の相談ということ。かつては欠陥など商品の問題や契約に関する相談が多かったが、昨今は…▼全国的に急増しているのが架空・不当請求など詐欺的な事犯。それを象徴する言葉が「振り込め詐欺」だが、道警の統計によると、認知しただけで一昨年は419件、昨年は559件。今年は10月末現在311件で昨年を下回りそうだが、まだまだ高水準▼しかも悪質、巧妙化しており、消費生活相談の場にも表われているとも言える。同センターの苦情相談(上半期1158件)の内容分析でも「総合消費料金、電子消費料金など商品を特定できないような架空、不当請求が587件と前年同期の4倍近く増えている」と▼こうした請求は封書やはがきで送られてくることが多いが、業者名と請求内容が「いかにもありそうな」を装っているのが共通点。法務局認定法人民事訴訟通達事務局、財務省指定機構日本財務事務局…。架空請求業者だが、その一覧は道や道警もホームページで公表している▼いつも言われるように、対策は「自衛」であり、社会的には「自衛」の広がり。その第一は「思い当たる節がなければ無視するか、誰かに相談する」こと。きつく言い換えると「疑ってかかれ」ということだが、悲しくも残念ながら、それも現実、と認識しておかざるを得ない。(N)


12月27日(水)

●今年も温暖化による生態系の変化のせいか、野生動物と人との共存の難しさを痛感した1年だったが、この1週間でクマに関する三つの記事が載った。まず、埼玉県の神社境内で高さ25メートルの木の上に29時間半も“ろう城”していた子グマ。「ヨリー」と名付けたれた▼「悩むクマ」として人気者だった徳山動物園のマレーグマ「ツヨシ」が得意のポーズをとらなくなった。一緒に暮らしていた一回り大きい「レーコ」に見つめられると「ツヨシ」エサを落として頭を抱えてしまう。その間に「レーコ」に食べられてしまう。夫婦漫才のような光景…▼「ぱくぱくタイム」として一般公開したところ、動物園のスターに。しかし、今月初めに8歳年上の「レーコ」が死んだのをきっかけに、前脚で頭を抱える「悩みのポーズ」を見せなくなった。最愛のパートナーを失って、心底から悩んでいるのかも。人間と同じだ▼上野動物園では2歳のツキノワグマ「クー」が人口冬眠に入ったことを確認した。9月末からクリやドングリを与え、11月からエサを徐々に減らし、室温を下げた。今月に入って水だけにしたら、1分間に10回だった心拍数が3回になって冬眠。動物本来の生態を観察する世界で初の試みという▼北海道のヒグマもエサを求めて民家に近づく。昨年、駆除されたヒグマは568頭。来年こそ、木に絡んだコクワやヤマブドウなどの除伐を止め、ドングリも植えて「緩衝帯」を取り戻さなければ。「野生動物を守ることは人類を守ることなの」という子グマ「ヨリー」の声が聞こえてくる。(M)


12月26日(火)

●時代は次々新しい病気を生み出すが、その現代病の一つに「うつ病」がある。“1億総ストレス社会”とさえ言われるぐらいだから、誰もがなっておかしくない。その罹患数は100万人とも200万人とも言われるが、実態をめぐっては諸説いろいろあって…▼アメリカでは男性の場合10人に1人、女性では5人、わが国でも成人の約5%が患者という説がある。多いとは認識していても、驚くほどの話だが、それはあくまで推定値。そんな中、厚生労働省は今月に入って調査に基づく実態を発表した▼それによると、2005年段階の患者数は全国で92万4000人。15歳以上人口のざっと100人に1人ということになるが、問題は減るどころか、年を追って増えていること。1999年に比べて約2倍、2003年年比でも20%増という▼寂しさ、無力感、罪悪感など気持ちが塞(ふさ)ぎ込む。楽しさを感じずに活気を失い、眠れない、食欲がないといった症状が表われる。いわば気分障害だが、希薄でギスギスする人間関係、速まる一途の社会の動き…。精神的に疲れる社会がその背景にある▼学校でも職場でも、存在するのは余裕のない競争原理ばかり。「頑張り」を求められる中で、ゆとりの気持ちは消えて…。ゆったりと豊かに暮らす「スローライフ」が賛同の輪を広げ、さらに労働と暮らしの調和を意味する「ワーク・ライフ・バランス」が提唱されている。当然であり、そこに疑問を挟み込む余地は少しもない。(N)


12月25日(月)

●「五所川原市内で『ハンドルキーパー運動』の取り組みが進んでいる」。先日、読売新聞青森版を読んでいて、ふとこの記事に目が引きつけられた。知らない言葉だったからだが、読んでいて頭に浮かんだのは「普及させるに値する」という思い▼交通違反はどれも問題なのだが、今年、とりわけ社会的に取り上げられたのが飲酒運転だった。対策として幾つか提唱されているが、このハンドルキーパー運動もその一つ。飲食店に何人か車で行く際に、あらかじめ酒を飲まない運転手役を決めておくという方式…▼飲酒運転による事故は、この10年間、確かに減少してはいる。罰則の強化が背景にあるが、とはいえ飲酒による事故は大事故に直結しがち。今年1―8月の統計(警察庁)からもうかがえるが、事故割合で飲酒絡みは1・6%なのに、死亡事故比率となると13・2%▼過去にも複数の犠牲者を出す飲酒運転事故があったが、8月には福岡で…。その事故を機に追放の取り組みが芽生えてきた中にハンドルキープ運動も。オランダなどで普及しているとのことだが、全日本交通安全協会がポスターなどを作って10月から提唱している▼全員が飲める人の場合、誰かが犠牲になるわけだが、先に決めておけば…。五所川原も取り組み始めた1例だが、飲食店が割引や運転者特典を設けているよう。同協会が目指すのは国民運動としての定着。一人なら運転代行、複数ならハンドルキープを、さらなる啓もうは来年に持ち越されている。(H)


12月24日(日)

●「商品」をヒットさせる要素は幾つかある。価格の設定、宣伝の仕方、販売方法などもそうだが、大前提は信頼されるに値する品質であり、あえてもう一つ挙げるなら商品名(商標)ということになろうか。実際にその成功例は少なくない▼それだけに商品名は大事だし、ほかに使われないよう守りたいというのは当然の思い。それに応える法律が商標法だが、従来は産地名と商品名からなる商標は登録の対象外だった。そうは言っても、特産品が増えている昨今、登録を求める時代の要請があって今年4月から…▼改正商標法が施行され、地域団体商標がスタートした。出願がどっと特許庁に。9カ月余で600件以上が出願され、審査を経て19日までに登録査定を受けた商標は96件、うち道内は「鵡川ししゃも」「豊浦いちご」「十勝川西長いも」の3件▼「京あられ」「京おかき」「京漬物」…。京都府が最も多く19件だが、知名度という点では「小田原かまぼこ」などがあり、温泉地としては「湯河原温泉」など。審査が進むにつれ登録査定数も増えるが、実は函館からも1件出願されている。戸井漁協が手続きした「戸井マグロ」▼登録はブランド力、つまりは商品の知名度を上げる役割を果たすだけに、生産者団体を中心に関心は高い。「ガゴメコンブなど函館産品について農漁協などと連携し、地域団体商標も活用する中で函館ブランドの確立を進めたい」。函館市は昨年末の市議会で考えをこう説明しているが、ぜひに、と願いたい。(H)


12月23日(土)

●「弟とおやつを取りあいっこしました。ケンカや悪いことをしたら来てくれないのね。サンタさん、ごめんなさい」。ある女児のクリスマスカード。子供たちは無邪気にサンタクロースの存在を信じ、玩具店などにはプレゼントを求める親たちの列…▼今年のクリスマスプレゼントの平均予算額(子供1人当たり)は前年より594円アップの7606円。特に高価格帯が増え、1万5000円から2万円が前年に比べ1・8ポイント増の6・4%もあったという。「ゲームソフトがほしい」が30・8%で男女ともトップだった(バンダイ調査)▼日本でのクリスマスイブは室町時代の大名がザビエルに布教を許した山口の教会で行われたのが最初(1552年)。クリスマスツリーは幕末(1860年)の江戸のドイツ公使宿舎にお目見えしたという。宿舎の柱に杉の葉を巻きつけて、ちょうちんや砂糖菓子をぶら下げて…▼子供は5歳までのかわいらしさで、一生分の親孝行をしてくれるとも言われる。「うざい」「キモイ」「死ね」「ばか」「消えろ」など、カチンとくる一言で反抗する中高生になっても、親や祖父母にとってはかわいいもの。「いい子になって」と願い、プレゼントする▼“安倍サンタ”は「児童手当は第1、第2子限定の乳幼児加算を新設し、1万円の第3子以降も含め0―2歳児への支給を一律1万円にします」と大きな袋をかついできたが…。家族を増やし、楽しいクリスマスイブを迎えるには、まだ物足りない。(M)


12月22日(金)

●競馬のグランプリと呼ばれ一年を締めくくる「有馬記念」が近づいてきた。今年はその勇姿を見るのが最後となるディープインパクト人気で盛り上がっているが、その華やかな中央競馬の一方で厳しい環境に置かれたままの地方競馬…▼各競馬場とも魅力づくりに苦悩しているが、その中で商売がうまいとされているのが高知競馬場。一昨年は連敗にもめげず走り続けるハルウララをアピールし、売り上げ増に結びつけたのが記憶に新しい。105連敗後のレースには武豊を騎乗させ、さらには映画にもなった▼その高知市が再び話題を提供している。サラブレッドの最高齢出走記録を塗り替えた馬がいるという話。いち早く読売新聞が報じていたが、オースミレパードという馬で、今月9日の第7レースの出走が15歳7カ月…。これまでの最高齢出走(戦前)を1カ月上回ったそう▼中央と合わせた出走は、実に192戦。2歳からとして毎月1レース余りは走っている計算に。しかも、この年齢記録更新のレースも10頭中4着というから立派。ちなみに馬の15歳だが、人間に当てはめると60歳前後と言われ、まさしく“団塊世代”の現役▼人間社会では2007年問題という言葉で語られ、来年から団塊世代が退職期を迎える。その後の人生をどう生きるか、思いや考えは人さまざまだが、オースミレパードが発しているメッセージは「老け込むには早いぞ」という檄(げき)かもしれない。どこの世界にも頑張る姿があることを教えられる。(H)


12月21日(木)

●1885(明治18)年の12月22日。この日は新しく内閣官制が交付され、わが国に初の内閣が誕生した日である。即日、就任した初代の総理大臣は誰もが知る伊藤博文だった。それから121年、現在の安倍晋三総理は数えて57人目▼その内閣の歴史だが、いろいろな角度から振り返ると興味深い。例えば在職期間…。2000日以上という総理がいる一方で、100日以下も。最長は桂太郎で、3次の内閣を担い、延べ日数にして2886日という。それに佐藤栄作の2798日、伊藤博文の2720日の順▼ちなみに9月末に退任した小泉純一郎前総理は1980日で、5番目に長い在職だった。また組閣の回数では、戦後の吉田茂の5回が最多。年齢では40歳代で就任したのが伊藤博文、黒田清隆、近衛文麿ら。逆に高齢での就任は鈴木貫太郎の77歳、犬養毅の76歳など▼一方、平成に入ってからの総理の名がつらつらと浮かんでくる人はよほどの政治通だが、安倍総理で12人目。在職したまま平成を迎えた竹下登も数えて古い順に宇野宗佑、海部俊樹、宮澤喜一、細川護熙、羽田孜、村山富一、橋本龍太郎、小渕恵三、森喜朗、小泉純一郎…▼安倍総理はまだ就任して2カ月、その在職期間を占うには早過ぎるが、11月末の内閣支持率は日本経済新聞の世論調査では59%。就任直後に比べ10ポイントほど下がったが、歴代と比較して、まずまずのところ。長期在職となるか、短期で終わるか、真の政治手腕が問われるのはこれからだ。(N)


12月20日(水)

●道内の交通事故死者が今年は200人台にとどまることが確実な情勢。北海道にとって明るい話の一つだが、道警本部によると、18日現在、犠牲になったのは昨年同期比33人少ない262人。残りあと13日ということから推測しての冒頭の判断▼北海道は長年、全国的に交通事故発生、事故死者数の“全国ワースト”という汚名を背負ってきた。実際に16年前の1990年の事故死者は715人を数え、この10年ほどでも95年の632人の後、595人、613人、533人、536人…▼年間500人を割ったのは4年前。2002年に493人となり、翌年からは391人、387人と300人台を続け昨年は302人。長年、振り払えなかった汚名も返上した。その翌年ということで、今年はさらなる結果が問われる年だった▼片時も安心はできないが、道内では発生件数、死者、傷者とも昨年同期を下回っている。発生は1200件ほど少なく、死者は10月に39人を数えたものの年間では200人台にとどまるペースで推移。傷者も残念ながら3万人は割れなかったが、1400人ほど減少している▼こうした数字に警察の取り締まりや地域の啓もうなどといった取り組みの成果がうかがえるが、そこに「これでよし」はない。大事なのは「まだまだ多い」という認識であり、函館・道南はもとより、特に指摘されるのが地域社会のさらなる行動。来年は事故死者が200人を割ったという統計を目に、耳にしたい。(N)


12月19日(火)

●「50年先だって夕日はきれいだよ」。建設中の東京タワーを夕日が包む。茶の間のちゃぶ台、カチカチ鳴る柱時計、初めて家にやって来たテレビ、電気冷蔵庫、駄菓子屋さん、オート三輪…。みたび映画「ALWAYS 三丁目の夕日」を観た▼寒い朝は湯たんぽの湯で顔を洗い、井戸ポンプで水をくみ上げた子どものおやつはサツマイモ、年末の大掃除では張り替える障子紙を競って破いた、ちゃぶ台を囲んだり、コタツに足を突っ込んだり、楽しい一家団らん。自然と親子愛、兄弟愛、郷土愛がはぐくまれていった▼先ごろ成立した改正教育基本法に「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養う」という「愛国心」が明記された。法律で規定したからといって、愛郷心や愛国心は養われるものではない▼食育白書によると、食事を取らない「欠食」や1人での「孤食」の子どもが増えている。新法では「家庭教育」の項目も設けられたが、まず円卓を囲む「一家団らん」を取り戻すことだ。函館あさひ小学校の「夕焼け広場」は、「(広場での出来事を)家でよく話す」「子育てに有効だ」と効果を上げているという▼ちなみに東京タワーは、この23日で満48歳。鴎島に映えて日本海に沈む江差の夕日も美しい。夕日は心の古里も映し出す。人間味があった「セピア色の時代」のテープは逆戻しできないが、助け合った郷土愛あふれる「生き方」は見習っていい。(M)


12月18日(月)

●自動車燃料「エタノール」の完全道内産が誕生、帯広・十勝で走行実験が始まった。原油を中東などに依存するわが国にとって、代替燃料の開発は将来的な課題。国際情勢に左右されず、常に安定価格で…。しかも温暖化ガスの排出削減も可能である▼その代替の切り札が、沖縄などのサトウキビ、北海道のトウモロコシなどから作るバイオエタノール。積極的なブラジルでは20%以上の車がガソリンとの混合燃料といい、さらなる実用化は世界的なテーマ。わが国でも3%混合ガソリンが認められるところまでになった▼道内で取り組みが始まったのは2年前。十勝圏振興機構(とかち財団)と北海道農業研究センター、帯畜大などが十勝産の規格外小麦の利用研究を進めてきた。ただ、これまでは燃料への加工を九州の施設に委託していたが、その設備も整って何とか自前の生産体制に▼燃料として評価する際に、道内の場合は厳冬期をクリアしなければならないという地域事情を抱えている。「冬に対応できなければ」ということで始まったのが、この走行実験。公用車と一般モニター車18台が来年2月末まで使用し、始動性や加速性、燃費などを調べる▼この取り組みは紛れもない次世代燃料への挑戦だが、実用化への道となると、関連業界の理解や連携など越えなければならない課題は多い。そこで求められるのが4年後には10%混合を認める方針という国のさらなるけん引力。この走行実験が国を動かす力となるかどうか、結果が注目される。(N)


12月17日(日)

●今年の世相を表す漢字として選ばれたのは「命」だった。1995年から、日本漢字能力検定協会が全国から「その年を象徴する漢字を…」と募集しているもので、今年の「命」は人間関係が希薄な今の社会へ警告とも受け止められる▼関心は高く、同協会によると、今年の応募数は過去最高の約9万2509通。このうち9%の8363通が「命」で、2位は親王の誕生による「悠」(3793通)、3位は「命」とも重なりあう「生」(3303通)、4位は北朝鮮の保有からの「核」(2063通)…▼多かった理由はそれぞれ理解できるが、群を抜いたのが「命」であり、それだけ「命」にかかわる問題を抱えた年だったということ。「『命』に笑い、『命』に泣き、『命』に不安を覚えた年」。応募理由を踏まえ、同協会は「命」が表す2006年をこう表現している▼確かに新しい「命」(生)の誕生もあったが、いじめによる子どもの自殺が社会問題化し、飲酒運転による死亡事故や虐待による殺人など、痛ましい事件があまりに多かった。「命の尊さを痛感する2006年ではなかったでしょうか」(応募理由)が、すべてを物語っている▼さらに8位の「心」、10位の「絆(きずな)」にも「命」「生」の大切さを説く思いがあり、そう考えると「命」が選ばれたことに異論はない。振り返ると昨年は「愛」、一昨年は「災」だった。さらにさかのぼると「虎」「帰」「戦」「金」「末」「毒」「倒」「食」「震」…。来年は明るい意味合いの漢字が選ばれる年となるよう期待したい。(H)


12月16日(土)

●学校や地域での熱心な防災教育の実践を讃(たた)える「ぼうさい甲子園」(1・17防災未来賞)の本年度奨励校に、奥尻小学校が選ばれた。大賞こそ逃したが、地域が体験した悪夢の津波被害を劇を通して考える昨年度からの取り組みが評価されての受賞▼過去の悲惨な体験を教訓にするなど、防災意識の醸成は今の社会が求められている課題の一つ。それは大人ばかりか子どもも同じで、防災教育が叫ばれる背景も、この顕彰が生まれた理由もそこに。ひょうご震災記念21世紀研究機構、毎日新聞社などによって創設された▼1993年7月12日の午後10時17分だった。北海道南西沖地震が発生し、地震の恐怖に加え、津波によって奥尻が大きな損害を被ったのは。死者172人、行方不明26人、被害総額約664億円(奥尻町記録書)。あれから既に13年の月日が流れている▼奥尻に限らず現在の小学生は当時、まだ生まれておらず、阪神淡路大震災もそうだが、あの大惨事の記憶はない。だからこそ、覚えておいてもらいたい。体験したのが自分たちの町とあればなおさら。6年生に防災学習を取り入れ、その実践が劇への取り組みだった▼学習発表会で上演されたということだが、できるならば…。3学期でもいい、思うのは他校での上演など多くの子どもたちに観てもらう機会を設けられないか、ということ。それは“奥尻体験”の伝承であり、防災教育の輪の広がりに寄与するはずだから。北海道からはほかに受賞校はなかった。(H)


12月15日(金)

●電子顕微鏡で見ると表面がカップ状のノロウイルスが猛威を振るっている。38年前、米オハイオ州ノーウォークで児童を中心に集団発生した胃腸炎から検出されたのが始まり。9年後には札幌で幼児の胃腸炎から類似した菌が検出された▼ノロウイルスの感染のピークは、今月から来月にかけて。国立感染症研究所への報告では、感染性胃腸炎の患者が先月下旬で6万人を超えた。1医療機関の平均は20人で昨年同期の2・5倍で過去最悪の流行という。飲食店のほか、病院、老人施設での感染も相次ぎ、死亡者も出ている▼ノロウイルスと聞くと、いつも悪玉に挙げられるのはアサリなど二枚貝類。例えば、カキは1時間に20リットル「の海水を吸い込み、海水のプランクトンをmノにしているため、生息域がノロウイルスに汚染された場合、ノロウイルスを中腸腺に蓄える性質を持っているという▼二枚貝などの調理には85度で1分以上の火を通すことが必要。かつては「お腹にくる風邪」程度にとらえられていたが、ノロウイルスを甘く見てはいけない。潜伏期間は15時間から48時間。比較的短時間で激しい下痢や嘔吐(おうと)、腹痛、発熱などを引き起こす▼その一方で、ウイルス遺伝子が変異して免疫が効かなくなったという指摘もある。道南の各保健所は施設の職員を対象に予防講習会を開くほか、せっけんを十分に泡立てて手を洗う、タオルなどの共用はしない、他人との接触を避ける、などを呼び掛けている。「呪ウイルス」に付け入る隙を与えないよう日常の注意が肝心…。(M)


12月14日(木)

●自動車の平均使用年数は11・10年―。新規登録されてから抹消登録するまでの平均年数で、人間で言うところの平均寿命だが、分かりやすく言うと、11年ほど乗り続けているということ。11月中旬にあった財団法人自動車検査登録協力会の発表で明らかに…▼ちなみに全国で登録されている車の数だが、乗用車だけで4274万7280台(今年3月末現在)という。今の時代、業務、私生活を問わず車は必需品。特に公共交通機関が十分でない地方では、欠かせない存在であり、1家に2台、3台も珍しくない▼厳密に言うと、1世帯当たり台数は、全国平均1・112台。もちろん北海道も1台を超えている。とはいえ、車は高額商品であり、バブルの時代はともかく、雇用情勢の悪化など、その後のわが国経済の低迷は、おいそれと買い換えできない環境を強いてきた▼幸いにも車の性能が向上し、そう簡単に故障もしない。手入れさえ怠らなければ15年でも大丈夫なのだから、我慢してもう少し長く乗ろうか、と。過去の平均使用年数(普通乗用車)を調べると、1975(昭和50)年は6・72年。それが1984(昭和59)年には9・00年…▼そして、2001年には10・40年となって、ついに今年は11年台入り。この30年ほどの間に4・38年延びたということだが、実態は普通貨物車も同じ。時代背景から推して、予測できた流れだが、このデータが教えているのは「10年は乗る時代」という現実かもしれない。(N)


12月13日(水)

●「世界遺産」。それは誇りに値する財産であり、後世へ禅譲すべき偉大な財産。わが国では1993年12月の屋久島、姫路城、法隆寺地域の仏教建造物を皮切りに、ユネスコに登録されているのは現在、文化遺産が10件、自然遺産が3件▼参考までに、おさらいすると、このあと登録順に白神山地、古都京都の文化財、白川郷・五箇山の合掌造り集落、原爆ドーム、厳島神社、古都奈良の文化財、日光の社寺、琉球王国の関連遺産群、紀伊山地の霊場と参詣道…。そして北海道から昨年7月に受けた知床▼登録に向けた国内リスト選定は従来、文化庁が行ってきたが、今年は「遺産への取り組みや熱意を考慮する」とし、初めて公募が試みられた。11月末で締め切られた結果、全国から手が挙がった“遺産候補”は、都道府県の半数強に当たる26県の24件という▼三内丸山をはじめとする縄文遺跡群(青森)、佐渡金銀山(新潟)、長崎の教会群とキリスト教関連遺産(長崎)、飛鳥・藤原の宮都跡(奈良)、富士山(静岡・山梨)、善光寺(長野)など。このリストを見ていて、残念に思ったのは北海道で、函館で少しの議論や動きがなかったこと▼半年ほど前の本欄で、函館産業遺産研究会の富岡由夫会長の話を引き合いに、こう論じたことがある。「函館山の要塞群と元町は(世界遺産の)検討に値するのではないか」。確かに、公募が分かっていたにしても今年は時間的に無理だったが、将来に向けて…。議論を始めるのは今からでも遅くない。(H)


12月12日(火)

●「個人情報」。今や違和感のない言葉だが、3人に1人が「不適正な取り扱いを受けた経験がある」と答え、さらに漏えいに不安を抱き、神経をとがらせている人の多いことを、個人情報保護に関する世論調査(内閣府)の結果が明らかにしている▼時代に関係なく、人間誰しも他人に知られたくない情報を持っている。それでも昔は悪用されることも少なく、さほど神経質にならなくて済んでいたが、近年はそうはいかない。だから意識して守ることが必要とされ、社会も“守るルール”づくりを求められた▼そして生まれたのが「氏名、生年月日のように個人を特定できる情報を取り扱う時のルール」を定めた個人情報保護法。昨年4月の施行から1年半たった時点で行われた調査の結果が11月末に報じられたが、法の周知度こそ80%と高いものの、内容となると、まだまだの域▼確かに法の誕生が意識を高めたが、浮かび上がったのは情報の漏えいに不安を感じている姿。事業者の保護対応には65%が配慮されているとの認識を示しながら「漏えい」「目的外使用」にはそれぞれ70%、「第三者への提供」では73%が不安と答えている▼さらに不適正な取り扱いを受けた経験の有無では、33%がある、と。この率は見過ごせるレベルを超えている。今後の問題として厳しい問題提起だが、対策は「可能な限りの自己防衛」と言われても、おのずと限界があって…。この調査結果からは、そんな苦悩する姿もにじんで見える。(H)


12月11日(月)

●休刊日


12月10日(日)

●恥ずかしいというか情けないというか、ここまでひどくては「何も感じていない」と酷評されても、反論の余地はない。いつも指摘される車の運転マナーだが、11月末に発表されたシートベルト装着率の全国調査の結果、函館圏は何と80%未満という▼悲しい交通事故死者を少しでも減らしたい、その対策として開発され、法的に着用が義務づけられているシートベルト。その効果はあらためて説明するまでもない。道警などの分析からも「シートベルトをしていれば助かったかも」と惜しまれる事故例が報告されている▼その実態の把握と啓蒙(もう)のため、警察庁と日本自動車連盟が毎年10月に調査を行っているが、函館圏はがく然とする結果だった。一般道路の調査で、全国平均の運転者装着率は93・8%。都道府県別のトップの岩手県(97・9%)に対し、北海道は91・7%▼全国平均に及ばないまでも昨年より0・8ポイント上回ったが、全国37位と下から数えた方が早いその北海道の中で、道南は…。観測点は2カ所(西桔梗町・産業道路と北斗市本町・国道227号)ということだが、装着率は79・8%だったという。全道平均に比べて11・9ポイントも低い▼わずかな差ならまだしも、2けたもの差とあっては、言い訳も通じない。「函館・道南は運転マナーが悪い」と言われる中で、突きつけられたのが、この結果である。そう言われることにまひしてしまったのだろうか、そうじゃない、と思いたいが、残念ながらほかに理由が見当たらない。(N)


12月9日(土)

●古来、政治的天才とは民衆の意志を彼自身の意志とするもののように思われていたが、これは正反対であろう。むしろ政治的天才とは、彼自身の意志を民衆の意志とするもののことをいうのである。少なくとも民衆の意志であるかのように信ぜしめるもの…▼芥川龍之介は「侏儒の言葉」で明言している。福島県の知事は県発注工事の談合で、和歌山県の知事は談合と収賄で、「福島や和歌山と同じにされては困る」と潔白を主張していた宮崎県の知事もついに談合で。北海道でも深川市長が談合指示で逮捕された。“談合兄弟”らの「政治的天才」とは何だったのか▼公共工事が減少し受注の奪い合いが激しい昨今、強力な権限をもつ知事に食い込もうとする工作も激化。ゴルフ場経営者(和歌山)や議員秘書(宮崎)など知事と親しい人物が暗躍していた。官製談合は選挙でお世話になった業者への後始末なのか▼宮崎県では土木部長らに談合を指示していた出納長らが逮捕され、「談合は知事からの指示」と供述、知事の「天の声」は県幹部を通して発せられていた。「天の声」に側近らを介在させるなどルートが複数化し、官製談合の仕組みは一層巧妙化している▼“談合兄弟”らの「政治的天才」は、やはり私利私欲の不祥事に走ることだった。民意を裏切った首長の転落が地域経済に及ぼす影響は大きい。全国知事会は不祥事防止プロジェクトを立ち上げたが、競売入札に悪質な侵入者が入り込まないシステムを構築しない限り官製談合は根絶できない。(M)


12月8日(金)

●土俵際で揺れ動くばんえい競馬の存廃問題。先日も本欄で「何とか存続を」の思いを伝えたが、帯広市に単独開催の可能性が。砂川敏文市長が7日の市議会で廃止の考えを修正し、単独開催を模索する考えを示したことで、一転、存続議論に▼運営や経営を取り巻く厳しい状況については、知られる通り。多額の累積赤字に開催4市のうち旭川、北見市がいち早く撤退を表明。2市開催の道を探っていた岩見沢市も断念した。帯広市に存廃の鍵が預けられたが、最終的に手を下ろし、廃止の方向に向かって10日▼単独開催にはメリットもあるのに…。なにより全国でただ1カ所となる“オンリーワン”の効果は大。場所は市の中心部に近く、開催時期も冬を避け他市に気兼ねなく観光シーズンの設定が可能。場外などの収入が減る分も、ある程度は広告やイベントに知恵を絞れば…▼確かに存続論の中に「北海道遺産じゃないか」といった感傷的な思いが根強いことも否定できないが、要はやりようだ、とも。鉄道の廃線と同じで、廃止は「いずれ再び」に結びつかず、将来的に灯を消すことを意味する。だからこそ広範な議論が必要だった▼でも動いた。詳細は明らかにされていないものの、民間からも存続への提案があったという。馬主協会なども多額の寄付を申し出ている。帯広市の試算によると、単独開催の場合の初年度赤字は3億円。本当にそうなのか、地域の機運も高まっている、とりあえず1年…。意外な答えが出てこないとも限らない。(N)


12月7日(木)

●本紙が創刊したのは1997年の1月。現在9年と11カ月目を歩んでいるが、わが国の新聞の歴史というと、さかのぼること135年前。最初の日刊新聞は、1870(明治3)年に横浜で発行された「横浜毎日新聞」と言われている▼それ以前は瓦版の時代。活字を使った表裏2nの新聞だったが、驚きをもって迎えられたそう。これに刺激を受けた発行の動きはまたたく間に全国的に広がり、函館でも1878(明治11)年に道内第一号としての「函館新聞」が発行されたという記録が残っている▼教育が進み、識字率が上がるに従って読まれるように。情報源として新聞しかないという時代背景もあった。昭和年代に入ってラジオ、そしてテレビが登場し、今やインターネットの時代とも称されるが、生活の中に新聞が培ってきた信頼度はまだまだ健在…▼現在、経営、発行規模の大きい新聞社を中心に、日本新聞協会に加盟している新聞社は108社だが、全国に数多い本紙のような地域紙を含めると、300社とも。近年でこそ新たな新聞の創刊はないが、それは見方を変えると、既存の新聞が定着していることの表われ▼世界的にもノルウェーに次いで新聞が読まれている国という報告がある。その発行部数は朝夕刊セットを1部として協会加盟社だけで1日当たり5257万部。130年余りになる新聞の歴史の重みを教えられるが、その最初の「横浜毎日新聞」が世に出た記念すべき日は、12月8日である。(H)


12月6日(水)

●「オーストリア」と「オーストラリア」。一方はヨーロッパ、もう一方はオセアニア南西部にある国だが、呼び名は確かに似ている。とはいえ、学校で学んでいることであり、厳密な位置などは無理にせよ違う国家であることぐらいは分かっていて…▼当然と思うのだが、現実は必ずしもそうでないらしい。オーストラリアとは近年、日本から観光に出かける人、逆に北海道(ニセコなど)へスキーに来る人が増えるなど、身近な存在になっていることもあるのか、迷惑を被っているのがオーストリアの大使館▼オーストラリア大使館と間違われることが多いのだという。対応策として、間違った人のためにオーストラリア大使館への道順を描いた地図を出す一方、次善の策として在日大使名で発表したのが驚く措置。「オーストリア」から「オーストリー」へ、呼び名の変更である▼「オーストリア」は英語読み。言われてみれば、という記憶のレベルながら、かつて「ヲウストリ」とか「オウストリ」と呼んだ時代があるそうだが、それは昔のこと。オーストリアで定着していたはずだが、変更を強いたのが認識不足だとすると、何とも失礼な話▼国名の呼び名変更は皆無ではない。「スロヴェニア」が「スロベニア」、「サイプロス」が「キプロス」に変わったなどの例はあるが、オーストリアの変更とは根本的に理由が違う。失礼の埋め合わせに、首都はウィーンで、観光と音楽の都・ザルツブルクがある国…。オーストリアについて、これぐらいの認識は最低持っていたい。(H)


12月5日(火)

●北斗市の農作物直売グループ緑友会「六輪村」。道南はもとより道内の直売では草分け的存在だが、その着実な活動実績は高く評価され、道が主催する「農村の暮らしと地域を活(い)かす女性・高齢者グループ表彰」でも、本年度の最優秀賞に輝いた▼農協組織が確立されたわが国では、農畜産物は農協を通じて売るシステムが定着し、少なくとも20年ほど前まで直売の動きはないに等しかった。農業者は生産に専念、販売は農協と言えば分かりいいが、この仕組みが品質の平均化を促す力になったことは事実▼ところが、農畜産物の輸入自由化によって価格の勝負もさることながら、品質などで優れた産物が要求される時代を迎えた。それは差別化時代の到来でもあり、営農も、販売も経営的視点が求められることに。宅配やネットなどの普及は、さらに新しい環境を生み出している▼「六輪村」の背景でもあるが、自信を持って安く提供することと消費者との交流、掲げた目標はその原点。1997年、手探りの出発だった。それから10年、道内でも“主婦の直売店”が数多く見られるようになったが、常に「六輪村」がリードしている▼昨年2月に法人化したこともそうだが、加工体験工房の設立、豆腐製造の免許取得…。最優秀賞は際立った活動に対する評価であり、今後に向けた期待でもあるが、この10年の事績は表彰事業名の「農村の暮らしと地域を活かす…」という趣旨そのもの。新たな息吹を吹き込んだ功績はたたえて余りある。(H)


12月4日(月)

●今年の新語・流行語大賞(現代用語の基礎知識選)に選ばれた言葉は「イナバウアー」と「品格」だった。選考にノミネートされたのは60語だが、これという決定的な言葉がなかった一方、候補にスポーツ関係の言葉が13もあったのが注目される▼1年の顧み方はさまざまあるが、この大賞は1984(昭和59)年に始まって今年が23年目。ちなみに第1回の大賞(金賞)は、超人気番組だったNHKの連続テレビ小説「おしん」から作られた「オシンドローム」。昨年は郵政解散の「小泉劇場」と「想定内(外)」だった▼そして、今年の「イナバウアー」はご存知、トリノ五輪で世界を圧巻したフィギュアスケート・荒川静香の得意技。また「品格」はマネーゲーム全盛の現代社会に警告を発した藤原正彦著の作品名「国家の品格」から。さらにトップテンに目を移すと明暗それぞれ▼今の厳しい社会の姿を表現した「格差社会」、健康管理の視点から肥満の目安を示した「メタボリックシンドローム」(メタボ)、ヒルマン日本ハム監督が優勝時に発した「シンジラレナ〜イ」のほか「脳トレ」「ハンカチ王子」「エロカッコイイ」「mixi(ミクシィ)」など▼明るいスポーツ関係の言葉とは逆に、気になった候補語も幾つか。「勝ち組・負け組・待ち組」「学力低下」「再チャレンジ」「団塊」「偽装請負」★「飲酒運転」などだが、不思議なもので、こうした一つの言葉から、関連する社会の動きが頭によみがえってくる。そう、候補語の中には安倍首相の「美しい国」もあったのだが…。(H)


12月3日(日)

●公共事業の入札をめぐる談合が表面化して、知事や県幹部が逮捕される事件が続いている。この談合というやつは、いくら言われても後を絶たず毎年のように起きている。わずか2カ月余りの間にこうも出てきては、怒りを通り越してあきれるばかり▼釈迦(しゃか)に説法だが、国や地方公共団体が公共工事の受注先を決める方法として、わが国で採用されているのが入札制度。複数の業者に見積もりを出してもらい、最も低額のところに請け負わせるというシステムだが、それにも一般競争入札と指名競争入札があって…▼その違いは「一般」が業者の数を限定しないのに対し、「指名」はあらかじめ数社に絞って行われる点。地方自治法などでは一般競争入札を原則としているが、業者の技術力などに差があることから、工事規模が大きくなればなるほど「指名」が多く、談合が問題になるのも「指名」の方▼それにしても、わずか2カ月余りの間に3県である。10月末の福島県、11月中旬の和歌山県では知事と幹部、11月末の宮崎県では出納長が、それぞれ競売入札妨害(談合)容疑で逮捕された。これでは「指名自体に疑惑の目を向けよ」と言っているようなもの▼かと言って小手先の改善策では意味がない。確かに「指名」も意味があるから存在しているわけだが、秋田県が動いた。2008年度から「指名」を全廃し、すべての工事の入札を「一般」にする方針を固めたという。大きな英断。というのも「入札の透明性を高めよ」という声に対する答えがそこにあるから。 (N)


12月2日(土)

●「ばんえい競馬」の灯が、ついに消えようとしている。北海道の歴史、産業文化とたたえられながらも収支という経済原則の前には無力だった。ここ数年は存続問題に揺れ、この1年余り、ぎりぎりの生き残り策を模索してきたが、出た答えは廃止▼「ばんえい競馬」の歴史は、ほぼ100年。その主役である農耕馬は開拓の時代から農業の発展に寄与、いわゆる“お祭りばん馬”を原点に誕生したとされる。娯楽が少ないかつては、生み出した黒字が開催市(旭川、帯広、北見、岩見沢)の財政を潤したが…▼現在は一部事務組合運営で、累積赤字は31億円。この2年手がけた経営の再建も計画通り進まず、旭川と北見がまず撤退を表明。帯広と岩見沢の2市による開催案が検討されてきたが、財政的に展望が開けないとして両市も断念したことで、事実上、存続の道が断たれた▼継続しても赤字の解消は難しく、断念でも関係者の補償などが加わってくる。まさに続けるも、止めるも地獄ということだが、解せないのは…。北海道遺産にも選ばれ、北海道の原風景と位置づけられながら、開催市に下駄を預け、全道的な議論がなかったこと▼存続を求める要請行動も動き出しているが、生産者をはじめきゅう務員、調教師、騎手ら関係者にとっては死活問題。廃止の表明から5日目のきょう2日、帯広開催が始まるが、恐らく重い空気が漂う中での開幕に違いない。一縷(る)の望みがないわけではないが、廃止の決定は寂しく、残念というほかない。(H)


12月1日(金)

●環境省は今冬、霞が関の本庁舎の暖房を原則的に中止する。地球温暖化の原因とされる二酸化炭素排出量の削減に、環境対策を担う官庁として範を示すということだが、ある意味、大きな実験。スタートはきょう1日で、来年3月末まで▼地球環境の変化は異常な気象などに表われているが、森林の減少のほか、ビルなどの冷暖房、工場や車の排出ガス量の増加が指摘されている。その削減は今や世界的なテーマであり、取り組みの一例として一般に問いかけているのが夏のクールビズ、冬のウォームビズ▼「冷暖房へ過度に頼らずに…」が発想の原点だが、同省が新たに目をつけたのが暖房。昨冬は今年の2月下旬から3月末まで試みたそうだが、本庁舎を全面的に4カ月行った場合、二酸化炭素排出量(昨年度1474トン)を約6%(約80トン)削減できるのだという▼省エネルギーセンターによると、外気温が7度の時にエアコン(2・2キロワット)を1日9時間使用し、暖房設定温度を21度から20度にするとして二酸化炭素削減量は年間約26キロ。その取り組みが広がると、大変な成果が期待できる。としたら、もっと強い指導があっていい▼同省が範を示すことは当然。ただ、そこに込み上げてくるのが「何で環境省だけ」という思い。霞が関にある省庁すべてが足並みをそろえてこそ、国民の目に「国が率先…」という姿が映るのではないか。同じ建物に入っている厚生労働省ですら別歩調ときては、せっかくの問いかけも重みに欠ける。(N)


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