平成18年3月

 


3月31日(金)

●道有林(北海道有林野)の歴史が始まって100周年。1月の本欄でも触れたが、かけがえのない財産であるのに道民の理解はいま一つ。どんな課題を抱えているかまで知る必要はないが、身近な存在として認識されているかというと、必ずしも…▼国有林、民有林も含めて言えることだが、今の時代、森林は木材供給の一方で、温暖化対策など環境問題の視点から重要度を増す存在。「改めて森林が果たす役割を認識せよ」と言われる理由もそこにあるが、当然ながら管理が大事であり、そこに求められるのが理解の広がり▼というわけで、道が考えた策の一つがアイドルキャラクター(天然記念物のクマゲラ)の採用。小中学生から募集していた愛称が「キキタ」に決まった。応募1506点の中から選ばれたもので、言葉の響きが新鮮、木と北を連想させる、として▼おさらいの意味で、道有林を紹介すると、その面積は61万ヘクタールで、国有林、民有林など道内にある森林面積全体の11%。うち渡島・檜山の道南には12万6800ヘクタールがある。多くは保安林や水源かん養林だが、恵山や松前矢越など道立自然公園も10カ所設けられている▼森林は恵まれた自然を象徴する存在だが、それは後世に残すべき財産であることの紛れもない例え。道のホームページも、こう強調している。「道有林は私たち最も身近な森林で、文字どおり『道民共通の財産』なのです」。だからこそ、もっと理解の輪を広げなければ…。「キキタ」が担う役割がそこにある。(H)


3月30日(木)

●2月の本欄でも、その“良さ”に触れられていたが、風呂敷の話。一言で言うと、便利で、優れた道具である。作り方は忘れたが、子供のころ、教科書をくるんで手提げかばんを持つように学校に通った。買い物なども風呂敷が主役で、重い一升瓶も上手に運んだもの。小池百合子環境大臣はレジ袋の代わりに「マイ風呂敷」を薦めている▼スーパーなどで何げなく無料で受け取っているレジ袋。生ごみを捨てるのにも便利で、すっかり日常生活に定着したが、1年間に出回っている数は国内で約300億枚といい、その大半が無造作に捨てられているのが実態▼「もったいない」を提唱しているケニアのワンガリ・マータイ環境副大臣によると、ケニアでも、レジ袋を1度しか使わないことが問題になっているという。使った後に放り出された袋のくぼみに雨水がたまり、マラリアを媒介する蚊が発生しているとも▼函館と江差の消費者協会の調査によると、60%の人が、まだ「マイバッグ」を持っていない。1世帯が1週間にスーパーなどでもらうレジ袋の平均枚数は3・8枚で、1昨年の5・8枚、昨年の4・4枚を下回ったものの「レジ袋は有料でよい」と答えた人は17%▼来春の施行を目指す容器包装リサイクル法の改正案によると、小売店などにレジ袋有料化を含め削減が義務づけられる。すでに有料化した店では半数以上が買い物袋を使っているというデータもある。「店でくれるから…」を卒業し、マイバック、風呂敷の持参を…。「レジ袋 断るママの 自然保護」(はこだてエコ川柳)(M)


3月29日(水)

●株式投資をこれからも続ける考えを持っている人は13・3%、今後新たに行いたいと思っている人は8・6%。内閣府の金融商品・サービスに関する世論調査で明らかにされた実態だが、そこからうかがえるのは株式に対する関心が高まる動きにあること▼戦後のわが国は、子どもから大人まで預貯金を奨励した。教育の現場でも預貯金を美徳のごとく勧めた一方、株式は、というと…。税制の問題などの制約を抱えていたことも事実だが、インターネット取引も登場して、株式に対する認識は変わりつつあるところ▼そこで最近よく聞くのが個人投資家という言葉。個人に浸透してきたこと、昔に比べて自分の身の丈で投資できるようになったことの証しだが、さらには良きにつけ、悪しきにつけ、株に関する情報が際立って増えているのも事実。そこに環境の変化がうかがえる▼この調査の対象は20歳以上の3000人。実は1年前にも行われており、それと比べると動きが分かりやすい。株式投資を行っている人の増加率は2・6ポイントだが、株式や投資信託、国債・地方債などの証券保有状況も連動する形で2、3ポイント程度増えているのが注目される▼国家経済という視点からは、株式市場の活性化は極めて重要なポイントであり、理解の輪を広げることは欠かせない経済対策。だが、その分野はまだまだ不十分。68・5%の人が今後も行う予定はないと答え、その理由で最も多かったのが「知識を持っていない」だった。これも正直な現実である。(N)


3月28日(火)

●大韓航空の函館―ソウル(韓国)線が6月に就航する。週3往復の運航で、函館にとってはユジノサハリンスク(ロシア)線に続く国際定期路線。観光都市として将来に大きな起爆剤としての期待が膨らむ話題だが、その一方で受け入れ態勢に懸念の声も▼その日に向けた対応が鈍くないかということだが、確かに就航までは2カ月しかない。具体的な例として言われているのが、歓迎ムードの盛り上げであり、狭さなどが指摘される空港の国際線ターミナルの改修、街中の案内表示の点検などの取り組みなど▼これまで本道と韓国を結ぶ路線は新千歳だけで、そこから観光客をどう呼び込むかがポイントだったが、これからは違う。「どれだけ函館で乗降させるか」であり、そのための方策が求められる。それでなくても競争相手として新千歳に加え旭川も登場するのだから▼観光客の誘致キャンペーンなどが大切なことも否定しない。ただ、その前に必要なのがハード、ソフト両面で受け入れる態勢を講じること。井上市長は3月半ば、訪れた大韓航空幹部に部分的な改修構想を明らかにしたが、取り組むべき第一が空港の国際線ターミナルの改修▼さらには…。新たに必要な標識の有無や確認もしなければならないし、簡単なあいさつなど観光関係者のハングル語の勉強も…。好印象を持って帰ってもらう、それが次につながる、という観光の鉄則を、この新たな路線の開設に向けてどう具現化するか。就航まで残された時間はわずかしかない。(N)


3月27日(月)

●はんらんする外来語や和製英語。ここ10年ほどの間は特に増えている。新聞や雑誌などでもカタカナ文字が目につくが、高齢者ならずとも正確に認識できない言葉が少なくない。思わず「日本語を使えよ」といら立った経験を持つ人は少なくないはず▼確かに、外来語の方が一般的になって、逆に日本語に直すと違和感を覚える言葉もあるが、現状は全体的に行き過ぎの感が強い。そうした背景もあって日本語への言い換えを検討してきたのが国立国語研究所(外来語委員会)。3月中旬、新たに35語を発表した▼その中には分かりいいのもあれば、逆に難解に思えるのも幾つか。「アミューズメント」の「娯楽」、「クライアント」の「顧客」、「メディカルチェック」の「医学的検査」、「リユース」の「再利用」、「ソフトランディング」の「軟着陸」などは、比較的理解しやすいが…▼「バイオマス」の「生物由来資源」や「サムターン」の「内鍵つまみ」、「リードタイム」の「事前所要時間」、「オペレーション」の「公開市場操作」などとなると、外来語の方がいいかも、と思えてくる。言葉の難しさを痛感するが、今回を含め作られた言い換え言葉は176語▼ある識者が言っていた。「言葉だから、大事なのは伝えやすい、伝わりやすい、という視点」と。そう、外来語ばかりでない。日本語の中にも言い換えた方がいい言葉がある。特に、いわゆる“役所言葉”。例えば「善処します」「遺憾です」だが、それを「やります」「すみません」に、とか。外来語より言い換えの意味があるかもしれない。(N)  


3月26日(日)

●函館からまた一つ国の重要文化財が誕生する。指定の手続きが終わるのを待つだけになっているのは、銀板写真の「松前藩士・石塚官蔵と従者像」。外国人が日本国内で、日本人を撮影したものとしては現存する最古の写真で、歴史的価値は言うまでもない▼撮影者は幕末の1854(寛永7)年、箱館に来航したペリー提督に同行の写真師、エリファレット・ブラウン・ジュニアとされる。滞在中に寺院や町並み、人物など数十枚を撮影したと伝えられているが、縦15・4センチ、横12・3センチのこの写真は貴重な1枚▼劣化する前に作られた複製によって、はっきりと確認できるが、写っているのは藩士・石〓、官蔵のほか3人の従者。函館市写真歴史館を訪れたことがある人なら「あの写真だ」と分かるはずだが、市立博物館が藩士の子孫から寄託を受け、今は同館(元町)に展示中▼函館には国や道指定の文化財が数多くある。函館市政要覧にも掲載されているが、国の重要文化財としては高野寺の木造大日如来坐像、太刀川家住宅店舗、旧函館区公会堂、函館ハリストス正教会復活聖堂、旧遺愛女学校宣教師館などがあるが、写真は新しいジャンル▼それも「幕末開港交渉という歴史上に重要な事象を跡づける遺品」と位置づけられる、まさに歴史の証言者。函館は北の写真発祥の地としての顔を持つが、さらに印象づける、という視点で指定が持つ意味は大。時あたかも、ペリー提督来航150年の記念行事を終えたところである。(H)  


3月25日(土)

●今の時代、いつ何時、難題が降りかかってくるか分からない。先日も痴漢容疑をかけられ、冤罪を主張するも認められるまで2年半もかかった男性の話が新聞やテレビで報じられていたが、企業でも社内の不祥事、不正がこれだけ多いと穏やかでいられない▼そんな例が現実の話として枚挙にいとまがないから。業務はもとより、最近は私的なことでも少なくない。まさに「いつ抱えるか分からない」といった状況。トップも安閑としてはいられない。その心情は経済同友会が行った経営者意識調査の結果からもうかがえる▼毎日新聞などが報じていたが、社内で不正行為が起こる可能性について「正直なところ不安がある」と受け止めている経営者は63%と、3人に2人。さらに「(不正行為が)ないと言えるか」という問いには、3・6%が「(そう言える)自信はない」と答えている▼これを3年前の調査と比べると、悩みが増している現実がより明確に。不法行為が起こりうる可能性の認識は11ポイント増え、自信を持って「その可能性はない」とした答えも12ポイント減というのだから。そこに見え隠れするのは、信じたいとする一方で不安も消えない、という姿▼いざという時のための対策が求められている、ということだが、その認識は行動をうながしている。多いのは法令順守の体制構築であり、やってきたことの見直しだが、万が一起きた時の対処の仕方なども。手をつけていない企業が19ポイントも減ったという現実は、まさに今の時代の一つの断面を浮き彫りにしている。(N)


3月24日(金)

●JRの3月ダイヤ改正で、函館―大阪の寝台特急「日本海」が姿を消した。青函トンネル開通の賜物で、函館と関西を乗り換えなしに結ぶ貴重な列車だった。ただ、年々、利用者が減少していたそうで、ここへきて残念ながらという事態に▼それは理解できるが、その裏に札幌―大阪を走る寝台特急「トワイライトエクスプレス」の存在を見逃せない。誰もが知るように超豪華な寝台特急であり、運行時刻もそう違わないとなれば、おのずと「日本海」の利用は限定された範囲に。そんな宿命を背負っていた▼「トワイライトエクスプレス」が、函館駅の乗り入れをせず、五稜郭駅で機関車の入れ替えだけをして、停車しながら乗降させず、にしていたことからも推察できる。それでも函館としては「日本海」を守るために、停車(乗降)させてほしい、とは言い出しづらかった▼それはうがった見方と否定する話も聞く。JR西日本の運行列車というほか、通過時間の問題もあるのだと。大阪行きはともかく、札幌行きは函館通過が明け方と早いから。それなら対応のしようがあるのではないか。要は求めるかどうか。問われる先は函館側…▼「日本海」の廃止は「トワイライトエクスプレス」の停車を求める実質上のゴーサイン。2月末の本欄では「(停車の実現を)期待したいところ」と書いたが、ここでは敢えて「期待する」に改めたい。五稜郭駅でもいい。次のダイヤ改正に向けて。観光都市として必要ないというのなら話は別だが。(N)


3月23日(木)

●政府は今月初めの閣議で、論議を招いていた住民基本台帳の閲覧を限定する法改正案を決定した。個人情報保護法を考えた時点で議論されているべきことで、遅きに失した感を覚えるが、あとは速やかな国会審議を経て成立、施行を期待するばかり▼以前にも触れたが、現行法では不当な目的でないなど若干の規制があるだけで、定められた手続きをとれば、住民基本台帳は誰でも閲覧できる。今の時代に、と思う人が多かろうが、この規定が設けられたのは意識が希薄だった40年ほども前で、それが今日まで▼住民基本台帳法は最大量の基本的な個人情報を管理する法律。なのに、規定は、と言うと、時代認識と合わなくなったままということ。個人情報保護法は時代の要請を受けて生まれた法律とも言えるが、個人の情報にかかわる法律の間で整合性が欠けているとしたら…▼「おかしい」という議論が提起されたのも当然。政府が腰を上げ、昨年から検討を続けて改正案がようやく決定した。採用した基本的な考えは限定的な閲覧であり、その判断基準は「公益性」があるか否か。ダイレクトメールなど、いわゆる商業目的は閲覧の対象外に▼認められるのは統計調査や世論調査、学術研究などと、公共的団体による住民福祉のための活動に必要と受け止められる場合。得た情報の第三者への提供禁止はもちろん、閲覧者名の公表も盛り込まれている。妥当な線。これでようやく個人情報保護法の制定意義も生きてくる。(N)


3月22日(水)

●函館山の要塞跡をどう整備し、管理していくか。市議会で議論があったことを本紙も伝えたが、それは大きな課題。というのも、この要塞跡は今に残る、ほかの地にはない“歴史の証言者”であり、社会的な価値観からも必要視される故▼その歴史だが…。築造されたのは1898(明治31)年から1902(明治35)年にかけて。軍事拠点だった函館港を守り、津軽海峡の安全航行を確保することが目的だった。以来、函館山は軍事施設としてベールに包まれ、1946(昭和21)年までは立ち入り禁止に▼訪れたことのある人なら分かろうが、大掛かりな跡は御殿山、入江山、千畳敷などに幾つか。ただ、いずれも荒れた状態で、素人目には保存状態が芳しくないと映る。「このまま放置しておくのだろうか」という疑問を抱いた一人だが、その具体的なメッセージは未だ…▼ご存知のように函館産業遺産研究会は「要塞と麓(ふもと)の歴史的建造物などを世界遺産に」と提言している。それだけ意味のある歴史遺産という認識を示したものだが、本格的な保存整備について函館市の行政判断はこれから。本紙も伝えていたが、市議会の質問には答えている▼「適切な姿で後世に…」と。だが、各論に入ると「新年度予定の函館山緑地整備計画の見直し作業の中で検討する」と一転して不透明に。せめて聞きたかった。「緑地計画と関連はするが、要塞の保存は急ぎ別途、計画する考え」と。何故なら、答えは簡単で、函館山の要塞跡にはそれだけの価値があるから。(A)


3月21日(火)

●テレビに映された光景はあまりにも悲しくつらい。事情はどうあれ、せっかく生産したのに廃棄してしまうのだから。それも半端な量ではない。全道で1000dである。思わず農政はどこにいったのかと叫びたくなるが、生乳の産廃処理の話▼すべてではないものの、戦後の北海道農業は、国の政策に振り回された感が否めない。道南にも吹き荒れた米の減反、十勝などでの畑作・酪農の規模拡大策が如実に物語るが、今日までの間に誘導策の両輪だった補助と価格補償はしぼんで、そのつけだけが生産現場に▼多額の国費を投じて問題になった根室地方の新酪農村が象徴的だが、振興策を受け、努力した結果が生産し過ぎとは…。生産と消費の実態を把握して対応策を講じるべき立場の生産者団体も責められて当然。どう割り引いても「消費の落ち込みが…」は説得力に欠ける▼確かに、今年度は飲用乳需要が落ちている。全国的には4%減と言われる一方で、昨年の粗飼料は質がよく生乳の生産量が増えたという。需給にアンバランスが生じたことは分かるが、問題は今年度だけの特殊な現象と言い切れないこと。来年度だって同じかもしれない▼つまり構造的な問題を抱えているということ。乳製品の在庫も抱え、過剰を実感している乳業メーカーも、おいそれとは応えられない。「じゃどうすればいいのか」となるが、打開策に奇策はなく、あるのは消費拡大。その取り組みが今日までどうだったか、この生乳廃棄はそう問いかけ直している。(N)


3月20日(月)

●弁護士法違反などの罪で公判中の西村真悟議員(民主党を除籍)に対し、衆院は17日、辞職勧告決議案を可決した。自民、民主、公明、共産など6党が賛成した決議だったが、本人に悪びれた様子はなく、淡々とした姿にはあ然とさせられる▼確かに勧告だ。国語辞典をひもとくと「あることをするように説き薦めること」とあり、この可決自体に法的拘束力がないことも、誰もが分かっている。だが、いやしくも取り上げたのは国会である。こうも軽く受け止められては、その意味がどこにあるのか、と思えて当然▼行政の場にも勧告はある。最も一般的に聞くのが独禁法の判断(排除勧告)。そこでは事実上、ある程度の強制力を持つとされ、受けた側は、それに従うか、もし不服なら審判を求めなければならない。少なくとも辞職勧告のように受け流すことはできないのだ▼国会における辞職勧告決議案の可決は4人目という。それを受けて辞職した議員はいないのだが、これほど胸を張った議員も珍しい。一部否認しているとはいえ、法を作る国会議員、法を守る弁護士でありながら法を犯したのだから、非常に責任が重いはずなのに…▼この西村議員の姿勢から透けて見えるのは、辞職勧告決議は極めて便宜的なもので、形骸化しているということ。なぜなら議会側は勧告決議をして姿勢を示した、となり、勧告を本人もそれによって一つの禊(みそぎ)を受けた、という言い訳に使われかねないから。辞職勧告決議は国会内の妙案と映って仕方ない。(N)


3月19日(日)

●日本列島、同じ3月でも季節感は大きく違う。北と南の気温差は15度以上、まだ雪深い所がある一方で、高知では早くもソメイヨシノが開花した。南北に長い日本列島の現実を教えられるが、この季節の共通点は自然の躍動感が伝わってくること▼4、5日前だが、JRを利用し東京を往復する機会があった。飛行機でも空の上から雪のあるなしは確認できるが、JRは間近に季節の移ろいを感じ取らせてくれる。その“変化”だが、天気も光景も。その日は…。朝早く函館をたつ時に晴れていたのが、木古内あたりでは雪模様となり、青函トンネルを抜けた津軽一帯も雪…▼それが青森を過ぎたあたりで晴れて、岩手県を経て福島県に入ると再び雪に。積雪も津軽海峡を挟んだ両地域や青森市付近は多く、野辺地から三沢にかかると、ほぼ消えて、八戸はほとんどない状態。岩手県や福島県内の農地などには白く覆われた所も…▼さすがに栃木県に入ると、雪はなく、車窓から広がるのは春の息吹を感じさせる光景。歩いている人の服装、スポーツしている人の姿からも。3月は各地から季節感が伝わってくる一番の時期とも言われるが、鉄路の旅でそれをたん能した思い…▼桜前線は今月末には東京までやってきて、4月下旬にかけて東北へ。来週、再び東京での所要があるが、この1週間余りでどう変わり、どんな春の光景を見せてくれるのか。春の足音は速い。函館・道南でも木々が芽吹き始め、本格的に春を感じさせる季節を迎えている。(H)


3月18日(土)

●春よ三月春雨に弥生の…。生まれは阿里山麓の片田舎。台湾娘に見染められ、一房二房ともぎ取られ、金波銀波の波超えて、ようやく着いたが門司港。問屋の室に入れられて、夏は氷で冷やされて、冬はタドンで蒸されて、黄色いお色気ついた頃…▼バナナの皮は巨大な苞葉(ほうよう)に覆われ、その紅色が目をひく。夏ばてやスポーツにお勧めの栄養価の高い果物で、即効性と持続性を兼ねたエネルギー源。最近はがん抑制にも効果があるとも。かつては高級果物で、病気でもしない限り口に入らなかった▼トリノ五輪でチーム青森が大奮闘し、カーリング熱は高まるばかり。覚えているだろうか、彼女たちが試合の合い間にバナナをほおばる姿が放映されたことを。本紙の「青森Weekly」によると、チームを支援してきた商工会議所などによる「カーリングバナナ」が市内のスーパーなどにお目見えしたという▼フィリピン産で、標高300―500メートルの中高地で栽培された。栽培期間が低地より長く、糖度が高いからだという。卸売価格の1%をカーリング協会に寄付して、選手育成などに使ってもらうのだ、と。その彼女たちのシールが張られたバナナは道内のスーパーでも…▼ストーンを投げる時の彼女たちの真剣なまなざし。「イエス(掃く)」「ウォー(掃かなくていい)」と叫ぶ力強いプレーの原動力となった。価格も手ごろな栄養源として、今や重宝な存在。冒頭はバナナのたたき売りの口上だが、トリノを機に、バナナが脚光を浴びている。(M)


3月17日(金)

●全身を形づくる骨の重さは体重の5分の1。数年前、本物の人体標本の展示で賛否をかもし出している「人体の不思議展」を東京で見た。プラスティネーションという手法で、細胞まで保存された骨や筋肉、血管、臓器などがはっきり分かる全身標本▼もちろん、標本の献体は本人が生存中に同意をとったもので、約4000年の保存が可能としている。喫煙者と非喫煙者の肺の違いを見てもらうなど、健康的な日常生活を呼びかけるのが目的のようだが、標本の献体に同意してから自ら命を絶つケースも少なくないと聞く▼残された家族たちが悲嘆する自殺は悲しい。日本の自殺者はついに3万2000人(2004年)を超えた。景気の悪化に伴う過労やリストラ、心や体の病、家族や家族の問題、ネットによる集団自殺など背景は複雑だ。政府は相談窓口の充実など自殺者の減少対策に本腰を入れ出しているが…▼最近はマグカップ1杯分の遺骨を高温高圧で加工してメモリアル・ダイヤモンドに再生させる技術が話題を呼んで、米英の企業には日本を含め世界各地から注文がきているという。臓器提供(ドナー)、人体標本への献体など、終末後の供養も随分と変わってきた▼函館山のネコヤナギの芽が吹き出し、春がすぐそこまで来ている。18日は春の彼岸入り。めくるめく光の乱舞、めくるめく絶望と歓喜、めくるめく生への旅立ち…懸命に生きているのに。「安心して悩める社会」が必要だ。黄泉(よみ)の世界は自殺行為を決して歓迎してくれない。(M)


3月16日(木)

●学校現場が抱える課題は社会の不安定さと無縁でない。子どもの安心・安全確保は直面している端的な事例だが、引きずっている課題も少なくない。その一つが不登校だが、道教委がこのほど発表した昨年度の統計は、なお厳しい現実を物語っている▼不登校は一般的に「病気や経済的理由以外の原因で、不定期、長期に(学校を)欠席する」こと。年度中にこうした理由がないのに50日以上休んだ場合という言い方もあるが、その定義に当てはめた人数たるや想像を超えるほど。そして毎年新たに現れてくる▼函館にも登校拒否と教育を考える親の会があるが、各地で民間レベルの努力が広がっていても、残念ながら…。今なお全国には10万人台もいると推定され、北海道では4000人ほど、函館で200人ほどと言われるが、大きく減少している、という実感はまだまだ…▼その道教委の発表からもうかがえる。小学校には長期欠席者が2585人おり、うち不登校児は713人。中学校では長欠4635人のうち不登校生徒が3241人。どこまで減ると問題なしと考えるかは判断の分かれるところだが、あ然とする人数であることは確か▼減らさなければならないのは当然だが、もう一つの課題として社会が、行政が突きつけられているのが、こうした児童生徒のケアであり対策。フリースクールなど民間の取り組みに対しても、国や地方自治体の支援という面は不十分。大事なのは「現実に何が必要か」であり、さらなる理解が求められる。(N)


3月15日(水)

●「遺跡は歴史の証言者」。南茅部の大船遺跡など道南でも発掘されている。これら縄文まではともかく、数百年前のことでも謎とされていることは多い。今月初めに本紙が報じた「松前(福山)城の石垣造成に使用したみられる石切場発見」という話もそう▼松前城の歴史は400年前にさかのぼる。少し前にも触れたが、蝦夷地の支配者として認められた蠣崎慶広が前身となる福山館を築城したのが1606年。それを修築する形で松前城として完成したのは1854年と伝えられている。その際に使われた…▼石切場とみられる跡が見つかったのは、同町神明地区の山林で、町民総合センターから山側に1キロほどの場所。町教委によると、切り崩されたように見える崖や石切場特有のくず石、作業をしていたと推測される平たん地もあるというから、期待を膨らませるに十分▼しかも…。その石切場の石は、太古の火山灰が固まったとされる緑色凝灰岩(通称・グリーンタフ)とされ、石垣に使われている石も似た石質ということも分かっている。状況証拠は整っている。残るは専門家の手による学術面の判断だが、その本格的な調査が新年度に行われる▼松前城は道内でただ一つの城であるばかりか、最後の日本式城郭として知られる。日本百名城にも選ばれたばかりだが、ここが石切場だった、とはっきりしたら、それは紛れもなく貴重な歴史財産。「あの石垣の石はどこから切り出されたのだろうか」。その謎は今年にも解き明かされようとしている。(H)


3月14日(火)

●「PSEマーク」。今、この言葉が当面する一つの社会的キーワードとなっている。家電製品の販売を左右するというか規制をする表示。新聞などでも取り上げられているが、悠長に構えてもいられない。法適用は4月1日と迫っているのだから▼その裏づけとなっている法律は2001年に制定された電気用品安全法。行政用語的に言うと「電気用品による危険、障害の発生を防止する」ことが目的で、安全確認印のこのマークがない製品は販売してならないとされた。かと言って、すぐには無理…▼259品目について5年の猶予期間が設けられた。その期限が切れるのが3月末というわけ。だが、この法律ができていたこと、さらに4月から適用されることは意外なほど知られていなかった。ごく最近、知るところとなり、慌てたリサイクルショップも少なくない▼怒るのも無理はない。経済産業省も認めたが、メーカーには徹底したものの、末端の販売業者に対する告知が十分でなかったというのだから。販売できなくなる商品を大量に抱えている業者ばかりか、消費者からも反対の声が。古き貴重な商品が手に入らなくなる、と▼例えば価値が高い音響品など。安全の確保が大事なことは言うまでもない。法の意味はあるが、ぼう大な量の家電製品がごみと化しかねないという問題も内包している。それでなくてもリユース(再利用)、リサイクル(再生利用)が社会に芽生えてきたところ。混乱を回避するため、せめて1年の暫定期間を設けるべきである。(N)


3月13日(月)

●「おえど にほんばし ななつだち はつのぼり ぎょうれつ そろえて…」。誰もが知る「お江戸日本橋」の歌詞だが、その由緒ある「日本橋」の景観が議論になっている。高速道路の下に隠れていることへの疑問で、その名にふさわしい姿にすべきと▼「日本橋」は、隅田川に流れる日本橋川に架かる橋で、1609(慶長8)年に徳川家康によって架けられ、その翌年には東海道や中仙道など五街道の起点にされた、と言われる。そこから日本橋という地域名も生まれ、「日本橋」は江戸の中心地を表す象徴的な存在▼こんな背景から“商都”として繁栄の歴史を持ち、今も隣接する八重洲、京橋、兜町などとともに経済域としての顔を持つ。1911(明治44)年には木造から石造橋に建て替えられ今日に。関東大震災や戦災にも耐え、間もなく100年を迎えようとしている▼ところが、現実の姿は…。川や橋の上には無機質な高速道路が走り、それらしい雰囲気はない。今、言っても遅いが、問題は1964(昭和39)年の東京オリンピックにさかのぼる。急ぎ道路網を整備するために目をつけたのが河川や橋の上。「日本橋」も例外でなかった▼当時は是とされた、その後はあきらめに。それが最近になって「由緒ある橋の雰囲気を取り戻そう」と。先月だが、上京した際に訪れてみたが、確かに…。大都会であり、移設と言っても簡単でないが、抱いたのは「できるならば」という思い。景観を無視した都市政策のつけがいかに大きいか、その一つの姿が「日本橋」にあった。(H)


3月12日(日)

●よそから訪れる人が街の印象を決める要素はいろいろある。ごみや看板を含めた景観もそうだし、接する人の対応も然り。人間は正直なもので、親切にされると印象が良くなって「また来るか」と、逆ならば「二度と来ない」と…▼「与える印象に敏感になろう」。観光都市により求められる課題だが、アンケート調査の結果などをみても、及第点の域に達するのは容易なことでない。函館の評価も残念ながら…。かと言って放ってはおけない。函館では商工会議所青年部などが立ち上がって3年になる▼ご存知だろうか、通称パコスマの「はこだてスマイルキャンペーン」を。笑顔の広がるまちづくりの提唱だが、それは訪れる人を和ます道でもある。もちろん地域を挙げてだが、とりわけ問われるのが空港や駅のほかハイヤー・タクシー、バスなどに乗務している人たち▼表情は和やかか、街の知識は持っているか。以前に観光で訪れた地で、空港から乗ったタクシーの乗務員の印象がよく、降りる際、翌日、半日のチャーターをお願いしたことがあるが、そんな経験を持つ人は少なくないはず。自分に置き換えて函館を考えると、問われている意味が分かりやすい▼おかげさまで…。キャンペーンの成果か、企業も動き始めている。2月末の本紙は接客サービスの向上を目指すタクシー会社の取り組みを報じた。函館に関する書籍を置き、セミナーの開催、モニター制度の検討など、かなり先駆的。こうした取り組みの輪のさらなる広がりが期待される。(N)


3月11日(土)

●自民党の財政改革研究会は先日、政府資産の処分基準を中間報告的にまとめた。おおむね25年以前に取得した国家公務員宿舎や更地の原則売却などを打ち出しているが、遅きに失した感は否めない。その数ある中で、急ぎ処分するなり、家賃を民間並みにすべきは、東京都心に陣どる国家公務員の高級宿舎▼国の財政が破たん状態にあることは知られる通り。行財政改革が至上命題とされているのも当然だが、国民の目からすると、今、言われている改革でも甘く感じるほど。厚生年金施設などが端的だが、あまりにもずさんな財政運営の数々を見せつけられてきたから▼そのツケとして政府財産を含め国有財産の処分を行わざるを得ない状況に。財務省によると、庁舎や宿舎などの政府財産は35兆4000億円、このほかに未利用のまま管理している土地などの普通財産が8兆2000億円といい、現在の国有不動産は43兆6000億円▼国の財政は、例えこれらすべてを売却したところで建て直し切れるレベルでないが、だからと言って、処分に否定的な説は通らない。改革意識を認識してもらう原点でもあるからで、その象徴的存在がこうした豪華激安家賃の宿舎▼函館など地方の財務事務所でも、抱える未利用地の売却や庁舎の有効活用に追われている。しかし、地方では幾ら努力しても限界がある。それより力を入れるべきは地価が高く、売りやすい大都市。それも批判の多い宿舎から。まず姿勢を示すこと。それなくして増税などあり得ない。(A)


3月10日(金)

●「ぼくときみ 地球を治す お医者さん」「ちょっとした 不便楽しむ エコライフ」 「新婚さん 二人で選ぶ エコ製品」…。今月初めの本紙広告面に掲載されていた「エコ川柳応募作品100選」の1回目20作品の一部だが、いずれも秀作▼環境対策は今の時代が突きつけられている世界的課題。企業から個人まで、実効の鍵を握るのは意識の共有だが、その啓もうは進み始めたところ。函館・道南でも然り。今年に入って、さらなる意識と実践の広がりを願う「チーム・はこだて・エコライフ」が旗を上げた▼まず必要なのは存在を知らせることであり、賛同者を増やすこと。その啓もう活動として企画したのがエコ川柳の募集だった。新聞各紙の告知、FMいるかなど参加団体の広報誌での紹介に反応して応募作品が次々と。その中から第一弾として公表されたのが20作品▼冒頭の作品のほか、意識に訴える作品としては「リサイクル 親から子への 贈り物」「自分だけ そう思わずに まず行動」「見ているよ 大人のやること 幼い目」など。身近な話としては「詰換用 中身は同じ 愛用品」「電化製品 生まれ変わって  次の手へ」▼「ごみ」「携帯」「リングプル」といった言葉も登場するなど、わずか20作品ながら、個人でできるエコ対策が結構あることを教えている。さらには「車」や「冷暖房」などもある。本日付7面でも作品を紹介している。これをきっかけに、家庭でも「わが家のエコ川柳」を行ってみてはどうだろうか。 (H)


3月9日(木)

●「せっかく丹精した息子が自分の居なくなった後で卒業してくれるよりも、丈夫なうちに学校を出てくれるほうが親の身になれば嬉しい。…つまり卒業は御前にとってより俺にとって結構なんだ」(夏名漱石「こころ」)。親が病身ならなおのこと、親孝行なのだ▼その卒業式を盛り上げるのが巣立つ歌で、臥牛子の時代は「仰げば尊し我師の恩…いざさらば」が定番だった。少し前はTVドラマでヒットした海援隊の「贈る言葉」。そして今は3年前にデビューした男性3人のグループ「レミオロメン」の「3月9日」などが人気と聞く▼流れる季節の真ん中で…新たな世界の入口に立ち(3月9日)、粉雪舞う季節はいつもすれ違い…一億人から君を見つけたよ(粉雪)、ぼんやり日が落ちて輝く星 太陽の贈り物…笑って心開いたら(太陽の下)、夕暮れの日に尋ねよ 何のために生きているんだろうと(ループ)▼3人とも26歳。下積み時代は山梨県笛吹市の神社で作詞・作曲の練習をしたという。どの曲も歌詞は、新しい門出への祝福の気持ちをストレートに表しており、情景が目に浮かぶ究極のバラード調だ。日本語を大切にしており、高校などに合唱用の楽譜が1万7000部も出ているという▼冬ごもりの虫たちがはい出す啓蟄(けいちつ)も過ぎて、相次いで卒業生が社会に巣立つ。景気が少し回復したせいか、高校卒も大学卒も就職率が上向きのようだ。江差南高のように今年で閉校する学校もあるが、卒業生には、レミオロメンの「3月9日」を歌って難しい峠を乗り越えて、と願うばかりである。  (M)


3月8日(水)

●数日前の本欄でも触れられていたが、ナマコの話…。好き嫌いのある海の食材だが、中国でスポットが当たるなど“商品”としての将来性は十分、そこに着目、函館市は新年度から養殖増産事業に着手する方針を打ち出したが、隣の青森県では一歩進めてホタテ貝殻を使った海中での実験に▼店頭でもお目にかかるが、それは「真ナマコ」と呼ばれるもの。酢で食べたりするが、その存在はむしろ中華料理の珍重な具材として。わが国では北海道から九州までに至る岩礁域や浅海の砂地に生息していると言われ、質がいい、と中国で評価されている▼近年は健康食品ブームに乗り、さらなる高値食品となって輸出量が増える動き。その流れに乗らない手はないとばかり全国的に注目が集まっているが、その中で道内の水揚げ量は、と言うと、2年前の統計で2100トンほど。函館市(旧4町村含む)となると、わずかに45トン▼将来の安定的な位置づけを考えると、増養殖への取り組みは必要な方策。鹿部町の道立栽培漁業総合センターでの取り組み実績もある。増養殖に本腰を入れよう、その函館市の考えは青森県も同じ。目をつけたのが、ほかならぬホタテの貝殻だった▼陸奥湾に沈め、天然に近い“増殖施設”とする取り組みで、もちろん全国で初めて。今春から手がけるそうだが、成果が確認できると、処理に悩むホタテの貝殻の処分にもなって、まさに一石二鳥。海洋汚染という問題をクリアしなければならないが、それにしても…。今、ナマコに注がれる視線は熱い。(N)


3月7日(火)

●駒大苫小牧高のセンバツ出場辞退が、日本高校野球連盟(高野連)に正式に受理された。野球部の3年生10人が1日の卒業式後に、居酒屋で飲酒、喫煙で補導されたからだが、残念というほかない▼卒業、就職、転勤など人生の節目のシーズンには酒がついて回るが、それは大人の社会。一番悔しい思いをしているのは新チームの1、2年生。昨夏の甲子園で2連覇の偉業を達成した直後には、前野球部長の暴力事件が発覚。優勝の取り消しは免れ、夏春連覇を目指していたところである▼連帯責任とはいえ、新チームは出場辞退の必要はない、という意見も心情的には分かる。しかし、試合成績も大事ながら、高校スポーツには品位や技能が求められる。後輩部員に模範を示す立場の3年生とて、3月末までは籍が残っている身。周囲に迷惑をかけるほどの泥酔だったかどうか以前に、モラルが問われて当然▼学校側の指導、監督責任も大きい。古代バビロニアのハンムラビ法典には「居酒屋に乱暴者が集まった時、彼らを取り押さえない女将(経営者)は殺される」とあるが、居酒屋も批判されて仕方ない▼高野連に持ち込まれる野球部の不祥事は年間約500件(昨年の処分は68件)と聞く。犯罪や非行から未成年者を守るに、地域、学校が果たす役割は大きく、特に大事とされるのが地域住民の目。夏春連覇の夢は断ち切られたが、駒大苫小牧高の実績はこれで消えるわけではない。1、2年生はこの苦境をバネに、試練を克服して「夏」の活躍を、と期待したい。(M)


3月6日(月)

●「食べ残し」。飽食の時代と言われる今の時代、食に関してさまざまな問題が提起されている。栄養バランスの偏りなどによる健康問題もそうだが、社会的な問題として挙げられているのが食べ残し。家庭はもちろん、レストランや食堂、学校給食で…▼農水省が1月末に発表した昼食(レストラン、食堂等)の2005年食べ残し状況調査結果によると、食べ残し率は3・2%。東京と大阪で4700食余りについて、食べ残された量を量った結果。1食当たり19cということだが、積もり積もると膨大な量になる▼学校給食の現場でも食べ残しは大きな問題。ほとんどが生ごみとして処理されているが、調理残さ物を含めリサイクル化は一つのテーマ。札幌市がそこに踏み込もうとしている。新年度にモデル事業として着手し、将来的に全市的な取り組みにしたい考えという▼その仕組みは…。食べ残しなどの生ごみをリサイクルセンターに集め肥料にする。その肥料を農家に提供して野菜などを栽培してもらう。その野菜などを給食の食材として利用する。これを市内全校に取り入れた場合、年間2500dの生ごみが減ると試算されている▼まさに理想的。環境対策にもなる、有機栽培も広げられる、安心な食材が得られる、そして何より生きた教育という視点がある。ただ規模が広がるにしたがって農家の協力など幾つか課題が生じるが、札幌といった大都市で軌道に乗せたなら他都市に広がる可能性は大。その意味で札幌市の挑戦は注目に値する。(H)


3月5日(日)

●東京の知人は北海道に来るたびに「函館のイカはおいしい」とイカ料理を満喫する。イカの内臓を塩に漬け込んで発酵させたのが魚汁(いしる)。能登に住んでいた子供の頃、戦後の物資不足もあって、この手造り魚汁が唯一の調味料だったが、今では日本三大魚i。の一つ▼ラーメンの隠し味など料理に幅広く使われており、イカの研究も盛んだ。本紙も報じたが、イカゴロの有効活用を目指している函館特産食品工業協組の研究レポートが商工総合研究所の最高賞(本賞)に選ばれた。イカ魚i。の実験から製品化までの研究が高い評価を得た▼また、北大大学院の岩田容子さんと宮長幸さんはイカ類の繁殖に関する研究で、国際頭足類シンポジウム(豪州)から最優秀発表の表彰を受けた。岩田さんは日本近海のヤリイカの大型と小型に着目、産卵前の行動で小さなヤリイカの精胞が大型より小さいことを世界で初めて発見したという▼宮長さんは、ふ化直後のスルメイカの遊泳状況を研究した。円筒水槽で実験、活発に遊泳するには高い水温であることが必要で温暖期に増える仮説を裏付けた。東シナ海で産卵されるイカの資源動向に貢献できる研究であり、いずれも「おいしいイカ」づくりの励みになる▼さらに函館市は高級食材として欠かせないナマコの養殖事業に新年度から着手する。このところ、ナマコは中国での需要増から価格が高騰しており、新しい水産資源を開拓しようという取り組みだが、函館ブランドがまた一つ加わるかと思うと、夢が膨らむ。(M)


3月4日(土)

●目標を達成するために計画を立てる、それは当然のことだが、中には「どうやって…」と首をひねることがある。国や地方自治体が持つ各種計画にも言えるが、最近、そう思ったのが内閣府の手によって検討が進められている食育推進基本計画案▼2月下旬、新聞各紙がその骨子を報じていたから記憶している人もいよう。「朝食抜きの児童を2010年度までにゼロにする」「学校給食の地元食材を3割以上にする」「栄養指導教諭の配置を促進する」などだが、疑問が生じたのは、そのうちの「朝食抜きの児童を…」▼食材の問題や教諭の配置は、具体策が示しやすく、行政レベルで実行しやすい。しかしながら、朝食抜きゼロはどう考えても家庭の問題。ゼロにする秘策なんてあるのだろうか、しかも今後4年で、と年限を打ち出してとなると、疑問符がさらに大きくなってくる▼食生活の乱れが言われて久しい。その結果、健康や体力が懸念される現実となり、食育は今や一つの社会テーマ。その中でも指摘されているのが朝食を食べない人が少なくないこと。20歳代の独身者がよく言われるが、児童でも4%いるとか。何とかしなければならない▼食育基本計画となれば、確かにこの問題は避けて通れない。だからと言って義務づけるわけにもいくまい、鍵を握っているのはあくまで家庭である。啓蒙(けいもう)することしか道はないと思うのだが、それが目標達成の後ろ盾となり得るのかどうか。「計画を策定した」で終わらせてほしくないから、敢えて…。(N)


3月3日(金)

●上告は棄却された。主張が認められなかったが、拍手を送って余りあるのは旭川市の杉尾正明さんの姿勢。身近な健康保険料率に関する行政の取り扱いに異議を唱えた、社会的に意味のある裁判だったが、弁護士も頼まずに続けたというのだから▼「保険料率を告示という形で示す旭川市方式はおかしい」。それは素朴な疑問だった。納得できない。「保険料率を条例で明示していないのは憲法84条(法律で租税額を定める)に反する」。理解を示す弁護士がいない中、訴訟に踏み切ったのは1995年▼一審の旭川地裁は違憲判決を下したが、札幌高裁では逆転敗訴。杉尾さんは最高裁に上告した。民事は法的な論争も大変な上、時間もかかる。当社も先日、公取委に審判資料の全面開示を求めた訴訟に勝訴したが、法手続きもさることながら法律用語は難解で、本当に大変▼関連する民事訴訟もそうだが、弁護士に代理人を依頼していなければ、とてもじゃないが無理と悟っている。法律のプロを相手に、70歳の杉尾さんは一審から一人でやってきたというのだから驚く。図書館に通って裁判所に提出する書面を書くなどしてきたというが▼結果として最高裁では「憲法に反しない」として退けられ、敗訴が確定した。それでも大法廷の審理まで持ちこんで問題を提起したのだから、訴訟を起こした意味は十分。「国民の常識は否定された。でも悔いはない」。判決後に残した言葉が印象的だった。「ご苦労さま」。杉尾さんにかける言葉はほかにない。(H)


3月2日(木)

●あまりにもずさん、あまりにもお粗末、ただただあきれるばかりだった。“堀江メール問題”での民主党、永田寿康議員の釈明記者会見を見た率直な感想。端的に言うと、仲介者の情報とそれにまつわる話を信じただけ、ということなのだから▼恥ずかしさを堪えて正直に語ったとは思う。そうでなければ心証で確信を持ったなどと言えるわけがない。そこに透けて見えたのは目立ちたがり屋の姿だが、いやしくも国会議員という職にありながら、確証は心証で決まると思っているとは。資質が問われても仕方ない▼国会議員の元にはいろいろな人物が接触してくるし、さまざまな情報が寄せられる。本当の話もあれば、疑ってかからなければならない話も、さらにでたらめな話もある。だから、見極める力が必要と言われるわけだが、今回の場合は見極めも、裏づけも欠けていたということ▼なのに…。まだメールの真偽について調査を続けるという。思わず「どうやって」と聞きたくなるが、一方の民主党の対応も野党第一党として情けないの一言。こんな“際もの”を質問前にチェックをすることもなく、一議員の説明をうのみにしていたというのだから▼不確かなまま私人の名を挙げ、傷つけた以上、免責特権に値しないし、責任は自ら判断すべきだった。党に預けた方、預かった党にも問題があり、批判を受けて当然だが、残念なのは、28日の記者会見、党内処分でけじめというか、区切りがつかなかったこと。そうしている間に国会日程だけは過ぎている。(N)


3月1日(水)

●3月の声とともにサクラ便りが身近に聞こえ始める。サクラ前線のスタートは1月中下旬の沖縄で、ゴールは5月中下旬の北海道東部。ほぼ4カ月をかけて日本列島を北上してくるが、開花情報が目白押しになり、サクラ談義が広がるのも間もなく▼既に雑誌などでは特集が始まり、サクラをメーンにした旅行企画も登場し始めている。いわゆる名所と呼ばれるところは臨戦態勢だが、人気の背景にあるのは、日本人が持つサクラ文化。「万葉集」や「古今和歌集」などで詠まれているのは、その一つの証…▼見事なまでに咲き誇る姿、短期間で散る姿が感性を刺激している、という解説もあるが、理由は後付けであり、人それぞれ。ただ、日本人にとって特別な存在であることは確か。その数ある種類、場所の中で、最初に開花するのは沖縄などのカンヒザクラ(寒緋桜)▼ヒカンザクラとも呼ばれ、濃い紅色で、うつむき加減に咲くサクラである。もう一つ早咲きと言えば東伊豆のカワヅザクラ(河津桜)。既にその時期を迎えているが、ピンク色で、1カ月余りかけて満開になる。そして、メジャーなソメイヨシノが北上してくる▼「定年後に車で沖縄から根室までサクラ前線を追いかけたい」。先日、ある会合でこんな夢を語っていた人がいたが、毎年、気を揉むのが開花時期。今年は早いのか、それとも遅れるのか、サクラファンならずとも気になるが、気象庁に先んじて民間の気象会社が開花予想を発表した。函館の五稜郭公園は5月3日という。(H)


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