平成23年10月


10月31日(月)

●CSシリーズ第1ステージは、日ハムがまさかの2連敗で幕を閉じた。厳しい勝負の世界の出来事とはいえ、梨田監督の有終の美を飾ることができなかったのは、選手にとってもファンにとっても残念な結果となった▼ところで今年は震災の影響で開幕が遅れたこともあり、早くもポストシーズンの話題が盛り上がりを見せている。日ハムファンにとっては、ダルビッシュの大リーグ挑戦と、ドラフト1位指名の菅野の入団が最大の関心事だが、横浜ベイスターズの売却問題も忘れてはならない▼単なるよそのチームのごたごたに見えるが、少し前の近鉄売却騒動を思い起こしてほしい。買い手が付かなかったら一気にチーム数を減らし、1リーグ制にしようとする動きが持ち上がったのだ。その窮地を救ったのが、IT企業の楽天だった▼横浜売却先の最有力候補となっているのも、携帯電話を使ったゲームサイト「モバゲー」で知られるディーエヌエー(DeNA)。ソフトバンクを含めたIT業界の球界進出は、もはや時代の流れと言っていいだろう▼ところが、この参入に意義を唱えているのが同業者の楽天というから驚きだ。新進気鋭のライバルの存在に脅威を感じているのだろうが、もしここで交渉が白紙に戻ったら再びリーグ再編問題が浮上しないとも限らない。チーム名が「モバゲー」になっても構わない。一刻も早い事態の収拾を願いたい。(U)


10月30日(日)

●昨年の国勢調査の確定値によると、日本の人口は1億2805万人で5年前の調査より37万人減少、統計を始めて以来、初めてマイナスとなったが、国連の世界人口基金の推計では世界の人口は今月31日に70億人に達する▼5万年前の地球の人口は200万人と推測され、農耕が始まった紀元前8000年ころは500万人、西暦1000年ころは5億人。それが産業革命が始まったころに10億人を超え、13年前には60億と爆発的に伸びた▼世界では今、1日に約21万5000人の赤ちゃんが生まれている。1秒間に約2・5人が増えているわけ。2050年には93億人とも。経済が発展し、生活水準が上向き、医療などが普及、さらに農業生産が多くなったことが増加の要因▼急増しているのはアジアとアフリカ。インドは10年後に14億人になり、中国を追い越しそう。当然、心配されるのは食糧や水不足による争いなど。最貧国では極度の貧困、食糧不足、高い出生・死亡率の悪循環に陥るのは避けられない▼この世界人口白書のテーマを「人口70億人の世界・一人ひとりの可能性」とし、同基金東京事務所は日本でこの日生まれる赤ちゃんに「70億人目の赤ちゃんの一人」であることを証明する認定書を贈るという。地球の津々浦々で「70億人目の赤ちゃん」が生まれる。もちろん、函館でも。助け合って、健やかな成長を祈りたい。(M)


10月29日(土)

●荒れ狂う津波、飲み込まれる街…あの目を覆うような惨状は、昨日(きのう)のことように頭にこびりついて離れない。東日本大震災から半年余り経った。義援金も集まった、ボランティアの支えもあった、それでも簡単に立ち直れる災害ではなかった▼瓦礫の処分場所も決まっていなければ、時間の経過とともに様々な問題が生じてくる。原発事故が追い討ちをかけて、さらに複雑に。被災者や避難者の生活確保、雇用確保に必要な地域経済の立て直しに加え、放射能除染対策や農産物の風評被害対策など▼復旧、復興は緒に就いたにすぎない。住民と接する県や市町村は、国の動きが遅い、と指摘する。実際に被災住民の行動の方が先に行っている感が無きにしも非ず。新たな動きも起こしている。人を呼び込む取り組みもその一つ▼「観光気分で来てほしくない」。強い拒否反応があったが、発想を変えて「現実を見てもらうことも大事」と。旅行会社とタイアップし、ツアーを受け入れ、ガイドする。人が来れば多少なりとも潤い、活力も生まれる。それより何より真の理解の輪が広がる▼修学旅行で訪れる学校が出始めているという。語弊はあるが、児童生徒には生きた社会勉強。報道で概略知っていても、自分の目で確かめ、肌で感じ、直に話を聞くのでは自ずと重みが違う。何かを与えてくれるはず。それは研修旅行、修学旅行の精神とも合致する。(A)


10月28日(金)

●今年は国際森林年。カエデ、ナナカマド、イチョウ、ハナミズキ、カラマツ…。役目を終えて土に返っていく葉っぱたちが「紅葉」という晩秋の舞台を彩っている。日本のテーマ「森を歩く」を実践し、五感が刺激され癒やされる▼国土の7割が樹木で覆われている日本の森林率(国土に対する森林の面積)はフィンランドに次いで世界2位。二酸化炭素を吸収し、防風林、防災林(表層崩壊防止など)、漁場造成、教育やレジャーなどの場として生活に密着している▼最近では原発災害以来、広葉樹林の放射性セシウムの9割が葉っぱ(落ち葉)に蓄積され、地表に浸透したのは約1割だったことが分かり、紅葉から散った落ち葉が放射性物質の除染に効果的と注目されている。福島県の住宅近くでも落ち葉による除染を実施▼輸入材に押されて国産材が低迷、林業は衰退し、森の荒廃が心配される昨今。北海道や長野県などの山奥の森林を買いあさるグローバル資本がかっ歩しており、中には貴重な水源地も含まれている。今月は国産材の普及を促す「木づかい推進月間」でもある▼木のぬくもりたっぷりの「木のおもちゃ」などが多くなった。政府は3割にも満たない木材自給率を5割に高めるというが、木材の加工技術の向上も必要。読書週間には小3の孫に「木のためにも他人のためにも立派に役目を果たした」という『葉っぱのフレディ』を聞かせてやりたい。(M)


10月27日(木)

●人気ロックグループ「GLAY(グレイ)」が、2万人規模の函館コンサートを開きたい意向。「緑の島」のステージ常設に向け、市が検討を開始。どちらの動きも、工藤寿樹市長が市民団体との意見交換で明らかにしたものだ▼懇談の相手は、若手経営者らでつくる函館黒船地域活性化協議会。この団体は今夏、音楽とファッションを融合させた野外フェス「HAKODATE黒船2011」を緑の島で開いた。当日は人気歌手やモデルが次々と登場。会場は約3200人(主催者発表)の来場者で沸いた▼「函館は最近元気がない」と言われるが、一方でそれはパワーを結集するきっかけに恵まれなかっただけという見方もできる。「—黒船2011」を成功に導いた若者たちが、そのことを教えてくれた。同時に、会場となった緑の島が各種イベントの受け皿になり得ることも示唆している▼昨年講演した作家・辻仁成さんは、GLAYをはじめ函館出身のアーティストを集めたロックフェスティバルを函館で開くよう提案した。工藤市長が明かした「2万人コンサート」もしかり、会場はやはり緑の島がふさわしい▼市がステージ整備の検討を始めたことは、関係者にとって朗報だ。まして常設となれば、各種イベントの継続開催にも道が開ける。この場合、市西部地域振興協議会がかねてから提言する「屋根付き」が望ましい。早期の実現に期待したい。(K)


10月26日(水)

●消費税の税率引き上げが、議論のまな板に乗ろうとしている。その一方で滞納がかなりの額になっている現実がある。社会保障などのためとは解るが、それも滞納を整理してからの話。今のままでは税率アップの足かせにもなりかねない▼というのも、消費税はいわば消費者からの預かり金であり、他の税金よりも事業者の納税責任が問われるから。だが、減ってきているとはいえ、滞納額(残高)は依然として高い水準。昨年度で地方消費税と合わせて、ざっと5000億円にもなっている▼もちろん関係官庁が手をこまねいているわけではない。だが、政府全体としての対応はどうかとなると…。先の読売新聞の報道が一端を物語っている。それは総務省が滞納事業者には公共工事の受注を規制する方向で検討に入った、という記事である▼驚くのも当たり前。裏返すと、国は滞納業者に仕事を与えていたということだから。税率引き上げの議論に当たって、さすがにまずいと感じたのだろう。直間比率の是正策として消費税が導入されて20年余。こうした姿勢だったということである▼消費税は高額所得者だけが負担している税ではない。その税率引き上げの影響は、年金生活者はもとより所得に関係なく及ぶ。だから、滞納は許されないし、自ずと滞納者への規制も問われてくる。その約束をどう担保するのか、大事な視点を忘れてはならない。(A)


10月25日(火)

●タイの洪水は、ついに首都バンコクを襲った。これまで北部・中部の工業団地をのみ込み、日系企業400社以上が被害を受けた。自動車や電化製品、食品製造など幅広い。自動車工場は操業再開のめどが立たず、新型カメラの発売を延期した企業もある▼豊富で安い労働力を求め、日本企業が中国をはじめ東南アジア諸国に生産拠点を移す動きが続いている。最近は円高や法人税の高さ、電力不足の懸念から、移転を検討する企業がさらに増えている▼しかし今回の洪水は、生産拠点を集積させることの危険性も示した。生産コストを下げ、シェアを切り開き、国際競争に勝ち抜くことが企業、そしてものづくり大国日本の道だが、生産ラインが停止してしまえば、お手上げだ▼それは国内でも同じ。東日本大震災でも、東北地方で中小・零細の町工場の製造がストップし、2万点の部品ひとつが欠けても完成しない自動車の製造が止まった。水産加工のように、一部で打撃を受けても国内の代替地でカバーできる場合もある。しかし、機械や部品はそう簡単にいかない▼生産が止まれば輸出が止まり、経営不振、ひいては日本経済の悪化を招く。安定した生産体制をどう築き、天災時でも被害を最小限に食い止めるか。難しい課題だ。しかしまずタイの国家的危機に援助の手を差し伸べること。そこから始めていくことこそ、日本の大きな役割ではないのか。(P)


10月24日(月)

●今年売れた人気商品の筆頭は「スマートフォン」(スマホ)だろう。一言でいえば「高機能携帯電話」。デジタル機器が苦手な筆者のようなアナログ人間には、「携帯電話とパソコンの間のような機器」と言った方が、通りがいいかもしれない▼活用法はさまざまだ。仕事のスケジュール管理として、好きなゲームを楽しむ道具として、友人や家族とのコミュニケーションを目的に…。工夫次第で「自分だけの1台を作ることができる」ことが魅力という▼そのスマホが、東日本大震災の安否確認や情報収集に役立った。ツイッター(簡易投稿サイト)で炊き出し場所や救援物資の被災者向け情報が流れ、首都圏の“帰宅難民”も宿泊の解放場所を知ることができた。使い方次第では、今後も防災グッズとしての用途拡大が期待される▼一方、高齢者がスマホを使って生活の幅を広げているケースも。三重県玉城町では、高齢者にスマホを支給し、町が運営する乗り合いバスの予約が簡単にできるようにした。また、24時間緊急通報の機能を付け、お年寄りや家族に喜ばれているという▼同町の取り組みは複数の新聞・テレビが取り上げ、行政の福祉担当者などが強い関心を示す。高齢化が加速する道南の市町も、福祉向上の一手法として参考にしてはどうか。国の交付金を活用する手もある。何より同町のように、お年寄りが笑顔でスマホを自在に操る姿を見てみたい。(K)


10月23日(日)

●「見上げてごらん夜の星〜」 高齢ドライバーにとって、GPS衛星の電波を利用したカーナビは本当に便利。慣れてくると音声ガイドで夜もスイスイ。今年は、その古くなった人工衛星が流星となって落下する事故が相次ぐ▼旧ソ連が世界初の人工衛星を打ち上げてから50年。各国が打ち上げた衛星は6000個以上、役割を終えても軌道を回り続けている。新たな衛星の妨げになるため、国際的ルールで比較的地球に近い衛星(高度1000キロ程度)は落とすことになっている▼大半の衛星は大気圏内に突入して燃え尽きるが、大きな衛星の破片は地表に落下。先月下旬、NASAの上層大気観測衛星が米国の太平洋北部に加熱に堪えた最大140キロの破片が落下。幸い人には当たらなかった▼次いで22日から24日の間に大気圏に突入するのはドイツのエックス線天文観測衛星(重さ2・4トン)。観測望遠鏡でブラックホールのデータを収集し、役割を終えた耐久性に強い望遠鏡などは燃え尽きず、最大30個の部品が地表に落ちてくる。人に当たる確率は2000分の1とか▼落下が予想される衛星はまだ3000個以上もあり、地球を取り巻く宇宙は衛星の墓場。そうでなくても、先ほど、石川県で航空自衛隊の戦闘機から重さ155キロの燃料タンクが落下する事故もあった。幸い人に当たらなかったが、天から何が落ちてくるか分からないご時世。「上を向いて歩こう〜」か。(M)


10月22日(土)

●民主党の参院議員が議員特権の航空クーポンを過大請求していた問題が表面化した。案の定、指摘された二人は、故意はなかった、手続きのミスなどと釈明しているようだが、正直言って、またか、という思い。あまりにせこ過ぎて▼選挙制度に問題があるのか、知名度だけで当選する議員がいる。数こそ力、とばかり員数合わせに擁立する政党も政党なら、投票する有権者も有権者となるが、問題となったうちの一人も然り。以前にも見識を疑われる行動歴があるのだから、何をか言わんや▼1票の格差解消で、衆院で選挙制度見直しの議論が始まっている。どうせまとまらないだろう、と冷めた目で見られているが、こんな議員がいると、削減議論の再燃を促しているよう。事業仕分けよろしく100人削減などと切れ味鋭くできたら、拍手喝采に違いない▼なにせ国会議員の歳費は、文書通信費などを含め年間約3000万円弱。公務員待遇の公設、政策秘書給与も加えると軽く4000万円を超えて、JRや航空クーポンなどの特権も。さらに、こんな議員も政党交付金の計算対象になっている▼ただ、定数を決めるのは議員であり、抜本的な見直しなど期待薄。それは過去が物語っているが、せめて見識が疑われるような議員を誕生させない制度だけでも。立候補者に資格試験を課すとか、政党に責任を義務づけるとか…妙案はないものだろうか。(A)


10月21日(金)

●千歳市と聞いて多くの人が思い浮かべるのは、新千歳空港だろう。装いを新たにした同空港は、空路の要衝としての役割だけでなく、多彩なショップやレストランなど、一つの「街」としても旅行者に親しまれている▼一方で、「千歳は単なる旅の通過点になっていないか」といった思いが地元関係者に付きまとう。陸路も同様に、札幌に行く途中の“通過点”という立場に悩まされてきた。例えば道南から高速道路を利用した場合、どれだけの数の車が千歳に立ち寄るか。車の流れを見る限り、空港利用以外の観光・買い物客がそれほど多いとは思えない▼その千歳観光の関係者が立ち上がった。ホテルやショッピングセンター、ゴルフ場などの民間施設を中心に構成する「千歳の観光を考える会」が、プロモーションのための訪問団を道南に派遣し、函館の旅行代理店などを回った▼道央自動車道の延伸を視野に、道内観光客の掘り起こしを狙う。これに先立ち、道東自動車道の札幌・帯広間全線開通に合わせた道東プロモーションも終えている▼「待つだけでは千歳に来てもらえない」という危機感から生じた攻めの姿勢は、各地の観光関係者の手本だ。高速道の整備は札幌圏に客を吸い取られる“ストロー現象”の危険とも背中合わせであり、札幌の一人勝ちは道内観光の均衡をも崩す。本道全体の発展を考える時、各地の共存共栄がやはり望ましい。(K)


10月20日(木)

●ヒマワリ、向日葵…。幸せな夫婦が戦争に翻弄される悲劇と不条理を描いた映画「ひまわり」に映る旧ソ連の広大なヒマワリ畑。別離のシーンで「ヒマワリは貴女を照らす太陽のような存在」と激励し、慰めていた…▼ヒマワリの効用。食べて栄養があるほか、花に放射性セシウムの高い吸収力があるといわれてきた。福島の原発事故以来、ヒマワリの種を福島に贈る運動が広がり、一時帰宅の際、庭に種をまいた避難者もいた。チェルノブイリの汚染域でも植えられ実証済みという▼ところが、農水省が原発に近い農地で行っていた放射性物質を吸収する実証実験で、土壌に含まれるセシウムの2000分の1しか吸収しなかった。深く張った根は地表近くの汚染物質を吸い取れず、判定は「ほぼ効果なし。実用化は困難」だった▼表土を4㌢まで削るとセシウムの75%が取り除かれ、除染は「表土の除去」が大事という。また、森林のセシウムの7割が木の葉と落ち葉に付着しており、枯れ葉・落ち葉を取り除けば放射線量を2〜5割低減できる可能性もあるようだ▼買い物に出かけるにも放射線量測定器を持ち歩く母親たち。汚染除去をワラにもすがる思い。ヒマワリのあと、菜の花、枯れ葉、落ち葉も肩すかしにならないよう願いたい。花が咲かない前に残念な結果が出てしまったけれど、映画の「貴女を照らす太陽です」と波打つヒマワリ畑が脳裏を離れない。(M)


10月19日(水)

●国民の不満が渦巻いているのはどこの国も一緒。ギリシャに目が行っている間に、アメリカでは格差解消を訴えるデモが輪を広げ、賛同の輪は各国に。背景にあるのは金融不安であり、雇用の悪化などだが、わが国とて例外でない▼増税による負担、年金のさらなる見直しは、まさに二重苦。とりわけ年金不安は深刻だが、追い打ちをかけるように支給開始年齢の引き上げ方針である。この時期に、しかも具体的な案まで示して…。拙速な話でないと弁明する裏で、既成事実化したいとする意図がありあり▼その証拠に対策として欠かせない、いわば表裏一体のはずの雇用には何ら触れていない。百歩譲って、働く場を確保するから定年後、支給開始までの生活を考えてほしいというならまだしも。あるのは単にどう運用維持するかという帳尻合わせの計算だけ▼65歳への移行でさえ不履行で訴えられておかしくない契約違反。就労者人口の見通しなどを踏まえた設計だったはずなのに、狂ったから後始末はよろしく、とは何ともお気軽。さらに68歳という。そこに謝罪もなければ、納得させ得る説明もないとしたら▼これで大丈夫という保証もない。これでは若い世代が、自分の受給まで持つのか、と疑心暗鬼になるのも当然。納付をやめるか、デモでもして意思表示するか、という気持ちにもなろう。おとなしい国民性を軽く見ているとしか思えない。(A)


10月18日(火)

●昨年6月、日本の探査機「はやぶさ」が世界で初めて小惑星の表面のサンプルを採取し、無事に地球に帰還したニュースが大きく報じられた。筆者はこれまで「日本が世界に先駆けすごいことを成し遂げたらしい」と漠然とした理解しかしていなかった▼今月封切りとなった映画「はやぶさ/HAYABUSA」を見て、日本人がいかに偉大なプロジェクトを成し遂げたか、あらためて驚かされた。それ以上にこのニュースを表面的にしか見ていなかった自分の浅はかさに恥ずかしくなった▼はやぶさの特筆される偉業は、史上初めて地球外惑星のサンプルを持ち帰ったこと。しかし、それ以上に感動的なのが、度重なるトラブルにより何度もミッション中止の危機に見舞われながら、地球からのスタッフによる懸命なサポートで、奇跡的に所期の目的を達成したことにある▼これまで日本の宇宙計画が失敗したニュースを耳にするたび「また莫大な費用を無駄にして」と非難していた。しかし、彼らが極めてリスクの高いプロジェクトを、切り詰められた予算でやりくりしている現実を知り、申し訳ない気持ちになった▼ところで、この作品を含め、来年にかけて「はやぶさ」をテーマにした映画が3本製作されるそうだ。どれを選択するかは個人の判断だが、小さなはやぶさによる手に汗にぎる大冒険を、ぜひスクリーンで体感してみてはいかがだろう。(U)


10月17日(月)

●もしタイムマシンで70年前に戻れたとしたら、2歳のころ、本堂の屋根から落下した雪の下敷きになり、苦しんでいる自分を助けてくれた命の恩人に「ありがとうございました」とお礼を言いたい…▼よく星の光は何億光年の昔に放たれたもので「この世で光より速いものはない」と教わった。花火がパーッと咲いてから「ドン」と音が聞こえるように…。しかし、日本の科学者らは「ニュートリノの光速超えを確認した」と発表した▼ニュートリノは物質の最小単位である素粒子の一種。これをスイスの加速器から飛ばしてイタリアの検出器に届く時間を測ったところ、1億分の6秒速かった。何度繰り返しても同じだったという。アインシュタインの特殊相対性理論を覆した…▼宇宙の果てまで光より早く飛んで行って振り返ると、遅れてやってきた光には宇宙の果てに着く前の自分の姿が映って、自分の過去に出会える…。「ゆうべ、どこにいたの」「そんな昔のことは覚えていない」という映画「カサブランカ」の名セリフは成りたたないかも▼さらなる検証が不可欠というが、「過去に戻って、10歳から人生をやり直したい」「あの時、こうしていたら」と空想は広がる。さしあたり、大震災(3月11日)に戻れたら、「もっと早く高台に逃げて!」「すぐ原発を冷却して!」と叫びたい。そして光を先回りして「放射性物質汚染の収束」も見極めたいものだ。(M)


10月16日(日)

●「やらせ」の用語はもともと、テレビ・新聞など限られた業界で使われていた。要はうその報道をすることだが、今では広く一般社会の中でも耳にするようになった。「偽装」の意味合いが強いこの用語には、常に陰湿なイメージが付きまとう▼電力会社によるやらせ問題が泥沼化している。北海道電力は泊原子力発電所のプルサーマル計画、九州電力は玄海原子力発電所の再稼働をめぐり、それぞれ推進のための「偽装工作」を施した。自国のエネルギー政策の行方をも左右する案件だけに、やらせに手を染めた罪は重い▼背景には電力会社側のおごりがある。会社の利益にかなうよう、計画への賛成意見を誘導する。こんな行為が発覚しないはずはないが、実際には震災に伴う原発事故があって初めてやらせが表面化。場合によっては、うそで塗り固められた原発推進計画が今も進行していた。そのことを思うと空恐ろしい▼一方で、北電のやらせ問題に道が関与していた可能性も出てきた。第三者委員会のこの指摘に対し、道側は真っ向から反論。真相は一つであり、今後の展開次第ではさらなる混迷も予想される▼北電、九電による一連の行いでは、コンプライアンス(法令順守)の意識の低さが指摘されている。人命にかかわる原発問題で企業としての必須条件がなおざりにされたことの意味は大きい。まずは問題の全容解明を。信頼回復はそれからだ。(K)


10月15日(土)

●相剋(そうこく)とは「両者が互いに勝とうとして相争うこと」(広辞苑)。熊谷達也の小説「相剋の森」は、里に下りてきたクマと、待ち受ける人間とのせめぎ合いを描いた秀作だ。双方による共存の可能性、自然との共生というテーマに沿って物語は進行する▼捕獲したクマを「有害駆除」の名目で射殺する行政関係者の葛藤。発信機を取り付けたクマを山に戻す活動をしているNPO法人。許可なくクマを狩猟の対象にできなくなった“マタギ”の子孫たち。文明がもたらした厳しい現実社会の実態を読者に突き付ける▼札幌市内でクマの出没情報が相次いでいる。中には、住人が多く利用する公園での目撃も。市街地にこれほど多く出没する年は珍しいという。関係機関は電気柵の設置やイベントの中止といった、慣れない対策に追われている▼江差町でも9日、江差高校正門付近でクマが目撃された。警察がパトロールを強化する一方、親が生徒を送り迎えするなど、緊張が走っている。道内で多発するクマ出没は、山中の餌不足が主因との見方が強い▼人間の出すごみがクマをおびき寄せることもある。人とクマの生息域が重なり合う桧山南部では、特に十分な注意が必要。クマにとっても争うことが本望とは思えない。「相剋の森」は誰も求めない自然の一形態である。自衛の方法を学びそれを実践する。できれば地域を挙げた取り組みにしたい。(K)


10月14日(金)

●お隣の青森県で来年3月、ローカル線が消える。函館・道南でも乗ったことのある人がいよう、その鉄道は十和田市と三沢市の間14・7㌔を結ぶ十和田観光電鉄。経営難に加え、将来への展望も立たないとして廃止が決まった▼地方の鉄路の厳しい経営環境はどこも同じ。道路の整備が進み、車が普及したこと、さらに少子高齢化が理由として挙げられるが、その裏に潜んでいるのが速さを求める時代背景。鉄路で新幹線、特急が生き残るように[速さ=採算]の追求は、身の周りの至るところで▼しかも常に追われ、加速するばかり。それに付いていかないことには取り残されてしまう。否応なしに。情報通信の分野ならもっと解りやすい。パソコンや携帯電話が一般的になって20年足らず。この短い間に、これもあれも、というほど新しい機能が▼それだけでも驚きなのに、さらに進化して今やスマートフォン時代。世の中の動きがそれほどに速く、激しいということだが、掛けるブレーキはあってないが如し。グローバル化した国際社会がそれを許してはくれない。速さこそ、生き残るための鍵の一つだから▼逆に言うと、遅いものは切り捨てられ、置いていかれる、ということでもある。業種を問わず、いつの時代にもあった原理だが、厳しさを増し続けることだけは確か。「ちょっと待ってよ」「ついていけないよ」。そんなつぶやきも虚しく響く時代と思うほかない。(A)


10月13日(木)

●「日本人は他人の痛みを忘れやすい」。こんな指摘も、あながち的外れとは言えないようだ。東日本大震災から7カ月しかたたないのに、被災者の心の傷に塩をすり込むような言動が相次いでいる▼大分県議が、地域イベントの「絶叫大会」で「セシウム牛は要りません」と声を張り上げた。社会人ラグビーの試合中、被災地・釜石市を拠点とするチームの選手に、相手チームの選手の一人が「お前ら、震災で頭おかしくなったんちゃうか」と暴言を吐いた▼いずれのケースも、言う必要のないことを口にして物議をかもした。いまだ癒えない被災者の痛みを忘れている証拠である。発言する側も震災発生当初はこうではなかったはず。せめてそう信じたい▼「被災者の中には『震災や自分たちのことが忘れ去られてしまうのでは』という心配がある」。震災取材に当たったNHK記者の中嶋太一さん(東京)は、函館で開かれた講演会で語った。今は被災当時の映像に写っている人を訪ね歩き、「なぜ生き残ることができたのか」という質問を繰り返し記録する毎日という▼薄れることのない記憶もある。米ニューヨーク市民の97%が、2001年9月に米同時テロが起きた際にどこで何をしていたか覚えていることが、世論調査の結果で分かった。震災から10年後の日本人なら、同じ問いかけにどう答えるだろう。復興の原点は「忘れないこと」。これに尽きる。(K)


10月12日(水)

●チュニジアの独裁政権を倒した革命は「アラブの春」と呼ばれ、この春を待つ中東のイエメンの人権活動家のタワックル・カルマンさん、リベリアのエレン・サーリーフさん、リーマ・ボウイーさんの3人が今年のノーベル平和賞に選ばれた▼3人の受賞理由として「女性の安全と平和構築に全面的に参加する権利を獲得するための非暴力の闘い」を挙げている。カルマンさんはイスラム教徒のジャーナリストで、「アラブの春以前から反体制運動で指導的な役割を果たした」と評価された▼サーリーフさんはアフリカで民主的に選ばれた初の女性大統領で和平の確保、女性の地位向上に貢献。ボウイーさんは内戦を集結させるために女性を動かし、選挙への参加を進めた。女性のノーベル平和賞はケニアのマータイさん以来7年ぶり▼かたや、ユーモアあふれる米国のイグ・ノーベル賞はワサビを使った奇想天外な警報器発明の日本人に輝いた。火災を感知するとワサビから抽出した強烈な臭いが鼻を刺激し「火事だ」と叫ぶ声に気づかない耳の不自由な人に大いに役立つ▼と思えば、民主活動家へのノーベル平和賞に対抗して創設した中国の孔子世界平和賞の活動が停止した。ネット上では「(中国は)ノーベル賞を取る自信がないから」と皮肉っている。今年の3女性の受賞は「真に女性の権利が重んじられているのか」をも問うているのかも知れない。(M)


10月10日(月)

●「健康」は「増税」「新税」のキーワード? そんな思いを抱かせる動きが海外から伝わってきている。医療費の問題も踏まえ「国民の健康を心配していますよ」というのが名目だが、その裏にあるのは、しっかりと目論んだ税対策▼いわゆる健康増税の皮切りと言えば、たばこ。肺がんのリスクなどが叫ばれ、禁煙の誘導策として大義名分が成り立つ、最も理解の得やすいターゲットだった。わが国も然り。昨年10月、1本につき3・5円アップされ、さらに今、復興増税の候補にも▼財政危機はギリシャだけの話でない。各国とも大なり小なり不安を抱えている。何とか税収を増やさなければならない。かと言って、生活に直接影響する所得などの増税は国民の反発を招く。説得しやすく、税収増に結びつく道は…あった、冗談のような話が現実に▼誰しも健康でいたい、長生きをしたい。だが、体に悪いと解りながらも摂り過ぎる。その抑制策こそ道だった。話題となったが、ハンガリーが着目したのは何と塩分などの多い食品。国民健康推進税という名の「ポテトチップス税」。デンマークも続いた▼バターなど飽和脂肪酸を一定以上含む食品を対象にした「脂肪税」である。いずれも摂取過多は良くないとされる食べ物だが、それにしても大胆というか。今後、どこの国からどんな新税、増税が飛び出すやら。わが国ではあり得ない、とする保証はどこにもない。(A)


10月9日(日)

●東北へ帰省した折、近くの郊外型ショッピングセンター(SC)を訪れた。この地方では15年ほどの間にSCや大型スーパーが続々とオープンし、個人商店や既存スーパーは閉店に追い込まれた▼SCの魅力は、利便性と娯楽性だろう。建物内にまるで商店街ひとつが入り、ゲームセンターや映画館までそろえる。車で乗り付け、天気を気にせず、安くて品ぞろえが充実した商品を選べる▼そうした施設を望む声をよく聞く。函館は家族連れで一日楽しめる所がないから欲しいという声だ。もし、函館や近郊にSCや集客施設ができれば、歓迎する市民も多いだろう。ただ、人口減の中で商業地や市街地を拡大させてよいかという声も必ず出てくる▼現に函館でもSCの出店計画が長くうわさされている。期待するのは消費者だけでない。土地は売れる、整地や上下水道工事などがある、雇用も生まれる…。しかし、既存商店街に与える影響を考え、函館市はこれまで、基本的に出店の自粛を求めてきた。国も、新規の大型店立地を規制する改正法を施行した▼店が増えても、消費の一升ますは変わらぬどころか減っている。景気が劇的に回復する見込みも薄い。古里では、SCで便利になっても、お年寄りが歩いて行けるスーパーがなくなっていた。地域や圏域全体にメリットのある商業政策が問われている。まちづくりの機軸をどこに置くか。難しい問題だ。(P)


10月8日(土)

●「代行業」と一口にいっても、その中身は千差万別だ。まず思い浮かぶのは運転代行。世の左党にとって、これはなかなか便利なサービスだ。家事代行、電話代行、輸入代行…。調べてみると、次々と出てきて切りがない▼中には墓参り代行、宝くじ購入代行といった変わり種も。前者の代行業はお盆などに墓掃除を引き受け、先祖の霊に手も合わせてくれるという。「他人に任せるなんて」とまゆをひそめる向きもあろうが、帰省が難しい人や病気で動けない人などにとって、このサービスはありがたい▼一方の宝くじ購入代行は、高額当選を出している全国の人気売り場の宝くじを、本人に代わって買ってくれる。果たして商売として成り立っているのかはともかく、その存在は代行業の百花繚乱ぶりを示す一つの証左ではある▼函館市内のNPO法人「日本障害者・高齢者生活支援機構」が11月から、買い物代行事業を試行する。自分で出掛けることが難しい障害者や高齢者を対象に、中島廉売の活性化を兼ねて取り組む。中島町周辺に住むお年寄りなどに、同廉売の商品を届けるという▼大手スーパーなどによる商品の宅配サービスが盛況だ。これはこれで便利だが、福祉の観点で一地域に特化した活動を模索する同NPO法人の存在もまた、住民の強い味方になり得る。買い物を通じて生活弱者を地域で見守る。そんな効果が生まれれば、なおいい。(K)


10月7日(金)

●家庭、事業所にかかわらず「ごみ」が社会問題となって久しい。それは環境問題の提起とともに、生活など社会サイクルの見直しの提言でもある。その意識の広がりは確実だが、満足のレベルかと言うと、まだまだ始まったばかりの域▼少なくても20年ほど前は分別もなく、ごみは雑多に捨て放題だった。このままでは…増え続け、いずれ処理機能が追いつかなくなるという現実に直面し、環境汚染も懸念される事態に。分別と有料化は処理対策と同時に、減量をうながす意識改革でもあった▼有料化は一般的になり、年間300億枚といわれたレジ袋は大幅な減少へと向かい、家電の処理もルールが設けられるまでに。それらに繋がる精神こそ、よく言われる「3R」。リデュース(減らす)、リユース(繰り返し使う)、リサイクル(再び利用する)▼「ものを大事に」。この“R運動”に共通している精神だが、もっと突き詰めて言うなら、それは循環型社会を目指すに当たって誰もが出来る、取り組むべき原点。最近はリフューズ(要らないと断る)を加え4R、さらにリペアー(修理して使う)を加えて5Rという呼びかけも▼大量生産—大量消費と言われた時代があった。確かに経済を押し上げはしたが、一方で無駄な消費を助長もした。その反省をどう生かしていくかは引き続きの課題。ごみ問題は環境改善と同時に生活改善…10月は「3R推進月間」である。(A)


10月6日(木)

●冬の強風は体にこたえる。桧山管内などでは、最も寒い2月に吹きつける季節風を「たば風」と呼ぶ。地を這う雪交じりの寒風が体に当たって舞い上がる。初めて洗礼を受けた時は大自然のパワーに圧倒された▼上ノ国、江差、せたなの各町は、この風を地域資源として生かしている。先進性が他地域からも注目される「風力発電」がそれだ。江差町は、風を利用した北前船交易により商業のまちとして繁栄した。「風のまちづくり」は、このまち、この地域の“お家芸”でもある▼北海道電力は風力発電の導入拡大に向けた実証試験として、風力からの電力購入枠を大幅に拡大する。桧山3町が6発電所で52基の風車を稼働させている道南でも、新規立地への機運が高まっている▼厄介者だった強風が歓迎される背景には、再生可能エネルギー特別措置法の成立がある。風力や太陽光、地熱などによる電気の買い取り制度は、もともと温暖化防止が目的だった。今は震災に伴う原発事故で、代替エネルギーの普及が急務とされる。全国で新規参入が予想される中、総出力5万6000キロワット超という桧山の実績は、大きな強みだ▼数十基の大型風車が建ち並ぶ風景は、全国的にも珍しいという。桧山の住民は見慣れていても、遠方からの観光客らの目には壮観と映る。電気の売却益に加え、観光・教育面の活用にも期待が広がる。まさに「追い風」である。(K)


10月5日(水)

●裁判批判はいつの時代にもある。神様ではない、人が人を裁く、故に誤認もゼロではない。三審制度がある理由もそこにあるが、どんなに整えたところで批判が止むことはない。認められた側は是とする一方、逆の側が抱くのは常に不満だから▼裁判は証拠が第一だが、裁判官にどう説明し、どう納得させるかも鍵を握る。解ってもらえずに、いい結果が得られないのは裁判に限ったことではない。頭では理解していても、当事者の気持ちは判決しだい。思い通りの結果が得られなければ批判を口にしたくもなる▼そこには感情も混じるが、もし期待した結果が得られたら、誰しも判断を評価するに違いない。立場代われば、にもつながる当事者の心情だが、第三者となると話は別。ともすると底の浅い裁判批判となりかねず、立場がある人ほど慎重な発言が求められる▼先月末、現職の国会議員が政治資金規正法違反で有罪判決を受けた。関連する裁判を控えていることもあって、その際の一部議員による不当判決発言も然り。裁判はそれほどに人間模様を映し出す、ということでもあるが、少なくとも冷静ではなかった。▼日本の裁判制度は諸外国から高く評価されている。一昨年の5月には懸案だった裁判員制度もスタートし、法律の世界は身近な存在になりつつある。今週は「法の日(10月1日)週間」。1960年に制定されて50年余、裁判の数も増えている。(A)


10月4日(火)

●子供のころ、ご飯ひと粒こぼしても祖母から「もったいない」と怒られた。日本人が1年間に捨てる食べ物は東京ドーム80杯分、世界の7000万人が食べていける量。もったいない、MOTTAINAI▼死語になりかけていた「もったいない」は漢字では「勿体無い」で「物の本体を失う」を表し、今は「過分でありがたい」とか「無駄になるのが惜しい」などの意味で使われており、この「もったいない」を世界に広げていたのがケニアのワンガリ・マータイさん▼6年前、毎日新聞の編集幹部との対談で「もったいない」という日本語を知って、自然や物に対する日本人の敬意の念に共感。国連の場で「MOTTAINAI」の精神を紹介し、アフリカ人女性で初のノーベル平和賞を受賞▼「緑を取り戻し、緑に生きる」というグリーンベルト運動を定着させた。木を伐採し、砂漠化が進んだアフリカなどの大地での植樹は4000万本超。ケニアの小中学校では授業で「MOTTAINAI」精神を積極的に取り入れている。風呂敷(ブラジル)やマイ箸(米国)キャンペーンも▼ハゲ山が森に再生。広島の平和記念公園にも桜を植えた。「もったいない」という日本人が失いかけていた美徳がマータイさんによって蘇った。自然を傷めたり、食べ物を粗末にすると、天国からマータイさんが「MOTTAINAIね。食べ物のお化けが出てくるよ」と呼びかける。(M)


10月3日(月)

●開幕から快調に勝利を重ね、3年ぶりのリーグ優勝に向けソフトバンクとデッドヒートを繰り広げてきたファイターズ。ところが9月に入るとまさかの大失速。ソフトバンクに優勝を許すだけでなく、クライマッスクスシリーズ出場さえも危ぶまれる状況に追い込まれてしまっている▼一方、対照的に予想外の快進撃を続けているのがJ2のコンサドーレ札幌。暫定ながらも一時は首位に立ち、現在も上位に留まってライバルチームと熾烈なJ1昇格争いを繰り広げている▼コンサドーレが道内初のプロサッカーチームとして誕生したのが1996年。2000年には元日本代表監督の岡田武史氏に率いられ、J2を31勝4敗5分の驚異的成績で優勝するなど、道民の希望の星として厚い支持を得ていた▼しかし、J1とJ2の出戻りを繰り返すうちに、新たに誕生した日本ハムファイターズにあっという間にファンを奪われてしまう。聖地と呼ばれた厚別公園陸上競技場の入場者数も減り続け、経営的にも厳しい状況が続いている▼このような逆境の中、2009年に就任した石崎信弘監督のチーム作りがようやく成果を見せ始め、4年ぶりのJ1復帰が現実味を帯びてきた。「今はファイターズを心配するだけで精一杯」という人も多いとは思うが、北海道のプロ球団のパイオニアの頑張りにも目を向け、両球団がそろって結果を残せるように応援しようではないか。(U)


10月2日(日)

●「自転車も 車と同じ 凶器だよ」「ブレーキを かけずにくだるな! 八幡坂」。函館西交通安全協会主催の交通安全標語コンクールで審査員を務めた。前者(中学生)は自転車事故の怖さ、後者(高校生)は地域性を表現した秀作だ▼ブレーキの付いていない競技用自転車「ピストバイク」(ピスト)で公道を走り、摘発されるケースが相次いでいる。人気お笑いコンビの一人も同種の自転車で交通切符を切られた。これまでも首都圏などで社会問題化していたが、今回の一件でピストの認知度は一気に上がった▼標語のように、中学生が乗るような“ママチャリ”でさえ「凶器」になる。全国的には昨年、ピストによる歩行者の死亡事故が起きている。当然だろう。それこそ、急坂をブレーキなしで下ることに等しい無謀な行為である▼本紙1日付の関係記事を見て驚いた。函館市内の愛好家の間でピストブームが訪れたのは2年前で、その人気は今、ひと段落しているという。目立った大きな事故がなかったことは幸いだが、安心は禁物。ピストへの注目が高まっている今、ブームの再燃を警戒したい▼一方で、自動車運転手や歩行者の立場から、自転車の動きに注意することも大切だ。駐車場などから自動車で車道に出る際、歩道を走る自転車と衝突しそうになることがある。「思いやり お互い命を 守り合おう」(中学生)。交通安全の基本はこれに尽きる。(K)


10月1日(土)

●一読後の率直な感想は「なるほど、この手が残っていたか」。本紙9月30日付の記事で、見出しは「旅で健康『一石二鳥』」。全国的に定着の兆しをみせる「ヘルスツーリズム」の可能性を探る内容だった▼ここで言う「ヘルス—」は、健康回復・維持・増進につながる観光を指す。東京の関係団体が、その実践地として函館市に白羽の矢を立てた。視察に訪れた代表者16人が体験したのは、西部地区を散策する「まちあるき」。確かに健康に良さそうである▼同地区には情緒のある歴史的建造物が点在し、周辺の景色を一望できる坂道も多い。散策にはうってつけだが、一方で観光客からは「一回りすると疲れてヘトヘト」とため息も聞こえる。函館の「ヘルス—」はこの「疲れ」を逆手に取ったもので、ここではむしろ「ヘトヘト」が歓迎される▼観光と各種療法、医療行為を組み合わせた「メディカルツーリズム」もまた、広義の意味で「ヘルス—」に含まれる。十勝管内上士幌町による花粉症患者の受け入れや、帯広市の総合病院が温泉宿泊付きで売り出したがんの「PET検診」ツアーが、本州方面から人気という▼健康・医療は今後の商機を期待できる数少ない分野だ。観光客の入り込みが頭打ちの中で、次の一手として「ヘルス—」「メディカル—」を模索する。地元関係者によるその積極性を買いたい。食や温泉など、健康と結びつく観光資源はまだ多い。(K)