平成24年5月


5月31日(木)

●ガゴメコンブが商品価値を上げている。となれば、大事にしなければならない鍵がある。それは売らんがための商売…粗悪品や模造品の排除であり、どう価値を高めながら販路を拡大していくかの取り組み。その動きが始まろうとしている▼函館がごめ連合(37社)が打ち出した認証シールの発行がそれ。認証名は「箱館がごめ」で、デザインもいい。連合が申請を受け、10項目の独自基準をクリアした商品に添付が許可される。「間違いのない商品の証し」としての、いわば証明書である▼特産物を生み出す、というか、育てるのは容易なことではない。それはかつての一村一品運動が物語っているが、ポイントは二つ。一つは品質価値を高める継続的努力であり、もう一つは「ここだけ」という希少価値の維持。道内にも参考事例がある▼ブランド力で知られるのは夕張メロン。ともかく質にこだわり、合格品しか出荷させない姿勢で今日を築いた。希少価値では手に入りにくいと言われた発売当初の十勝ワイン。そして今、全国各地でさまざまな取り組みが行われている▼和歌山県の有田市が導入した「有田みかん」の原産地呼称管理制度も一例。ガゴメコンブは函館の特産物であり、開発商品数は約150とも。それだけに野放しにしてはおけない。「打つ手は早いうちに」。認証シールが告げているのは、対策の始まりにほかならない。(A)


5月30日(水)

●特別養護老人ホームなどへの入居待機者が、函館市でも減らない。昨年の調査では2263人に上るという。家族で面倒を見れればいいが、共働きや老老介護などで世話しきれない。だから施設で見てほしいという願いは切実だ▼国の政策の大きな流れは、施設介護から在宅介護へと向かっている。住み慣れた地域の施設への通所や泊まり、自宅へのヘルパー派遣、巡回見守りなどさまざまな形態のサービスで、お年寄りを支えていこうという考えだ▼一方で、24時間体制の施設介護のニーズも根強い。比較的低料金で入居できる特養は特に人気で、順番待ちが長く続く。だが、施設整備には膨大な建設費が必要で、介護保険財政への負担増も避けられない。毎年1兆円の規模で膨れ上がっている社会保障費の抑制が必要で、なるべく在宅介護でという考えはそこにある▼しかしまずは、介護を必要としない体づくりが必要ではないか。超高齢化社会の中で、団塊世代が65歳以上に突入する。多くの人たちが健康を維持すれば、高齢者が増えても医療費や介護給付費の上昇カーブを抑えることができる▼日本は先進国の中でも寝たきりが多い。これを防ぐには運動や生活習慣の見直しに加え、栄養の知識などが必要。官民でもっと高齢者の体作りに力を入れてはどうか。自ら不摂生し、あとは面倒をみてくれ、ではお金がいくらあっても足りない。(P)


5月29日(火)

●「酒は飲め飲め、飲むならば〜」 黒田藩ゆかりの福岡に伝わる「黒田節」。藩主らから「大盃に注がれた酒を飲み干せば何でも与える」と言われた武士が飲み干して、豊臣秀吉の名槍「日本号」を手に入れた。先日に続き飲酒の話▼「黒田武士は酒に弱い」などと挑発されて、何杯も“一気飲み”したのだろうか。それから400年後、福岡市長が「街で酒を飲むな。飲むなら家で」と全職員に禁酒令を出した。酒を飲んだ市職員が市民を殴って逮捕されるなど不祥事が続出したからだ▼大正末期に石川県の村で、村民をあげて5年間も禁酒を断行した。子供たちのために酒代を貯めて小学校の建設費を捻出したという。こんな禁酒令なら大歓迎。好きな酒でも飲み過ぎは「心の健康」まで損なってしまう。市職員の不祥事に対する禁酒令のお灸は当然▼かたや小樽商科大の飲酒問題。合宿中のアメフト部員がバーベーキューをしながら飲酒。解散後も一部の部員が飲み続け、9人が急性アルコール中毒になり、男性学生が死亡した。一気飲みを繰り返したのだろうか▼「酒は飲め飲め、楽しく」。今回の禁酒令に期待や皮肉が寄せられているというが、酒を飲んで市民を殴っても、学生が一気飲みをしても、ご褒美の「名槍」はもらえない。小欄も恥ずかしながら禁酒や断酒の誓いを何度破ったことか。解禁後は気を引き締め「黒田節」を舞いたいものだ。(M)


5月28日(月)

●函館市内で「振り込め詐欺」の被害が相次いだ。19日には60歳の女性が200万円、21から22日にかけて63歳の男性が180万円をだまし取られた。いずれも息子をかたる犯人から電話があり、指示されるままに貴重な蓄えを振り込んでしまった▼親子の情につけ込む「振り込め詐欺」には、単なる詐欺以上に底意地の悪さや冷酷さを感じる。自分の親のような年代の人たちから金を巻き上げる犯人に罪悪感はないのだろうか。老後の生活資金を奪い取られた被害者の悲嘆、怒りを思うと、この犯罪の悪質性に背筋が寒くなる▼警察庁のホームページ(HP)には、「振り込め詐欺」の事例や見極め方などが詳しく掲載されている。なかでも目を引いたのは「自分は絶対大丈夫と思っている人ほどだまされやすい」「電話の声だけで見破るのは困難」という指摘。「あすはわが身」を肝に銘じる必要がある▼「電話番号が変わった」と言われたら、まず詐欺を疑うこと。その後に「金を振り込め」が加わったら、可能性は極めて濃厚だ。警察庁のHPでは予兆電話があった場合の110番通報を呼び掛けている。名付けて「だまされたふり作戦」▼「振り込め詐欺」が続いているのは、いまだに被害者が後を絶たないからだ。だまされない賢さを持つことと同時に、「だまされたふり作戦」も大事だ。予兆電話を放置すると、いずれ悲惨な被害者が生まれてしまう。(T)


5月27日(日)

●時代が変わろうと、社会が変わろうと、飲酒によるトラブルは後を絶つことはない。事件、事故…大きなニュースになる事例は、いわば日常的。他人を巻き込まなければまだしも往々にして、そうでない。だから問題なのである▼それにしても衝撃的。福岡市が職員に出した自宅以外での飲酒禁止令である。酒を飲んで車を運転するな、飲んだら乗るな、は子どもでも分かっている基本的な常識。確かに、そうでない実態があるから規則や刑罰が必要なのだが、それにしても、である▼福岡市職員の飲酒事故で忘れられないのは6年前の…。海の中道大橋で飲酒の職員が運転する車が追突した被害車が博多湾に転落、乗っていた幼児3人が死亡した事故である。その教訓はどこへやら、今年に入ってからも職員の飲酒運転が▼さらに収賄事件もあって、今月初めには不祥事防止策を発表したのだが、その矢先の18日には酔った職員がタクシーの運転手への暴力行為で逮捕された。ことここに至っては、市長も堪忍袋の緒が切れてしまった。その行き着いた策が飲酒禁止令ということに▼期間は一カ月。ということは、お仕置き的な意味合いとしか思えない。職員にとっては屈辱的であり、恥ずかしい限りだが、甘んじて受け止めざるを得ない現実は重い。禁酒禁止令…賛否や評価はさまざまだろうが、他山の石であることは否定できない。(A)


5月26日(土)

●誰しも批判は受けたくない。たとえどんな立場であろうと。ただ、上に立てば立つほど、向けられる批判の目は厳しい。当然と言えば当然だが、度量が問われるのは、それをどう受け止めるか、どうかわすか、という対応如何▼よく見かけるのは、気持ちの余裕がなくなるに比例して過剰な反応に走る姿。その端的な例は政治の世界がもたらしてくれる。批判されない政権与党はない。権力を握っている立場の、いわば宿命とも言えるが、それは自民党政権時も今も同じ▼政権の支持率が比較的高い時はかわすのだが、落ちてくるにしたがって…。時として感情的な行動が表れる。つい先日もそう感じさせる出来事があった。政権に対する批判発言をしたとして、民主党は来年度予算などに関する長崎県知事の陳情を拒否した▼その発言はこうだ。原子力発電所の再稼働問題などに関して「民主党政権に対応できる能力が本当にあるのか疑問を禁じ得ない」。自民党の県連大会で、ということもあるのだろうが、だからと言って、県民のことを考えたら陳情拒否はありえまい▼「謝罪か訂正があれば(受ける)用意がある」となんと高飛車なことか。あまりの過剰反応であり、ある意味、おごりと批判封じの脅し。理由はどうあれ、陳情拒否は誤解とよけいな憶測を招く道でしかないのに…知事に陳謝させては後味の悪いことこの上ない。(A)


5月25日(金)

●江戸から明治にかけて日本海を行き来していた商船「北前船」。全長32メートル、幅8・5メートル、帆柱の高さ28メートルの復元船「みちのく丸」が函館開港150周年を記念して寄港した際、北海道、青森、岩手の船大工手作りの威容を堪能した▼蝦夷(北海道)—北陸—瀬戸内海—大阪のルートで、運んだのは米や大豆、魚肥、材木、たばこなど多種多様。中でも歴史に名を残した蝦夷特産といえば昆布だ。北前船で移送量が増え、大阪から琉球(沖縄)、中国へと販路が拡大し「コンブロード」と呼ばれた▼こんな木造船で日本海の荒波を越えて大阪まで運んだ先人の勇気に感動。無事な航海を祈って船室には神棚や仏壇も置かれた。北前船は特産品のほか、江差追分や山車などの文化も運んだ。今では観光資源として根付いている▼16年前に江差町の音頭で「北前船市町村サミット」が発足したが、7年後に活動を休止。9年前から「北前船寄港地フォーラム」に切り替えて、酒田を皮切りに秋田、新潟、青森、松前などで開催。今年は25日に函館で初めて開かれる▼フォーラムのテーマは「受け継がれる北前船マインド(絆)」で、観光行政の取り組み、函館観光への提言などが行われる。寄港地が連携して建築物などを観光資源としてマチづくりにどう生かすか。ふるさとの文化のルーツを知り、北前船のベンチャー精神を子供たちに伝えていく絶好の機会でもある。(M)


5月24日(木)

●江戸から明治にかけて日本海を行き来していた商船「北前船」。全長32メートル、幅8・5メートル、帆柱の高さ28メートルの復元船「みちのく丸」が函館開港150周年を記念して寄港した際、北海道、青森、岩手の船大工手作りの威容を堪能した▼蝦夷(北海道)—北陸—瀬戸内海—大阪のルートで、運んだのは米や大豆、魚肥、材木、たばこなど多種多様。中でも歴史に名を残した蝦夷特産といえば昆布だ。北前船で移送量が増え、大阪から琉球(沖縄)、中国へと販路が拡大し「コンブロード」と呼ばれた▼こんな木造船で日本海の荒波を越えて大阪まで運んだ先人の勇気に感動。無事な航海を祈って船室には神棚や仏壇も置かれた。北前船は特産品のほか、江差追分や山車などの文化も運んだ。今では観光資源として根付いている▼16年前に江差町の音頭で「北前船市町村サミット」が発足したが、7年後に活動を休止。9年前から「北前船寄港地フォーラム」に切り替えて、酒田を皮切りに秋田、新潟、青森、松前などで開催。今年は25日に函館で初めて開かれる▼フォーラムのテーマは「受け継がれる北前船マインド(絆)」で、観光行政の取り組み、函館観光への提言などが行われる。寄港地が連携して建築物などを観光資源としてマチづくりにどう生かすか。ふるさとの文化のルーツを知り、北前船のベンチャー精神を子供たちに伝えていく絶好の機会でもある。(M)


5月23日(水)

●日本各地で21日に観測された金環日食。列島の広い範囲が金環エリアに入るのは平安時代以来というのに驚く。次回は2030年、北海道の大半で見られる。しかし、残念ながら道南は函館を含む八雲以南が「金環域」の外にある▼最近太陽に関するニュースが目立つ。国立天文台などは、周期的に起こっている太陽の両極反転が、予想より約1年早まりそうだとの観測結果を発表した。影響を簡単に言えば、太陽は「冬眠」に入り、地球に寒冷期が訪れる可能性があるという。黒点の観測でもその傾向があるのは不気味な感じがする▼京都大のグループは、太陽系外の恒星16万個を調べた結果、太陽に似た恒星で、表面の巨大爆発現象「スーパーフレア」が起こっていたと発表し、太陽でも発生する可能性を指摘した。米の天文学者はこれに反論している▼もし、「スーパーフレア」が起こったら、とても強力な電磁波が地球に殺到し、電子機器は壊滅すると予想されている。同時に送電網も世界規模でダウンする。復旧には何十年というから、被害の大きさは想像を絶する。現代文明が遭遇したことのない危機になるだろう▼地球という星は良くも悪くも、太陽の「呪縛」から逃れることはできない。できることは少ないかもしれないが、万一に備えて準備しておくことが大事ではないか。何か起こったときに「想定外」では済まないかもしれないのだから。(T)


5月22日(火)

●青春時代によく聴いた歌は一生忘れないものだ。きちんと鑑賞しなくても、ふとした折にラジオから流れているのを耳にするだけで、当時の空気がふと蘇ることがある▼4月下旬から危篤状態と伝えられていたビージーズのロビン・ギブさんが20日、62歳で亡くなった。ビージーズはギブ3兄弟のグループで、1960年代から活躍した。彼らの歌に「青春」を重ね合わせる40〜50代は日本にもかなりいるのではないだろうか▼第1のピークは71年に公開されたイギリス映画「小さな恋のメロディ」。この映画ではエンドシーン以外、主要な部分にはビージーズの曲が使われている。甘く感傷的なメロディは、日本で大ヒットした。「メロディ・フェア」や「若葉のころ」はCMなどで今も使われている▼次のブームは米映画「サタデー・ナイト・フィーバー」(77年)。「ステイン・アライブ」「恋のナイト・フィーバー」「愛はきらめきの中に」はその世代でなくても知っている音楽史上に残る名曲だ。ディスコ人気に火をつけ、「盛り上がる」ことを「フィーバーする」というようになったきっかけもこの映画がつくった▼全盛期のディスコでは、ビージーズの曲がかかると、若者がフロアに殺到して、映画と同じ振り付けで踊った。若者文化というより社会現象といっても良い“フィーバー”ぶりだった。そのビージーズも残るは1人だけとなった。(T)


5月21日(月)

●「維新」。「これあらた」とも読まれ、変革の意味を持つ語句だが、もっと平易に言うなら「新しい流れ」の連想であり期待。歴史的にも大きな出来事の際に多々使われ、それは近年でも。代表格は誰もが知る「明治維新」だろうか▼政治形態の大転換だけに強烈な響きを与えるが、その後も5・15、2・26事件のスローガンにもあって「昭和維新」と称される。そして最近では小泉純一郎元首相が構造改革に当たって行った所信表明で「新世紀維新」として使っている▼さらに…ここ3、4年に目を向けると、そう、橋下徹大阪市長が結党した地域政党名で。「大阪維新の会」。それと連携する形で、今度は東京で。「日本維新の会」なる政治塾の候補名だが、石原慎太郎知事が主導して6月にも。いずれも掲げるは既成の政治形態からの脱却▼政治の流れを変えよう、という主張でもある。歴史が物語っているが、確かに「維新」という語句は政治情勢が不安定で、混迷している時に登場している。そして、一定の支持を得ているということは、今もその情勢下にある証しと言えなくもない▼時事通信社の世論調査も同じ認識を示唆している。今月の政党支持率は自民が11・9%、民主が9・0%など低迷状態。逆に無党派の支持政党なしは増える流れのままに過去最高の70・1%。この率をみたら「維新」が注目を集めておかしくはない。(A)


5月20日(日)

●7月27日に開幕するロンドンオリンピックを前に、日本代表が続々と決まっている。北斗市出身の佐々木翔選手がバドミントンで出場することが決まった。活躍を楽しみにしたい▼今回の代表選考で特に注目を集めたのは芸能人選手。お笑いタレントの猫ひろしさんはカンボジアに国籍を移し、一時代表に決まったとの一報も流れたが、その後、国籍規定が条件を満たしていなかったとして、代表を取り消された▼猫さんの2時間30分台の自己ベストは日本国内なら到底代表には届かない。「国籍変更」という“裏技”は日本では例が少なく、批判もあった。だが、芸能活動と並行して、このタイムを叩き出すのは並大抵の努力ではないはず。そういう選手が五輪の舞台に立つことは意義あるとも思う▼女子ボクシングでは、南海キャンディーズの「しずちゃん」こと山崎静代さんが世界選手権に挑戦。1勝はしたが、3回戦で敗れて代表の座を逃した。しかし、出場した75キロ級で1勝したのは日本人初。日本アマチュアボクシング連盟は「歴史の始まり」と称賛した▼多くの注目が集まる五輪は、アスリートにとって最高の舞台。メダル争いはもちろん楽しみだが、国や個人が抱える複雑な事情を乗り越えて大舞台に臨む選手のドラマもオリンピックならではの醍醐味。代表へのハードルが高いからこそ、出場切符の価値は選手それぞれに重い。(T)


5月19日(土)

●♪指輪をくれる? ひとつだけ 2012年の金環食まで待ってるから そうよ 太陽の指輪〜 22年前にヒットしたドリカムの「時間旅行」の歌にちなんで、プロポーズし結婚したカップルもいたとか。女ごころをつかむ金のリング▼太陽の中央部分の大半が月によって隠され、外側の陽光がリングのように輝くのが金環日食。太陽の直径は月の400倍。地球から太陽は月までの400倍も遠い。月と太陽の直径の比は地球からの距離の比と偶然に一致し、同じ大きさに見えるわけ▼この「400倍の偶然」が1183年の平家が源氏を破った唯一の源平合戦にも見られた。戦いの最中に日食が始まり、薄暗くなったことに驚いた源氏が事前に日食を察知した平家に大敗した。文献に残る日本最古の金環日食といわれている▼21日朝の金環日食は九州南部から福島県南東部にかけて観測できる。太平洋側で広範囲に観測できるのは932年ぶりとか。函館の天候は曇りの予報だが、雲のすき間から見えるかもしれないという。次に日本で観測されるのは18年後で、北海道だけ▼子供のころ、ガラスにロウソクのすすを付けて観測したものだが、太陽を裸眼で直視するのは危険。専用グラスや遮光シートを使うことが必要だ。壮大な宇宙ロマンを見て「金色に輝くリング」をプレゼントしたい。6月には「金星の太陽面通過」、8月には月が金星を隠す「金星食」もある。(M)


5月18日(金)

●この人の神経構造はどうなっているのか…自分のことを棚に上げて言うようだが、お叱りを覚悟しながらも敢えて挙げたくなる人がいる。鳩山由紀夫さん。そう政権交代の立役者にして、誰もが知る元の総理大臣である▼お坊ちゃま育ちで、性格は温厚、人の良さそうな印象を受けるが、KY(空気を読めない)の感覚はかなりのレベル。沖縄の米軍普天間基地の移設問題では、県民に期待を抱かせた。「最低でも県外」のインパクトは大きく、腹案があると胸を張ったのも記憶に新しい▼結果が心配された。実現できなければ、その反動は大きいから。でも結局は空手形に終わり、混乱は広がって尾を引いている。「総理を辞めたら立候補はしない」。潔かったこの発言も、ほどなく取り消した。自信がなければ言わなければいいのに▼懲りない言行動はまだまだ。何を考えたか、先日はイランへ。うまく利用されて、野党からは「いらんおせっかい」と揶揄され、支持者からは「そんな暇があったらどぶ板回りをせよ」と厳しい叱責の声をいただく始末。そして今度は…▼県民感情など気にしていません、とばかり沖縄へ。お詫びしたまでは良かったが、続いて「今でも『最低でも県外』という気持ち」と。多くも議員は恐らく胸に封印しておく言葉と思うが、何のてらいもなく言ってしまう。凡人が理解できる域を超えるが、選挙には強い。(A)


5月17日(木)

●また悲しい事故が起こってしまった。小樽商科大学アメリカンフットボール部の宴会で、多量に飲酒した部員9人が急性アルコール中毒で病院に運ばれた。1人は今も意識不明だ。過去に同様の事例が何度もあったのに、毎年のように繰り返されるのはなぜだろう▼誤解を恐れずに言わせてもらえれば、大学生、特に体育会系にとって、宴席での酒の強要は一種の「通過儀礼」。先輩から「飲め」と命令されて断れる後輩はおらず、言われるままに盃を空け、やがてダウンする。先輩は「自分も1年生の時は…」と思い起こしながら、後輩を介抱する。これは昔から大学生によくある姿だった▼だが、それは限界をきちんと見極めている場合の話。酒を全く受け付けない体質はあるし、大量の飲酒に耐えられない下戸もいる。酒の強さ、弱さは十人十色だからだ▼限界以上に「飲め」と命令する先輩には、後輩の体調を観察し、保護する義務が伴う。それがないなら、飲酒強要は一方的な「アルコール暴力」に過ぎない。体の不調に気付き、「この辺でやめておけ」と言うのは難しいことではない▼肝心なのは酒を飲む行為自体ではなく、酒の力を借りて楽しく盛り上がることではないか。一気飲みの連続で参加者が次々と倒れていく宴席は、学生にとっては「武勇伝」かもしれないが、最低限の節度と配慮を見失うと、悲劇の場になる可能性は常にある。(T)


5月16日(水)

●♪燕はまたも来たけれど恋し我が子はいつ帰る〜 戦後、フィリピンのモンテンルパ捕虜収容所から戦犯の日本兵を救った名曲。今年もツバメは来たけれど、東南アジアなどからの渡り鳥が減少している。先日に続いて野鳥の話▼ツバメは他の野鳥に比べ警戒心は強くない。かつては軒下で巣作り。チチ、チチ…お腹の空いた赤ちゃんの口に親は運んできた昆虫を食べさせる。親は赤ちゃんの排せつ物を食べて巣の中を掃除。子供のころ、軒下の子育てを見守った▼ツバメが減ったのは餌のある水田の減少などが原因だが、放射性物質の影響も少なくない。チェリノブィリ周辺では放射性物質で羽が白くなったり、尾が変形したツバメが見つかり、福島原発近くの巣からは放射性セシウムが検出されている▼極楽に住む頭が2つ胴体が1つの共命(ぐみょう)鳥。食べ物も考えることも違っており、憎たらしい片方に毒草を食べさせたところ、自分も気分が悪くなった。これを見て、他の共命鳥たちは「相手を滅ぼすことは自らをも滅ぼす道」と知った…▼自然を破壊することは人間をも滅ぼす。ツバメは自然と人との共生を象徴する野鳥の代表格。モンテンルパのツバメは「日本の土を踏むまで頑張って」と励ました。函館山の野鳥も年々減っている。共生を願うバードウオッチングは環境ウオッチング。動植物が生息する自然環境を守らなければ。(M)


5月15日(火)

●松前の夫婦桜(めおとざくら)の前で披露される「夫婦の手紙」。5回目を迎えた全国コンクールで、今年も感動的なメッセージが地元高校生に読み上げられた▼最優秀となったのは群馬県の55歳女性がしたためた「あなたへ」。脳梗塞で倒れ、脳に障害が残ってしまった夫に贈った言葉がつづられている。「働けなくなって、生活が大変になった途端身内もまわりの人も去って行ったね」。簡潔な表現だが、病後の苦労や悔しさを十分にうかがわせる▼それでも「私だけはこれからもずっとあなたのそばにいて『お父さんの脳梗塞小さくなあれ』って手を当てて行くね。元気な時にあなたの偉大さに気づかず病気になって気づくなんてゴメンネ。今までありがとう。これからもずっとよろしくネ」と締めくくっている。達筆で丁寧に書かれた手紙が心を打つ▼今回は672通の応募が寄せられた。入賞者の住所をみると、岡山、金沢、和歌山、沖縄、東京、奈良など。コンクールはすでに松前のサクラ同様に“全国区”に成長している。亡くなってしまった伴侶に向けたメッセージも目立つが、悲しみを乗り越えた前向きな内容が多いのはサクラのなせる技だろう▼サクラが咲き誇るのは1年のうち、ほんの短い期間。そこに、特別の感慨を込めるのは日本人のDNAかもしれない。来年もまた感動的な手紙が多数寄せられるはずだ。(T)


5月14日(月)

●少しも驚きはしないが、またか、という思いは拭えない。大臣の失言である。責任ある立場になるほど発言の一言一言が重みを持つ。「つい口を滑らせた」で済まないことを解っていながら。こうも続くと、不信だけが募ってくる▼今度の失言者は小川敏夫法相。読売新聞などが報じていた。この大臣、国会議員になる前、3年ほど裁判官を務めた経歴の持ち主。だとしたら人一倍、裁判官の仕事に理解を示しておかしくない。加えて法機構を担当する現職の法の担当大臣である▼なのに…母校の大学で、こう語ったという。「裁判官をしていた3年間は退屈でもったいなかったが…」「元裁判官ということで信用が高く、選挙の際にすべて(その退屈な時間を)取り戻せた」。よりによって裁判件数は増え続け、迅速化が求められている時に▼「裁判官は責任があって大変、大切な職業だ」という下りもあるそうだが、それにしてもの退屈発言。そう言えば、こんな行動も。越山会事件などが表面化した一昨年、報道機関への検察のリークの有無を調べる、と率先行動した人である▼「法相は二つの答弁を覚えておけばいい」「安全保障の素人だが、それが本当のシビリアンコントロールだ」「九州の人間だから東北の何市がどの県か分からん」…批判を浴びて辞職した大臣も。言い訳は聞きたくないが、小川法相がどう語るか、それは聞いてみたい。(A)


5月13日(日)

●全国的にツバメの姿を見かけなくなっているという。言われてみれば確かにそうかもしれない。環境の変化が影響しているのか、はたまた他に理由があるのか。定かでないが故に、現状を懸念する日本野鳥の会は情報の提供を呼びかけている▼ツバメはいわゆる夏鳥として全国各地で普通に繁殖している鳥。北海道でも石狩湾から襟裳岬を結ぶ線より南西の地域で見られるとされる。また、昔から米作で穀物を食べずに害虫を食べる益鳥として、好印象を持たれてもきている▼のどが赤く、腹は白く、胸に黒い横帯…尾が長く切れ込んでいて飛行に適したスタイルが特徴。普通で時速50㌔、最高だと200㌔とも言われ、その速いイメージはシンボルやキャラクターとして人気。JRバスのマークや特急の愛称などは広く知られるところ▼北海道であったスズメ大量死など近年、野鳥の生息異変が幾つか報告されている。ツバメの減少も、要因としてエサ場の水田の減少や巣作りの日本家屋の減少、さらにカラスの増加などが挙げられてはいるが、あくまでそれも推測の域▼ツバメの減少は自然界の異変。そう否定できない現実を突きつけられているわけだが、大事なのは原因の解明。「必要な保護の参考にしたい」。日本野鳥の会の呼びかけ理由もそこにある。道南ではどうか…気にとめて観察してみよう。16日まで愛鳥週間でもある。(A)


5月12日(土)

●高校を出て2年。一目惚れした美容師仲間のイケメンの子供が欲しくてラブホに誘って男児を産んだけど、彼が浮気して7カ月で別離。反対する親に「迷惑はかけません」とタンカを切ったこともあり、実家には帰らず…▼蓄えも底をつき、夜の世界に飛び込んだ。深夜に泣きじゃくる赤ちゃん。おっぱいが出ない。お客が残した食べ物を持ち帰る日も。何度、わが子を捨てようと思ったことか。ムリがたたったのか、腎臓、すい臓が悪くなり入退院▼成人式を迎えた息子に「母さんの我がままで父親はいないの。ご免ね」と夜の世界で身を削って育てた話をしたら、初給与でカーネーションを買ってくれた。素直に育った息子に涙腺の緩みは止まらなかったという▼母は強し。「女」に二つの点を付けたのが「母」という字で点は乳房。また、ラテン語の「mater(母)」は「mare(海)」につながっており、「海」には「母」が含まれており、読み方も「生み」と共通しているという。母性と生命と海には切っても切れない「絆」がある▼不思議なことに、福岡市の男性宅に母が33年前に投函した手紙が宛先不明で戻ってきた。原因は分からないが、切手と消印は当時のもの。母は7年前に亡くなっており、男性は「母からの《忘れないで!》というメッセージだ」と感動。13日の「母の日」には「尊敬」「私の愛は生きている」の花言葉をもつ白いカーネーションを贈ろう。(M)


5月11日(金)

●函館どつくで8日、貨物船の進水式を見学させてもらった。総トン数2万トン近い巨大船が誕生した瞬間に立ち会うことができ、その荘厳さに感動した▼開式時間が近づくと、市民が続々と集まってくる。構内には大勢の社員が立ち、車と人を親切に誘導してくれるので迷うことはない。大型船が鎮座する第1船台の周辺では数百人の観客が巨大な船体を見上げながら式典開始を待っていた▼式典では船主の台湾国歌と君が代が流れ、国旗が掲揚された。船はたとえ民間であっても国が基本だということを再認識した。日本語と英語のアナウンスで、式は滞りなく進み、いよいよクライマックスへ▼船首のロープを切りシャンパンが割れたのを合図に、轟音とサイレンが鳴り響く中、船は船台ごと海へ移動した。船首のくす玉から色とりどりのテープが流れ出し、華やいだ雰囲気は最高潮だ。滑走式の進水は思っていたよりスピードが速く、全長176メートルもある船はあっという間に海面に到達した。あとにはシャンパンの香りがほのかに漂っていた。船の誕生にふさわしい豪快で印象深いセレモニーだった▼日本は戦前からの造船大国。今年創業116年を迎える函館どつくもその一翼を担ってきた。進水式にその伝統と誇りの一端を垣間見た。函館にこのような産業が存在し続けていることの意義。地元はもっと認識を深めてもいいと思う。(T)


5月10日(木)

●ゴールデンウイークが終わり、世の中は平常に戻った。行楽地はにぎわい、楽しい思い出を作った人たちが多かったに違いないが、毎年のことながら悲しい出来事も幾つか。7人が死亡した関越道でのツアーバスの事故には言葉がない▼そして…長野県の白馬岳での遭難事故だが、北九州市の男性6人が死亡した。いずれも63歳以上、最高齢者は実に78歳。またまた高齢者の遭難である。どうしてなのか、夏用の雨合羽などしか持たないなど装備が不十分で、死因は低体温症▼この低体温症は強く耳に残っている言葉である。そう今から3年前、北海道の大雪山系トムラウシ山で起きたツアー登山者の遭難時に。ガイドを除く15人のうち9人が死亡したのだが、死因プラス中高齢者という点で、この二つの遭難はダブって映る▼近年、中高齢者の登山愛好者が増えている。よく話題になっている現象だが、確かに時間はとれる、まだまだ元気という証しにもなり、何より登山は健康的。とはいえ山は危険と隣り合わせ。油断を許してはくれない。だから事前の準備が大切▼体力が落ちてきている中高齢者になればなるほど。山の情報の収集、余裕を持った装備や食料の確保は最低条件。その不十分さでも二つの遭難は共通しているが、禁物は甘い判断と過信。全国で年間2000件近く発生する山岳遭難件数が改めて、そう警告している。(A)


5月9日(水)

●観光で函館に来る友人は「イカール星人」を見て、イカ刺しを食べるのが楽しみだという。最もデンジャラスなエイリアン(観光異星人)を狙って活躍する「イカール星人襲来中!」がDVDになって7月に売り出される▼100メートルの巨大タワーロボや体長170メートルのイカボー、空中要塞ゴリョウカク、国宝の巨大な中空土偶まで登場。スケールが大きく痛快。このDVDを盛り上げる主役のイカは「今季の来遊量は前年を上回り魚体も大きめ」と予測されている(函館水産試験場など)▼夏イカ漁が解禁される6月までの表面海水温は、平年並みで経過すると予測され、漁期の開始も「前年より早く、近年並み」とか。市漁協所属の漁船34隻が出漁するが、大半が値上がりしている重油を使うため採算が心配されている▼函館はイカロボ(自動イカ釣り機)の生産で世界一のシェア。ブリッジの集中制御盤のボタンを押すだけで釣れるとあって、世界に輸出されている。イカ釣り名人が釣り上げる腕の操作をコンピューターに取り組んだというから驚き▼先日の全英イカ釣り選手権で、わずか1センチのイカを釣り上げた男性が優勝した。大しけで釣れたのは1パイだけという。体長1センチでもイカはイカ。イカ釣りの醍醐味…。津軽海峡は大型が予測されており、イカール星人に負けないように活躍するイカロボの「最高のイカ刺し」が待ち遠しい。(M)


5月8日(火)

●素朴な疑問だが、政治不信と政治家不信はイコールなのだろうか。政治不信は幅広い評価であり、政治家不信は個人に対する評価だから、本来的にはイコールではない。ただ相関関係がないかと言えば、ないわけがない▼政治の主権は国民にあるとはいえ、政治家が担うことで現実の政治は動いている。極端かもしれないが、政治家が信用を得ていれば政治不信は起こり得ない。ということは、政治不信と政治家不信はイコールということにもなるわけで、あながち外れていない▼ちょっと理屈っぽくなったが、この問答が頭をもたげたのは、今月3日公表の朝日新聞の世論調査に接して。まず目を向けたのが政党支持率だが、支持政党なしが57%、分からないが12%。合わせて3人に2人が支持する政党はない、と。この率は驚きに値しない▼ここしばらく、どの世論調査でも同じ水準が続いているからだが、注目されたのが次の設問。政治が進まない理由が「政治家にあるか」、それとも「憲法上の制度など」か、だが、政治家にあり、が67%。支持政党なし・分からないとほぼ同じである▼いかに厳しい目が向けられているか、この数字が如実に物語っている。百歩譲って、与野党の駆け引きは目をつぶるにしても、同じ政党、それも政権与党内が今の姿では。この67%を政治家がどう認識するか、政治家不信の払拭は謙虚さと反省にかかっている。(A)


5月6日(日)

●ちょっと景気の良い話をひとつ。アメリカのスペースXという会社が近々、「ドラゴン」という無人宇宙船を打ち上げる。ロケットは自前の「ファルコン9」、カプセルは国際宇宙ステーションにドッキングを試みる。成功すれば、宇宙民間開発の時代が本格的に幕を開ける▼宇宙に乗り出す民間企業はスペースXだけではない。同じ米国のヴァージン・ギャラクティックは何年も前に宇宙ツアーを募集している。まだ実現はしていないが、先着100人のシートはすでに埋まっている▼行楽でにぎわった大型連休も、きょうで終わり。どこに行こうかと迷う際に「ちょっと宇宙旅行」という選択肢が増える時代が来るかと思うとワクワクする▼産業でも宇宙を志向しているベンチャー企業がある。何と地球と月の間くらいの周回軌道上にある小惑星から希少金属(レアメタル)を採取しようと考えている。その会社にはグーグルのシュミット会長や有名な映画監督のジェームス・キャメロン氏も出資者に名を連ねており、大真面目なのだ▼宇宙旅行はすでに宇宙船が完成し、飛行テスト中。小惑星への着陸は日本の「はやぶさ」が成功させている。空想世界のように思えたことも、普及してしまえば当たり前になる。携帯電話はその好例。20年前に現在の携帯電話事情を誰が予測できただろうか。宇宙旅行はいかに。一般化するときは来るのだろうか。(T)


5月5日(土)

●泊村沿岸の小さな山を切り崩した敷地に、25年前の夏、「原子炉容器本体」と書かれた泊原発1号機の原子炉が運び込まれた。1号機が出来上がるまで3回ほど取材した。原発の安全神話になんの疑いも持たないで…。今夜、日本列島の原発の火が全て消える▼1号機に続いて2号機が運転開始、2009年には3号機が完成。泊村のホームページには「3機の発電容量は207万キロワットで、北海道の電気の約40%を賄う重要な電源」と書かれており、電力不足はあり得ないと信じていた▼全国で54基ある原発の安全神話は大震災による福島原発事故で総崩れ。定期点検のほか、不祥事やトラブルなども相次いで、5日深夜に定期点検に入る泊原発3号機が運転を停止すると「原発ゼロ」になる。点検後の運転再開も難しく…▼猛暑になるとエネルギー不足は必至。政府と電力各社は計画停電と節電を呼びかけるだけ。人工呼吸、透析など医療での電気は最優先。野放図な電力消費を反省することも必要。薪でご飯を炊けとは言わないけど、無駄な電気は使わないことだ▼クーラーのかけ放し、テレビ、パソコンつけ放しも無駄なこと。原発はゼロになったけれど原子炉は消えない。25年前に歓迎された原子炉が道民を苦しめている。原発の定期点検後の再稼動にしろ、風力や太陽光など自然エネルギーの普及にしろ、政府はがっちりとした対策を促進すべきだ。(M)


5月4日(金)

●日ハムからメジャーリーグ入りしたダルビッシュ投手がア・リーグの月間最優秀新人に輝いた。当初は「日本の大エースも、メジャーでの活躍は難しいのでは」という心配の声も。しかし、デビュー戦こそ制球に苦しんだものの、5試合に登板し4勝0敗、防御率2・18の堂々たる数字で雑音を消し去った▼一方、ダルビッシュの離脱によって評論家の多くが成績の低迷を予想していた日ハムだが、こちらも快進撃を続ける。若手とベテランがしっかりとかみ合い、まだ開幕1カ月ながら、リーグ1位の座をキープする▼ダルの離脱で心配された先発投手陣だが、八木や吉川、多田野など、昨年まで低迷していた選手が奮起するとともに、2年目の斎藤佑樹も大きな成長ぶりを見せ、一丸となってその穴を埋めようとしている▼打撃陣に関しては稲葉や田中賢介などのベテラン陣が好調なのに対し、中田のバットがくすぶり続け、ここ一番でブレーキになっているのが気になるところ。それでも4番に起用し続けてくれている栗山監督の男気に応えてほしい▼日ハムと対象的なのが、セ・リーグ5位に低迷する巨人。昨年の大補強でV奪回への死角が無くなったはずが、まさかの借金地獄。エースの穴を生え抜きの選手で必死に埋めている日ハムと、厚い選手層にさらにスター選手を上乗せしながら、結果の出ない巨人。シーズンオフに笑うのはどちらだろう。(U)


5月3日(木)

●咲き始めの「花時」から、満開の「花盛り」、ほのかに明るい夜の「花明かり」、花見に行く着物姿の「花衣」、あいにく降る「花の雨」、水に映った「花影」、散らす「花の風」「零れ桜」、散り残った「残花」…桜の一生の美しい言葉▼被災地などで「希望の花」を咲かせた桜前線。道南に開花宣言をもたらすのは、立春から88日目に当たる「八十八夜」前後。連日の陽気で一気につぼみが膨らみ、1日に松前、2日に函館で開花した▼吉野山の美しい尼僧からもらったという秘話を伝える「血脈(けちみゃく)桜」や、1つの根を2つの木が共有している「夫婦(めおと)桜」など、松前では250種1万本が早咲き、中咲き、遅咲きと今月いっぱい咲き競う▼日に20キロの速さで北上してきた函館公園のソメイヨシノは「今季は新芽を食べる津軽海峡からのウソの飛来は皆無で、桜はいっぱい咲きます」(函館公園管理事務所)。五稜郭公園でも箱館奉行所を包むように五角形の鮮やかなサクラのじゅうたん。タワーからの展望は圧巻▼親鸞は「明日ありと思う心の仇桜…」と無常を詠み、生涯桜を愛し続けた西行は「散るを見て帰る心や桜花、むかしに変はるしるしなるらむ」と詠んだ。桜は無常の花ではなく、新しい生命誕生の花。「二人だから乗り越えられた。ありがとう」という感謝の花(松前の夫婦手紙)。不思議な力をもつ桜をめでたい。(M)


5月2日(水)

●SL函館大沼号が今春の運行を開始した。大型連休前半はすっきりした春空に恵まれ、運よく乗車券を手に入れた方は、残雪の駒ケ岳をバックにした大沼周辺の絶景を車窓から存分に楽しめたに違いない▼蒸気機関車といえば、室蘭でも今月19、20日に「みなと室蘭140周年号」が室蘭〜登別間で運行される。この区間でSLが走るのは37年ぶりということもあり、乗車券発売日には買い求める人が殺到した▼SLは以前、特別な存在ではなかった。函館本線でも普通に走っていた。なかでも印象深いのはC62重連の急行「ニセコ」。昭和40年代に後志管内に住んでいたので、倶知安〜余市間で乗った記憶がある。ツバメマークが除煙板に誇らしげについていた▼急こう配の峠では息を切らすようにあえいで登り、下り坂で堰を切ったように軽やかに疾走する。何より懐かしいのはホームや客車内に漂う石炭の燃える匂い。トンネルに入る前に汽笛が鳴ると、乗客は一斉に窓を閉める。それを面倒だと言う人はいなかった▼大きな駅では弁当売りがホームを歩いていた。列車が停車すると、乗客は窓越しに酒やつまみ、缶ジュース、冷凍ミカンなどを急いで買い求めた。SLは、電車や最新式のディーゼル特急という便利な移動手段とはひと味違う、味わい深い旅の記憶を残してくれた。大沼号も時代を超えてなお、多くの人に特別な思い出を与え続けているだろう。(T)


5月1日(火)

●寒くもなく、暑くもなく、散歩が心地よく、楽しい季節になった。草花が緑を増し始め、花びらが新鮮に映る。街路樹も芽吹いてきた。健康にもいい、体力づくりにもいい、街中を歩いていると、車からは気づかない発見もある▼あった家がいつの間にか更地になっていたり、逆に新しい建物が現れていたり…閉店した店に気づけば、開店した店も…ビル建設の進捗度も分かる。コースを変えれば、日々、違った光景に出会えるが、そう言えば、見かけなくなった光景も▼数日前にふと気づいたことがある。外で遊んでいる子どもの姿が見かけない、こどもの日が近いのに「こいのぼり」が数えるほど、ということ。何を今さら、という話かもしれないが、そこに見たのは確かな現実の姿であり、改めて教えられる思い▼かつての時代、男の子がいる多くの家の庭では、大きな「こいのぼり」が春の風を受けて元気いっぱいに泳いでいた。ところが、住宅事情の変化は「こいのぼり」に制約をもたらし、本当に減った。戸建てでも庭は狭く、マンション生活者も増えている▼一方で、外遊びの季節なのに、下校後の公園をみても子どもの姿も少ない。これもかつてと違う。習いごとに塾、少年団と忙しいからか、それとも…。話は脱線して、見かけない光景に移ったが、これも散歩の恩恵の一つ。さらに色々考える時間も与えてくれる。(A)