平成25年1月


1月31日(木)

●「1月行く、2月逃げる、3月去る」という表現がある。1〜3月は「やることが多いのに、思うように進まない」という意味。その1月に忘却の彼方に「行かせ」たくない政治家の失言があった▼船出した「アベノミクス号」副船長の麻生太郎大臣。終末医療制度に関した官邸会議で「いいかげんに死にたいと思っても生きられる。しかも政府のお金でやってもらうのは寝覚めが悪い。さっさと死ねるようにしないと」▼「私は遺書を書いて『そういうこと(延命治療)はしてもらう必要はない、さっさと死ぬんだから』と渡してある」と前置きしているが、公の席での発言は「KY(空気が読めない)症候群」と非難されるのは当然▼財産関係、介護、延命治療、尊厳死など自分の意思表示を家族に分かるように「エンディングノート」を書く高齢者が増えている。また、ゆとりある老後資金に不安を抱える「老後難民」も出てきた▼未曾有を読み違えたり、米価の比較を「アルツハイマーの人でもわかる」など、失言にはこと欠かない麻生大臣。今回も「適当でない面もあった」と発言を撤回したが、懸命に介護している家族たちの憤りは収まらない。(M)


1月30日(水)

●「3K」なら聞いたことがあるけど「4K」は知らないな。冗談のような真面目な話。ただ、にわかに表舞台に登場してきた言葉であり、知らない人が多くても疑問はない▼「4K」とは、画素数がフルハイビジョンの4倍という次世代の高画質テレビ技術。より鮮明な画像を送受像できる技術ということである。総務省はその「4K」放送を来年7月に、世界で初めてスタートさせる方針を固めたという▼まずは衛星放送のCSから、そしてBSへの順で。そう言えば「アナログからデジタルへ」と大転換が図られたのは一昨年7月。テレビの買い替えという課題を背負う代償に、より鮮明な画面を手にしたばかりである▼確かに時代は常に新しい技術を世に送り続ける。「4K」も然り。ただ、現実の運用や商品化となると話は別。それがいきなり来年となれば…。低迷する家電業界への配慮かと勘ぐる思いがなきにしもあらず▼わが国でテレビの本放送が開始されたのは1953(昭和28)年2月1日の、厳密には午後2時。それは歴史に残る画期的な出来事だった。それから60年…「4K」が当たり前の時代になるのは時間の問題に。白黒の、あの粗い画像が懐かしく思えてくる。(A)


1月29日(火)

●公務員の退職金減額を受けた“駆け込み退職”が問題視されている。埼玉県では教員120人以上が申し出たという▼この問題には根深く「感情」がからむ。駆け込んだ側の心境を推察するに、長年勤め上げ、定年目前に「退職金が100万円減ります」と言われて、いい気持ちがする人はいない。プライドは傷つき、心中は「不満」や「怒り」で満ちたに違いない▼立場変わって民間からみると、別の「感情」も。突然の退職で業務に影響はないのか。もしないなら、職員が元々多過ぎたのではないか。影響がでるなら、駆け込み退職は「職務放棄」に当たるのでは…▼一般的に中小・零細企業の退職金は、公務員より少ない。突然の自己都合退職だと、会社に不利益を与えたとして減額されるケースさえある。満額の退職金を得たあと臨時職員として残った人がいると聞くと、さすがにあ然…。権利は法律よって守られているとは言え、そこに厳しい職業倫理は感じられない▼最も心寒くなるのは、減額覚悟で最後まで勤めた大多数が損をしていること。責任感や倫理観の高い人がバカを見る。こんなことが起こるのは、何かが根本的に間違っていると思わざるをえない。(T)


1月28日(月)

●「目には目を、歯には歯を」と命じられている。しかし、誰かがあなたの右の頬を打つなら、左の頬をも向けなさい(新約聖書)。たたかれ放しを許せということだろうか…▼片手を振っても何の音も出ないが、両手で打つとポーンという音が出る。右手で打った音は、打った人、打たれた人、それを見守る人の耳にもしっかり届く。バシーンという音に加えて、頬に痛みも走る▼荒っぽいしつけが少なくなったとはいえ、ビンタの体験は皆無ではない。励ましたり、懲らしめたり、激情に駆られたり…。大阪市立高校で部活顧問の教諭が、体罰で自殺した生徒の親から暴行容疑で告訴された▼親は「試合中に30〜40回殴られた」と話し、顧問は「強くするには体罰が必要。たたくことで良い方向に向かう、(自殺した生徒も)そうなってほしかった」。柔道部で鉄棒や拳でなぐられた武蔵野市の女子高生も提訴している▼自ら命を絶たせた体罰は子供の人権を無視した行為だが、体育系の2学科の募集停止や、全教諭の異動は乱暴すぎないか。生徒には動揺が広がる。「左の頬をも向けよ」ということは「無抵抗」ということではない。右の頬を打った相手に猛反省をうながしているのだ。(M)


1月27日(日)

●気圧の変化による「負の北極振動」で北極から強い寒気団が南下しており、今季の北海道も厳寒期に入り、インフルエンザがピークを迎えた。この異常気象は中国の大気汚染も悪化させている▼今冬のインフルエンザの患者数は昨シーズンの2倍に増えている。昨年と同様にA香港型が8割以上を占め、下旬から2月にかけてピーク、春先にはB型がはやる可能性が高いという▼A型は感染力が強く、肺炎の併発など重症化する恐れがある。先週の道内の患者数は注意報レベル(1定点医療機関当たり10人)だったが、警戒レベル(同30人)に達した地域もある▼負の北極振動がもたらす中国の大気汚染も深刻。がんなどを引き起こす「PM2・5」という微粒子の濃度が国際基準の3倍に達し、昨年は数千人が死亡。北西の風に乗って、この微粒子(黄砂)の日本への飛来も懸念されている▼米国でもインフルエンザが猛威を振るって、予防ワクチンや小児用タミフルが不足。渡島管内では今季初の感染注意報を発令、函館の小中学で学級閉鎖が出た。口や鼻に触れただけでもウイルスや細菌がうつる。うがい、手洗いの励行が肝心だ。負の北極振動がうらめしい。(M)


1月26日(土)

●「持続可能な社会保障制度をどう築くか」。今の我が国が抱える大きな政治課題だが、その任の一端を担う社会保障制度改革国民会議が21日に開かれた。8月下旬までに論議を深めるという▼時間が足りなく映るが、案の定というか、医療と介護を優先し、年金問題は先送りらしい。消費増税に絡む社会保障と税の一体改革についての自公民三党合意は生きているが、その後の動きは止まったまま▼だからだろう、ある民間シンクタンクが行った調査結果が物語っている。7割超が「将来への道筋が見えてこない」と。それでなくとも高齢世代は加速の一途。老人世帯ばかりか、独居世帯も増え続けている▼先日、厚労省は世帯数の将来推計を発表した。世帯主が65歳上の世帯は2年前の段階で既に31・2%。これが20年余り後の2035年には40・8%になり、65歳以上の独り暮らしは1・53倍の762万世帯…▼この数字が教えているのは、近い将来を展望した社会保障の制度設計の必要性であり、問われているのは不安解消の道筋の明示。政治がこうした調査データや改革国民会議の提言などをどう判断していくか。今後の動きに無関心ではいられない。(A)


1月25日(金)

●現代の火薬庫のひとつ、北アフリカ。拡大するイスラム武装勢力と、それを制する欧米諸国の緊張が、火を噴いた。アルジェリア人質事件での犠牲者は増え、悲しみは増すばかり▼イスラム防衛の大義、欧米諸国との聖戦…彼らがいくら言葉を並べても、人間の命を盾にするテロリストの要求に屈してはならない。ただ今回の事件で、わが国の情報収集能力が問われたのは確かだ▼ガス田施設はアルジェリア軍が警備にあたったというが、日揮社員は丸腰。軍の突入は、英国経由で情報が入った。これでは普段から邦人の安全確保が十分できない▼事件の背景には、天然資源に恵まれても現地の貧困層に還元されていない現実がある。そこに「神の前では、だれもが平等」というコーランの教えを唱えるアルカイダが入り込んでしまう。貧困は憎悪を生み、破壊や殺戮(さつりく)を招く。しかし、報復の連鎖を繰り返してはならない▼テロ勢力の拡大を防ぐフランス軍のマリ介入や、アルジェリア軍の早期攻撃は正しかったか判断は分かれるが、犠牲者は返ってこない。地の果ての砂漠で亡くなった社員らはきょう、悲しみの帰国をする。その無念を胸に刻み、危機管理能力を高めたい。(P)


1月24日(木)

●自転車の悪質な信号無視に罰金が科されることになりそうだ。これまで全てを不起訴にしてきた東京地検が悪質な運転者を略式起訴する方針を決めた▼自転車は車より弱者であって、保護されなければならない。この原則は何ら変わらない。だが、同じ公道を利用する者として、一定のルールがあるのは当然。自転車は免許が必要ないから何をやっても許されるわけではない▼自動車を運転したことのある人なら、自転車にヒヤリとした経験が一度ならずあるだろう。重い荷物を積んだ自転車の突然のふらつき。二人乗りでの蛇行。冬道の車道走行。ブレーキのないスポーツ自転車による事故も増えているという。信号無視はその中でも最たるもの▼昨年、函館西交通安全協会の交通安全標語コンクールの審査員を務めさせていただいた。応募415点には、事故防止への教訓や願いが盛り込まれていた。自転車に関する標語も多かった▼小学生ですら理解している交通ルールやマナーを大人がきちんと守れないのは情けない。罰金が必要なほど、自分勝手な「自転車ドライバー」が増えているのは寂しいことだ。もっとも車のドライバーにも似たような人は多いが…。(T)


1月23日(水)

●イスラム教自体がもつ慈悲と寛容の精神からかけ離れた過激派のテロ。熱砂のサハラでアルジェリア軍が「残酷なテロは許さぬ」と容赦なき掃討作戦。人質の日本人も10人の死亡・消息不明者を出した▼イスラム過激派は一般市民の間に紛れ込み、政府軍や仏軍の攻撃を避ける戦術。政府軍の幹部は「少年兵を投入する一方、一般人を盾に使い攻撃を困難にしている」と証言し、12歳以下の少年も従軍していたという▼ソマリアでは10歳の少年を戦闘に送り込んだり、女児を誘拐して前線で戦う兵士の妻にしたり、子供をかばう親を殺害した事例もある。兵士を守るために子供を「捨て駒」として利用するケースも▼パレスチナでは自分の女児の腹部に爆発物を巻きつけた男性もいた。また、コーランの朗読コンテスト入賞の子供に自動小銃など武器を景品に渡していた。国際法では18歳未満の少年兵は禁じられている▼「砂あらし 地(つち)を削りてすさぶ野に 爆死せし子を抱きて立つ母」(岡野弘彦さん)。あまりにもショッキングな地の果ての人質事件。「人命は地球より重い」という日本の叫びは遠い。グローバル化する経済情勢に、過激なテロに無防備では済まされない。(M)


1月22日(火)

●「身内の論理」。不祥事や難しい問題に直面した時などによく使われる言葉だが、往々にして事を複雑化させる要因とされる。実際にそんな事例は多い。内向きで、逃げの判断だから▼大阪の桜宮高校生の自殺が社会問題になっている。部活での体罰が引き金とあっては、教育的指導か否かに議論の余地はない。しかも、情報を得て、学校が問題を把握していたとあっては反論の余地などない▼だが、市教委や学校側が重きを置いたのは、生徒より同僚だった。事情説明の端々から伝わってくるのは、問題教師をかばってきた判断であり行動。いじめや自殺など事件が起きるたびに見せられてきた姿でもある▼目を向けるべき先を間違えた姿とも言えるが、それは政治でも。消費増税の軽減税率導入議論は解りいい例。来年4月の8%移行時に食糧品などへの適用要望が強いが、自民は見送る方針▼適用の線引きが難しい、対応時間が足りないなどが理由という。新たな政策展開はさまざま問題を抱えるが、時間は1年以上ある。なのに、早々と。これでは国民の生活より、対応の難しさを優先したと批判されても仕方ない。「身内の論理」…そろそろ勘弁してもらいたい。(A)


1月21日(月)

●札幌で、ホテルに携帯電話を忘れて用務先に向かってしまった。財布にテレホンカード(テレカ)が入っているので安心。と思ったら、公衆電話を探すのにひと苦労▼やっと見付けた公衆電話だが、テレカが使えない電話器。急いで函館に連絡するのに100円硬貨を2枚も使った。駅などで公衆電話が並ぶ姿は本当に見なくなった▼財布からテレカをなくすことはできないが、いつの間にか持たなくなったのは、JRで切符を買うオレンジカード(オレカ)である。函館に来る前は、近郊への移動に使っていた。JRグループ6社は、オレカの販売を3月末で終了する。タッチすることで乗車でき、残金が少なくなればチャージして使えるICカード乗車券が普及したことが理由▼オレカ廃止の前には、JRや私鉄など全国10の交通系ICカードが相互利用できるようになる。相互利用といえば、函館では2月末まで、JR、市電、バスが2日間乗り放題(エリア指定)になる「はこだて旅するパスポート」を販売中だ▼提示すれば割り引きなどが受けられる施設もある。これまでなかったのが不思議なほどだ。利用幅が増えるなど一層便利になり、観光客に欠かせない一枚として再登場してほしい。(R)


1月20日(日)

●自覚があるか否かは別にして、人間誰しも大なり小なり「不安」を抱えている。それが若い人たちで、長い人生の先行きに関わって、となると、聞き流す訳にはいかない▼でも現実は…その状況にあることを否定できない。「不安」は一言で言うと、乱れる思い。期待を抱きながらも、心配や恐怖が頭をもたげ、漠然とした思いの心的状態。何か落ち着かない、気持ちが安らがない▼背景に潜む要因はなんだろうか、そう考えた時に浮かび上がるのは今の社会環境。非正規が増えるばかりの厳しい雇用情勢…改善の兆しが伝わってくればまだしも、その実感もない。これでは夢を、希望を持てと言われても…▼ある企業グループが東京の新成人を対象に行ったアンケートの結果も、それを物語っている。希望する仕事などに希望を抱きつつ、その一方で将来に感じる「不安」。多少とも感じる、を含めると88%だったという▼年金問題も然り。政治に信頼があれば、こうはなっていない。「不安」を生み出したのも政治なら、解消させ得るのも政治。「不安」はないか、と聞く方が野暮とも言えるが、この10人に9人という数字は重い。答えを早く、そんな叫びにも聞こえてくる。(A)


1月19日(土)

●次の海外旅行はアルジェリアと考えていた。外務省の危険度は上から2番目で、砂漠など高齢者には無理だけど、サハラ南東部にあるアッシリ・ナジェールの岩絵が見たかった▼標高2000㍍の大地に茸(きのこ)のような岩が立ち並び、奇岩の壁には古代人が描いた不思議な絵が2万点超。牛や羊の群れ、キリン、ダンスをする古代人など躍動感あふれる絵。灼熱(しゃくねつ)の砂漠も昔は水の多い地だった▼マルスと呼ばれ宇宙服を着た巨人を描いた壁画もあるという。ツアーに参加した観光客によると、必ず兵士の車が護衛。そのサハラ砂漠を縦断する交易路のリビアに近いイナメナスで日本人を含む大勢が人質になった▼石油や天然ガスなどが豊富で、ガス田の共同開発に日本企業も参加している。襲撃したのはイスラム武装勢力のアルカイダ系組織。拘束されたのは日本、米国、英国、フランス、ノルウェー、アルジェリア人など14カ国200人以上▼人質と引き換えの条件はフランスのマリへの軍事介入の停止。国際的なネットワークを広げるテロ組織。アルジェリア軍が強襲作戦を決行した。何とか無事に帰国してほしい。古代人は宇宙を見上げ、動物たちと共存していた…。(M)


1月18日(金)

●顧問教諭の体罰で主将の生徒が自殺した大阪の市立高のバスケットボール部が無期限活動停止となった。市教委の処分という。処分すべきは顧問や学校であって生徒ではない。被害者の生徒(部員)はこの宣告をどう受け止めただろうか▼責任は一方的に大人の側にあるのに、バスケに夢を追う生徒に対し、上から目線で宣告する“お役所的態度”に教育的配慮はうかがえない。自殺者をだしたという事の重大さを考慮しても、せめて別の言葉がなかったのかという思いがする▼市教委は、再生努力を見た上で、廃部か活動再開かを判断するという。何より大事なのは、生徒の精神的なダメージを今ケアすること。その上で活動再開への道筋をつくれなければ、「臭いものにふた」と言われても仕方がない▼不祥事による“連帯責任”でスポーツ部員が涙を飲むのは、高校野球などで報道されることも多いが、今回のケースで生徒に落ち度はまったくない▼報道からバスケ部員の生の声はほとんど聞こえてこないが、生徒たちの心はどん底に落ちているはず。原因をつくった大人が全力を挙げて救わねばならない。高校生活は生徒にとって一生にただ一度だ。(T)


1月17日(木)

●道内で自然エネルギーをめぐる競争が激しい。道南はそれほどではないが、全道各地では風力、メガソーラーなどの発電施設が相次いで計画、建設されている。北海道の新たな産業になる可能性も秘めている▼電気は大規模な発電所でつくられ、送電網で運ばれるのが普通。発電施設は大規模なほど効率が良いので、ハイパワーの原子力が重宝され、発電の集中化が進んだ。あの事故が起こるまで、疑問に思った人は少なかった…▼電気は生き物だ。送電量(供給)と消費量(需要)が一致しないと、電圧が保たれず不都合が生じる。高度な発・送電システムでこのバランスを常に釣り合わせている。自然エネは、その調整作業を複雑にする▼発電だけを見直しても、電力システムは根本で変わらない。送電や変電、新たに「蓄電」も含めて安定供給策を考えないと、「原発に戻る方が効率的」となってしまう▼最近の各種世論調査をみると、原発再稼働の容認派が増えている。理由は料金など経済的なもの。だが、効率を重視し、リスクを軽視した結果が福島第一原発の事故ではなかったのか。せっかくの新エネルギーを効率良く生かせる技術やシステムが今求められる。(T)


1月16日(水)

●高齢者になると、視力が低下し、判断力が鈍り、見込み発進などで事故を起しやすい。このため、70歳以上に達したら、特に後期高齢者の運転免許証更新には認知機能テストも義務付けられている▼先ほど「天皇陛下が免許講習」という記事で陛下が運転されることを初めて知った。20歳になって運転免許を取得された。79歳になられた現在でも皇居内でテニスや散策の際に皇后さまを乗せて運転されているという▼臥牛子も高齢者講習会を受けてきた。動植物、果物、乗り物など16種の絵を記憶し、20分ほど後にいくつ覚えているかを問う問題など。陛下は決まり通りに視力検査や方向転換など実車講習にも臨まれた▼慎重な運転が特徴で皇居内を運転中に免許証を携帯していないのに気づき、御所に引き返したこともあるという。決められたことは順守するという順法精神を自ら示されており、頭が下がる。更新時の講習会は高齢運転の義務▼過疎化で一般高齢者にとって車は買い物、通院、介護補助など生活に欠かせない。特に『3・11』の震災地には。「禍(まが)受けて仮設住宅に住む人の冬の厳しさいかにとぞ思ふ」と詠む16日の歌会始めの陛下の歌をかみしめよう。(M)


1月15日(火)

●「λ(ラムダ)で大『入』なるか」—。新年明けた3日、青森県の陸奥新報の1面トップに躍った見出し。道新幹線開業で、青森県が新函館(仮称)と新青森、奥津軽(仮称)、弘前、八戸を結ぶ線を「λ」に見立てて、「津軽海峡交流圏」の活性化「λプロジェクト」を始動させると報じた▼遅ればせながら、弊紙も4日の1面トップで「青森3市と観光連携」と銘打って、青函4市が新年度に協議会を設立することを紹介した。広域観光ルートの構築などで“実のある連携”を狙う▼函館、青森、弘前、八戸の4市の人口を合わせると、およそ100万人。それぞれが持つ歴史や産業、観光資源は多彩で、「青函圏」が手を結ぶ意義は大きい▼青函トンネルが開通した時期にも機運は高まったが、現状を見る限り、連携範囲は限定的。もっと広く、深く取り組むべきとの声は数多くある。2年後に迫った開業が「呼び水」になり、新たな交流が幕を開けそう▼新幹線だと青森まで約1時間。すごい速さだが、それだけではない。行きは新幹線、バスで観光地を回って、帰りはフェリーでのんびり—。いろいろな選択が楽しめるのも、青函圏の潜在力であり、魅力だ。アピールしない手はない。(T)


1月14日(月)

●男装して戦った八重の会津藩には「弱い者いじめはなりませぬ」などの掟があり、これに違反した子どもへの最強の制裁は手を火鉢にかざす「手炙りの刑」と雪に押し倒す「雪埋めの刑」▼先日に続いて、大阪の高2男子がクラブ活動で顧問の教諭から体罰を受けていたという手紙を残し自殺した悲劇。生徒は試合でミスするたびに顔を平手打ち、自殺前日も30〜40回たたかれた▼「これは指導ですか。体罰ですか」と学校側に詰め寄る母親。体罰も会津藩のように最強の制裁の一つだろうか。米国の調査では、体罰を受けた子どもは攻撃性が強くなり、精神疾患も発症することが判明している▼60数年前の冬、宿題を忘れた小5のとき、10数人が担任に校庭に呼び出され、裸足で30周くらい走らされた。あげく一列に立たされ「歯を食いしばれ」と5発くらいビンタを食らったが、放課後に自宅にみんなを集め、餅を焼いてくれた▼5回殴ろうが、30回殴ろうが、学校での体罰は禁止されている。体罰教師の多くは自分を「熱血先生」と勘違いしているのではないか。指導の暴走は犯罪につながることも…。苦しむ高校生のSOSを誰もキャッチできなかったことが悔やまれる。(M)


1月13日(日)

●「お楽しみ代という考え方でいいのでは」。協力金というか登山者の入山料である。もちろん、すべての山に求めるという訳ではない。入山者が多く、自然環境の維持に課題を抱える山について▼この4日、静岡県の川勝知事が、富士山に関してこう語った。「入山料を含む具体策を登山シーズン前に検討し、国や山梨県に提案していきたい」。世界遺産への登録を目指す、目指さないに関わらず、あっておかしくない話▼どの山も同じだが、人が入れば自然に負荷を与える。当然ながら多くなればなるほど、その度合いは増すが、それに比例して維持や回復に要する費用も増える…現実に登山人口は急増している▼富士山はその典型。訪れる人は夏シーズンだけで30万人超。既にオーバーユース状態にあることが指摘されている。確かに観光面の恩恵は大きいが、一方でごみ処理などの地元負担は増加の一途▼協力金などを求める根拠もそこにある。乗鞍岳(北アルプス)や男体山(関東)などで先行しており、富士山は遅きに失した感が無きにしもあらず。登山人口が1千万人とも推測される時代である。少なくとも入山者の多い山は…多額なら別だが、快く払って楽しむがいい。(A)


1月12日(土)

●痛ましい事件だ。大阪の市立高バスケットボール部の主将を務める生徒が自殺した。遺書には顧問の体罰に関する記述。主将になるくらいだから、優秀でしっかりした選手だったはず。いたたまれない気持ち▼筆者も高校時代には運動部に所属していた。練習はきつく、精神的にも鍛えられた。顧問の先生に頭をごつんとされ、「気合」を入れられたことが何度も。たが、それを「体罰」とは今も全く思っていない▼体罰は暴力であり、いけないのは当然。だが、教育的な「指導」をも一切否定するのは難しい。その一喝によって考え方や態度が変わることがあるからだ▼大阪の件はどうだったのか。真相解明はこれからだが、ひとつ確実に言えるのは、死ぬほど悩んでいた生徒の心情を指導者は理解していなかった。これでは「指導」と言い難い▼熱血的で有名だった中学バスケの指導者が、試合中に興奮してミスした生徒に椅子を投げつけて更迭されたのに接したことがある。道南ではないが、そのチームは地区の強豪で知られていた。大阪の高校も強豪校だった。「勝利至上主義」が指導者を追い詰めていないか—。現象面以外にも検証すべき背景はあるように思える。(T)


1月11日(金)

●埋もれていた外交史がひとつ、明らかになった。1992年、北方領土問題の解決に向け、当時のロシア外相が日本政府に、歯舞諸島、色丹島の返還を打診したという▼それだけではない。ロシア側は2島返還後、さらに国後島、択捉島の扱いを協議し、それが合意に達すれば平和条約を締結することを提案した。非公式の打診だったが、日本側は4島一括返還の立場から拒否した▼これまでの返還交渉は、平和条約の締結が先というのが基本姿勢だ。相手はロシア。舞台裏の秘話や明かせぬ真相はまだまだあるだろうが、非公式であれ、4島返還に含みを持たせる内容で、従来の姿勢から大きく踏み込んでいる。交渉のテーブルに上がっていたら今ごろどうなっていたか、興味深い▼近隣諸国との領土問題が大きな政治課題となっている。極東や東アジア全体の政治バランスでは近年、中国の台頭がめざましく、ロシアにとっても脅威だ。日本とロシアの領土問題の進展や平和条約交渉は、中国へのけん制にもなる▼昨年返り咲いたロシアのプーチン大統領は、領土問題の解決に意欲的とされる。同じく再登板となった安倍首相は、戦略的な外交交渉を進めてほしい。(P)


1月10日(木)

●今の季節はともかく、春から晩秋まで、とりわけ北海道内ではパークゴルフの輪が広がる。誕生してから今年で30周年とのことだが、ここまでになるとは…。当時を知る一人として何とも感慨深い▼発祥の地は十勝の幕別町。誕生は1983(昭和58)年。同町の後の教育長がグラウンドゴルフをヒントに考え出した。公園や緑地を有効利用でき、中高年齢者の健康づくりにもなる…最初に目をつけたのは役場裏の河川敷だった▼その第一号コースが、今も残る「つつじコース」。道具の製造は、幸い町内の企業が製作に協力してくれて、コースもさらに1カ所、2カ所。その過程で何度か体験させてもらった▼何とも手軽、理屈なしに楽しい、しかも誰もがすぐに入り込める。「これは人気を集めるぞ」との思いを抱いたが、その通りに。今や北海道内では全市町村にコースがあり、道南だけでも40カ所以上▼愛好者人口は100万人とも、150万人とも。国内ばかりかブラジルや韓国、中国などにも広がっている。その理由は簡単…身近で楽しめ、適度な運動量があるから。加えてレジャー要素も兼ね備えている。愛好者が増え続ける背景もそこにある。(A)


1月9日(水)

●三姉妹の孫たちが遊びにきた1週間、暖房のない2階の部屋で過ごした。節電のため電気ストーブは使わず、布団を暖めてくれたのは懐かしい湯たんぽ。子供のころの暖房は火鉢、掘りごたつ、湯たんぽだった▼燃料は炭、お湯で、手足を温めて寒さをしのぐ。漢字では「湯湯婆(ゆたんぽ)」。婆には母親や妻の意味が含まれており、親の体温を感じるように抱いて寝るのだという。翌朝、その湯で顔を洗ったものだ▼朝食は「お粥」にした。通りかかった村娘は、瞳は輝いているのに苦行で疲れ果てた釈迦に「柔らかい飯」を与えた。これが「お粥」の始まり。特に七草がゆは無病息災を願うほかに、年末年始にこき使った内臓をいたわってくれる▼ナズナ、ゴギョウ…七草はすべて雑草。青菜の少ない冬に身体が求めるビタミン、ミネラル類を野草で補う先人の知恵。半世紀前に比べ、七草がゆを炊くにしても、湯を沸かすにしても今は電気が不可欠▼北海道の節電は午前8時から午後9時までの13時間に拡大された。3月1日まで、10年度比7%以上が目標。厳寒期の電力需要のピークは長く続く。湯たんぽのぬくもり、温かいお粥で節電して、政府に「原発ゼロ」の圧力をかけよう。(M)


1月8日(火)

●東京都の猪瀬直樹知事が2020年の東京五輪の招致に全力を挙げる方針を職員に訓示した。道内でも札幌五輪誘致に向けた準備委員会の設置が検討されているという。だが、この動きには少し疑問も。なぜ東京、なぜ札幌なのか…▼日本は人口減社会に移行し、地方は人口流出や過疎に悩む。一方、東京や札幌への「集中」は相変わらず。その巨大都市に巨費を投入して、さらにインフラを整備するというのか…。同じ金額を投入しても、地方都市の方が効果は大きい▼札幌五輪(1972年)は、地下鉄や高速道など札幌市の基盤整備に大きな役割を果たした。今回も道新幹線の早期整備につながるとの期待があるらしい。それなら函館五輪でもよいはずだ▼誘致活動にはばく大な資金と職員体制が必要。それを調達できるのは大都市だけだという事情もある。だが、国内、道内の均衡ある発展を考えるなら、場所は東京や札幌である必要性は薄い。こう思うのは、地方在住者のひがみだろうか▼開会式は札幌でいい。だが、競技会場はできるだけ分散すべきだ。そうなると、函館だって可能性はある。新幹線でつながれば函館—札幌は1時間。やってできないことはない。(T)


1月7日(月)

●「今年こそは」と期待しては裏切られる、そんな年が何年続いているだろうか。でも、懲りずに期待してしまう、というより期待せずにはいられない。景気、経済の話である▼実質の経済成長率の1974(昭和49)年度から1990(平成2)年度の平均は、プラス4・2%。それが1991年度以降は低迷に転じたまま。消費は一時的に省エネ政策が後押ししたが、雇用も厳しいまま▼ただ、今覚える次年度への期待感は、これまでの年明けとは少し違う。「もしかしたら」。そう思っている人多いのでは…。そう推察する背景は、政治の変革…デフレ脱却を掲げる安倍新政権の誕生である▼調整段階とはいえ、物価変動の影響を除いた実質国内総生産(GDP)の成長率を2・0%とする方向を公言している。大震災の復興需要がピークアウトする見通しながら、それを補うに足るプラス要因がいくつか▼消費増税前の駆け込み消費増や海外景気の緩やかな回復基調など。国内シンクタンクのほとんどが成長率プラスを予測する理由もそこにある。道内も例外でないよう、北海道銀行は1・0%、北洋銀行は0・6%を見通している。必ずや、そうなってほしい…今度こそは。(A)


1月6日(日)

●「この時代、咲いてみようじゃないの♥」と、スペンサー銃を手に綾瀬はるかさん。大輪の桜が舞ったピンクの内掛けをまとって。6日から始まるNHK大河ドラマ「八重の桜」のポスター▼綾瀬さん演じる新島八重は13歳で四斗俵を担いだおてんば娘。親の反対を押し切って銃撃の名手に。戊辰戦争では会津城に立て籠もり、髪を断って男装し銃撃戦に参加、夜襲にも加わり、新政府軍と戦った▼会津の悲劇から凛々(りり)しく立ち上がる幕末のジャンヌダルク。城を去る前夜、城壁に「あすの夜はいづくの誰かながむらむ馴れしみ空に残す月影」と月明かりを頼りに刻んだ。白虎隊にも砲術を教えたとか▼降伏3年後に新島襄と結婚し同志社大学の創立に携わった。襄は自分らしく真っすぐに生きる八重を「生き方がハンサム(美しい行いをする人)」と表現している。夫妻は襄が渡航した函館にも立ち寄っている▼箱館戦争で戦死した土方歳三も籠城戦で八重と一緒に奮闘…。冒頭の♥には「どんな時代であろうとも力強く悔いなく生き抜いてみようじゃないの」といった強い思いが込められているという。「八重の桜」は原発事故など大震災からの復興に一花咲かせるのは確かだ。(M) 


1月5日(土)

●年明け早々、北海道の天気は大荒れだ。札幌—旭川間を中心にJRは4日になっても140本余りが運休。Uターンラッシュを直撃している▼3日、帰省先からJRで函館に戻った。南千歳駅で列車を待っていると、札幌行きスーパー北斗が1時間半ほど遅れているとのアナウンス。実はその札幌行きは折り返しで自分が乗る特急だった▼「札幌駅で給油、社内清掃中です」という駅内放送が何度も流れた。待合室の人たちが携帯電話で連絡を取る姿が散見された。結局30分ほど遅れて到着し、函館に戻ることができた▼だが、これは道央の混乱に比べたらマシ。3日夜には札幌発旭川行きの特急が滝川で5時間も停車して、結局午後11時近くに札幌へ引き返した。道南にもそれなりの降雪はあったが、正月返上で線路の管理に当たったJR関係者の使命感に頭の下がる思い▼問題はそのあと。雪の山から車を掘りだして、やっとの思いでアパートに戻ると、自分の契約スペースに迷惑駐車の車。翌朝には移動されていたが、落としていった大量の雪と車輪が埋まった跡を残していった。正月気分で済まない迷惑行為。JR職員の使命感との落差に大きく落胆した。(T)


1月4日(金)

●新春の大雪となったが、函館は穏やかな三が日となった。年越しイベントに参加した人たち、初詣や初売りに向かう車の列に、まちの元気を見た。まちの活力を生むのはいつも、人の動きや流れである▼そうした元気を生み出そうと、函館では新年度から新たな事業が動き出す。JR函館駅前から五稜郭地区をエリアとする中心市街地の活性化計画で、注目事業の一つに駅前のWAKOビル建て替えがある▼駅前・大門の衰退の象徴のように見える同ビルを、商業施設や子育て支援施設、マンションを併設した高層建築物に建て替える計画だ。2015年度の北海道新幹線開業に間に合うよう、早い展開が望まれる▼また、イベント会場となっているグリーンプラザも再整備を予定。観光客や市民が集まる空間づくりを進め、人の足を商店街に向かわせる。民間の力を生かした数々のカンフル剤で、大門が再び強く鼓動してほしい▼今年は平成に入って3度目の巳(み)年。24年前はバブル経済の真っただ中で、12年前はその崩壊後のトンネルの中。巳の字は、冬眠から覚めたヘビが這(は)い出す様子を示している。長い経済低迷から函館が這い出す契機となる1年にしたい。(P)


1月3日(木)

●どんな初夢を見ましたか。初夢宝くじに一富士、二鷹、三茄子の縁起のいい賞があった。七福神が乗った「宝船」の絵を枕の下に敷いて眠ると、当たるだろうか。枕は吉夢ののりもの▼富士山を見て、鷹狩り、茄子を食べるのが徳川家康の至福のときか。上下どちらから読んでも同じ回文「長き夜の遠の眠りの皆目覚め波乗り船の音の良きかな」の歌を書いて。それでも悪い夢を見たら翌朝、宝船の絵を川に流した▼夢は脳が起きているレム睡眠中に多く見るとされる。新陳代謝を促して、細胞を修復したり、活性化させる成長ホルモンが分泌され、枕上で知恵を育んできた▼かのビートルズの「イエスタディ」は、ポール・マッカートニーさんが夢の中で浮かんだ旋律をもとに作った曲。夢の中の一瞬のひらめきをヒントに飛躍する人は少なくない。ただし、目覚めても忘れないように…▼睡眠時間が5時間以下の人は7時間超の人に比べ糖尿病発症の危険性が5倍以上というテータも。よく寝ることは健康にもよい。船出したばかりの「安倍宝船」。不評をかって前回のように下船しないように「原発ゼロ」を宣言、大間原発を凍結することが、函館市民の初夢・正夢だ。(M)


1月1日(火)

●巳年の2013年が幕を開けた。十二支の6番目の年。巳年には時代の節目となる出来事が多い。最近のへび年を振り返ってみると…▼1989(平成元)年は、正月明けて早々に昭和天皇が崩御し、平成がスタート。4月には消費税が導入された。税率は3%。12月の東証大納会の日経平均株価は何と3万8915円。しかし、年明けにバブルが崩壊した▼世界も大きく動いた。6月には中国で天安門事件、11月にはベルリンの壁崩壊。12月には米ブッシュ大統領とソ連ゴルバチョフ大統領の「マルタ会談」で冷戦終結が宣言された▼次の2001(平成13)年は21世紀最初の年、2月にハワイ沖で高校の実習船「えひめ丸」が米原潜と衝突、沈没した事件は衝撃的だった。6月には大阪の大教大附属池田小で8人が犠牲になった無差別殺傷事件、9月には44人が亡くなった新宿歌舞伎町と雑居ビル火災、そして極めつけはニューヨークの「9・11」同時多発テロ事件が世界を震撼させた▼今、国内外を見回すと、経済の低迷などで閉塞感が漂っている。道南も状況は同じ。だが、希望を失っては低迷からの脱出はままならない。今年こそは明るい巳年となりますように─。(T)