平成25年11月


11月30日(土)

●気になるニュースがある。高速道路各社がETC割り引きの見直し案をまとめた。車での長距離移動が多い人や運送業者には、大きな負担増になる可能性がある▼道央道はETCを利用すると、休日や深夜は5割引き。大沼公園IC(インターチェンジ)—札幌南IC間は264・5㌔あり、通常は5850円だが、ETC割り引きだと2950円で済む。この割引率を3割に、というのが見直し案▼その理由は「一般道の渋滞解消効果が出ていない」「財源の消失」。頭では分かるが、広い北海道にとって、高速交通網は観光や物流など多方面での“生命線”。本道ならではの事情を考慮して…と愚痴もこぼしたくなる。特に道南はJR北海道の特急減便を高速道が補っている側面も▼高速道に限らず、最近はお金にからむ制度見直しのオンパレード。高校授業料無償化や介護保険では、所得制限導入が決定、あるいは検討されている。消費増税を控え、懐には寒風が吹く▼アベノミクスは景気を刺激するアクセルとなった。しかし、その恩恵が地方に行き渡らないうちに、ブレーキを踏み始めた感じがする。車の勢いが失われ、停車してしまわないことを願う。(T)


11月29日(金)

●「強行採決」。ここ数日、新聞や放送で飛び交っている言葉だが、国会の場のことだけに響き良くは伝わってこない。いわゆる数の論理が浮き出るからで、批判的に受け取られがちなのもそれ故(ゆえ)▼議会で多数派が審議を一方的に打ち切り、採決を行うこと。これが言葉の意味だが、それは今に始まったことでない。よくあること、よくあったことと言っては語弊があるかもしれないが、共通しているのは…▼その対象が重要法案ばかりということである。26日に衆院で行われた特定秘密保護法案もそうであるように、本来なら、より時間をかけ、慎重に議論すべきとなるのだが、現実の姿はその逆▼言うまでもなく、重要であればあるほど見解が分かれ、世論も二分する。その世論は時間の経過とともに無視できなくなる。批判は受けても、厳しくなる前に区切りをつけた方が得策と計算する。手続きだけはとって▼政治不信が言われて久しい。それは国会が期待通りの場となっていないから。「強行採決」も一つの理由かと聞かれれば、「ノー」とは言い切れない。こんなことを繰り返していては、信頼の回復は遠のくばかり。少なくとも数の多い側がそこに気づいているとは思えない。(A)


11月28日(木)

●「被害者なのに加害者扱いされ、社会の中でひっそり生きることを余儀なくされた」|。かつて取材の中で、薬害エイズ被害者の男性は、社会から受けた差別や偏見をこう語った▼2003年には輸血によるHIV(エイズウイルス)感染が確認され、日本赤十字社は検査態勢を強めた。だが、悲劇はまた起きた。HIV感染者の血液が検査をすり抜け、輸血を受けた60歳代の男性が、ウイルスに感染していたことが分かった▼感染から日が浅く、ウイルス量が少ない場合は検出されないこともあるようだ。日赤は来年夏までに、20人分の血液をまとめて調べる現在の検査を、1人ずつにする方法に改めるという▼献血の際には病歴や性行為などの問診を受ける。しかし、問題の血液を提供した40歳代の男性は、危険性のある性行為をしたことを伝えなかったという。男性は検査目的で献血したとみられているが、検査なら最寄りの保健所などで無料で行っている▼献血は、個人が身近にできる社会奉仕で、日本では無償の善意により成り立っている。命を救う献血が命を脅かすような形で利用されてはならない。善意が真逆の悪意にすり替わってしまうのは嘆かわしい。(P)


11月27日(水)

●国が打ち出す目標や計画は、その言葉の前に「努力」がつくのかもしれない。それほどに達成が絶望的な指標が少なくない。食料自給率も然りだが、労働者の有給休暇取得率もその一つ▼先日、厚労省から就労条件総合調査(2012年時点)結果の概要が発表された。それによると、従業員千人以上の大企業から百人以下の中小企業まで含めた平均で、前年比2・2%低下の47・1%だったという▼労働時間の短縮や週休2日制浸透など、労働条件の改善は進んできた。欧米水準に近づいているが、そうした中で、この有給休暇の取得実態だけは差が開いたまま。あまり知られていないが、国は目標を設定している▼ワークライフバランス(仕事と生活の調和)という憲章の中で。2020年までに「平均70%」と。ただ、あと5年でとなれば達成は厳しいというしかない。進まない理由は多々言われる▼同僚への気兼ね、職場に余裕がない…背景にあるのは国民性。加えて企業にはそれぞれ事情がある。国とはいえ取得の強制は難しい。頼りは社会の機運だが、70%が「仕事と生活の調和」を実現する目安の数値だとしたら、まだまだゆとりのない現実が浮かび上がってくる。(A)


11月26日(火)

●「震災後の最大の課題は言語技術です。ファクト(事実)やエビデンス(証拠)など根拠を示しながら、感情に走らず、形容を使わず、百かゼロにならない議論ができるかどうかにかかっている」(猪瀬ツイッター)▼連休返上で書いた「言葉の力」(中公新書)。言葉の力で霞ヶ関文学を解体しようと豪語していた猪瀬直樹東京都知事。公選法違反で幹部らが逮捕された医療法人「徳州会」から5000万円を借りていた▼選挙前に徳田虎雄氏に出馬すると挨拶に行った、議員会館で現金で受け取った、断るのも失礼だからとりあえず預かった、無利子・無担保、徳州会に捜査が入ったのですぐ秘書が返済した…▼「自分の預金が底を突くかもしれないという思いがどこかにあった」とも。「あくまでも個人としての借金」と言葉を選びながらの記者会見だったが、あいまいで不自然な説明に終始。力強い「言葉の力」は見られなかった▼1億円の資金提供を求めていたことにも「事実はない」と否定。ジャーナリストだった猪瀬知事は「自分のエゴイズムによって、隠される秘密は公開する方が公共の利益」と発言していたと聞く。経緯を公開し、説明責任を果たすべきではないか。(M)


11月25日(月)

●サッカーJ2リーグ最終節は、J1昇格プレーオフへの残り3枠の出場権を、5チームが争う大混戦となった。その中にはコンサドーレ札幌の名前もあり、得失点差のアドバンテージから、勝ち星を挙げればほぼ間違いなく出場権を獲得できる状況だった▼しかも対戦相手は22チーム中16位と格下の北九州(札幌は7位)で、ホーム札幌ドームでの勝利をだれもが信じて疑わなかった。結果は0—0のスコアレスドロー。来季もJ2が戦いの場になってしまった▼4年ぶりのJ1復帰を果たした昨季は、まさかの最下位独走。今季は監督に初の北海道出身の財前恵一さん、運営会社である北海道フットボールクラブの社長にはOBの野々村芳和を迎えるなど、チーム体制を一新してJ1復帰を目指した▼強化費の大幅削減という厳しい条件の中、序盤戦は勝ち星を挙げることができず苦しみ続けた。しかし、中盤以降は驚異的な追い上げを見せてサポーターに夢を与えてくれた▼最終戦こそ残念な結果に終わったが、チームの勢いは確実に上昇機運にある。来シーズンは開幕からスタートダッシュを見せて、J2優勝とJ1復帰を同時にプレゼントしてもらいたい。(U)


11月24日(日)

●大きな話題にはならなかったが、米東部時間の18日(日本時間19日)、米航空宇宙局(NASA)の火星無人探査機「メイブン」が打ち上げられた。約10カ月後の来年9月に火星周回軌道に入り、大気の調査を行う。かつて地球のように暖かく、表面に液体の水があったとされる「赤い惑星」がなぜ不毛の星になってしまったか—その原因を探る▼火星は太陽系で地球のひとつ外を周回する。直径は地球の半分。1日の長さは約24時間半。地軸に傾きがあるので季節もある。平均気温は氷点下43度だが、夏の赤道付近ではプラスにもなる。過酷な宇宙の中では、かなり穏やかな方だ▼この星の特徴に大気圧の低さがある。星平均の気圧は、地球の海面平均の1%以下で、空気が極めて薄い。だが、遠い過去には違う環境だったと科学者は見ている▼メイブンは全長11・4㍍。150〜6000㌔上空の大気上層部を中心に調べ、大気と水が失われた原因を探る▼インドも5日(現地時間)に初の火星探査機「マンガルヤーン」を打ち上げた。メイブンと同時期に到着予定だ。地球とよく似た組成を持つ火星の探査は地球の成り立ちや遠い将来を調べているのかもしれない。(T)


11月23日(土)

●婚活、就活、終活…。今度は自ら泣いて心を癒す、能動的に泣いて心のデトックス(解毒)を図る「涙活」が注目されている。睡眠や笑いより強いストレス緩和力を持っているという▼提唱しているのは離婚式プランナーの寺井広樹さん。見知らぬ人たちが集まって、泣ける映画や朗読を聞いて涙を流す。ある離婚式では指輪をたたき壊した後、涙が出尽くすころには、すがすがしい顔になったという▼たくさんの涙を流すことでストレスが解消し、心の混乱や怒り、敵意などが改善されるという研究結果も。悲しいときや感動したときに流す“情動の涙”が感情を浄化させてくれる▼大震災で大切な家族や友人を失い多くの涙が流れた。惨事の紙芝居を作った男性は、見ている人たちの緩む涙腺に涙の力を感じたという。被災者や避難者は涙をこらえて生きている。我慢しないで思いきり泣いて「涙活」から勇気をもらって…▼涙もいろいろ。箱館戦争で土方歳三は江差の鴎島沖に沈む開陽丸を見て目の前にあった松の幹を拳でたたきながら、号泣したという。よほど悔しかったのだろう。これも「涙活」。涙には人の心を動かす力があるが、人にストレスを与える涙は流さないで。(M)


11月22日(金)

●「赤信号 みんなで渡れば怖くない」。お笑いの世界の戯(ざ)れ言だが、いま問題になっているホテルやデパートの食品表示問題は、さながらこうなってしまう。「偽装表示 みんなでやれば怖くない」▼そう邪揄(やゆ)されて仕方ないほど呆(あき)れる現実である。メニューの表示と異なる食材を使っていた…消費者に対する紛れもない裏切り行為。なのに、誤表示とか不適正表示などと言い訳がましい対応…▼いつものパターンだが、それにしても未だ次々と。まさに便乗的に映るが、ダメージが少なくて済むのは、流行語的に言うなら「今でしょ」だから。大阪のホテルが問題の事実を公表したのは10月23日だった▼それから1カ月になる。料理は調理されるや多くは食材の原形の確認が難しい。メニューを信頼するしか術はないのだから、客としてはたまったものでない。その思いは表示に偽りなく、正直に提供している店も同じだろう▼食品を巡る時代のキーワードは安心・安全。その前提は「正しく伝えること」であり、「表示通り」は信頼にかかわる大事な要素。それを損ねたのだから、つけは業界に重くのしかかる。関係法令の甘さも露呈したが、根本的な原因はそこにあるわけではない。(A)


11月21日(木)

●函館の冬の夜を演出する目玉事業が今冬、再開される。本紙も先日、報じたが、国の特別史跡・五稜郭跡(星形)をイルミネーションで彩る「五稜星の夢(ほしのゆめ)で、点灯は来月1日から▼堀の内周約1・8キロに取り付けた電球約2000個が浮かび上がらせる星形は、雪と光による幻想の世界。募金を呼びかけ、作業はボランティアの手によって20年余…昨冬は電力問題への配慮から中止された▼地域の活性化を目指すイベントや事業は、立ち上げまでも大変だが、なお大変なのは継続させること。実際に惜しまれつつ終えた事例は少なくない。それだけに関係者の苦労は察して余りある▼ホームページは、こううたっている。…雪の中に浮かび上がる『五稜星』は地上からは見えない。『空からはきっと見えるはず。いつかは見てみたい。だから『夢』…。函館なのでできる、函館しかできない…五稜星の夢はその一つ▼夏の市民創作・函館野外劇、同じ日に開幕する冬のクリスマスファンタジーも然り。いずれも他都市が真似できない、誇れる地域財産である。「冬の函館観光を盛り上げたい」。今冬も…そんな熱い思いがベイエリアで、五稜郭公園で間もなく結実する。(A)


11月20日(水)

●カジノや暗黒街を牛耳っているイタリア系マフィアの生き様を冷酷に描いた映画「ゴッドファーザー」を観た。カジノは喜怒哀楽の最たる舞台。北海道では、リゾート型のカジノ誘致の動きが高まっている▼カジノはイタリア語で「小さな部屋(家)」を指す。小さな集会所が娯楽施設になり、ゲームや賭け事の社交場として広がったという。規制と弾圧が繰り返されたが、カジノに課税するようになってから隆盛に▼日本では刑法上の賭博と見なされ禁止されているが、東京五輪をきっかけにカジノ解禁を探る動きが活発化。カジノを核にショッピング、グルメ、レジャーなどニーズが期待できる▼北海道は「観光振興や地域活性化につながることが期待される」と先ほど、高橋はるみ知事が超党派の議員連盟にカジノを含む統合型リゾート(IR)の整備推進を要望。釧路、小樽、苫小牧が候補地に名乗りを上げた▼釧路では日本カジノ創設サミットが開かれ、小樽はカジノ体験のイベントを開催、苫小牧はリゾート構想誘致期成会を結成。道も滞在型観光にもつながると支援する方針。でも、地方都市で巨額の金を動かすマフィア映画のシーンが気にかかる。(M)


11月19日(火)

●「エンディングノート」。近年、この言葉を耳にすることが多い。国語辞書的に表現するなら「人生の終末期に備え、家族らに書き残しておくノート」であり、多種、市販されている▼いつ、万一の時を迎えるか分からない。加齢とともに、判断力や意思疎通能力を喪失しないという保証はない。だとしたら、元気な今のうちに、思いつくまま伝えたいことを残しておくのは大事▼書く内容に定義はないから構える必要もない。伝わればいいだけ。例えば預貯金などの財産、さらには相続に関すること、家族に対する感謝の気持ち、病気になった時や葬儀に関する希望…簡単な自分史もいい▼突然の事態となった時に家族が混乱することが多々ある。日常的に情報を共有している家庭ならともかく、そうでなければ。法的拘束力のある遺言だと重い。「エンディングノート」が果たす役割はそこにある▼言葉を代えると、「思いやりノート」。加えて最近は「エンディングフォト」(写真)の撮影も珍しいことでないという。そう、数年ごとにノートは加筆し、写真も撮り直していけばいい。大事なことを形で残す…それは家族に対する一つの責任のとり方かもしれない。(A)


11月18日(月)

●次の文章の中に過去の新語・流行語はいくつありますか。「気象観測史上最長の連続猛暑日が一転、ゲリラ豪雨に見舞われライフラインが寸断された」。正解は「気象観測史上」「猛暑日」「ゲリラ豪雨」「ライフライン」の4つ▼「現代用語の基礎知識」の自由国民社が過去30年の新語・流行語の「トップ10」を発表した。列挙すると…。「安全神話」(1995年)、「オヤジギャル」(90年)、「がんばろうKOBE」(95年)、「キャバクラ」(85年)、「サポーター」(93年)、「自分で自分をほめたい」(96年)、「セクシャル・ハラスメント」(89年)、「亭主元気で留守がいい」(94年)、「同情するならカネをくれ」(94年)、「格差社会」(2006年)▼時代を反映するか、使われ続けている言葉が選ばれた。このほかにも「バブル経済」や「後期高齢者」「マニフェスト」などなじみの言葉並ぶ▼気象・災害では近年に新語が続々。経済関係では「損失補填(てん)」(91年)や「貸し渋り」(98年)などバブル崩壊に関わるものが多い▼長く使われ浸透する新語も多々。最近は、暗い世相を映す内容が目立つが、明るく、元気になれるような言葉が生まれてほしい。(T)


11月17日(日)

●自分の最期を準備する「終活」のセミナーには多くの老老男女が詰めかけるという。田舎のお墓に葬られても子や孫がお参りに来てくれるだろうか。妻は一緒に入ってくれるだろうか…▼ある葬儀社から「エンディングノート」が届いた。自分史、自分の望み、遺言、記録の4項目。生まれてから老いまでの思い出、介護や医療、葬儀について、感謝とメッセージ、預貯金…▼「テニスコートの恋」で始まり、民間初の皇太子妃、同居での子育てと新時代の皇室を体現されてきた天皇、皇后両陛下。国民負担の軽減を図るため、江戸時代から続いた土葬を火葬に変えると決断された。御葬儀も簡素化される方向▼武蔵陵墓地の陵は「寄り添って不離一体の形」になるよう隣同士に造成。天皇陛下は合葬も望まれたが、皇后さまが「天皇陵では天皇おひと方のための祭事が行われることがのぞましい」と遠慮された▼火葬と陵縮小などは以前の闘病のころから望まれて、東日本大震災の被災地を訪れて強くされたという。旧習にとらわれず新しい皇室像を求められ、国民に寄り添っておられる両陛下には「寄り添った陵」が最もふさわしい。凡人には真似のできない「終活」である。(M)


11月16日(土)

●「悪いことばかりじゃないさ」「すべてを一人で背負い込むなよ」。昨年7月のロンドン五輪開会式で、元ビートルズのポール・マッカートニーが歌った「ヘイ・ジュード」の一節。観衆と一体となっての大合唱に、20数年前に見た光景が重なった▼1990年の東京ドーム公演。観客が総立ちの中で「バンド・オン・ザ・ラン」「レット・イット・ビー」など至極の名曲が続いたが、ボルテージが最高潮に達したのは「ヘイ・ジュード」のシャウト場面。絶叫と狂騒の中で4万人超が迎えた歓喜の瞬間だった▼その後の93年、2002年に続き、ポールが11年ぶりに来日した。世界ツアーの一環で、日本では全6公演。71歳とは思えないエネルギッシュなステージを見せている▼世界の若者を熱狂させたビートルズの4人も、ジョンが80年に凶弾に倒れ、ジョージも01年に病気で逝ってしまった。だが、彼らが歌った愛と平和のメロディーは色あせることがない▼今回の公演でも「ヘイ・ジュード」は観客をヒートアップさせている。震災を経験した日本や紛争が絶えない世界に、ビートルズのメッセージは必要だ。あの甘いハイトーンで、世界の人を励ましてもらいたい。(P)


11月15日(金)

●キャロライン・ケネディさん。人種差別を訴えるキング牧師らのワシントン大行進50周年式典の演説で「日本の古い格言にあるように」と前置きし「水は流れ続けても、川は残っている」と方丈記を引用したという▼50年前に暗殺されたジョン・F・ケネディ大統領の長女。喪服のジャリリーン夫人と幼いキャロラインが星条旗に包まれた棺にキスをする姿に参列者は涙。弟はけなげに最敬礼…▼当時の警護官は「茶色の髪が目の上で自然にカールし大きな青い目は父親譲り」と記している。20歳になって叔父の上院議員と被爆地広島を訪れており、その時の印象を「心を大きく揺さぶられた」と語った▼今月22日で父親の悲劇から50年。キャロラインさんは初の女性大使で「日本こそ私の奉公先。日米同盟の絆を強くし、平和な世界の実現に貢献したい」と発言。普天間飛行場問題、TPP交渉など課題は山積している▼♪温もりが感動するほど温かい(手が)さし延べられて かわいいキャロライン〜。もちろんキャロラインは新大使を指し、彼女が子どものころヒットした曲。外交の実務経験がないセレブ大使に「温もりが感動する」日米関係の構築を期待したい。(M)


11月14日(木)

●飲酒や薬物使用、無免許など悪質な運転による死傷交通事故に対する処罰を厳しくする法案が今国会で可決される見通しだ。悲惨な事故の遺族たちの声が届いた結果▼名称は「自動車運転致死傷罪処罰法案」。懲役20年以下という危険運転致死傷罪の規定を刑法から移し、新たな罰則を設定した。飲酒や薬物使用での死亡事故は同15年以下、負傷事故は同12年。特定の病気を隠したり、虚偽の申し出をしても罪に問われる▼飲酒運転事故では、従来から「逃げ得」が指摘されていた。酒がさめたあとに出頭すれば、罪が軽くなる場合もあったからだ。無免許に関しても、昨春の京都府で発生した事故では、無免許運転を繰り返した少年を危険運転に問えなかった▼今法案は、危険運転と自動車運転過失の「中間」に位置する。危険運転が死傷事故全体の1%以下という現実の一方、自動車運転過失だと罪が軽すぎるという遺族や世論の訴えが背景にある▼ただ、この「中間」はくせもの。規定に区別がつきにくく、実際の運用面では問題も起きそう。いずれにせよドライバーへの周知徹底が必要で、何より大事なのは、悪質事故を防ぐ対策を社会としてきちんととることだ。(T)


11月13日(水)

●我が国の農業現場を根底から揺るがした米の減反政策…先日の本欄で経緯や道南が受けた実態などに触れられていたが、正直に言って農政、いや“ノー政”ここにありの感が否めない▼時代が、国際環境が変わった、それは分かる。だが、政策課題として浮上したと思っていたら、あれよという間に結論である。来年度から補助金を減額し、5年後をめどに減反制度の廃止する…自民党が機関決定した▼なんとも強引な手法というほかない。振り返ると、踏み切る際もそうだった。当時、別の新聞社で農政を担当、悲鳴が上がる道内各地の稲作現場の声を取材して歩いたが、その時に聞いた話が頭に蘇(よみがえ)ってくる▼「ここは湿地で米しか作れないんだよ」「いまさら畑作をやれったって」などなど。だが、国の姿勢は問答無用。割り当てられた作付け転換面積を達成すること、それがすべての前提で、その標的にされたのが北海道だった▼余剰米を放ってはおけない。何らかの対策が必要な事情はあったにせよ、農業現場に犠牲を強いてきたことは紛れのもない事実。だとしたら、見直しをする前段に「現場に苦労をかけた」の一言があって然るべき。失った田んぼは帰ってこない。(A)


11月12日(火)

●相手に服従を示す土下座。この強要が問題化し、一部で事件になった。報道をみる限り、土下座をさせた側が逮捕された事例では「何もそこまで…」と思わせるような内容。一体背景に何があるのか▼土下座はもともと日本古来の礼式。崇高な存在に対して恭順の意を表す際に用いられたが、謝罪や懇願のときにも使われる。高視聴率で話題になったテレビドラマ「半沢直樹」でも、クライマックスで主人公が敵役を土下座させた。これは「謝罪」より「復讐」の要素が強かった▼最近事件になった土下座は、児童の母親が小学校の担任らに暴行した上で強要したケース。また、衣料品店の客が店員を土下座させ、その様子を短文投稿サイト「ツイッター」で公開し、名誉棄損罪で罰金の略式命令を受けた▼先月末には東京の区役所で、男性職員を土下座させ、頭を踏みつけた男が公務執行妨害容疑で逮捕された。身分証がないため、戸籍謄本の申請を断られたことに腹を立てたという▼ちょっとしたことで怒りが暴発するのは、土下座という形だけではない。近年事件に発展するケースが増えているように思える。怒りの“許容量”低下は、ストレス社会を反映しているのだろうか。(T)


11月10日(日)

●相手に服従を示す土下座。この強要が問題化し、一部で事件になった。報道をみる限り、土下座をさせた側が逮捕された事例では「何もそこまで…」と思わせるような内容。一体背景に何があるのか▼土下座はもともと日本古来の礼式。崇高な存在に対して恭順の意を表す際に用いられたが、謝罪や懇願のときにも使われる。高視聴率で話題になったテレビドラマ「半沢直樹」でも、クライマックスで主人公が敵役を土下座させた。これは「謝罪」より「復讐」の要素が強かった▼最近事件になった土下座は、児童の母親が小学校の担任らに暴行した上で強要したケース。また、衣料品店の客が店員を土下座させ、その様子を短文投稿サイト「ツイッター」で公開し、名誉棄損罪で罰金の略式命令を受けた▼先月末には東京の区役所で、男性職員を土下座させ、頭を踏みつけた男が公務執行妨害容疑で逮捕された。身分証がないため、戸籍謄本の申請を断られたことに腹を立てたという▼ちょっとしたことで怒りが暴発するのは、土下座という形だけではない。近年事件に発展するケースが増えているように思える。怒りの“許容量”低下は、ストレス社会を反映しているのだろうか。(T)


11月9日(土)

●日本の農政の根幹を支えてきた政策が、ほぼ半世紀の歳月を経て大転換されそうだ。政府・自民党は、コメの生産調整(減反)を5年後をめどに廃止する方針を決めた。減反に協力した農家に支払う補助金も段階的に廃止する▼生産技術の向上でコメが余り、食糧増産から一転、減反政策が始まったのは1970年。秋田県八郎潟の干拓事業で、第一次入植者が入った3年後だ。一粒でも多く収穫したいという農家の意欲をそぎ、米価を高止まりさせたという指摘がある▼一方で、消費量に見合った生産調整をしなければコメが余り、価格が下がって小規模な農家は立ち行かなくなる。このため、コメ離れが一層深刻化する中で、減反による米価の安定は必要だとの声もある▼2025年の道南農業は、10年比で農家人口が半減、戸数も4割減となるとの推計がある。後継者のいない田畑が不耕作地となり、農村風景の荒廃が進めば、食や緑の崩壊にもつながる▼そのため、国際競争にも勝てるよう、意欲のある農家に農地を集約し、経営の大規模化を図っていくことが求められている。政府の狙いはそこにあるが、今回の減反廃止は賛否両論がある。十分な議論が必要だ。(P)


11月8日(金)

●偽装表示、誤表示、そして不適切表示…。やはり氷山の一角だった。メニュー偽装は全国に広がるばかり。有名ホテルや老舗デパートでも。食品、食材の業界が汚染されているのでは▼「和食 日本人の伝統的な食文化」がユネスコの世界無形文化遺産に登録決定した矢先。「一汁三菜」を中心にした日本食は、肥満や生活習慣病の予防に役立ち、長寿食でもある。お米、みそ、しょうゆ、だしが支えてきた▼「おせち料理」や「七草がゆ」など年中行事とも密接に連動。政府が定義する「四季の山海の幸」や「美しい盛り付け」を満たしており、世界の人々に感動を与える。北海道遺産のサケやジンギスカンも外国人観光客に人気▼全国に広まった食材の偽装は、ユネスコの無形文化遺産登録に影響しないか心配だ。食材の表示を規制する法律では大手デパートやホテルのレストランメニューは対象外で、異なる食材を表示しても違反にならないという▼素人には味の違いは分からないだろうと、産地を偽ったり、鮮魚が冷凍だったり、モラルを欠いた「不当利益」が常態化。「料理人を含め利益ありきで、良心のかけらもない」と憤りの声。日本が誇る「おもてなし」の心はどこへいった。(M)


11月7日(木)

●肥満は健康の赤信号…。近年はメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)とも重なり合って注意を呼びかけられているが、飽食の時代を反映して肥満は世界的に増える傾向▼対策として日常的に必要とされるのが、塩分や糖分を控えることであり、運動をすることなど。だが、高カロリーの食べ物が氾濫する現在、頭では分かっていても、いざ実行となると、言うは易(やす)く行うは難し▼それでいいのか、あくまで個人の問題だが、肥満率が高いとなると、国としても放ってはおけない。国連食糧農業基金の調査から世界で最も率が高いとされたメキシコで、議会上院が苦肉の策とも言える大胆な法案を可決した▼それは炭酸飲料などカロリーの高いすべての食品に8%の税を課すという通称カロリー税の新設。実際の消費量はどうかというと確かに。炭酸飲料はアメリカ人よりも4割も多い(世界保健機関調べ)という▼こうした趣旨の課税は、メキシコが初めてでない。2年前にハンガリーが通称ポテトチップス税を導入し、話題になったのは記憶に新しい。いずれも大義名分はある。気になるのは国民の理解だが、メキシコでは大揺れという。政治というのは本当に難しい。(A)


11月6日(水)

●独り暮らしの親から遠く離れて暮らしていると心配が募る。食事は摂っているか、風邪を引いていないか、火の始末は大丈夫か…高齢になるほど、その度合いは高くなる▼かといって自分にも仕事や生活がある。日常的に出来るのは電話をかけることぐらい。なんとももどかしい。そんな思いを抱いている人は多いはず▼内閣府の高齢社会白書(2012年版)によると、その人数は北海道で26万人、全国で479万人。高齢世帯を含めると、その数はさらに。こうした時代に社会が求められているのが「支え合い」▼その具体策に「見守り」がある。具体的事例を「コープさっぽろ」に見ることができる。宅配や配食サービス事業に緊急連絡システムを加味した取り組み。それは配達時、何か異変を感じた時に、予め登録してある親族らに直接連絡する。買い物や食事の心配がないばかりか、日常的に安否の確認をしてもらえるのだから、親族は何とも心強い▼この「見守り」こそ「支え合い」の大前提。その役割を地域、とりわけ隣近所に求めるにしても昔ほど多く望めない。としたら、業務を通した事業者の活動は一方の大きな柱。道南でもその輪は広がりつつあるのがうれしい。(A)


11月5日(火)

●集中力が途切れたり、眠気が襲ったり、姿勢が乱れたりすると、木の棒で肩をバシッと叩く。お寺で子どもたちが体験する座禅の警策は体罰(暴力)になるのではないかと、かつて騒がれた▼修行として体罰はどこまで許されるのか。先ほど、空海生誕の地といわれる善通寺(香川県)で、修行に来ていた20代の男性僧侶が20日間にわたって、道場で指導役の30代の僧侶から暴力を受けていた▼若い僧侶は読経方法や作法を学んでいたが、教科が変わると指導役から「出来が悪い」などと殴り蹴られ、あばら骨が折れるなど2週間のけが。以前、岩手県でも若い修行僧に暴力を振るっていた僧侶2人が逮捕されている▼最近は会社を短期間で辞めてしまうことが多い。このため「若者を辞めさせない研修」が好評で、座禅が必修のようになった。足や腰、背中が痛くなり、まさに苦行。「雑念していないのに棒で叩かれた。文句いえないのですか」という質問も出たとか▼文部科学省は、長時間にわたる正座・直立なども「体罰」と定義している。そこで低学年には肩の骨に当たらないよう静かに当てている。精神統一の修行の模範になる僧侶が暴力を振るうなんてとんでもない。(M)


11月4日(月)

●食品偽装問題といえば、雪印食品による2001年の牛肉偽装、ミートホープによる07年の食肉偽装が記憶に新しい。ともに刑事事件に発展し世間を大きく騒がす大騒ぎとなった▼今回の高級ホテルなどを中心とする偽装問題でも、当初は外食産業を揺るがす大騒動になると思われたのだが、ここに来て少々風向きが変わってきた▼というのは、今回やり玉に挙がった「芝エビ」の代用に「バナメイエビ」を使用する行為は、業界では当たり前の慣習として黙認されていたことが明らかになったからだ。いち早く謝罪会見を行った阪急阪神ホテルズに対して、「あそこまで頭を下げなくてもよかったのでは」と同情の声さえ挙がる始末▼考えてみれば我々消費者も、なんの疑いもなくバナメイエビを使った料理を満足して食していたのだから、「知らぬが仏」のままが幸せだったのかもしれない。もちろん、安い食材に見合わない高い料金を払っていたことについては、納得はいかないが▼もうひとつ気になるのが、偽装が発覚した店の中には、某有名レストランガイド本で、ちゃっかり星をもらっていたところがあったこと。こちらの方が信頼を揺るがす大問題かも(U)


11月3日(日)

●食育が重要視されて久しい。食材の栄養価などを教え、食事の大事さを認識させる。さらには調理する人に感謝することも。学校給食は食育実践の場であり、そこに存在の意義がある▼好き嫌いをなくさせ、栄養を偏らせないようにすることは、子供の食事で親が最も頭を悩ます点。それは学校給食の現場も同じで、まずは関心を抱かせること…道東のある市の共同調理場が一つ試みた▼その食材はニンジン。“ラッキー人参(ニンジン)の日”と銘打って、汁物メニューに各学級に2個程度当たるように、星形に切ったのを入れたという。「(自分のところに)入っていたら何かいいことがあるかも?」と▼かなりの数を一個ずつくり抜き、この星形だけを別に塩ゆでし、後から各学級の食缶に加えなければならない。手間はかかる。だが、予想以上に好評で、配食の際もよくかき混ぜ、子供たちが必死に探していたという▼これでニンジン嫌いの子が減ってくれれば言うことはないが、あくまで一つのきっかけづくり。近年は食物アレルギーの子が増えて、その食材も多様化している。給食現場の苦労は分かるが、ちょっとした遊び心も大事。この試みがそう教えてくれる。(A)


11月2日(土)

●マルマラ海と黒海を結び、ヨーロッパとアジア大陸を分けるトルコのボスポラス海峡に、日本の技術で海底トンネルが通った。経済発展とともに交通渋滞が深刻化するイスタンブールの東西を、地下鉄が結ぶ▼海峡は潮流が速く、深さ60メートルの海底に巨大な筒を正確に埋め、つなぎ合わせなければならなかったという。しかし、日本の技術は青函トンネルでも実証済み。気候や潮流を調査し、難工事を成功させた▼「日本とトルコの協力で達成された歴史的業績」と、現地の式典に出席した安倍首相は述べた。今後もインフラ輸出を強める考えで、経済発展が続く海外の市場を取り込む戦略だ▼20年ほど前に訪れたトルコで、イスタンブールの丘に建つガラタ塔から、360度のパノラマでボスポラス海峡や街を眺めた。夕日が沈む金角湾の遠景にモスクやビル群が輝き、この先がヨーロッパ、背中がアジアなのだと実感した▼海底トンネルはオスマントルコ時代に計画が持ち上がった。150年来の悲願で、開通によりロンドンから北京まで鉄道で結ばれることに。軍事、交易の要衝で、世界の中心だった親日国の地に、新たな大動脈ができたことを喜びたい。(P)


11月1日(金)

●大リーグで日本人選手が活躍する姿は珍しい光景ではないが、ワールドシリーズという最高峰の舞台での上原浩二投手の胴上げシーンには、胸にこみ上げてくるものがあった▼今年の大リーグは、ダルビッシュ有の準完全試合で幕を開けると、岩隈久志、黒田博樹を含む3投手によるハイレベルな白星争いに注目が集まった。しかしシーズンの最後に話題を独占したのは〝雑草魂〟を掲げる38歳の職人だった▼米全国紙USAトゥデー電子版は、「レッドソックスを嫌いでも、38歳のクローザーは好きにならなくてはいけない」と上原を特集している。選手としての実力はもちろんだが、ファンと気軽にハイタッチするなどの親しみやすい人間性も高く評価する▼ア・リーグ優勝後のインタビューに長男の一真君が登場し、喝采を浴びたのは記憶に新しい。プロ野球の外国人選手も、試合後に子どもと一緒にインタビューを受けることが見られるので、大リーグ流のファンサービスなのだろう▼日本でのエースの座を捨て未知の環境に身を投じた上原にとって、「郷に入れば郷に従え」をひたむきに実践してきた姿こそが、米の野球ファンに愛される理由なのかもしれない。(U)