平成25年2月


2月28日(木)

●大雪に悩む札幌市が除雪費25億円を再補正した。今年度は史上2番目の194億円になるという。これは北斗市の来年度一般会計予算案とほぼ同じ。驚くべき額。函館市も昨冬ほどではないが、6億円を突破しそう▼北国だからとあきらめるのは早計。降雪を前提としたコンパクトな街づくりを目指すことで除雪費抑制は可能と発想を転換すべきでは…▼例えば宅地開発。都市部では住宅が郊外に流出するドーナツ化現象が進みがち。地価などの要因が大きく、どこも成り行きまかせで市街地が膨張する傾向にある。だが、住宅地の拡散は道路の延伸を招き、除雪費は嵩(かさ)む。郊外まで除雪車が回り切れないのに、除雪が行き届いた中心部は人が少なく閑散—という笑えない話も▼車社会も拍車をかける。渋滞解消と称して、幹線道路を次々と整備すると、やはり除雪路線は伸びる。路面電車やバスの利用が増えれば、道路整備の優先度は変わる▼除雪費は多額の“投資”の割に、どんなにやっても市民の満足度は低い。極端な話、除雪延長が半分なら予算は半分で済む。同額なら2倍出動できる。この膨大なお金をもっと有効に使えるような街づくりを長期的な視点で考えたい。(T)


2月27日(水)

●TPP(環太平洋連携協定)の交渉参加が濃厚になってきた。安倍首相は日米首脳会談で「聖域なき関税撤廃が前提ではない」と確認できたとして、一歩を踏み出しそうな気配▼先の衆院選でTPPは大きな争点。特に道内は与野党候補を問わず、交渉参加に「反対」のトーンが強かった。この急激な“転進”を「どうして」と見ている人は多いのでは…▼強く反応したのは農業界。JA北海道中央会の飛田稔章会長は「条件闘争にしてはならない」と、交渉参加への反対姿勢を改めて表明した。飛田会長の地元は十勝管内幕別町。畑作地帯の中心地だ▼畑作には「輪作」という考え方がある。小麦、ジャガイモ、ビート、豆類の4作物を順に栽培することで病害を防止し、土を維持している。4品のどれが欠けても「輪作」維持は困難▼問題は関税だけではない。遺伝子組み換え作物や食品添加物の規制緩和、医療分野の保険自由化や混合診療解禁も。協定に違反したら政府や自治体への賠償金請求も想定されている。そうなると有効な国内保護策は取りづらいし、一度締結したら離脱が難しくなる。いくつかの「例外」で「国益」が守られるのか—。交渉は茨(いばら)の道だ。(T)



2月26日(火)

●「命がけだった。直感的にアメリカやと思った」「キノコ雲を見たと自慢していた」「夫だけ(遺骨が)ごちゃごちゃ」…。59年前、水爆実験で「死の灰」を浴びたマグロ漁船の悲惨な体験▼米国が1954年3月から5月にかけ、太平洋のビキニ環礁で行った6回の水爆実験。初回の3月1日、160キロ東にいた静岡県の「第五福竜丸」が被ばく。無線長の久保山愛吉山さんが放射線障害で死亡した▼実際は福竜丸だけではなく、992隻が被ばく。漁船員の多くは胃がんなどで人知れず亡くなっている。汚染した魚は人体に影響ないと放射線の検査を打ち切り、水揚げされた魚は全国の食卓に▼それなのに政府は米国から200万ドルの慰謝料をもらっただけで事実を隠蔽。高知県の高校教諭や生徒が漁船員たちの消息、日米の機密文章、汚染実態などを追跡調査したのが映画「放射線を浴びたX年後」。今、全国で自主上映されている▼機密保全のため福竜丸の沈没も考えられたが、東京湾の「夢の島」に展示、朽ち果てた船体は「ノーモア水爆」を訴えた。福島原発の放射能汚染で苦しんでいる列島、遠く南の島で散った漁船員の叫びを忘れてはならぬ。もうすぐ悪夢の「ビキニ・デー」。(M)


2月25日(月)

●23、24の両日、東京電機大で、ユニークなコンテストが開かれた。頼もしいというか、ちょっと恐ろしいというか…。それはコンピューターのハッキング技術を競う大会だ▼その名もSECCON(セクコン)。サーバーの弱点を見つけて侵入する腕前を競う。ハッキングというと犯罪的なイメージが伴うが、心配は無用。この大会は日本ネットワークセキュリティ協会も主催者に名を連ねる立派な競技会だ▼出場するのは予選を勝ち抜いた10チーム。選手は大学生や大学院生が多いが、なかには神戸市の進学校、灘中学・高校の生徒を中心とした平均年齢15歳台のチームも▼現代社会はコンピューターのネットワークなしでは成り立たない。サーバーの安全性が脅かされると、実害を伴う社会不安につながる。国内でも遠隔操作ソフトを使ったネット上の「なりすまし」が大きな事件になったばかり。セキュリティー技術はより重要度を増している▼セクコンの出場チームの紹介文を読んだが、専門用語でチンプンカンプン。ネット上の罠に無知な一般ユーザーは、彼らのような良心的な技術者に頼るしかない。犯罪的行為に対抗する人材を育てるコンテストとして成長してほしい。(T)


2月24日(日)

●表彰台で一番高い台に立っているのに、背が一番低いという光景は何ともほほえましい。2位の選手に抱き上げられ台に上ったことも。今季の女子ジャンプW杯で史上最年少の世界女王に輝いた、上川町出身の身長151㌢の少女、高梨沙羅さんのことだ▼かつて、ジャンプ競技は他のスポーツに比べて恐怖感を伴うもので、重刑囚がこのジャンプをクリアすれば刑が軽減されるということが起源とか。この恐怖心もものかは、沙羅さんは小2からジャンプを始めた▼助走スピード、踏み切りの強さ、最適軌道への飛び出し、着地のテレマーク…。国際大会に女子部門ができた4年前から頭角をあらわす。研究熱心で外人に有利なルールに改正されても次々と克服▼スロベニアの今季のW杯14戦で最長92㍍の大ジャンプで8勝目。ライバルの米国のサラ選手に大差をつけて初の総合優勝。続く世界選手権では惜しくも2位に終わったが、世界最強の評価が揺らぐことはない▼「美しく、かわいく、より遠くへ」がモットー。まだ16歳の小柄な天才少女は助走に速度は出にくいが、高い技術と精神的な安定感で頂点に。暗いニュースが続くスポーツ界に夢と勇気を与えた。ソチ五輪では、ジャンプで16年ぶりの金メダルを目指す。(M)


2月23日(土)

●地球儀を見る。千島列島から延びる北方領土は、実効支配するロシアにとって凍らない海であり、戦略的に重要だ。終戦時、ソ連は北海道の北半分の占領をアメリカに求めたが、仮にそうなっていたらオホーツク海はロシアの内海になった▼安倍晋三首相の特使としてロシアを訪れた森喜朗元首相が、プーチン大統領と会談。大統領は北方領土問題の解決に意欲を示し、経済やエネルギー分野の協力についても意見を交わした▼柔道を愛するプーチン氏が示した「引き分け」による最終決着。その真意を森氏に問われると「勝ち負けなしで、双方が受け入れ可能な解決策」と語った。森氏も「お互いに譲り合うことも大事だ」と述べ、気脈が通じているよう▼日本側がみる「引き分け」は、択捉の一部を入れた面積等分か、国後、歯舞、色丹の3島返還だろう。ただ、ロシアは歯舞、色丹の2島返還と平和条約締結を基本ラインとしている▼両国の隔たりは大きいが、ロシアは極東開発や天然ガス供給で日本の力や市場に目を向けている。そうした背景を踏まえて、交渉が継続されるだろう。日本でいう「引き分け」に持ち込むのは容易ではないが、進展に期待したい。(P)


2月22日(金)

●国会の「事前報道ルール」が、今度こそ廃止されそうだ。「そうだ」というのも、自民と民主でいったん合意しながら反古(ほご)にした経緯があるから。お粗末のそしりは免れない▼この問題に触れるのは三度目だが、それは国会論議と異質の申し合わせゆえ。人事案に対する国会の使命は適格性を判断することで、情報管理の問題があるとしても事前の予測報道まで制約する姿勢に大義はない▼廃止が当然と叫ばれる理由もそこにあるが、どうも理解が難しかったらしい。自・民で廃止に合意(国対委員長会談)した後、公取委員長人事が報道されるや民主が提示の受け入れを拒否、政府の釈明を受けて対応は一転…▼こうした動きに対する批判は、世論ばかりか他党からも。維新の橋下代表は「ばかげたルール」と切り捨て、共産の志位委員長も「それしか抵抗することはないのか」と。19日に与野党国対委員長会談が開かれた▼結果は廃止で合意。二党間でないから覆(くつがえ)ることはないだろうが、そこは国会。たいして意味がない条件をつけたのは余分だが、そこは百歩譲って合意は可としたい。その試金石ともなる日銀の総裁、副総裁人事案提示は今月末に迫っている。(A)


2月21日(木)

●来年のソチ冬季五輪に向けて、ニュースでの露出度が増えてきたカーリング。17日には日本選手権の決勝が行われ、注目の女子は中部電力(長野)が北海道銀行を下して、3月の世界選手権の切符を手にした▼女子カーリングのトップ選手をみると、特定地域の出身者が多い。北見市常呂町だ。準Vの道銀は5人中4人、予選で中部電力に勝ったLS北見は5人全員。中部電力もスキップがそうだ。なぜか。それは常呂に国内最初の屋内専用リンクがあるからだ▼開業は合併前の1988(昭和63)年。リンクは5シートをあり、町内のリーグ戦から全日本クラスまで数多くの大会が開かれている▼冬季スポーツの普及やレベルは施設で決まる。今、道内で屋内専用リンクがあるのは、常呂、札幌、帯広など数少ない。これ以外の地域では競技人口がほぼゼロに近い▼カーリングを何季かプレーしたことがある。ローカル大会だったので、体力、年齢に関係なく楽しめた。生涯スポーツとしての将来性を感じた。道南は冬のレジャーが少ないと言われている。カーリングの普及を図ってみてはいかがだろうか。市民スケート場の入り口にあるカーリングストーンをぜひ活用してほしい。(T)


2月20日(水)

●牛海綿状脳症(BSE)の全頭検査をめぐる論議が高まっている。国が4月から検査対象を月齢21カ月から31カ月に引き上げるからだ。牛の処理頭数が全国一の道は独自に全頭を検査しているが、果たして扱いは…▼国内のBSE問題ぼっ発は2001年。道内で生まれた千葉の乳牛が国内初の感染牛として確認された。以降09年まで36例(うち道内25例)が見つかった▼BSEはタンパク質の一種・異常プリオンが引き起こす。人のクロイツフェルト・ヤコブ病の原因ともされ、最初に発見された際には牛肉不買の動きが広がった▼当時農業担当記者として、騒動の真っただ中にいた。乳牛や枝肉の市場では、買い手がつかない。値がついても以前の3分の1から5分の1。それでも売れればマシという状況だった▼プリオン病は感染—発病のメカニズムに不明な部分が多く、科学的な説得は効をなさなかった。そこで全てを検査し「検査済みだから安全です」と訴えたのだ。その根拠が崩れると、次に発生した時にあの不買行動が再燃するのではと危惧する。消費者は科学的根拠だけで商品を選ぶ訳ではない。畜産王国北海道はあの騒動を忘れてはならない。(T)


2月19日(火)

●ウインタースポーツは終盤を迎えつつある。今シーズン、最も輝いたのは、この選手ということで異論はあるまい。スキージャンプの高梨沙羅。2戦を残してワールドカップ(W杯)の総合優勝を決めた▼16歳4カ月、152㌢、45㌔。外国の選手と並ぶと体格差は歴然。だが、その小柄な体が生み出すダイナミックなジャンプは、見る人を圧倒する。しかも、インタビューの受け答えも常に謙虚で爽やか▼暴風雪だった蔵王の前日には「アウトドアスポーツではよくあることですから」。総合優勝に話が及んだ際も「目の前の一戦一戦ベストを尽くしたい」。そして7勝後には「自分がやらなければならないことをやるだけ」と▼W杯は、肉体的にも、精神的にもハードな転戦。札幌では本来のジャンプは出来なかった。往々にして尾を引くものだが、次戦の蔵王で復活し、その後の海外で3連勝というのだから恐れ入る▼過剰な気負いやナーバスな姿を見せることがない。技術が拮抗(●きっこう)する中で、安定的な成績を残すのは至難なこと。専門家が「精神面の強さ」を感嘆する理由もそこにある。プレッシャーをかけるつもりはないが、ソチ五輪が楽しみになってくる。(A)


2月18日(月)

●統計上減ってはいても、それを実感できないことは意外と多い。自転車の事故もその一つ。確かに自転車関連の事故は一時の年間18万件レベルが、一昨年は15万5千件、昨年は14万7千件台▼事故処理では原因側を第一当事者(一当)、被害側を第二当事者(二当)という扱い方をする。自転車は二当が圧倒的に多いのだが、一当の事故も年間2万件超も発生している。うち歩行者が相手の事故が3千件弱…▼10年前に比べ1・5倍に増えているという。さらに自転車死亡事故の半数が出会い頭というデータも。実際に歩いていて、車を運転していて、交差点などでヒヤッとさせられることがある▼それでも悪質でない限り指導にとどめられていたが、放ったままにもしておけない。警察庁が法(道交法)改正を伴う対策に乗り出した。その柱とされているのが「悪質者に対する講習受講の義務化」▼まだ試案で、意見聴取の段階だが、まずは受講…拒否で罰則適用という手順。ただ、対象を「危険な運転を繰り返す(人)」と限定していいのか、悪質者に講習で効果が期待できるのか、という思いもある。もちろん取り越し苦労であってほしいのだが。(A)


2月17日(日)

●グアムの繁華街で邦人13人が死傷した無差別殺傷事件。人気の観光地だけに、道南から当地を訪れた経験のある人は少なくないはず。思い出と重ね合わせて、この凄惨な事件に背筋を凍らせたことだろう▼筆者の家族も一昨年、グアムを観光で訪れた。事件のあった場所は、観光客で常にぎわう一帯で、車が突っ込んだ店で買い物もしたという▼犯人が明確な殺意を持って、あのような行動を取ったら、観光気分の買い物客が抵抗するのは難しい。当然のことだが、事件の容疑者のような人間がグアムにたくさんいる訳ではない。だが、この惨劇はグアムという観光地のイメージを大きく損なった▼国内有数の観光地・函館は年間400万人を超す観光客を迎えている。今回のような事件が函館で起こってしまったらと考えると、安全こそが「もてなし」の最低条件だということが身にしみてくる▼安全なマチとはどういうマチだろうか。結局のところ、住民が安心して住める場所ということになるだろう。安心や安全は周囲への配慮や思いやりなど小さなことから培われる。グアムの事件を「他山の石」として、この機会に函館の安全や住みやすさを考えたい。(T)


2月16日(土)

●春になると偏西風に乗って中国大陸から運ばれてくる黄砂。上昇気流で巻き上げられた黄河流域や砂漠の砂が、越境して飛来する。季節的な自然現象とみられてきたが、最近の研究報告では、森林減少や砂漠化などによる人為的な影響との見方が強まっている▼その黄砂に加え、越境する公害の心配がひとつ増えた。深刻化する大気汚染である。スモッグの中に、肺がんやぜんそくを引き起こす恐れがある微小粒子状物質が大量に発生し、中国の人口の半分が影響を受けているという▼品質の低いガソリンや石炭の大量使用などが原因。北京では、1日でたばこ1箱を吸うのと同等の健康被害がある。業務用マスクが飛ぶように売れ、空気清浄機の増産も始まった▼工業化を優先し、環境対策を後回しにしてきた結果である。日本も高度成長期に光化学スモッグやヘドロ、鉱毒などによる環境汚染を経験した。今の中国と同じように、経済を優先し公害のしっぺ返しを受けた国の一つである▼日中間の対立は横に置き、公害の拡大と拡散を防ぐ助言や技術提供を進めることはできないか。環境を無視した経済に真の成長はない。国境を超えたチームワークがいまこそ必要だ。(P)


2月15日(金)

●「北が3度目の核実験」のニュースを観ていたら、荒廃した田んぼだろうか、ミレーの「落穂拾い」のように穂を拾っている老女の映像。「たくさん拾いましたか」「こんなもんじゃ足りない…」▼世界の飢餓人口は9億人超で6人に1人が飢餓に直面。北朝鮮で20年ほど前に食糧不足が始まってから300人が餓死したとみられる。ミサイル一発の費用で全人民にトウモロコシが配布できるという▼3代目の金正恩第1書記が国際社会の懸念をよそに、父親の「遺訓」を守って米国をターゲットにした核実験。遺訓は核兵器と長距離ミサイル、生物化学兵器。しかし、祖父の遺訓は「朝鮮半島の非核化」だった▼風貌は祖父を真似ながら、遺訓は祖父に背いて父親に従順。ミサイル打ち上げ、今回の核実験にしても、軍服のたいこ持ちがおだて、はやしているのではないか。「核カード」の威力を手にしたつもり…▼世界を敵に回す選択は、対話の機会をも放棄した。会津藩の掟に「卑怯な振舞をしてはなりませぬ」とある。卑怯とは「心だてのいやしいこと」だ。苦しむのは軍部に米を奪い取られる「落穂拾い」の老女や子供たち。「八重の桜」は「ならぬことはならぬ」と戒めている。(M)


2月14日(木)

●41年前の2月13日、札幌オリンピックが閉幕した。笠谷、金野、青地の「日の丸飛行隊」が70メートル級の表彰台を独占したときは子供ながらに興奮し、誇らしく思った▼次の冬季五輪はロシアのソチ。出場権第1号はアイスホッケー(IH)女子。前バンクーバー五輪予選では「あと1勝」に泣いた。今最終予選では勝利が必要な最終戦で首位デンマークに5—0で快勝し、出場権を手にした。地元枠の長野を除くと、自力出場は初▼IHは全国的にはマイナーだ。たとえ日本代表であっても女子は全員がアマチュア。アルバイトで生計をつなぎ、自腹で遠征や合宿に参加してきた選手も多い。ハンディを克服しての快挙は称賛に値する▼函館では12日、函新杯IH大会が閉幕した。参加7チームの選手は中学生から60代までと幅広い。中には女子も。高校、大学での経験者も初心者も同じ氷上に立つ。シーズンは約1カ月と短いが、道内でも数少ないリーグを維持している▼IHは最も高速な球技。「氷上の格闘技」と言われる激しさはもちろん、瞬時の判断力や高度な戦術理解が求められる頭脳的スポーツでもある。五輪出場で注目度が増し、IH競技への理解が深まってほしい。(T)


2月13日(水)

●16日未明の「天体ショー」に天文学者らが注目している。小惑星が静止衛星の軌道より内側を通過するのだ。だが心配は無用。地球への衝突の恐れは全くないとのこと▼この小惑星は昨年2月に発見された「2012DA14」で、直径45㍍、重さ13万㌧(推定)。秒速8㌔(時速2880㌔)で南極方向から地球に接近、16日午前4時24分にインド洋上空2万7700㌔で最も近づく。日本からも天体望遠鏡で見られるらしい▼地球の近くを通る天体は地球近傍天体(NEO)と呼ばれる。これまでに6000個超が確認され、うち1000個余りが地球衝突の可能性を持っている▼観測例の中で最も地球に近かったのは04年の「2004FU162」。直径10㍍の小惑星が6500㌔上空をかすめた。小さかったので、発見は最接近のわずか9時間前だった。08年にはスーダン上空で実際に大気圏突入を観測した例もある▼NEOを探し、追跡しているのが「スペースガード」のプロジェクト。本部はNPOの財団で、日本を含む世界各国が支援している。次々と成果が挙がる一方、まだまだ未発見のNEOも数多いという。観測は怠りなくしてほしいが、重大な発見はないことを願う。(T)


2月11日(月)

●コンビニチェーンのローソンが年収の3%(平均)引き上げを発表した。賞与に上乗せする形で一人当たり年15万円。注目は、最も金のかかる「子育て世代」に厚くする点▼雇用や給与水準は企業の経営内容などに委ねられる。故に格差が生じるわけだが、政府がどう求めようとも、ない袖は振れず。こうした配慮が出来るのは大手など、ごく一部だけ。中小、零細企業はしたくても出来ない▼ただ、生活に目を向けると、中学生から大学生の子を抱えた世代の家計は大変。住宅ローンなどもあると火の車。だからと言って収入にその考慮はない。経験した一人として、ふと思ったのは税金の仕組みだった▼ちょうどその頃、財務省からモニターを仰せつかった。求められて、こう話したことがある。「いわゆる子育て世代の所得税や住民税を軽減し、その分は子育てを終った世代で負荷することは考えられないか」▼景気が悪くなろうが、良くなろうとも、企業間の格差が無くなることはない。そこに政治が期待される理由があるのだが、これだと児童手当とか子ども手当とかの新たな制度を設ける必要もない。消費税も一律に上がる。企業に所得増を督励するだけでは寂しすぎる。(A)


2月10日(日)

●さっぽろ雪まつりの大通会場でトイレを掃除している少女がいた。高校生で「トイレの神様」の歌を聴いてから「べっぴんさんに絶対なりたくて」機会あるごと公園などで磨いているという▼雪まつりを見に来た福島県の友人は遅々として進まぬ放射性物質の除染作業を嘆く。公園や学校での除染は穴を掘ってビニールシートを敷き、汚染された土を入れて、きれいな土をかぶせるだけという。雨が降ると、シートに遮られてしみこまない▼雨は側溝に流れ込んでしまう。水をまきながら道路や屋根をブラシでこするが、これも側溝に。樹木も水をかけて流すが、飛び散った水はそのまま。国がきめ細かい除染指針を出さないから、手抜き除染も横行する▼「原発港湾の魚駆除へ」という記事を読んだ。港湾の口を網で封鎖して生息する魚をすべて捕獲、放射性物質を分析するという。広い海の汚染は原発に面した港湾にとどまらないはず。この“魚の掃除”は理解できない▼ケガレを払い除く掃除は精神を磨くことでもある。学校に掃除の時間があるのは心を清めるため。大震災からまもなく2年。原発事故の大掃除が「除染」ではなく「移染」とあっては、少女が歌う「トイレの神様」に叱られる。(M)


2月9日(土)

●参院の国対委員長会談でまとまったことを、こうも簡単に反故にするのでは、国対の権威も何もあったものではない。1月末に合意した「事前報道ルール」の廃止が、一転、逆戻りしてしまった▼先日の本欄で、ようやく国会も気がついたか、と触れたばかり。理由は参院民主党が受け入れを拒否したからだが、その背景は国会の駆け引き。これでは政党として疑問を投げかけられても仕方ない▼おさらいになるが、この「事前報道ルール」は、国会の承認を必要とする日銀総裁などの人事案件で、事前に報道された場合、その提案を受け付けないという政党間の申し合わせ。2007年から続いている▼人事案件で国会に求められているのは、その人物の適格性。だが、どうも既成大政党は勘違いしているらしい。最初に知らせるかどうかが最も大事なのだと。それでも、まさかという期待感はあったが▼8日の衆参両院の議運理事会で、示された14機関41人について民主は拒否して退席したという。公取委員長が予測報道されたからだが、こんなことを繰り返していては、政治不信を増幅させるばかり。改めて言わせてもらおう…「事前報道ルール」に大義はない。(A)


2月8日(金)

●中国海軍の艦艇が自衛隊の護衛艦などに火器管制レーダーを照射したことが明らかになった。実射の意志はなかったと信じたいが、威嚇、挑発と受け取られても仕方ない危険行為に批判が高まっている▼随分前になるが、陸上自衛隊の対戦車ヘリコプター(AH1S)の操縦シミュレーターを体験した。大きな体育館の中にコックピットの実物を配した個室があった。操縦かんを操作すると部屋ごと動くので、中にいると実際に飛んでいるような感覚になる▼射撃手の操縦室で、スコープを覗いて模擬射撃も体験した。敵の戦車を想定する点に照準を合わせ、赤いボタンを押すとロケット弾が目標に向かって誘導される。2度射って、2発目に命中した。その照準は「火器管制レーダー」の一種だったのでは…▼陸自の担当者は「照準を当てると敵は即時に攻撃してきます。それから逃げながら当てるのは難しいですよ」と教えてくれた。レーダーを照射した時点で実質的な戦闘が始まるのだ▼今は戦時中ではないが、不用意な威嚇によって偶発的な衝突が起こる可能性はある。冷戦下の米ソでさえ、こうしたケースを回避するルールを定めた。日中政府の緊密な対話が不可欠だ。(T)


2月7日(木)

●一流と呼ばれるアスリートの圧倒的多くは、練習や調整に没頭できる環境下にいる。当たり前のように指導者もついて。だから、その環境を拒否することに不安がつきまとう▼あくまで一般論だが、そうした誘いを断り、自分流を貫いて記録を残している人がいる。そう公務員ランナーとして知られるマラソンの川内優輝さん(埼玉県職員)。大会への出場が練習と語ってはばからない▼それは、指導者と名のつく人が否定する陸上界の非常識だが、けろっとしたもの。1月の18日にエジプト国際マラソンで優勝し、帰国してから2週間…この3日には別府大分毎日マラソンで2時間8分台の記録を残して優勝した▼彼にとって、エジプトは別府大分のための練習だったのかもしれない。実は2週間でのマラソン2回出場は、これが初めてでない。一昨年の12月にも4日と18日に。実業団の所属選手なら止められたに違いない▼その善し悪し論議はともかく、一流アスリートは最も己を知っている。今、柔道の体罰問題に端を発し、スポーツ界は指導のあり方を巡って揺れているが、それはある意味、既成概念を外して考えろ、というメッセージ。彼の姿勢はそれとだぶって映ってくる。(A)


2月6日(水)

●昨年12月から今年1月にかけて例年になく早く、多い積雪に悩まされた道南。一時は暖気もあって改善したが、ここ数日の降雪で道路は再び雪道となった▼この時期、市や道、国など道路管理者には除雪に関する苦情が増える。管理者としては、たくさん出動したいだろうが、財布の中味には限界がある。全路線を完璧に除雪するのは無理というもの▼道東の帯広市には、「スリップバスターズ」という有志グループがある。道東は冬の気温が氷点下20度を下回ることも珍しくなく、一度降った雪はなかなか融けない。「バスターズ」は道路管理者から譲り受けた焼き砂を自家用車に積み、ツルツル路面の危険個所に、自発的に砂をまく活動を10年間も続けている▼オホーツク管内の美幌町には、独居高齢者宅の雪かきを買って出る「たすけあいチーム」が20年以上も前からある。どちらも「官」に頼らない「民」の奉仕活動だ▼もちろん「官」でなければ除雪ができない場所はたくさんある。それはしっかりやってもらいたい。だが、周りを見渡してみて自分たちにもできることはないだろうか。市民みんなが力を少しずつ出し合えば、冬の函館はそのぶん住みやすくなる。(T)


2月5日(火)

●江差は「たば風」と「美しい夕日」のマチ。特に日本海からヒノキ(町の木)が生い茂る本山や笹山、椴山に吹き付ける、たば風には閉口したものだ。その「たば風の祭典」が開催中▼江戸時代の江差はニシン漁とヒノキの交易で繁栄。ヒノキは樹齢1000年で伐採しても1000年はもち、寺院の柱などに使われる。豊かな山があって、山の栄養分が川を下り、鴎島沖にニシンが群来▼交易の主役は北前船。江差追分や絢爛豪華な山車まで運んだ。高校の恩師が「北前船の頃は買う組織、売る組織が団結して、ニシンの財産を不動産に換えるなど江差商人にはバイタリティーがあった」と話していた▼3万人の人口は激減し、たば風を逆手にとり厳寒を満喫しようと始まったのが冬の祭典。追分セミナーやひのきコンサートなど開催。先日、廃止案のある江差駅では線路に感謝する77年前の開通当時のにぎわいが再現された▼列車が着くと、行商や女学生、芸者、赤ちゃんを背負った主婦らが懐かしい衣装で出迎えた。江差駅に強い思いを込めた寸劇も披露。当時は函館からの行商人や通学生らでにぎわった。いにしえ街道やヒノキ原生林活用などで活気を取り戻そう。(M)


2月4日(月)

●森町消防本部の昨年1年間の救急搬送が過去最多の1117件に上ったが、うち4割は軽症患者だという。同本部は救急車の適正利用を呼び掛けているが、これが難しい▼軽症患者の出動要請が、救急車の「安易な利用」とは言い切れない。ただ、軽症患者の割合が高くなれば、1秒を争う重症患者の救命救急に支障を来す。だから消防は、明らかに軽症とみられる場合は出動を見合わせることもある▼しかし、そこにも落とし穴が。道内では過去に、隊員が「常習的な利用」とみて通報者を運ばなかったところ、亡くなったケースがある。奈良では飲酒後の転倒で頭を打った男性を軽症とみて運ばず、結果的に意識不明に。山形では「救急車が出動せず息子が亡くなった」と裁判が起きた▼結局消防は、軽症を疑っても大抵の場面で出動する。救急車を有料化する議論もあるが、それならばお金のある人が「タクシー代わり」に使い、本当に利用しなければならない人の命が救えなくなる恐れもある▼過疎化や高齢化で救急出動は今後も増加が予想される。気が動転しても「軽症でないか」「タクシーで行けないか」と一呼吸考えてからの119番を心掛けたい。(P)


2月3日(日)

●自分たちが最初に知ってしかるべきなのに、その前に漏らし、漏れることは納得できない。なんとも面目にこだわり、権威主義的な発想だろうか。さすが国会議員、あきれるばかり▼ようやく事の重大性に気がついたか、廃止する動きになったが、何かと言うと「事前報道ルール」。国会の同意が必要な人事案件で、名前が事前に報道された場合、提案を受けない、いわば門前払いの申し合わせ▼それは2007年だったという。本来、人事案件で大事なのは、事前に公になったかどうかではなく、任ずる人材の適格性の判断であるはず。とすると、明らかな本末転倒…それがまかり通ってきたこと自体が問題▼実は似たような姿に接した経験がある。地方議会だったが、議員が説明を受ける前に予算案の目玉事業を報じた際…。議会軽視だ、と怒りの矛先は理事者側に。議員のプライドが甚(いた)く傷ついたらしい▼暗に漏らすな、教えるな、という圧力であり、報道規制ともなる話だが、この国会のルールも根は同じ。報道が先でどんな支障があったのか、情報を早く伝えることの何が問題なのか。さらに…なぜ廃止することにしたのか、その理由を是非とも聞かせてもらいたい。(A)


2月2日(土)

●かつてロンドンは「霧の都」、40年ほど前は光化学スモッグで「東京砂漠」、今のインドは「河川汚染の都」、北京は「大気汚染の都」か…。当然、健康への影響が心配▼インドでは世界最大の宗教行事「クンメラ」の真っ最中。今年は144年に1度の「マハ・クンメラ」にあたり、ガンジス川で沐浴(もくよく)するとあらゆる罪が浄化されるとあって、世界中から1億人超のヒンズー教徒が押しかける▼ガンジス川やヤムナ川は芋を洗うよう。経済成長に伴い人口が増えて、流域には工場群。汚染水が流れ込む。有害物質も含まれ、沐浴する信者らの健康を冒しており、政府は排水基準の厳守を通達▼もっと深刻なのは中国の大気汚染。今季の汚染指数は6段階の最悪のレベルに。「どう呼吸すればいいのか」と、小中学では戸外活動を中止、操業停止の企業も。小さな粒子は黄砂などに乗って日本にもやってくる▼クンメラを見てきた友人は「汚い河川で顔を洗ったり、歯を磨いたり、信じられない」と驚く。日本は下水処理整備に援助しているが、汚染の進行に追いついていない。また、公害を通じて培った大気や水の汚染防止の技術も持っている。インドや中国などでも役立てたい。(M)


2月1日(金)

●函館市が公共施設での自動販売機設置に公募制を試験導入している。なかには基準額の約28倍に相当する約27万円で落札されたケースもあるという▼日本は自販機天国だ。屋外、屋内を問わず、これほど自販機が設置されている国は珍しい。それだけ治安が良いということなるのだが、「商売」を考えると、設置場所はどこでも良い訳ではない。売り上げを期待できるところに設置したいのは当然▼函館が公募制導入した目的は、堅く言えば「市有財産の有効活用」となるが、「財政が厳しい御時世、少しでも収入を上げられるなら」というのが本音だろう。設置する側にとっては、狙った場所、売り上げが期待できる場所で商売できるチャンスが増えるのだから、利害は一致するのでは…▼静岡県では約230台の自販機を公募制にしたところ、収入が従来の108倍の1億7550万円に跳ね上がった。この金額は「ちょっとした工夫」の域を超えている。同県では県有地を1日単位で貸し出すなど、あの手この手で独自財源をひねりだしている▼公共施設の命名権など、自治体の収入確保策は近年、多種多彩になった。アイデア勝負という意味では民間も競争相手かもしれない。(T)