平成25年3月


3月31日(日)

●パチンコ、競馬、競輪…ギャンブルで数万円も損をするのはザラ。でも、生活保護費や児童扶養手当などを遊興費や嗜好品に多く使っている受給者はどれほどいるのだろうか…▼兵庫県小野市で「市福祉給付制度適正化条例」なるものが市議会で可決され、4月から施行されるニュースに驚いた。生活保護費などの受給者がパチンコなどに浪費することを禁じ、見つけた市民に通報を求めるという条例▼パチンコ店などで常習的な受給者をどう判断するのだろうか。一般市民が保護費の浪費で日常生活に支障が出ている受給者を判別できるだろうか。「市民の責務」として目撃の情報提供を規定しているが…▼「受給者の自立を支援し、浪費や不正を防ぐ。過度の飲酒や風俗関係も含まれ、監視ではなく、見守り」という。アルコール依存から受給者を保護することは必要だが、「差別や偏見を助長するのでは。プライバシーも侵害される」という声も多い▼一方、滝川市の夫婦に多額の生活保護のタクシー代を不正受給した事件で、見逃した市幹部の過失を認める判決が言い渡された。浪費禁止より、不正受給を監視することが先決ではないか。全国でも例がない浪費禁止条例は尾を引きそうだ。(M)


3月30日(土)

●何ともショッキングなデータである。推計値とはいえ、公表したのが国の機関(厚労省)だから軽く聞き流せない。ほぼ30年までの推移を見通した地域別(都道府県・市町村)の将来推計人口である▼その機関は国立社会保障・人口問題研究所というところ。27日に示した減少幅たるや半端ではない。少子化時代を背景に人口減が懸念されているが、それにしても…。2040年の総人口は10年比16・2%減である▼3年前の国勢調査を基に、人口の移動率などの仮定値を当てはめて算出したという。その結果、都道府県別でも増えるところはなく、北海道は減少率23・9%で551万人から419万人に▼道南に目を移すと、函館は道内第三の都市は維持するものの37・4%減の17万4千人台、北斗市は19・9%減の3万8千人台に。町村では七飯(24・3%減)はまだしも江差や木古内、森などは減少率が40%を超える▼ちょっと大げさではないか、と見る向きもあろうが、30年先だから、その可能性も否定はできない。人口が減り、高齢化率は高まる。本当に社会保障が維持できるかどうか、その危惧は増してくる。だから今からの対策が必要…推計人口はその警告にほかならない。(A)


3月29日(金)

●年金の受給開始が65歳時代となって、改めて60歳超年齢者の雇用対策が問われている。分かっていた課題だが、厳しい経済環境もあって企業個々には、制度設計が遅れていた感が無きにしも非ず▼猶予の時間はない。企業に65歳までの継続雇用を義務づける改正高齢者雇用安定法が4月に施行されるからだが、この問題の難しさは、単に働く場を確保すればいい、という問題だけでないところ▼当然のこととして、雇用側は可能な限り人件費を抑えたい。そのために配転も考えれば、賃金も下げたいと考える。一方、従業員側はこれまでの仕事のまま、賃金もできるだけ維持されたいという思いを抱く▼「現役世代の賃金を抑え60歳後の人件費充当」「59歳時点での定年年齢の選択制度新設」「半日勤務や隔日勤務の制度新設」など、経営が安定し、賃金水準も高く、業務分野の広い企業には考えられる道もある▼民間ではそれが出来る企業は一部。おいそれといかない方が圧倒的に多い。としたら、若年者の雇用に影響が及ばないとも限らない。はっきり言って、この問題は政治のつけであり、法律で補えば済む話でない。この問題でいま一つ釈然としない理由はそこにある。(A)


3月28日(木)

●サッカーの男子日本代表が2014年ブラジルワールドカップ(W杯)最終予選でヨルダンに敗れ、本戦出場決定を持ち越した。だが、相手選手が勝って泣いている姿を見ると、日本はアジアの強豪になったのだと実感した▼日本のW杯初出場は1998年の仏大会。短期間で躍進した背景にJリーグの存在は欠かせない。Jを頂点とした底辺からの強化体制が、優秀な選手を次々と生み出す原動力。海外進出も国内リーグの充実があればこそだ▼次代を担う少年が目標にするタイトルのひとつに「全日本クラブユース選手権」がある。U—15本戦の開催地は本道の十勝。10日間に選手、役員ら延べ1万人が滞在し、地域経済にも貢献大▼この大会、東日本大震災以前は福島県内で固定開催されていた。震災後に十勝が代替開催地を射止めた。16年までの十勝開催が決まっている▼この誘致は「棚ぼた」ではない。帯広市は長年かけて上質な天然芝のピッチを維持してきた。塩分を含むスポーツ飲料を禁止するほど管理は徹底。やがて「帯広に素晴らしいピッチがある」との評価がJ関係者に定着した。人工芝という“現実的”な選択に流れたら、“夢”の大会の誘致はなかった。(T)


3月27日(水)

●映画館で「高齢者を証明するものありますか」と言われた。運転免許証、健康保険証…効率的管理のための番号化は社会の隅々まで浸透。国が個人情報を一元的に管理する「マイナンバー法案」が国会に提出された▼マイナンバー法案(共通番号制度)は、一つの番号に氏名、住所、生年月日、所得や医療、介護、年金などの情報を入れて、顔写真付きのICカードを発行、年金手帳や健康保険証の機能も持たせる▼心配なのは、個人情報の漏えい、プライバシーの侵害、不正利用による被害、カードの盗難など。米国では不正に年金を受け取る詐欺事件が多発し、韓国では番号がネット上で売買されている▼パン一つ盗み19年も監獄に入ったジャン・バルジャンの獄中番号は24601。仮釈放後も番号で呼ばれ、行く先々で身分証明証を要求され、元徒刑囚と分かると食事も寝床も拒絶された▼“生涯を縛る番号”になるのか、マイナンバー。銀行の暗証番号、クレジットカードなどの悪用が後を絶たない昨今。運用システムへの不正侵入は防げるのか、犯罪につけ込まれる隙はないのか。ICカードを紛失しても、食事も寝床も拒絶されないよう、徹底的な論議が必要だ。(M)


3月26日(火)

●可憐(かれん)な花をつけ、春の到来を告げる樹木といえば、誰しも頭に浮かぶのが「梅」であり「桜」。とりわけ「桜」は、全国あまねく咲き乱れ、人々の心を魅了する。今年もその季節がやってきた▼最も開花が早いのは、やはり沖縄。色の濃いカンヒザクラ(寒緋桜)で1月下旬から2月にかけて満開になる。続くのは静岡県・伊豆半島東部のカワズザクラ(河津桜)で、2月には見ごろとなる。そして九州…▼ここから列島を北上。樹種もさまざま、名所の名をいただく所は数えきれない。開花に合わせて旅行を計画する人も少なくないが、“桜旅行”は日程が難しい。早かったり遅かったり、開花時期が変動するから▼今年も悩む年に。東京の開花は「さくらの日」(3月27日・日本さくらの会制定)頃が目安と言われるが、なんと過去10年の平均より1週間も早く16日に開花した。各地とも総じて早い予想となっている▼ただし北海道は例外のようで、平年並みの予想。日本気象協会によると、道南の開花は松前が4月29日、函館、江差が5月1日。開花から満開まで北海道は5日ほどかかるそうだから、大型連休中に迎えられるか微妙なところ。何とか間に合ってほしいのだが。(A)


3月25日(月)

●春分の日、札幌へ日帰りで出掛けた。冬は4月中旬まで列車を利用するが、この日は車で道央道を走った。北信越地方で何度も雪の高速道を走ったことはあるが、北海道で降雪時は初めて▼往路の雪はほとんどなく、いつもと同じペースで走り、正午すぎに札幌着。午後5時に用事を終え外へ出ると…童謡「通りゃんせ」の一節「行きはよいよい帰りは怖い」を歌わずにはいられない大雪に▼千歳付近から猛吹雪。制限速度の時速50㌔で走行車線を進むと、前方の車が急に追い越し車線に入った。かなりの低速車がいたのだ。追い越す時、心拍数はかなり上がった▼夜の道央道を走るたびに思うのだが、暗くて運転がつらい。室蘭を過ぎたころから対面走行が多くなり、ハイビームは使えず、積雪やカーブなど路面状況をとらえるのが大変。八雲付近から、吹きだまりがすごい。走行車線の小さな雪の山を越えるごとに助手席で悲鳴が上がる。雪の高速道は慎重に、安全に走り、事故に遭わないようにするしかないのか▼普段より1時間半遅く函館着。こんなに目、肩、首、頭が痛くなった運転は初めて。家の駐車場は30㌢の雪があり、除雪でさらに体が痛くなった。(R)


3月24日(日)

●「ご遺体には生きている人と同じように接して下さい」。安置所に次々と運び込まれる遺体。ボランティアで世話する元葬儀社員。西田敏行さん主演の映画「遺体 明日への十日間」を観(み)てきた▼未曽有の大震災。死者・行方不明者は2万人超。舞台は旧釜石中学校の体育館に設けられた安置所。「死体」はモノとしての感じが強いが、「遺体」には人格を持った個人が亡くなった響きがある▼津波が去った後、がれきの山に、遺体がバラバラと転がっていた。遺体を運び込む、検視、DNA採取、身元確認…。市職員、医師、ボランティアらには悲しむ時間さえない。お腹の大きい妊婦もいた▼隙間なく並ぶ遺体。西田さんは一体ずつドライアイスを取り替えて「昨夜は寒かったね。今日こそ家族が見つけにきてくれるからね。少しだけ辛抱してね」と優しく話しかける▼生後54日の赤ちゃん。母親が手を離したばかりに津波にのみ込まれた。「ごめんね、ごめんね」と抱き寄せる若い母。西田さんは「亡くなられた方の尊厳を守ってやらねば」と話す。「懸命に生きる姿を思い出し心を込める最後の化粧」という句もあった。大震災を風化させないためにも観てほしい。(M)


3月23日(土)

●この大会が始まると「春近し」を感じる。スポーツというより、風物詩としての存在感が強い。高校野球の「センバツ」だ▼冬は野球にとっての「オフ・シーズン」だが、今年は少し前までWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)があったので、野球ファンにとっては一足早い“球春”がやってきた格好▼WBCは第1ラウンド、初戦で格下のブラジルに大苦戦。第2ラウンドでは台湾に9回2死までリードされ薄氷の勝利。2連覇中の侍ジャパンのハラハラぶりに、テレビの視聴率はうなぎ上り。準決勝で敗れ、3連覇は霧散したが、選手の「一球入魂」の真剣プレーから野球の醍醐味(だいごみ)は十分に伝わった▼さて、話戻って「センバツ」。今年は85回記念大会で、例年より4校多い36校が出場している。「21世紀枠」のほか、「東北絆枠」という特別な出場枠も設けられ、例年以上に華やかな印象だ▼北海道からは昨秋の全道大会を制した北照(小樽市)と「21世紀枠」の遠軽(オホーツク管内遠軽町)が大舞台に臨む。北海道は冬にグラウンドが使えないため、春は余りいい成績が残せていないが、健闘を期待したい。そして道南の球児たちには、夏での活躍を—。(T)


3月22日(金)

●病院、とりわけ総合病院などで患者にとっての悩みは待ち時間。1時間以上は半ば暗黙の了解とさえ言われるからだが、覚悟の上とはいえ、それが不満の誘因となっているのも事実▼ある民間調査会社のリサーチによると、多々挙げられる病院に対する不満のトップは、この待ち時間。「医師やスタッフの接し方」や「相談しづらい雰囲気」「待合室の環境」などと比較にならないほど多い約8割という▼病院側も予約制の採用など努力はしているが…。診察は時間通りにはいかないぐらい患者なら誰しも理解しているが、だからと言って時間的なめども解らずでは、不満の一つも言いたくなる▼20日付の本紙は、函館五稜郭病院が院内に専用モニターを設置し、待ち時間を知らせるシステムを導入したと報じていた。呼出番号券を発券し、30分以内に呼び出される番号を順次、表示する方式という▼これだと自分の順番が近づいてくるのが解る。特徴的なのは携帯でも対応すること。QRコードを読み込み、メールアドレスを登録すると、通知してくれる。病院近くの用事なら足すことも出来る。不満解消、サービス向上の取り組みとして注目される。(A)


3月21日(木)

●三寒四温。オンコの丸い枝の中で休んでいた数十羽のスズメが飛び出した。なごり雪に「春になって虫食べ放題だと思っていたのに」と嘆いた本紙四コマ漫画の寒スズメもひと安心と思ったら、一転して函館は雪景色▼火星じゃ君、俳優が国王より権力があって、芝居が始まると国民が1人残らず見物しなきゃならん憲法がある。火星の人間は頭が大きい。最も足が小さくて最も胸が高くて、最も頭の大きい奴が第一流の俳優になれる▼何十億の観客を導いて花道から案内して行くんだ。行っても行っても青い壁。花道ばかり何年とかかかるそうだ…。石川啄木は短編「火星の芝居」で夢に見た地球に最も似た火星を書いた▼米国の火星探査機が撮った130枚をまとめたパノラマ写真。大昔に水が流れていたとみられる場所の岩石を分析したところ、生命維持に欠かせない水素、窒素など6つの元素が見つかった▼酸素の欠乏に悩むタコのような火星人が「宇宙戦争」のように、放射性物質などで汚染された地球に侵略してくるかも。啄木の「火星の芝居」も夢ではない。二度と巡って来ないパンスターズ彗星が太陽に接近中。夜空はいつもロマンをかき立てる。(M)


3月20日(水)

●国の有識者会議が、太平洋沖の南海トラフ巨大地震による被害想定を発表した。M(マグニチュード)9・1の地震が起きた場合、最悪で被害額は220兆円に上るという。国内総生産(GDP)の4割強という戦慄の数字▼揺れと津波による建物への直接被害は約170兆円、製品やサービスの供給停止に伴う被害が1年間で約45兆円、交通網の寸断で約6兆円—。どれもけた違い▼昨年8月の想定では、死者32万人、建物の全壊・焼失約239万棟とある。いずれも数字が大きすぎて、想像力がうまく働かない▼だが、この想定には重要な部分がある。それは耐震化や防火対策などを進めれば、同様の地震でも被害額を118兆円まで減らせるという指摘。もちろん、死者も相当数減るはずだ▼実はこの想定、首都圏の被害は2兆円に満たない。地震国・日本のリスクは、南海トラフだけではなく、首都震災も危険。集中的な防災対策は最重要だが、首都や東海、近畿の中核機能を「疎開」「分散」させる対策も必要ではないか。その際は日本の2割以上の面積を占める北海道の果たせる役割は大きい。事が起こってからでは遅い。国全体での補完体制を今築かなければ…。(T)


3月19日(火)

●世界的課題として地球の温暖化対策が叫ばれて久しい。猛暑、大雨などの異常気象は、もはや現実で、植物や生物の生態系ばかりか、農業や漁業などの生産現場へも影響が懸念されている▼原因を生み出しているのは人間社会なのだが、危機的な状況の認識に欠けるのも現実。しかも足並みをそろえなければ効果が期待できないのに、対策は広がりを欠いたまま▼そんな中、気象庁は先日、国連機関のデータを基にはじき出した結果として、驚きの予測を発表した。「我が国の年平均気温は21世紀末(2076〜2095年)には約3度上昇する」。年平均で1度違うだけでも大変と言われるのに3度レベルである▼どうなるかというと、最高気温が35度を超す猛暑日が東と西日本では10日ほど増え、雨が降る日は5〜10日減り、降雪量も減るという。もちろん、手をこまねいていれば、のことだが、50年以上後に急にくる訳ではない▼徐々にそうなっていくということであり、今が大事な問題。温暖化対策は今生きる者の将来、未来への責任であり、これ以上のつけを回すことは許されない。二酸化炭素など温室効果ガスの排出量削減を確認した京都議定書の履行が求められる。(A)


3月18日(月)

●朝の情報番組のメインキャスターとして人気の大塚範一さん(64)が、急性リンパ性白血病を発病し、番組降板を余儀なくされたのは2011年12月。1年を超える闘病生活を経て病気を回復し、この4月から再び元気な姿が見られるはずだった▼まさかの白血病再発。「いざこれから」という時に飛び込んできたニュースは、復帰を待ち望んでいたファンにとっても残念だが、それ以上に本人のショックは図りしれないだろう▼血液のがんとも言われる白血病は、かつては不治の病とされ多くの芸能人の命を奪ってきた。女優の夏目雅子さん、歌手の本田美奈子さん、格闘家のアンディ・フグさんらの訃報が思い起こされる▼一方で治療法の進歩も著しく、俳優の渡辺謙さんのように、発病から20年以上も元気な例も。ただし完治の判断は難しく、大塚さんのように万全の体制で復帰準備を整えながら、再発の可能性を避けることはできないようだ▼芸能人にとって、メディアに顔を出さない時間が長期化する不安は大きい。しかし大塚さんには治療に専念してもらいたい。たとえ何年後になろうと、元気な姿で再会できることを待ち望んでいる人は多いのだから。(U)


3月17日(日)

●政府は昨年8月に出されていた人事院勧告の実施を閣議決定した。その骨子は「55歳以上の昇給の原則廃止」。これにより国家公務員と民間企業の昇給システムが概ね肩を並べる方向に▼日本では長きにわたり終身雇用、年功序列を維持してきた。それは官公庁も民間も同じだったが、民間は近年、大きく仕組みを変えて、今や能力給の採用をはじめ50歳、55歳での昇給停止は当たり前▼給与や待遇の官民格差は昔から。かつて公務員は薄給と言われた時代があったが、待遇面も含め、地方では官公庁の方が上に。制度や体系自体にも開きが生まれ、この一定年齢での昇給停止(原則廃止)もその一つ▼勤務姿勢などにかかわらず、定年までの一律昇給は必ずしも公平でない。もちろん一般論であり、当事者となると心穏やかとはいかない。確かに、国家公務員は震災の復興財源に充てるため、給与が引き下げられてもいる▼見直しがこれで終わりという保証はない。職員定数の削減も問われている。不満もあろう、言いたいこともあろう。だが、世間の目は厳しい。民間企業とは違うと主張したところで説得力に欠ける。なぜなら…この人事院勧告も時代の要請だから。(A)


3月16日(土)

●氷のような天然ガス、メタンハイドレートが、愛知県沖の海底から試験採取された。日本近海に100年分眠るという未利用資源で、経済産業省は2018年の商業化を目指している▼資源のない日本にとって胸が躍る話だが、今回は採算性を度外視した採掘。商業ベースに乗せるには、採掘技術の確立とコスト削減という難関がある▼資源開発はコストとの闘いだ。原油の場合、中東の産油国での陸上での生産コストは1バレル当たり10㌦以下だが、メキシコ湾の油田になると60〜70㌦にもなる。海底の資源開発は険しい▼しかし、そこで諦めては先に進まない。東日本大震災以降、わが国は多様なエネルギー源の確保が急務。原発停止後は化石燃料の輸入が激増し、電力会社は年間数兆円のコスト増となっているといわれる。そのしわ寄せは電力料金の値上げとなって表れる▼アメリカでは、地下深くの岩石に貯留したシェールガスの採掘で革命的な技術開発が起き、商業ベースに乗った。メタンハイドレートの採掘技術も確立されれば、輸入と国産を組み合わせ、安価で安定したガス供給の道が開けるかもしれない。夢物語で終わらせず、実用化の道を探りたい。(P)


3月15日(金)

●バチカン(ローマ法王庁)の聖職者は毎日が清貧と貞潔と奉仕の精神で愛と祈りの生活。でも、神父らが少年に性的虐待をして逮捕されたという話を耳にし、聖職者も「生身の人間」だと思った▼児童性的虐待のほか、バチカン銀行の資金洗浄(マネーロンダリング)疑惑などスキャンダルが相次いだ。組織運営の透明性などに尽力してきたベネディクト16世が85歳という高齢を理由に退位した▼新法王にはコンクラーベ(選挙)でアルゼンチン出身のホルヘ・ベルゴリオ枢機卿(76)が選出された。欧米のメディアは有力視しておらず「予想外」と報じている▼コンクラーベはラテン語で「鍵をかける」の意味。バチカンの礼拝堂に鍵をかけ、117人の枢機卿がこもりきりで選挙。選出まで3か月もかかったこともあったが、今回はわずか5回目で決定の「白い煙」が上がった▼法王名はキリストに最も近い聖者といわれるフランチェスコ修道会の創始者の名から「フランチェスコ1世」。♪フランチェスカの鐘の音が…鳴り渡りゃ〜 かつて歌謡曲で知った名。12億人の信者がバチカンの刷新を期待している。「原発ゼロ」「核兵器ゼロ」になるよう祈ってほしい。(M)


3月14日(木)

●♪みんな仲良く…喜寿も米寿も白寿も無事に健やかに〜 被災地の仮設住宅で暮らす高齢者たちに愛唱されている「これから音頭」。上下どちらからも同じ読みになる回文や早口言葉も▼「ポニョの子子ポニョ ニョポの子子ニョポ〜」—映画「崖の上のポニョ」の影響からか、これを5回早口で言えたものが優勝するという早口言葉。ポニョと少年は強い絆を取り戻した▼今は「ぱみゅぱみゅを3回言えて自慢する」という川柳があるように、モデルで歌手のきゃりーぱみゅぱみゅさんが大もて。早口で言うと舌をかみそうな名前を3回言えば認知症防止になると広まった▼「一気飲みは絶対やめよう!」の歌はうなずけるが、奇抜なファッションと意味不明の歌詞は年配者にはハードルが高い。でも「カワイイ文化」の象徴で、県外に避難している中高生にも人気、震災復興を後押ししている▼縁起がよいとされる回文は「いい夢を見るための「長き夜の遠の眠りの皆目覚め波乗り船の音の良きかな」か。逆に悪夢の『3・11』を詠んだ「大惨事、核炉器の畏怖(いふ)は不意の記録か人災だ」の回文が胸をうつ。迅速な復興が待たれる。北海道は「節電でっせ」で頑張った。(M)


3月13日(水)

●青函トンネルが開業して13日で25年目を迎えた。全長53・85㌔(うち海底部分23・30㌔)。本道吉岡側の着工式からは50年の月日が経つ▼殉職者34人を数えた難工事だったが、世界最長のトンネル(完成当時)として日本の技術力を世界にアピールした。建設に携わったあるゼネコンが、新入社員の研修で映画「海峡」(1982年公開)を見せるという話を聞いたことがある。それほどこの工事の完成は誇らしい業績だった▼トンネルの入口に掲げられている「青函隧道(ずいどう)」のプレートは、本州側が中曽根康弘首相、本道側が橋本龍太郎運輸相(いずれも当時)の揮ごう。このことからも国家的プロジェクトだったことが伺える▼海峡線建設も含めると9000億円近い工費が必要だった。「昭和三大馬鹿査定」と揶揄(やゆ)されたこともあったが、道民の立場から見れば、本州と陸続きになったメリットは計り知れない。多大な「負の遺産」を残した福島第一原発よりはるかに“建設的”だ▼そして2年後には、新幹線がこの海底トンネルを走る。建設費が「無駄遣い」と言われないためにも、新幹線をフル活用した地域活性化を実現しなければ…。(T)


3月12日(火)

●いわゆる“社会の記念日”は、年間、数えきれないほどある。サンデー・ホリデーの日(半ドンの日)も然り。休日に関する記念日ということは解るが、それが何時、となると、答えに窮する人がほとんど▼その日は3月12日。官公庁が土曜半休・日曜休日制を実施し始めた日ということで。1876年(明治9)年というから、130年以上も前。土曜半休の時代が実に長く続いてきた▼「働きバチ」と邪揄(やゆ)されながらも、戦後の復興を支えた公的、社会的制度でもあった。それが4週6休の段階を経て、週休2日制が官公庁や公立学校などに採用されてまだ20年ほど。今や民間の実施率も85%レベルに▼少しは欧米に近づいたかな、という実態だが、それはあくまで平均値。有給休暇などを含めると、官公庁、大企業と中小企業との間にある格差は大きいまま。休日だけでない、新たな課題に直面している▼言わずと知れた雇用不安の解消。1月の労働力調査(総務省)によると、非正規という言い方もされるが、契約など有期労働者は1410万人という。「有期雇用ゼロの日」が設けられる時代まで望みはしないが、率にして26%…4人に1人という現実は、あまりにも重い。(A)


3月11日(月)

●そのとき、あなたはどこにいて、何をしていましたか—。2011年3月11日午後2時46分、東日本大震災が発生してから、2年が経つ▼発生直後から特番が続いたテレビ放送。繰り返される津波の映像で、うつになる人が急増した。CMは自粛され、ACジャパンの「ぽぽぽぽ〜ん」というメロディーが耳に残った▼函館からは支援物資を満載したトラックがフェリーで海峡を渡った。陸(鉄路)・空(空港)が機能せず、直後は海路が重要な役割を果たした。多くの義援金が集まり、ボランティア支援は今も続く。日本、いや世界中が東北を応援した▼だが、現地の復興は今どうか—。多くの人が仮設住宅から脱せず、福島第一原発も高い放射線量のまま。2年を機に、震災を振り返り、教訓を噛みしめることが大切だ▼新安全基準が決まらないうちに建設再開した大間原発はどうだろう。地域振興という“大義”の下、有名無実の「安全神話」を押しつけたフクシマの反省が全く生かされていない。あのとき感じた重苦しい不安感を忘れず、今後の行動に生かすことが何より大事ではないか。想像力や共感力の欠如で、「想定外」という過ちを繰り返してはならない。(T)


3月10日(日)

●今年1月、埼玉、茨城両県内で悲惨な事件、厳密には事件とは呼べないが、問題と呼ぶには余りにも重大な出来事が起こった。呼吸困難で119番通報した75歳の男性が、2県の25病院に受け入れを拒否され、2時間半後に死亡した▼報道によると、男性は当初意識があったが、やがて容体が悪化。一度断った病院が受け入れたが、到着後に死亡が確認されたという▼医療担当記者のころ、ある市の救命救急センターをルポするために泊まり込んだことがある。「今夜は暇ですね」と同情されたが、休憩室にいたのはいつも自分一人。スタッフは休む間なく働いていた。その夜は、高熱やけがなどいわゆる「一次救急(軽傷)」の患者が大半で、利用者の理解不足を感じた▼別の日、「二次救急(重傷)」病院で、脳神経外科医を取材した。そのドクターは「昨夜は救急が多くて徹夜です。ここ2〜3日で、睡眠は合わせて数時間」と打ち明けた。救急医療は病院とスタッフに多大の負担を強いるのだと痛感した▼幸い函館周辺では埼玉・茨城のような搬送拒否は聞かない。長年かけて築いた病院と消防の連携が支えているからだ。地域の財産として、この体制を維持、充実させてほしい。(T)


3月9日(土)

●「一票の格差」という言葉を聞くようになって、どのぐらい経つだろうか。同じ選挙権を持ちながら票の重さが違う。それも2・43倍…これほどの違いがある現実は、どう考えても尋常でない▼最高裁が2009(平成21)年の衆院選挙について「違憲状態」の判断を示した。国会は是正の措置をとる責務を負ったわけだが、いわば棚に上げたまま。昨年12月の衆院選挙は「違憲状態」で行われた選挙ということになる▼選挙無効の訴訟で6日の東京高裁、7日の札幌高裁の判決は「違憲」。ただ、無効請求、については、事情判決の法理にしたがい「公益に反する事情がある」として棄却されたが、それは現実を踏まえた判断▼確かに異論も少なからずあろうが、いずれにしても国会の怠慢が糾弾されている事実は揺るがない。もはや逃げられる術などない。残された道は裁判所の判断を真摯(しんし)に受け止め、格差を是正することである▼それでなくとも現行の衆院選挙制度は矛盾が指摘されている。問われているのは国会としての責務と政党の枠を超えた良識。このあと、さらに他高裁から同様訴訟の判決が下されるが、少なくとも違憲状態の選挙を繰り返してはならない。(A)


3月8日(金)

●東日本大震災の発生から間もなく2年。大津波が人も、家もすべてを飲み込んだ光景は今も脳裏に焼き付いて離れない。改めて自然災害の脅威を思い知らされるが、それは備えの教訓と裏返し▼地震が発生するとまず規模、次に津波の情報が流される。ただ、一般的な傾向として、あの大震災までは…津波を甘く見がちだった。避難するまでもない、という自己判断が優先されて▼避難を呼びかける情報は過小評価されがちだった。実際に、過去の津波時の行動調査からも、危険を感じなかった、大丈夫と思った、などの理由で避難しなかった人の率が高い、という現実が報告されている▼ということで、その対策が気象庁で検討されてきた。そして決まったのが、警報を第一報する際には何㍍などの数値でなく、文言にすること。表現は5㍍以上が考えられる大津波だと「巨大」、3㍍レベルだと「高い」など▼さらに規模がほぼ確定的になった段階で、5段階の数値で示すことに。今、各地で避難場所の見直し、避難ビルの確保などの対策が進められている。それを知っておくことと同時に、大事なことは警報に敏感になること。新しい津波情報の表現が7日から始まった。(A)


3月7日(木)

●飢えた子供のために一つのパンを盗んだ罪で19年間も監獄の鎖につながれたジャン・バルジャン。高校生のころ、何回読んだことか「ああ無情」。空前のヒットとなったミュージカル映画「レ・ミゼラブル」を観た▼ビクトル・ユゴーが発表して150年。「みじめな人々」を意味するタイトルは、日本で最初は「噫無情」と訳され、新聞に掲載された長編小説。フランス革命後の産業革命が貧富の差を拡大させた▼庶民は雑穀入りのパンしか食べられなかった。貧困、差別、裏切り…スクリーンに映し出される社会の不条理が、今の日本と重複する。働き口が閉ざされ、大量の食べ残しが破棄される矛盾▼高野山の地蔵に供えられた賽銭の10円玉を盗んだ66歳のホームレスに、高裁が懲役1年の実刑判決を言い渡した。たかが10円、されど10円。罪は罪だが、盗みを見つけた坊さんが「お地蔵さんの清掃」くらいで許す寛大さがあっても…▼ジャン・バルジャンは銀食器を盗んだ自分を許した司祭の愛に、深く後悔し、新たに生きることを決心。終幕の美しい歌声と旋律が、その生涯を紡いでいく。「ああ無情」の世に、「人を愛し、働く」を説いた原作者の叫びが胸をうつ。(M)


3月6日(水)

●ある朝、住んでいた村営住宅でベルが鳴った。もう40年も前のこと。当時は電話がなく、お隣さんが電話を取り次いでくれる際にそのベルを鳴らす。父が慌てて玄関に向かったが、「ダメだ。開かない」。昨夜からの吹雪で、玄関ドアが完全に埋まっていたのだ▼後志管内留寿都村での思い出。結局、居間の窓から外に出て、屋根を伝って反対の玄関へ。その電話は、父が勤務していた中学校の生徒が、行き倒れで死亡したとの知らせだった▼二日、根室や網走を襲った猛吹雪。9人が死亡する大惨事になった。車中で一酸化炭素中毒になった母子4人、娘をかばうように亡くなった父親、自宅からわずか数百メートルで力尽きた女性。同じ北海道に住んでいても、吹雪の猛威をこれほど見せつけられた記憶は余りない▼40年前、救出は馬そり。テレビの天気予報は、チョークで等圧線を書き込んでいた。昔と比べると道路は整備され、気象警報も早く正確になった。なのにこんな悲劇が起こるとは…▼便利な世の中になっても吹雪の恐怖は変わらない。人も車も動けなくなる「ホワイトアウト」の前に人間は無力だ。あらかじめ危険を避けるしか、自分の身を守る術(すべ)はない。(T)


3月5日(火)

●♪雪がとけて川になって流れて行きます つくしの子が恥ずかしげに〜 大地が暖まる5日は、冬ごもりしていた虫が這(は)い出す「啓蟄(けいちつ)」。虫にもいろいろあるが、蜘蛛(くも)や蚊はちょっと…▼より怖い虫が啓蟄を待たずに這い出してきた。「重症熱性血小板減少症候群」という長ったらしいウイルス感染症を媒介するマダニだ。山口、愛媛、宮崎、広島、長崎で男女5人の死亡が判明した。日本での確認は初めて▼マダニは日本を含むアジアやオセニア諸国などの森林などに生息しているとみられ、中国では数百例が確認されている。マダニにかまれるだけではなく、患者の血液や体液からの感染例もある▼マダニは血を吸う前の体長は3〜5ミリと屋内のイエダニより大型で日本では青森以南の野山に生息。かまれると発熱や嘔吐(おうと)、血小板が減少。中国での致死率は約10%。有効なワクチンや治療法はないという▼死亡した5人には渡航歴はなかった。♪悪さはしないの だから殺さないで〜 イエダニは「ダニの歌」で懇願しているが、マダニのウイルス媒介は絶対許せない。異常気象で道内での発生も考えられる。雪がとけて、野山に入るときは、かまれないよう要注意。(M)


3月3日(日)

●冬の夜空は鮮やかだ。函館の街中は星が見えづらいが、それでも晴れた日の夜中は、いくつもの星を目にできる。今年は大きな二つの彗星が太陽に接近するので、天体ショーが楽しみだ▼一つ目は間もなく3月上旬から見え始める「パンスターズ彗星」。10日には日の入り直後に西の地平線のすぐ上にある。空が明るい時間帯なので、少し見えづらいかも。徐々に高度は上がり、15日には三日月と接近。4月2〜6日にはアンドロメダ星雲の近くに移動。天文カメラマンの狙いどころだ▼この彗星が太陽に接近するのは一度きりなので、今回が最初で最後の観測チャンス。予測だと最大3等級と暗い。ただ、過去の観測例がないので、近づいてみないと分からない▼天文ファンの熱い視線を集めているのが、11月末に太陽に接近する「アイソン彗星」。望遠鏡なら今もふたご座近くに見える。11月初旬には肉眼で見え始め、12月には0等級というから月と同じくらいの明るさを放つと見られる。1965年の池谷・関彗星、97年のヘール・ボップ彗星と並ぶ大彗星となると期待されている▼ロシアに隕石が落ちるなど宇宙への関心が高まっている今年。双眼鏡片手に夜空を眺めてみては…。(T)


3月2日(土)

●♪あかりをつけましょ ぼんぼりに〜 女の子の成長を願うひな祭り。内裏雛、三人官女、五人囃子、雪洞…雛壇に歌の通りに並べて、愛おしい眼差しを送れば微笑み返し、語りだす▼晋の武帝が尚書(総理大臣)に「3月の曲水(桃の節句)にどういう意味があるのか」と尋ねた。尚書は「昔、3月初めに次々誕生した女の子が3日に全員死んでしまったそうです」▼続けて「人々は不安にかられ、災いが我が身にかからないように酒を持って水辺で沐浴、水の流れに酒杯を浮かべて禊(みそぎ)を行いました。これが曲水の始まりです」と答え、武帝は「元来は慶(よろこ)ばしいものなのか…」と言ったという▼日本では平安時代から。桃は美しい花と美味(おい)しい果実をつけ、女の子を守り、美しく育てるという願いが込められるようになった。神聖な果実とされ、健康長寿にも効く。天界の桃を食べた孫悟空は不老不死になったとか▼江差いにしえ街道の「北前のひな語り」には、本州から北前船でやって来た雛人形や愛知県から譲り受けた雛人形120セットが勢ぞろい。「日の目見る旧家秘蔵の雛人形いにしえ偲ぶ街人いまも」(楯石保)。時代によって違う人形の表情を見比べたい。(M)


3月1日(金)

●いいことだと頭で解っていても、続けられないことは少なくない。「適度な運動」も然りで、中高年者になると、とりわけ重くのしかかる。でも…健康の維持には欠かせない▼飽食の時代のつけなのか、糖尿病が健康課題となって久しい。2007(平成19)年の国民健康・栄養調査は、糖尿病が強く疑われる人は約890万人。可能性が疑われる人を含めると約2210万人と推定している▼その10年前の調査と比べ実に6割増。この糖尿病の予防、治療対策の柱と言われているのが「食生活の改善」であり「適度な運動」。解っているけど、ともすると、日常生活に支障がない、と勝手な判断をしがち▼先日、厚労省の研究班が興味深い研究結果を発表した。糖尿病患者1700人を8年間追跡したところ…「毎日30分以上時速6㌔の早歩きに相当する運動をした人は、しない人に比べて死亡リスクが低い」▼心筋梗塞などの合併症の発症は0・46倍、脳卒中では0・57倍だった。研究班は、運動効果は今まで考えられていたより大きいことが解った、と総括しているが、それは患者ばかりか“予備軍”に対する改めての問いかけ。毎日の運動こそ大事なのだ、という…。(A)