平成26年2月


2月28日(金)

●世の中には「理屈抜きにやめろ」で説明がつくものがある。借金の保証人や度を越したギャンブル、裏社会の人との交際などだ。正当化する理由はつけられようが、断じて良くない▼立場をわきまえずに言う、慰安婦をめぐる発言もそのたぐいだろう。「慰安婦はどこの国にもあった」「謝罪要求はおかしい」。NHKの籾井勝人会長の発言問題がやまない▼かつて籾井さんが過ごしたサラリーマンの世界で、勤め帰りに居酒屋で言うのならば、何の問題もない。いくら説明が巧みでも、百の傍証と援護があっても、フーテンの寅さんじゃないが「それを言っちゃあ、おしめえよ」の世界が確固としてあるからだ▼それでも籾井さんは「私は大変な失言をしたのでしょうか」と、NHKの経営委員会で言ったらしい。慰安婦問題がなぜ起こり、内容が事実かどうか検証をすることは必要だ。ただ、考えの根っこにある「日本だけが非難されるのはおかしい」は国際社会に通じない▼国益を守ることが籾井さんの考えだ。大賛成である。だが、籾井さんと考えが近い安倍首相もナショナリズムに力が入り、どうも日本が孤立化しているような気配がある。そんな心配も同心円にある。(P)


2月27日(木)

●「全国のスケートリンクに支援をしていただけたら、僕らはうれしい」—。ソチ五輪の男子フィギュアで金メダルを獲得した羽生結弦選手らが25日に帰国した。羽生選手は文部科学省を訪れて、下村博文大臣にこう“直訴”した▼冬季スポーツは施設が重要。スケート、アイスホッケー、スキー、スノーボード、ジャンプ、カーリング…どれも専用の練習場が必要だ。しかし、国内をみると、一部地域を除いて施設は十分ではない▼特にスケート場は冷却器のフロンガス問題があり、リンク数は減少の一途。氷上競技を取り巻く環境は厳しさを増しているだけに、羽生選手の“直訴”に拍手した関係者は多いはず▼函館でも市民スケート場の存廃議論があるやに聞く。もし廃止となれば、間違いなく函館での氷上スポーツやレクリエーション人口はゼロに近づく▼函館の少年団でアイスホッケーの魅力を知り、今、十勝の高校でインターハイを目指し頑張っている少年を知っている。函館が日本を背負っているとは言わないが、先細りつつある氷上スポーツの底辺を支えているのは確かだ。機器更新には多額な費用が必要だが、函館のリンクをぜひ存続させてほしい。(T)


2月26日(水)

●経済の回復基調が言われる割には、庶民サイドに実感がない。雇用、給与改善などは春闘を待たなければならないが、それとて中小・零細企業や地方の企業では不透明。その一方で…▼消費者の肩には支出負担が重くのしかかる。デフレ脱却を標榜するアベノミクスによって極端な円高相場は解消し、輸出企業には恩恵をもたらした。だが、逆に…そのしわ寄せは生活にかかわる輸入関連に及んでいる▼分かりやすいのが原油(燃料費)。為替の影響で運送業や漁業などは悲鳴をあげている。そのつけは消費者に回ってくる。今の時代、生活のベースとも言える電気料金も然り。値上げの動きが続いている▼国が政策的に動いておかしくない状況だが、その様子は残念ながら。傍観とも映る姿は値上げの理由を与えているに等しく、昨年9月に値上げしたばかりの北電は17日、再値上げ申請の方針を明らかにした▼ガソリンや灯油価格も高止まり状態。加えて4月から消費税が上がる。賃金が多少改善されたところで追いつかないという声も大げさには聞こえてこない。今の政治には…企業対策はうかがえるものの、生活対策はどうかと問われると答えに窮してしまう。(A)


2月25日(火)

●日本列島が未曽有の大雪に見舞われたころ、朝鮮半島にも大雪が襲った。最大積雪155㌢の北朝鮮に韓国が除雪車を出動させた。横田めぐみさんら拉致被害者は大丈夫だったろうか▼北朝鮮の人権状況を調べる国連調査委員会が、日本など外国人拉致や国民への拷問などの残虐行為を挙げ、北朝鮮が国家レベルの決定で「人道に対する罪」を犯しているとし、非難する報告書をまとめた▼脱北者ら240人が証言。「海上の日本人拉致は深夜から午前3時にかけて行われ、日本漁船の若く有能な船員を拘束し、他の船員は船ごと沈めた」(拉致実行の当局者)。横田めぐみさんの両親も証言した▼拉致ばかりできない。思想や表現、信教の自由はなく、任意の拘束、処刑、拷問などが行われ、飢餓が住民を襲う。収容施設で出産した女性が赤ちゃんをたらいの水に逆さまに入れるよう命じられたという目撃談も▼南北離散家族再会で厳寒の北の家族のため携帯カイロをカバンに詰め込む南の家族。国連調査委は、この「人道に対する罪」を国際刑事裁判所に付託、国連特別法廷を設置するよう勧告。「北に少しでも変化があればチャンスを逃してはならない」と言明している安倍首相は、拉致問題の解決を急げ。(M)


2月24日(月)

●開幕前は、テロの危険性が心配されていた冬季ソチ五輪だが、ロシア当局の徹底的な対策が功を奏したのか、この原稿を書いている閉会式直前の段階まで、目立った混乱は伝えられていない▼しかし、ソチから直線距離で約1300㌔(函館—福岡間とほぼ同じ)に位置する、隣国ウクライナの首都キエフでは、政府軍と反政府側との血みどろの内戦が繰り広げられ、死者の数はすでに75人を数えている▼ロシアと東ヨーロッパに挟まれたウクライナは、長年にわたり新欧派と新露派が激しい政権争いを続けており、ついにその緊張が爆発した。美しい景観で知られるキエフ中央の独立広場が、無惨に焼けただれた光景には言葉を失った▼ウクライナといえば、ソ連時代に起きたチェルノブイリ原発事故の悲劇の舞台でもある。その傷が癒えない状況の中で、自国民同士が争う姿は悲しすぎる。背景には同国に眠る地下資源の利権を、EU側とロシア側が争っているとの見方もあり、周辺諸国にも波及しかねない▼2週間あまりの五輪が表面的な平和の内に終わったとしても、そのすぐ隣でたくさんの血が流れていては本当の成功とは言えない。一日も早い平和的解決を願う。(U)


2月23日(日)

●「五輪には魔物がすんでいる」というが、ソチ五輪には「バーバ・ヤガー」がすんでいた。ロシア民話では森に暮らしており、少女たちをさらって食べるという恐ろしい魔女▼ソチ五輪では、金メダル候補と目された女子ジャンプの妖精やフィギュアの妖精、モーグルの妖精たちを表彰台に上がらせなかった。雪の舞台を臼に乗り飛び回って、日本の妖精がミスするよう魔法をかけた…▼SPの浅田真央選手には最初のトリプルアクセルを邪魔し、着氷に失敗、転倒させた。その後のコンビネーションジャンプにも影響。「体がついてこなかった」と放心状態。フリーで笑顔を取り戻したが、やっと6位入賞▼W杯で13戦10勝の高梨沙羅選手のジャンプ台には、2本とも不利な追い風を吹かせて失速させた。初の女王不発。「自分のメンタルの弱さだと思う。もっと強くなりたい」と、けなげに前を向いた▼魔女バーバ・ヤガーに打ち勝ったのは、パラレル大回転の竹内智香選手やハーフパイプの小野塚彩那選手。スノボの妖精とスキーの妖精は、ど根性で魔女の手を振り切った。銀と銅メダル。ひそかに選手の心に忍び込む魔女や魔物を笑顔でねじ伏せて、レジェンドになった。(M)


2月22日(土)

●6種類8回の3回転ジャンプに挑み、自己最高点をマーク。ソチ五輪女子フィギュアスケート女子フリーで、浅田真央選手が完璧な演技を見せ、16位から6位へ躍進。真央スマイルが広がった▼200点超えが相次ぎ、上位6人の誰が優勝してもおかしくない、ハイレベルな争い。浅田選手は今大会ただ一人、トリプルアクセル(3回転半)にチャレンジし成功した▼前回のバンクーバー五輪男子フィギュアでは、ロシアのプルシェンコ選手が4回転を決めたが、3回転しか跳ばない選手に敗れ、銀に終わった。4回転の評価が低く、プルシェンコ選手は表彰台で無言の抗議▼その後、4回転の評価が改められ、ソチでは男子選手が次々と4回転に挑んだ。浅田選手が跳んだ3回転半も、男子基準と同じ点数では過小評価という声がある。女子にとってはリスクが大きすぎ、今回も他選手は安全な3回転での構成が目立った▼笑顔がすてきな銀盤の女王は、涙の連続だった。バンクーバーでは惜しくも銀。ソチは、SPでよもやの大崩れ。しかし、最後に魅せた。「心配してくださった方に、最高の演技ができた」。最悪から一夜にして最高へ。世界のトップアスリートの証明だ。(P)


2月21日(金)

●あり続けている時は特段感じないのに、それが無くなる、となると感傷を覚える。世の中に多々あることだが、慣れ親しんだ列車の廃止もそう。にわかに人気を呼んで、惜しむファンが殺到する▼3月14日で姿を消す寝台特急「あけぼの」(青森—上野)も然り。廃止前に乗っておきたい、そんな思いの人が今月に入って後を絶たず、最終列車の寝台券(221人)は発売開始0秒で売り切れたという▼鉄路は空路、海路より、旅愁を感じさせる。寝台特急が需要に応え、大きな役割を果たした時代もあったが、新幹線など速さ追求の前に一つまた一つと姿を消して…。全国的に現役は数少なくなっている▼2年前には、かつて函館発着だった「日本海」(青森—大阪)も廃止され、今、北海道と本州を結んでいる寝台特急・急行は「北斗星」(札幌—上野)など4列車。それもどうなるか、存廃が取り沙汰されている▼表立った話題にはなっていないが、北海道新幹線の開業との絡みで。線路などの保守作業を夜中から未明にかけて行う可能性が大であり、貨物列車との調整も必要。加えて車両も老朽化している。ただ人気はある。地域として存続を望むなら…傍観してはいられない。(A)


2月20日(木)

●♪一円玉の旅がらす 1円だって生まれ故郷にゃ母がいる〜。25年前に日本で初めて消費税が導入された翌年に、NHKの子供向けの番組で作った歌。その「一円玉の〜」が復活する▼お札は羽が生えているように、来たかと思えば、すぐ飛び去って、懐にたまった小銭だけがじゃらじゃら。消費税が上がった時、一円玉がなくて百円玉や千円札をくずしたことも▼このところ電子マネーが普及して、一円玉離れが進んでいる。電子マネーは2億万枚近く出回り、国民1人当たり1・5枚を持っている。一円玉の製造は中断したまま。「ひとりぼっちでどこへいく…」と片隅でポツン▼それが一転、4月からの消費税8%の導入で一円玉の出番がきた。来年10月に端数の出にくい10%への引き上げも予定されており、財務省は4年ぶりに一円玉の製造を再開。今年は2500万枚、来年は1億6000万枚製造する▼子供用の曲なのに、一円玉を三度笠に見立てた股旅者のアニメはカラオケで大人にも大人気。消費税に持ち上げられたり、落とされたりの旅がらす。流通の世界の最下層で精いっぱい生きている。みんな「1円を粗末にする者は1円に泣く」と絶叫している。(M)


2月19日(水)

●函館市は、耐震診断を行う民間施設に補助する方針を決めた。法改正で一定の築年数と規模を持つ施設が診断を義務付けられ、函館市の場合はホテルや病院、大型店など19施設が対象という▼診断結果は公表される。このため、もし耐震不足が判明すれば、その施設にマイナスイメージが付く。改修は所有者の努力義務で強制ではないが、仮に耐震化工事をしなければ客離れを起こす懸念もある▼阪神・淡路大震災では死者の8割に当たる5千人が家屋の倒壊による犠牲だった。日本では東海地震や首都直下型地震がいつ起きてもおかしくない。だから学校や公共施設で耐震化が進められている▼民間でも行われているが、改修費の負担は重い。今後、費用が工面できず解体や廃業というケースが出てくることも予想される。もし、函館観光を支える宿泊施設がそうなれば、地域経済に与える影響は看過できない▼多くの人が出入りする建物を所有する責任は重い。利用する人の安全を考えると、配慮や対策はもちろん必要だ。診断を行う建物がまず、基準値以上であることを願う。そして回復してきた経済を腰折れさせず、安全・安心なまちが築ける方策を考えたい。(P)


2月18日(火)

●「隔世の感」という言葉が思い浮かぶ。国語辞典的には、世情が移り変わったという感慨、の意味だが、道産米の道内食率、いわゆる地産地消の実態にも当てはまる。うれしい「隔世の感」として▼道産米は食味で落ちる、つまりはまずいと酷評され、米作のお荷物的な扱いを受けた歴史がある。それは減反政策に顕著に表われ、作付けを大幅に制限されたのは記憶に新しい。残念なことに道内食率も低かった▼実際につい10年余り前までは50%未満。それでも試験研究機関や栽培農家は、めげずに品種改良や栽培技術の向上に努めてきた。その結晶が「ふっくりんこ」「ゆめぴりか」「ななつぼし」など▼今や食味でも特Aにランクされるまでに。それはおいしいという評価の証明であり、道外での認知度はアップし、道民の食率も上昇。道農政部の統計だと、平成19米穀年度で70%ラインを超え、その後も78%、78%、82%と続いて…▼暫定値ながら24年度(主に23年産米)では90%に達したという。大震災や原発事故による東北の作付減など一時的理由もあるが、それを割り引いても道産米が存在感を高めているのは現実。長年の苦労が実った姿がこの率に表われている。(A)


2月17日(月)

●「オリンピックには魔物がいる」という言葉を聞くが、〝魔物〟の正体とはなんなのであろうか。羽生結弦選手が金メダルに輝いた男子フィギュアスケートのフリーの戦いを通じて、その意味を考えさせられた▼前日のショートプログラムで史上最高得点を叩き出し絶好調だったはずの羽生選手が、序盤でまさかの2度のジャンプ失敗。「これが例の魔物の仕業なのか」と考えるのは早計だった▼続いて登場したのが、逆転優勝を狙う世界選手権王者のパトリック・チャン(カナダ)。筆者はアンフェアとは思いながら、心の中でジャンプの失敗を祈ってしまった▼すると、その念が通じたかのように、百戦錬磨の王者がミスを連発。まさに〝魔物〟に遭遇したかのように苦悩の表情でもがくチャンの姿に、一瞬でも彼の失敗を願ったことを悔やんだ▼自国の選手の勝利を思ってとはいえ、血のにじむような努力を重ねてきた選手の不幸を願う心にこそ本当の〝魔物〟が潜んでいたのだ。五輪でのライバル争いが、国同士の誹謗中傷の材料にされることは日常茶飯事。だからこそ、かつては戦争を中断してまで行われていた本来の五輪の精神を、今一度思い起こしたい。(U)


2月16日(日)

●♪折れた煙草の吸いがらで あなたの嘘がわかるのよ〜。こんな歌謡曲もあった。幼い頃から「嘘つきは泥棒の始まり」と教わってきた。特に多くの人を失望させる“哀しい嘘”はいけない▼「現代のベートべン」「全聾の音楽家」と呼ばれ、交響曲「HIROSHIMA」を大ヒットさせた被爆2世の佐村河内守さんが、18年間もゴーストライターに作曲させていたことにショックを受けた▼しかも代作者が「耳が聞こえないと感じたことはない」と語っていた問題で、「3年前くらいから、耳元で、はっきり、ゆっくりしゃべってもらうと、言葉が聞き取れる時もあるまで回復していた」と告白、謝罪文を公表▼聴覚障害2級の障害者手帳も取得していた。嘘で物事をごまかし続けると、いつか悪事に手を染める…。でも、曲は感動を与える。フィギュアの高橋大輔選手はソチ五輪で「バイオリンのためのソナチネ」の曲で見事な演技を見せた▼影武者やゴーストライターは、どの世界でも存在する。しかし、ウソにウソを重ね、障害と向き合っているような身をでっち上げるような行為は「奇跡の作曲家」とはいえない。身から出たサビだ。もっと“優しい嘘”がつけなかったのか。(M)


2月15日(土)

●男の子がいる家庭にとって、日曜日の朝7時半はちょっと特別な時間。悪に立ち向かうヒーロー、ヒロインに巨大メカが活躍する戦隊シリーズの放送があるからだ。16日から新シリーズ「烈車戦隊トッキュージャー」が始まる▼子ども向け番組とあなどるなかれ。このシリーズは1975年の「秘密戦隊ゴレンジャー」から今年で39年目。親子2代、いや3代にわたって視聴している家庭もあるはず。1年ごとに新たな戦隊が登場する。忍者、恐竜、刑事、救急隊—テーマはさまざま。原作者(八手三郎さん)の発想力には恐れ入る▼今年は初の「鉄道」がテーマ。スポーツ紙などでは変身や必殺技の決め台詞が“スクープ”されている。愚息の幼少期を思い出し、久々に見てみたくなった▼「鉄道」は子どもにとって夢やあこがれの対象。列車運転手は、あこがれの職業の上位。だからこそ戦隊テーマに選ばれたのだろう▼道警がJR北海道に対する強制捜査を開始した。脱線事故を契機に発覚したレール検査データの改ざんに、捜査のメスが入る。全容解明には時間がかかるが、それより前に、JR北海道は安全対策を確立し、子どもたちがあこがれる鉄道に再生してほしい。(T)


2月14日(金)

●何が難しいかって、人間が人間を評価することほど難しいことはない。営業職の業績数字など客観的な判断材料があるなら別だが、能力的にどうかとなると、もはやお手上げ▼能力主義、人事考課という表現の人物評価が企業に浸透し始めて久しい。終身、年功序列の日本式雇用形態は、企業間競争に抗していくにはそぐわない、もっと合理的であるべき、などが理由だが、今ではそれが公務員の世界にも▼基本的な勤務状況に加え、仕事に意欲的かどうか、業績を残したか、など評価内容は多技にわたる。一見、公平に映るが、問題点も多々。その最たるものは評価者の主観や感情に左右されかねないこと▼職場のムードを壊したくない、部下から悪く見られたくない、などの思いがあっても客観性は揺らいでしまう。総務省は先日、国家公務員(一般職)から抽出した約3万人の人事評価(5段階評価)の結果を公表した▼それによると、S(特に優秀)、A(優秀)が約6割を占め、逆にC、Dはわずか0・6%だったという。数字だけをみると、さすが国家公務員、ということになるが、それほどに人物評価は難しいということ。見直す企業が出始めているのもうなずける。(A)


2月13日(木)

●熱戦続くソチ五輪。金メダルに最も近いとされていた女子ジャンプの高梨沙羅選手が、ノーマルヒルで4位に終わった。今季W杯で10勝を挙げた“絶対王者”がまさかの涙…▼スノーボードのハーフパイプでも、五輪2連覇中の“本命”ショーン・ホワイト選手(米国)が4位。しかし、日本の15歳、平野歩夢選手が2位に入り、冬季五輪最年少のメダリストに。平岡卓選手も銅に輝き、喜びは倍増▼前日にはスピードスケート男子500メートルで、「ダブルエース」と期待された長島圭一郎、加藤条治の両選手がメダルを逃した。日頃、強気な長島選手は「(応援に来てくれた方の)旅費を全部払いたい」と彼独特の表現でおわび▼話戻って高梨選手。幼少から人一倍努力して、誰もが認める世界一の実力を磨き上げた。長島、加藤選手も、想像を絶するトレーニングの末に、超絶な技術を獲得した。それほど頑張っても簡単に手に入らないのが五輪のメダル▼後半戦にもフィギュアスケート個人戦やジャンプの団体とラージヒル、スケート女子のパシュートなど注目競技が目白押し。メダルに過度な期待をせずに、選手たちがみせてくれるドラマを楽しみにしたい。(T)


2月12日(水)

●大震災以来、エネルギー政策は身近な問題。「原発ゼロ」をかかげ元首相がタッグを組んだ東京都知事選は、福祉、防災、経済などを訴えた舛添要一氏に軍配が上がった。その舛添新知事も「脱原発依存」の立場だ▼舛添氏は都の電力消費量の2割程度を再生可能エネルギーで賄うと訴えた。具体的な行程や施策を示すべきでは。ある高齢者は「原発の寿命は40年と聞いている。新設は認めないで、寿命がきたら廃炉にすればいい」と話す▼そんな中、函館市は津軽海峡の向こうで建設中の大間原発の建設差し止め訴訟に踏み切ることを決めた。大間原発に事故があったら、海峡を挟んで最短23キロ圏内にある函館市に被害が及ぶからだ▼市の一部が原発から半径30キロ圏に設定される緊急防護措置区域にも含まれる。大間原発は世界初のフルモックスの原子炉で危険性が指摘されており、活断層の存在や海上からのテロも懸念される▼大間原発は一昨年から建設再開。建設途中だからこそ、建設中止を求める訴訟は「原発ゼロ」や「脱原発依存」へつながるのではないか。差し止め訴訟は市議会の議決を経て、3月下旬に提訴する。原発再稼働の動きの中、自治体が国を相手に原発訴訟を起す初のケースとなる。(M)


2月11日(火)

●2005年の郵政選挙。小泉純一郎首相は、郵政民営化法案を通さなかった参議院でなく、衆議院を解散し、問うた。「郵政民営化か、否か」。民営化で世の中すべてが良くなると錯覚したのだろうか。結果は自民党の大勝▼2009年の政権交代選挙。長く続いた自民党中心の政権に、多くの国民が思った。「政権さえ代われば」。歳入を絶って無料化や給付を増やす公約に「予算の組み方さえ変えれば財源はいくらでもある」と民主党は答えた。だが、言葉通りにはならなかった▼争点をひとつに戦う「シングルイシュー」に、有権者も疑問を感じたのだろうか。「反原発」を掲げて東京都知事選に立候補した細川護煕元首相が、舛添要一氏に大差で敗れた。細川氏立候補の仕掛け人は、小泉元首相だ▼大阪市では「大阪都構想」を掲げる橋下徹市長が、市長を辞職、出直し選挙に臨む。都構想をめぐる議会の対応に端を発しているが、仮に信を得ても議会の構成は変わらない▼シングルイシューは争点は明確だが、政策課題はそれだけではない。一点突破から懸案を全面突破する考えもあろう。だが、時に大きく振れる民意の結果通りに政治が結果を出すのは難しい。(P)


2月10日(月)

●表に出たと思えば隠れ、また表に出てくる…国会が問われている選挙制度の改革もその類いで、いつまで経っても答えは聞かれない。司法から「1票の格差」の是正を問われた後も先延ばしのまま▼小選挙区の格差が2・43倍だった一昨年12月の衆院選の選挙無効訴訟で、最高裁は昨年11月に「違憲状態」の判断を下した。2倍以上というのは1人2票の価値を生み出す状態であり、当然といえば当然▼国会は是正を求められたということである。加えて議員定数の削減も求められている。もはや逃げられない。自公民3党は、今年4月までに改革の結論を出すことを確認したまでは良かったが、その後は…▼年が明けて動いたのは民主など野党5党。この7日、小選挙区定数の見直しで与党に2つの是正案を提案した。いずれも格差が2倍以下にできるという5増30減、3増18減の2案。ところが、かみ合わない▼定数の削減は自助努力というか自浄作業の範ちゅうだが、「1票の格差」の是正は国会として避けられない重い責務。そこに党利党略が入り込んでは、まとまる話もまとまらない。鍵を握るのは国会の良識だが、それをどう見せてくれるか…待つしかない。(A)


2月9日(日)

●今冬の道南は全体的には少雪傾向で、加えて寒暖の差が激しい。最近はしばれが続いているが、これがひとたび緩むと、小さな通りや駐車場は雪解け水も相まって、車の走行はおろか、歩くのもやっと▼国土交通省の分析だと、2000年以降、「雪害」の死者がそれ以前の最大10倍に増えているという。大半は除雪作業中の事故で、屋根の雪下ろし中に転落—などのケースが増えたとみられる▼国が指定する豪雪地帯は24道府県の532市町村。大半は過疎地域で人口は減っている。危険な雪下ろしを高齢者がせざるをえない状況になった理由が少子高齢化なら、事故数増加は「雪害」という単純な話では済まなくなる▼函館市でも昨年、約3000人が減り、人口減のペースが再び“加速”した。詳しく分析はしていないが、その大半は若者ではないだろうか。いくら雪の少ない道南とは言え、「生活除雪」といった側面でも不安は増す▼子どもが近くに住んでいない高齢者が増えている。だが、それは函館・道南だけではない。若者の流出を止める対策を進めるのは当然だが、同時に今いる高齢者を地域で支える仕組みづくりがより重要な時代になった。(T)


2月8日(土)

●根室管内の中学生による「北方領土サミット」で、領土返還に「いいえ」と答えた生徒が4分の1を占めた。ある生徒は「ロシア人にも故郷。返還は望むけれど、ロシア人と共存したらどうか」と話した▼終戦の年の8月下旬、旧ソ連軍がまず択捉島留別村に上陸し、建物は次々と接収されたが、2年間は島民とロシア人が一緒に暮らした。小学校では午前は日本人、午後はロシア人が授業を受けたという▼日本は「サンフランシスコ講和条約で放棄した千島列島には北方領土は含まれていない」と主張、ロシアは歯舞、色丹の2島返還を規定した日ソ共同宣言から譲歩する見通しはなく、平行線をたどっている▼4島の総面積は約5000平方キロ。現在ロシアが使っているのはせいぜい1割。ある元島民は「ロシアと日本が3ずつ、残りの4は自然保護区として残せばいい」と“日露混在”を提唱しているが…▼いつまでもラチはあかない。ソチ五輪の開会式に出席する安倍晋三首相は8日に予定しているプーチン大統領との首脳会談で、ぜひ返還への筋道をつけてほしい。雪まつりの時期になると、各地で返還運動が盛り上がり、多くの著名が寄せられる。7日は「北方領土の日」。(M)


2月7日(金)

●根室管内の中学生による「北方領土サミット」で、領土返還に「いいえ」と答えた生徒が4分の1を占めた。ある生徒は「ロシア人にも故郷。返還は望むけれど、ロシア人と共存したらどうか」と話した▼終戦の年の8月下旬、旧ソ連軍がまず択捉島留別村に上陸し、建物は次々と接収されたが、2年間は島民とロシア人が一緒に暮らした。小学校では午前は日本人、午後はロシア人が授業を受けたという▼日本は「サンフランシスコ講和条約で放棄した千島列島には北方領土は含まれていない」と主張、ロシアは歯舞、色丹の2島返還を規定した日ソ共同宣言から譲歩する見通しはなく、平行線をたどっている▼4島の総面積は約5000平方キロ。現在ロシアが使っているのはせいぜい1割。ある元島民は「ロシアと日本が3ずつ、残りの4は自然保護区として残せばいい」と“日露混在”を提唱しているが…▼いつまでもラチはあかない。ソチ五輪の開会式に出席する安倍晋三首相は8日に予定しているプーチン大統領との首脳会談で、ぜひ返還への筋道をつけてほしい。雪まつりの時期になると、各地で返還運動が盛り上がり、多くの著名が寄せられる。7日は「北方領土の日」。(M)


2月6日(木)

●タレント自身が執筆したはずの小説やエッセーなどが、実際には別の人間の手によって書かれていたという話はよく耳にする。この影武者作家のことをゴーストライターと呼ぶ▼ゴーストライターは音楽の世界にも存在する。何らかの理由で作詞や作曲を肩代わりしている〝幽霊〟たちの存在は、最後まで表舞台に出ることなく、闇に葬られることがほとんどだ▼耳が聞こえない作曲家として「ベートーベン2世」などとマスコミに取り上げられ、絶大な人気を得ていた作曲家・佐村河内守(さむらごうちまもる)さんにゴーストライターがいたというスキャンダルは、あまりにも衝撃的だった▼作曲家に、アシスタント的存在が付くことは珍しくない。晩年に失明したディーリアスは、友人のフェンビーに口づたえでスコアを記してもらった。スケッチだけ残してオーケストレーションを弟子に任せていた大作曲も少なくない▼佐村河内さんの場合も、当初は共同作業者である新垣隆さんと納得の上で作業が進められたはず。しかし、予想外の大成功が新垣さんのプライドを刺激したのだろうか。今後の展開は予想できないが、楽曲そのものの価値に傷がつくのは悲しい。(U)


2月5日(水)

●北海道・東北は厳冬期。桜の話をするには気が早いが、日本列島は南北に長い。南の沖縄からは既に花が散ったとの情報が。ソメイヨシノの桜前線はあと1カ月半もすると、九州・四国から北上を始める▼桜は日本の精神文化をくすぐる代表的な花木。枝いっぱいに見事なまでに花をつけ、優美で可憐…種類も多く、さまざまな姿を見せ、人々を魅了する。「東日本大震災の被災地に桜を」という理由もそこにある▼紹介できるのはほんの一部だが、「さくらプロジェクト3・11」は昨年11月に山元町で4回目の植樹を実施。湾に沿って津波到達点上に桜を植える計画の陸前高田市では、3月15日に春の植樹が予定されている▼その桜開花の先導役を務めるのが1月下旬に緋色の花をつける沖縄の寒緋桜。これから開花のピークを迎える伊豆の河津桜が引き継いで、3月中下旬からソメイヨシノなどへとバトンがつながれる▼名所で迎える側、逆に訪れる側にとって気になるのが開花の時期。日程に苦慮するからだが、ちなみに気象情報会社が発表した東京以西の開花予想の第一報は「平年並みか早くなりそう」と。立春も過ぎた…実感はともかく春は近づいてきている。(A)


2月4日(火)

●飾りを省いた四角い襟元には清楚と美しさがただよう。昭和の母親の勝負服は「かっぽう着」。幼いころ、包丁で朝ご飯を支度する台所のまな板の音で目が覚めたものだ▼こちらは、かっぽう着が似合うリケジョ。新万能細胞で世界を驚かせた理化学研究所の小保方晴子さんの勝負服も白衣ではなく、かっぽう着。自分の血が子供へ、またその子供へつながる「人間の命」に関心を抱いた▼研究室スタッフは全員女性。ピンクや黄色い壁、机にはムーミングッズがずらり。小保方さんは必ず祖母からもらった白いかっぽう着をまとって研究。「STAP細胞」と名付けた▼ファッション好きな普通の女性。占いも趣味とか。研究室では努力家。有名な科学誌に研究の掲載が断られ、ひどく落ち込んだ時、祖母から「研究者の仕事は世の人のため。これを着て一日一日、頑張りなさい」と、かっぽう着が贈られた▼かっぽう着は、もともと日本女子大学の学生が理科実験の際に使う作業衣として作られた。かっぽう着には「よし、やるわよ」と気持ちを奮いたたせる何かがある。明治からのリケジョの意気込みが今回の開花につながった。STAP細胞の医学への夢はふくらむ。(M)


2月2日(日)

●自転車が絡む交通事故の多くは車が相手で、被害者になる形態が圧倒的だが、自転車が加害者になる事故が増える傾向という。歩行者をはね、多額の賠償請求を受ける事例も珍しくはなくなった▼1月末の東京地裁の判決。赤信号を無視した自転車にはねられ死亡した女性の遺族が起こした民事訴訟で、自転車の男性に4700万円の支払いを命じた。遡(さかのぼ)って昨年1月には神戸地裁で9500万円の賠償命令も▼警察庁によると、自転車と歩行者が当事者の事故は2003(平成15)年以来、年間2000件台。函館・道南もそうであるように、その背景には、自転車対策の道路整備が遅れている現実がある▼だが、問題の根はあくまで乗る人の安全意識。道を歩いていてヒヤッとした経験があろうが、同庁によると、自転車では信号無視や交差点での安全不確認が多いという。加えて危険とも言える速度での通行▼基本さえ守っていれば…認識すべきは自転車が歩行者と同列の交通弱者であり得ないこと。歩行者と違って自転車は加害者にもなるということである。ゆえに、自動車並みの責任が問われて当たり前。北海道もあと2カ月余で自転車が増える季節を迎える。(A)


2月1日(土)

●日本の「リケジョ(理系女子)」の快挙だ。理化学研究所発生・再生科学研究センターの小保方晴子ユニットリーダーらが、生物学の常識を覆す手法で万能細胞(STAP)の作製に成功した。世界中の研究者が「革命的」と称賛している▼遺伝子操作を伴わず、弱酸性の液体で「刺激」するだけで、マウスの万能細胞をつくった。先にノーベル生理学・医学賞を受けた山中伸弥教授の「ips細胞」より「早く」「簡単」に作れ、がん化の危険性も少なく「安全」らしい▼最初、この論文を科学誌に投稿したら「生物細胞学の歴史を愚弄している」とまで酷評されたが、あきらめずに証明を積み重ねたという。小保方さんは30歳。研究者として若く、この先にもいろいろな発見や応用ができそう▼そもそも万能細胞とは…。いったん役割が決まった細胞を、いろいろな機能に分化できるように初期化(万能化)させること。機能不全を起こした臓器などの移植医療への応用も期待される▼「刺激」という手法が画期的なようだ。ある研究者は「想像もしていなかった」と論評した。生命の不思議はまだまだ奥が深い。その一端を日本人の、しかも「リケジョ」が解明したというのは誇らしい。(T)