平成26年4月


4月30日(水)

何と切ない判決なのか—。認知症だった91歳の男性が徘徊(はいかい)中に電車にはねられ死亡した。鉄道会社が損賠賠償を請求し、裁判所は85歳の妻に360万円の支払いを命じた▼亡くなった男性は、妻がうたた寝をしている間に、1人で家を出て、はねられた。裁判所は家族に監督責任があると判断した。釈然としない人は多いのではないか▼国内では認知症患者が300万人とも言われる。認知症で行方不明になった人は2012年の1年間で、9600人超。同年の交通事故死者約4400人の倍以上。驚くべき実態だ。うち359人が死亡し、見つからないままの人も約200人▼認知症の介護は家族に大きな負担を強いる。心身ともに困憊(こんぱい)し、それでも頑張る家族に、うたた寝すら許さないのか—。判決には人間らしい温かさを感じない。施設や介護のマンパワー不足こそが問題の根源のはずだが、法律ではそれを裁けない▼「法は最低限の道徳」—。大学の法学の授業で初めに習った言葉。これが語られた真意とは異なるが、今回の判決でふと思い出した。法律だけでこの妻を裁くのは余りにも酷だ。介護に苦しむ家族を救う方策は社会全体で考えなければ…。(T)


4月29日(火)

鉄道の旅の楽しみ方は人それぞれ。まどろんだり、ゆっくり本を読んだり…船の旅、飛行機の旅では味わえない鉄道だからこその楽しみがある。それは移り行く車窓に広がる景観▼確かに、船も寄港地に近づくと海からの風景を味わえ、飛行機も上空からの眺めを堪能できる。だが、列車にはかなわない。市街地や田園地帯など身近な景観に触れ続ける醍醐味があり、長距離列車では地域、地域の季節感も見て取れる▼ただ一つ残念なのが、その景観を損ねている沿線の屋外広告。道内は少ない方だが、新幹線時代を迎え、増えないとも限らず、対策が不可欠。読売新聞も報じていたが、道は規制を検討しているという▼今の規制は道屋外広告物条例だが、沿線にも適用すべく改正する方針。商工業地域などを除いて両側の一定範囲内を規制の対象とし、単なる宣伝広告は認めないとか、具体的制限が加えられる見通し▼この車窓目当ての広告物は、企業などの良識の問題とも言えるが、建前を論じても減ることはない。新幹線で快適な北海道の旅を続けてもらうためにも、沿線の景観保全は大事なテーマ。幻滅させる光景だけは許されない…そのためなら規制もやむを得ない。(A)


4月28日(月)

飲酒運転による事故は減ったとはいえ、全国で年間なお4千件台。理由の如何(いかん)を問わず、最も悪質な違反行為だけに厳罰は当然。5月20日に新法が施行し、罰則が引き上げられる▼その法律名は自動車運転死傷行為処罰法。飲酒や持病による事故を対象に上限懲役15年の刑罰が設けられ、飲酒を隠し逃走した行為などに適用するアルコール等影響発覚免脱罪(同12年)も加えられた▼飲酒運転による事故は、2006年に罰則が強化されるまで全国で年間1万件を超えていた。その後はさすがに減少したが、それでも2013年は4335件の事故を数え、うち238件が死亡事故という▼これはあくまで事故を起こした数字で、飲酒運転の実態のごく一部。事故や摘発を逃れた数は、この何倍とも推測される。いけないと分かっていながら、なぜ…そこにあるのは手前勝手な理屈であり、安易な考え▼「酒に強いから大丈夫」「少し休んだので酔いは醒(さ)めた」「事故を起こさず違反をしなければ大丈夫」。その撲滅が罰則の強化に頼らなければならないのは寂しい限りだが、現実はそれを求めている。改めて自分に言い聞かせよう…「飲んだら乗るな(運転するな)」と。(A)


4月27日(日)

オバマ米大統領が来日し、日米首脳会談を行った。離日ギリギリまで協議が続けられる異例の成り行き。最大の焦点だったTPP(環太平洋連携協定)は「大筋合意はできなかった」としながらも、「道筋はみえた」というよく分からない形で協議継続を確認した▼安全保障問題では、「尖閣は日米安保の適用範囲」と明確な立場を表明した。「日米同盟の強化」というメッセージを中国に送れたのは、日米双方の利害が一致したから▼しかし、国益がぶつかり合っているTPPはそうはいかない。牛肉や豚肉の関税撤廃を求める米に対し、日本は自動車で揺さぶりを掛ける。安易な撤退は国の衰退につながりかねないだけに、協議は難航を極めた▼首脳会談後の共同会見で、オバマ大統領の表情はことさら硬かった。TPPに関して「日本には主要な役割を果たすチャンスがある」とした上で、「日本経済の再活性化を促進する」と強調した▼首脳会談というと遠い世界のことのように感じるが、話し合われた「TPP」は生活に極めて近いテーマだし、「安全保障」も自衛隊だけの問題ではない。“完全解答”には失敗したが、議論の行方はしっかり見守らなければならない。(T)


4月26日(土)

パイロットの給料は日本の航空会社が最も高いと言われるが、知人の機長のおおよその年収や待遇を聞いて、やはり別格と思った。だが、日々の勉強と健康管理、極度の緊張とストレスの中で人命を預かる仕事であり、見合った報酬でもあると思った▼格安航空会社(LCC)のピーチ・アビエーションが、機長の人数を確保できなかったとして、5月から10月までに最大で2千便の運航を中止すると発表した▼就航3年目のピーチは業績を伸ばし、便数を増やしてきたが、機長の病気やけがに加え、採用も予定を下回ったという。背景には航空需要の拡大に伴うパイロット不足がある。ピーチは大手と比べ給料が安いため、他社からの引き抜きもあるという▼わが国でも従業員を確保できず休店や規模縮小、受注辞退などに追い込まれるケースが続出している。高給が用意できれば人も確保できようが、薄利多売の体力勝負の中にあっては、非常に難しい▼人手不足は社員の奮闘や責任感で解決できるような問題ではない。航空業界であれサービス業であれ、人材確保は今や最大の課題。無理をしてでも社員の待遇を改善しなければ、生き残れない時代かもしれない。(P)


4月25日(金)

今季から大リーグのヤンキースに所属する田中将大投手が、23日に3勝目を上げた。これで公式戦で日米通算31連勝を達成。「負けないマー君」伝説は、海を渡っても勢いが止まらない▼メジャーでの先発4試合目となるこの日は、7回1/3を投げたが、相手の3、4番に連続本塁打を浴びるなど決して楽な戦いではなかった。それでも粘り強い投球で追加点を許さなかった▼田中の魅力はなんといっても四球の少なさにある。1試合あたりの「与四球率」は、2012年が0・99、13年が1・36と2年連続でパ・リーグトップ。つまり1試合を完投したとして、ほぼ1個しか四球を与えていないのだ▼今季も4試合で29回1/3を投げ与四球2。余計なランナーを出さないので、ホームランや長打を打たれても大量失点につながらないことが勝利を呼び込んでいる▼今後シーズンが本格化し、田中の投球に対する分析が進めば、打者も簡単にはボールに手を出さなくなり、真の実力が試されることになる。もちろん連勝記録は続いてほしいが、それよりもまずは二ケタ勝利を目標に、最終的にはダルビッシュ有がメジャー1年目で記録した16勝を超える活躍に期待したい。(U)


4月24日(木)

総務省が発表した2013年10月1日現在の人口推計によると、日本の総人口(外国人を含む)は、1億2729万人で、前年に比べ21万7千人減った。日本人だけでみると、約25万人の減。函館市にほぼ匹敵する日本人がいなくなったのだと思うと、改めて衝撃を受けた▼さらに深刻なのは、15歳〜64歳までの生産年齢人口。前年比116万5千人も減って7901万人。8千万人を切ったのは、32年ぶり。地方や中小零細企業の人手不足は、今後さらに拍車がかかりそう▼逆に増えたのは、65歳以上の高齢者。110万人増えて3189万人。第1次ベビーブーム(1947〜49年)に生まれた人たちが、この年齢層に達したため、高齢化率は一段とアップした▼北海道の人口は543万人で、前年比2万9千人の減少。減少率0・54%は全国の都道府県の29番目。「まだまだ下がある」と安心はできない。札幌圏以外の人口減は深刻だ▼そこで「人口を増やし地域に活力を」となるのだが、国全体がこれだけ急激に人口減、少子高齢化する中で、地方の一地域だけに歯止めがかかるのだろうか—。人口構造に合わせたマチのあり方を根本から考える時期にきているのではないか。(T)


4月23日(水)

経団連は先日、安倍首相を喜ばせるデータを公表した。それは定期昇給とベースアップなどを含めた主要240社の賃上げの状況。平均金額は7697円、率は15年ぶりに2%を超えて2・3%…▼焦点は地方、中小企業に移っているが、北海道でそのレベルに届く企業はわずか。ということは、あくまで大手企業の、極めて部分的な話で、それをもって全体を占うことは無理ということである▼なのに、政府、財界から聞こえてくるのは、生活実感からかけ離れた景気回復吹聴のアドバルーン。だが、考えてみよう、たとえ月8000円ほど賃金が上がっても、消費税の負担増に相殺されて差し引きゼロ▼その賃上げレベルに届かない地方となれば、なおさらのことで、増税負担のカバーは絶望的。レギュラーでリッター164円(函館市14日発表)…温暖化対策税とのダブル増税のガソリンなどの価格高騰も重くのしかかる▼車は生活の足である一方、運輸関係をはじめ企業の経営を圧迫したまま。それが商品価格に跳ね返り、消費の抑制につながったら…。大手企業の賃上げ実績で喜ばれて困るのもそれ故。家計の収支が厳しい現実は、少しも変わっていないのだから。(A)


4月22日(火)

日本の海難史上で最悪といえば60年前に1100人超の犠牲者を出した青函連絡船の洞爺丸事故。船長は最後まで船に残り、人命救助に必要な手段を尽くし、双眼鏡を肩に、1週間後発見された▼韓国珍島(チンド)沖で沈没した旅客船の船長は事故当時、操舵を経験の浅い女性の3等航海士に任せて、自分の船室に戻っていた。船体が傾いたころ、「10分後に救助隊が来るので動かないで」という案内放送があった▼修学旅行中だった高校生ら多くの乗客は、刻々と水かさが増し、船内に閉じ込められた。船長は救命ボートを下ろす指示もせず、誰よりも先に船体を離れ、救助船に乗り移ったという。300人超の犠牲者・行方不明者を出して▼若い女性航海士は潮の速い珍島沖で急旋回を繰り返し、積荷などでバラン スを崩して転覆。20分後に船腹から鯨のように激しい水しぶきを噴き上げ、「助けて」という船内からの携帯も荒波に消えた▼♪海が割れるのよ 霊登(ヨンドン)サリの願いはひとつ散り散りになった家族の出会い〜天童よしみさんが歌い上げる珍島の浜で、わが子の無事を叫ぶ親たち。海が割れて、救出の道が開き、高校生たちが駆け寄ってくる奇跡を祈るばかり。(M)


4月21日(月)

古い話で恐縮だが、昨年11月にあるデザイナーの講演が函館で開かれると知り、聞き逃せないとの思いで足を運んだ。JR九州の豪華列車「ななつ星in九州」や九州新幹線のデザインを手がけた水戸岡鋭治氏こそがその人▼氏が講演の中で幾度となく言及していたのは「手間ひま」の重要性。「豪華列車などは手間ひまをかけたもので、そこから感動が生まれる。現場が嫌がることほどお客は喜ぶ」との言葉に共感しながらも、筆者の頭に浮かんだのは「あの会社」のこと▼JR北海道が北海道新幹線の新型車両のデザインを発表した。もちろん捉え方は人それぞれだが、東北新幹線の「E5系」とほぼ同一で、側面の帯の色を紫に変えただけのデザインには感動を覚えなかった。東北新幹線と共通性を持たせるという理由は分かるが…▼国鉄分割民営化で経営安定基金に頼ってのスタートを余儀なくされたJR北海道とJR九州。四半世紀経過して明暗ははっきり分かれている▼広い面積、沿線人口、冬場の厳しさ。経営環境に差はあれど、一番の違いは手間ひまのかけ方ではなかったか。北海道新幹線の無難なデザインを見るにつけ、やけに深いため息が出る。(C)


4月20日(日)

上司と部下の関係、先輩と後輩の関係…職場の人間関係は難しい。仕事だから逃げ道はなく、厳しさや甘えが行き過ぎて感情が加わってくると、悪循環になって、抜き差しならなくなる▼それは昔も今も同じだが、仕事の能率、組織の力という視点から昨今は特に。悩ましい現実でもあるが、ではどうすればいいのか。ソニー生命保険が行った「社会人1年目と2年目の意識調査」の結果は、さしずめ一つのヒント▼先輩社会人から言われるとやる気を奪われる言葉(セリフ)、という設問の答えで最も多かったのが「この仕事向いてないんじゃない」。複数回答で46%というから半数近くが挙げている▼ゆとり世代だなぁ(37%)、やる気ある?(36%)、そんなこと常識でしょ(26%)と続き、極めつきは、私が若い頃は○○だったのに(22%)。いずれも小馬鹿にした、嫌みとしか伝わってこない言葉である▼叱るにしても、これでは逆効果。上司や先輩にとってまさに禁句だが、高い率で示されると、そんなことはないとも言い切れなくなる。社員を一人前にするには、金と時間がかかる。そうして育てた人材を、言葉で腐らせて、やる気を奪っては、何とももったいない。(A)


4月19日(土)

高3の孫娘は「歩きながらや自転車に乗りながら、ゲームやアプリはしない」と親と約束し、ガラケーからスマートフォンに切り替えた。友だちが「ながらスマホ」で人にぶつかったという▼ガラケーも使いこなせない身には、ツイッターやフェイスブックにはついていけない。でも、歩きながらの端末操作は駅のホームから転落したり、遮断機に気付かず踏切に進入したり、ひったくりに遭ったり、トラブルが絶えない▼「交流サイト」に書き込みをし犯罪に巻き込まれることも。警視庁によると、昨年1年間に性犯罪などの被害に遭った18歳未満の少女らは1293人に上った。道内でも82人が巻き込まれている▼スマホの無料通話アプリで使う連絡先のIDを掲示板に公開した少女らが、連絡してきた相手から被害を受けるケースが3年前から増えている。アプリ使ってグループでやりとりする中高生も多く、仲間外れにされたり、いじめに発展することも▼母親がスマホを使っている2歳児の22%がスマホを操作して遊んでいるデータも。スマホで勝手に遊ばせ子守りをしないとは、とんでもない勘違い。自分では楽しい「スマホ」も、他人には「邪魔歩」になる(M)


4月18日(金)

炭鉱で栄えた歌志内市の人口が、ついに4000人を割り込んだ。全国で最も人口が少ない市として知られてきたが、ピーク時の10分の1以下に。渡島では木古内町や知内町が4800人ほどだから、ただごとでない▼歌志内は明治時代に1万人、大正時代に2万人を超え、戦後の1948年には4万6千人が暮らした。映画館や芝居小屋もあったろう。炭鉱で働く若者の活力が、あすの日本を創る石炭を生んだ▼転機となったのは、国のエネルギー政策の転換。石炭から安価な石油へのシフトで、炭鉱が次々と閉山した。他に頼る産業に乏しいため、待っていたのは急激な過疎化。同じく産炭地の夕張は観光やリゾート開発に乗り出したが、平成に入って財政破綻した▼産炭地の疲弊は道内だけではない。長崎県の端島(軍艦島)は島ひとつがゴーストタウンとなった。最近の廃墟ブームで観光客に人気というが、人が持続的に暮らせることが一番だ▼そして原子力。首都圏へ電気を送り続けた福島も、事故地はゴーストタウン化している。函館の対岸・大間町では「それでも原発に頼るしかない」と推進の声。国のエネルギー政策の犠牲になるのは、いつも地方なのか。(P)


4月17日(木)

讃岐の国の豪族に生まれながら仏門に入り、唐からの帰朝後に高野山を開いた弘法大師空海。その生涯や教義は神秘的で、日本仏教の中で最も伝説が多い人物だろう▼巡礼中につえをついたら温泉が湧いたとか、讃岐うどんをもたらし、いろは歌を作ったとか、数限りない伝説がある。宗教者には後世の仮託がついて回るが、その多さは、空海がもたらした密教と切り離せない気がする▼密教は心理性や神秘性の中に教義の真髄を置く。神秘で教えをぼかして溶接し、宇宙まで包み込む。その儀式に欠かせないのが、あかあかと灯る火。高野山には1000年近くにわたり輝く「不滅の聖燈(しょうとう)」があり、弘法大師の生命の象徴とされる▼その聖燈の分燈と、空海ゆかりの法具がこのほど、函館市住吉町の高野寺に迎えられた。来年4月に行われる高野山開創1200年記念大法会に向けて、全国を巡回する。その第一歩の地に函館が選ばれた。丸山泰観住職は「非常に名誉で、多くの人にご縁を結んでもらいたい」と願う▼高野山は開創以来、わが国の宗教的権門として、国家の安泰や平和を祈ってきた。幾多の戦乱の世を経て現在につないだ火、空海の願いをかみしめたい。(P)


4月16日(水)

「我が国の厳しい財政事情及び東日本大震災に対処する必要性に鑑み…」。国会議員の歳費・期末手当を期限付き(2年間)でカットする臨時特例に関する法律は、その趣旨をこう明記している▼未曾有の大災害の復興に当たって、国会議員も身を削るべき…その姿勢を具体的に示すということでカット率は12・88%。さらに議員定数の削減を法律で定める日までの間は20%とし、この2年間、続いてきた▼過去形なのは、このうち12・88%は今月末で期限切れを迎え、その後が不確定だから。復興もまだまだ、定数の削減も各党の思惑が絡んで進んでいない。国民の生活を直撃する消費増税をしたばかりでもある▼そう考えていくと、あり得る判断は一つ。すっきりと20%を継続するのかと思いきや、永田町はそうでもないようで。11日に開かれた衆院の議運理事会では答えを出せなかったという▼国会議員の歳費(期末手当を含め約2200万円)が、欧米先進国に比べ低いというなら理解の余地もあろう。だが、実際はその逆で高い。国の現状が厳しい中で、歳費削減はこれで終わり、となるならば、国会議員の身を削る姿勢とはこの程度かとなりかねない。(A)


4月15日(火)

DNA鑑定は事件解決や身元確認に欠かせない。イタリアの裁判所は男性を刺殺した男にDNA鑑定から「攻撃性や凶暴性の増大と関連した遺伝子変異を持つことが判明した」と重い判決を言い渡した▼雪が融けてギョウジャニンニクなどの山菜採りに入山すると、腹を空かした冬眠明けのヒグマと遭遇することがあり得る。先ほど、せたな町で40代の女性がヒグマに襲われた▼女性は60代の男性と林道を歩いていたところ、近づいてきたヒグマにリュックサックを爪で引っかけられ倒されて、腕にかみつかれた。男性がナタで応戦し、ヒグマの鼻に傷を負わせると、山中に逃げた▼道総研環境科学研究センターが現場に残されたヒグマの血液など遺伝子分析したところ、昨年4月に50代の女性を襲って死亡させたヒグマのDNA型と一致した。凶暴性、攻撃性を持っていた▼空腹で凶暴化し、一度、人を襲ったヒグマは人への警戒心が薄れて、再び人を襲う習性がある。ハンターや消防署員らが出動、ヘリも飛ばして大規模な捜索、警戒に当たっている。春の山菜採りで、この10年にヒグマに襲われた事件は7件、6人が死亡している。クマよけグッズなどで自己防衛を。(M)


4月13日(日)

給料の上がりし春は八重桜—安倍首相が12日、自ら主催した観桜会で詠んだ一句。アベノミクスによる今春の賃上げ風潮をしたためた。ニュースを見ると、会場の新宿御苑は春爛漫(らんまん)の光景▼連合の集計(3月31日現在)によると、平均賃金方式では1962組合が回答を引き出し、賃上げ回答額(組合員加重平均)は6495円(2・20%)。昨年同期を1211円(0・40ポイント)上回った。一時金も年間の月数で5・19カ月となり、前年より増額▼300人未満の中小組合でも回答額は4810円(1・97%)。大企業だけが賃上げできているように言われるが、中小にも賃上げの波が広がっているようにみえる▼だが、それだけでは説明がつかない部分も。国税庁の統計によると、国内の利益計上法人の割合は1988(昭和63)年に49・7%だったが、2012(平成24)年には29・7%にダウン。つまり7割以上の会社が赤字を計上した計算。赤字会社が賃上げするのはかなり難しい▼今春、賃上げできた会社と、できなかった会社の賃金差は広がった。それは、やがて人材確保などに跳ね返る。賃金アップは歓迎だが、“格差”の拡大が心配だ(T)


4月12日(土)

小学校に入学して最初に聞かされたのが教育勅語の朗読だった。親孝行や法令順守、いざとなったら身をささげて国のために尽くすという内容だが、意味も分からないのに丸暗記させられた▼次に教わったのは二宮金次郎の話。子供のとき両親を亡くした金次郎は伯父に預けられ、田畑で懸命に働き、夜は勉強。山に薪取りに行く往復の時間も勉強に充てたという▼勤勉家で、多くの農村を指導し飢餓から救った。一生懸命働いて、無駄な消費をしないで、財産が増えたら他人に譲る「勤倹譲」がモットー。どこの校庭でも薪を背負い、本を読みながら歩く金次郎の銅像があった▼この春から小学1、2年生用の「道徳」の新教材で、偉人伝のトップバッターに二宮金次郎が登壇した。日本人ばかりではない。ヘレン・ケラーやマザー・テレサなど、子供たちに生き方を教える偉人は多い▼道徳や愛国心など教科書で学ぶことに異論もあるようだ。教育勅語のように軍国主義へ導いてはいけないが、金次郎は「できるだけ節約し、余裕ができたら、譲り合いなさい」と訴えている。教材「私たちの道徳」で金次郎の教訓が身についたら、いじめから友を守ることもできる。(M)


4月11日(金)

またまた永田町から「説明責任」という言葉が聞こえてくる。みんなの党の渡辺代表の8億円借り入れ問題を巡ってだが、疑問が払拭されないままでは、そう問われても当然というほかない▼辞書は言葉の意味をこう解説している。「説明を求められた事柄について当事者が十分な説明を為すべき責任」。医療などでは対象が個人だが、政治の世界は、となると国民まで広がる。政治全体の信頼に関わってくるから▼それを果たす場として記者会見などがあるが、単に行った、自分は説明した、というだけでは説明責任を果たしたことにならない。ポイントは辻褄(つじつま)が会っているか、言っていることが信用できるか…▼もっと言うなら、真実と判断をするに十分かということだが、渡辺代表の説明は残念ながら。少なくとも「そうなのか」「そうだったんだ」「そういうことであれば分かった」と思わせてくれていない▼説明責任に基準はない。強いてあるとすれば、求められた側の裁量だが、理化学研究所の小保方晴子さんのSTAP細胞の論文問題からもうかがえるように、それほどに難しいということ。聞く側に疑惑が残り、後味の悪さを覚えることが多い理由もそこにある。(A)


4月10日(木)

天気の良い日に函館市役所の高層階に上り、湯の川から汐首岬までの海岸線を眺めることがある。川のように東へと流れる津軽暖流を挟んだ下北半島を見やると、高々としたクレーンがすぐに確認できる。遮るものは何もない▼函館市が大間原発の建設差し止めを求め、全国の自治体で初めて国を相手に訴訟に踏み切った。東京での提訴会見を取材したが、在京マスコミ各社が駆けつけて狭い会見場は熱気にあふれ、注目度の高さを実感した▼重点的に防災対策を行う範囲を30㌔圏内まで広げておきながら、建設への同意は求めない。市の提訴は国の原発政策の矛盾を突いている。工藤寿樹市長も「理不尽」との主張を会見で何度も繰り返したが、建設を急ぐ政権は「大間は新増設に当たらない」と従来の主張を繰り返すのみ。ある意味そう言うしかない▼それにつけても「国策」とは、かくも残酷なものなのか。一方は原発マネーに地域の生き残りをかけ、一方は言いようのない恐怖心を心の奥底に感じながら日々を生きていく▼両市町のスタンスの違いはどうにもできないが、あの「3・11」から日本人は何を感じ、何を学んだのか。裁判の行方を注視したい。(C)


4月9日(水)

「仕様がない(しょうがない)」「仕方がない」。辞書をひも解くと「どうにもならない」「始末におえない」「うまい方法がない」などという意味だが、諦めのニュアンスにも聞こえる▼「そんなことを言ったって…」。日常生活で口にすることも少なくないが、もしかしたら政治に対しても。いくらつけを回されても、結局は「仕様がない」と許してしまう。政治家にとっては何と楽な国民性なのか▼実際に失政の責任をとった、という話は聞いたことがない。国の借金を1千兆円までにし、年金財政も破たん状態…それでも。高齢化、少子化の進展が急激で、など言い逃れは聞くが、謝罪でもあればまだしも、それもない▼「財源が足りません、負担をお願いします」。増税や負担は次々と求めてくる。代表的なのが今まさに直面している消費増税。支出増が一向に収入増に追いつかない中で、踏み切られてしまった▼そればかりでない。国民年金保険料は引き上げられ、支給は減額。ガソリンにかかる温暖化対策税も上がった。「(国民は)最後は聞き入れてくれる」と思われているとすれば心外。「仕様がない」にも限界がある。そのことだけは…忘れてもらっては困る。(A)


4月8日(火)

日本とオーストラリアの間で7年越しの交渉が続いていたEPA(経済連携協定)が7日の日豪首脳会談で大筋合意した。日本は牛肉や麦などの関税を下げ、豪は自動車関税を撤廃するのが主な内容▼豪にとって日本は牛肉や小麦などの主要輸出相手。小麦は中力ブレンドの「ASW」が40年以上もうどん製麺の主力であり続けるが、牛肉の「オージービーフ」は近年、米国産に押されて日本でのシェアを落としている▼日本側にも協定を急ぐ理由がある。豪は米国産自動車の関税を撤廃し、近く韓国産も同様の措置をとる。日本だけ5%の関税が残ると、輸出に不利となるのは明白だった▼「工業品輸出」と「農産品輸入」がせめぎ合う構図は、これまでの貿易交渉と変わりない。そして、そのたびに農業を主産業とする本道は大揺れ。牛肉と麦の関税を下げることは、本道の畜産と畑作に大きな影響を与える▼10カ国が参加しているTPP(環太平洋連携協定)と違って、EPAは「1対1」だから交渉スピードは速い。日豪EPAはTPPでの対米交渉への“布石”とみる向きもあるが、EPA後の国内ケアは必要だ。日豪合意は簡単に「良かったね」で済まされる話ではない。(T)


4月7日(月)

筆者が育ったオホーツク海沿いの港町は、捕鯨基地だったこともあり、新鮮なクジラ料理が頻繁に食卓を彩った。ベーコンといえばクジラ肉が一般的で、豚肉を使ったものは高級品扱いだった▼函館に移住し、正月にクジラ汁を出された時は、初めて食べたのに独特のくせのある味わいが懐かしさを呼び起こした。いつの間にかクジラ料理の味覚が舌に刻み込まれていたようだ▼世界的な捕鯨禁止を求める波の中、日本は調査捕鯨という名目によって、何とか伝統的な食文化をつなぎとめてきた。しかし、3月31日に国際司法裁判所によって下された「調査捕鯨中止」の判決により、土俵際に追い詰められた。今回は「南極海」に限定した判決ではあるが、他の地域でも同じ判断が下される可能性は高い▼捕鯨反対の理由として、個体数の減少に加え、知的な生物であることがあげられる。その理屈でいえば「他の家畜類も感情を持ち合わせているのに、なぜクジラ類だけ特別なのか?」という疑問を抱く▼もちろん今の日本はクジラが無くても食べ物には困らない。それでもクジラベーコンやクジラ汁を食べた時に感じる「日本人でよかった」という感覚は失いたくない。(U)


4月6日(日)

「政治と金」の問題は、なんと根深いものか。みんなの党の渡辺代表の8億円借り入れは、そんな感じを抱かせる。参院選直前の3億円、衆院選直前の5億円…何に使ったんだろうと疑われても仕方ない▼政界の浄化策として政治資金規正法があり、政党に助成金が交付されている。国民1人当たり250円で、その総額は年間約320億円。議席数に応じて、現在は共産党を除く各党が受領している▼みんなの党も2012年度で11億円強。それで足りるか否かは見解の相違となるが、選挙資金なら政党として借り入れすればいいこと。個人的な借り入れと聞いても、時期も時期、金額も金額である▼時間の経過とともに事実関係が明らかにされ、説明は苦しくなるばかり。「法的になんら問題はない」「野党再編の権力闘争だ」と言われても、聞く側は素直になれず、虚しい響きとしてしか伝わってこない▼確かに法的云々もある。だが、それ以上に問われているのは政治家の倫理ではないのだろうか。それを忘れてもらっては…。というのも、こうした問題は政治への不信を増幅させかねないから。政党助成法が成立して20年にもなるのに、残念ながら、と言うほかない。(A)


4月5日(土)

つまずく、転ぶ…高齢化社会の進度に合わせるかのように、転倒で死亡したり、けがをする人が少なくない。調査によるが、その人数は年間5千人とも7千人とも言われている▼高齢者世帯や独居世帯が増える一方で、慣れ親しんだ家とはいえ部屋の敷居、玄関の段差、手すりのない階段…美観やデザイン、効率化を追求した造りなど、現実は転倒の予防対策が十分な住宅ばかりでない▼さらに外では、歩道や建物などに危険は多く、注意を要する所はあちこちに。こうした社会的な事情もさることながら、体は年齢とともに弱る。健康に気を配り、たとえ散歩を欠かさず、パークゴルフをし、ふまねっと体操に努めていても▼実際に、転倒に伴う死亡、けがは圧倒的に高齢者が多く、75歳以上で率がはね上がる。その場所で多いのが庭、玄関、茶の間など。この現実に医学的見地から研究し、対策を考える学会が誕生した▼その名も日本転倒予防学会。転倒予防医学研究会からの衣替えで、1日に発足した。「高齢者が元気に、安全に生活を送れるように」。現代社会が解決を求められている課題の一つだが、転倒予防も忘れずに…学会の発足はそんなメッセージにほかならない。(A)


4月4日(金)

1日から消費税率が5%から8%に上がり、さまざまな商品やサービスの価格が値上げされる中、ファストフードの代表格のひとつである〝牛丼〟業界の動向にも大きな注目が集まっていた▼牛丼といえば、デフレ時代を象徴するかのように、これまで激しい値下げ合戦が繰り広げられてきた。先月までは業界トップスリーの「すき家」「吉野家」「松屋」がいずれも並盛り税込み280円と横並びに落ち着いていた▼今回の増税により、各社が値上げに踏み切るか、それとも据え置くかがポイントだったが、すき屋がまさかの税込み270円に値下げし世間を驚かせた。これに対し松屋が290円に、吉野家が300円に値上げするという、三者三様の対応に分かれた▼吉野家から業界1位の座を奪ったすき家の強気の戦略。昨年投入した「牛すき鍋膳」(590円)が好調で、プチ高級路線に活路を見いだす吉野家。多彩な定食メニューで幅広い年齢層にアピールしたい松屋。それぞれの方向性が値段設定に反映されたのだろう▼消費増税というマイナスなイメージを、逆にチャンスと捉えようと知恵を絞る牛丼各社に対し、消費者はどのような審判を下すのであろう。(U)


4月3日(木)

常識を覆す新説や発見を指すコペルニクス的転回。地動説を唱えたコペルニクスにちなんだ言葉だが、小保方晴子さんが発表したSTAP細胞も、それが事実だとしたら天地がひっくり返る発見だ▼STAP細胞の存在とは別に、理化学研究所は小保方さんの研究論文で不正を認定した。使用した画像に捏造(ねつぞう)と改ざんが認められると発表。小保方さんはこれを承服できないとし、理研に不服申し立てをするという▼門外漢だが、科学は実験と観察から得られたデータを基に論文を書くから、研究の根幹となるデータが「捏造」であれば、論理的に成り立たない。「悪意のないミス」(小保方さん)では片づけられない▼小保方さんには他の論文でもコピペ(盗作)や画像使い回しなどの疑惑がある。記者会見し、自分の主張を述べる意向があると伝えられており、疑問が少しでも解けることを期待したい▼伝えられる話題はクロに近いが、もし小保方さんが現代のガリレオだとしたら? 「それでも地球は回っている」。地動説が証明されたのは後世だ。ただ、小保方さんのSTAP細胞の研究ノートは2冊だけだったという。ガリレオの研究は、まさかそんな少なくあるまい。(P)


4月2日(水)

消費税率が8%に上がった。駆け込み需要で小売業は久々の活況を呈していたが、反動が大きすぎると、元の木阿弥。アベノミクスはこれから数カ月が正念場だ▼税率アップの直前に好況となり、アップ後に景気が冷え込むのは自然な流れ。駆け込み需要はある意味「幻想」ではあるが、先月は財布のひもがつい緩みがちになった人も多かろう。反動幅が小さければ、駆け込み好況の“貯金”が残る▼北海道など地方に影響が大きいのは、ガソリン価格。消費増税分に新たな環境税が加わり、1リットル5円近い値上がり。車なしでは生活できない地方にとって、これは生活必需品と同等か、それ以上に辛い。高速道路の割引制度も後退した▼だが、本当に重要なのはこれから。増税額は数兆円に及ぶとの試算もあるが、庶民から広く集めたこのお金をどう効果的に使うのか—それこそが大事だからだ。きちんと使われるなら、我慢もできよう▼消費税の導入時、3%から5%への増税時に、どのような約束が国民と時の政府でなされたのか。そして、それは守られたのか。今回もしっかり目を光らせる必要がある。財布が重くなったからと言って無駄遣いされたのではたまらない。(T)


4月1日(火)

女性目線に立った商品開発が当たり前になった。家電や携帯電話はおしゃれでカラフルに。乗用車には機能性が加わり、買い物袋を懸けるフックや収納の充実など、女性ならではのアイデアが生かされている▼家庭では商品選びの主導権を女性が握っている。その感性や価値観を生かした商品開発やサービス提供が今後、企業の成長を握るカギとなるだろう▼そこで求められているのが、女性の社会進出。かつて「男職場」と呼ばれた職場ほど、女性の活躍が欠かせない。例えば警察や新聞社。同性にしかできない犯罪被害者のケアや、男性には分からぬ心の機微が絡むニュースなどで、女性が欠かせない存在となっている▼道は、出産や育児で休暇を取ったり、転勤が難しい女性職員に不利益がないよう、人事上で配慮する方針を固めた。特に優秀な職員は、地方への赴任なしでも昇進させることを盛り込んでいる▼女性優遇策との声も聞こえてきそうだが、有能な人材を埋もれさせるのは社会の損失。適格な運用で女性の活躍の場を増やしてほしい。ポジティブ・アクション(女性に対しての積極的改善措置)という言葉がなくなるのはいつの日のことか…。(P)