平成26年5月


5月31日(土)

6月は水無月。水が無いという月ではなく、逆に水が要求される月、水を田に注ぎ込む月。函館は夏イカ漁が始まる月で、早く活イカが食べたい。全道ではメロンが出回る月▼なんといっても、みんなで食べるイカ刺し、イカソーメンが一番。熱いご飯にかけて親の分まで食べた。今夏のイカは海水温の影響で北上が遅れ、来遊量は少なめという。燃料代も高騰しており心配▼メロンといえば、映画「男はつらいよ」の1シーンを思い出す。メロンが珍しかったころの話。おばちゃんが切り分ける。食べようとすると、寅さんが帰ってきて「オレの分は」。寅さんが怒り出し、みんな困り果てる▼ちゃぶ台の下に隠したり…。「みんな生き生きと楽しそうにけんか」「こんなけんかができることが、うらやましい」。出演者は決まって口にしたという。家族のぬくもり、信頼関係があるからこそ笑えるのだ▼イカ刺し、イカソーメンも同じ。食卓を囲んで大勢で食べるから、おいしいのだ。解禁の1日は30余隻が出漁するが、安全祈願祭で「今年こそイカがたくさん近海に来て、函館を活気づけたい」と誓った。欲しいのは寅さん一家のように「楽しくけんかができる」活イカだ。(M)


5月30日(金)

「働きたい」のか「働かざるをえない」のか。そこに「働こう」という思いは共通しているが、意味合いはまったく違う。「働きたい」には生きがいを求めるなど主体的な思いがあるが、一方…▼「働かざるをえない」には、生活のためなどといった思いがにじむ。もちろん、高齢になった時のことだが、いずれにしても現役世代の半数以上の人が「65歳を超えても働く」ことを考えているという▼高齢社会白書の調査(対象35歳—64歳)で明らかにされている。「定年後は年金でゆっくり暮らしたい」。昔も今もサラリーマンの気持ちの中に残る思いだが、いざ現実に直面すると、何をのんきなことを、と言われかねない▼生活があるから。将来に不安を感じているということだろう…「働けるうちは」を加えると、76%の人が65歳までは「働く」年齢と。実際に、その理由として77%が「生活費を得たいから」▼そこに浮かび上がるのは「働きたい」ではなく「働かざるをえない」現実。政府の経済財政諮問会議の有識者会議は今月中旬、70歳までを労働人口に位置づける旨の提言をした。60歳から65歳…「働く」という選択肢しかない年齢は確実に70歳へと向かっている。(A)


5月29日(木)

残業。これをゼロだと言い切れる日本の会社は皆無ではないか。そのくらい残業は日本の労働文化に刷り込まれている。会社は1日8時間以上働かせた場合、所定の賃金に上乗せして残業代を支払う。今、この見直しが議論になっている▼厚生労働省が検討しているのは、働いた時間ではなく、成果で賃金が決まる方式。対象者は「世界レベルの高度な専門職」とか「中核・専門職種の幹部候補」とかの案があり、正直分からない▼実際の勤務時間をタイムカードで管理し切れない職場は多い。その意味では、「成果」を算定基準にすることに、一定の合理性はある。だが、問題は「成果」の達成度を誰がどう判断するのか、ということ▼「幹部候補」にも心配が。ひと昔前、「名ばかり管理職」という言葉が流行した。残業代を減らすために、ある会社が大半の社員を管理職にし、批判を浴びた。だが、今回はさらに「候補」がつく。この候補を誰が選び、どう評価するのか▼ごく一部の例外に関する議論にはどうしても見えない。働き方に風穴を開ける流れと感じてしまうのは、被害妄想だろうか…。労使合意を導入の前提としても、「労」の立場は弱い。拙速な導入は禍根を残す。(T)


5月28日(水)

絵巻の地獄では、せっせと罪人を責める鬼たちが多忙。罪人たちはノコギリや包丁で切り刻まれたり、大きな臼ですりつぶされたり、首をつかまれ火に放り込まれたり…▼岩手県で行われた「AKB48の握手会」で、24歳の男がノコギリを持ち込み、アイドルの2人と警備スタッフ1人を襲った。頭や手に大けが。折りたたみ式ノコギリは柄を含めて長さ約50センチ。手提げバッグに隠していた▼握手会は「会いに行けるアイドル」をうたい文句に、メンバーが最も大事にしているイベント。約100人が警備に当たり、会場前で危険物をチェックしていたが、バッグの中まで調べなかった▼AKB48の熱烈なファンではないとみられ「人が多く集まる場所で人を殺そうと思った。誰でもよかった」と供述。普段もノコギリを部屋に持ち込み、母親は「何を考えているのか分からない。独りぼっちだった」と話している▼母親から小遣いをもらってCDを買い、 握手会に参加。かつて、19歳の美空ひばりさんが劇場の客席から塩酸を浴びせられた。じかに触れる「会いに行けるアイドル」の行事は厳重に警備を。ノコギリなんて絵巻の世界だけにしないと。(M)


5月27日(火)

突発性難聴になり、尿を出して脳圧や眼圧を下げたり、めまいなどの症状を改善する薬を飲んでいるせいか、トイレが近い。ウォーキングや散歩中も我慢できず、つい…▼50年前の東京五輪で、街の美化や公徳心向上を訴える「町中で放尿しない」「吸殻や紙くずを散らかさない」「行列に割り込まない」という標語があった。そういえば飲み屋街の小路で当たり前のように失敬していた…▼高齢者クラブに入って公園や道路のゴミ拾いをしているが、吸殻や紙くずがいっこうに減らない。歩きタバコ、車窓から火がついたままのタバコをポイ…。家庭ごみとみられるビニール袋も。¥50¥年前とそう変わっていないのに驚く▼8月11日を「山の日」と定める改正祝日法が成立した(施行は2年後)。山の恩恵に感謝しようというものだが、登山ブームの背景には中高年に高まる健康志向があり、ファッショナブルな山ガールの登場も▼ハイキングを含めた「登山人口」は1千万人。登山時のゴミの持ち帰り、山岳トイレなどマナー徹底が大事。半分以上で家庭トイレがないインドで、道路わきに放尿の市民を放水で追っ払う様子をテレビで見た。初夏に今一度、街の美化や公徳心を見直したい。(M)


5月26日(月)

1990年代にミリオンヒットを連発したスーパースター「CHAGE and ASKA」のASKA容疑者が覚せい剤取締法違反で逮捕されてから1週間。その衝撃は未だに終息する様子はない▼彼の薬物使用疑惑は、昨年から週刊誌で騒がれていたが、この時は自ら「違法ではないがある種の興奮剤を暴力団関係者から提供してもらっていた」と告白。今となっては、この内容でさえ疑わしい▼あるテレビ番組によると「今回が初犯なので、懲役1年半、執行猶予3年程度の量刑が妥当」とのこと。過去に有罪判決を受けた芸能人の3分の2が芸能界に復帰しているので、ASKA容疑者が再びスポットライトを浴びる可能性は少なくない▼一度罪を犯した人間が社会復帰することについてはもちろん賛成だ。ただ、薬物に手を出した芸能人の再犯率が高いのも気になる▼覚せい剤の禁断症状について「給水せずにフルマラソンを走り終えた目の前に、コップに入った水を出されてお預けを食らっているようなもの」と聞いたことがある。理性で我慢できても、体が欲すれば抑えが効かなくなるのが薬物の恐ろしさ。ASKA容疑者には長く険しい試練が待ち受けている。(U)


5月25日(日)

家族でも集落でも国家でも、生活に必要なのは経済の基盤だ。函館の歴史を見ると、経済、産業の大きな柱は漁業だった。江戸時代に高田屋嘉兵衛が漁場を開いた北方領土の択捉島を見てもそうだ▼金森商船は明治時代から函館─択捉間で貨客船を運航。島には道南から大勢の漁夫が出稼ぎに出た。函館は水産物の集散地で、択捉で揚がるサケ・マスの8割が集まった。その量だけで年間1万3000㌧、今の金額でざっと50億円…▼行政圏は根室なのに、戦後まで「函館市択捉町」の通称があったほどだ。函館は金融機関が多く、海産問屋の資金力も強かった。島で使う漁業資材や食料、生活用品のほとんどは函館から調達された▼函館市の駒井惇助さん(80)から教示を受けた。駒井さんは択捉島水産会の代表管理役。会員である元島民らは、島に漁業権などを持つ。その権利が、ロシアの不法占拠で国から補償がされていない状態が続いている▼領土問題の進展に備え、駒井さんは函館で択捉島水産会の事務所を65年ぶりに開設した。権利関係の整理をしながら、主権の回復を一番に願う。「択捉島で再び漁業をしたい」。高齢となった元島民らの時間との闘いが続く。(P)


5月24日(土)

偶然なのだろうが、5月22日はアジアで物騒なニュースが相次いだ。タイ軍のクーデター、北朝鮮と韓国の砲撃合戦、中国新疆ウイグル自治区ウルムチでの爆破テロ。国際情勢は刻々と動いている▼タイは穏やかな国民性で知られているが、こと国政に限っては軍事クーデターが繰り返された歴史を持つ。前回は2006年9月で、その際に失脚したタクシン首相派の与党が野党と対立し、デモなどで収拾がつかない状況に陥っていた▼北朝鮮と韓国の争いは、黄海上の軍事境界線で起こった。両国は別々の境界線を主張しており、北朝鮮の砲撃に韓国が応戦した形。北朝鮮の放った砲弾は韓国艦のわずか150メートルの地点に着弾した。まさに「一触即発」▼中国のテロでは31人もの人命が奪われた。車2台が朝市に突入し、爆発物を投げ込みながら走り回ったという。ウルムチでは最近、爆破テロが相次いでいる▼この3つの事件には共通点がある。いずれも「力」を背景に、現状を変えようとする動きだ。今後、日本がこうしたトラブルに巻き込まれない確証はない。そのとき、日本が集団的自衛権を行使したら、事態はどうなっていくのか—慎重に考える必要がある。(T)


5月23日(金)

「日本っていいなあ〜」の決め台詞が印象的な番組がある。日本文化に焦点を合わせた番組「和風総本家」(テレビ東京系)。特に“職人”を取り上げるコーナーは大好きだ▼大量生産とは対極にあり、時代から逆行しているようにみられるが、さまざまな分野の職人なくして日本の「ものづくり」は成り立たない。この番組は表舞台にでることの少ない職人の技のすごさに迫っている▼道具だけではない。人工衛星や巨大望遠鏡、新幹線…こうしたハイテク機器の精密な部品づくりにも、職人の手が欠かせないと聞く。その職人の世界が後継者に悩んでいるのは、さびしい限りだ▼職人とは少し違う話だが、先日、いけばな小原流の90周年行事に参列させていただいた。式典の後に、小原宏貴家元が特別講習と銘打って、舞台上で次々と花を生けた。アジサイなどをかごに配置した小品やステージいっぱいの大作まで。約2時間があっという間に感じられる圧巻のステージだった▼断っておくが、筆者は生け花の素人。理論的なことは何一つ分からない。だが、磨き上げられた伝統とそれを裏付ける知識と技術の重みは十分に伝わった。心の中で「日本っていいなあ〜」とつぶやいた。(T)


5月22日(木)

認知症高齢者の徘徊が深刻度を増している。厚生労働省の研究班が行っている調査によると、2年前の2012年段階で、認知症と見られる人は高齢者の15%に当たる約462万人という▼2010年に比べても23万人増と、その増え方も急激。さらに予備軍とも言える軽度認知障害者が約400万人いると推定され、合わせると800万人を超える。その中で最も危険性を伴うのが徘徊という名の症状▼毎年1万人ほどの捜索願が警察に届けられているが、亡くなったり、不明のままという人も。この12日には7年間、行方不明だった東京の67歳の女性の身元が確認されたニュースが報じられた▼警察の不手際が背景にあって、家族に落ち度はなかった特殊なケースだが、ちょっとした手違いで起こり得る事例でもある。四六時中、気を配り続けられれば別だが、それぞれ事情もあって家族の負担は大きい▼状況がここまでくると、他人事ではない。臥牛子も身内にいるし、大学時代の親友の奥さんが3度ほど警察の厄介になっている。さまざま試みが行われている、対策も進んできている。でも現実に先行されている感は否めない。悩める姿というほかない。(A)


5月21日(水)

♪古いすげ笠さらりとすてて 平和日本の花の笠 とんできたきた うぐいすひばり 鳴けば希望の虹がでる〜。こんな庶民向けの「憲法音頭」(サトウハチロー作詞、中山晋平作曲)があった▼出っ歯の井上ひさしさんは歯医者に普通の入れ歯を頼んだら「歯型を変えると、あなたではなくなる」と言われた。「憲法も同じ。国民主義、基本的人権の尊重、平和主義は私の歯のように憲法の個性であって簡単に変えてはいけない」と言う▼安倍晋三首相は先の選挙で、憲法96条にある憲法改正発議要件の緩和を公約に掲げた。衆参両院の賛成を「3分の2」から「2分の1」にして、憲法を変えるためのハードルを下げるというもの▼今、やっと「集団的自衛権の行使容認」であることが分かった。日本が攻められていないのに、米国に同調して海外の戦地に出かけ、自衛隊員が戦死することも…。小4のとき、歌った軍歌がよみがえる▼憲法には権力から国民を守るという重要な機能がある。そのため、戦争や武力行使の放棄、戦力の不保持、交戦権の否定をうたっている。どう解釈したら集団的自衛権の行使容認に結びつくのか。ウグイスが歌う「鳴けば希望の虹」が見えてこない。(M)


5月20日(火)

今年は五稜郭築造150年。箱館開港に伴い、幕府の命によって築造された星形城郭。この郭内に箱館奉行所が移転された1864(元治元)年から数えての節目だ▼五稜郭祭も今年が45回目。17日には中島町で中島三郎助父子碑前祭が開かれた。時折強風が吹く中、三郎助翁の子孫らも参列して、父子を偲んだ▼三郎助の功績と波乱に満ちた生涯は心を打つ。浦賀奉行の与力だった1853(嘉永6)年、ペリーが黒船4隻を率いて浦賀沖に来航した際、米旗艦「サスケハナ」号に乗り込み、米側との交渉に当たった▼その後、長崎海軍伝習所1期生として、航海や造船の技術を学び、日本初の洋式軍艦「鳳凰丸」建造では中心的な役割を果たした。戊辰戦争ぼっ発後は、榎本武揚らと箱館に渡り、新政府軍相手に戦い、1869(明治2)年、長男、次男とともに戦死した▼箱館戦争といえば、榎本や土方歳三が有名だが、三郎助も負けず劣らずの人物。直木賞作家・佐々木譲氏も著作「くろふね」で三郎助を主人公に“抜擢”している。激動の時代を生き、49歳で散った三郎助翁のことを思い、箱館戦争ではこうした有能な人材が数多く失われたのだと、改めて痛感した。(T)


5月19日(月)

「札幌ドームでさえ週末の客は減少しているのに」。13日にオーシャンスタジアムで開かれた北海道日本ハムファイターズの取材に訪れた、在札のスポーツ紙記者が漏らした▼日本ハムは北海道に本拠地を移転した2004年から函館で試合を開催。当初は隔年を予定していたが、道内ファンを開拓するため06年から毎年となった。12年までは週末の試合だったが13年から平日になった▼今年は昨年より約8千人観客が減った。在札の記者は「屋外のゲームと函館観光を楽しみにする札幌のファミリーファンから、(平日では)函館には行けないと聞いた」と話す。確かに子供の姿は少なかった▼市内各町会では、子供が参加できる行事を増やすことで、親も同伴してくれることを狙っている。13日の試合後「子供の応援が減ったのは寂しいし」との声が聞かれた。「今度は札幌ドームに行こう」と考える函館の親子が減っているとも思われる▼今年は旭川、帯広でも平日の試合。大人数を収容できるドーム優先ではなく、対戦相手の試合日程上など、やむを得ない事情なのだろうが、「継続は力なり」。ファン開拓、子供たちに夢を与える地方試合のあり方を考えてほしい(R)。


5月18日(日)

福島原発の惨事を書いた本を6冊読んだ。数千人が放射線被ばくと闘いながら懸命に廃炉作業に当たっている。この作業員も鼻血が出ているのだろうか▼30年も続く人気漫画「美味しんぼ」の原発事故をめぐる表現が波紋を広げている。主人公が原発を訪れた後、鼻血を出す描写で元双葉町長や福島大准教授らを登壇させ、被ばくが原因と明言させている▼「鼻血が出たり、ひどい疲労で苦しむ人が大勢いる」「(福島県を)人が住めるようにするなんて、できない」とも言わせている。がれき処理を受け入れた大阪市内で住民が不快な健康被害を訴えたという描写も▼「県民の気持ちを考えると非常に遺憾。空間線量の低減が確認されている」(環境省)「風評被害を助長させる印象で極めて遺憾」(福島県)と反論。政府も「科学的見地に基づいて正確な知識を伝えていくことが大事」と指摘▼「究極のメニュー」など流行語まで生んだ漫画。鼻血描写で論議を呼んだ「福島の真実」編は、来週の最新号で「表現のあり方について今一度見直す」としている。しかし、双葉町はまだ7千人が避難生活、町長だった人が「住めない」と公言し、被害住民を巻き込む現実は悲しい。(M)


5月17日(土)

日本の近未来予測で間違いないのは、人口の減少である。何も対策を取らないと、2060年代は今の3割減、8700万人ほどになるという推計がある。65歳以上は4割に達する見込みで、働き手はますます先細りとなる▼人口が減っても、生産性を上げ、新産業を創り出せば何とか国力は維持できよう。だが、簡単にいかないから、働き手の確保が検討される。移民や外国人労働者の受け入れもその一つだが、仮に推進したとしても抜本的な解決策にはならない▼そうした中、政府の有識者会議は、現在65歳までとする働き手を70歳まで引き上げるという提言をまとめた。一方の少子化対策では、高齢者を重視した今の予算配分を改め、女性の就労と、出産・育児の支援を手厚くするよう求めた▼労働や出産は、個人の考えが大きく反映される。貧しくても自由に生きたい、独身生活を続けたい…ライフスタイルは多種多様だ。何より、雇用や年金、社会制度が対応しきれていない中での国の号令には、反発も予想されよう▼高齢者が能力を発揮できる社会の到来か、はたまた死ぬまで働かなくてはならない世の中になってしまうのか。大いに議論されるべきだろう。(P)


5月16日(金)

103万円の壁—。共働き世帯が増えた昨今、この言葉を知らない夫婦は少ないはず。現制度下で、所得税の特別控除を満額受けようとすると、配偶者の年収を103万円以内に抑えなければならない。これが女性進出のネックになっている—との考え方がある▼首相の諮問機関・政府税調の小委員会が配偶者控除に関する議論を始めた。その中では、「妻の年収で控除額が変わる制度は見直しが必要」との声があったという。これは言外に控除制度の廃止を含んでいるのか…▼130万円を超えると、扶養家族でなくなるので、社会保険料も自ら支払う。その負担増は年間30万円ほど。パートだと、ほぼ2〜3カ月の手取り分だ。働き方を控え、ささやかな“抵抗”を試みても批判はできまい▼控除制度を廃止するだけだと、専業主婦世帯の負担が確実に重くなる。出産・育児休業中の世帯も同じだ。たとえ共働きしても、世帯の税総額が増えるので、働いた分ほど手取りは増えない▼それよりは、控除の限度額を引き上げる方がはるかに効果的。税収は減るが、その分が消費に回る。働き手不足の解消と内需拡大に貢献できるのだから、検討に値すべきだと思うが…。(T)


5月15日(水)

本欄を何年か担当していると、毎年、触れずにいられない話がいくつかある。国の借金もその一つ。ついに…2013年度末で1千兆円を超したという。ここまでくると、呆(あき)れるしかない▼子供から高齢者まで国民1人当たり約806万円。「年金や介護などの社会保障費が膨らみ続け、公共事業などの政策経費を国債の発行で賄っている結果」。財務省が恥ずかしがる様子もなく発表した▼その通りかもしれないが、他人ごとのように解説されて、はいそうですか、と率直にはなれない。消費増税が象徴的に物語るように、つけは常に国民に…そして若い人たち(後世)に先送りされていくのだから▼行財政改革を断行し、財政の健全化を図らなければならない。財政再建が政治課題と位置づけられて久しい。当然、改善の道を歩むのだろうと思いきや、現実はその逆。国会での議論も聞こえてこなくなった▼「財政悪化に歯止めがかからない」と嘆いたところで理解は得られない。かからない、ではなく、かけていない、のだから。今年度末には1140兆円が予想され、対策を怠るならば、50年後には8千兆円を超えるという試算も。聞けば聞くほど暗い気持ちになってくる。(A)


5月14日(火)

「一人の子ども、一人の教師、一冊の本、一本のペンが世界を変えるのです。本とペンを持ってテロと闘いましょう。これが私たちの最も強力な武器なのです」▼先月中旬、南アフリカのナイジェリアで200人以上の女子生徒が武装集団に拉致された。今月に入って、イスラム過激派「ボコ・ハラム」の指導者がビデオで犯行を認め「女子生徒を奴隷として市場で売る」と宣言▼「ボコ・ハラム」は現地語で「西洋の教育は罪」という意味。女子教育には反対など過激思想の武装集団で、キリスト教会、国連施設、市場などでテロを繰り返している。2月には寄宿舎を襲い男子生徒80人を殺害している▼女子教育の権利を世界に訴えてタリバンに襲われ、瀕死から立ち直ったパキスタン少女のマララ・ユスフザイさん。16歳の少女は「黙っていたらこんな悲劇が次々と起こる」と、冒頭のように女子生徒の救出を国際社会に呼びかけた▼すでに女子生徒の一部が売られたという情報も。先週になって、米国、英国、フランスが救出作戦への支援を表明した。娘をさらわれた親たちの心痛はいかばかりか。北朝鮮の拉致に泣かされている日本が一番分かる。残虐な犯罪に日本も非難の声を高めよう。(M)


5月13日(火)

「サムライ・ブルー」—サッカーのワールドカップ(W杯)ブラジル大会に向けた男子日本代表メンバー23人が12日、決まった。グループリーグ(GL)初戦は6月15日(日本時間)、相手はコートジボワール▼事前報道ではサプライズが取りざたされていたが、メンバーは極めて「順当」な印象。意外だったのは、大久保嘉人選手(川崎F)と青山敏弘選手(広島)くらい。ザッケローニ監督が「この23人を選ぶために4年を費やした」と前置きした通り、“事前試験”は十分といったところか▼W杯での戦績は…。初出場の仏大会(1998年)はGL敗退。次の日韓(2002年)は16強。独大会(06年)はGL敗退。そして前・南ア大会(10年)のPK戦で敗れた16強は記憶に新しい▼世界で最も親しまれているスポーツの中で、最高峰がW杯。プロの選手なら日本代表としてW杯のピッチに立つのが究極の目標だろう▼さて、ブラジルは時差がマイナス12時間あり、GLの3試合は午前5時〜同10時。早起きならまだ良いが、仕事中だと観戦は難しい。サポーターの落ち着かない日々が続きそう。いずれにせよ「サムライ・ブルー」が世界を驚かせるさまを楽しみにしたい。(T)


5月12日(月)

カラーコインの技術に感心した。東海道新幹線開業50年を記念して財務省が発行する1000円銀貨で、団子鼻でおなじみの「0系新幹線」に桜などをデザイン。青やピンク、虹色がきれいだ。1964年10月1日の開業から間もなく半世紀を迎える▼記念硬貨といえば、同年の東京五輪でも1000円銀貨が発行された。この硬貨は70年代、未使用品なら1万円以上の値が付いたが、今では4000円ほどで売買されているようだ▼記念硬貨に対する価値観が変わったのか、驚くほどの値下がりだ。東京五輪銀貨は発行枚数が多いため、希少性は薄い。だがかつては記念硬貨の代名詞のように言われ、値段でははかれない価値ある品といえよう▼コレクションより資産運用でコインを求めるケースも多い。外国の金貨がいい例で、金相場次第で利回りがある。わが国でも金の使用量から額面以上の価格で取引されている記念金貨もある▼こうなれば財テクの匂いも出てくるが、記念硬貨は額面や購入価格以上の価値を求めない方がいいかもしれない。新幹線1000円銀貨の販売価格は8300円。北海道新幹線の建設促進を願い、買ってみようか。でもちょっと高いな。(P)


5月11日(日)

活字離れが深刻とはいえ、本をまったく読まない大学生がいるわけがない、と思いきや、そうでなかった。現実は想像を絶するほどの無読率で、実に40・5%。10人中4人を数えるという▼この実態は、全国大学生協連が昨年秋に、全国の国公立や私立の学生を対象に行った調査で明らかにされた。言われてきたことではあるが、それにしても4割とは。平均の読書時間、書籍購入費も落ちている▼本を読む人でも、1日の平均読書時間は約27分。ちなみに文系は32分、理系は24分といい、男女別では男子が29分、女子が24分。通学別では自宅生の方が自宅外生より多い傾向も表われている▼無読が増え、読書時間も落ちているのだから、書籍購入費が増えるわけがない。10年前に比べ、自宅生は月490円、自宅外生は830円減っている。書籍費の支出に占める割合も平均で1%を下回るところまで▼本を読む…そこで培われるのは国語力。もっと言うと漢字力や洞察力、判断力、知識力、文章力などであり、読書が大事と指摘されるのもそれ故。時間がないなど読まない理由はさまざまだが、この実態をどう受け止めればいいのか…的確な答えは浮かんでこない。(A)


5月10日(土)

シニア人生を楽しく暮らす『かきくけこ』の『こ』は恋心。「性は生なり。老いれば老いたなりの性がある。心と心のふれあい、優しい言葉を交し合う…枯れることはない」(大島清著「定年後に若返る生き方」)▼不倫をテーマにした「失楽園」で女性の心をとらえ、男性層にまで人気を広げた渡辺淳一さん。男たちは「新しい情痴文学」に酔った。後年のテーマは老い。老いで追求した理想は「年甲斐のなさ」だった▼「地味な格好をして、恋愛もせず、庭いじりと孫の相手をして死んでいく。そんなもったいない話はありません」という。タフガイではなくても、デリケートと思慮深さで女性を感動させる「男子像」を描く▼確かに「老いらくの恋」は長寿の秘訣かもしれない。しかし、一度、こじれると“失楽園”に陥る。昨年のストーカーは2万件を超えたが、「好意が満たされない恨み」が24%もあった。高齢者も例外ではない▼ブルネイの国王はイスラム法に基づく新刑法で「姦通罪」の人に石打ちの刑を導入するという。日本では考えられない不倫禁止の刑。「老いらくの恋」に勇気とエールをおくり、80歳で逝った流行作家は“失楽園”で嘆いている。(M)


5月9日(金)

ガソリンなど燃料費の高値が続いている。4月は1㍑当たりレギュラーガソリンで160円台(函館市11日調査で平均164円6銭)、軽油も140円台(同146円59銭)で推移している▼円高から急激に円安へ転じ、原油高になった影響と増税がもたらしている結果。以前にも本欄で触れたが、これでは多少の賃上げも家計の収支はマイナス。それが企業となると、とりわけ運輸関連は深刻▼消費増税と燃料高騰のダブルパンチを受けているのだから。「いいかげんにしろ」と叫びたくもなろう。高速料金も安くない。経費は膨らみ、かと言って値上げは容易でない。企業努力にも自ずと限界がある▼高値状態の緩和に期待を抱けるならまだしも、それも感じられない。「燃料費の高騰が収益を圧迫し、経営を苦しくさせている」。函館地区トラック協会の東谷武彦会長は本紙のインタビューに、こう答えている▼政府は消費者物価がどうの、賃上げがどうの、など公表される経済指標には目を向けるが、現実認識ははなはだ疑問。燃料価格がこれだけ異常な状態なのに対策を講じていないばかりか、逆に増税までしたのだから。敢えてなのか…どう考えても理解に苦しむ。


5月8日(木)

定年後、夫が一日中家にいることで妻の体調がおかしくなる「夫在宅ストレス症候群」は、今や立派な病気だ。結婚以来何十年、家と会社の往復だった夫が定年となった途端、ずっと家にいたら…▼まず妻は三度の食事に頭を痛める。夫はご飯も後片付けも妻がするのが当然と思う。妻は友人たちとランチや買い物を楽しむが、夫は孤独。たまに外出すると若い女性に目が行き、初老の自覚なしにロマンスを夢見たりする▼亡くなった渡辺淳一さんが晩年、小説「孤舟」で描いた世界だ。定年後の編集者たちと雑談する中で、こうした夫があまりに多かったらしい。意識が変わらないエリートサラリーマンの定年後の悲哀を、コミカルに、深刻に描いた▼渡辺さんといえば初期は医師の冷徹な視線で医の倫理を問う作品が多かった。円熟期に入ると純愛や性愛などをテーマに、その極限を死に求めるなど、ちょっとキザで大人で、破天荒や破滅と紙一重の恋愛世界に読者をいざなった▼それも豊富な人生経験があったからこそ。前出「孤舟」は「定年前の男性諸氏にぜひ読んでいただきたい」と「女性の品格」でおなじみの坂東真理子さんも推奨していた。同感である。合掌。(P)


5月6日(火)

左耳が突発性難聴で聞こえなくなった。花見に出かけても、カラオケなどが煩わしい。聞いていて不快を感じることは「耳障り」なのか、「耳触り」なのか、「耳ざわり」なのか▼文化庁が本来とは異なる意味で使われている慣用句や言葉を紹介する動画「ことば食堂へようこそ!」をインターネット上で始めた。日常生活で意味に誤解が多かった慣用句のうち、20個を毎月2個ずつ取り上げる▼先日は「煮え湯を飲まされる」で、「信頼している者から裏切られる」なのか、「敵からひどい目に遭わされる」なのか。本来は前者が正解だが、寸劇を盛り込んで誤用される例を紹介している▼慣用句の誤用は正しい意味で使っている人と意味をはき違えた人の間で生じる意思伝達のずれが誤解を招く。第1話の「役不足」では「役不足ですが、頑張ります」と言った新人が上司からいじめられる▼かつて「役割が軽すぎる」と本来の意味を知っていた人は27%だったが、誤用が話題になったせいか、最近は40%まで回復した。今後は「傾向に逆らって、ある事柄の勢いを失わせるような行為をする」と誤用されている「流れにさおさす」や、最終は冒頭の「耳ざわり」で締めくくる。(M)


5月5日(月)

「これがうわさに聞いた一本道か」。先日、新千歳空港から午前中に出発する便に乗る用があり、前日夜に空港内のホテルに泊まった。午後11時ごろ、初めて道央自動車道の新千歳空港インターチェンジ(IC)を降り、空港に向かった▼同ICは昨年8月開業。従来の千歳ICを降りてからよりも約3・5㌔長くなったが、市街地の混雑を迂回し、信号も少なく到着まで4分短縮の目算。だが、空港駐車場に入る時は右折になり、渋滞に巻き込まれるとの声も少なくない▼街灯や案内板は少なく、対向車はゼロ。カーナビの地図は古く未開の地を走っているかのよう。これでは暗くて長かった道央道と変わらない。助手席の家族は「恐い。ホントに空港に行けるの」と不安顔。本当に疲れた▼その3週間前は関東にいた。夜は車に乗ったり、歩いたりしていた。街灯や店も人通りも多く、初めての場所でも不安にはならない。狭い路地でも、千歳の一本道を走るような不安はなかった▼千歳からの帰りは午後8時。函館新道に差し掛かると、はるか先に夜景と函館山が見えてくる。絶景に向かいながら「家に帰ってきたな」とひと呼吸。“光のまち函館”に疲れが癒された。(R)


5月4日(日)

高校時代に通学列車として利用した江差線が11日にラストラン、77年半の歴史に幕を閉じる。廃線直前に「江差」にひかれて駆け込み人気だが、車窓から眺めるかもめ島や天の川が懐かしい▼代わってという訳ではないが、2年後には海峡沿線に新幹線が走る。新駅は北斗市に建設中。観光客が押しかける要素は駅のネームバリューが左右するともいわれる。函館と北斗の両市が協議を重ねたが、結局、JRに一任した▼函館側は「新函館」を、北斗側は「北斗函館」を主張。「道南地域全体の発展のた連帯協力していく」などとJRの決定を真摯(しんし)に受け止めるとした。道も「新駅名称仲裁へ環境づくりに汗をかく用意がある」と話す▼北陸新幹線の新駅名「上越妙高駅」。最初は「上越駅」が優勢だったが、上越線も新潟へ向かう上越新幹線も「上越」を通らず、混同されることから、JRは日本百名山の「妙高山」を組み合わせて観光振興につなげた▼新幹線時代になっても強力な武器は観光資源。函館も北斗も箱館戦争の舞台となった。旧跡名所多いから新駅は「箱館駅」に、函館の北にあるから「北函館駅」はどうですか。蝦夷興亡の歴史秘む江差線よ、さようなら。(M)


5月3日(土)

今年はインフルエンザが春先まで流行した。やっと沈静化したと思ったら、別のウイルス対策の話題が世界中を駆け巡った。インターネット閲覧ソフト(ブラウザ)の「インターネット・エクスプロラー(IE)」問題だ▼IEは世界中で最も一般的なブラウザ。日本国内でもシェアは過半数。そのIEに、安全上の問題が見つかり、閲覧した際にウイルス感染や情報漏えいの危険性があるという。米国では政府が注意を呼び掛ける異例の展開に▼今の時代、インターネットと一切関わりを持たずに行動するのは、かなり難しい。問題が発覚した後、一部の県などは、職場でのIE使用禁止令をだすなど混乱した。製造元のマイクロソフト社は日本時間の2日未明から、修正プログラムの配布を始めた▼同社は「世界一安全な製品」と強調したが、一度失った信頼はそう簡単に回復できない。多くのユーザーはこれを契機にブラウザを変えるに違いない▼幸い、筆者は日頃から別のブラウザを使っていたので、今回は慌てなかった。だが、安心はできない。ネットの世界には悪賢い輩(やから)がうようよ。自分で取れる対策は限られるが、せめて安全情報へのアンテナは高くしたい。(T)


5月2日(金)

もはや呆れるしかない、国会の良識。国の厳しい財政事情に加え、東日本大震災の痛みを共有し、懸案の議員定数の削減を果たす決意だったと思うが、歳費等の削減を終わらせてしまった▼削減率は財政、大震災で12・88%、それに定数削減を前提にして全体で20%だった。確かに2年間の期限付きではあったが、復興もまだまだ、定数削減も進んでいない。となれば、継続しなければ筋が通らない▼本欄が4月の中旬、継続を論じたのも、そんな思いから。百歩譲って、国会議員の歳費・期末手当が低額というのなら理解もする。だが、実態は逆で、年間2200万円は先進諸国の中で最も高いレベル▼米国で約1600万円、ドイツは1100万円台、イギリスは1000万円程度…。俗に言う諸般の情勢を鑑みて、つまり世論を読んで日本維新の会、ゆいの党やみんなの党は3割削減を提案したが…▼自民も、民主もほぼ沈黙の状態。これでは議論にならず、結局は三党の提案は審議委入りしないまま4月末の期限切れに。削減の精神はどこへ…財政は健全化され、復興は遂げ、定数は減らしたか。国民には消費増税を強いている。考え直すべき、時期を逸しはしたが。(A)


5月1日(木)

日本が世界に誇る文化のひとつとして、真っ先に名前が挙がるアニメーション。そのトップを走り続けてきたのが、宮崎駿監督らによるジブリ映画の珠玉の名作であることは言うまでもない▼今年のアカデミー賞では、宮崎監督作品の「風立ちぬ」が「千と千尋の神隠し」以来11年振りに長編アニメーション部門で受賞するかが注目を集めた。その行く手を阻んだのは、ディズニー作品の「アナと雪の女王」だった▼ディズニー映画にはファミリー向けのイメージが強く、戦争という深いテーマに立ち入った「風立ちぬ」の敗北は、個人的に納得がいかなかった。しかし先日「アナ」を鑑賞する機会があり、その完成度の高さに納得せざるを得なかった▼確かにストーリーはシンプルで分かりやすいが、本格的なミュージカル仕立てであることと圧倒的な映像美から、アニメの老舗であるディズニーの意地と誇りがひしひしと感じられた▼「アナ」は日本でも空前の大ヒットを記録。宮崎駿監督が引退を宣言した今、「アナ」に対抗できるハイレベルな作品を作ることのできる才能と、それを育てる環境を整えなければ、気がつけばアニメ後進国に成り下がるかもしれない。(U)