平成27年12月


12月31日(木)

東京出張の際、築地近辺を定宿にしている。取材先まで地下鉄で1本という便利さからだが、たまに場外市場に寄るといつもにぎやか。人の合間を縫うようにして狭い路地を歩き、目当ての店へと向かうのが楽しい▼築地や上野のアメ横もそうだが、函館だと朝市や自由市場は今が書き入れ時の真っ最中。先日自由市場を訪れた際に顔なじみの商店主と出くわして「元気ですか?」「どうにか生きてるよ」と短い会話。ほっとする瞬間だった▼筆者は仕事柄、年末年始の時期に遠出して海外旅行などのバカンスを楽しむ余裕がないせいもあるが、年の瀬になると商売人の大変さを改めて思う。官公庁などは28日が仕事納めで、すでに帰省したという人も多いと思うが、大みそかも勤務、年明けにやっと休めるという市民も多いだろう▼旅に行けばホテルや旅館で働く人がいる。デパートでは多くの従業員が新年の初売りに向けて準備を進めている。ごく当たり前のことだけれど、休めるありがたさを今一度かみしめたい▼2015年もきょうが最後。布団の中から出るのが嫌になる寒さだが、眠い目をこすってもうひと踏ん張り。大掃除や正月の飾り付けを済ませ、晴れやかな新年を。(C)


12月30日(水)

津波の恐ろしさは今さら語るまでもない。過去の災害事例が教えているが、万国共通の認識にしなければ…国連が22日、日本などの提案を受け「11月5日」を「世界津波の日」にすることを全会一致で採択した▼津波と言えば、2011年3月11日に発生した東日本大震災が、昨日のことのようによみがえってくる。地震直後に発生した大津波は、またたく間に市街地を飲み込み、2万4000人余(死者・行方不明者)の命を奪った▼その復旧、復興は5年を迎えようとしている今なお、重くのしかかる。さらに思い出されるのは55年前に死者・行方不明者142人を出したチリ地震津波。東北地方に押し寄せたのは、発生から22時間後だった▼海外に目を向けると、11年前のスマトラ島沖地震を抜きに語れない。死者は22万人余。地震も恐ろしいが、津波はさらなる恐怖…早期警報などの対策、日常的な啓蒙活動こそ大事であり、日本が国連に決議提案した理由もそこにある▼ちなみに「11月5日」だが…安政南海地震(1854年)の際、津波の到来を察知した村人が稲わらに火をつけ、多くの人を高台に避難させたという故事に由来する。この日は、わが国では「津波防災の日」でもある。(A) 


12月29日(火)

トンネルの天井からモルタル片が落ちてきた。それも幅5メートル、長さ20メートルほどにわたって…重さにして23トン。そんな構造物の落下事故が、またまた起きてしまった。千葉県君津市の国道410号線の松丘隧道で▼当時、通行車両がなかったから良かったが、少しでもタイミングがずれていれば…人身にかかわる惨事を招いたのは想像に難くない。橋もそうだが、トンネルは例え危険を察知したとしても逃げ場所がない。だから怖い▼3年前に中央自動車道の笹子トンネルで起きた天井版崩落事故が、よみがえってくる。落下版の下敷きになって走行中の9人が死亡した。さらに遡ると、1996年2月に起きた北海道の豊浜トンネンルの上部岩石崩落事故も忘れられない▼路線バスと乗用車が巻き込まれ、懸命の救出作業もままならず20人が犠牲に。最近は高速道路や鉄道高架からのコンクリートやモルタル片の落下という事故が多い。こうした事故の際に、必ずと言っていいほど過失、管理責任が争われる▼予見できたかどうか。理由はどうあれ、起こしてはならないという一線は崩れない。さまざまな要因で点検が難しい面もあるにしても。安全管理の徹底は絶対条件…人命にかかわることだ。(A)  


12月28日(月)

「またか」という言葉がまず口をついた。旭川市のJR函館線トンネル内で27日、火災事故が発生。幸い早朝だったため、利用者を乗せた列車が巻き込まれることはなかったが、多くの帰省客が長時間にわたり足止めを食うことになった▼JR北海道管内のトンネル事故といえば、2011年5月の石勝線での出来事が生々しく記憶に残っている。脱線のためトンネル内部で緊急停止した車両が炎上し、乗客乗員約250名が徒歩で命からがら脱出。死者や重傷者こそ出なかったものの、一歩間違えば大惨事につながった可能性も▼そして今年の4月には、青函トンネル内で列車から煙が発生。消火器によってすぐに鎮圧されたが、1988年の青函トンネル開通以来はじめて、乗客が地上に避難する事態となった▼来年3月に道新幹線開通を控えた中での青函トンネル内のトラブルは、JR北海道には大きな衝撃で、緊急避難訓練を行うなど、安全体制の再構築に躍起になっていた。その矢先に発生した今回の事故には開いた口がふさがらない▼航空機と比較し、絶対的な安全性を売りにしてきた新幹線。その大前提を北海道新幹線が揺るがすことだけにはならないよう、切に願いたい。(U)


12月27日(日)

コーヒーは昔から胃や心臓の薬として飲まれ、眠気や疲労感を取り除き、思考力や集中力をアップさせることも。大学生から飲み始め、駆け出しのころ、大門の喫茶店をハシゴした。1杯60円だった▼脳内の血流を良くし二日酔いに効くなど、いいこと尽くし。しかし、眠気覚ましのカフェイン入りエナジードリンクを長期に飲んでいた九州の20代男性が、カフェイン中毒で死亡した報道にショックを受けた▼カフェインはコーヒー、紅茶などに含まれているが、普段は摂取量まで計算はしない。解剖した福岡大は、高濃度カフェインによる中毒死と断定。日本では初めて。男性は24時間営業の店で労働、つい致死量を超えたのだろう▼深夜労働や車の運転、受験勉強などで眠らないため、コーヒーをつい何杯も飲んでしまう。内閣府などによると、カフェイン含有量の規制はないという。米国では過剰摂取が原因の死亡報告が結構あって、摂取量の目安も勧告▼「カフェ、それは悪魔のように黒く地獄のように熱く、そして恋のように甘い…」(フランスの政治家)。熱いコーヒーを飲みながら恋をささやく光景は今も昔も変わらない。「薬も過ぎれば毒になる」か。1日3杯にしておこう。(M)


12月26日(土)

最近、新聞、テレビなどに「介護離職ゼロ」という言葉が登場する。究極の目標とはいえ、そう願う思いは共通。現実に親の介護のため離職を余儀なくされる人は多い。年間10万人超と推定する向きもあり、現代が抱える大きな社会問題▼例え理解のある企業、職場であっても、仕事と介護の両立は容易ではない。先日、本紙で紹介していたオリックス・リビング(東京)が行った調査でも「両立ができる」と答えた人は、わずか1割(9・7%)だった▼このままでは企業の人材維持にも影響しかねない。一億総活躍社会も色あせてくる。施設が、人が足りない…八方ふさがりになって職を離れるしか道がない。なんとかしなければ…政府も重要政策課題に位置づけた▼「介護施設の整備や介護人材を育成する」。まず打ち出した介護施設を増やすことに異論はない。施設が増えれば、雇用の枠も広がり、引いては離職防止にもつながる。ただ、それだけでは…▼働く人が必要な数だけ確保されないことには、施設は機能しない。当然ながら教育や研修の充実は欠かせないが、最も求められているのは待遇の改善。そこに国がどう関わるのか。それなくして「介護離職ゼロ」は見えてこない。(A)


12月25日(金)

幼い頃、金曜日の午後8時はプロレス中継に夢中だった。アントニオ猪木率いる新日本プロレスの過激な試合を彩っていたのが古舘伊知郎アナの実況。「闘いのワンダーランド」「おきて破りの逆サソリ固め」―。彼が繰り出す名フレーズが楽しかった▼そんな古舘氏がニュースキャスターをやると知った時には驚いた。プロレスを振り出しにF1や水泳をしゃべった後、巡ってきた「報道ステーション」(テレビ朝日―HTB)のアンカーマンの座。良くも悪くも癖が強く、氏やコメンテーターの発言が物議を醸すこともあった▼24日、古舘氏が番組を来年3月いっぱいで降板すると発表された。番組スタートから12年経ち「新しいジャンルに挑戦したい」として局の慰留を振り切ったと報じられている▼「お疲れさま」と言うにはまだ早いが、ニュースキャスターは彼の個性や持ち味が十分に発揮されていなかった印象を受ける。〝さすが古舘〟と思わせる、あらゆる言葉を駆使したスポーツ実況にもう一度触れたい▼前番組「ニュースステーション」の久米宏氏は番組の最終回、手酌でビールを飲み干して視聴者を驚かせた。古舘氏がキャスター生活をどう締めくくるか、注視したい。(C)


12月24日(木)

1998年のプロ野球セ・リーグで新人王を激しく争った2選手のことは記憶に新しい。当時いた職場には午後から電話が鳴り続け「ヨシノブ?ケンシン?どっちだ」と問い合わせが続いた▼一人は読売ジャイアンツの高橋由伸打撃コーチ兼外野手(40)。「天才的」「お手本のような打撃フォーム」と称され、打率はリーグ8位の3割ジャスト、19本塁打、75打点の成績を残したが、タイトルの軍配が上がったのは中日ドラゴンズの川上憲伸投手(40)だ▼成績は14勝6敗、防御2・57、奪三振124、完封数はリーグ最多タイの3。2人の直接対決は22打数1安打(1本塁打)と川上が押さえ込んだのが、新人王レースの勝因だったとされた▼高橋は今季限りで引退。原辰徳氏の後任として来季から監督として指揮を執る。一方で川上は故障が響き今季は1、2軍とも出番がなく「退団」を発表。引退では終わってしまう、現役続行を目指しての宣言だった▼けがからの復帰を果たすのは厳しいとみられるが、本人に悲壮感はないという。厳しさは高橋にもある。東京六大学野球時代からのライバルで「明暗」を付けられてきた2人。まだ続く野球人生は名の通り「伸びる」ことを祈る。(R)


12月23日(水)

大雪が過ぎたら、もう1年で最も昼が短い冬至。カボチャを食べて、ユズ湯につかると、すがすがしい芳香が体や心を温めてくれる。キリストの生誕日が冬至だったという説もある▼クリスマスは太陽の復活を祝う古代ヨーロッパの祝祭とキリストの生誕が結び付いたもの。ツリーはゲルマン民族のユールという冬至の祭りで飾られ、真冬でも緑色の針葉樹を生命の象徴とした。日本の門松と同じ▼多様な宗教の信者が住むアメリカではユダヤ教やイスラム教などに配慮して「メリークリスマス」とは言わない。代わって「ハッピー・ホリデイズ」を使う。教師もクリスマスの話を避けているという。過激派の「イスラム国」によるテロ多発から一層厳しい▼サンタクロスもオランダ移民によって持ち込まれ、白い縁取りの真っ赤な服装がコカコーラの宣伝で一躍認知された。第二次大戦後、クリスマスはデパートの商戦に乗って大きなイベントに▼日本人はクリスチャンではないがクリスマスに熱狂。小さいころ、親から「日本は仏教国。ジングルベルは歌うな」と叱られた。ジョン・レノンの歌う「ハッピー・クリスマス」のプレゼントが一番。「戦争はなくなる。あなたが望みさえすれば」と。(M)


12月22日(火)

「今思えばもったいなかったかな」。ある函館市幹部が数年前、こんな言葉をつぶやいていたのを思い出す。話のタネは路面電車の廃止。現在、JRの特急の大半が停車する五稜郭駅への路線が1970年代に廃止されたことを振り返っていた▼函館市電は70~90年代にかけて路線廃止が相次いだ中、道内で市電が走るもう一つの街・札幌では20日、西4丁目―すすきの間をつなげ、1周8・9キロの環状運行を始めた。歩道沿いを走り、車道をまたぐことなく電車に出入りできるのが特徴だ▼環境に配慮して中心部に乗り入れる自動車の減少につなげるのが狙い。気になるのは事業費で、約400メートルの延長で29億4200万円がかかったという。乗客は増えるとみられるが、完全に軌道に乗るにはまだまだ時間がかかりそう▼函館の市電も駅前と五稜郭公園前で電停が新しくなり、スマートな印象を与えている。ただ、その恩恵に預かれる市民は人口の一部にとどまる▼市電沿線の人口が減り、郊外に流出する傾向は路線廃止が相次いだ時期から大きく変わらない。「ないものねだり」なのは分かっているが、せめて五稜郭から美原方面への路線があれば、より暮らしやすい街になったのでは。(C)


12月21日(月)

政治の場はよく劇場に例えられる。国会では“小泉劇場”と言われた時代があったが、それに勝るとも劣らず注目を集めたのが大阪市の“橋下劇場”。府知事、市長と駆け足の8年、任期を終える形で自ら幕を下ろした▼本業は弁護士。辛口のコメンテーターなどとして名をはせ、政治に転じて大阪府知事に。妥協なき政治姿勢がまず矛先を向けたのが財政再建。市町村長の批判を受けながらも大幅な予算削減を打ち出し、職員とも厳しく向き合った▼任期中、歯に衣を着せない発言は数え切れず、それはメディアにも向けられた。時には脱線もしたが、常に注目を集める立ち位置に。政策として打ち出した極めつけは、府と市との二重行政の解消…▼後に全国の関心を集めた大阪都構想となる。その実現に政治生命を懸け、住民投票まで進めたものの、わずか一万票余の差とはいえ否定された。退任に悔いが残るはずと思いきや、最後の言葉は「持てる力は全部出し切った」▼評価は分かれる。ただ、短期間に国政政党を立ち上げ、地方から中央を動かそうとした実績は大。硬直化した政治、行政に一石を投じ、身近な存在にした功績も。橋下路線は続くのか、しばらく大阪から目を離せない。(A)


12月20日(日)

忘年会たけなわ。酔うほどに終電の時間も忘れ、駅のホームから転落したり、ツルツル道路で転倒したり…。いつもながら痛い目に遭っている▼JR西日本がホームからの転落の映像データを分析した。全国で昨年度は3730人が転落、約6割が酔客だった。うち6割を占めたのは「ホームのベンチから突然立ち上がって真っすぐ歩き数秒で転落」。「千鳥足でホームの端を歩き足を踏み外す」は1割ほど▼このため線路に平行に並んでいたベンチを垂直の向きに変えたところ、直進しても線路に落ちることはなかった。ホームのカメラはふらふら歩くなどの“前兆行動”を察知して駅員に知らせている。酔客が転倒すると自動探知して運転士に知らせ非常停止させるケースも▼北海道はホームより地下鉄へ急ぐあまり、メトロの入り口で転倒するケースが多い。市電の乗り降りで足を外し転倒することも▼札幌市は今月から凍結道路を知らせる「つるつる予報」を開始。レベル1は「あまり滑らない」、レベル2は「滑りやすい」、レベル3は「非常に滑りやすい」の3段階。レベル3が予想されたらテレビ局に情報を提供、警告する。忘年会ではホームから転落したり、道路で転倒しないように。(M)


12月19日(土)

「新幹線と飛行機、どっちを使う?」18日の午後、知り合いの市役所職員に尋ねられた。この日発表された北海道新幹線の運行ダイヤとしばしのにらめっこ。果たしてどちらが便利だろう▼新幹線の始発列車「はやぶさ10号」は午前6時35分に新函館北斗を発ち、午前11時すぎに東京に着く。飛行機だと午前8時55分発で、羽田到着は同10時25分。朝の早さなどを考えたら飛行機の方がやはり有利▼逆に、東京での滞在時間を考えると新幹線に分があるようだ。羽田発の最終便が午後5時半発に対し、東京駅発の最終列車は午後7時20分。午後11時33分に新函館北斗着なので、少しゆっくりできるかもしれない▼新幹線開業は紛れもなく、旅やビジネスの選択肢が増えることを意味する。飛行機は直線的な移動時間が速い一方で、搭乗前の手荷物検査などにひと手間かかる。新幹線は時間こそ飛行機にかなわないが、直接都心に乗り入れる利点がある▼今まで新幹線に乗る機会は少ないため、ピンと来ないという道民も多いかもしれない。ただ使い方によっては非常に便利な交通手段。誰かが言っていたが、最速時間の「4時間2分」は「3時間62分」と考えれば、速い気がしないでもない。(C)


12月18日(金)

消費税を10%に引き上げる際(2017年4月)に導入する軽減税率をめぐる与党協議が大枠合意した。生鮮食品に限定しようとした自民が公明に全面譲歩した形での政治決着。それが透けて見え何かすっきりしない▼自民の対応にブレがあった。4000億円限度説に固執していた姿勢がなぜ揺らぎ、どこへいったのか。減収分の手当てがついたならともかくだが▼合意内容は加工食品まで対象を広げた「酒類と外食を除く食品全般」。さすがに高所得層がより恩恵を受けるとされる外食は外したが、それでも税収減は1兆円もの規模。当初の2・5倍とあっては、常識的にはまとまる話ではない▼しかも税収減分を補う財源は「2016年度末までに恒久財源を確保し、財政健全化目標は堅持する」として先送りで、大前提を欠いた政策決定にほかならない。背景に重要法案の貸し借り、参院選の選挙協力と、勘繰られる理由もそこにある▼消費税は社会保障を安定させるための財源確保が目的。軽減税率を導入したからといって、社会保障にいささかも影響させてはならない。故に高度な政治判断だったと言えなくもないが、そこには政治の信頼が重くのしかかっている。(A)


12月17日(木)

安全、安泰、安眠、平安…。世相を一字で表現する今年の漢字に「安」が選ばれた。清水の舞台で貫主が力強く揮毫(きごう)する大書は歳末の風物詩。なぜか、温暖化で不安が募る雰囲気だった▼安倍政権のもとで国民が違憲の疑いを抱く安全保障関連法が成立。高校生までが「戦争反対」とデモ行進。マンションのくい打ちデータ流用やワクチン問題など、暮らしの安全に関わる不正まで発覚▼世界ではテロの脅威が広がるばかり。過激派組織「イスラム国」によるパリ同時多発テロは世界中を不安に陥れた。2位の「爆」は爆買い、空爆、自爆テロなど。3位の「戦」は戦後70年の節目からか▼一方、気象予報士100人に「今年の天気を表す漢字」を聞いたところ、「変」という回答が最も多かった。2位は「雨」、3位は「暖」で、天候異変の1年だった。高松市の公園では早くも梅の開花が確認され、歳末に梅の便りはやはり変な風景▼政府は消費税率10%への引き上げに伴って導入する軽減税率を「出前・持ち帰りは8%にする」ことを固めた。外食にならないのはどんな時かなど、分かりづらい。業界も消費者も不安だらけ。心穏やかに、安心・安全・平安な新年を迎えたい。(M)


12月16日(水)

誰しも、言いたいことをグッと飲み込んで言えなかった、という経験はないだろうか。言ってしまうと他人を傷つけたり不快にさせたりすることが明白だったり、立場上言えないこともある▼だが「そんなのお構いなし」といわんばかりの人物が海の向こうにいる。ドナルド・トランプ氏。米国の不動産王にして、来年の次期米大統領選で野党・共和党から出馬を目指す。数々の暴言で物議を醸しながらも、共和党内で支持率トップをひた走る▼「メキシコは問題のある人物を米国に送り込んでいる」などと移民や非白人への罵詈(ばり)雑言を繰り返し、主に白人労働者層からの支持が厚いという。「東京の街をシボレーが走っていない」など、日本に対しても激しく口撃を浴びせている▼さらにイスラム教徒の米国への入国を禁止すべきだとの主張を始めた。さすがにこの発言は世界各国に波紋を呼び、英国では入国禁止措置を求める署名が数多く集まり、さしもの氏も釈明に追われている▼その中身はともかくとして、歯切れのいい発言は人々の共感を呼びやすいが、あくまで責任を問われない中での言動でしかない。彼がもしも当選したらどうなるのか…考えただけで恐ろしくなる。(C)


12月15日(火)

気象庁は10日、太平洋赤道付近の海面温度が上昇する「エルニーニョ現象」について、昨年夏に発生した現象が最盛期となり、春にかけて続く可能性が高いと発表した。世界で異常気象を引き起こすといわれる現象だが、函館でも気温の高い日が続く▼気象庁の速報値によると、函館で12月上旬の平均気温はプラス2・5度。平年より0・9度高く、15日ごろまでの最高気温は7~10度と予想。月末には平年並みになるそうだ▼統計的には、同現象が北日本の冬の気候に及ぼす影響は大きくないという。平均気温は平年並みとなる傾向が47%、高いが15%。太平洋側の日照時間は平年並みが39%、多いが23%。同じく降水量は平年並みが38%、多いが31%▼ただ、北日本以外では寒気の流入が弱くなり、南から温かく湿った空気が入るため暖冬になるとされる。この1カ月で上空約1500メートルの気温は、北日本から東日本で平年より約2度高い。やはり影響を考えてしまう▼暖冬は、暖房代が節約できるなど良い点もあるが、冬服や用品の販売、動植物の生育など悪い影響が多い。現象の根本的な原因は不明とされているが、地球温暖化防止に向け、小さなことでも積み重ねることが大切だ。(R)


12月13日(日)

果たして宇宙人はいたのかな。日光が遮られても地表の温度は460度にもなり、1年中、硫酸の雲に覆われ、それが時速400キロの猛スピードで流れている。大気のほとんどが二酸化炭素で温室効果は強烈…▼大きさが地球とそっくりで双子惑星、姉妹惑星といわれる謎の金星を観測する日本の探査機「あかつき」が主エンジンの故障で軌道投入に失敗して5年。探査機は設計寿命が過ぎており、高熱や放射線の影響が心配されていた▼地球に比べて二酸化炭素など充満している惑星。それでも宇宙航空研究のJAXAは先日、数万通りの試算を経て、金星を待ちぶせ、追い越される瞬間に小型エンジンをかけ、軌道に乗せた▼どうして設計寿命を超えた無人衛星の「老機」が高速で動く目標を狙うことができたのか。どうやって小型エンジンを噴射できたのか。日本の科学技術の優秀さに驚くばかり。極めつきの「温暖化惑星」の謎の解明がスタート▼今後、地球温暖化で気温が上昇、大きな災害が増えるという。折しもパリで気候変動枠組みのCOP21が開かれ、世界から英知を集め、対策を話し合った。地球も、いつか高熱の温暖化惑星になるかも。「あかつき」の朗報が待ち遠しい。(M)


12月12日(土)

現実的な発想は地方から生まれる。と言えばいい過ぎかもしれないが、行政の世界での話。少なくとも、こんな発想は机上で考えるところからは出てこない▼空知管内奈井江町が考えた国保病院にサービス付き高齢者向け住宅(通称・サ高住)を併設する計画。北海道新聞が報じていたが、二十数年前に道東のある町長が温め、実現させた構想がよみがえってきた▼「一人暮らしの高齢女性と福祉を学ぶ短大生が一緒に生活する公住を建設したい」。高齢者は心強かろう、学生には勉強にもなるはず、と。該当する補助制度がないため厚生省(当時)などに何度も足を運び、実現させた▼それと奈井江町の構想がダブって映ったのだが、いずれも高齢者福祉に新たな視点を当てた点で共通している。強いて言えば、奈井江町の試みの方がより現実的。鉄筋4階建ての病棟の3階部分を改修することで、サ高住が誕生する▼町からすると現存施設の有効活用であり、福祉政策。入居者は病院の建物内ということで安心して生活できる。まさに一石二鳥。まだまだ課題山積の高齢者福祉の道だが、かかわる人の確保という問題は別として、特に地方の施設整備に一石を投じる策として注目される。(A)


12月11日(金)

中国東方航空の函館―杭州線が8日に就航した。本紙記事では中国からの来訪に期待する声が出ているが、函館に限らず全国的にホテル・旅館の予約が取りづらい状況が続いている。自国民の旅行やビジネスに支障を来す事態となっては本末転倒の感も▼福岡市が今月、同市内で行われる人気グループ・嵐とEXILEのコンサートのある日に限り、市内で「民泊」を認める方針を明らかにした。ホテル不足対策として個人宅やマンションで料金を取り、宿泊場所として提供する市民を募るという▼宿泊場所を有料で提供する場合、通常は旅館業の許可が必要だが、2、3日程度のイベント開催で宿泊施設不足が見込まれる場合は自治体が民泊先を養成でき、法律の対象外としている▼2013年にGLAYが緑の島で野外ライブを開き、2日間で約5万人を集めた際に市内でも宿泊不足が指摘された。当時、冗談で「うちに泊まったらいいのに」と思った覚えがあるが、それが可能になる▼例えば料金を統一したり、大声を出したりしないといった一定のルールも必要になってくるのでは。数年後に行われるであろう野外ライブは、チケットのみならずホテルも大争奪戦となるはずだ。(C)


12月10日(木)

受ける時間がない、がんであると分かるのが怖い、費用がかかり経済的にも負担になる、健康に自身がある、受ける場所が不便…特定健康診査を受けない理由▼特定検診は、糖尿病や高血圧などの生活習慣病予防を目的に実施しているが、函館市の無料受診券の利用は低調、本年度は13%にとどまっている。「働き世代」を対象に胃がんリスク検査、心機能検査などが無料で受けられるクーポン券も▼筆者は後期高齢者検診を受けたところ、γーGTの数値が220と肝機能低下が指摘され、精密検査。なんと3・5センチの円形の悪性がんが見つかった。札幌の病院で6時間半かけて肝臓の半分を切除、胆のうも摘出▼術後の痛みは数カ月かかるといわれ、痛み止め薬を飲みながら治療。検診は3年ごと受けており、肝機能低下は無視していたが、今回は精密検査を受けて助かった。医者から「昨年受診しておけばよかったのに」と叱られた▼早期発見には受診が欠かせないことを痛感。函館の特定検査の無料受診券も、無料クーポン券も3月まで実施。函館の受診率は25年度で26・7%で全国平均(34・3%)を下回っている。面倒くさがらないで、受診して健康維持、受診率アップにつなげたい。(M)


12月9日(水)

ある人からもらった名刺に思わず微笑んだ。目を引いたのがまず似顔絵。家族構成、趣味、そして海外渡航歴が20回以上あることなども記されていた。一枚でずっと距離が縮まった気がした▼新幹線開業が近づき、東北の関係者の方々と名刺交換する場面が増えた。岩手県花巻観光協会の人の名刺には「2016 宮沢賢治 生誕120年」の文字と夜空を走る機関車のイラストが描かれていた▼「花巻をPRするせっかくの機会。協会で決めたわけではなく、勝手に作ってしまった」との言。「若い人には賢治と言ってもなかなか通じないが」と付け加えたが、「銀河鉄道の夜」が浮かび、新幹線が通ったら、まず賢治の記念館を訪れようと思った▼地元にいるせいか、東北の人の方が開業を「道南と東北が一つのエリアとして結び付くチャンス」と捉え、函館のブランド力を取り込み、観光やビジネスに生かそうとの思いが感じられる。面としての観光ルート作成など行動も速い▼花巻から来たもう1人の名刺。「わんこそば」のおわんが積み重なった写真の上に「一日ニ玄米四号ト味噌(●みそ)ト少シノ野菜ヲタベ…それじゃワシは足りません」の文字。訴えるためにはユーモアも必要だ。(Z)


12月8日(火)

照明の主役の座は「いずれ」LED(発光ダイオード)がとって変わる…誰しもそれに疑いを持っていない。消費電力が少ない優位性があり、温室効果ガスの削減にもつながるからだが、その時代は「いずれ」でなくなってきている▼政府は先月末、2020年度をめどに、照明器具に関する省エネルギー性能の基準を強化する方針を決めた。蛍光灯や白熱灯の生産や輸入が実質的にできなくなるということだから…蛍光灯などが市場から消える日は遠くない▼時代は常に新しい、よりいい物を生み出し続ける。蛍光灯が家庭に普及してほぼ50年、当初はスイッチを入れてから点灯するまで時間がかかったため、反応が鈍いことを「蛍光灯みたい」とやゆしたことも▼それでも蛍光灯時代を享受し、そして今、LEDが普及しつつある。消費電力が少なくて済み、長い目でみれば家計にもプラス。特に居間など点灯時間の長い部屋には有効で、すべて切り替えるに越したことはない▼頭では分かっていても、おいそれとは。少し安くなったものの、まだまだ高価。政府の方針は理解しても、庶民の財布の紐はそう簡単に緩まない。業界も大変なら家庭も大変、少しずつ切り替えていくしかない。(A)


12月7日(月)

一生懸命頑張ってきたつもりでも、終わってみたら「まだまだ」と感じることはある。自信満々で上司に報告しても叱りを受ける。自分を伸ばすための厳しい評価と受け止めるが、ただ、がく然とすることもある▼総延長約54キロ、本州からトンネル工事の職人が福島町にやって来た時は町民あげての大歓迎だった。延べ約1400万人に上る作業員が汗を流し、殉職者は34人。24年という難工事に、苦労や悲しみを心に秘め、青函トンネルが貫通した▼前人未到の工事は物流を便利にした。新鮮な農産物を関東へ大量に運ぶことが可能になった。道内の農業に与えたプラス効果は絶大。だが、そのトンネルは今「時間短縮の障壁」とされている▼北海道新幹線の最高速度は時速260キロだが、青函トンネルを含む約82キロの在来線との共有区間では、時速140キロに制限される。これが原因で、新函館北斗駅-東京間の所要時間は3時間台を実現できない▼安全運転を最優先とするJR北海道の姿勢を否定することはできないが、自分たちの苦労が「障壁」と扱われたトンネルマンや、青函連絡船の船員の気持ちは…。中旬にはダイヤも発表される。夢を運ぶ新幹線の利用戦略が問われる(R)


12月6日(日)

もし自分がうつ病と診断されたらどうしよう。ぜんそく、肺炎、卵管炎など〝病気のデパート〟と自称しているアラフォー女性が疲れ切って仕事をやめ、うつ病になって自殺した▼厚生労働省の調査によると、労働者の5~6割が仕事に不安や悩みを抱えながら働いており、勤務上の問題を原因に自殺する人は年間2000人を超えている。健康問題で自殺する人の約4割がうつ病が原因ともいわれる▼うつ病の未然防止を目的に、50人以上が働く会社に対し、全従業員のストレスチェックを義務付ける改正労働安全衛生法が今月施行された。体の健康だけでなく「心の健康診断」も年に1度実施▼対象は正規社員のほか、非正規や派遣社員も含まれ、労働者が質問票に答え、医師や保健師らが「高ストレス」の人を診断。結果は直接本人に通知され、事業者は作業場所変更や勤務時間短縮などの措置をとることになる▼ストレス、うつ病、自殺…。誰しも仕事のノルマ、長時間労働、人間関係などストレスを抱えており、過労やパワハラによる精神疾患も見逃せない。「心の健康」チェックが自分のストレスに気付き、上司や仲間らの理解を深める環境づくりに役立つことを期待したい。(M)


12月5日(土)

仙台で暮らしていた大学時代、実家のある函館との往復には非常に時間がかかった。盛岡まで特急で4時間、さらに東北新幹線に乗り換えて1時間ちょっと。約20年前と比較するのは野暮なのかもしれないが、何とも物足りない話▼来年3月26日開業の北海道新幹線に関し、JR北海道は新函館北斗―東京間の最速時間を「4時間2分」とする方針を固めた。地元関係者が望んでいた「4時間以内」はかなわず、想定よりも少なかった運行本数とともに二重の「ガッカリ感」▼函館―羽田間航空路との競争の指標となる4時間の壁を破れず、運行本数も多くはなく、特急料金は高く、そして新駅は函館市街地から離れている。〝思惑〟というものは簡単にいかない場面も多いが、こうも不利な要素が重なるとは▼ただ、トラブル続きのJR北が安全運行と定時性確保を最優先した心情も分からないではない。事故や遅れの頻発はさらに同社に対する信頼を損なうことにつながる▼かつて振り子特急「スーパー北斗」が函館―札幌間にデビューした際、同社は「最速2時間59分」をアピールしたが、現状は言うまでもないだろう。徐々に利便性を高めることで「使える」新幹線を目指してほしい。(C)


12月4日(金)

農業に携わる人の高齢化が進んでいる。先日発表された2015農林業センサスが明らかにしている。農業就業人口の平均年齢は66・3歳。そのうち65歳以上が占める割合は3人に1人の63・5%という▼深刻なのは、農業で生計を立てている専業の基幹的農業従事者の実態。20年前は250万人いたのが、この5年間で13%も減って177万人。その平均年齢は67・1歳と、先々に不安は広がるばかり▼当然ながら耕作放棄地は増える。5年前に比べ約3万ヘクタール増の42万ヘクタール強。富山県の面積に匹敵する面積という。農業者が減るから、放棄地は増える…誰でも分かる答えだが、問題は改善の動きが見られないことだ▼現実に新規の就農者数では追い付いていかない。北海道をみても後継者(学卒・Uターン含む)、新規参入者を合わせても年間600人から700人ほど。経営の組織化が進んでいるとはいえ、農業現場の赤信号状態に変わりはない▼そのつけは食料自給率にも表われ、一向に上がらないどころか逆に下がって39%。国の農政に問題があったと指摘されても仕方がない。そして今、TPP(環太平洋連携協定)が重くのしかかっている。「大丈夫」には何の保証もない。(A)


12月3日(木)

「年金不信」が若い世代を中心に強まっている。「このまま納め続けても本当にもらえるのだろうか」という不安は尽きず、国民年金の場合は自ら支払わないという選択肢ができてしまっている。そんな不信感をさらに増長させる出来事が▼国民年金と厚生年金の積立金を運用する、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が11月30日、今年7~9月期で7兆8899万円の損失を出したと発表した▼世界同時株安が影響しており、四半期の赤字額としてはリーマン・ショック(2008年10~12月期)の5兆6601億円を超える過去最悪の数字。その背景として報じられているのが運用比率の見直し▼昨年10月、GPIFは6割を占めていた国内債券を35%に減らし、国内外の株式比率を引き上げる措置を取った。これだと当然株式市場の動向が大きくものをいい今回は国内、外国株式とも巨額損失を計上した▼9月末までの収益は約45兆円といい、GPIFは「長期的視点で見てほしい」、厚生労働省も「今の年金額が減ることはない」と強調するが…。国民の大事な資産があまりにもグローバル化の波にのまれるのもどうなのか。まずは安定的な資産運用を第一に考えてほしい。(C)


12月2日(水)

ヘビースモーカーは大人なら肺がんの危険性が高くなり、子どもなら気管支炎などで苦しむ場合が多い。2歳児に喫煙させたり、糖尿病の児童に治療薬をやめさせたり、健康をむしばむ児童虐待はいっこうに減らない▼24歳の父親と交際相手の16歳の少女は、2歳児に火のついたたばこを6回吸わせ、その様子を撮影した動画をフェイスブックに投稿。嫌がっているのに「面白半分でやった」という(愛知県)▼糖尿病で苦しむ7歳児童にインシュリン投与が必要なのに「インシュリンには毒がある。糖尿病は治らない」という祈とう師に洗脳された家族が投与をやめ、児童は衰弱死。医者による治療を続けていれば助かったのに(栃木県)▼京都で12歳男児が兄の部屋で見つけた大麻に火をつけて、4回吸った。山形県では若い夫婦が、生後16日の長女をプラスチック製のごみ箱に閉じ込めて窒息死させた。「泣き声がうるさかった」という▼喫煙や大麻は非行の始まり。かつては児童相談所や警察が映画館などを巡回、喫煙している子どもを補導。今の児童虐待はプライバシーを盾に潜行する懸念がある。児相を中心に各機関、地域住民も含めた強力な「命を守るネットワーク」が必要だ。(M)


12月1日(火)

北海道新幹線の特急料金が議論になっている。函館で先日開かれた国土交通省(運輸審議会)の公聴会では、公述人3人全員が料金設定は割高と反対意見を述べた。今後、割安切符などが明らかになるだろうが、懸念されるのは利用への影響だ▼割高感はJR北海道も否定してはいない。同距離の東海道や北陸新幹線に比べて高い。ただ、そうせざるを得ない理由もむげにできない。年間34億円ほどかかる青函トンネルの維持費を同社が負担している▼今さら蒸し返しても始まらないが、問題の根は国鉄分割民営化にさかのぼる。東日本や西日本、東海などは経営が成り立つが、北海道や四国は難しいことが明らかだった。にもかかわらず踏み切った経緯がある▼それは経営安定のための基金を創設したことが物語っている。加えて青函トンネルの管轄は北海道に。なぜ赤字経営必至の北海道だったのか。北海道新幹線の恩恵には東日本もあずかるはずで、だとしたら維持費の半額を負担し合う道もあるのではないか▼青函トンネルの維持費が軽減されれば、自ずと新幹線料金問題も解決の道が開かれる。そうするのが政治の責任の取り方。現設定料金でも赤字という予測はあまりにも悲し過ぎる。(A)