平成27年5月


5月31日(日)

航空機(空路)は交通手段の主役と言って過言でない。陸路、海路に比べ、ともかく速い。今や我が国でも国産ジェット機の就航が現実になりつつあるが、プロペラ機に愛着を覚える人も少なくない▼「YS—11」と言えば…戦後の国家事業として開発され、50年前の1965年に就航したプロペラ旅客機。滑走路が短くていいので各空港へ就航しやすかったほか、飛行高度が低いから乗客は眼下の景観が楽しめた▼確かに現役期間中には幾つか悲しい事故も経験した。函館・道南にとって忘れられない「ばんだい号」の墜落事故もそうだが、だからと言って空路の一時代を担った事実は消えるものでない▼だが、時代の要請には勝てず、2006年に使命を終えた。以来10年、その「YS—11」一機が蘇り、先日、羽田から高松へ飛行したという。そこには多額の整備費を投じて復活させた大阪の企業の熱い思いがあった▼その「YS—11」から国産のバトンを引き継ぐのが開発中の小型ジェット機。順調にいけば2年後に就航する見通しと伝えられる。滑走路は2千㍍でOK、航続距離は3千5百㌔、そして70〜90席規模…。「MRJ」(三菱—リージョナルジェット)の登場が待たれる。(A)


5月30日(土)

下校する子どもたちと入れ替わり登校。字が書ける喜びを実感した初老の男性、孫もいる年で入学したオモニ、鑑別所から出てきたヤンキー風の少女…山田洋次監督の映画「学校」は夜間中学の実態を描いた▼何らかの事情で義務教育を終えられなかった人たちの夜間中学。中学未修了で学齢を超えた人が対象。戦後、昼間働く人のために開設され、80校、5千人が学んだ。今は8都府県の31校に1800人と減少▼日本語習得のため、定住ないし就労ビザ、家族ビザの外国人労働者や子どもが増えている。道内には札幌、函館、旭川、釧路にボランティアらによる「自主夜間中学」はあるが、夜間中学は1校もない▼最低でも「各都道府県に1校開設」を目指す超党派の議員連盟が、希望者が多い自治体に公立夜間中学開設、自主夜間中学への支援などの法案を提出する。不登校の小中学生が通う「フリースクール」の方策も▼「学校でいろいろ習い人生で一番楽しかった」。兄弟を養うために学校に行けなかった80歳近い女性の一文。「学校」で初老の男性が亡くなり、幸福について話し合った結論は「生きていて良かったと感じること」だった。夜間中学は人生勉強の場でもある。(M)


5月29日(金)

プロ野球のセ・パ交流戦が始まっている。地元の北海道日本ハムファイターズの戦いぶりがやはり気になるが、他球団ファンも戦況に一喜一憂していることだろう▼今でこそさまざまな媒体で各球団の生中継が楽しめるが、ひと昔前だと巨人戦以外の結果を知るには深夜のスポーツニュースが頼り。それでも物足りない場合はラジオだったという御方も多いのでは。かくいうコラム子も好きな球団の試合展開を知るため遠方の局にダイヤルを合わせ、混信の中で必死に聞いていた▼ラジオの良さは何と言っても、目を奪われずに情報を入手でき、手元の作業を止めなくて済む。もっとも学生時代、勉強中に聞いて親に怒られた人も多いと思うが…▼現在はスマートフォンのアプリを使えば、クリアな音声で全国の放送局が聞ける。混信に苦しんでいたのが何だったのかと思うほど便利な時代になった▼26日付本紙で函館大谷短大が地域創生フォーラムを開くとの記事。学生が地元から出ず、よその世界を知らぬまま生きることに不安を抱えているのが契機とか。そんな時はラジオに耳を傾けるのも悪くない。小さなスピーカーの向こう側には、さまざまな世界が広がっているのだから。(C)


5月28日(木)

どこの市町村でも増え続ける空き家。高齢化という現実を踏まえると切実な社会問題。荒れ放題の家も少なくなく、火災をはじめ防犯安全面や衛生面での対策が、改めて求められている▼草が伸びて雑草畑の様相の空き地、傷みがひどく強風が吹くと屋根や壁板が剥がれそうな家屋…とはいえ土地や家は持ち主の財産であり、勝手に手を下すことはできない。行政にとっても悩ましい問題になって久しい▼それほどに空き家の数は多い。総務省の調査によると、全国では820万戸。道内でも38万8千戸というから函館市の世帯数を2・5倍強上回る数である。その函館市では約800戸と聞く▼対策を講じなければならない。というのも独居のお年寄りの増加などで今後増えることが予測されるから。それに見合った法的対応が必要であり、かねて要望されていた空家対策特別措置法が26日、施行された▼市町村に解体や撤去の勧告権限を与え、固定資産税の優遇廃止や最終的には行政代執行も可能にした。空き家にせざるを得ない事情はあろうが、最低限の管理がされていれば…そうとは思えない状態が目についてくると、この法律の制定はまさに時代の要請。仕方がない。(A)


5月27日(水)

富山県高岡市伏木(ふしき)地区で、江戸時代後期から続く無形民俗文化財「伏木曳山(ひきやま)祭」。海岸鎮護、海上安全を祈り、昼は山車(だし)7基がまちを練り歩き、夜は山車同士をぶつけ合う「かっちゃ」を行うことで、「伏木のけんか山」の名で親しまれている▼ぶつけ合いは明治時代後半ごろに始まったとされる。ほかの町の山車が進路をふさぐのを、ぶつけて壊しても進む道を確保しようとしたそうだ。現在では場所と時間を決め、夜に2会場で各2回行う▼1基の重さが約8㌧もある山車が正面衝突する迫力は、県内から大勢が見物客を集める。早くから道路わきで見物場所確保していたが、今年は様子が変わった。有料の桟敷席を設けたのだ▼狙いは北陸新幹線開業により、県外からの観光客を取り組むことだ。約400席を用意。1席2000円で、ほぼ満員になったという。新幹線開業効果はあるようだ▼全国紙の富山支局にいる知人は「普段は全国ニュース面に載らないのに、今年は東京から取材せよと要望が来た。これも新幹線効果かな」と笑う。「新幹線」と付く話題は全国から注目を浴びている。北海道新幹線の情報が各地に行き渡り、道南の知名度が増してほしい(R)


5月26日(火)

2020年東京オリンピックでのメーン会場となる新国立競技場の工事が開会に間に合わず、開閉式の屋根の取り付けが大会終了後になるという、驚きのニュースが飛び込んできた。大会の象徴ともいうべき建築物が未完成の状態で供用されるとは、なんとも情けない▼新競技場を巡る問題はこれまでも続出。国際コンペで採用された設計プランが巨大過ぎて、周辺地域の景観を損なうとの批判から大幅に縮小。3000億円と見られた当初予算は1600億円とほぼ半減に▼開催地の東京都は怒り心頭だ。新競技場の建設に対し国から500億円もの巨額負担を求められながら、突如方針転換を伝えられた舛添都知事は「不利な情報を含めて開示してもらわないと都民に説明できない」と憤る▼北海道に住む我々には他人事のように映るが、札幌市が2026年の冬季五輪招致を表明していることを忘れてはならない。開催が決まれば競技施設の建設費は1000億円近くに上るとみられ、道民に重い負担がのしかかる可能性も▼1972年の札幌冬季五輪は確かに北海道に繁栄をもたらした。しかしそれから半世紀後の五輪が負の遺産をもたらさないか、しっかり検証しなければならない。(U)


5月25日(月)

桜前線は南から北へ3カ月ほどかけて日本列島を縦断した。名所や名木が多い道南でも、訪れた多くの人を感動させたが、すっかり葉桜になった今、桜に関する新たな情報が飛び込んできている▼本紙や北海道新聞が報じていたので覚えている読者も多かろうが、北斗市と森町で。一つは大野農高の同窓会が校内桜公園に、金沢の兼六園で国の天然記念物に指定されている「兼六園菊桜」を植えたという話▼この桜は桜守・浅利政俊さんが元の国立遺伝学研究所から依頼を受けた原木を接ぎ木し、松前町桜見本園で育てた樹齢10年の木という。そして、もう一つが森町固有種の「森小町」に関する話▼地元で桜博士と言われた故田中淳さんが30数年前に産み出した品種。町内に残っていた一本が昨年、枯死して絶滅が懸念されていた。ところが、茨城県内に二本あることが判明、一本を譲り受けられることになったという▼桜は数多くまとまって姿も見応えがあるが、一本でもため息を誘う木もある。数が少ない樹種もそう、稀少価値として存在感を示してくれる。加えて話題の二本は桜の地元の第一人者がかかわった貴重な樹種。となれば、地元の思いはさらに。将来に楽しみが広がる。(A)


5月24日(日)

甲子園の高校野球では、印象に残る延長戦の名勝負が数多い。斉藤佑樹投手と田中将大投手の投げ合いで再試合となった早稲田実業—駒大苫小牧の決勝戦や、松坂大輔投手を擁する横浜とPL学園の死闘などは語り草だ▼25日に開幕する春の全道大会で、延長戦の決着を早めるためのタイブレーク制度が初めて導入される。延長12回を終えて同点の場合、13回は「無死1、2塁」からスタート。1人の登板回数は15回まで。決勝は従来通りの延長戦となる▼選手の健康管理を目的に、日本高校野球連盟が加盟校に対するアンケートを行った結果、条件付きながら約半数が賛成し導入が決まった。甲子園につながる夏と秋の大会では行われない▼塁に出て、得点圏に進めて、本塁に還すことを基本とする野球の戦い方が、根本的に変わってしまう可能性がある。本塁に還すことだけを狙えば、思いもよらぬ作戦が出てくることもあるだろう。サッカーのPK戦に近いかもしれない▼もちろん球児の健康管理は大切だ。ただ、早期決着ばかりを優先して野球の魅力が損なわれてしまっては寂しい。函館支部代表の函工の健闘を期待するとともに、新たなルールによる春の戦いに注目している。(I)


5月23日(土)

高速で長距離飛行が可能な飛行機、狭い場所で離着陸でき空中で停止できるヘリコプター。双方の長所を装備したのが米軍の新型輸送機「オスプレイ」。それに小型無人機「ドローン」も飛び回り、騒々しい▼タカの仲間ミサゴの名を持つオスプレイは沖縄普天間に24機、横田基地にも10機を配備する。自衛隊も17機導入する。開発段階から安全性が懸念されていたオスプレイが先日、ハワイで着陸に失敗、22人が死傷した▼横田基地も都心から約40㌔の市街地にあり、「世界一危険な基地」とされる普天間と変わらない。米軍機の夜間飛行差し止めなど騒音被害をめぐる訴訟が係争中。自衛隊が導入を計画する佐賀空港も例外ではない▼雄のハチを意味し、小型ながらオスプレイの機能を備えたドローン。先月、首相官邸の屋上に侵入した事件で、政府や自民党はいち早くドローン規制に乗り出した。祭りの会場に飛ばすと予告した少年を逮捕…▼オスプレイ配備に菅義偉官房長官は「安全だと考えている」と味気ない返事。とにかく米国の戦争に巻き込まれるのはご免。お上は「ハチ」には厳しく「タカ」には甘いのか。来月のYOSAKOIソーラン祭りでもドローンは使用禁止とした。(M)


5月22日(金)

「クジラ汁」は函館の正月料理の定番だ。「正月から大きなものを食べると縁起が良い」「ニシンを岸に集めるクジラを食べて豊漁を祈る」といった意味合いがあるそうだ▼和歌山県太地町での「追い込み漁」は残酷で、そこで捕獲されたイルカを飼育・展示してはいけない—。「日本動物園水族館協会」(JAZA)は、「世界動物園水族館協会」(WAZA)の勧告を受け入れ、加盟する水族館に追い込み漁で捕獲されたイルカの入手を禁じた▼イルカやクジラの捕獲に関して、世界の中で日本は圧倒的な少数派であることをあらためて感じる。しかし、牛や豚は平気で食べているのに、イルカやクジラを特別扱いする欧米を中心とした主張は、感情的な部分が大きいように映る▼世界的にみると、捕獲したイルカなどにショーをさせる水族館というのは少数派だそうだ。JAZAは今回、「世界基準」を受け入れ、イルカの繁殖などを模索することになった▼ただ、よほど非人道的でもない限り、一方的な価値観の押し付けで、地域の文化が損なわれてはならないと思う。やがて函館からクジラ汁が消えてしまわないように、感情的ではなく、科学的な根拠も踏まえた世界的基準がほしい。(I)


5月21日(木)

水無月の6月はスルメイカ漁が解禁になる。東シナ海などで誕生し、黒潮などに乗った“イカ前線”は、今は能登半島や新潟沖に回遊している。回転寿司でも人気が出てきた鯨肉にアメリカから悪評を付けられた…▼イカ刺し、イカソーメンはいつ食べてもおいしい。スルメイカはヤリイカやアオリイカに比べてダイナミックな回遊が特徴。わずか1㍉の体が300倍の大きさになり、大回遊の途中で一網打尽にするから、人の食欲は罪つくり▼海洋哺乳類の所有や販売を禁じている米国で鯨肉がヤリ玉に上がった。客に鯨肉を提供しようとして、すし職人がロスの連邦地裁から2年の保護観察と罰金5千㌦(約60万円)の有罪判決▼和歌山県太地町のイルカの追い込み漁を批判した米映画「ザ・コーヴ」の製作者らが、すし職人の店内を隠し撮りしたことなどで事態が発覚。世界動物園水族館協会は日本水族館協会の会員資格を停止した▼市水産・海洋センターでヤリイカの産卵行動を観察する実験が進行中。群れの産卵行動を観測する研究は初。産み付けた卵塊はフジような房状。6月1日の解禁日には函館から漁船20隻が出漁。燃料高騰で大変だが、活イカの初水揚げが待ち遠しい。(M)


5月20日(水)

1988年公開の映画「魂の叫び」で、B・B・キングはU2のメンバーに向かって「俺はコードが苦手なんだ」とつぶやく。息子ほど年の離れた、緊張気味のメンバーを前に発した一言が印象に残っている▼この映画は世界的な人気を博しつつあったアイルランド出身のロックバンド・U2のツアードキュメンタリーで、メンバーがロックのルーツを訪ねる姿も記録。当時から伝説的存在だったB・Bは、その後も昨年までライブを続けた▼今月14日に89歳で亡くなったB・Bは、黒人の大衆音楽だったブルースにエレキギターを導入、ポピュラー音楽としてのモダンブルースを確立。冒頭のエピソードのように気さくな人柄で、ジャンルを越えて交流や演奏をしていた▼エリック・クラプトン、ローリング・ストーンズらの有名どころをはじめ、後のアーティストに与えた影響は計り知れない。残したアルバムは50枚以上、グラミー賞獲得は15回、ブルースとロックの両方の殿堂入りを果たした▼U2は始まったばかりの世界ツアーで22年ぶりにB・Bとの共作曲を演奏した。オバマ大統領は「米国は伝説を失った」と声明を出した。残された音源や映像で伝説に浸りながら、冥福を祈っている。(I)


5月19日(火)

大阪市を廃止して5つの特別区に分割する「大阪都構想」の是非を問う住民投票は反対派の勝利に終わった。都構想が実現できなければ政界を引退すると表明していた橋下徹大阪市長は改めて引退の意向を明言。7年間の「橋下劇場」に幕を下ろす▼それにしても僅差だった。合計約140万票のうち、票差はわずか1万741票。市民が賛否に頭を悩ませたことがうかがえるが、市を解体する必要性を感じられなかった点が敗因になるのだろう▼函館で実感する機会は少ないが、政令指定都市は広域行政を担う府県と、地方行政の主体となる市が同種の大規模事業を手掛けることが少なくない。橋下氏らは「二重行政」と指摘し都構想での解消を狙った▼しかし、これによって住民サービスの切り捨てにつながりかねないという不安意識が働いたと言えよう。大阪市中心部で賛成が多く、住宅地の性格が強い南部で反対が上回った結果からもうかがえる▼ただ、橋下氏が7年越しで仕掛けたけんかは、地方自治の在り方に間違いなく一石を投じた。住民投票はこれまでの税金の無駄遣いに業を煮やしてのもの。函館はじめ道南自治体の住民も、改めてまちの財政を考える契機になれば。(C)


5月18日(月)

先日、函館市内のスーパーで、乗用車が出入り口に突っ込み、買い物中の女性が死亡する悲惨な事故が起きた。運転していた女性がアクセルとブレーキを踏み間違えたことが原因と見られる▼このように初歩的な運転操作を誤って引き起こされた事故は少なくない。特にアクセルとブレーキの踏み間違い事故は、オートマチック車の普及率に合わせて急増。2013年には全国で6448件発生し、54人が亡くなっている▼踏み間違い事故について興味深いデータがある。2013年に事故を起こした運転手を年代別に見ると、20代が22%と最も多く、70代が17%、60代が15%と続く。高齢者に多いと思われがちだが、実は年代に関係なく誰でも起こす危険性があるのだ▼有効な防止対策として実用化されたのが、センサーによる衝突防止システム。障害物を検知している状態で必要以上にアクセルを踏んだ場合、自動的にブレーキが掛かるという▼しかし、このシステムもまだ発展途上。通常の走行中にセンサーが反応し、急停止するトラブルも。くれぐれも自分の運転技術を過信せず、一歩間違えれば他人を傷つける凶器にもなる「車」を、細心の注意を払って操作していきたい(U)


5月17日(日)

我が国が長寿国の仲間入りをして久しい。かつて人生60年などと語られたのが、今や80年どころか90年の時代といっても違和感がない。実際、平均寿命は80歳を超えている▼世界保健機構(WHO)が13日に発表した世界保健統計(2013年)の中でも、我が国は長寿世界一。男女合わせて84歳は、前年に続きオーストラリアやイタリア、スイスなどの83歳を上回っている▼ちなみに厚労省の同年統計によると、女性の86・6歳(世界1位)、男性の80・21歳(同4位)は、世界に誇れる一つの姿にほかならない。というのも、食料や医療福祉などの生活環境が充実している国の証だから▼そうはいえ、単純に喜んでばかりいられない。次なる課題があるからで、それは健康寿命を伸ばすこと。理想は生きている限り支障なく日常生活を送れることだが、それは無理としても、できるだけ長く▼同省の統計によると、健康寿命は女性が74・21歳、男性が71・19歳。平均寿命との差が女性で12年、男性で9年は長過ぎであり、せめて5年ぐらいまでに。そこに求められるのは個々人の健康意識。誰のためでもない自分のため…その広がりがおのずと答えを出してくれる。(A)


5月16日(土)

呼び方一つで受ける印象が変わることがある。「チョッキ」というより「ベスト」、「ジーパン」というより「デニム」といった方がおしゃれな感じがする。「戦争法案」というより「平安法」という方が、危険な印象は受けないだろう▼政府は安全保障関連法案を閣議決定し、国会に提出した。政府・与党は関連法案について「平和安全法制」略して「平安法」という呼称を普及させようとしているという▼法案は集団的自衛権の行使を可能にし、自衛隊による米軍支援を大幅に拡充する法的な裏付けとなる。「抑止力が高まる」との評価の一方、「立憲主義にも平和主義にも反する」との批判も▼新たな「国際平和支援法案」と、自衛隊法など10の現行法改正案をまとめた「平和安全法制整備法案」の2本立てとなる関連法案は難解だ。中国の軍拡や北朝鮮の動向など日本を取り巻く環境が厳しくなっているとはいえ、安全保障に対する国民の理解が進んでいるとは言い難い▼「平安法」については与党内からも「呼び名に頼るのは姑息(こそく)」という声があるようだ。呼び名はどうあれ、専守防衛を柱としてきた日本の安保法制の大転換となる内容なのは間違いない。国会で審議を尽くすことが与野党双方に強く求められる。(I)


5月15日(金)

愛鳥週間に野鳥の話をもう一つ。先輩と居酒屋で一杯やっていると、いまだにかすみ網で野鳥を捕って、焼き鳥にして食べている不心得者がいると聞いた。かすみ網は禁止されているのに▼戦後の食料難の時代、かすみ網やトリ餅で野鳥を捕って腹を満たした。40年ほど前、ある寺の住職が境内にかすみ網2張を仕掛け、スズメやカケス、ツグミなどを捕獲。「坊さんが一網打尽の殺生」と新聞に書きたてられた▼かすみ網は長さ約12㍍、幅約2㍍、長さ100㍍の大規模な仕掛けも。網にかかった野鳥はショックで死んだり、ストレスになったり、もがいて大けがをすることも。67年前に狩猟法で渡り鳥調査以外の使用は禁止に▼野鳥を守っているのはバンダー(鳥類標識調査員)で、捕獲した鳥には足環を付けて放鳥。しかし、悪質なバンダーも横行しているという。「環境教育」と称して学校を訪れ、捕まえた野鳥を子どもたちに触らせたり、記念写真を撮ったり…▼野鳥に触れるのはバンダーだけ。子どもに触らせたら鳥インフルエンザに感染する危険性も。野鳥への虐待行為で「命の教育」とはかけ離れている。焼き鳥もおつだけど「戒律の殺生を破る坊主」と非難されると、野鳥は浮かばれない。(M)


5月14日(木)

研究が進むと、かつて良くないのでは、と言われたことが、実はそうでない、ということが多々ある。食生活関連は分かりいい。健康に良いと言われたものが、いつの間にか説が変わっていたり▼「コーヒー好きで一日4、5杯は飲むよ」と話したら「それは体に悪い」などと案じられていたのはその一例。ところが、先日、報道された国立がん研究センターの報告には驚かされた。逆に「効用あり」というのだから▼関心を持って記事を読んだ人も多かろうが、まさに衝撃的。コーヒーや緑茶を毎日多く飲むことは、心臓病や脳卒中などで死亡するリスクが低くなるという。例えば、コーヒーの場合だと…▼一日に3、4杯飲む人はほとんど飲まない人より、脳卒中においては死亡リスクが43%も低下していたそう。40歳から69歳までの全国9万人を平均19年間も追跡調査をした結果とあれば、信じるに値する▼含まれるポノフェノールやカテキンの効用と推測されているが、飲み過ぎを気にしていた人にとっては朗報。中高年の健康管理は多岐に指摘されるが、それとコーヒーや緑茶を毎日多く飲むことは別次元の話。改めてこだわるほどのことではないが、老婆心ながら。(A)


5月13日(水)

徳川家康が天下統一を図るため、秀吉亡き後の豊臣家に戦を仕掛け、息子・秀頼と妻・淀君を自害に追い込んだ大坂夏の陣(1615年)から今年でちょうど400年。〝マチの在り方〟をめぐって、天下分け目の決戦が繰り広げられている▼橋下徹市長ら大阪維新の会が掲げる「大阪都構想」の是非を問う住民投票が17日に行われる。投票まで残すところ4日となり、賛成派と反対派の争いが日に日に激しさを増している▼平たく言うと、都構想は現在の東京23区のように、大阪市を廃止して5つの特別区に分割するもの。政令指定都市の大阪市は大阪府と同格の権限を持つため、橋下氏の主張は府と市の二重行政を解消し、税金のムダ遣いをなくすのが狙いだ▼反対派は特別区設置に伴う再編コストの増大や、現在の枠組みでも府市の連携を強めれば二重行政を防げると訴える。反対派は自民、民主に加えて共産も相乗り。都構想が実現すれば議員の職を奪われかねないとの危機感も透けて見えるが…▼東京に比べ経済の地盤沈下が進む大阪。不満はあれど現状維持を選ぶか、思い切って改革を求めるかが市民に問われている。地方自治はどうあるべきか、投票の成り行きを見守りたい。(C)


5月12日(火)

カッコウはなぜカッコウと鳴くのか。昔話によると、背中をかいてと頼まれた子どもが遊びに夢中になっているうち、母親は川に落ちて死んだ。子どもは悲しみ、鳥になって、背中をかこう、カッコウと鳴くのだ▼シジュウカラは天敵からヒナを守るため、鳴き声を使い分けているという。カラスの模型を巣箱に近づけると、親はチカチカと外から鳴いて知らせ、ヒナはカラスのくちばしの届かない底部に身を潜める。ヘビにはジャジャと鳴き、ヒナを守った▼「スズメの学校」も少子化で、一人っ子が増えたといわれて久しい。瓦ぶきの家屋が減り、巣をつくる場所が20年間で半減。親なし子も増えており、キジバトのように「父恋し、母恋し」と鳴いている▼チェルノブイリ原発事故で放射能が野鳥に与える影響が報告されている。特にツバメは放射性物質が集まりやすい水溜りの泥に巣を作るため深刻。白血球の減少や脳の容積の縮小報告も▼福島原発事故でも放射性セシウムが確認されており、卵やヒナが高い線量にさらされる恐れも。ツバメに部分白化や尾羽の異常が見られる。函館山の150種の野鳥は海峡に向い「大間原発ハンターイ」と大合唱。16日まで「愛鳥週間」。(M)


5月11日(月)

鳥取県に「スターバックスコーヒー」がオープンすることが大きなニュースになっている。47都道府県中で唯一同チェーンが出店していなかった空白地だったこともあり、9日のプレイベントには正午から午後4時までの間に、2000人が詰めかけたという▼すでに市内に2店舗が営業している函館市民は「たかがスタバで何を大騒ぎしているんだ」と冷静に受け流したいところ。しかし2010年のベイサイド店オープンの際は、同様のお祭り騒ぎが起きている▼誰でも名前を知っている大手のチェーン店が地元にやってくることは、確かにうれしい話ではあるが、地域で昔から営業してきた店にとって、強力なライバル店の登場は脅威だ▼函館の場合、ご当地の飲食店や販売店の中には、観光名所になるほどよく知られているところも少なくない。それでも全国規模展開による出店攻勢は勢いを増していて、なじみの店舗がいつの間にか閉店していることも珍しくない▼おしゃれで人気のある有名店の進出が、地域活性化に一役買うことは間違いない。それを刺激として、ローカルな店が頑張ることにより相乗効果が生み出されれば、本当の意味での地域振興と言えるだろう(U)


5月10日(日)

何となく学校に、職場に行きたくない…通学、通勤時に気が重い。大型連休後に感じる思いだが、その程度は人さまざま。数日で元のリズムに戻る人もいれば、心配な状態になる人も▼その社会的な現象を「五月病」と称している。主に入学したばかりの大学生に多い。新しい、慣れない環境に順応し切れない、人間関係も築けていない、講義もまだ入口段階。張り切った分、気持ちの反動もある▼それは新社会人も一緒。ただ、4月は研修で費やされ、5月に配属されて6月に。仕事、職場環境が希望通りでなかった、自分に合わない仕事だったかもしれない、辞めたくなった…「六月病」というのだそう▼さらに最近は「新五月病」という現象もあるという。20歳代以上の社会人だが、4月人事による転勤先や異動先の仕事、人間関係になじめず…6月に休職などが増える傾向から言われるように。どうしたらいいのだろうか▼運動や読書で気分転換を等々、対処法は言われるが、頭で分かっていても、できないから悩むわけで、むしろ説得力があるのは「家族や友人などとの交わり」という説。一人で籠(こも)らない…五月病、六月病を克服する道がそこに集約されていると考えた方が分かりいい。(A)


5月9日(土)

♪酒は涙か溜息か こころの憂さの〜 高橋掬太郎が函館で新聞記者をしていた頃の酒は上等酒が1升1円89銭、ビール大瓶が33銭だった。十字街のバーや居酒屋、屋台でコップ酒を飲み明かしたという▼量販店などとの価格競争で減る一方の「町の酒屋さん」を救おうと、自民党は今国会に酒の安売りを規制する法案を提出する。規制緩和で量販店やスーパー、コンビニが参入し、中小酒屋が大打撃を受けて廃業続出▼案によると、酒税法など改定して酒の「公正な取引基準」を定めて、守らない業者を公表したり、罰金を科したり、最終的には免許取り消しにするというもの。なんとなく、統制経済という言葉が頭をよぎる▼過度な安売りを防ぐことは分かるが、量販店などの安売り攻勢で四苦八苦しているのは町の電気屋や八百屋なども同じ。「酒税の円滑な徴収」が狙いという声もあるが、「町の酒屋さん」だけを保護する必要があるのだろうか▼コップに冷酒をトクトクとついで、キューと一杯。肴はあぶったイカでいい…。函館の飲んべの原風景。酒の規制緩和は業界の競争を活発にして、消費者が低価格で酔うことができる。安くておいしい酒を買って、最後のお花見といこう。(M)


5月8日(金)

一歩足を踏み入れると、さながら「新築の家」のような香りを漂わせていた。真新しいホームと広々とした空間に思わず胸が躍る。1年もしないうちに本格稼働を迎えるかと思うと待ち遠しくなる▼建設工事が大詰めを迎えている北斗市の北海道新幹線新函館北斗駅を見物しようと、大型連休を利用して観光客や家族連れが大勢訪れているとの5日付本紙記事につられ、コラム子も休日を利用して足を運んでみた▼記事の通り、車で来た親子やカメラを手にした鉄道ファン、ツーリング中のライダーたちが駅舎を背に記念撮影に興じていた。地元の人々の期待感をひしひしと感じる光景だった▼新幹線ホームにはまだ立ち入りできないが、在来線はすでに供用が開始されている。来年3月末までとなる「渡島大野」の駅名標が掲げられているが、ホームはがらんとしたまま。そこは今もって無人駅のたたずまい▼記事にもあるが、駅舎周辺に整備された広大な事業用地は手つかずのまま。「売地」の看板をみるにつけ寂しさを感じずにいられないが、ホーム裏手では数頭の馬がのんびりとたたずんでいた。北海道らしい「田園風景の中の駅」を売りにした方が、むしろいいのかもしれない。(C)


5月6日(水)

ユネスコ世界遺産委員会の諮問機関「イコモス」が、福岡県の八幡製鉄所などを含む「明治日本の産業革命遺産」を世界遺産に登録するよう勧告した。長崎県の軍艦島も含まれる▼九州や山口を中心とした23の資産は製鉄や、今も稼働する「三菱長崎造船所の電動クレーン」といった造船、「三池炭」など鉱石産業で起きた産業革命の歴史を語り継ぐ。イコモスは名称を「明治日本の産業革命遺産 製鉄・鉄鋼、造船、石炭産業」と変更するように勧告した▼世界遺産とは、地球の生成と人類の歴史で生み出されて今に引き継がれ、未来に伝える宝物。道南や北東北では、2009年1月に「北海道・北東北を中心とした縄文遺跡群」が世界遺産暫定一覧表に記載された▼北海道、青森、岩手、秋田の4道県と関係市町ではフォーラムなどを開き、縄文遺跡群の価値と世界遺産登録の意味を考えるなどし、登録に向けた活動を展開している▼4月の道議選で、登録に向けて尽力すると訴えた候補者もいた。北海道新幹線に乗って、津軽海峡を挟んだ世界遺産を見学する人が大勢来ることを願いたい。道新幹線開業の7年後、長崎に新幹線が開業する予定。早く登録が実現してほしい。(R)


5月5日(火)

科学技術の進歩は時として人間生活を変える。近年、最も身近で、それが解りやすいのが情報通信分野ではないか。ワープロや通信だけの携帯電話の登場でさえ、画期的と迎えられた時代が懐かしい▼ワープロはあっという間に多機能のパソコンに代わり、携帯電話にはメールや写真などの機能が付加され、そして今や…。これまでの携帯電話をガラケーと呼ばせる、スマートフォン(スマホ)の時代に▼確かに便利。ただ、優れ過ぎて、手元にないと不安、触っていれば安心…特に子どもたちの間、そのスマホ依存が指摘されている。親の不安も大きく、所持する子の親の6割以上が不安を抱えている(東京都調査)▼その現実は文科省が昨年11月に行った調査結果も教えている。小学5年生から高校生まで2万3千人の回答で、一日2時間以上スマホを使う人の割合は2割強で、高校生に限っては3割という▼さらに問題視されるのが不眠や睡眠の質の低下を招くと言われる寝る前の接触。よく、時々、を合わせて7割強というのは気にかかる。パソコンやスマホなどを使う子が5割を超し、勉強にも寄与する一方で、伴う悩みも多々…この調査からは、そんな現実が透けて見えてくる。(A)


5月4日(月)

おもちゃのガス管を持ってスッと立ち上がりプールに投げ込む、ガス管をかついで歩き、長い管を構えて剣道のようにエイッ、大玉やポリタンクを持って直立不動—釧路動物園のシロクマ「ミルク姫の特技」を見てきた▼原猿類が後足立ちできるようになったのは500万年前ほど。他の生き物との違いは直立二足歩行。空いた前足で狩りなどの道具(石器)を持つことができて、火も使えるようになった▼人は脊椎骨を垂直に立てることにより直立姿勢が可能に。赤ちゃんは足腰の筋肉や骨の発達によってひとり歩きする。母親の支えなしで歩く第一歩の勢いで次の足も自然に前に出る。3歩、4歩と見事に二足歩行▼自然界のクマやミーアキャットなども二足立ちはできるが、移動するときは4本の足(手)を使う。でも、ちょっとおてんばなミルク姫は、背中にチャックがあり中に人が入っているように直立し、自慢げに二足歩行▼ミルクが小さいころ、母親のクルミもボールを持って直立しており、子は母親の真似をするというからミルクの特技は母親譲りか。それにしても、ウサギ用のかごに幼児を閉じ込めて餓死させた母親の二足歩行は、あまりにも残忍で悲しい行動だ。(M)


5月3日(日)

最近は若い女性や子どもの間でプロレス人気が高まっているという。一時期はK—1やPRIDEといった総合格闘技に押されていたが、以前からはイメージが一変し、「イケメンレスラー」が華麗なコスチュームと技で黄色い声援を集めている▼プロレス復活の兆しが高まる中、一人の武骨なレスラーがこの世を去った。阿修羅・原。作家の野坂昭如さんがリングネームの名付け親。現役時代は相手の首めがけ、丸太のような腕を叩きこむ「ラリアット」が得意技の名脇役であった▼1970年代に日本を代表するラガーマンとして活躍。世界選抜にも選ばれるほどの屈強な体を活かして、リング上でも光を放った。天龍源一郎とのタッグ「龍原砲」で地方の小さな会場でも熱の込もった闘いを繰り広げた▼天龍とのダブル攻撃で〝不沈艦〟スタン・ハンセンを失神に追い込んだこともある。晩年に所属していた団体を解雇されるなど苦労の絶えない現役生活だったが、傷だらけの体にむち打って、野性味あふれるファイトを見せていたのが思い出深い▼華やかさを売りにした今のレスラーは、その分軽さが目につく。「生き様」を感じさせるレスラーの登場を待ちたい。(C)


5月2日(土)

一年で一番苦手な時期を迎えた。暖かいと思ったら突然気温が下がることと、寒いわりには湿度が高いことだ。高温多湿の富山出身だが、低温多湿は体調管理がうまくいかない。この春に函館に来た人も、最近の天気に驚いているのではなかろうか▼函館の最高気温は4月24〜27日に、17度前後から20度まで徐々に上がり、28日には23・0度となった。ところが29日は14・4度まで下がった。待ちかねたお花見で「こんなはずでは…」と上着を着込んだ人も多かっただろう▼この夜、市内は冷たい霧に覆われていた。29日夜から30日朝にかけて、函館の湿度は100%が続いていた。気温は7度前後。寝室は前日まで加湿器を使用していたが、就寝前まで除湿機、起床後はふとん乾燥機の出番となった▼夜霧も例年より1カ月ほど早いという。函館は道内で釧路と並び夜霧の美しいまちとされるが、大型連休で函館山からの夜景を楽しみに訪れる観光客が多いだけに、この時期は避けてほしい▼何度か本欄で書いているが、実は函館の湿度は高い。雨は多くないためムシムシさは感じないが、食品は防カビなどの衛生管理、カメラの防湿にも気を配らなければならない。それにしても今年は早いな。(R)


5月1日(金)

作家の村上春樹さんが期間限定で読者と交流するサイト「村上さんのところ」で、原子力発電所について「これから『核発電所』と呼びませんか」と提案している▼経済産業省が先日示した2030年の総発電量に占める電源ごとの割合(電源構成)は、原発を22〜24%程度とした。原発を新増設するか、原則40年の運転期間を延長しなければ実現しない水準になっている▼政府が「原発依存度を可能な限り引き下げる」としたエネルギー基本計画に矛盾するとして批判の声も上がる。同計画で「導入を最大限に加速する」とした再生可能エネルギーの比率は22〜24%とした▼電力コストの抑制や「ベースロード電源」が重視されたようだ。電気料金が高止まりしたままでは、生活はもちろん企業の負担も重くなる。だからといって、原発の再稼働や長寿命化、新増設などを急いでは、福島第一原発の事故は置き去りになる▼村上さんは核(ニュークリア)を原子力(アトミックパワー)を言い換えているとして「危険性を国民の目からなんとかそらせようという国の意図が、最初から見えているようです」と指摘。言葉も含め「核発電所」に関しては情報公開と論議がまだまだ必要だ。(I)