平成27年6月


6月30日(火)

就活、朝活、涙活、婚活、終活に続き、妊娠を目標とする「妊活」、発酵や乳製品を食べる「菌活」と「活」の熟語が相次ぐ。今度は夏の生活スタイルを変革しようという「ゆう活」が7月から導入される▼安倍首相が旗振り役を務める「ゆうやけ時間活用推進」だ。昼が長い夏場は朝早くから働き、夕方からは家族や友人、地域住民と接する時間に当てる。始業を1〜2時間繰り上げ午後4時過ぎに終業できるようにする▼「ゆうやけ時には悠々とした時間が生まれ、家族と過ごし、新しい絆が生まれる」と銘打ち、来月から2カ月間、全ての中央官庁から始める。全国の自治体や民間企業にも同様の取り組みを促す▼でも、公務員はいいが、夏場は日の高いうちに家路につく気になれず、さりとて一杯には早すぎるという一般サラリーマンや派遣労働者は少なくない。残業は減らず、長時間労働で心身とも疲労がたまるばかり▼働き過ぎを防ぎ、仕事と生活の調和を図る「ゆう活」「アフター4」に異論はないが、仕事と仕事以外の両立ができるか心配。戦後、夏の時間を繰り下げた「サマータイム」は睡眠不足や残業増で評判はよくなかった。まず、中央官庁が「早起きは三文の徳」を実証してほしい。(M)


6月29日(月)

以前、世界最高峰のオーケストラである、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(ベルリンPO)の次期首席指揮者の選考が難航している状況を紹介したが、このほど、ロシア出身のキリル・ペトレンコ氏(43)に決定したことが発表された。2018年から新体制がスタートする▼ペトレンコ氏はベルリン・コーミッシェ・オーパーやバイエルン州立歌劇場などの音楽監督を歴任。2013年からはバイロイト音楽祭に登場するなど、オペラのスペシャリストとして欧州では高い評価を得ている実力派だ▼一方、日本国内では「キリル・ペトレンコって誰?」という困惑の声が。メジャーレーベルでの録音がほとんどないため、一部の音楽ファン以外にはほとんど未知の存在に近かった。それがいきなり音楽界の頂点の地位に立ち、世界に名を轟かせたのだ▼今後ペトレンコ氏が活躍の場を大きく広げるのは間違いない。録音の機会も増えるだろうし、彼の生み出す音楽が世界中で親しまれることになる日も近い▼一方で厳しい批判にさらされる可能性も少なくない。それでも信念を貫き素晴らしい音楽を生み出してほしい。いずれ実現するであろう来日公演が今から楽しみでならない(U)


6月28日(日)

「懲らしめる」という言葉を辞書で引けば「制裁を加えて悪いことは二度としないようにさせる」とある。大人が子どもを叱ったり、おとぎ話で主人公が悪者を退治したりするときに使われるが、政権与党がマスコミ相手に使うものではないだろう▼安倍晋三首相に近い自民党若手議員の勉強会「文化芸術懇話会」で、出席議員が「マスコミを懲らしめるには広告収入がなくなるのが一番」と発言。講師で作家の百田尚樹氏は、基地問題など政権に批判的な沖縄2紙について「つぶさなあかん」とした▼安全保障法制の国民理解が広がらないことへのいら立ちなのだろうか。こうした発言には、真摯に説明して理解を得ようという姿勢はうかがえず、自らの主張だけを通し、異論を排除するという傲慢さがにじむ▼衆院選でテレビ各局に「公平中立」を求める文書を出したり、番組内容をめぐって放送局幹部を党本部で事情聴取したりするなど、政権のマスコミ介入も目立つ▼党内外からの批判を受け、自民党は懇話会代表の党青年局長を更迭。ただ、勉強会での発言は党内のムードを反映しているようにも感じられる。正義を叫び「懲らしめる」という態度では国民理解は得られない。(I)プへのアクセスをお勧めしたい。自分の経験や体力で大丈夫か否かを認識すること、それが数多くある事前準備の大前提だから。(A)


6月27日(土)

夏山登山のシーズンがやってきた。すでに山野草が咲き乱れる山もあれば、雪が深く残る山も。夏でも山は気温が低く、天気も変わりやすい…だから夏山とて気を緩められない▼道内でとりわけ要注意なのが大雪山系と日高山系。7年前の7月、トムラウシ山で起きたツアー登山者8人死亡の遭難事故は記憶に新しいが、そればかりでない。過去5年間だけでも12人が遭難している▼大雪山系の登山道総延長は約300㌔。整備され、迷うことのない道もあれば、細心の注意を必要とする危険な道もある。自分の力量を超える登山は禁物と言われる理由もそこにあるが、判断に必要な新たな参考情報が新たに▼大雪山国立公園連絡協議会が全ルートを難易度で分類したグレードマップである。表記は自然とふれあう探勝ルート(1)、自然を体感する登山ルート(3)から、極めて厳しい自然に挑むルート(5)まで5段階▼今夏、大雪山系への登山を考えている人もいよう…計画を詰める際には同協議会のホームページに掲載のグレードマップへのアクセスをお勧めしたい。自分の経験や体力で大丈夫か否かを認識すること、それが数多くある事前準備の大前提だから。(A)


6月26日(金)

サケ・マスはお中元、お歳暮の贈答品に欠かせない北海道を代表する魚。その流し網漁を来年から禁止する漁業・水産資源保全法案がロシア上院で可決され、日本漁船に赤信号がともった▼ロシアの排他的経済水域(EEZ)におけるサケ・マス漁は日ソ漁業協力協定に基づき、毎年ロシア側と漁獲量を決め、日本側が協力金を払って操業している。今漁期の漁獲割当量は7割も削減された▼改正案は流し網漁から水産資源の枯渇や海鳥などの生態系を守る内容。ロシアの漁船も対象としているが、日本がウクライナ危機に米欧と歩調を合わせた経済制裁への対抗措置の意味も否めない▼ロシアのEEZ内における日本漁船の昨年のサケ・マスの水揚げ量は約6400㌧、金額にして約33億円。禁漁となれば加工、流通など関連産業にも影響、道東だけで250億円の損失という。漁業者の不安は増すばかり▼今漁期は交渉が難航し、ロシアから許可証が届かずに足止めされていた漁船19隻は先日、根室港をようやく出港。プーチン大統領は北方領土問題で首脳会談に意欲をみせる一方、サケ・マス禁漁という新しい外交カードを切って揺さぶりを掛けてきた。今年を「最後の漁」にするな。(M)


6月25日(木)

「ひめゆりの塔」は、沖縄県糸満市の沖縄陸軍病院第三外科が置かれた壕の跡に立つ。現在は観光名所の位置付けで、筆者が8年前に訪れた際もガイドの女性が丁寧に説明してくれたが、話の内容はあまりにむごく、平和の大切さを改めて思うに至った▼23日に太平洋戦争末期の沖縄戦犠牲者を悼む「慰霊の日」を迎えた沖縄。翁長知事は安倍首相やケネディ駐日大使らを前に、平和宣言の中で米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設に強く反対した。極めて異例のメッセージ▼平和宣言に政治的な文言を盛り込んだことに多少の違和感を覚えながらも、「言わざるを得ない」という知事の心境が分からないではない。対する首相は沖縄の負担軽減に全力を尽くすとしながらも辺野古移設には触れず、県と国の思いはすれ違ったまま▼集団的自衛権の行使を認める安全保障関連法案への反対の声は沖縄のみならず全国に広がっている。時の為政者が憲法解釈を変え、政治の場だけで解決を図る方策は危険と言うべき▼確かに憲法公布時とは日本を取り巻く情勢が違うことは論をまたないが、果たして安保関連法案が国民の意見を本当に尊重しているのか。戦争だけは何としても避けなくては。(C)


6月24日(水)

母親は息子が兵隊にとられるたびに桐の苗を1本ずつ植えた。一郎、二郎と名前をつけ、戦火がひどくなると本数は増えた。戦死の報に「痛かったろう」と泣いた。児童文学「おかあさんの木」の映画を観た▼安保関連法案の国会審議を報ずる記事に「兵站(へいたん)」という言葉が目に留まった。辞典では「作戦軍の後方にあって車輌、軍事品の前送、補給、修理などを確保する」とある。政府・与党は、あくまでも後方支援活動として議論している▼兵站は米国のいう「ロジスティクス」で、前戦への効果的な補給活動と位置付けている。前線で活動する兵士の交代要員も加味し、後方隊には本隊の2、3倍の要員が必要といわれる▼ロジスティクスとして自衛隊が派遣されたら、前線の交代要員としても活動させられる可能性は避けられず、リスクが高まるばかり。憲法を勝手に簡単に解釈してまで「戦争ができる準備」をする必要はない▼70年たって映画化された「おかあさんの木」は親子の日常を奪った戦争の惨事を描く。舞い落ちた桐の葉に「お前たちのせいではない。父さんや母さんが弱かった。戦争は嫌いだ」と嘆く。国会は3カ月延期された。平和憲法を骨抜きにしないような審議を期待したい。(M)


6月23日(火)

ヨーロッパへ出張する知人が「何とか手に入れた」と、チョコレート菓子が1ダース入った箱を手にしていた。「土産で頼まれた。人気が高いらしく、商品名まで指定された」という▼函館市内でも菓子を大量に求める「箱買い」をして、箱を抱えながら歩く台湾や中国からの観光客を見掛ける。マレーシア人に話を聞くと〝北海道ブランド〟の菓子は高い人気のようだ▼先月末にアメリカへ行った時、成田空港の売店でも日本の菓子が人気で、しかも北海道の菓子がずらりと並び「ここは函館空港か」と思ったほどだ。ほとんどの人の買い物かごに北海道の菓子が入っていた▼そんな中、函館山からの夜景や赤レンガ倉庫群の写真が包装紙に使われている菓子箱を発見。「成田空港限定商品 北海道デリシャスアソート」、1箱千円の洋菓子詰め合わせだ。北海道人気の高さを狙った商品だろう▼しかし中は、バターパイ、チョコレートがかかったシュークリームなどで、こちらの勉強不足で道内のどこの菓子なのか分からなかったが、函館の写真が使われているので良しとしよう。空港や駅ならではの限定商品は観光客にウケる。函館でも菓子に限らず、大いに可能性はあるはずだ。(R)


6月22日(月)

少子化に加え、人口の都市部集中が地方に強いているのが過疎化現象。遅ればせながら政府は地方創生なる政策看板を掲げたが、人口減が続く地方が抱える悩みは少しも尽きない▼学校の存続危機もその一つ。2013年度を例にとると、全国の廃校数は482校。小・中学校ばかりか高校も少なくなく、函館でも07年に函館東と函館北が統合し、その2年後には恵山、そして今春は戸井が歴史を閉じた▼高校があるかないか、その存廃が地元に与える影響は大きい。町の将来にかかわるという言い方も、あながち大げさでない。子どもが少なくなっている上に、都市部の高校へ進む生徒もいる▼生徒をどう確保していくか。それは町村の高校、行政に共通した課題。独自の支援策が多々みられるが、十勝の足寄町が打ち出した策が注目を集めている。民間の塾の協力を得て、無料で受けられる学習塾を開設するという▼学力を底上げし、進学実績を高めよう…その後押しが趣旨。町村には高校生のための塾は少ない。ならば行政が、ということだが、施設は町が確保し、指導に当たる学習塾も内定しているそう。ついにここまできたかの感もするが、深刻な現実は十分伝わってくる。(A)


6月21日(日)

来年夏、家庭でイカを存分に食べることはできるか? と考えさせられたことがあった。価格が高騰したり、観光客に多く食べていただくことで、スーパーに並ぶ数が減るのではないかという心配だ▼発端は、夏に金沢へ行く知人が馴染みの料理屋に、「ノドグロを用意しておいて」と頼んだら「今年は値段が高いし、なかなか回ってないので、本当に来てみないと分からない」と返事が来たということだ▼ノドグロの正式名は赤むつ。身は柔らかく脂がのっていて、まぐろのトロにも引けを取らない美味。全国的にも水揚げ量が少なく、幻の最高級魚と呼ばれている。石川県内の水揚量は多い方で、県を代表する海の幸▼昨年の全米オープンテニスで準優勝した錦織圭選手が帰国後の会見で、「ノドグロがあったら食べたい」とコメントしたことで注目された。さらに、北陸新幹線がノドグロを求める観光客を多く運んでくるため、料理屋店主が言う通り、市場での争奪戦がますます激しくなったようだ▼函館名物のスルメイカ漁は今月から始まったが、出だしは低調。来年も同様なままで、イカを求めて観光客が新幹線に乗ってどっとやってきたら…。漁が好転することを祈るばかりだ。(R)


6月20日(土)

広島原爆の「黒い雨」を体験した女性の肺組織にウランが残存し、現在も放射線を放出している痕跡を広島大と長崎大の研究グループが初めて撮影した。内部被爆の実態が目に見える形で明かされ、原爆の恐怖を痛感▼広島、長崎の惨状を伝える原爆展が米ワシントンのアメリカン大学で始まった。熱線で焼け焦げた衣服、変形した懐中時計、十字架など25点のほか、故丸木位里、俊夫妻が描いた絵画「原爆の図」6点など展示▼戦争には通常兵器のほか、化学兵器、核兵器も。地球上には約1万5千の核弾頭があって総数は減少傾向というが、保有国は核ミサイルの高度化を競っている。ロシアは大陸間弾道の核戦力を増強すると聞く▼米国では戦争終結に原爆が必要だったという評価がまだ根強いが、支持派は年々減り、大学生ら若者は意識が変わりつつあるという。オバマ大統領も核兵器廃絶を訴える原爆展に足を運んでほしい▼70年経っても内部被爆が続く実相を被爆地から訴えたい。安倍首相は集団的自衛権を行使しても「自衛隊は危険な戦場には派遣しない」と断言しているが、核ミサイルの脅威は避けられない。安倍首相も原爆展にでかけ「核なき世界」を叫ぶのが先決だ。(M)


6月19日(金)

ルフィは「海賊王」になるより先に世界一になった。人気漫画「ONE PIECE(ワンピース)」が「1人の作者が描いたコミック累計発行部数が世界最多」としてギネス世界記録に認定された▼「ひとつなぎの秘宝(ワンピース)」をめぐる主人公ルフィと仲間たちの冒険を描いた王道の少年漫画。1997年に「週刊少年ジャンプ」で連載スタート。単行本77巻の昨年末までの発行部数は3億2000万冊以上という▼数年前に友人から借りて読んだところ、自分もすっかりはまってしまった。壮大なスケールの世界観、特殊な能力を持ったキャラクターのバトル、散りばめられた謎や伏線、せりふのカッコ良さ…。世代を超えて愛されている▼作者の尾田栄一郎さんはギネス認定に際し「ONE PIECEの話題で友達ができた、恋人ができたという報告を受けるとうれしく思います」とコメント。50歳を過ぎた自分もワンピースの話をすれば、子どもとだってコミュニケーションが取れる▼開始から18年になるが、これまでの展開からすると、まだまだ終わる気配はない。還暦を過ぎても読み続けることになりそうだが、「海賊王」になるまで、ルフィを見届けたい。(I)


6月18日(木)

選挙で投票できる年齢を現在の20歳から18歳に引き下げる改正公職選挙法が成立した。18歳になっていれば、高校生でも投票できる。公布から1年を経て、来年夏の参院選以降、すべての選挙に適用される▼各級選挙の投票率が低迷する中で、年齢が若いほど投票率が低くなる傾向にある。これまでの政治家が医療・福祉など「シルバー民主主義」といわれるような高齢者重視の政策に偏りがちだったのは、こうした傾向を反映したためだといわれる▼財政赤字や年金負担のしわ寄せは、結果的に若者に集まることになる。若者が投票に行き、積極的に政治に対して声を上げていくようになれば、政党側にも若い世代に向けたアピールが必要になるだろう▼せっかくの一票を無駄にしないためにも、教育現場などでの「主権者教育」も重要になる。函館市選管では今後、模擬投票やグループ討論などを取り入れた「出前講座」に力を入れる方針だという▼来夏の参院選から選挙権が与えられる現在の17、18歳の人口は、函館市内で4636人(住民基本台帳4月末時点)。有権者の2%程度ではあるが、どれだけの若者が、何を基準に選択し、投票に臨むのか。新たな有権者の動向に注目したい。(I)


6月17日(水)

13日夜放送のNHK「ブラタモリ」を楽しく視聴した。タモリさんらが函館山からの夜景の美しさの謎について、火事、火山と戦争の3つがキーワードと紹介。地元にいても知らなかった事柄満載で興味深かった▼番組を見て函館に行きたいと思った観光客が多ければうれしく思うが、放送数日前に函館での接客について、ある観光客から弊社に苦情電話がかかってきた▼聞けば、東北に住むその男性は函館が大のお気に入りで、年数回フェリーを使って来ていたという。普段マイカーで各地を巡っていた中、今回公共交通機関を主に使ったところ、送迎バスの予約に不備があったりと対応の悪さが目立ち、函館愛が一気に冷めたという▼男性は言う。「函館はPRしなくてもお客さんが来る。殿様商売をしているのでは」。無論すべてが当てはまるわけではないが、そう感じる観光客も少なからずいるのでは▼北海道観光はよく「素材一流、サービス三流」とやゆされる。北海道新幹線開業はそのレッテルをはがすチャンスにしたいもの。天候に恵まれず夜景を見られなかったタモリさんは「新幹線が開通したらぜひ見に来たい」と言い残した。おもてなしを磨き、ぜひともリピーターに。(C)


6月16日(火)

平穏で安定感のある生活が送れるのは、戦争を放棄した憲法9条のお陰だと教えられてきた。ところが「自衛隊員の海外任務を広げる」という法案が飛び出し、戦前のような軍事優先への危惧(きぐ)が出てきた▼憲法を勝手に解釈した集団的自衛権の行使。わが国を防衛するためにやむを得ない自衛の措置として一部限定された場合に行使できるとしている▼海外で戦争が始まり、同盟国が攻撃された場合、それに伴って日本の平和、生命、財産が限定的に脅かされた場合、自衛隊を派遣、武器補給など後方支援に当たらせるのか。戦場だから、いつ弾が飛んでくるか分からない▼危険を感じたら指揮官が交戦地から撤退させるとしているが、コンピューター駆使の近代戦でどう判断するのだろうか。政府は「最小限にします」などと言うだけで、隊員か直面するリスクの増大を認めていない▼国民の8割が「政府の説明不足」を訴え、国会の審査会では憲法学者3人とも「憲法違反」と指摘。古代ギリシャのヘロトドスは「平和の時には息子らは父を葬り、戦いの時には父たちは息子を葬る」と戒めている。集団的自衛権の行使に伴う「安全保障関連法案」は、まずはNGだ。(M)


6月14日(日)

あれから7年余り、落ち着いたかに思えた年金事務に対する不信が再燃している。国民にとっては「…している」ではなく「…させられている」ということだが、仕方ないではすまされない▼サイバー攻撃を受けたとはいえ、個人情報を流失させてしまったのだから。その数約125万件。事情はどうあれ、大変な問題である。だが、事後の対応をみていても、情報管理に対する認識に疑問符が▼発覚後、年金機構が警視庁に捜査を依頼したのも遅いが、さらに呆れるのは機構の理事会の対応。その3日後に開かれたものの、情報の流失問題は議題に取り上げられなかったという。どう考えても理解を超える▼保険料の納付記録漏れによる「消えた年金問題」が表面化したのは2007年のこと。社会保険庁から年金機構に看板が架け替えられたが、この危機管理の欠如は、組織の体質が変わっていないことの証左か▼折しも今、国会では「マイナンバー制」の法制化が議論されている。政府がどう説明しようと、情報流失の懸念は消えず、情報管理に不安が残る。加えて国民の理解や企業の対応も十分でない。とすれば…この年金の情報流失は、実施は慎重に、という忠告にも聞こえてくる。(A)


6月13日(土)

あれから7年余り、落ち着いたかに思えた年金事務に対する不信が再燃している。国民にとっては「…している」ではなく「…させられている」ということだが、仕方ないではすまされない▼サイバー攻撃を受けたとはいえ、個人情報を流失させてしまったのだから。その数約125万件。事情はどうあれ、大変な問題である。だが、事後の対応をみていても、情報管理に対する認識に疑問符が▼発覚後、年金機構が警視庁に捜査を依頼したのも遅いが、さらに呆れるのは機構の理事会の対応。その3日後に開かれたものの、情報の流失問題は議題に取り上げられなかったという。どう考えても理解を超える▼保険料の納付記録漏れによる「消えた年金問題」が表面化したのは2007年のこと。社会保険庁から年金機構に看板が架け替えられたが、この危機管理の欠如は、組織の体質が変わっていないことの証左か▼折しも今、国会では「マイナンバー制」の法制化が議論されている。政府がどう説明しようと、情報流失の懸念は消えず、情報管理に不安が残る。加えて国民の理解や企業の対応も十分でない。とすれば…この年金の情報流失は、実施は慎重に、という忠告にも聞こえてくる。(A)


6月12日(金)

国道12号は札幌から旭川、道北に向う大動脈で、車が数珠つなぎだったが、今は高速道を利用するためか、渋滞もない。美唄ー滝川間の国道では日本一長い直線道路(29㌔)があり、慎重な運転が必要▼その直線道路の途中にある砂川市の交差点で、軽ワゴン車の親子4人が死亡し、1人が重体という悲惨な交通事故。信号無視のRV車が猛スピードでワゴン車に激突、ワゴン車は30㍍も吹っ飛ばされた▼そこにRV車に追走していたピックアップトラックが突っ込み、ワゴン車から放り出された高校生を現場から1・5㌔も離れた道路までひきずった。振り切ろうとしたのか、右へ左へ蛇行したタイヤ跡▼RV車とトラックの作業員ら5人は砂川で酒を飲み、滝川でも飲もうと、一緒に100㌔を超える猛スピードで走行。トラックの運転者は「飲酒運転がばれるのが怖くて逃げた」と供述。すぐ救命していれば助かったかも▼国道12号などの直線道路はカーチェイスの場になった。名古屋の友人は「車の多い愛知県と違った雰囲気。レンタカーで札幌へ向ったが、中山峠の登坂車線は猛スピードで追い越しバトル。急カーブもあり、怖かった。北海道の人はスピードを出しすぎる」と驚いている。(M)


6月11日(木)

将棋のプロ棋士とコンピューターソフトが団体戦形式で対決し、今年4月まで行われた「電王戦」。3月に函館でも対局が行われ、将棋を知らない筆者も予測不可能な戦いに引きつけられるものがあった▼最後の対戦は棋士がソフトの穴を突く作戦に出たことで、わずか21手、49分で決着が付き、大きな波紋を呼んだ。衝撃冷めやらぬ中、今度は20日からプロ棋士がトーナメント戦を行い、優勝者が同じくトーナメントを勝ち上がったソフトと対決する新たな電王戦が組まれた▼将棋界にとってソフトとの対局はまさに〝もろ刃の剣〟だ。敗れた場合、将棋指しを生業とする棋士の存在価値は大きく失われる。その点、新棋戦はエントリー制で出る出ないは自由。初っ端から戦いに挑む勇気が試される▼すでに日本将棋連盟の谷川浩司会長をはじめ、タイトルホルダーの参戦が決まっている。18日に参加全棋士が発表されるが、将棋ファンの目下の関心は四冠王・羽生善治さんが参戦するか否かのようだ▼人工知能の開発者は紛れもなく人間であり、つまりはコンピューターに形を変えた人間対人間の戦いだ。ソフトと対峙(たいじ)する羽生さんを見たくもあるし、リスクを想像すると見たくない気もする。(C)


6月10日(水)

 「たばこ、酒、砂糖などは課税強化すべき」。厚労省の有識者懇談会がこんな提言案をまとめたという。健康寿命を延ばすという大義名分のもとの健康対策…裏を返すと、増え続ける医療費の抑制対策とも言える▼酒の飲み過ぎや塩分、糖分の摂り過ぎが体に与える影響については改めて説明するまでもない。その飲み、摂り過ぎを防止する対策が大事であることも。鍵を握るのは、言うまでもなく個々人の日常における健康管理▼検診体制は充実してきたが、それ以前に求められるのが個々人の認識だが、それが十分でないとすれば国の政策で。効果的な方策は懸念される食品に課税し、購入を抑えてもらうということなのだろう▼こうした個々の食品に対する課税はここ数年、他国でも設けられてきている。よく知られるのは肥満防止を目的にしたハンガリーの通称ポテトチップス課税、砂糖が転嫁された炭酸飲料水に対するフランスの通称ソーダ課税など▼これも国民の健康対策、さらには医療対策が大きな社会的課題になっている表れ。確かに健康対策は重要。医療費も抑制しなければならない。ただ、その方策に課税というのはどうなのか。消費税の行方とも絡んで、この議論からも目を離せない。(A)


6月9日(火)

「楢山節考(ならやまぶしこう)」は、年老いた母親を息子が山に捨てる「姥(うば)捨て伝説」をテーマにした深沢七郎の小説。今村昌平監督の1983年の映画が有名で、カンヌ国際映画祭でグランプリを獲得した▼先日、函館市の工藤寿樹市長の会見の記事で、久しぶりにこの題名を目にした。有識者らによる「日本創生会議」が東京圏の高齢化対策として、函館を含む全国41地域への高齢者の移住を提言したことに、「現代版『楢山節考』だ」と反発した▼同会議は、移住先として2次医療圏域ごとに、「急性期医療レベル」と「介護ベッド準備レベル」を独自に数値化。函館は医療で最高評価の「7」、介護で「5」のランクだった▼提言が公表されてから、道内自治体の受け止めはさまざまだ。人口減少対策として評価する声の一方、医療費や介護保険の負担増に懸念がある。ただでさえ不足している介護人材の確保も課題になる▼83年のカンヌでグランプリの最有力候補だったのは大島渚監督の「戦場のメリークリスマス」で、「楢山節考」は本命視されていなかった。映画の評価はさておき、すでに65歳以上の人口が3割を超える函館で、高齢者の移住が人口減少対策の本命とするのは難しい。(I)


6月8日(月)

函館市内のデパート内に居を構える、全国チェーンのCD・楽器販売店が来月閉店するニュースが入ってきた。市内では数少なくなってしまった専門店だけに、残念である▼とは言いながら、筆者自身もここ数年、店舗でCDを購入した記憶はほとんどない。ネットを経由した通信販売の利用が、ごくごく当たり前のことになっている▼ディスプレイ上掲げられた膨大なリストから、好きな作品を気軽に選択。さらに自宅まで届けてくれるシステムが当たり前の今、一般の販売店が衰退するのはやむを得ないだろう▼それでも大都市に遊びにいった際に、大型ショップの棚にずらりと並ぶCDの山から自分の好みの作品を見つけ出す作業は楽しい。手に取った時に感じる重みから、作品に込められたミュージシャンの愛情が伝わってくるような気がするのだ▼LPレコード時代にさかのぼれば、ジャケットそのものが立派な芸術作品であった。今でも喫茶店などのディスプレイにLPジャケットが使われるのはよく分かる。しかし、ネット配信が主流になると、ジャケットさえも不要になる。わずか半世紀の間に音楽を楽しむスタイルがここまで変化するとは誰が想像できただろう(U)


6月7日(日)

一番速いランナーが勝つとは限らない—。歌手・渡辺美里の曲「シャララ」にこんな一節がある。青春のひとこまを爽やかに歌っているが、競争の難しさや弱者にもチャンスがあることをさらりと示している▼プロ野球オリックスの森脇浩司監督が成績不振を理由に休養した。昨年パ・リーグ2位となり、今シーズンは大型補強を敢行しながらぶっちぎりの最下位に沈んでいる▼オリックスは補強した戦力がことごとくけがで戦線離脱。残留したエース金子も出遅れた。巨大戦力を得ながらも、チームとして機能せず。すでに自力優勝も消え、森脇監督は「力不足で十分な成績を残せなかった」と無念さをにじませた▼メジャーから黒田が帰り話題を呼んだ広島もしかり。投打がかみ合わずにセ・リーグ最下位。シーズン前に優勝を大きく期待された2チームが、苦しみの最中にある▼一方でパ首位・北海道日本ハムの平均年齢(開幕スタメン)は25・3歳と若いチーム。主力が去り苦戦が予想された中、4番中田を中心に高卒生え抜き選手たちが躍動している。人材を丁寧に育て主力に引き上げる姿勢は、企業や組織にとっての理想形に見える。野球からマネジメントを学ぶのも面白い。(C)


6月6日(土)

「伝染るんです。」などの作品で知られる漫画家の吉田戦車さんに、自転車で近場をめぐった「吉田自転車」というエッセイ集がある。独特の作風が魅力の作者の思いに触れられて面白い▼ただ、その中にそば屋でお酒を飲んで帰るといったエピソードも収録されている。2003年が初版の本なのでもちろん適用される以前の話だが、これは自転車の「危険行為」になってしまう▼酒酔い運転、信号無視、通行区分違反、携帯電話を使用しながら事故を起こすなど、14項目の「危険行為」で3年間に2回摘発された違反者に、安全講習を義務付ける制度が今月スタートした▼対象は14歳以上で、講習の受講時間は3時間で手数料は5700円。所定の期間内に受講しないと5万円以下の罰金が科せられる。自転車と歩行者、自転車同士の事故による全国の死亡事故は、04年の51件から昨年は82件に増えている▼自分も通勤に自転車を利用している。正直、「危険行為」に該当するような走行を全くしていないかといえば、ちょっと怪しい。他人の自転車にぶつかられたこともある。この時期の函館は自転車で出かけるのにぴったりだが、ルールを守りながらハンドルを握りたい。(I)


6月5日(金)

退場すれすれのイエローカードを受けてもゲームに参加し続けようとしたが、今後の展開を考えて退場に追い込まれることを避けるため、すぐに自らピッチを後にする決断をした。サッカーの試合に例えれば、そんなところだろうか▼国際サッカー連盟(FIFA)のブラッター会長が辞意表明した。ワールドカップ(W杯)招致などをめぐる巨額汚職事件で現職の副会長らが米司法当局に起訴された中、総会で5選を果たしてからわずか4日後の決断だった▼「全世界のサッカー関係者から支持されたとは感じなかった」と理由を説明。会長周辺にも捜査が及ぶ可能性が指摘され、辞任を求める声に抗しきれなくなったようだ▼放映権料やスポンサー料、広告収入などスポーツの大きな大会にからむお金は近年膨れ上がり、W杯の経済効果は数兆円ともいわれる。ブラッター会長は17年に及ぶ在任期間中にFIFAの収入を大幅に増やした▼サッカーが大きなビジネスになっているのは、世界中に数多くのサポーターがいるからだ。FIFAのやるべきことは私腹を肥やすことではなく、世界のサッカー振興のはず。トップの交代は早くても12月だというが、組織改革はまったなしだ。(I)


6月4日(木)

自分たちのことを自分たちで決められない。いや、自分たちのことだから決められない。だったら、ほかの誰かに決めてもらえばいいのに、それもよしとしない。もっと言うなら決める気がない▼いたずらに時間だけが過ぎていく。定数削減を含む国会の選挙制度改革に関する論議は、このパターン。一票の格差が問題になって久しいが、司法の判断は総じて違憲状態か、それより厳しい違憲なのに▼本欄でも再三触れてきたが、法律を作る国会が法律を無視している状況が続いているということである。確かにかけ声だけは聞こえる。実際に論議の場を設置するなど体裁を整えるが、そこから先の域には進めない▼参院の選挙制度改革検討会も先月末、議論を放棄してしまった。最大政党の自民党が主導役を果たせなかったからだが、示したのが一票の格差が4・31倍も残る6増6減では、議論のたたき台にも値しない▼そもそも司法を巻き込まなければならない問題ではない。法の答えは出され、誰の目にもおかしいと映っているのだから。なのに、できないとしたら…残るは権威を付加した有識者会議などに委ねる道しかない。ほぼ1年後には参院の改選が控えている。(A)


6月3日(水)

「偶像を一掃」。バーミアン渓谷の大石仏がタリバンによって破壊され、「イスラム国」(IS)がメソポタミア遺跡の翼を持つ獣の浮き彫りなどを爆破。太古の遺跡を傷つけるとは情けない▼シルクロード東方の国にも、偶像崇拝を否定する不心得者が潜んでいたとは。これまでに16都府県の48寺社に油のような液体がかけられた。大仏の東大寺をはじめ、国宝、重要文化財にも無残な染み。アロマオイルのような匂いがしたという▼防犯カメラの映像から、米国在住の日本人医師でキリスト教系宗教団体を立ち上げた男性(52)が浮上。信者に「神社仏閣には悪霊がいる。油でこれを清め、日本人の心を解放する」という趣旨を話していた▼祈りの儀式では信者の額に「ヒソップの油だ」と液体を塗っていたという。ヒソップは南欧に分布、ハッカのように爽やかで甘い香りがする。男性はレンタカーで奈良や京都から千葉県などへ移動しているのが確認されている▼寺社では有機溶剤などで除去しているが、染みは消えそうにない。「宗教関係者なら宗教施設への敬意がほしかった」と嘆く。貴重な文化財を傷つける行為はもってのほか。警察は「お清め」と称して油をかけた容疑で逮捕状を取った。(M)


6月2日(火)

ドイツのベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(ベルリンPO)の次期音楽監督選出に注目が集まっている。楽団員による無記名投票で5月11日に決定するはずが意見がまとまらず、選考は無期延期になった▼ベルリンPOは世界屈指の実力派オーケストラで、特に1955年から89年まで音楽監督を務めた指揮者ヘルベルト・フォン・カラヤンとのコンビ時代に絶大な人気を誇った。カラヤンは〝帝王〟の異名を持ち、圧倒的なカリスマ性で、政治的にもオーケストラを支配していたとされる▼しかし、超一流の演奏家集団であるベルリンPOの中には、独裁的な振る舞いに反発するメンバーも少なくなく、しだいに関係が悪化。最終的にカラヤンは辞任に追い込まれる▼その後のオーケストラ運営には楽団員の意見が強く反映されるようになり、世間的に評判の高いカリスマよりも、コミュニケーションを図りやすい民主的な指揮者が選ばれる傾向が強まった▼強引にぐいぐい引っ張る豪腕タイプから、楽団員と同じ目線の同志タイプが歓迎される時代へ。日本のサラリーマンが掲げる理想の上司像の移り変わりとも重なる。どの分野でも尖った個性派は歓迎されない時代なのだろうか。(U)


6月1日(月)

作黒煙を噴き上げる口永良部島の爆発映像を見て、島の半分が吹っ飛んだかと思うほどのショックを受けた。全島民は無事避難したが、日本は北海道から九州まで火山だらけで「細長い火山島」▼常時観測対象となっている道内の火山は十勝岳、有珠山、駒ケ岳など9山。うち5山は噴火警戒レベル「1」(活火山であることに留意)で、函館の恵山など4山にレベルは導入されていない▼恵山は170年前の噴火で多数の死者が出ている。先ごろの恵山防災会議で入山規制や住民避難など噴火警戒レベルの導入を検討。大噴火で火砕流が椴法華、恵山の両地区まで到達したことを想定し避難計画を作製する▼多くの死者が出た御嶽山の大噴火、箱根の大涌谷の立ち入り規制、西之島では海底火山の噴火で陸地が出現など、列島の火山活動が活発化している。駒ケ岳、恵山もいつ噴火するか分からない▼地球は人類の存在にはお構いなく火を噴き暴れる。逃げ場のない離島の噴火に避難フェリーを待つ不安はいかばかりだったか。「平時から火山をよく知り、災害と向き合って減災につなげたい」の声に同感。駒ケ岳、恵山も避難訓練を繰り返し、非常時の心構えや準備が欠かせない。(M)