平成27年9月


9月30日(水)

言葉の乱れがいわれるようになって久しい。複合語や省略語といった若者言葉が次々と登場し、その使用頻度が高くなっている。一方で、日常的に文字を手書きする機会がない人が3割近くを数えるという現実も▼文化庁の国語世論調査から浮かび上がった姿だが、乱れを感じている人は73%。婚活やイクメン、デパ地下、クールビズなどの省略語、さらに「みたいな」「わたし的には」などのぼかし言葉の増加も理由▼「わたしは」でなく「わたし的には」という使い方は20%というから5人に1人までに。いいかどうか分からないときに逃げを打つ使い方とされる「微妙」は66%などといった具合。このほか意味が逆の意味の言葉も…▼象徴的なのが「やばい」。本来の意味は危ない、身に危険が迫るさまだが、若者の間ではいつの間にか「すごい」や「素晴らしい」というニュアンスに。27%が使っており、10年前に比べ10ポイント増えている▼新しい言葉というか言い回しが毎年、生み出される。年末に発表される新語大賞が端的だが、定着する言葉もあれば消えていく言葉もある。その良しあしはともかく「やばい」現実は重くのしかかる。せめて…手書きの習慣だけは忘れないでいたい。(A)


9月29日(火)

スコットランド民謡に日本の歌詞をつけた『蛍の光』の4番に「千島のおくも沖縄もやしまのうちの護りなり つとめよわがせ恙(つつが)なく」とある。子どもの頃、卒業式に歌った。護る千島は北方領土のこと▼北方領土が「不法占拠」されて70年。先の日露外相会談でもロシア側は「日本が第2次大戦の歴史的事実を理解しないと前進できない」と強調、大戦の結果として北方領土がロシア領となったことを前提条件とした▼「領土問題は議題ではない」と突っぱねた強硬姿勢は、3年前に安倍首相とプーチン氏が4島の帰属をめぐり「双方に受け入れ可能な解決策を急ぐ」とした合意からも後退▼北方問題がテーマの高校生弁論大会で最優秀賞に選ばれた高3女子は択捉島を訪れ「ロシア人にとっても島は大切な場所で、4島を日本人とロシア人が両方住める居住特区にすべきだ」と提言▼もちろん「4島を返してもらったうえで」。標語「北方領土は日本固有の領土です」を繰り返すだけでは進展しない。ビザなし交流でもいい、首相も閣僚も「わが国の領土」と上陸する、そんな交渉パフォーマンスがあってもいい。「恙なく千島の護り」と詠んだ先人に申し訳ない。(M)


9月28日(月)

ラグビーW杯で、日本が南アフリカを破る大金星を挙げた話題が列島を駆け巡ってから1週間。今度は函館で行われた大会での、ビッグニュースが飛び込んできた▼道高校南選手権の決勝で函館ラ・サールが、大会15連覇中の強豪・札幌山の手を22―12で下し、初の全国大会行き切符を手にしたのだ。函館勢が全国出場するのが16年ぶりの快挙とあって、地元関係者は喜びに沸いている▼かつては全国に毎年代表を送り込むラグビー王国だった函館地区。中でも函大有斗は1977年に全国初出場を果たすと、92年から99年までの8年連続を含め計13回、高校ラグビーの聖地である花園ラグビー場の地を踏んでいる▼筆者は99年の全国大会を同行取材しているが、大舞台にも臆すことなく、堂々と戦う有斗フィフティーンの雄志が脳裏に焼き付いている。しかしこれ以降、函館勢が花園のグラウンドを駆けることはなかった▼16年の時を経て、今ラ・サールが新たな函館ラグビーの歴史を刻もうとしている。この活躍が、ライバル校の闘志にも火をつけ、地域全体のレベルアップに期待したい。4年後のW杯代表に、果たして何人の函館地区出身者が名を連ねているだろう(U)


9月27日(日)

外交や党間協議など政治の世界では、玉虫色の決着がよくある。明確な表現では折り合いがつかず、それぞれ勝手に解釈できる落としどころとして。それが後々トラブルの元になることも珍しくない▼その場しのぎだからそうなるのも当然。消費税10%(再来年4月)が決定される際の軽減税率を巡る与党間合意でも露呈した。昨年11月の与党税調で「10%時に導入する」となっているが、自民党の野田税制調査会長は先日こう語ったという▼「10%引き上げと同時に導入するとは合意していない」。すかさず公明党が「10%時」は導入時を指していると反発。明確に「導入時」と表現されてはいないが、ほとんどの人が「10%になる時に」と解釈していたに違いない▼この自民説には大変な意味が隠されている。10%が続く限り「…時」であり、それが何十年も続くとしたら軽減税率の先延ばしが可能とも解釈できる。意地が悪いといわれそうだが、それも玉虫色が故▼適用品目の線引きが難しい、制度設計に時間がかかる…導入時に間に合わないとする理由も説得力に欠ける。合意から1年が経とうとし、さらに1年以上の時間が残る。政治の信頼はこうして崩れていく…残念ながら。(A)


9月26日(土)

人生の折り返し地点を過ぎた年代ともなると、ちょっとした体の不調から大病を疑う経験は誰しも持っているのではないだろうか。とりわけ「がん」は日本人にとって身近であり、怖い病気の代名詞▼女優の川島なお美さんが24日、胆管がんのため亡くなった。まだ54歳。今月にはげっそりとやせ細った姿が報道されていたが、きらびやかなドレスを着飾り、死の直前まで舞台に立ち続けて気丈に振る舞った▼「私の血はワインでできている」といった言葉は、いかにも川島さんらしかった。余命1年と宣告されながら民間療法を選び、抗がん剤の投与を拒否したという。最後まで「女優」であり続けることにこだわり抜いた心境がうかがえる▼元プロレスラーのタレント、北斗晶さんも23日に乳がんの発見を公表し、長い闘病生活を始めている。元気いっぱいな普段の「鬼嫁」キャラクターの裏に隠された苦悩は計り知れない▼川島さんは人間ドックでがんが見つかり、北斗さんも定期的にマンモグラフィーやエコー検査を受けていた。早期発見の大切さは言うに及ばず、先の仕事や生活を考えて対応を渋ることなく、すぐの治療が肝要だ。2人のがんへの向き合い方から教わることは多い。(C)


9月25日(金)

「一度は富士山に登ってみたい」。そんな思いを抱いている人は多いのではないか。我が国の景観を象徴する山であり、なんといっても世界遺産。1000円の入山料など安いもの、と受け止められていると思っていたが…▼静岡県が発表した徴収結果には耳を疑い、がっかりした。なにせ徴収率が47・3%(8月末現在)でしかなかったというのだから。目標の70%に遠く及ばない▼山の自然環境は人が入れば入るほど植生などに負担がかかり、保護対策に苦慮する山も少なくない。富士山はその代表格。登山者は静岡県側からだけでも8万人を超え、人気は今後も続くと予測される▼登山道の整備や環境トイレの増設を急がなければならない。救護所の拡充やレンジャーの増員も求められている。環境保全、安全対策を講じる費用の捻出策として、登山者の良識に訴えたのが入山料だった▼今の時代、ちょっとした施設の入園、入館料でも1000円はする。富士山は景観ばかりか、そこに身を置いた満足感も与えてくれる。だから1000円は許容範囲。関係者もそう考えたに違いないが、払おうとしない登山者が少なくないという現実は…残念というより、悲しいというほかない。(A)


9月24日(木)

「ナナカマド色変え染めし秋近し」。本紙「うたごよみ」に載った俳句に、立山室堂平で紅葉に染まった特別天然記念物のニホンライチョウを思い出した。そのライチョウが今、ニホンザルに襲われているという▼足元まで暖かそうな羽毛で覆われ、ヒナは茶色のピンポン球のように見えるライチョウは北・南アルプスなど高山の人気者。人が近づいても逃げないおおらかな鳥で、信州一帯で約2000羽が生息(立山周辺は280羽)▼絶滅の危険性があるライチョウのヒナが北アルプスでサルに襲われていることが長野県の調査で分かった。先月25日、2800メートル付近の尾根でサルがヒナにそっと近づいてつかみ、くわえた▼襲われたヒナは警戒する様子はなかったという。今回の調査ではメスの親鳥13羽のうちヒナを連れていたのは3羽だけ。ライチョウが生息する山岳でニホンザルの群れが確認された▼「サルがヒナを襲うとは。ライチョウの減少に拍車がかかる」と嘆く。ライチョウは山岳信仰を体現する文化遺産。大慈悲で衆生を救う観音菩薩の化身ともいわれる。サルは「そのヒナは美味しい」と学習したのか。長野県などは実態の把握を急ぎ、保護対策などを検討している。(M)


9月23日(水)

「想定外」。この言葉は大きな自然災害に遭遇した際に、必ずといっていいほど耳にする。科学技術の進歩に伴って、その逆の「想定内」のことが多くなってはいるが、それでもまだまだ▼東日本大震災はまさしく「想定外」。発生直後にあれほどの巨大津波が襲ってくるとは想像できなかっただろうから。そして常総市など関東・東北を直撃した台風18号による記録的豪雨災害も▼「想定外」とは事前に予想した範囲を超えることであり、備えを上回ること。「まさか」「そこまでは」と誰もが思うレベルの現象を指すが、新たな教訓を与えてくれるのも「想定外」である▼同じ「想定」の二文字を使う言葉として「想定せず」(想定していない)も聞く。安倍首相が安保関連法案審議で中東の機雷除去に関して使っていたが、これは「考える」「備える」必要がないという意味であり、災害対策にはなじまない▼首都直下型地震などいくつか将来的に警鐘が鳴らされている。ただ、それ以外に起こらないという保証はどこにもない。予期せぬ事態に対処するために求められるのは「まさか」「そこまでは」の排除。可能な限り「想定外」を無くしていく道はそこから始まるはずだから。(A)


9月22日(火)

国会中継を見ていると、野党側の質問に政府がまともに答えない場面をよく見かける。答弁はもっともらしく聞こえるが、肝心の中身には触れずじまい。ストレスが溜まる▼先日の函館市議会でこんなやりとりがあった。一般質問に立った議員が取り上げたのは花見の季節の五稜郭公園。タワーから眺めた際にピンク色のサクラに混じってブルーシートの青さが目立つとして、改善を求めた。しかし市側は「食べ物で公園を汚さない効果もある」とし、シートの使用は必要と回答した▼議員はなおも食い下がる。サクラ保全に向けてブルーシート使用を禁じている京都の公園を例に挙げて対応策を求めたが、「ブルーシートは野外活動に必要な敷物として広く一般に普及している」と答弁▼質疑を見ていた他の議員から、「質問に答えてないぞ」とヤジが飛んだのも無理はない。議員の質問は何も、敷き物の存在を全否定しているわけではない。例えばサクラに合わせてシートをピンク色に統一するとか、対応策はいくらでもあるはず▼前述の京都の公園は、ブルーシートの代わりにゴザを無償で貸し出しているという。要するに創意工夫する姿勢が必要。行政は〝しゃくし定規〟からの脱却を。(C)


9月21日(月)

北海道新幹線の開業日が公表された日、その喜びの陰で寝台特急(列車)の廃止も明らかにされた。函館を経由して札幌と上野を結ぶ「カシオペア」、なじみの深い札幌─青森の「はまなす」…▼寝台で寝て朝には目的地に到着する。宿泊施設が不十分だった時代には、寝台列車の需要は高かった。ところが近年は利用者が減少に転じ、次々と廃止の運命に▼ただ、北海道と本州間の廃止理由は、青函トンネルの新幹線優先。「トワイライトエクスプレス」や「北斗星」が惜しまれた理由もそこにある。せめて「カシオペア」「はまなす」だけでも、という思いも叶わなかった▼これにより国内で残る通常ダイヤの寝台特急は「サンライズ瀬戸・出雲」(東京─高松・出雲)ぐらいに。その一方で、違和感を覚えるのはJR九州の「ななつ星」が象徴するクルーズトレインを登場させる動き▼西日本は「瑞風」、東日本は「四季島」の再来年春の運行開始を計画している。言わずもがなだが、富裕層をターゲットにした車内仕様は豪華、料金は破格の超豪華観光周遊列車。庶民や鉄道ファンには手が出ない。「寝台列車は遠くにありて思うもの」になろうとしている。(A)


9月20日(日)

9条の平和憲法を空洞化されるような安保法制が参院で強行採決され成立した。暴行あり、セクハラあり、〝牛歩お通夜〟あり…子どもには見せられない醜態議場だった▼理事会室前から動かない野党の女性議員団を排除するため女性衛視が出動したが、野党側は「こんな時に女性を使うな」と抵抗。排除しようとした与党の男性議員に「セクハラだ」と絶叫▼委員長席の通路に立っていた自民党の女性議員が民主党の男性議員に後ろから羽交い締めにされた上、後方の椅子に引きづられ、床に投げ飛ばされたという。「想像を絶する暴力的なセクハラ行為で非常にショックを受けた」と怒る▼特別委で「自民党が死んだ日」のプラカードを掲示した山本太郎議員は、本会議の採決では喪服姿で牛歩戦術。「連休を返上してでも審議を続けるべきだ」と持論を叫び、壇上で議席を振り向き焼香のしぐさ。数珠を手に合掌▼安倍首相は「安保法は国民の命を守り、戦争を未然に防ぐため必要」と胸を張るが、相次ぐ疑問符に「今に分かる」と言うだけ。自衛隊の活動が地球規模に膨張し、リスクが高まるばかり。全国的な反対デモのおかげで民主主義の尊さに目覚め、平和憲法を守る絆が一層強くなった。(M)


9月19日(土)

函館は西部地区から市街地が広がったためか、内陸に変則的な交差点が数カ所存在する。昨年6月、女子学生が乗用車にはねられ、10日後に死亡した八幡町の道教育大函館校前交差点もその一つ。改良工事が本格化している▼先日、この事故で亡くなった女子学生の父親に話を聞く機会があった。神奈川県内の看護短大を卒業した彼女には、障害を持つ弟がいる。「将来親がいなくなった後は、自分が弟の面倒を見る」。養護教諭になる目標を抱き昨年春、道教育大函館校に入学した▼神奈川を出て、初めての一人暮らしだったという彼女。「5月の連休のときに妻が函館に行った。息子にかかりきりの母親を娘が本当に独占できたのは、その3日間だけだったと思う」。父親は涙ながらに打ち明けた▼事故は弟の人生にも影を落とした。「加害者からの謝罪はない。娘が目指したすべてを踏みにじられた」。父親は今なお死を受け入れられず、怒りをあらわに話す。交差点の改良も歓迎はすれど、複雑な心情を隠さない▼死亡事故は被害者の命のみならず、家族の夢や希望も一瞬で奪う。ハンドルを握るときは、普段にもまして他者を思いやる気持ちを持とう。不幸な事故をなくすために。(C) 


9月18日(金)

公聴会の開催からわずか1日余り…安保関連法案が参院で強行採決された。公述人の見解や意見を踏まえた議論もなく、あたかも終了を「待ってました」とばかりに。何のための公聴会だったのか▼公聴会は、公の機関が一定の事項を決定するにあたって、学識経験者や利害関係者から広く意見を聞くための制度。その趣旨は、より良い判断を下すために出された意見を踏まえ、さらに議論を深めようということ▼国会で予算審議など重要法案の際に行われるのもそれ故。中央公聴会(国会内で開く)と地方公聴会(地方都市で開く)があり、安保関連法案でも15、16の両日開催され、議論に生かされるかと思いきや、その素振りすらなかった▼そもそも与党が採決をしようという直前に、とってつけたような開催はあまりにも軽い。これでは公述人に失礼なばかりか、国会自らその意義を否定したに等しい。実際に公述人の口からも厳しく指摘された▼「茶番」という表現もあり、「多数決主義」とも。単なる手続きに利用した印象は公聴会の危機にも映る。その存在意義を根底から揺るがした責任はすべて国会にある。軽んじた公聴会、そして混乱の中での強行採決…さらなる政治不信が懸念される。(A)


9月17日(木)

3月26日が何の日かをネットで検索すると、ベートーベンの命日「楽聖忌」、大正時代に芸術座公演の劇中歌が流行したことを記念した「カチューシャの歌の日」などがあり、バングラディシュ独立記念日でもある。これに来年から北海道新幹線開業の日が加わる▼開業日が決まり、道南各地のカウントダウンボードも正式な日程を刻み始めた。自治体や観光の関係者は意気込みを新たにしており、ムード盛り上げに拍車がかかる▼今年3月の北陸新幹線開業時、テレビをはじめ各種媒体で金沢・北陸特集が数多く組まれたことは記憶に新しい。ゴールデンウイークや夏場もにぎわいをみせたようだ。函館も負けてはいられない▼残念なのはハード整備が遅れていることだ。新函館北斗駅前はホテルなどの複合施設の開業が2017年2月で、活用が決まっていない土地も多い。函館駅前の再開発ビルも工事が遅れ、来年8月のオープンとなる▼それでも、記念イベントや二次交通を含めた旅行商品などの準備は待ったなしだ。全国から訪れる人をもてなすためには、住民の心構えも重要。「3月26日」が函館の新たな記念日として後世まで誇れるよう、カウントダウンを進めていきたい。(I)


9月16日(水)

プロ野球の優勝争いが佳境を迎えている。パ・リーグはソフトバンクが2連覇をほぼ手中に収め、セ・リーグは3チームの大混戦。ダンゴレースに一喜一憂も楽しいが、この時期になると名選手引退のニュースも聞こえてくるのが寂しい▼ベテランの多い中日は、北海道日本ハムでも活躍した〝ガッツ〟小笠原、特徴的なバッティングフォームの和田らに加え、谷繁兼任監督も現役を退くという報道も。50歳の山本昌の去就も微妙だ▼パ・リーグはオリックスの谷。名球会入りの資格が得られる2000本安打まで残り73本ながらも己の限界を悟り、引退を決めた。メジャーでも活躍した楽天の斎藤隆も今期限りとなった▼引退試合は長年の功績に対する晴れ舞台。ミスター・長嶋茂雄の「我が巨人軍は永久に不滅です!」の名スピーチは今も語り継がれる名場面だ。阪神の現監督・和田豊は甲子園球場の土のグラウンドを巧みに整備する裏方への感謝を述べ、手厳しいファンも拍手喝さいだった▼そんな和田監督、10年ぶりの優勝間近で相変わらずもたついている。たまには「どんちゃん騒ぎの大阪」の風景が見たいが…。今年もまた「おもろうて やがて悲しき タイガース」なのかな。(C)


9月15日(火)

新聞の閲読と学力の関係が、今年の全国学力テストからも明らかになった。文部科学省が分析した中の新聞閲読との関連調査から。昨年も同じ傾向だったことを踏まえるとうなずくしかない▼「テストの結果で、新聞を毎日読む児童生徒ほど正答率が高い」。端的に言うとこうだが、実際に小学生(6年)の国語A、Bとも「ほぼ毎日読む」児童の正答率は、「ほとんど読まない」児童より10ポイントほど高かった▼中学生(3年)は小学生より低いものの、それでも5ポイントほどの差が。さらに注目されるのが国語ばかりか算数・数学でもこうした傾向があること。中学生ではむしろ国語より差が大きく、7ポイント以上の開き▼活字の効用はよく語られる。文字や言葉を覚え、読解力や洞察力が養われる。新聞業界が「教育に新聞を」(NIE)と促す運動を展開している理由もそこにあるが、残念なことに小中学生の閲読率は下がり続けている▼今年の調査でも「毎日読んでいる」中学生は7%、逆にほとんど・まったく読まない生徒は、小学生よりも低い61%。一概にはいえないが、多くの児童生徒が毎日、新聞を読む習慣があったなら…。業界の立場からは、閲読の実態は悲しいというほかない。(A)


9月13日(日)

食欲の秋。「さんまは苦いか塩つぱいか」。詩に詠われているように、サンマは大人の味…。江戸時代から庶民が食べるようになった大衆魚。そのサンマの漁場に台湾や中国の大型船が進出して黄信号▼サンマ群が道東沖や三陸沖の日本漁船の操業海域に来る前に、台湾の数十隻の大型船(全長70メートル、1000トン級)が「先取り」。半年近くも操業し、台湾からの運搬船がサンマを回収していく▼中国も台湾より大きな漁船を繰り出し、日本近海にたどり着く前に「爆獲り」。太平洋のマグロと同様、サンマの資源を守ろうと海域の資源量調査に台湾、中国などと合意しているのに▼日本の大型船はせいぜい100トン級。魚場はウルップ島沖が中心といわれ、魚体は170グラムを超えるという。台湾船の先取り、中国船の爆獲りの影響を受け、今季の道内や東北の水揚げは減るのだろうか▼これから脂が乗っていく秋の味覚。たんぱく質、鉄分、カルシウムなど栄養たっぷり。中性脂肪や悪玉コレステロールを減らし、サンマに付き物の大根おろしには発ガン物質を分解する酵素も含まれている。釧路から届いた1箱を塩焼き、刺し身、お茶漬けにして食し、「ほろ苦さ」を吹っ飛ばしている。(M)


9月12日(土)

学生にとって、テストや受験は避けられない関門だ。中間、期末テストとなれば先生は出題範囲くらいは教えてくれるけれど、どんな問題が出るかは分からない。だからまんべんなく勉強したり、ヤマを張ったりして必死に備える▼問題の中身を事前に明かす先生なんていないと思っていたら、実際にいた。明治大法科大学院の教授が、教え子の20代女性に司法試験の問題を漏えいしたとして東京地検特捜部が国家公務員法(守秘義務)違反容疑で捜査に乗り出している。教授は問題作成に関与する「考査委員」だった▼女性は答案を暗記して本番の試験に臨み、満点に近い得点を得ていたという。教授が念入りに添削し、答案の持ち出しを禁じる徹底ぶりが報じられている▼司法試験は言うまでもなく数ある試験の中で最難関とされ、合格すれば弁護士、裁判官、検察官への道が開かれる。学生とじかに接する教授が考査委員を務めるシステムも再構築が必要となるだろう。何より法律の専門家が倫理観を問われるのでは洒落にならない▼来春に中学、高校、大学受験を控える子どもたちには、こんな教授や学生の存在からよく学んでほしい。ズルをした人間には、必ず天罰が下るのだと。(C)


9月11日(金)

「面倒くさい」。日常的によく使われる言葉だが、政治家、それも大臣の口から聞かされると違和感を禁じ得ない。というのも、この言葉の裏にある思いが「したくない」だから▼食料品などは適用対象外とする軽減税率の適用を含め、再来年4月からの消費税10%は既定の事実。「面倒くさい」は、その手法を巡って飛び出した。好意的に受け止めると、事業者に対する気遣いにも聞こえるが▼実際に税率が異なる商品を扱う事業者は、大変な負担を強いられる。一方、財務省は期待通りの税収を確保したい…思案の末に行き着いたのがマイナンバーの利用で、適用品目購入の2%相当分を後で還付する手法▼これだと上限が設けられる。そこは百歩譲ったとして、呆れるのは、そのためのインフラ整備に要する費用。なんと3000億円という。問題になった新国立競技場でさえ2520億円である▼これでは何のための増税かと指摘されても仕方ない。還付方式にしても、例えば2%相当分を年金受給者は年金に加算し、現役世代は減税で処理するとか、方法はあるはず。買い物の都度、マイナンバーカードを所持せよとは、何とも「面倒くさい」。この言葉を大臣に返さなければならない。(A)


9月10日(木)

「ダイエー」「グルメシティ」が「イオン」「マックスバリュ」に変わったことにより、函館・道南でも道内スーパー業界の「3強」といわれるアークス、イオン、コープさっぽろの各店舗が勢ぞろいした▼イオングループにとって函館は因縁の地。大型ショッピングセンターの出店計画を地元の反対で断念した経緯がある。ダイエーがイオンの傘下に入ったことで、当時は想像もしていなかった形での出店となった▼道内スーパー業界はここ数年、「3強」の寡占化が進む。帝国データバンクの2013年度のまとめによると、上位50社の総売上高1兆1199億円のうち、3強の占める割合は76・2%を占め、前年度から0・7ポイント上昇した▼スーパー再編が典型的な形で進んだのが十勝地方だ。地場スーパー4社が管内外に出店してしのぎを削っていたが、現在はそれぞれアークス、イオン、セブン・&アイ・ホールディングスと提携。看板は残っているが、純粋な地元資本の業者は消えた▼寡占化は地域の中小・零細商店の経営を圧迫する一方、大手の競合は商品の値引きや品ぞろえの強化で消費者に恩恵をもたらす側面もある。地域の買い物事情が、どう変わっていくのか注目される。(I)


9月9日(水)

「就活」「婚活」などはたびたび耳にするが、同じ「活」が付いても「ゆう活」の知名度は低い。それもそのはず。今年厚生労働省が提唱し始めたばかりだから。「夕活」と書けば分かりいいかも▼「夏の生活スタイル変革」運動の通称で、狙いは「ゆうやけ時間活動の推進」…明るいうちに仕事を終え、夕方の時間活用で生活を豊かにしようというのが趣旨。かつての夏時間と大筋で変わりはない▼具体的に奨励しているのが朝型勤務やフレックスタイムの導入など。民間に呼び掛ける一方、今夏は長時間労働の解消を掲げる中央省庁が率先して試みた。その結果が報告されていたが、必ずしも悪くなかったよう▼出勤時間を早め、定時に帰った人が65%もいたとなれば。確かに「働き方の改善につながっていない」という総括も分からぬではないが、業務システムも変わっていない中で3分の2が持つ意味は大きい▼人間の習性とは恐ろしいもので、長年の間に培われた勤務時間は生活の基本リズム。暗くなって帰る生活が当たり前だった人は、しばらく戸惑いを覚えたに違いない。「ゆう活」の趣旨に異論はない。来年以降どう広がっていくか…その鍵はフレックスタイムの普及が握っている。(A)


9月8日(火)

サッカー元日本代表の「ゴン」こと中山雅史氏(47)が、現役復帰を目指してJFLのアスルクラロ沼津の練習に参加した。2012年の引退会見でも「リハビリを続けてバリバリになったらカムバックするかもしれない」とゴン節が炸裂していたが、本当に行動に移すとは▼Jリーグの現役最年長は、横浜FCの「カズ」こと三浦知良選手(48)。今年の6月には最年長ゴール記録を更新しており、この活躍がゴンにも大きな刺激を与えたに違いない▼野球界でも40代の選手が躍動する。中日の山本昌投手(50)は8月に世界最年長勝利記録をかけ49歳363日で登板したが、無念の負傷降板。現在、再挑戦へ向けリハビリ中だ。同じく中日の谷繁元信監督兼捕手(44)は、7月に通算試合出場数で野村克也氏を抜き、前人未踏の日本記録を更新し続けている▼大リーグでもイチロー選手(41)が、世界記録の4256安打を目指し奮闘中。プライドを捨て、若手選手とレギュラーの座を争う姿には心打たれるものがある▼プロスポーツの世界では、40歳を過ぎて現役でいることだけでも価値のあること。無謀にも見えるゴンの挑戦だが、可能性の有る限り突き進んでいってほしい(U)


9月7日(月)

「100行の記事より1枚の写真」—記者が駆け出しの頃、先輩から「心に訴える写真を撮れ」と教えられた。背中にパナーム弾をうけ「熱い!」と泣き叫ぶ少女の写真はベトナム戦争の終結を早めたといわれる▼先日、トルコの浜辺に漂着した3歳男児の遺体の写真は衝撃だった。内戦が激化しているシリアからの難民で、親子4人はギリシアに向う密航船に乗ったが、高波で転覆。男児は目を見開いたまま波打ち際でうつ伏せになって…▼難民は世界的に急増し約6000万人といわれ、今年に入って中東から欧州に渡った難民は36万人超。約2000人が地中海でを渡る途中で絶命している。保冷車から71人の遺体が発見された痛ましい事件も▼密航手続きの悪徳業者は逮捕されているが、絶命した半数は子どもたち。動かなくなった男児の漂着映像はソーシャルメディアなどで共有され、世界中の涙を誘っている▼ベトナム戦争の少女のように、1枚の写真には歴史を動かす力がある。イタリアの首相は「すべての人々を救助するという欧州の理想を取り戻す必要がある」と強調。ハンガリーは国境を開放、難民はドイツへ大移動、救済活動の輪が広がっている。(M)


9月6日(日)

年齢にもよるが、中高年になってくると、健康に気を遣わない人はいない。適度な運動、バランスのとれた食事、そして定期的に健診を受ける。それもこれも、できる限り健康で老後を過ごす術▼9月は健康増進普及月間であり、食生活改善普及運動の月。8月31日付の本紙1面に掲載されていた渡島総合振興局の北海道広報「みんなの道政」は、その告知と同時に健康、食生活の大切さに触れていた▼「健康の保持、増進のためには食生活習慣や運動習慣等の健康習慣を見つめ直すことが重要です」。禁煙を含め、ここまでは聞き慣れたフレーズだが、具体的な呼び掛けの中に耳を貸したい話があった▼「1日プラス70グラムの野菜と朝食をしっかり食べましょう」がそれ。1日の野菜摂取の目標値は350グラムと言われるが、北海道の人の平均摂取量は288グラム。野菜サラダなど小鉢(小皿)分が足りないそう▼それを補うのも生活習慣病対策の一つ。代表格とされる糖尿病は、患者に予備軍を含めるとざっと2200万人。だから啓蒙が必要になる。留意したいことの筆頭は食事であり、野菜を忘れずに…広報の趣旨はそこにある。「毎日プラス一皿の野菜」(重点活動の目標)。覚えておきたい。(A)


9月5日(土)

先日まで大阪、京都へ旅に出かけた。両市内で目についたのは大勢の外国人観光客の姿。スマートフォンを持ちながらバスや地下鉄に乗ってそれぞれの目的地へと向かい、異国の町並みや文化を満喫していたようだ▼〝非日常〟を効率よく楽しむには、外国人も日本人も今やスマホが欠かせない時代なのかもしれない。行き先への方向や距離、バスの時刻…旅先ではちょっとしたリサーチを必要とする場面も多い▼そんな時にスマホに入れておいたアプリを使えば、大半のことは分かる。京都で気がついたのはWi−Fi(公衆無線LANサービス)のアクセスポイントの多さだった▼ガイドマップを見ると、著名な施設のみならず街路までくまなくポイントを張り巡らせているのが分かる。ただし、無料でパスワード制限がかかっていないため使用にはリスクも伴う▼翻って函館はどうか。北海道新幹線新函館開業対策推進機構のウェブサイトを見てみると、市内の無料Wi−Fiスポットは52カ所。このほかにも民間事業者が開設しているスポットもあるが、施設での設置が中心だ。多額の財政出動を伴うため難しさはあるが、セキュリティーを担保した上でより充実を図っても悪くはない。(C)


9月4日(金)

米国を代表するロックバンド・エアロスミスは、1986年にヒップホップのランDMCが代表曲「ウオーク・ディス・ウェイ」を引用して大ヒットさせたことで再び脚光を浴びた。この曲は日本のバラエティー番組で今もテーマ曲となっている▼この当時から、過去の楽曲や音源を引用し再構築する「サンプリング」の手法が盛んになった。ほとんどの場合、著作権料が支払われるため、「盗作」「パクリ」と非難されることはない▼盗作が取りざたされ、組織委員会が撤回を決定した東京五輪のエンブレム。デザイナーは模倣を否定しているが、過去の作品では盗用を認めたものもあるだけに、真偽のほどは分からない▼ただ、シンプルな形や文字を組み合わせたデザインの場合、どこまでがセーフで、どこからが盗用なのか、素人には分かりにくい。デザインの世界にも「サンプリング」の思想を導入するべきだという声もある▼インターネットにより、世界や過去のあらゆる作品と比較が容易になった時代、オリジナルなのかサンプリングなのか、しっかり根拠を示すことが必要だ。ちなみに「ウオーク・ディス・ウェイ」の当初の邦題は「お説教」。ネットからのお説教にも気を付けて。(I)


9月3日(木)

デモ活動は特定の主張を訴えたい人が結集して、プラカードを掲げながら練り歩き、アピールする行為。社会から注目されれば成功だ。憲法でも認められた表現形態で、日本では85年前のメーデーから始まった▼夜長月の9月は安全保障関連法案の成否の月。自民党総裁に再選される安倍首相は成立に向けて突っ走るだろう。これに反対するデモが各地で開かれ、国会議事堂周辺には12万人(警察発表3万3000人)が集結▼60年安保闘争を思い出す。大学生ら大勢のデモ隊が国会議事堂を囲んで警官と衝突し、女子東大生が圧死、血のデモとなった。日米安保条約は参議院の議決がないまま成立し、当時の首相が辞任に追い込まれた▼先日の安保反対デモについて、橋下徹大阪市長はツイッターで「たったあれだけの人数で国家の意思が決まるなんて民主主義の否定だ。サザンのコンサートで意思決定する方がよほど民主主義た」と指摘した▼酷い戦争を思い出したくない高齢者、60年安保闘争を経験した世代、制服の高校生、子連れの母親たちが自発的に集まり、声を合わせた。廃案を叫ぶデモ行動の意義は人数ではないはず。平和憲法を軽視しているから「戦争法案」と誤解されるのではないか。(M)


9月2日(水)

立春を起算日として二百十日目のころにあたる9月1日前後は、台風の到来や強風となる日が多いとされた。収穫前の稲が被害に遭わないように豊作祈願した富山市八尾町の祭りが「おわら風の盆」。今年も1〜3日に行われる▼坂道を踊り歩く「町流し」が情緒あり、人口約2万人の地域に3日間で20万人以上の観光客が訪れる。今年は運営委員会が公式ガイドブックをリニューアル発売した。北陸新幹線で大勢の観光客が来ることが見込まれるから▼ガイドブックは2003年に初版、10年の改訂版を出版。観光協会などがインターネットによる最新の情報発信を充実させ、スマホで見られる時代に新訂版。この出版も新幹線開業効果の一つだ▼先日、函館の赤レンガ倉庫群で年配の夫婦から道を尋ねられた。スマホの地図を見ながら目的地に向かおうとしていたが見つけられないという。「選ぶのに悩み、ガイドブックは買わなかった」とご主人▼函館にはさまざまな旅行ガイド誌がある。女子旅向き、コンパクトサイズ、写真でイメージを湧かせるタイプ…。北海道新幹線で多数の旅行者が来る。来年版でお願いしたいのは、四季それぞれの魅力を充実させてほしい。(R)


9月1日(火)

昇給や昇進など職場での男女差別を廃止し、平等に扱うことを定めた法律…男女雇用機会均等法が施行されたのは30年前。だが、現実に目を向けると、その格差は依然として残ったまま▼幹部への女性登用となると、まだまだの域。働きながらの子育てが難しい社会環境などもあって退職年齢が早く、したがって管理職の年齢層に女性が少ないという事情はあるにせよ。そんな理由、国際的には通用しない▼欧米諸国などに比べ遅れをとっている厳然とした事実。戦後70年、経済大国として、先進国として胸を張れない…政府が昨年6月、新しい成長戦略の中で目標を掲げたのは記憶に新しい▼「2020年までに指導的地位に女性が占める割合を30%以上にする」。目標は掲げるに易く達成は難し、だが、そのための新たな法案が8月28日の参議院本会議で可決、成立した。女性の活躍推進法である▼義務付けられるのは国、地方自治体と従業員300人以上の企業、団体。管理職に占める女性比率などの数値目標と行動計画を策定し、公表しなければならない。それ以下の規模の企業などには努力を求めている。法による言わば強制誘導だが、抱える問題が改善に向かうなら、そこに異議はない。(A)