平成15年3月


3月31日(月)

●木々は芽吹き始め、自然界は春爛漫―。比較的過ごしやすい冬だったとはいえ、この時期に覚える開放感は堪らない。これほど新鮮な季節の変わり目はない。その先導役を担う桜前線も北上を続け、函館・道南へも刻々と近づいている▼北国にとって「春」と「4月」はほぼ同意語。「4月」には「新年度スタートの月」という意味合いも加わる。会計年度の始まりの月ゆえに諸制度の見直しが多いし、異動月ともなって人の動きが慌ただしい。そして企業は新入社員を、学校は新入生を迎える▼今年は函館・道南で大きな動きはないが、国レベルでは長年、議論されてきた郵政事業が公社に移行する。それに…。4年に1回の統一地方選挙が始まっている。既に道知事選が本番に入っているが、4日には激戦の函館市区に象徴される道議選が告示される▼13日に投開票されるこの二つの選挙は第一弾。息つく間もなく27日投開票の第二弾、市町村長・市町村議選が待っている。地方自治が鍵を握る時代と言われるが、主役はそこに住む人たち。そして思いを託す行動が投票であり、言い古された言葉だが、政治への参加の第一歩…▼確かに世界も、国内も、道内も問題と課題だらけ。ともかく経済情勢が悪過ぎる。先行きが見えていればまだしも、なおも不透明。それにイラク問題が影を落としている。自然界が羨ましくも思えてくるが、せめて…。めげる気持ちを振り払って新年度を迎えたい。あすから「4月」ー。(A)


3月30日(日)

●間もなく道南も山菜取りなどの季節を迎える。かなりの人が山に入ると推測されるが、毎年のように遭難する人が…。そんな時に求められるのが速やかな捜索。現実には発生を受けて対応するのがほとんどだが、大野町の試みは参考に値する▼山菜採りは慣れが落とし穴といわれるが、実際、行き慣れた場所であっても下ばかり向いて歩くのだから方向感覚は薄れがちに。おかしい、と気づいて歩き回ると、さらに分からなくなると聞いたことがある。大丈夫と侮ってはならない。遭難は生死にかかわるのだから▼元気に捜索を待っているケースばかりでない。けがをし、体力を消耗しているケースも少なくない。いずれにせよ時間が鍵を握る。初動が早ければ早いほど発見の確率は高い。だとしたら、日常的に、いつでも対応出来る態勢があるに越したことはない▼大野町の試みとは「遭難対策に関する実施要綱・取扱要領」を独自にまとめたこと。昨年5月にタケノコ採りの女性が遭難し、死亡したのを受けて検討を始めたそうだが、山菜取り、山歩きだけを該当とせず、痴呆症に伴う徘徊などの道迷いも加えているのが特徴▼本人の責任を明記し、日常的な捜索体制を打ち出しているのが特記されるところ。人件費や食糧費など捜索にかかる費用の本人・依頼人負担を具体的に盛り込む一方、遭難対策協議会を立ち上げる。この要綱は行政の備えだが、同時に住民への警告という役割も担っている。(A)


3月29日(土)

●米英の攻撃が始まって、イラク戦争は1週間が過ぎた。長引けば長引くほど事態は泥沼化し犠牲者が増える、誰にも分かることだが、死傷者は一般の人の間にも広がり始めている。さらに長期化の様相を深めると…。一方でテロも懸念される▼月に1、2度東京に出張するが、イラク戦争が始まった後の羽田空港で気づいたことが二つ。その一つは警備。一昨年の9・11事件以来、ゴミ箱が屋外に出されたが、出発、到着ロビーにしても巡回する制服警察官が多いこと。いやが上にも意識させられる▼当然ながら搭乗ゲートでの検査は一段と厳格に。よく探知音が鳴ってボディチェックを受けるのだが、今回ばかりはそれで終わらなかった。コートは脱がされ、なおかつ鳴るや、カード類かもしれないと、ついに財布ともどもX線通しに。実に徹底されていた▼それとは裏腹に、もう一つ気づいたのが親子連れの姿。春休みだから大勢見かけて当たり前で、いわばいつもながらの3月末の光景。東京ディズニーランドなどへのツアーは稼ぎ時でもある。何をいまさら、と言われるかもしれないが、敢えて言うなら緊迫した警備と好対照な現実がそこにあったから▼雇用に始まって経済情勢は最悪続き。それでも日本は平和を享受できている。羽田空港で見た二つの光景がそれを物語っているが、同じ地球に生まれ、家族を持ちながら、あまりにかけ離れた環境に生きる人たちがいるのも現実。毎日のイラク関連ニュースが胸を締め付ける。(N)


3月28日(金)

●4年に1度の統一地方選挙が、11都道県知事選で幕を開けた。北海道は史上最多の9人が立候補。無党派候補が多いためか、選挙公約をみると“どんぐりの背比べ”で、有権者の判断材料に乏しい▼11知事選に立候補したのは46人。与野党相乗りが大幅に減って、推薦を受けない候補者も少なくない。既成政党に対する有権者の不信感や拒否反応が強いせいか、表舞台から政党が消えつつある。毎回、候補者の多様化が進んで、地方自治行政に政党不要論さえ出てきている▼公約違反を「大したことではない」と口走った小泉首相を真似てはいけないが、英国の政党が選挙の前に出す政策綱領「マニフェスト」が必要ではないか。決めた政策に、どれだけの予算をいつまで投入したら実現するのか、そのためには有権者の協力が必要、など具体的に訴えるべきだ▼2年間で5万人の雇用を創出する、4年間で8万人の雇用を創出する、河川再生やバリアフリー事業で雇用を増やす、緑の公共事業で失職した建設労働者を支える、リサイクル分野などで新しい雇用を生む、一次産業を発展させる―立候補者の公約は似たり寄ったり▼一方、函館市長選には2人の立候補が予定されているが、緑の島の活用法や産学官による経済活性化など具体的なマニフェストで競ってほしい。いつも函館の投票率は低いと言われるが、いずれも21世紀の地域づくりの羅針盤になる選挙。投票場に出かけよう。(M)


3月27日(木)

●なかなかの傑作ぞろい、そんな思いをさせられたのが「現代学生百人一首」。あれか、と思い当たる人がいようが、東洋大学が1987年の創立100周年記念として始めた事業で、既に16年目。着実に存在感を高め、すっかり定着している▼それは2500首からスタートした応募数に表れている。学校ぐるみの取り組みも増え、驚くなかれ、全国の小中高校生から寄せられた作品は5万6373首。うち冊子に収録されているのは入選作100首など。そのいずれも揺れる心情、苦悩などが正直に表現されている▼『履歴書を何度も何度も書き続け大きくなった指のペンダコ』『緊張が新しい言葉作りだすなれない敬語の面接練習』など就職を取り巻く作品から、『本当はしたいことなどないけれど無理やり決める将来の夢』『どうしてと入学してから考えるこの学校を選んだ理由』といった作品も▼ちなみに、個人的に最も感銘を受けた作品は『この部屋をあんたにあげると言う祖母の言葉の意味を解りたくない』。函館・道南からも高校生2人の作品が選ばれている。それぞれに、わずか31文字に託す思い…。その年々の世相が浮かび上がってもくる▼「サッカーW杯」や「タマちゃん」「拉致被害者の帰国」など。それらの作品から読み取れるのは、若者も捨てたものじゃない、現実の傍観者じゃないということ。「若者がいつの時代にも世の中の動きを敏感にみつめ、歌にしていることを再確認した」。選考委員もこう結んでいる。(H)


3月26日(水)

●統一地方選挙の幕開けを告げる北海道知事選挙が、あす27日、告示される。議員、官僚出身者を含めて新人9人が立候補する見通し。近年の知事選は政党主導のせいぜい4人程度が争う構図が続いてきたが、さながら流れが変わったの感▼過去、立候補者が最も多かったのは1947年の6人。それより4人も上回ったには、それなりの背景が。混迷する地方自治、経済の現状など北海道が抱える幾多の課題もさることながら、何より大きいのは「脱政党」という言葉に代表される政治意識の変革▼それが従来型の、政党主導のあり方を問う一面を提起したとも言える。宮城や高知、長野などに見られるが、道知事選も昨年末までは、現職と新人を核に展開されるとの観測がもっぱらだった。ところが、年があけるや…。それで良しとしない空気が道民意識にあったということだろう▼立候補予定者によって公約の打ち出し方、問い掛け方に差があるのもそれ故。実際、それぞれのスタイルをとって、本番を迎えようとしている。産業、教育、福祉、環境…北海道には課題が山積している。財政が深刻な中で自立も求められている。その舵取りは容易でない▼誰に託すのか、答えを出すのは道民。言葉を換えると、選挙への参加は北海道づくりへの参加を意味する。そのバロメーターは投票率。全道平均で前々回は65・98%、前回は65・73%。せめて70%を超えるように、とりわけワーストランクの函館は…。関心の目を向けたい、明日の北海道のために。(A)


3月25日(火)

●高規格道路の「函館江差自動道」の函館IC―上磯IC間が24日、供用を開始した。8・6キロながら地域にとっては意義ある開通。喜ぶ気持ちで迎えた一人だが、その一方で複雑な思いも。全面開通が何時になることやら検討がつかない情勢だから▼国の財政難のつけは、じわじわと地方に。市町村合併を強いられ、地域振興面では交通網の整備がもろに影響を受けている。その代表格が高速道路、新幹線だが、道南も然り。高速道路がつながるのは、新幹線が通るのは…。北海道縦貫道も国縫で止められては意義が半減するし、この高規格道も同じこと▼どうなるのか、地域が求めるのは明確な見通しだが、今や闇に包まれた状況。それが新幹線になると、さらに…。北海道が求める新青森と新函館の同時開業は、まったく楽観を許さない。その中で今年は未着工区間の見直しが予定されている▼まさに正念場。傍観を決め込んではいられない。よく聞く話だが、大事なのは地域の熱意を示すことと、利用すること。利用されなければ次への取り組みが鈍り、熱意がないところの計画は後回しにされてしまう。「鍵は皆さんが握っている。地域にとって新幹線が必要と繰り返し訴えるぐらいでないと…」▼先日、大野町で開かれた新幹線の道南地域総決起大会であった発言だが、これが現実と言われれば、確かに…。JR北海道は「スーパー白鳥」の投入で“声”を上げた。地域がそれにどう続いていくか、きょう25日午後1時半からホテル函館ロイヤルで北海道新幹線講演会が開かれる。(A)


3月24日(月)

●道南も空気が乾燥する季節を迎えている。新聞の社会面にも火災の記事が増えてきたような印象を受ける。「要注意」。何事にも言えるが、火災ばかりは起きてからでは遅い。被害を抑えるしか手はない。後悔先に立たず、対策は注意あるのみ▼函館は過去、幾多の大火に見舞われている。明治29年には2280戸、同32年には2494戸、さらに40年には1万2390戸を焼失するなど、明治時代には100戸以上焼失した火災がなんと19件も。大正年代も多発し、昭和初期までの大火発生は26件を数える▼その中でも忘れてならないのは昭和9年の大火。2万4186戸が焼失し、2166人が亡くなり、662人が行方不明になった。街は焼け野原に…。発生したのは3月21日の午後6時53分。須藤隆仙さんはその著書「函館の歴史」で、その惨状をこう記している▼「住吉町の民家より発した火災は、おりから風速二〇余メートルにおよぶ東南の烈風にあおられ、火勢はいよいよ激烈となり、火p烽ヘ地をはい、消防隊や軍隊の必死の努力も、烈風と倒壊した家屋や電柱などの障害物にさまたげられて……延焼、翌二十二日午前六時ころようやく鎮火したが…」▼全国からの支援を得て復旧を果たしたが、グリーンベルトなどは紛れもなき歴史の証言者。今年もニューメディア函館センターが当時を伝えるドキュメンタリー番組を制作、さらにカルチャーセンター臥牛館では大火展と体験者講演会が。消防も防火診断を行った。語り継ごう、これからも。(A)  


3月23日(日)

●道南から久々に米の新品種が産み出されようとしている。本格的に市場に出回るのは来年秋だが、農業関係者の間から早くも期待の声が。何度も報じられてきたから覚えている人がいようが、試験場での呼び名は「渡育(といく)240号」▼大野町にある道南農試が9年がかりで開発した自信作。その素性をひも解くと、“母親”は品種にならなかったが、カリフォルニア州の「国宝ローズ」の血筋を引く「空系90242B」。“父親”は上川農試で作られ、今や北海道を代表するまでに知名度を高めている「ほしのゆめ」▼米に限らず、農産物の新しい品種開発には、ともかく時間がかかる。この「渡育240号」の数字は、渡島で育てられた240番目の品種候補という意味。これだけの数が試されているということだが、米で日の目を見るのも「ほのか224」以来13年ぶりのことという▼北海道農業の今日があるのは、土壌改良や栽培技術の進歩に加え、こうした地域に合った品種の開発があったればこそ。一昔前、米は増産が奨励され、その後は一転して作付け調整を強いられ、今は量より質、完全に味が問われる時代。それだけに新品種が待望されている▼その「渡育240号」のアピールポイントは「道南の気候風土に合った品種」と「寒さに強く、冷たくてもおいしい食味」。今、ブームのおにぎりに適しているという。19日には約4600点の公募作品の中から名称候補に「ふっくりんこ」が選ばれた。おいしい米のイメージがわいてくる。(A)


3月22日(土)

●2年以上前になろうか、これはいい歌、と感じて初めて買ったCDがある。その曲が静かに浸透を続けていることは知っていたが、売り上げ枚数がここまで伸びるとは…。100万枚を突破し、いわゆる「ミリオン・セラー」の仲間入りを果たした▼こう話せば分かる人が多いと思うが、その曲は北海道出身のシンガーソングライター・中島みゆきの「地上の星/ヘッドライト・テールライト」。新しいことに挑戦して、成し遂げた人たちの姿を回想的に描くNHKテレビ「プロジェクトX」の主題歌として作られた▼この番組では、北海道から青函トンネル建設に携わった人たち、コンブを守るための植林に挑むえりもの漁師などが取り上げられたが、番組構成もさることながら、人気の裏に、この曲の存在を見逃せない。それほど番組と溶け合って、光り輝かせる役割を担っている▼旋律も素晴らしいが、歌詞もいい。「風の中のすばる 砂の中の銀河 みんな何処へ行った 見送られることもなく……地上にある星を誰も覚えていない 人は空ばかり見てる つばめよ高い空から教えてよ 地上の星を つばめよ地上の星は今 何処にあるのだろう」(地上の星)▼「ヘッドライト・テールライト」も甲乙つけ難い。近年生まれる曲は爆発的なヒットもするが、陰るのも早い。実際に1年以上ヒットを保つ曲はそうそうない。その中で2年8カ月は別格。いい曲とは…。この曲こそ、その質問に答えている。(A)


3月21日(金)

●残念ながら、ついに米英軍のイラク攻撃が始まった。徹底抗戦を構えるイラクはバグダッドの民間居住地に軍隊を配置し、民間人を「人間の盾」にしている。軍を守るための「人間の盾」は、戦時国際法を定めたジュネーブ諸国条約に反するものだ▼イラクの「人間の盾」には、各国から平和運動の活動家やジャーナーリスト、学生ら多数が参加している。日本人の「人間の盾」は一時期、120人を超えたが、「イラクに利用されるだけだ」と今月に入って相次ぎ退去。開戦した今、3、4人が空爆対象の発電所などに配置されている模様▼バグダッドの浄水場で寝泊まりしているダンサー、村岸由希子さんは「地元の子供たちに接すると、世の不条理を痛感し、子供たちを残して帰る気にはなれない。なぜ米国は危険な兵器を使うのか。覚悟はできている」と言う(毎日新聞)。わが身を犠牲にして戦争をやめさせようと…▼イラクが自国の子供すら「人間の盾」に利用するのは、パレスチナの少女による自爆テロに類似している。人質にとられる不安も残る。「こんな事態で、現地にとどまることに何の意味があるのか…」。家族の心配をよそに、さらに日本から男女10人がイラクに向かった▼戦争抑止力として「イラクの自由作戦」を見極めたいという正義感。しかし、イラクの住民には「彼らは観光気分でやってきた」としか映らない。残念ながら「人間の盾」で戦争は止められなかった。いずれ罪と罰は双方にくだる。(M)


3月20日(木)

●「巨額を投じる記念館建設は止めて、その予算をグラウンドの整備に充てるべき」。我慢ならんとばかりにサポーターが行動を起こした。昨年、日韓で開催されたサッカーW杯が生み出した剰余金を巡る話だが、このサポーターの主張はまさに正論▼チケットの売りさばきなどで問題を起こしながらも、W杯は最終的に約130億円もの黒字。日本組織委員会(JAWOC)は、開催自治体にそのうち約三分の一を振り分けた。そこまではいい。問題は残るうちから30億円を予算計上したW杯記念館の建設…▼世界的なスポーツイベントであり、次はいつ開催できるか見当もつかないのだから記録として残したい、という関係者の思いは分かる。だからと言って30億円も投じる必要があるのかどうか。これだけの施設規模だと、毎年迫られる維持管理費も半端な額では済まない▼この建設計画に欠けているのは、今のサッカー界に、将来のレベルアップに何が必要かという視点。その点でJAWOCの発想は一時代前と言われて仕方ない。それでなくても、わが国の施設は欧州などに比べて遅れている。剰余金こそ、そのために使うべきではないか▼サポーターが言うように、これだけの予算があれば芝生のグラウンドを幾つも造ることができる。さらに指導者の養成など求められる使い道はほかにも…。W杯の剰余金としてどちらが趣旨に合った、生きた金の使い道か、改めて問いかけるまでもないことなのだが。(H)


3月19日(水)

●懸念された最悪のシナリオとなった。米英などによるイラクへの軍事攻撃が、20日午前10時以降にも。国際社会を賛否の渦に巻き込んだ末に、米などが選択したのが、国連の新たな決議を得ないままの攻撃決定。刻々とその時が近づいている▼それにしても腑に落ちない点が多々。その一つが国連の存在意義。過去にも再三、指摘されたことだが、大国の前にあまりに無力だということ。拒否権付与の是非など抱える問題を露呈した格好で、その意味では加盟各国に改めて問題を提起したと言えなくもない▼最大の疑問は、新たな決議案を巡るこの数カ月の議論は何だったのか、ということ。米は昨年の決議をよりどころとして持ち出したが、ということは、努力したというポーズだったとも受け取れる。これでは…。もう一つは日本政府の対応。方針はともかく、経過が情けなさ過ぎる▼追随型と揶揄される日本外交が、このイラク問題も然り。日米同盟も、国際協調も分かるが、どう考える、は先送りし、「よく見守って」では、各国から軽く読まれて当然。何ら主体性を見せることなく、誰もが予想した通りの軍事攻撃の全面支持である▼理由はともあれ、軍事攻撃で犠牲になるのは、何の責任もない一般の人たち。過去の戦争でもそうだった。数え切れない人が亡くなっている。今も後遺症を抱えている人が世界には少なくない。苦しむ人が増えると分かっているのに…。米の予告時間は30時間を切ってしまった。(N)


3月18日(火)

●小泉内閣の支持率は40%そこそこ、かろうじて不支持を上回っているレベルに。首相就任後、しばらく50%を維持し続けてきたが、「遂に」というか、来るべき時がきた感じ。緊迫するイラク問題や北朝鮮問題など最近の言動を見ていると、それも頷ける▼支持率は言葉を変えると、国民の期待度。そんな思いを抱かせるメッセージが伝わった時期があった。孤軍奮闘とも映る姿に「何かしてくれそう」と。新鮮だったし、勢いも感じられた。それに加え、分かりやすく、歯切れのいい言動。今や心なしか表情も暗い▼雇用環境は悪化など国民生活に切実な経済政策を見ても、精彩を欠いたまま。毎度の「方針を曲げることなく構造改革まっしぐら」も空念仏に聞こえてくるように。イラク問題にしても然り。国会論議などを通しても、どう考えているのか、伝わってこない▼小泉内閣を支えてきたとも言える“メッセージ”が、完全に変質し始めている。最近は逃げている、そういった印象さえ受けることが多々。これでは…。確かに、まだ歴代の中では低い方ではない。だが、支持する理由に目を向けると、必ずしもそうは言ってられない▼積極的支持が激減して、「ほかに適当な人がいないから」が圧倒的に多いのだから。としたら、この40%も割り引いて考えなければならない。ほかにいないから、と言われる現実も悲し過ぎるが、人材難、それが国会でもか、となると、言葉を失ってしまう。それにしても、あの“メッセージ”は、どこへ行ったのやら。(H)


3月17日(月)

●18日は彼岸の入り。彼岸は亡き人を偲ぶだけはなく、サンスクリットでパーラミター(到彼岸)の意味。迷いの此岸から悟りの彼岸に到ることだ。三途の川の向こう側、黄泉の世界。お盆や彼岸に、人は果たして彼の岸から帰ってくるのだろうか▼阿蘇山ろくの町で死者が死んだ時の姿のまま蘇り、生者の前に突然現れるという現象が相次いだ。調査にあたった厚生労働省職員が慕う女性も蘇った幼なじみの女性。死者への思いが現象を引き起こすのか。奇跡が幸せを招くとは限らない。帰還した死者と迎える家族のaオ藤…(映画「黄泉がえり」)▼死後の冷凍保存で生まれ変わりに挑戦。腐敗が進まない液体窒素の中に遺体を保存、科学の進歩で蘇りが可能になったら第二の人生を再開できる。冷凍人間の蘇生は科学者の間でも意見は分れているが、毒性のない冷凍保護物質が発見されれば可能という。費用は約340万円(英国での話)▼ホワイトハウスで聖書研究会を開き、演説で必ず神に言及するというブッシュ大統領。信心深いクリスチャンが「悪との戦い」を繰り広げようとしている。腕力で他国を破壊してもキリストは蘇らない。ひと昔の湾岸戦争の兵士たちを黄泉がえさせよとしている。地獄は見たくない▼北海道の彼岸はまだ雪深く、雪かきをしてから墓参だ。黄泉がえった先祖から「生と死」「戦争と平和」についてアドバイスを受けよう。寒さ暑さも彼岸までというが、戦争が起きて「彼岸きて悲願つづけてまた彼岸」(小尻みよ子さん)と詠まないですむ世界にしたいものだ。(M)


3月16日(日)

●函館江差自動車道の函館IC―上磯IC間の開通が、一週間後に迫ってきた。8.4キロという距離だけを聞けば、物足りなさを覚える向きもあろうが、実感できないだけで、利便性が増すことは多々…。待ちに待っている人が少なくないに違いない▼先日の本欄でも別の臥牛子が触れていたが、地域にとって価値ある第一歩は距離で推し量れない。もちろん速いテンポでの建設延長が課題だが、同時に求められるのが地域の理解と利用。道路は使われて価値が生れるものであり、身近な存在になることで価値が倍増する▼その視点から望まれるのが、住民の理解の上に立った緑化の取り組み。道南ではすでに函館新道で試みられているが、この函館江差自動車道でも…。函館開発建設部は今年秋にも植栽に着手する考えだが、「緑に包まれた並木道路」がイメージされている▼詳しく計画をみると…。例えば4カ所のIC周辺は、スムーズに一般道に降りられるよう視線誘導するため、トドマツなどの常緑針葉樹を列状に植栽、道南なじみの樹種や各町の木をランドマークにするなど。10年後、20年後に思いをはせると、素晴らしい光景が頭に浮かんでくる▼交通の障害になっては問題だが、盛土部分の法面などはともすると無味乾燥になりがち。緑を生み出すことは新たな憩いの場の創出も意味する。とすると、この取り組みを地域が担うことは将来の財産づくり。そこに地域が協力するに見合う価値と意義がある。(H)


3月15日(土)

●東京、札幌の中心部をみていると、不況はどこのこと、と錯覚すら覚えてくる。東京の汐留、品川、六本木などでの高層ビルの建設ラッシュは、好景気時代の雰囲気。札幌もJRタワーと呼ばれる巨大な新駅ビルが開業し、見違えるような変貌を遂げた▼「さすが大都市は違う」。そんな思いがこみ上げてくるが、正直なところ、身近に感じる不況感とあまりにもかけ離れた光景に映る。だが、こうしたプロジェクトがないと、さらに雇用は悪化し、景気を下支えできない、それも現実。なるほど。でも、その資金はどこから…▼言うまでもあるまい。景況感は悪いまま。内閣府が先日、発表した「社会意識に関する世論調査」の結果にも、はっきりと表れている。景気が悪化している、と答えた人は3人に2人の65・3%。2年前に比べてこの率が減るどころか20%もの増加を示している▼さらに…。悪い方向に向かっている分野を順番に挙げていくと、まずは切実な雇用・労働条件。続いて赤字が深刻な国の財政、国の経済力。そして治安、物価、自然環境などと。この結果から集約される思いは「生活不安」だが、それだけは函館・道南も一緒▼期待感を肌で感じられない。今を感じる思いが縮んでしまっているということだろう。この調査でも社会より個人生活を重視する思いが増幅、その結果として、国や社会のことに目を向ける余裕が薄らぎつつある。このままでは…。意識は危険水域に。そうも思えてくる。(A)


3月14日(金)

●春闘が本番を迎えた。これから5月にかけ中央から地方へ、と移ってくるが、今年はここ数年にも増して経営者ペース。定期昇給見直しの継続協議が一つの落としどころという電機などの大手企業の回答が、この現実を如実に物語っている▼経済環境がバブルの時代とは違う。だから今と比べて語ることに意味はないし、企業間格差も開いているが、電機をはじめ自動車などの業界が春闘で注目を集めるという点は一緒。そして、開けてみると…。ベースアップに応じた日産など別格もあるが、予想通りの厳しい内容▼「平均の賃上げ率は、昨年を下回って過去最低になりそう」。そんな観測が流れる中での春闘入りだけに、この回答にも受け止め方は比較的平静。「定期昇給だけでもよしとしなければ」という声も聞かれるが、それにしても人件費の抑制は遂にここまで、という思いが込み上げてくる▼でも、大手企業の賃金には過去の積み上げがある。さらに今春闘でも一定レベルの一時金が確保されている。それに比べて、このあとに控える中小企業、さらに地方の企業は…。賃金もさることながら、雇用の確保が重くのしかかっている▼2月の道内景気予測調査でも、雇用は「現状も、先行きも過剰気味超の見通し」というのだから。遂に市町村職員の給与削減も現実になっている。経営者は頭を抱え、サラリーマンはため息、そして家計を預かる主婦からは悲鳴が…。今年もやるせない気持ちで春を迎えることになる。(N)


3月13日(木)

●人が殺された世界最古の証拠は14000年前のナイル上流の墓地。殺傷痕がある24体が見つかった。日本では2500年前の縄文時代、土佐市の遺跡から出土の人骨に受傷痕が見つかっている。水争いや土地争いから衝突していた…。人はどうして戦争をするのか▼イラクへの攻撃迫る、空爆秒読み…連日、新聞の見出しが飛び込んでくる。日本人ら約100人が「人間の盾」としてとどまっている。道内でも函館、札幌などでピースウォークで反戦を訴えた。オホーツクの流氷の切れ間の海に入って「NO WAR」を掲げた映像が目をひいた▼戦争と平和、平和の方がいいに決まっている。米国がイラクを攻撃したら、ばく大な費用がかる。最悪の場合は200兆円超というから驚き。戦争が1カ月間としても日本に求められる負担額は約2兆円。そんな金があったら景気浮上に回した方がいい。株価が急落し、日本はダウンする▼大量破壊兵器がテロリストの手に渡るのは困るが、同盟国のカナダは国連の査察を1カ月延ばせと主張している。イラクは小型ミサイルの半分を破棄した。古代文明の一つ「メソポタミア」発祥の地のイラクには、1万カ所を超える遺跡がある。攻撃は世界遺産の破壊にもつながる▼日本で難病を治療しバグダッドに帰る際に「アメリカは大嫌い。攻撃が始まったら戦います。だけど、平和になってほしい」と言った12歳のイラク少年の言葉、どう思いますか。何千年たっても何万年たっても、殺傷痕や受傷痕が残る戦争は反対。米英は勇気を持って、思いとどまってほしい。(M)


3月12日(水)

●大野町に毛無山という山があることは、あまり知られていない。初めて聞いた一人だが、それも何度か足を運んだことのある檜沢(ひのきざわ)の滝、さらに大石の沼から先に進んだところ…。うれしいことに今、登山道を造ろうという計画が進んでいる▼標高は750メートル、昔は絵図にも描かれ、実際に物資を運ぶ道として利用されていたという。景観もいい、野草も楽しめる、そんな山に光を当てない手はない、手を挙げたのは町民有志だった。すでに整備のスケジュールを固め、計画の具体的な取り組みに▼5月にも開放される見通しだが、結構、変化に富んだ楽しい登山コースが期待される。登山口も近い。檜沢までは平坦な、どちらかと言えば散策路。そこから少し急な登りがあるものの、大石の沼までは緩やかな登り。さて、その先だが、開削、整備はこれから…▼心配する必要などない。有志の人たちは専門家であり、原則として景観と自然に配慮することも確認済み。道幅を広くしないという考えはその一例だが、その原則に立って勾配があまり厳しくならないルートを選ぶ方針で、おおよその所要時間は片道3時間半程度▼行きと帰りに寄る檜沢の滝の清涼感…。夏山愛好家には今年の楽しみが広がる。感謝、感謝の一人だが、素晴らしいのは有志の人たちの気持ち。「自然豊かな大野の新たな名所になれば」。本紙の取材にこう答えているが、この何気なくも映る言葉の中に、まちづくりの大事な視点がのぞいている。(A)


3月11日(火)

●「こうなるのは何故」。そんな思いがこみ上げてくることは多々あるが、読売新聞が行った全国青少年アンケート調査結果も…。この国に、将来に希望を失っている失若者が多いと思われる結果なのだから。衝撃が走るが、現実として受け止めざるを得ない▼調査の対象は中学生以上の未成年者5千人。幾つか結果を拾う中から、それがうかがえるが、さまざまな思いがこみ上げてくる。例えばわが国の将来について。「明るいと思う」が24%に対し「暗いのでは」が75%。昨年、行った成年対象の結果より「暗い」が10%も高い▼もう一つ、わが国は努力すれば成功出来る社会か、に関しても「そう思う」の24%に対し「そう思わない」が75%。これも成年に比べ10%高いのだが、気になるのは中学生ですでに71%を数え、それが高校・大学生になるとさらに上がって80%レベルになっていること▼これらから推測されるのは、頼りどころを見つけられないでいる姿。それが現実否定のニュアンスとなって表れているのだろうが、救いは現実を捨ててはいないこと。個人の生活は大事に考え、85%が高学歴の方が将来有利と答えているように自暴自棄にはなっていない▼「こうなるのは何故」をひも解くのも大事だが、改めて持つべきは「放っておいては大変」という認識。だが、政治も信頼に欠ける、景気も回復しない、親の口から出るのはため息ばかり…。妙薬はこの閉塞感ある世相を一掃することと分かっていながら、その薬の手配が頑として進まない。(H)


3月10日(月)

●休 刊


3月9日(日)

●3月24日午後2時半…。渡島と桧山を結ぶ大動脈が期待を担って歴史を刻み始める。それは高規格道路の函館江差自動車道。開通するのは函館ICと上磯IC間8・4キロだが、地域にとってはかけがえのない第一歩。開通の意義はそこに集約される▼今や一般語となった「インフラ」という言葉。正式にはインフラストラクチャーというが、道路、港湾、通信など社会・産業発展の基盤となる施設を意味する。その整備こそ地域発展の前提だが、現実は全国押しなべて均等でない。進んでいる地域もあれば、遅れている地域も▼そのインフラの中で重要なのは交通網。函館・道南に限って言うなら陸路、空路、海路すべてに課題を抱えるが、とりわけ切実なのが幹線陸路の整備。道央と結ぶルートが国道5号だけという脆弱な実態を語るまでもなく、高速道路、高規格道路は地域の叫びとも言える▼なのに…。最近の議論で気になるのは公団の民営化問題と絡めた高速道路建設抑制論。市町村の合併にも言えることだが、その背後にあるのは全国一律の考え方。必ずしも採算性を否定するものでないが、それだけで判断するなら政治に求められるものはない▼この函館江差自動車道はこれからが大事。函館―江差が結ばれるのは何時のことになるか不透明だが、国縫―峠下間の高速道路とともに今の時代が残す将来への贈り物。確かに今年開通するのはわずか8・4キロでしかない。車ではあっという間の短い距離だが、この開通が持つ意味は全区間にも匹敵する。(A)


3月8日(土)

●やぐら太鼓のバチ音ひびいて、9日から風薫る大相撲春場所。初土俵から4年目で横綱に上り詰めたモンゴル出身の朝青龍が主役。紀元前3世紀に軍事教練として広まったモンゴル相撲。ジンギスカンの日本襲来は失敗したが、朝青龍は「日本の土俵」を征服した▼黒船と呼ばれた巨漢の小錦が来日してから20年。今では外国出身の力士は11カ国51人で全力士の8%。春場所では十両以下でも外国勢の優勝が6人のうち5人まで占めた。十両の朝赤龍、三段目の時天空(モンゴル)、幕下の黒海(グルジア)、序ノ口の琴欧州(ブルガリア)…▼日本力士との違いはハングリー精神。モンゴルから来ている高校留学生は「お金がほしい。郷里の家族を楽にさせてやりたい」と言い、強さの秘訣は現地語の「ピスタ」だと胸を張る(ピスタは「チクショウ」の意味)。朝青龍の横綱昇進の口上は日本人が忘れた「一生懸命」だった▼平安時代はチカラビトと呼ばれ、投げ倒すか、突き倒すかして、手か膝を付かせれば勝ち。モンゴル相撲は組んだ形から投げ飛ばすまで続ける。両方とも土俵はなかった。日本の相撲甚句や土俵入り、モンゴルのツォル(謡)や鳥の舞など、どこか似ている▼もともとは「一所懸命」。国内勢力士には「命を懸けた」教練が必要かも…。相撲界の国際化は時代の流れ。100カ国以上で衛星中継されている。朝青龍「青いオオカミ」は、体の切れと技で勝負し、巨漢も小兵も同一条件で戦う相撲の魅力を発揮してほしい。数々の名勝負が生まれる春場所が見たい。(M)


3月7日(金)

●3月も中旬を迎えると、心も体も春を実感する。確かにまだ肌寒感を覚えるが、夜明けは早まり、木々など自然界からは躍動感が伝わってくる。あと1カ月もすれば…。そう思っていたら、気象庁からサクラ(ソメイヨシノ)の第1回開花予想が発表された▼日本列島に数ある花の中で、サクラほど老若男女こぞって楽しみにする花はない。種類が多いこと、開花期間が長くないこと、それぞれに歴史があること、その理由は個々人さまざまだが、枝いっぱいに咲き乱れる美しさに魅かれる思いは共通したものに違いない▼それにしても“名所”の数多いこと。旅行雑誌ばかりか、専門の紹介書も出ているが、全国名所だらけ、といった感じ。もちろん、道南の松前城公園や五稜郭公園などがノミネートされているが、掲載されている写真はいずれも素晴らしく、気持ちがそそられる▼さて、今年はどこの名所へ、と考慮中の人も多かろうが、旅行代理店からはサクラツアーの企画が次々と。悩みは時期…。混むところは早めに予約を、となるが、自然が相手だけに都合よく合わせてはくれない。実際、昨年のように大幅に早まる年もあるのだから▼そこで頼りにするのが開花予想。第1回発表によると、今年も早目らしい。まだ関東以西だけだが、高知や宮崎で今月20日、東京などはその1週間後…。国民の関心が高いことを受けて、気象庁は今年から1週間ごとに発表する方針という。サクラが日本列島を魅了する時期が間もなくやってくる。(H)


3月6日(木)

●函館の“売り”を挙げる時、欠かせないのが夜景。悪天候の日を除いて、空気が澄んでいる冬場はとりわけ美しいが、それは函館山からの市街地ばかりでなく、堀の輪郭が電飾で縁取られた「五稜星の夢」を五稜郭タワーから眺めるのも…▼4日の本紙に「函館の夜景紹介どうもありがとう」という記事が載っていた。ちょうど、その前日。臥牛子も日本航空の機内誌「Winds」を読んで、これは感謝しなければ、と思っていたところだった。訪れたことはないが、香港やナポリよりも上だという話である▼しかも紹介しているのは作家の浅田次郎氏。「函館の夜景は掛け値なしに美しい」「年に一度は(函館の)夜景を見なければ気が済まない」。こんな言葉が並んでいる。井上市長が礼状を出す気持ちになったのも頷ける。自慢の夜景を最大の表現で宣伝してくれているのだから▼この函館山からの夜景が“自然美”としたら、“人工美”で評価を高めているのが「五稜星の夢」。有志によって取り組まれて10年余。資金的な悩みを抱えながらも継続してきた努力が見事に開花、メディアの注目を集め、函館の冬発信の一翼を担い始めている▼2つの共通点は夜の「光」。函館山からの夜景は別格として、嬉しいのは五稜郭公園が変わってきたこと。夏に野外劇、冬に「五稜星の夢」。これでサクラやツツジの時期にライトアップがあれば。気づいていないだけで、実は『函館こそ「光」が映える街』。としたら、もっと「光」に敏感であっていいのかも…。(A)


3月5日(水)

●当然と分かっていても、法解釈と世間の思いとの違いに疑問が沸くことがある。どうしてこんな判断が示されるのか、と思った経験を持つ人が少なくないと思うが、つい最近の旧拓銀元頭取2人の判決、国の責任に踏み込まなかったJCO臨海事故の判決もその例に漏れない▼JCOの事故は確かに核燃料加工会社がずさんな業務によって起こしたものだが、そうは言っても事は原子力にかかわる社会的影響の大きい事故。となると国の監督責任は免れないというのが世間の思いのはずだが、判決は…。旧拓銀元頭取2人の無罪判決にしてもまったく意外と映る▼道民を信頼させていた都市銀行を、ずさんな融資を続けて破綻させた責任は重い。例え自己保身でなかったにせよ、そのために影響を受けた企業は少なくなく、職を失った行員も。そう考えると、特別背任事件の判決だからと言われても釈然としない▼もちろん誤判断だと主張しているわけでない。これが法律の世界と割り切るしかないのだが、釈然といないと言えば、当社が抱える裁判もそうだ。公取の審判に持ち込み、一転して同意審決を申し出たことは、世間の思いからすると違反行為を認めたことを意味するが…▼相手の会社の主張は、それは係争を早く終結させるためで(違反行為を)認めたわけでないのだと。何度も書面を読み返し、こんな詭弁がまかり通るものかと思うのだが、これも法律の世界では…。今、世の中では漫才コンビが奏でる「なんでだろう!」がブレイクしているが、考えてみると、そう思うことが何と多いことか。(N)


3月4日(火)

●何事も昔と比べるべきでないが、最近、複数の人から比べる思いがにじみ出た同じ趣旨の話を聞いた。「もっとこだわりを持ってほしいんだよな」。いずれも社員の意識について雑談していた時の話だったが、ここでキーワードとなっている言葉は「こだわり」▼そう言う背景にあるのは、仕事は確実にこなすが、一歩踏み込んで行動に起こすところに欠ける、という思い。考えてみると、今の時代、何事も淡白になっている。「淡々と」。けっして悪くはないのだが、ただ仕事となると、話は別ということかもしれない▼「こだわり」の意味は…。講談社の「日本語大辞典」によると「わずかなことに気持ちの上でとらわれること」。受け止め方によって微妙な言葉でもある。例えば、しつこいといったニュアンスにも取れるし、より良いものを求める動きといったニュアンスも▼「いい仕事はこだわり無くして生まれない」。確かにそれは実感する。経営者からすると、社員に求めたくもなる。分からないでもないなと思っていた矢先の19日、本紙で「こだわった」の活字に目がいった。それは布目のイカ塩辛「海響」が賞に輝いたという記事の談話…▼こんな表現だった。「低価格化が進む中で、逆に価格が高くてもこだわった製品を作ろうと考えました」。そうか、教えられたという思いだった。社員に「こだわり」を期待するのも当然だが、同じことが企業も求められているということを。改めて「こだわり」が問いかける意味を噛み締めたい。(A)


3月3日(月)

●「明かりをつけましょぼんぼりに お花をあげましょ桃の花」…。桃の林を抜けたところに洞窟があり、洞窟の先に明るい別世界が開けた。永遠の世界がゆっくり流れるユートピア。争いごとなどない理想郷。桃の花びらが風に乗って舞う(陶淵明「桃花源記」)▼ひな祭りも、凧など正月の遊びと同じように中国の風習が日本に伝わったもの。3月3日、または初めの巳の日に水辺で災厄を払ったのが原点。それが人間の「汚れ」をうつした人形を川に流す「流し雛」になったり、「払い」の道具だった人形が女児の玩具として広まったようだ▼桃の花は神秘的。桃源郷の果樹園の奥にある1200株の桃は聖なる果実で、不老不死の妙薬ともいわれた。漬けた桃の花びらを浮かべた古代中国の桃花酒。秦の始皇帝や楊貴妃もこの仙薬を愛用していたとか。だから、子供が病気にかからないで、健やかに成長するよう桃に託した▼昭和10年に作られた童謡「うれしいひな祭り」はサトウ・ハチロウの詩。親が離婚してサトウ宅に引き取られた3人の子供が、ひな人形をじっと見ている姿に「幼いから母親が恋しいだろう…」と思い、書き上げたという。だからか、この歌から哀切が伝わってくる…▼今の世界は「ひな祭り」どころではない。痩せ細ったアフガンなどの子供たち。核開発に進む隣国、米英の攻撃が迫った中東の国。危険な花火を打ち上げたら、わが身にふりかかる。愛唱されている童謡が「明かりをつけたら消えちゃった、お花をあげたら枯れちゃった…」にならないよう祈るだけだ。(M)


3月2日(日)

●「メッセージ」。最近よく登場する言葉。「……を発信する」「私からの……」などの表現で使われるが、この言葉は直訳すると「伝言」とか「口上」、さらには「声明」となるが、隠されている意味を凝縮すると「自分の思いを伝える」ということになろうか▼その手段は口頭であったり、文書であったりするが、手段はどうであれ大事なのはどう発するかということ。言うまでもなく鍵を握るのはその内容であり、伝わればそこに信頼感も生まれれば、期待感も膨らむ。当然ながら伝わり切れなかった時には反動が表れる▼例えば政治家。小泉首相をみていると分かりいい。華々しく就任した当時、構造改革の決意を熱く語り、取材にも自分の言葉で応じたことで、国民に思いが伝わった。それがかつてない高い支持率の原動力に。表情も生き生きとしていて、紛れもなく生きたメッセージだった▼それに比べて最近は…。目立つのは冴えない表情、歯切れの悪さ。経済政策や構造改革、さらには難しい判断を求められている北朝鮮やイラン問題等々、懸案が山積していることもあろうが、それにしても…。対応は同じでも、伝わり方が鈍いから距離が生まれる▼「メッセージ」は単なる言葉でない、気持ち、心があって意味を成すと言われるのもそれ故。伝わるものがないのは他の与野党のトップも同じ。無党派層が増えているのは国民からのメッセージなのだが、こればかりは与野党がこぞって受け取りを拒否し続けている。(A)


3月1日(土)

●「早春」「春暖」「春色」「春雪」「浅春」「春分」等々、3月を表す言葉が幾つかある。特に北海道では、この「春」という言葉に、長く、厳しい雪と寒さから解放されるという思いが込められる。自然界も息を吹き返し始め、躍動感が蘇って来る▼実際に日の出も日増しに早くなって、気温も上がり、木々も一気に芽吹き始める。「心うきうき」。そんな表現がぴったりだが、その一方で、3月は「別れの月」の側面を持つ。1日には公立高校で卒業式が行われるが、さらに言葉を変えると「区切りの月」とも言える▼進学、就職…。友だちと、家族と…。学生、生徒ばかりか、社会人も同じ。近年、時期が崩れてきたとはいえ、異動、転勤も多い。今年はそれに選挙が加わる。統一地方選挙。知事・道議選、市町村長・市町村議選とも投票日は4月だが、一足早く知事は3月27日に告示を迎える▼立候補予定者の表明の仕方に新しい流れがうかがえるが、現状ではほぼ5人に。先陣を切るこの知事選に限らず道議選、市町村長・市町村議選などの立候補予定者も、さらには事務方の選管も実質的にはすでに本番態勢。あわただしい3月が予想される▼そんな中で、気がかりは高卒の未就職者がかなり出そうなこと。先日、北海道労働局が発表した1月末現在の内定率は男女平均で56・3%。この段階でなお決まっていない生徒が4700人余も…。ちなみに道南の内定率はさらに悪く49・7%。胸を締め付けられる思いにかられる。きょうから3月…。(A)


戻る