企画【JOMON第1部②】三内丸山遺跡㊦

 「全国からたくさんの人が来るけれど、世界遺産登録を目指しているのを知らない県民も実はいるんです」。三内丸山応援隊会長のほか、「『青森県の縄文遺跡群』世界遺産をめざす会」事務局長も務める一町田工さん(73)は、世界遺産登録に向けた動きが活発化する一方で、遺跡のPRが必ずしも行き渡っていない現状を不安視する。

 青森県は2005年、県内8遺跡群の世界遺産登録を目指し、3道県に先駆けて単独で始動。目的達成には遺跡の価値や魅力を発信できる地域住民の存在が不可欠だ。同会は、地域レベルでそうした人材を養成しようと06年9月に発足した。

 主な事業は、遺跡を所有する各自治体職員らを講師に、関連市町などで開く市民対象の勉強会。回を重ねるごとに受講者が増えるなど好評で、地域の語り部として期待される会員は県内外432人(昨年11月現在)にまで増えた。一町田さんは「地域に根差した会員が遺跡を積極的にPRしてくれる」と手応えを感じつつ、「500人到達までまだまだ」と気を引き締めている。

 08年9月、ボランティアガイド団体の三内丸山応援隊など、縄文文化遺産の保存・活用に携わる18市民団体が「北の縄文文化回廊づくり推進協議会」を立ち上げた。地域間交流や情報発信を推進しようと年1回、各団体役員が連絡会議の場を設ける。

 一町田さんが期待するのは、地元の「足場固め」だけでなく、こうした大所帯が中心となって4道県関連市町を結び付ける横の連携だ。「今は各団体が単発で行動することがやっとというのが実情。遺跡を巡る研修や市民対象のツアーなど何でもいい。行政とともに民間でも新たな試みを進めないと」と力を込める。

 一方、06年に世界文化遺産登録推進プロジェクトチームを立ち上げた青森県教委文化財保護課は、早くから国内外の考古学専門家らを招いたフォーラムを県内外で展開。15遺跡群の中で最も注目を集める三内丸山遺跡が存在するのに加え、「縄文遺跡群世界遺産登録推進本部」本部長を三村申吾県知事が務めていることもあり、普及・啓発活動は3道県をリードしている。

 「海外の世界遺産の中にいは、人の手で環境が損なわれ、登録が取り消された例がある。だからこそ遺跡の価値に理解ある地元住民が必要」。そう強調するのは同チームの増田仁副参事(51)。地域の機運を盛り上げることで、確固とした遺跡保存が可能な世論を生み出すためだ。

 縄文など先史時代に該当する世界遺産が数少ない半面、今後登録の審査が厳しくなるとも言われている。県教委も講座や縄文の語り部育成などの事業に年々力を入れるが「感覚的に現状のままでいいはずがない」(増田副参事)不安感がある。今後は、これまでの普及・啓発事業に加え、関心を喚起する新たな試みも求められている。(長内 健)

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