◎小児科診療日誌/あんざいクリニック・安斎由紀子先生(2008.11.2)

★楽しく食べよう

 
急に寒くなってきましたね。手足口病、ヘルパンギーナがようやく下火になり、小児科はインフルエンザワクチンを接種する子どもたちでにぎわっております。しかし急な寒さで体調を崩す方もいます。睡眠と休養をしっかりとって、健康管理につとめましょう。「食べる」「寝る」「遊ぶ」の子どもの三要素のうち、今日は「食べる」お話です。「食の安全」の問題もさることながら、子どもたちの「食べる環境」は好ましい状況にあるのでしょうか。
 平成17年度の国民健康栄養調査では6〜14歳の女の子のうち25%は肥満傾向、18%はやせ傾向、ちょうどいい体型のお子さんはわずか57%しかいませんでした(男の子も同様)。このような偏りは、子どもたちの食生活が健全ではないことを示しています。ではどういったところが問題なのでしょうか。
 まず大きいのが「偏食、好き嫌い」です。お子さんが好きなハンバーグ、カレー、とんかつ、ラーメン、フライドポテト、フライドチキンなどは、脂肪が多くカロリーが高い傾向にあります。これらを多く取る一方で野菜や食物繊維が不足していませんか。
 次に朝ごはんのことです。ある調査では朝ごはんを食べないお子さんが1割近くもいました。朝ごはんを食べないと元気に活動できない、集中力がなくなるという報告があります。また、ひとりで朝ごはんを食べるお子さんが2割もいました。家族そろって食事を楽しく取れているでしょうか。
 では、毎日の食生活でどういったことに気をつければいいのでしょうか。
 (1)早寝、早起きを心がけ、家族がそろって、ゆっくり、おいしく朝ごはんを食べましょう。
 (2)よくかんで食べましょう。
 (3)動物性脂肪を控え、大豆、魚類をとりいれましょう。
 (4)食物繊維を多くとるようにしましょう。
 (5)バランスよく食べましょう。
 (6)薄味になれましょう。
 (7)片付け、お手伝いなど家の中でこまめに動く習慣をつけましょう。
 (8)1週間に1度は体重を計りましょう。
 成長期にあるお子さんに、極端なカロリー制限やダイエットは好ましくありません。毎日の運動量に見合った食事をバランスよく取ることが大切です。やせすぎのお子さんの背景には、全身の病気や心の病気が隠れていることがあります。専門機関に相談しましょう。
 一方、最近大人だけでなく子どものメタボリックシンドロームも問題になってきています。ご家族みんなの「メタボ対策」のためにも、食生活をちょっと見直してみませんか。
 また、食事は家族のコミュニケーションの場でもあり、マナーを身につける場でもあります。家族そろって笑顔で、食べることを楽しみましょう。

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