◎小児科診療日誌/かみいそこどもクリニック・渋谷好孝先生(2009.2.7)

★インフルエンザ菌b型

 
毎年2月になるとインフルエンザの猛威が吹き荒れますが、今年は12月に小規模の流行があっただけで今のところ落ち着いているようです。今年から多くの大学で麻疹(ましん)ワクチンの接種を入学の要件にするところが増えました。高校3年生への麻疹・風疹混合ワクチンの公費接種は3月までです。忘れずに済ますようにしてください。

 昨年の12月から子どもと親と小児科医にとって待望のインフルエンザ菌b型に対するワクチンが任意接種で始まりました(毎年秋から冬にかけて行うインフルエンザウイルスに対するワクチンとは違うものなので、間違えないように、Hibワクチンということが多いようです)。インフルエンザ菌b型は細菌性髄膜炎といって、子どもがかかってしまうと5%が亡くなり、仮に死を免れたとしても25%に発達障害などの重い後遺症を残すとても恐い細菌です。

 細菌性髄膜炎にかかるのは多くは1歳以下のお子さんです。そのうち、インフルエンザ菌b型は6割程度を占めることから、ワクチンを積極的にすることによって予防することができるようになります。世界ではもうすでに多くの国で公費接種の形でワクチンが導入され、インフルエンザ菌b型による細菌性髄膜炎は、発症がほとんどみられなくなった国もあるとのことです。

 1月の終わりから2月のはじめにかけて、全国の小児科医からインフルエンザ菌b型の髄膜炎発症の報告がありました。ワクチン接種が始まったのに病気になってしまうお子さんが出たことは、とても残念です。ワクチンで防げる病気は、ワクチンで防ぐのが子どもにとって最善の方法です。

 ワクチンは、7ヶ月までに接種を始められるお子さんの場合は、1歳前に3回と3回目の1年後に1回。7ヶ月を超えて始めるお子さんは、1歳前に2回と2回目の1年後に1回。1歳を超えて5歳までのお子さんは1回の接種を行います。三種混合ワクチンとの同時接種も可能ですので、かかりつけの先生にご相談ください。値段は各医療機関でかわりますが、1回7000〜8000円が相場のようです。あなたの大切なお子さんを、このワクチンでぜひ守ってあげてください。

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