2007年10月10日(水)掲載

◎ミスはこだてが秋用制服披露
 観光都市・函館をPRする観光大使「第28代ミスはこだて」の秋用の制服が9日、お披露目された。ミスはこだての笠井絵美さん(22)、氏家香菜子さん(28)、松本彩さん(23)の3人が新しい制服を着て市役所を訪れた。

 秋の制服は丸井今井函館店(金輪浩之店長)が1988年から寄贈を続けている。今年の制服は、白と黒の千鳥格子の柄を基調としたスーツで、胸元のコサージュで華やかさを演出。軽くてしわになりにくく、適度な伸縮性のある素材を使い、快適な着心地に仕上げた。帽子や靴、バックは黒で統一した。

 谷沢広副市長と懇談したミス3人は「着心地がよくとても素敵なデザイン」「ミスの仕事が終わっても着続けたい」などと感想を話し、「函館のPRのために頑張ります」と意欲を新たにしていた。谷沢副市長も「新しい制服での活躍を期待しています」と激励した。

 今回の秋の制服は12月末まで着用する予定。19日に大分県大分市で開かれる物産展を皮切りにさまざまな公式行事に参加する。(鈴木 潤)


◎高3集団暴行死/少年2人を逆送
 函館市内の公園で8月下旬、同市内の私立高3年佐藤智也君(18)が少年7人に集団暴行を受けて死亡した事件で、傷害致死の非行事実などで送致された少年の審判が9日、函館家裁で始まった。同家裁(吉戒純一裁判官)は初日の審判で、強要や暴力行為法違反などの非行事実でも追送致された佐藤君の中学時代の同級生(17)と高校1年生(15)の少年2人の検察官送致(逆送)を決定した。函館地検に逆送された少年2人は、今後10日以内に起訴される見込みで、成人と同じ刑事裁判を受けることが予想される。

 この日、審判が開かれたのは少年7人のうち、犯行の主導的な役割を果たした元同級生を含む15―17歳までの少年4人。このうち、傷害致死のみの非行事実で送致された15歳と16歳の高校1年の少年2人について、吉戒裁判官は「さらに調査や審理の必要がある」として、審判の続行を決めた。

 審判は12日まで開かれ、残りの少年についても逆送や保護処分などの処遇が決まる。

 送致事実などによると、少年7人は8月26日夜、同市内の公園2カ所で佐藤君に集団で殴るけるなどの暴行を加え、頭部打撲による外傷性脳浮腫で死亡させた。このうち、元同級生や無職少年(19)ら3人については、函館地検が2日、事件前にも佐藤君を恐喝したり、いじめの様子を携帯電話で撮影したりしたとして、恐喝や強要などの非行事実で追送致していた。


◎共愛会の医療過誤/2医師を起訴猶予処分
 函館市の共愛会病院(福島安義院長)で昨年12月、当時の男性研修医(28)が胃に栄養剤を送るチューブの交換処置を誤り、同市内の女性患者(当時87)が死亡した事件で、函館地検は9日、業務上過失致死容疑で書類送検されていた男性研修医と、指導医の男性(50)の2人を起訴猶予処分とした。

 同地検は処分理由について「医療行為の手順にのっとって措置したとはいえ、患者が死亡した結果は重大」と2人の過失を認定。その上で遺族と病院の間で既に示談が成立していることなどを挙げ、「刑事事件として訴追するまでの重大な過失とは言えない」とした。

 同地検によると、男性研修医は昨年12月17日、腹部に開けた穴から胃に栄養剤を注入する「胃ろう」のチューブが外れていた女性患者を処置する際、誤ってチューブを腹腔(ふくくう)内に挿入し、指導医も研修医から報告を受けた際に十分な確認をせず、女性患者を2日後の19日未明に腹膜炎で死亡させた。

 福島院長は「今回の事件を受け、今年4月から医療安全対策の専任者を置くなど院内システムの見直しを図った。今後も再発防止に全力を尽くしたい」と話していた。


◎神山茂賞に近堂俊行さん/「恵山町史」編さん・執筆
 社団法人函館文化会(安島進会長)は9日、函館や近郊の郷土史研究の功労者に贈る2007年神山茂賞に函館市高丘町の元教諭、近堂俊行さん(72)が決まったことを発表した。近堂さんは旧恵山町の歩みをつづった「恵山町史」を編集長として11年の歳月をかけて刊行。同町の鉱業について詳述しており、後世に残る貴重な史料であることが評価された。

 同町史は1970年に発行された恵山町の旧名の尻岸内町の町史「尻岸内町史」を全面的に書き換えた内容で、95年から編さん作業を進めた。1483ページのうち近堂さんは約1200ページを執筆。尻岸内町史は年代別で記述されていたが、恵山町史は自然、先史、行政、産業、交通・通信、教育、宗教の7編で構成され、年表も付けている。

 特に産業編では、明治後半から大正前半にかけて採掘されていた古武井地区の硫黄鉱山について詳しく記述。一時期は日本の硫黄輸出の半分を占めていたことなどを文献検証により考究。安東璋二選考委員長は「学術的に高い価値があり、後世に残る貴重な史料となった。近堂さんの努力無しでは町史は実現できなかっただろう」と、功績をたたえた。

 受賞した近堂さんは「地域振興に役立つ一冊として評価された。良い街づくりへの意識作りに役立ってもらえれば」と話している。

 神山茂賞は函館出身の郷土史研究家、神山茂氏(1893―1965年)の業績をたたえ、函館文化会が88年に創設した。函館の文化高揚に貢献する郷土史研究者奨励事業の一つとして、函館や近郊の郷土史について優れた研究、出版など事跡を残した個人、団体を表彰している。89年から昨年までに15個人4団体に本賞、4個人3団体に奨励賞が贈られている。

 表彰式は神山氏の命日にあたる11月7日、函館市末広町4の五島軒本店で開かれる。(山崎純一)


◎まちづくりセンター開館半年/入館者4万人で好調
 函館市の市民活動の拠点となる市地域交流まちづくりセンター(末広町4)が、4月1日の開館から半年を経過した。半年間での入館者は4万989人で、丸藤競センター長(43)は「予想を上回る人数」と手応えを語る。観光客や市民が自由に立ち寄れる施設で、丸藤センター長は「今後は来館者が地域の商店を利用するなどの波及効果を狙い、地域活性化に結び付けたい」と話している。

 建物は、大正時代に建てられた旧丸井今井函館店で、同店移転後に市が購入し、分庁舎として交通局や水道局が入居していた。建物の外観や意匠を残し、市が耐震補強などを加えて整備した。

 同センターによると、4月の入館者は7503人で、市民や観光客の見学が多かった。5、6月は6000人台、7、8月は5000人台に落ち込んだが、9月は9157人で初めて9000人を超えた。夏場は盆休みなどで会議の利用が少なく、9月は市民活動団体の祭典「NPOまつり」で約2000人の来場があり、押し上げた。

 入館者のうち会議などの利用者は、4月が5・5%と低かったものの、現在は30%台と安定している。

 旧丸井や分庁舎を知る市民からは「きれいになった」「開放的で入りやすい」と好評。ただ「この建物が、まだ分庁舎だと思っている市民もいる」と丸藤センター長は語り、一層の情報発信に努める。

 1階インフォメーションコーナーでは、市内で発行しているフリーペーパーや無料情報誌のほぼすべてを入手できるほか、道南各市町が発行している各種パンフレットなども用意。インターネットのブログ(日記風サイト)は毎日更新し、サイトには市内のイベントや講座、お薦め情報を掲載している。同センターが発行する「はこまち通信」も情報の充実を図っている。

 丸藤センター長は「市民活動を身近に感じてもらうとともに、今後はスタッフが外に出て、市民活動の支援や相談などもしていきたい。ここに来れば必ず何かがあるというような施設づくりが目標」と話している。(高柳 謙)


◎半世紀にわたり大門で「杉の子」経営、杉目泰郎さん死去
 半世紀にわたり、函館大門地区柳小路の舶来居酒屋「杉の子」(函館市若松町19)のオーナーとして親しまれてきた、杉目泰朗さんが7日午後1時31分、肺炎のため市内の病院で死去した。83歳。

 杉目さんは1924年函館市に生まれ、42年に大東文化学院専門学校(現・大東文化大)に進学。戦後再び函館に戻り、58年に「杉の子」をオープン。大衆的な料金と杉目さんの親しみやすい人柄などで人気を集めた。ここ数年は高齢のため店に立つ回数は減っていたが、今年の9月半ばまで週1回のペースで店に出ていた。

 また、杉目さんは学生時代からラグビー選手として活躍しており、北海道ラグビー協会の現会長を務めていた。13日午後2時から、田家町18の11、ベルコ函館シティホールでお別れ会を行う。