2007年10月11日(木)掲載

◎大気汚染物質発生 範囲内 水質 一部で基準超え…函館市、07年度版環境白書
 函館市環境部が2007年版環境白書を発行した。同白書は市環境基本条例に基づき2000年度から毎年度発行していて、前年度までの市の環境状況や施策の実施状況をまとめたもの。大気環境については、公害の要因となる硫黄酸化物や窒素酸化物、粉じんの発生状況が法令に基づく環境基準を下回り、おおむね良好だった。河川の水質については、松倉川の三森橋でBOD(生物化学的酸素要求量)が02年度以来4年ぶりに基準値を超えた。

 白書によると、石油や化石燃料の燃焼に伴い発生する「硫黄酸化物」の06年度の測定は、一般環境大気測定局3局(万年橋小、亀田中、中部小)で実施し、各測定局の測定値は、0・004ppm、0・006ppm、0・004ppmと、環境基準(0・040ppm以下)をクリアした。

 高温での燃焼に伴い発生する「窒素酸化物」は、美原と駒場にある自動車排出ガス測定局で行い、それぞれ0・032ppm、0・034ppmで、環境基準(0・060ppm以下)を下回った。また、粉じんは一般、自動車の5測定局で実施し、いずれも環境基準(0・10mg/立方メートル以下)をクリアしている。

 このほか、有害大気汚染物質と定められているベンゼンやトリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ジクロロメタンの測定結果についても環境基準を下回った。ダイオキシンの判定については、大気、土壌、水質、川底の計13カ所で基準以下だった。

 市に寄せられた大気汚染に関する苦情については、過去5年間で最も多い10件で、ばい煙9件、粉じん1件。悪臭の苦情件数は05年度と同じ6件だった。 

 一方、河川の水質状況は、調査を行った本流、支流8河川のほとんどが良好な判定だったが、松倉川の三森橋で、BOD値が02年度以来4カ年ぶりに環境基準(1mg/l以下)を越える1・3mg/lをマーク。ほかの測定地では基準値の範囲内だった。

 他の河川のBOD値はすべて基準値の範囲内だったが、矢尻川、および新世川では環境基準を超えるひ素が検出された。

 白書は本編(A4判108ページ)と調査・測定結果をまとめた第2編(同、26ページ)の2冊。本編は「函館市の概況」「函館市の環境行政」「環境の状況」「環境基本計画の推進」「環境基本計画の進捗(ちょく)状況」の5章と資料編からなる。同環境部では1000部を作成。希望者には配布する。問い合わせは同環境部環境保全課TEL0138・51・3348。(鈴木 潤)


◎台風9号の被害 3億1987万円に…渡島支庁まとめ
 渡島支庁がまとめた9月7日の台風9号に伴う被害状況で、管内の被害総額が3億1987万円に上ることが分かった。このうち農業被害が1億5876万円と全体の半分を占め、特に農作物被害が目立った。

 農業被害の内訳は路盤流出など農業用施設が北斗、七飯、森の1市2町で77カ所368万円。農作物のうち、水田が北斗市で3・8ヘクタール197万円、畑は北斗、七飯、知内の1市2町で105・4ヘクタール1億2558万円で、北斗市では長ネギの倒伏、七飯町ではリンゴの落果などがみられた。特にリンゴ農家の被害が大きい七飯町の農作物被害は71ヘクタール1億1291万円と突出している。ビニールハウスなどの営農施設は知内、七飯の2町で153カ所2485万円だった。

 船揚げ場などの共同利用施設や漁港施設などの水産被害は函館、北斗、知内、松前、鹿部の2市3町で3711万円、林業被害は函館、鹿部、福島の1市2町で8431万円。河川や道路などの被害は函館、鹿部、森、七飯の1市3町で71カ所1719万円、水道施設が鹿部、七飯の2町で248万円。社会教育施設は函館、七飯、福島、知内の1市3町で9カ所57万円、学校施設が函館市と松前町で15カ所363万円となった。

 また人畜被害はなかったが、屋根のトタンのはく離や床上浸水の住宅被害が函館、松前、七飯、木古内の1市3町で28棟35世帯759万円に上った。(宮木佳奈美)


◎大分・竹田 牧市長らカボスPRに市役所訪問
 大分県特産のかんきつ類カボスをPRしようと、同県竹田市の牧剛尓市長らが10日、函館市役所を訪れた。同市は、函館四天王のひとり、渡邉熊四郎(1840―1907年)の出身地。両市長は、遠く九州と函館を結んだ歴史やまちづくりの話題で交流を深めた。

 渡邉は、幕末に函館に渡り、海産商として頭角を現し、明治期に金森洋物館を開業するなど、商いで財を築き、函館の都市基盤づくりに多大な功績を残した。

 牧市長は、函館に勤務していた知人が、元町公園の四天王像を見て連絡をくれたのがきっかけで渡邉の存在を知ったという。今回、特産品のカボスをPRしようと、同市の農業組合や生産者組合関係者ら6人と、函館を初めて訪れた。

 牧市長は西尾市長にカボスを手渡し、「焼き魚に、レモンを搾るよりもカボスがお薦め。焼酎に入れてもおいしい」とPR。このほか、工芸品「姫だるま」や、同市の自然を紹介し「小さな街だが、自然環境が豊か。ぜひみなさんにもおいで頂きたい」と話した。

 同市の訪問団は、11日午前10時から、若松町の棒二森屋前で、先着500人に、かぼすと入浴剤を無料配布する。(今井正一)


◎届け!無事故への願い…北海道ハーレー会・札幌警ら隊来函
 札幌市のハーレー愛好者でつくる北海道ハーレー会・札幌警ら隊が10日、交通安全の願いを届けようと、札幌屯田小学校(松本秀明校長、児童608人)のメッセージを持参して来函した。同日函館あさひ小学校(安藤信男校長、児童280人)を訪れて伝達。あさひ小の全校児童が屯田小に向けて書いたイカ型交通安全メッセージを受け取り、札幌へと向かった。

 警ら隊は、屯田小の児童が交通事故に遭ったことをきっかけに「子どもの痛く悲しい思いを大人に知らせ、交通安全意識を高揚させたい」と考え、9月に隊員8人で発足した。この日訪れたのは、松井敦利副隊長(44)と妻の由美さん(34)、谷典幸さん(56)の3人。9日朝に札幌を出発し、同日夜に函館に到着していた。

 あさひ小には、函館のハーレー愛好者8人も合流して共に来校。エンジン音を響かせて登場した隊員らを全校生徒が出迎えた。松井副隊長は「多くの人に無事故を願う思いを分かってほしい」とメッセージを児童に手渡した。これに対し中野日南児童会長(6年)は「事故に遭わないように気を付けます」と応えた。

 警ら隊は15日に屯田小に到着し、あさひ小のメッセージを伝達する予定。(小泉まや)


◎地域経済のため一層尽力…北陸銀・高木頭取が来函
 北陸銀行(富山)の高木繁雄頭取が10日、函館市内のホテルで記者会見を開いた。高木頭取は「函館は、北前船に代表されるように、北陸と縁のある方々が心血を注いで開拓したかいもあって、立派な水産都市、北海道の玄関口として成長した。3年前に経営統合した北海道銀行とスクラムを組みながら、地域経済のために、一層尽力していきたい」と抱負を語った。

 同行函館支店(同市若松町17、串田茂支店長)の開設90周年記念懇親会に出席するため、来函したもの。

 高木頭取は、道銀との経営統合から3年が経過したことに触れ、「相互補完的、協調的で、非常にうまく行っている。銀行は人間が中心の企業体なので、両行の特質を生かしながら発展できる良いモデルになった」と説明。業務効率化を図った結果、コスト削減額を30億円と試算した。

 また、今後の道内については、「北海道新幹線の開業で内地との密接度が変わり、経済の格差は無くなってくると思う。国の施策として、札幌まで早く開通する方が経済効果は出るはず」と述べた。(浜田孝輔)