2007年10月18日(木)掲載

◎企画 定住への道(下)…移住者受け入れ もてなしと誇りが必要
 仙台市から昨年10月に夫婦で函館に移り住み、4月から本町で牛タン焼き専門店「梵天丸」を経営している鈴木健二さん(53)、秀子さん(47)夫妻は「どうしてこんな函館に来たの?」と客に問われることが多く、驚いたという。「外から見ると、函館は魅力のある地。肩ひじを張らずに生活でき、市民はもっと自信や誇りを持っていいのでは」と夫妻は考える。

 確かに函館は長引く景気の低迷や人口流出、少子高齢化など課題は少なくない。市の移住事業の大きな目的は(1)人口増(2)移住者が函館に新しい風を吹き込む(3)知識や技術を持った人材による地域活性化(4)新産業創出や雇用の確保―などがある。

 鈴木さん夫妻は函館では珍しい専門店を開き、まさしく経済効果や新たな風、活気をもたらそうとしている。映画やドラマの大ファンという夫妻は「函館はもっと『映画の街』を全国にアピールすべき。昭和30年代の東京の風情が函館にある。ロケ地だけでも貴重な資源。そして、この街を発展に向けて変えていこうという市民の元気も欲しい」と語る。

 鈴木さん夫妻と同様に、函館でさまざまな事業や開業を考えている移住体験者も多い。移住を総合的にサポートする北海道コンシェルジュ(函館市)によると、この1年間で、首都圏の針きゅう医、窯を開く考えのある陶芸家の弟子、行政書士など、若い世代での希望者も増えているという。

 また、移り住んだ函館で社会貢献をしようと考えている移住者も多い。神戸から今春移り住んだ70代の男性は「1年間はまず、街の隅々まで見たい。英語ができるので、外国船の入港などで通訳などのボランティアや仕事の立ち上げをしたい」と考えている。

 市の定住促進事業を担当する企画部の藤田秀樹参事は「地域や社会への貢献のほか、起業などで地域を活性化させたいという思いを持っている人は少なくない。特殊な技能や人脈を持つ人材を企業が雇用することで、時間と資金がかかる情報収集が容易になる効果も期待できる。起業化支援の情報提供や企業が求める人材をうまく紹介できるような機能が今後、求められてくる」と話す。

 移住を考えても、実際に移り住むまで2―3年はかかるという。その間に函館を候補地に選んでもらい、体験移住などを通して成果に結び付けることが大切。

 そのためには函館の活性化や地域の魅力を高めることが必要だ。定住促進事業だけでなく、人材育成や産業振興、雇用開発、ホスピタリティー(もてなしの心)の向上など、種々の事業の成果が表れて、移住者受け入れの環境が整う。それには市民の協力が何よりも欠かせない。

 定住促進事業は最終的に、市の多様な施策と同様に『誰もが住みやすい街づくり』をゴールにしている。誰もが住み良い街には、結果として市民が残り、移住者も集まる。市民生活の向上を図る、市民のための事業とも言えそうだ。 (高柳 謙)


◎函館開建と道コカ・コーラ「おしらせ道南ねっと」運用開始
 函館開発建設部と北海道コカ・コーラボトリングは17日、同開建庁舎で電光掲示板付きの自販機を活用した情報提供「おしらせ道南ねっと」の運用を開始した。道内開建では初めて。同社の自販機を媒体に、同開建がインターネットを使った遠隔操作で道路情報や地域のイベント情報、気象情報、時事通信ニュースを配信する。

 「災害に強いまちづくり」「魅力あふれる北海道観光の形成」などの共通認識に立ち、同社と道開発局が2006年9月、道路と地域の安全や地域振興支援などの取り組みを協働する趣旨の包括協定を締結した。

 自治体を交えた3者で「道の駅」に電光掲示板付きの自販機を設置し、後志地区を中心にこれを活用した情報提供「おしらせ道ねっと」の運用を進めてきた。道南地区では今年3月から順次、厚沢部、乙部町、せたな、福島、上ノ国の5町の道の駅で運用開始した。

 同開建での運用は包括協定に基づくもので、同社が自販機の運営や通信費を負担し、同開建は情報の管理や提供を担う。この日の運用開始に当たって、同社と、同開建が協定を締結。協定書の手交式で同開建の大寺伸幸部長は「北海道を元気にして喜んでもらえる事業は重要」と話し、同社広報・CSR推進部の上島信一部長は「皆さまの力を借りて元気な北海道にしてきたい」と話した。 (宮木佳奈美)


◎新幹線新駅周辺整備計画事業計画固まる
 【北斗】2015年の道新幹線新函館(仮称)駅の開業に向け17日、市は新駅周辺土地区画整理事業や計画の概要を固めた。事業区域は13・5ヘクタールとし、2010年の居住区域整備を皮切りに、新駅前広場、駅前道路などを6カ年計画で完成を目指す。br>
 この日市役所で開かれた第3回道新幹線建設促進及び地域振興等に関する調査特別委員会(水上務委員長、委員8人)で明らかになった。

 事業計画については、道から08年9月末の事業認可を目指し、08年度測量、09年度設計・調査、10年度から本格的着工などの計画詳細を提示。また、整地や下水道土地区画整理事業費として、第5回特別委員会(06年11月)の試算より13億2400万円増の事業費33億5500万円を見込むほか、区域内外の下水道や道路整備などにまちづくり交付金の活用を目指し、国へ都市再生整備計画書提出も検討していることも明らかにした。

 また、新駅北側から七飯町へと続く北ルートとJR函館本線(在来線)踏切の改良などアクセス道路の計画や土地区画整理事業区域内関係者の意向調査も公表。区画整理区域内全101人を対象とした意向調査では、減歩と換地を軸とした土地区画整理事業についての反応を紹介。今後、地権者との協議を進めるほか、地権者や学識経験者で構成する土地区画整理審議会を設置する方針も示した。 (笠原郁実)


◎10月の石油製品小売価格調査、ガソリン144・51円
 函館市は17日までに、10月の石油製品小売価格調査結果をまとめた。ガソリン(レギュラー1リットル)の平均価格は前月よりも0・08円高の144・51円で2カ月ぶりに値上がりした。家庭用灯油(1リットルホームタンク用)、軽油(1リットル)、重油(1リットル)の平均価格も値上がりし、いずれも今年の最高値を更新した。

 まとめによると、ガソリンの最高価格は前月よりも2円高の152円、最低価格は前月と同じく138円だった。

 家庭用灯油の平均価格は前月よりも0・70円高の83・20円で、最高価格は前月よりも4円高の94円、最低価格は前月と同じ75円。

 プロパンガスは、5立法メートルの平均価格は前月と比べ14円安の5026・95円で、最高価格、最低価格は5700・0円、4400・0円とともに先月と同じ。一方、10立方メートルは同11・41円安の8055・14円で、最高価格、最低価格は先月と変わらず1万0154・0円、6500・0円。

 軽油の平均価格は前月よりも0・15円高の124・90円で、最高価格が1円高の130・0円、最低価格が前月と同じ117・0円だった。重油の平均価格は前月と比べ0・11円高の81・92円。最高価格は前月より2円高の89・0円、最低価格は前月と同じ75・0円だった。

 調査は卸および小売を兼ねる13店、小売販売のみの17店で12日に実施した。 (鈴木 潤)


◎附属小の花田さん、07年度火災予防作文コンで道知事賞
 道教育大附属函館小学校4年の花田理(あや)さん(9)が、道が主催する2007年度の火災予防作文コンクールで最高賞の道知事賞を受賞した。花田さんは「防ごう火災」のタイトルで、函館大火などに触れながら、火災の恐ろしさを伝えた。17日に同校で伝達式が行われ、渡島支庁地域振興部の秦賢一部長が表彰状と記念品を贈った。花田さんは「調べて書いたのでうれしい」と喜んでいる。

 コンクールは火災予防啓発を目的に1970年から開催しており、ことしで38回目。全道の小学校4―6年生が対象で、45市町村の80校から511作品の応募があった。入賞者は30人いるが、道南からは花田さん1人。道知事賞は各学年1人ずつに贈られた。

 花田さんは学校から募集要項を紹介され、母親の助言から教科書などを使って調べて作文した。文中では、学校の近くに消防署があることからサイレンが鳴ると火災の程度や場所が気になることをはじめ、函館市内の火災件数や火災での死亡者数、消防士の人数などのデータを示した。

 さらに1934(昭和9)年の函館大火にも触れ、親類から聞いた話も交えて火災の恐ろしさを表現。「火事の原因は防ぐことができるものがほとんどです。住んでいるわたしたちが火事の恐ろしさを良く知って生活していくことが何よりも大切だと思います」と結んだ。

 伝達式で秦部長は「函館のことを良く調べていた」と評価。花田さんが全校児童の前で作文を読んで披露すると、同席した函館市消防本部の桶野昭次長は「聞いていると当時の事がよみがえるように分かる」と話していた。 (小泉まや)


◎廃棄物不法処理対策戦略会議が函館新道で路上検問 
 10月の廃棄物適正処理月間に合わせ、道南地域廃棄物不法処理対策戦略会議(事務局・渡島支庁環境生活課)は17日、函館市石川町の函館新道駐車場で廃棄物収集運搬車両の路上検問を実施した。午前10時半から1時間で15台を停車させ、うち産廃を積載した2台中1台が車体に産廃運搬車であることを表示していなかったため指導を受けた。

 6月の環境月間とともに毎年2回実施している。渡島・檜山両支庁と函館市、函館中央署から約15人が参加した。

 署員の誘導で産廃を積んでいるとみられる車両を駐車場に停車させ、担当者が運転手から積み荷の内容や搬送先を聴取。適切な積み方や飛散防止策がなされているかを点検し、産廃収集運搬業の許可書やマニフェスト(ごみ処理の流れを把握する管理票)の写しを所持しているか確認した。

 これらの点検と併せて、渡島支庁課税課は脱税を目的とした不正軽油を監視するため、軽油の抜き取り検査を実施。8台を検査したが、不正はなかった。 (宮木佳奈美)


◎燃料電池車で日本縦断中の岩谷産業、白百合中で「サイエンス教室」
 料電池車と水素自動車に乗り約1カ月かけて全国を縦断するキャラバン隊が函館に到着し17日、函館白百合学園中学校で燃料電池や水素について理解を深める「サイエンス教室」を開催した。水の電気分解など実験のほか、燃料電池車に乗って周回する体験乗車も行い、生徒は静かな走りを体感した。

 工業用水素大手の岩谷産業(東京・大阪、牧野明次社長)が、水素燃料への理解を深めてもらおうと初めて実施している。キャラバンは、9月20日にJAXA(宇宙航空研究開発機構)の種子島宇宙センター(鹿児島県南種子町)をスタートし、九州、中国、関東、東北と北上。津軽海峡はフェリーで渡り、16日昼ごろに函館に上陸した。全体で約4500?を予定していた走行距離は、この時点で約4600?となった。

 授業は途中の小中高校など34カ所で開催する予定で、道南では白百合校でのみ行う。授業では「水からできて水にかえる水素は究極のクリーンエネルギー」と位置付け、水素と酸素から水ができる水の電気分解と逆の反応で発生する電流を利用してエネルギーとすることなどを伝えた。

 乗車は3、4人ずつが乗り構内を1周。燃料電池車に乗った宮川睦さん(2年)は「とても静かなので驚いた。将来乗ってみたい」と話していた。

 キャラバン隊は22日、宗谷管内稚内市にゴールする予定。 (小泉まや)