2007年10月23日(火)掲載

◎海王丸が登檣礼
 市民参加型イベント「オーシャンウイーク」に合わせ18日から函館西ふ頭に接岸していた独立行政法人航海訓練所(横浜市)の練習船「海王丸」(2556トン、雨宮伊作船長)が22日、同ふ頭を出港した。午後1時15分から歓送式が行われ、実習生が各ヤード(帆桁)付近に立つ「登檣礼」(とうしょうれい)が行われた。

 登檣礼は、船が皇族などの送迎、司令官や艦長の交代のなどで行う礼式として始まったのが由来。この日は歓送式の終わりに実習生約80人がマスト(帆柱)からヤードに登り、足元にあるフートロープの上に立った。士官の敬礼に合わせ、脱帽し、「ごきげんよう」と3回発声。船を見送りに来た市民らは拍手で実習生の勇姿に盛大な拍手を送った。

 実習生は着帽後、マストから降り同2時ごろ船は高らかに汽笛を鳴らし出港。次の寄港地の茨城県大洗町へ向かった。(山崎純一)


◎函館市、組合と団交/東京事務所廃止を提案
 函館市は来年度の組織機構改革や職員削減計画をまとめ22日、市役所職員労働組合(藤盛敏弘委員長)に提案した。東京事務所を本年度限りで廃止するほか、職員削減数は計画より17人多い146人とする内容。団体交渉は深夜まで続き、同日は提案や質問に対する説明などをした。

 東京事務所は所長と副所長の2人体制で、各省庁の情報収集や陳情・要望活動のサポート、各種会議の代理出席、首都圏の函館出身者団体との連絡調整などをしている。夏の各省庁概算要求や年末の新年度予算財務省原案発表などでも、市長をはじめ幹部職員が上京する際、情報収集に当たっている。市によると、東京事務所の廃止で人件費や事務所の家賃、事務経費などで年間3200万円の削減効果が生まれるという。

 職員の削減は、事務事業や組織機構の徹底した見直しなどで、行財政改革後期5カ年計画より上積みを図る。合併した4支所関連では、業務体制の見直しや地域バスの委託化などで25人、保健所の業務体制見直しで12人、競輪開催業務の包括委託による競輪事業部の減員5人などとなっている。

 一方で、西尾正範市長の公約で実現した子ども未来、健康づくり、労働政策の3室設置で8人を増員。公約に掲げ実現を目指す商工観光部を経済部と観光コンベンション部に再編・強化することで4人増なども示した。増減を相殺すると146人の削減となる。(鈴木 潤)


◎企画「3室始動」/子ども未来室
 「子どもを産み、育てやすい環境づくりと教育力の向上、地域を支える人材育成に努め、教育立市・人材育成都市の実現を目指す」――。函館市の西尾正範市長が市政執行方針で掲げた目標だ。選挙時の公約でもある子育て支援全般に対応する「子ども未来室」の業務がスタートした。

 第1弾として「子どもなんでも相談110番」を開設し、早速相談を受け付けた。教職経験者や保健師ら3人の相談員を配置し、電話やメール、ファクスのほか、直接本人と面談をして対応に当たる。初日から1日4、5件ペースで相談が寄せられている。「乳児の食事についてアドバイスしてほしい」「子育てに悩んでいる」など、相談内容は多岐にわたる。

 未来室は既存の子育て推進課も含まれ、同課の業務を強化する一方、 「子育て」「少子化対策」「児童虐待」「いじめの問題」などにも対応する。保育園は福祉部、学校・幼稚園は教育委員会、乳幼児の健診は保健所、地域活動となれば市民部が所管するなど、子どもにかかわる問題や施策は複数の部局にまたがっている。各部局との連携を図り、総合的に子育て支援を調整していくのが未来室の役割だ。

 全国的に問題となっている少子化は、函館市も例外ではない。この9月で函館市の老齢人口(65歳以上)の割合は25%を超えた。0―14歳までの年少人口の割合は11・4%となり、2001年度の12・8%に比べ、少子化は進行している。市の税収減や市民サービスの低下を招く恐れがあり、安心して子ども産み、育てる環境づくりが急がれている。妹尾正白室長は「函館の実情をしっかり把握して函館方式の支援策を打ち出していきたい」と気を引き締める。

設置から3週間が経過し、関係部局からの情報収集をしながら課題の洗い出しを進めている。中長期的には、子育て支援の具体的なプランを策定していく。妹尾室長は「しっかりとした計画にするには、一定の検討をしなければならないが、時間がかかってはいけない。早い時期に計画を策定し実行に移せるよう関係団体と協議しながら進めていきたい」と話す。

 短期的な課題として市内の25の児童館のあり方を検討。児童たちが使用しない午前中の時間帯を乳幼児の親子らに開放するなどコミュニティ施設としての活用も推進する。

さらに子育て指導員の養成講座も今後実施する予定で、年度末には市として認定する意向。指導員が中心となり、行政の子育て支援を補完、推進していく考えで、地域の協力や市民協働がカギとなる。 (鈴木 潤)

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西尾市長の公約となる「子ども未来」「労働政策」「健康づくり推進」の3室が1日付で設置された。各室の課題を整理し、今後の方向性を探る。


◎女声合唱団「トリル」が全国大会へ/全道大会で優勝
 函館の女声コーラス「トリル」(西橋曜子団長、34人)が今月旭川市で行われた全日本合唱コンクール北海道支部大会(全日本合唱連盟主催)の一般部門B編成で1位に輝き、3年連続4度目の全国大会出場を決めた。

 今年で結成19年目のトリルは、中学生から70歳代まで幅広い年齢層で構成されているのが特徴。創立当時から合唱指導と指揮を務める函館合唱連盟理事長の大坂吉明さんが「コンクールに照準を定め活動してきた」と言うように、支部大会ではこれまでA編成(32人以下)で1回、B編成(33人以上)で3回最高位に輝いている。

 今回取り上げた楽曲は万葉集の柿本人麿の和歌に西村朗氏が作曲した「無伴奏女声合唱のための炎の挽歌より『妻への挽歌』」。伝統的な日本語の美しさと、現代風メロディーのバランスを取るのが難しい作品。大坂さんは「女声ならではの透明感のあるハーモニーに、いかに重みや深さを加えて味わいを表現できるかを心がけた。メンバーが熱心に努力してくれたおかげで完成度の高い内容となった」と話す。

 努力の成果は、審査員評の「感動しました」との言葉にも現れていた。大坂さんは「これまで審査員からは技術的なコメントしかもらったことがなかったので、とてもうれしかった。メンバーにも大きな自信になった」と喜びをかみしめる。

 11月11日には北海道代表として東京文化会館で行われる全国大会の舞台に立つ。大会では順位に加えて全団体を金賞、銀賞、銅賞の3つのランクで評価するが、これまでトリルは銅賞が最高。大坂さんは「全国のレベルは非常に高いが、今年はぜひ銀賞以上を目指して頑張りたい」と意気込んでいる。 (小川俊之)