2007年10月24日(水)掲載

◎退牧作業 きょうまで…城岱牧場
 【七飯】七飯町の町営城岱牧場(上藤城)の今季放牧が24日で終了する。10月初旬から町職員5人が1日30頭ほどの肉牛や乳牛、馬などの退牧作業に当たり、牛たちの“帰宅”を見送っている。

 同牧場は市街地と町軍川を結ぶ農道「城岱スカイライン」の頂付近に広がる約160ヘクタールの牧草地。本年度は5月中旬から町内外の最多で550頭を受け入れ、職員が健康管理や人工授精などに取り組む一方、牛たちは見晴らしのよい広々とした牧草地で過ごしてきた。

 23日は職員4人が町内の肉牛35頭を退牧。搬送のためにロープをかけたり、寄生虫の駆除液をかけたりし、トラックへと誘導した。中には生後1週間ほどの子牛もおり、職員は愛おしそうに親子の帰宅を見送っていた。

 同牧場は来年度から3カ年計画で牧草地の植え替えや事務所の建て替えを予定。本年度は事業前の調査を行う。(笠原郁実)


◎死亡の組員 書類送検…函館銃撃戦
 函館中央署は23日、函館市昭和町で9月、車を奪って逃走した後、警察官との銃撃戦で死亡した長野県佐久市の暴力団員高野成仁こと高成仁(こうせいじん)容疑者(当時52)=韓国籍=を殺人未遂と強盗、銃刀法違反などの疑いで、容疑者死亡のまま函館地検に書類送致した。

 調べによると、高容疑者は9月10日午後10時ごろ、七飯町にあるホテル前で、函館市内の青果店の女性従業員(39)に拳銃のようなものを突き付け、ワゴン車を奪って逃走。約2時間半後の翌11日午前零時半ごろ、約20キロ離れた函館市昭和町の河川敷でワゴン車を見つけ、職務質問しようとした警察官に拳銃2発を発砲して殺害しようとした疑い。

 うち1発がパトカーに乗っていた道警函館方面本部地域課の男性警部補(55)の腕を貫き、全治約2カ月の重傷を負わせた。

 一緒にいた男性巡査部長(53)が応射した5発のうち、1発が高容疑者の胸に命中。高容疑者は殺人未遂と銃刀法違反、公務執行妨害の現行犯で逮捕され、搬送された函館市内の病院で間もなく出血死した。

 また、同署は銃撃事件前の同10日朝、JR函館駅で起きた騒ぎにも高容疑者が関与したとして、暴力行為法違反容疑での立件にも踏み切った。さらにその後の調べで、高容疑者が覚せい剤を使用していたことも分かり、覚せい剤取締法違反(使用)の疑いでも送致した。

 これまでの調べで、高容疑者は同8日夜、羽田発釧路行きの飛行機で来道していたことが判明。同署は高容疑者が持っていた拳銃は道内で入手した可能性が高いとみて捜査を進めていたが、入手先の解明には至っていない。来道の理由も不明のままだ。また、警察官の発砲について、同署は「正当防衛に該当し、凶悪犯罪に対処するための適正な職務行為」としている。


◎企画「3室始動」/労働政策室
 全国的に景気が回復しているといわれる中、函館は依然厳しい状況が続いている。有効求人倍率は低い水準で一進一退を繰り返し、求人数のうち、パート求人が3分の1を占める。就職難の影響もあり、市外への人口流出も顕著だ。既存の商工観光部労働課を強化し、労働環境を改善するために設置されたのが労働政策室だが、関係機関の連携、地域の産業振興なくして課題の解決はない。

 道労働局がまとめた8月の有効求人倍率をみると、渡島・檜山管内は全道平均値と同率の0・52倍。道内他地域も札幌圏は0・42―0・52倍、アイシン精機が進出した苫小牧管内でも0・58倍と低く、全国平均0・98倍、愛知1・99倍とは大きな開きがある。

 若年者を取り巻く雇用環境にも課題がある。市内には大学、高専など高等教育機関が集積しているが、卒業後の地元定着率は低い。受け皿となる職種が少なく、新卒者や若年者の平均賃金も低いことなど、複数の要因があるとみられ、就職意欲を喚起し、人材流出に歯止めを掛けることは難しい。

 さまざまな問題が絡み合う中、種田貴司室長は「労働政策室だけで問題解決はできない」と断言する。函館公共職業安定所をはじめ、各種経済団体、労働組合などとの連携強化を図る。「産業全般、生産活動の活発化には庁内はもちろん、経済界、働いている市民と一丸での取り組みが必要になる」とする。

新規高卒者の求人には明るい兆しも見える。8月末現在で、来年3月卒業予定者の求人倍率は前年同期比0・21ポイント増の0・71倍となった。大半の求人は道外だが、渡島・檜山管内で430人の求人がある。種田室長は「企業は即戦力を求めてはいるが、『若い人は会社の活力』として、採用に動くところもあると再認識した」と話す。

 また、これまでに379人の雇用を創出した地域提案型雇用創造促進事業は、本年度で3カ年の事業が終了するが、来年度以降の継続も視野に検討を進めている。同事業の一環で13日に都内で開いたUIターンフェアには、市内企業30社が参加し、約100件の面談が行われた。企業が求める人材を地元で育成することも今後の課題だ。

このほか、季節労働者の通年雇用化や、就労環境の向上など労働政策室の担う役割は大きい。種田室長は「経営者や労働者からさまざまな意見を直接聞いて、既存施策の見直しも進めたい」と意欲をみせる。

西尾正範市長は「若い人が安心して働き、子育てできる環境を整える」と公約に掲げた。労働行政は、少子化対策、移住施策、企業誘致などと密接なかかわりを持つ。行政のみならず、民間企業にも、不断の努力が求められている。(今井正一)


◎ジョブカフェ北海道 道南初の合同企業説明会
 若者の就職を支援する「ジョブカフェ北海道」事業を、道の委託を受けて展開している社団法人・道雇用開発協会(札幌)などの合同企業説明会「ジョブカフェスタin函館」が23日、函館市大森町のサン・リフレ函館で開かれた。道南では初の開催で、参加者はさまざまな企業担当者と面談し、就職に向けた情報収集に励んでいた。

 同説明会は就職希望者と企業との出合いの場として、今年は道内6カ所で実施。函館会場には市内のほか、札幌や旭川などから食品卸売業、自動車販売、医療器械関連など計26社がブースを設けた。

 この日は開始当初から高校生やスーツ姿の若者が次々と会場を訪れ、興味のある企業のブースに行き、担当者から会社概要や仕事内容などの説明を熱心に聞いていた。

 市内に住む函館遺愛女子高3年、佐藤彩さん(18)は「魅力的な企業がたくさんあった。担当者が一生懸命アピールしてくれて、半端な気持ちでは就職できないと感じた」と話していた。(新目七恵)


◎人の心と技 街つくる…野尻博さんが講演と公演
 全国各地で街の活性化に関する講演と大道芸披露に取り組むNPO法人(特定非営利活動法人)全国元気まちづくり機構の野尻博理事長(富山)の講演、大道芸公演が22日夜、函館市民会館で開かれた。「街づくりには、技と心をバランス良く磨くことが大切」と話した後、一人で10種類以上の楽器を演奏。約250人の来場者は2時間にわたる熱弁と熱演に感心しきりだった。

 市内日吉町の田中豊子さんが今年、石川県で野尻さんの話や芸に触れ感動し、「野尻さんを函館の人に紹介したい」と実行委を設立、来函が実現した。

 野尻さんは、街づくり事業は自治体や商工会などではなく、住民が創造して進めていくことが大切と説き、「無関心、出来ない理由や悪口ばかり口にする人が多いようではいけない。人を愛し、愛されることからすべてが始まる」と話した。

 野尻さんは来場者に「函館の自慢は何ですか」と尋ねた。「夜景」「イカ」に続き「人情」と答えが出た時、野尻さんは笑顔を見せ、「綺麗な夜景でも、住む人の心も美しくなくてはいけない。函館は人情を大切にし、ほかの地方都市にみられる“ミニ東京”にならないでほしい」と語った。

 また、「人は幸せを求める。心のこもったもてなしと、喜ばせてくれるところには何度も行きたくなる。もてなしはお互いが心地良くなることが大切」とし、自分が提供する物や形ばかり強調するのではなく、人が何を求めるのかを考える必要を指摘。そのためには自身の心と技のバランスが大切と強調した。最後に「今一度、技と心をリセットし、函館にしか無い異空間は何かを考え、街づくりを考えてほしい」と呼び掛けた。

 講演の後、大道芸に入り、ギターを持ち、口にはハーモニカ、頭には足や手で動かすドラムなど計10種類以上の楽器を操り歌謡曲などを演奏。世界でただ一人の芸を心を込めて紹介。拍手を送った同市千代台町の岡本陽子さん(61)は「話していたことが芸に現れている。孫が夢を持って暮らせる街とは何かを今一度考えてみたい気分になった」と話していた。(山崎純一)


◎油川紗葵ちゃん(白百合幼稚園)が全国童謡歌唱コンクール出場へ
 11月3日に東京都内で行われる「第22回全国童謡歌唱コンクール」(日本童謡協会など主催)の子ども部門(中学生以下)に、函館市の油川紗葵ちゃん(4つ)=函館白百合幼稚園=が道代表として出場することになった。初めての全国の舞台に向け、元気いっぱいレッスンに励んでいる。

 同大会は子ども部門、大人部門、ファミリー部門に分かれ、全国7ブロックで決勝大会を行い、各地区の最優秀1人(1組)が全国大会で争う。紗葵ちゃんは昨年の秋から、市内の声楽家・島聖子さんの下で歌のレッスンをスタート。幼稚園児とは思えない力強い発声と豊かな表現力でめきめきと頭角を表し、8月に行われた道ブロック大会でも、初めて大勢の観客を前にしながらまったく動じることなく堂々と歌いあげ、見事に全国大会のキップを手にした。

 島さんの教え子からは、過去にも子ども部門で10人、大人部門で2人、ファミリー部門で1組が全国大会に出場しているが、島さん自身は自らのステージなどと重なり一度も帯同したことがなかった。今回も、紗葵ちゃんのブロック予選に顔を出すことはできなかったが、全国大会では初めてピアノ伴奏者として出演することが決まった。

 島さんは「紗葵ちゃんのおかげで全国のステージに立つことができてうれしいけれど、私のほうが緊張して足を引っ張らないようにしたい」と話す。一方、紗葵ちゃんは「島先生といっしょなら絶対にうまく歌える」ときっぱり。本番ではブロック予選と同じ「ことりのうた」を歌う。紗葵ちゃんは「ことりの気持ちになって元気いっぱいに歌いたい」と全国での活躍を誓った。(小川俊之)