2007年10月25日(木)掲載

◎黄や赤に大沼染まる
 【七飯】大沼国定公園の紅葉が真っ盛りを迎えた。ナナカマド、カエデ、モミジが黄や赤など色彩豊かに染まり、訪れた観光客にさまざまな楽しみを与えている。

 “紅葉トンネル”が出来た湖畔道路では、ドライブやサイクリングの人たちで賑わっている。札幌から車で訪れた三河繁明さん(57)は「黄やオレンジが中心でまぶしいくらいの輝きで気分が良くなる」と話していた。

 大沼では貸しボートに乗り込んだ人が水面に反射するモザイク状の輝きと頭上の紅葉に歓声を上げていた。遊歩道では美しい色合いをカメラに収める人も。函館市東山の佐伯深穂さん(29)は「少し歩いたらすぐ様子が変わるのでたくさん写真が撮れます」と盛んにシャッターを切っていた。 (山崎純一)


◎厳しい財政状況説明…市自治基本条例検討委
 函館市自治基本条例策定検討委員会(横山純一会長)の4回目の会合が24日夜、市役所会議室で開かれた。同条例策定に向け、市の課題を整理するため、市財務部の担当職員が財政状況について説明した。自主財源の柱となる地方交付税の大幅な減少と市税の伸び悩み、減少する基金(貯金)など、市財政を取り巻く現状の厳しさを学び、行財政改革推進の必要性を理解した。

 2006年度決算見込みで、市の普通会計は4億6000万円の黒字となっている。しかし実際は財源不足で、基金の取り崩しと起債(借金)の発行で黒字を保っていることを説明。財源不足は本年度、そして来年度も続く見通し。函館市の場合、全国の中核市との比較で、歳入では地方交付税の割合が高く、歳出では生活保護など扶助費の割合が高いことなどが示された。

 委員から「来年度の予算編成で、財源不足分を特定目的基金から借り入れることは避けるべきではないか」との質問があり、市財務部は「結論は出ておらず、方法として特定目的基金からの借り入れか起債の発行が考えられる」と答えた。

 また、行財政改革の一環で人員削減が続けられているが、財政が苦しくても一定の採用をしなければ年齢構成の偏りなどが出る懸念も指摘された。市総務部は「可能な限り採用をしているが、現在の行革後期5カ年計画での600人削減に続き、さらに減員を進めていかなければならない状況にある」と述べた。(高柳 謙)


◎31日から東京で「がごめフェア」
 函館市と函館地域産業振興財団は31日から11月7日まで、東京都内で初の試みとなるガゴメコンブ関連製品の販売キャンペーン「函館がごめ昆布フェア」を開く。文部科学省の「都市エリア産学官連携促進事業」で研究成果品として開発されたガゴメ製品を取り扱う市内、近郊の食品加工業者ら8社が参加。道内産品のアンテナショップ「北海道フーディスト」を会場に、ガゴメの知名度アップと販路拡大を図る。

 北海道フーディストはJR東京駅八重洲南口前に位置し、北海道電力の関連会社が運営。店内では道内各地の特産品を販売しているほか、飲食できるスペースもあり、1日1500―2000人が訪れるという。

 都市エリア事業は道立工業技術センターや北大大学院水産科学研究機関が中心となって研究。70社以上の民間企業も参画し、主にガゴメ研究から派生した関連開発商品も50種類以上を数える。

 市は「イカと比べるとガゴメの知名度はまだまだ低い」とし、新たな特産品の知名度向上や研究開発事業の取り組みを紹介する。出品するのは函館や森町内の8社。ガゴメを使用したトロロコンブ製品、もちやキャラメル、チョコレートなどの菓子類、カズノコ、明太子などの水産加工品など17製品を売り込む。

 市は「健康にいいとされる点や、ガゴメの食べ方の提案も含めてPRしたい」と話している。 (今井正一)


◎企画「3室始動」/健康づくり推進室
 西尾正範市長は選挙時マニフェストで、市民の健康づくり重視を打ち出した。市立函館保健所に設置された健康づくり推進室は、既存の健康増進課の業務を強化し、疾病予防や医療費抑制などに結びつける狙いがある。

 健康づくりは乳幼児、学齢期、就業年齢期、高齢期と各世代によって方策が異なり、効果をあげていくには世代に応じたきめ細かい施策が必要。そのためには教育委員会や学校、医療機関、町会などとの連携はこれまで以上に大事だ。

 今月7日に市総合保健センターで開かれた市民健康まつり。健診など気軽に体験できるメニューをそろえ、大勢の市民が来場した。辻喜久子室長は「市民の健康に対する関心は高い。健康づくりに携わる団体と協力しながらネットワーク化していくことを進めていきたい。行政と市民が協働で健康づくりの機運を生み出していければ」と話す。

 健康づくり推進政策は「健康はこだて21」(2002―10年度)を土台に行われている。市民の健康づくりの指針を定めた計画で、市は来年度までに目標達成度などを検証した上で、見直し計画を策定する。これから関係機関と協議をしていくが、推進室がまず取り組む業務だ。

 計画では、さまざまなデータをもとに課題を分析した。その中で(1)全国、全道平均値と比較して高齢化率が高い(2)生活習慣が発症に深く関与しているがん、心疾患、脳血管障害による死亡率が全道平均よりも高い―などと指摘。高血圧や高血糖、高脂血症につながる肥満の予防、解消も課題に挙げている。

 中でもがん検診の受診率が全道でも下位に低迷している。特に2005年度の肺がんは全市町村中、最下位だった。疾病予防という観点からも、受診率を上げていくことは欠かせない取り組みだ。

 健康づくりの推進は、新総合計画でも大きく位置づけされた。生活習慣病を予防し、健康でいられる寿命を延ばし、乳幼児から高齢者までの総合的な健康管理体制の充実を目指す。市民の健康増進は医療費や介護サービスの抑制につながり、家族の負担も減少する。

 毎日を生き生きと生活するため、健康づくりは市民が主体的に取り組まなければならない。目指すところは「自分の健康は自分で守る」という意識を定着させることだ。その中で行政がどうサポートし、地域、市民全体の取り組みへと健康づくり運動を広げていくか。それが推進室の大きな使命だ。 (鈴木 潤)


◎道警函本 科捜研の成田研究員 道警本部長から表彰
 農薬中毒による自殺や他殺、誤飲事故などの早期解明に役立つ分析方法を研究開発したとして、道警函館方面本部鑑識課科学捜査研究室(科捜研)の成田有史研究員(37)がこのほど、道警本部長から表彰された。業務を通じて研究を重ねた“新たな決め手”の開発に、成田研究員は「巧妙化する犯罪に対抗するには鑑定の高度化は至上命題。今後もさらに技術を高め、事件解決の糸口をつかみたい」と意欲を見せている。

 開発したのは、人体への毒性が強い除草剤成分(パラコート、ジクワット)を人の血液などから抽出する分析方法。除草剤や殺虫剤を使用した事件・事故の捜査で、死因の究明や犯罪の立証に有効な手段の一つとして、法医科学の学会や全国の科捜研から注目を集めている。

 成田研究員は、北海道東海大学院(札幌市)を卒業後、1995年4月に同科捜研入り。火災現場の油性反応や覚せい剤を使用反応など、日常的な鑑識業務に従事しながら、全国で年間約200人の死者が報告されている農薬中毒の研究を進めてきた。

 これまでの可視光線による鑑定方法では分析に長時間を要し、感度も劣る難点があった。成田研究員は希釈した血液をろ過した上で、従来の分析装置を活用することで、1検体当たり約30分という短時間で除草剤の成分を検出する方法を確立した。

 「鑑定には『正確性』と『迅速性』が求められる。その両立が最も難しかった」と成田研究員。これまで1検体につき、3―4時間掛かっていた鑑定時間は大幅に短縮され、検出感度も約10倍に上がったという。

 同科捜研の山形典夫室長は「研究員の向上心や強い信念が画期的な分析方法の開発につながった。今回の研究自体が事件解決に直結するわけではないが、科学捜査の信頼性が高まり、日本の安全・安心の一助となれば」と期待を寄せている。(森健太郎)