2007年10月3日(水)掲載

◎坂野正義さんに農林水産大臣賞
 【江差】町内でヒノキアスナロ(ヒバ)の苗木栽培や植林技術の開発に取り組む元林野庁職員の坂野正義さん(72)が2日、本年度の「農山漁村いきいきシニア活動表彰」(農山漁村女性生活活動支援協会など主催)で、最優秀賞の農林水産大臣賞を受賞した。9日には東京の農水省で行われる表彰式に出席、これまで活動成果を発表する。 

 坂野さんは1952年から44年間、旧江差営林署(現・檜山森林管理署)などに勤務。現職当時から「檜山」の語源になったヒバの減少に危機感を抱き、80年には自ら山林を購入。道内で廃れていた、挿し木による苗作りに着手し、試行錯誤を繰り返しながら、檜山地域に適した独自の育苗技術を確立した。また、かつて管内で漁具などに利用されたキリの栽培復活にも携わり、江差町内の建設業者や飲食店経営者らの異業種交流による「北の桐(きり)を創る会」を発足させ、キリの植樹や間伐材を利用した商品開発にも道を開いた。

 一方、高い技術力を持つ林業の指導者として、2001年に道が「指導林家」に認定。林野庁を退職後の96年から10年間は、町の森林指導員を務め、町有林の育成や住民や子供たちによる植樹活動への技術指導、苗木提供を行うなど、森づくりへの貢献も高く評価された。

 ヒバ林の復活にかけた長年の取り組みについて、坂野さんは「江差追分の一節で『あれが蝦夷(えぞ)地の山かいな』と歌われた時代に、檜山沿岸ではヒバ林が海岸まで続き、豊かな森が多彩な文化をはぐくんだ。伐採で姿を消した北限のヒバ林を復活させたいとの一心で苗を植え続けてきた。受賞は自分1人のものではなく、地域の皆さんや友人の協力があってこそだ」と喜びを語った。

 同表彰は全国の農山漁村を舞台に、豊かな経験を生かして地域活性化に取り組む60歳以上の個人や団体をたたえるもの。農村地域と山村・漁村地域の2部門があり、坂野さんは山村漁村部門で最高賞の農水大臣賞を受賞した。両部門で個人の受賞は坂野さん1人だった。(松浦 純)


◎高3集団暴行死 少年3人を追送致
 函館市内の公園で8月下旬、同市内の私立高3年佐藤智也君(18)が中学時代の同級生ら少年7人に集団暴行を受けて死亡した事件で、函館地検は2日、7人のうち元同級生(17)や無職少年(19)ら3人が事件前にも佐藤君を恐喝したり、いじめの様子を携帯電話で撮影したりしていたとして、恐喝や強要などの非行事実で函館家裁に追送致した。主犯格の元同級生らが佐藤君に対し、恒常的に執拗(しつよう)ないじめを繰り返していた実態が改めて浮き彫りになった格好だ。

 同地検の送致事実などによると、傷害致死事件前日の8月25日午後3時から同7時半ごろまでの間、3人のうち元同級生ら2人が同市富岡町の富岡中央公園で、佐藤君に「あしたの2時におれの家に8万円持ってこい」「きょうはとりあえずけじめだけは付けさせてもらうからな」などと金を脅し取ろうとしたほか、3人が共謀して佐藤君への嫌がらせを携帯電話で動画撮影したり、臀部(でんぶ)を金属バットで複数回殴ったりした。

 今回追送致された事件には、3人のほか少年らの取り巻きだった14歳と18歳の少年2人も加わっていた疑いが持たれていて、同地検は立件も視野に捜査を続けている。

 検察側は今回の送致事実も集団暴行に至る一連の犯行として、3人について「刑事処分相当」の意見を付け、傷害致死事件との併合審判を求めた。

 同地検の調べに対し、3人は非行事実を認め、「(佐藤君が)いじめられていることを話さないように、口封じのために携帯電話で(いじめの様子を)撮影した」「面白がってやっていた」などと供述。元同級生らは日常的に遊び感覚で暴行を繰り返していたとみられ、同地検は「佐藤君が明確に拒絶の意思表示をできるような状況ではなかった」としている。

 同地検は同家裁に対し、「少なくとも3人に関しては、同時審判で適正な決定をしてほしい」とし、16歳以上の少年が故意に人を死なせた場合に少年法に定められる検察官送致(逆送)の原則を踏襲するよう求めている。


◎金田誠一氏引退/民主「今月中旬まで擁立」
 民主党道8区の金田誠一衆院議員(60)の今期限りでの政界引退に伴い、党道8区総支部と函館地区連合などは、候補者擁立会議(仮称)を早急に発足させ、今月中旬までの後継擁立を目指す。一方で自民党も選挙態勢の構築を加速させ、共産党も候補を擁立するか、協議を深めていく。

 2日に民主党道8区総支部が函館市内で記者会見し、総支部の板倉一幸幹事長が金田氏の後継候補について「党8区総支部と連合、金田氏の後援会、道南地区農民連盟で候補者擁立会議を立ち上げ、早急に候補を擁立したい」と述べた。

 他地域からの候補移入や地元議員などさまざまな名前が浮上していることについて、板倉幹事長は「党としては全くの白紙。これからの議論になる」述べ、地域の声を大切にし、党道連と連絡を取りながら候補擁立を進める考えを示した。

 一方、自民党次期公認候補となる弁護士の中村勉氏(47)は「どなたが候補になっても、函館から政治を変え、新しい時代をつくるという信念に変わりはない。民主党の準備も加速するだろうから、こちらも後援会の立ち上げなど準備を急ぐ」と臨む。

 前回、前々回の衆院選に自民党公認で出馬し落選した佐藤健治氏(50)も、関係者によると出馬に向けた準備を進めている。

 共産党は、7月の参院選比例区で、公認候補の得票率が8%未満の選挙区には次期衆院選で原則として候補を擁立しない方針を決めている。衆院道8区が該当するが、党函館地区委員会は「最終決定をするのは都道府県委員会で、擁立するかしないかは今月中には決めたい」と話している。(高柳 謙)


◎金田氏、後継指名なし
 2日に行われた民主党道8区総支部の記者会見で、板倉幹事長は、金田誠一衆院議員(当選5回)の今期限りでの引退を正式に発表した。板倉幹事長は、後援会関係者らと9月24日に東京で金田氏と会談したことを明かし、「本人から『回復の状況が次期の選挙に耐え得る状況になく、立候補を断念する』との意向を確認した。後継候補の指示はなかった」と述べた。

 会見には金田連合後援会の奥野秀雄会長、支部代表代行の平出道議、函館地区連合の渡部会長が同席。板倉幹事長が金田氏の病状を含め、現在までの経過を説明した。

同党は7月の参院選で第一党となったことを受け、次期総選挙に向けて早急に対応することを確認。道8区総支部でも幹事会を開き、金田氏の進退を含めて対応を協議してきた。

 9月24日の会談ではこうした経緯を金田氏に説明。金田氏から「新たな候補選考作業に入ってほしい」との意向を確認したという。奥野会長は「本人からは『分かったよ。皆さんにいろいろご迷惑をおかけした』との言葉があった。本人の意思を尊重できたと理解している」と述べた。

板倉幹事長は、本人の地元入りについて「まだ時間が必要」とした。地域の政治課題に停滞を招いたのではないかとの質問に対しては、「直接、本人から地域の皆さんに話すことができなかったことは申し訳ないと、わたしは思っている。地域の課題は地元の道議、市議が協力し、道内選出の国会議員も解決に協力してくれた。ご理解いただきたい」と述べた。(今井正一)


◎今年もドライブ&イート
 渡島管内の市町をマイカーでめぐり、食や温泉を楽しむイベント「みなみ北海道ドライブ&イート2007」が21、28日と11月3日の3回にわたって開催される。昨年、函館市が合併した旧4町村地域で実施したところ好評だったため、今年は渡島全域にルートを拡大する。渡島支庁は「各地で開かれる食のイベントと併せて、地元の味覚を楽しんで」と参加を呼び掛けている。

 管内市町や各観光協会、函館商工会議所でつくる南北海道広域観光事業委員会の主催。今年は各実施日を松前秋の味覚とまぐろまつりや北斗市茂辺地さけまつり、森町あきあじまつりなどの食のイベントに合わせ、1コースずつ設定した。参加者は事前にチケットを購入し、コースごとに指定された4地点を好きな順に回りながら地元の味覚を味わい、各地で温泉に入浴できる。

 21日は「木古内・知内・福島・松前」コースで「活貝浜焼き」「そば饅頭(まんじゅう)」などのメニューを提供。28日は「鹿部・森・八雲・長万部」コースで、鹿部町のしかべ間欠泉公園に入園できるほか、森町で「イカめし定食」、長万部町では「ホッキごはんセット」を用意する。11月3日は「函館・七飯・北斗」コースで、函館市恵山地域で「海峡根ボッケ バキバキルイベ」などが味わえるほか、七飯町大沼での遊覧船乗船などを企画した。

 チケットは地元の味覚1品と交換できる引換券4枚と温泉入浴券1枚が付いて2000円。各コース定員50人で応募多数の場合は抽選。申し込みははがきに住所、氏名、電話番号、コース名、参加人数を記入し、〒041―8558 函館市美原4―6―16 渡島支庁観光振興係へ。締め切りは4日(消印有効)。(宮木佳奈美)


◎市立函館博物館五稜郭分館、最後の特別展開幕
 函館市立博物館五稜郭分館(五稜郭公園内)の最後の特別展「さらば五稜郭の星」第2部「さよなら これが五稜郭分館だ!」が2日、同館で始まった。11月末に閉館される同館の52年の足跡をたどる内容で、五稜郭の築城から函館の繁栄、同館の役割を示す資料約830点が展示されている。11月30日まで。

 この日は午前9時の開場前に開会式が行われ、同館の協議会や友の会の会員、函館千代田小学校の児童ら約50人が開幕を祝った。式典参加者は早速、館内を見学した。

 1階の入り口付近には、1954年に函館で開催された北洋博覧会のポスターなどを展示。続いて箱館戦争で戦死した薩摩藩士の軍服、戦争に関わった人物の古文書などを紹介。同博覧会の物産館として生まれ、翌55年から博物館として五稜郭や箱館戦争を中心とした展示をしてきた同館の歴史が示されている。

 2階には開館時に開かれていたジュニアクラブなどが採取した昆虫標本や、明治から大正にかけての冬、五稜郭の堀から切り取った氷を横浜で「函館氷」として販売していたときの資料などを展示している。

 時間は午前9時から5時(入場は同4時半まで)。毎週月曜休館(8日は開館)。入場料は一般400円、高校・大学生200円、小・中学生100円。(山崎純一)