2007年10月31日(水)掲載

◎五稜郭公園 紅葉ピーク
 函館市の五稜郭公園ではイチョウやモミジの紅葉がピークを迎えているが、すでに落ちた葉は園内の通路をオレンジや赤に染め、歩く観光客を楽しませている。

 園内はニの橋を渡り、フジ棚のトンネルをくぐると温かい色合いに包まれ、イチイの木や土手も葉に覆われていて、晩秋を感じさせている。奈良市から訪れた大迫了栄さん(62)、富美恵さん(61)夫妻は「本州よりひと足先に、落ち葉風情を味わえるとき来られてうれしい」と話していた。(山崎純一)


◎原油高騰で家庭が悲鳴…ガソリン、灯油値上がり
 原油高騰に伴い、ガソリンや灯油など石油製品の価格上昇が相次ぎ、一般家庭や関連業界の負担が増している。生活協同組合コープさっぽろ(札幌)は29日から、函館市内(一部地域を除く)の灯油1リットル当たりの定期配達価格を過去最高の81円に設定。市内のガソリン・軽油も値上がりしている。冬場の暖房需要期を控え、市民からは「どこまで価格が上がるのか」と不安の声が出ている。

 道内における灯油価格の指標となるコープさっぽろは同日以降、灯油の配達価格を全道一律で4円上げた。暖房や融雪機器の燃料など、道内では冬場が最需要期となるため、値上がりによる家計への打撃は大きい。

 市内昭和町に住む主婦(49)は「5月ごろまでストーブを使うが、今年の1カ月分の灯油代金は昨年に比べて倍。ガスも電気も高くなり、生活全般が苦しくなる」と漏らす。市内亀田本町の会社員加賀満代さん(33)は「家ではなるべく省エネを心掛けたい」と話している。

 灯油と前後し、ガソリン・軽油の価格も上がっている。渡島・桧山管内のガソリンスタンド117社が加盟する函館地方石油業協同組合(和田善助理事長)によると、20日以降、組合各社のレギュラーガソリン平均はフルサービス式で144円前後と6円の値上げ、同セルフ式で139円前後と4円の値上げとなった。函館新聞社の調べでは、30日現在の市内の軽油価格は124円前後で、今後4―6円の値上げを検討している業者もいる。

 あるトラック運送業者は「燃料経費がかかる分運賃を上げたいところだが、原油の高騰は消費生活全体に影響があるため難しい」と話す。和田理事長は「環境問題や家計を考えると、石油を節約しながら大事に使っていただくしかない」としている。(新目七恵)


◎レンタカー、周遊…シンガポールからの観光客 個人型にシフト需要増加に期待
 シンガポールの旅行会社「プライムトラベル」のツアー観光客17人が29日、道南地方を訪れた。一行は5泊の日程でレンタカーを運転しながら、道南各地や青森県などの観光を楽しむ。9月の道交法改正で、台湾人の自動車運転免許の国内使用が解禁されたこともあり、外国人がドライブを楽しみながら観光地を巡るスタイルは今後、一層増えるとみられる。道南もこうした「周遊型観光」振興の可能性を秘めている。

 同社は3年前から道内でレンタカーを借り、ドライブを楽しむツアーを提供。本道は自然景観や食べ物などで人気が高く、道南地域は札幌圏に次いで需要があるという。今回のツアーは函館入りした後、フェリーで青森、秋田県などを回り、再び函館に戻るコース。日程は過密だが、北東北を含めた長距離周遊型観光の需要があることがうかがえる。

 ツアーに同行した同社の西村理佐副社長は観光動向について「北海道は四季を通じて人気が高く、『青函』は重要な地域。今回は5泊と短いが、シンガポールでは7―8泊が主流」とし、「函館空港を使ったチャーター機の双方向運航ができれば、まだまだ市場は拡大するはず」と期待する。

 渡島支庁のまとめによると、2006年度に管内で宿泊した外国人客は約6万8700人で、シンガポールは前年比53%増の約2900人を数えた。全体の約62%に当たる約4万2700人を台湾人が占めており、運転解禁で台湾人向けのドライブツアーが定着することも予想される。

 今回は、周遊型観光ルートの振興を目指す「シーニックバイウェイ北海道函館・大沼・噴火湾ルート」の折谷久美子事務局長が知人らに協力を呼び掛け、着物の着付けや生け花体験を企画。シンガポールの一行はこの日、宿泊先の函館大沼プリンスホテル(七飯町西大沼温泉)で日本文化に触れた。

 参加したデリック・ウォングさん、カムチェング・フーさん夫妻は4度目の来日で、昨年に続いて本道を選んだ。2人は「大沼は紅葉がとても美しかった。今回の函館滞在は短すぎるので、必ずまた訪れたい。着物は姿勢が良くなりますね」と話していた。

 折谷事務局長は「事前の準備もいろいろとあるが、無理のない範囲で、長く続けられるような取り組みを考えたい」とし、「シーニック」の周遊型ルートを広く海外にも周知できるチャンスと考える。

 市観光課はドライブ型の観光スタイルについて「徐々にではあるが、道南でも周遊型観光が定着しつつある。車の観光は事故を伴うことも予想されるが、海外客も団体型から個人型の観光にシフトすれば、需要は増えるのでは」と話している。(今井正一)


◎松前、せたな、奥尻…3町単独プロジェクトを採択 道の「地域再生チャレンジ交付金」
 【江差、松前】道は30日、住民との協働による地域活性化や、市町村の格差是正を目的とする「地域再生チャレンジ交付金」の採択プロジェクトを発表した。道南では松前、奥尻、せたなの3町の単独プロジェクトが採択された。

 松前町は「協働のまちづくり推進プロジェクト」を提案。水産資源や歴史文化を背景とする観光資源の活用、住民の連帯意識を基盤とする地域支援、町独自の教育指針策定などを盛り込んだ。総事業費は8730万円。本年度の交付金内示額は480万円。

 奥尻町は「観光客倍増プロジェクト」として、離島ならではの食文化や自然景観を活用した観光産業の活性化に向け、全町的な連携を進める。特産食材のリスト化やメニュー開発、島内観光バス運行に取り組む。総事業委は4億4630万円で、内示額は1000万円。

 せたな町は「生涯せたな町で暮らすプロジェクト」で、高齢者福祉の充実や社会参加の促進に向け、独居老人への配食、入浴、除雪などの支援、高齢者や障害者の外出支援などに取り組む。総事業費は1億9053万円。内示額は530万円。

 3町とも、プロジェクトの実施期間は2011年度までの5年間を予定している。同交付金は本年度から道の新規事業としてスタート。プロジェクトの先駆性や地域への波及効果のほか、人口減少や財政難などの状況も採択の指標になる。

 市町村プロジェクトは最大1000万円、広域プロジェクトは2000万円を上限に交付。5日までに市町村42件、広域5件の応募があり、夕張市や三笠市など市町村8件、広域分2件の計10件が採択された。(松浦 純)


◎「ホリデイスポーツクラブ函館店」あすオープン
 会員制のフィットネス施設「ホリデイスポーツクラブ函館店」が11月1日、函館市柏木町1にオープンする。約120人収容のスタジオや最新式のマシン約100台を備えるほか、天然温泉の露天風呂と内風呂を完備。同店は会員数3000人を目指す。

 出店地は魚介類販売やマンション賃貸・管理などの魚長食品(柳沢勝社長)が所有し、昨年12月に閉鎖したホテルロイヤル柏木の跡地。スポーツクラブやビジネスホテルなどの開発を手掛ける東祥(愛知県安城市)が全国31店舗目として、総事業費約5億6000万円を投じた。道内出店は初めて。

 同店は鉄骨造り2階建てで、延べ床面積約2300平方メートル。1階には同クラブにとって2カ所目となる天然温泉の風呂、全長25メートルの5コースの温水プール、マッサージチェア9台を備えるリラクゼーションスペースなどがある。2階には有酸素運動、筋トレなど目的に応じて使用できるマシン約100台を配した広々したジムを完備した。

 営業時間は午前10時―午後11時で、日曜・祝日は午後7時まで。定休日は金曜日で、年末年始やお盆期間などは休館する。同店の佐藤央副店長は「運動をした後に温泉に入浴できるのは、売りのひとつ。初心者から上級者まで、幅広く楽しんでもらえる施設にしていきたい」と話している。問い合わせは同店TEL0138・35・3555。(浜田孝輔)