2007年10月5日(金)掲載

◎スギ間伐材有効利用…町が町有林で現地調査
 【江差】約1100ヘクタールの町有林を持つ江差町では、1950年代から植林されたスギなどの人工林が間伐の適齢期を迎えている。しかし、木材価格の低迷や財政難から町有林の管理は厳しい時代を迎えている。町は貴重な財産である町有林の維持と、地産地消ならぬ「地材地消」の促進を求める声などを受け、植樹から伐採までの育林サイクルの確立や、新築する保育所など公共施設への間伐材の有効利用に向けた検討を開始した。

 町はこのほど、間伐が必要な町有林の現状を把握するため、町内の馬場山と元山で現地調査を実施。mネ谷逸男副町長、工藤篤産業振興課長が参加したほか、道から指導林家の認定を受けた町内の坂野正義さんが助言を行った。

 馬場山では51年に植樹したスギが高さ約20?に成長。坂野さんは「スギが密生して日当たりが悪く成長が妨げられている。間伐を行うことで優れたスギ林を育成できる」とした。

 町は2008―09年度、町有林の間伐事業を検討しているが、木材価格の低迷に伴い、山奥での伐採や木材搬出の経費に見合う収益が得られない可能性もある。このため、間伐で発生するスギ材の有効活用を模索。円山地区に新築する創設保育所(09年度開所予定)などの公共施設での活用をはじめ、品薄状態が続くスギ材を求める町内の木材・建設業者への販売も検討している。同課では「今から間伐を始めなければ町有林の荒廃が進む。間伐材の活用で維持コストを確保して、植樹、間伐、伐採というサイクルを確立できれば」としている。

 一方、スギ間伐材は近年、集成材の原料として需要が増加。地場の木材を利用する「地材地消」を促す意味から、安定供給を求める声も強い。同町でも江差製材協同組合(小笠原弘理事長)や江差建設協会(辻正勝会長)が、公共施設などへの地場産材の活用を求める要望書を町や町議会などに提出している。(松浦 純)


◎函高専「シーズ集」発行
 函館高専(長谷川淳校長)内の研究施設「地域共同テクノセンター」(浜克己センター長)はこのほど、2007年度の同校の技術をまとめた「研究シーズ(種)集」を発行した。70人の全教員が研究、開発中の技術を紹介。科学の最先端分野で既に実用化されたものもあり、小林淳哉副センター長は「このシーズ集を積極的に活用してほしい」と技術提供を申し出ている。

 隔年で発行しているが、本年度は退職教員の補充で新しい教員が多いため、研究数はこれまでより増加し、内容も刷新された。中には近隣の企業や道立工業技術センター(函館市桔梗町)との共同研究も掲載。各高専や大学、関係企業などに配布した。

 内容は(1)材料開発・加工・作成(2)環境(3)構造体設計・製作(4)計測・制御(5)電気・電子・電力・理論物質(6)情報技術・ソフトウェア開発・ネットワーク(7)健康・福祉・生体(8)精密分析(9)教育方法・文学・社会・歴史―の9テーマに分け、活用しやすいように配慮した。

 機械工学科の山田誠教授は「5軸制御形状加工」を発表。立体や円筒面など、1方向からだけでは加工できない形状の物体を、3次元測定したコンピューター利用設計システム(CAD)モデルから加工する。

 中村和之教授は、風化が進んだ石碑表面の微細な凹凸を読み込んで復元する研究を掲載。肉眼では読解不可能な石碑でも、復元の可能性が広がることを明らかにしている。

 環境都市工学科の橋本紳一郎助教の研究は「コストゼロのコンクリート!」で、産業副産物をコンクリート材料として再利用する方法などを示している。

 情報工学科の佐藤恵一准教授は、スポーツの練習などに使える「モーショントレーニングシステム」を提案。立体視メガネなどを使用し、格闘技の型練習などの効果的なイメージトレーニング技術を開発中だ。

 冊子はA4判128?で500部を発行。内容は同校のホームページ上で公開しており、希望者には冊子の提供も可能。研究内容についての問い合わせは小林副センター長TEL0138・59・6468。 (小泉まや)


◎海上の負傷者 救い出せ…海保など訓練
 海上で負傷者や急病人が出た場合に備えようと、函館海上保安部と日本水難救済会洋上救急センター道南地方支部(山田邦雄支部長)は4日、函館山沖合の津軽海峡で洋上救急訓練を行った。

 病院関係者に特殊な状況下での医療活動を体験してもらおうと、1985年から毎年実施し、今回は市立函館病院や函館五稜郭病院など市内6病院の医師、看護師ら約20人が参加。同海保の巡視船「つがる」(3221?)に乗り込み、船内の医療施設を見学した。

 救助訓練はダミー人形を船上での負傷者に見立てて実施。参加者は上空約15?のヘリコプターから同基地の機動救難士がロープで降下し、担架に乗せた負傷者をつり上げ救助するまでの手順を見学した。続いて参加者は実際にヘリに乗り込み、スペースを確認したほか、限られた器具での処置の難しさを体験した。

 このほか、船上では緊急時にヘリに積む担架やガスボンベなどの医療器具を公開し、機動救難士が使い方などを説明した。函館五稜郭病院の秋山有史医師(35)は「上空で患者を治療する方法は想像もつかなかった。狭い機内では迅速で的確な処置の必要性を感じた」と話していた。(小林省悟)


◎水稲収穫 3日遅れ…農作物生育状況
 渡島・桧山両支庁は4日、管内の農作物生育状況(1日現在)を発表した。主な農作物は収穫期に入り、9月中旬の降雨のため一部で収穫作業に遅れがみられるものの、生育は順調に進んでいる。

 渡島の水稲は平年より4日早く成熟し、降雨のため収穫作業の進ちょく率は45%と3日遅れている。ジャガイモは収穫作業が7日遅れており、進ちょく率は91%。リンゴ(つがる)の収穫作業は平年より3日早く順調に進んでいる。飼料用トウモロコシは生育、収穫作業とも順調でいずれも平年より7日早い。

 桧山の水稲も収穫期で、降雨の影響を受けて作業は平年より1日遅れており、進ちょく率は52・8%、ジャガイモも収穫作業の進ちょく率が70%と平年より10日遅れている。大豆はさやの数が平年より少ないが、生育は平年並み。小豆は平年よりさやの数が多く、7日早く成熟したが、収穫作業は4日遅れている。

 てん菜の生育は順調で平年より7日早い。飼料用トウモロコシの生育は平年より5日早く、収穫作業も7日早い。秋まき小麦の種まき作業は水稲とジャガイモの収穫作業の遅れや降雨のため、平年より4日遅れている。(宮木佳奈美)


◎ドン・キホーテ函館七重浜店 19日にオープン
 【北斗】深夜営業の総合ディスカウントチェーン、ドン・キホーテ(東京)は4日、道南初の店舗として、北斗市七重浜7に出店準備を進めてきた「ドン・キホーテ函館七重浜店」(村上義和店長)を19日にオープンすると発表した。営業時間は午前10時―翌午前2時。

 同店は鉄骨造り2階建てで、広さ1996平方?の売り場では日用雑貨やブランド品、食料品など4万5000点以上のアイテムを取り扱う。テナントとして、1階にたこ焼き屋と携帯電話ショップ、2階にはゲームセンターが入居する。

 なお、オープン初日は、同社にとって道内7店舗目となるのにちなんで、77円、777円など記念価格の商品を販売する予定。(浜田孝輔)