2007年10月6日(土)掲載

◎G8関係者招致に全力…函館市「PRのチャンス」
 来年7月の北海道洞爺湖サミット(G8)に合わせ、函館市は参加各国の政府関係者や報道陣の函館訪問を各国大使などに要請している。函館は日本初の開港地で、各国ゆかりの教会のほか、旧ロシア領事館や旧イギリス領事館などが現存。「国際性豊かな都市を世界にPRする絶好の機会」(市国際課)で、西尾正範市長も道のサミット推進局を訪れ、G8への協力や関係者を招致したい考えを伝えている。

 G8は来年7月7日から9日までの3日間、洞爺湖地域で開かれる。各国の政府関係者だけで2000人、報道関係者は国内3000人、海外1000人とされ、ばく大な開催経費を要するが、経済効果も大きいことが指摘されている。

 函館市は、各国首脳の訪問は難しいと判断。政府関係者や報道陣を招き、国際性豊かな都市を広く宣伝してもらおうと、市を訪れた大使や総領事に訪問を要請している。これまでにロシアとフランスに意向を伝え、今後も各国の大使館関係者に要請していく。

 各国への思いは共通だが、市は特にロシア関係者の誘致の実現に期待を寄せている。わが国初の外国領事館が置かれ、ハリストス正教会やロシア人墓地などがある。長い友好の歴史の中でウラジオストクとユジノサハリンスクの2市と姉妹都市提携を結び、ロシア極東大函館校やユジノ市との定期便もある。

 フランスは開港前の1855(安政2)年、箱館奉行が人道上の立場から仏軍艦シビル号の傷病兵100人を上陸させるなど、歴史的にも友好関係が深い。トラピスチヌ修道院や元町カトリック教会、ラ・サール学園、白百合学園なども同国とゆかりがある。

 G8関係者の招致は6月定例市議会の個人質問でも取り上げられ、西尾市長も積極的に取り組んでいく考えを示した。同課は「具体的な訪問は決まっていないが、固まり次第、通訳の手配や日程、案内先などを早急に決め、各国メディアに函館を紹介してもらいたい」と期待している。(高柳 謙)


◎利用者前年比3割アップ…函館バス・上半期ツアー利用実績
 函館バス(函館市高盛町10、寺坂伊佐夫社長)月)は5日までに、本年度上半期(4―9月)に実施した、道南各地の名所やイベント・祭り会場を訪れるバスツアーの利用実績をまとめた。企画本数は前年同期比6本増の17本で、利用者総数は573人と約3割の伸びを見せ、「はこだて湯の川オンパク」に代表されるように、地域の魅力を再認識しようとする、地元住民からの人気ぶりを裏づける結果となった。

 広域観光や地域間交流の振興に一役買おうと、同社グループの「エイチ・ビー観光」(片山暁郎社長)が、旅行会社「トップツアー函館支店」(同市若松町6)などとのタイアップで企画。当地の名産品を取り入れた昼食メニューやお土産などの内容は年々充実しており、女性客や年配者を中心にリピーター率も高まっている。

 上半期のツアーでは、6月初旬の「中空土偶と恵山つつじツアー」が、バス2台で参加人数は82人と、最も盛況だった。初開催の中では、函館発着で乙部町や福島町を訪れるツアーが、地元の歓迎もあって参加者から好評を得た。

 このほか、独身者を対象にした「HAPPYバスツアー」では、若年層の需要を発掘。また、屋台村「大門横丁」(同市松風町7)を訪れるツアーは、これまでの鹿部、松前両町に加え、新たに江差町からも町民が来函し、函館をPRするきっかけづくりとなった。

 下半期(10月―来年3月)は、すでに15本のツアーが決まっていて、さらなる新企画を模索。函館バスは「極力、低料金で設定し、決して損はさせない内容にしているので、利用客の拡大に向けてさらに努力していきたい」と話している。(浜田孝輔)


◎三十三観音“完成”…湯川寺で開眼法要
 函館市湯川町3の湯川(とうせん)寺(筒井英順住職)の境内に安置されている「西国移土三十三観音」の開眼法要が5日、行われた。この観音の多くは、江戸時代の天保年間に函館山に置かれていた石仏で、明治時代に函館山要塞の建設に伴い山から下ろされ、大正時代に当時の湯川村に来た。庭園型に並ぶ観音を前に筒井住職(52)は「函館山に観音を建てた人の志を伝え続けていきたい」と話している。

 函館山の観音像は天保年間、山のふもとにある称名寺の住職の呼びかけに応じた檀家の蛯子長兵衛が西国三十三観音の分霊所を作る計画を立て、高田屋嘉兵衛などが世話人となり1834年に完成した。

 1897(明治30)年ごろ、函館山が旧日本軍の要塞建設のため一般人の立ち入りが禁止になり、観音像は称名寺などに下ろされた。1928(大正3)年、湯川村民の願いで同村に移設。湯川寺に1番観音が置かれたほか、函館競馬場や見晴公園などに置かれた。

 その後、道路の拡張や、管理する人が居ないなどの理由で75年に湯川寺境内に集められたが、2004年の区画整理事業により境内の中で移動することになった。これを機に、筒井住職ら檀家が同年から3年かけて滋賀などの西国三十三観音礼所を巡拝し、霊場の土を持ち帰って土台の一部を作り「西国移土三十三観音」を完成させた。

 開眼式には檀家や関係者約200人が参加。テープカット後、すべての観音の幕が下ろされた。観音はきれいに磨かれており、舟形光背(ふながたこうはい)といわれる背後から頭上にかけてそった形の33体が披露された。移設を繰り返したため、10体は新しく作り直された。

 法要後、参加者は筒井住職に続き三十三観音巡拝をした。檀家で同市榎本町の伊藤博さん(86)は「函館山の設置から約170年かかりこのような姿になり感無量。参拝しやすくなったので、多くの人に来てもらいたい」と話していた。(山崎純一)


◎「函館カレーパン」に一新…日糧製パン「がごめこんぶ―」リニューアル
 日糧製パン函館事業所(昭和4、川崎俊治事業所長)は10月から、ガゴメコンブを使用した「函館カレーパン―まろやか和風仕立て」の販売を開始した。昨年7月に登場した「がごめこんぶのカレーパン」を食べやすいサイズにリニューアル。11月からは、販売地域を札幌など全道に拡大する予定で、川崎所長は「函館工場の看板商品として成長を期待している。ガゴメの知名度も高めていきたい」と話している。

 ガゴメなどの研究を進める「都市エリア産学官連携促進事業」の関連商品として開発された前作は、販売期間が1年以上となる大ヒット商品となった。一時期、道内他地域でも販売したが、道南よりもガゴメの知名度が低くかったためか、売れ行きは振るわなかった。今回、名称も「函館カレーパン」と一新し、全道でのヒットを狙う。

 生地は機械を使わず、すべて手作りで、もちもちとした仕上がり。健康志向の消費者のために、コレステロールを含まない油で揚げている。具材の量はほとんど変わらないが、前作より一回りほど小さくすることでボリューム感アップを図り、小売価格も120円に抑えた。電子レンジなどで温めると、ガゴメの粘りや風味をより味わえる。

 また、外装の裏側には、北大大学院水産科学研究院の安井肇准教授が、似顔絵付きで「ガゴメ先生」として登場。ガゴメに含まれる粘性多糖類フコイダンの効能などを解説している。

 川崎所長は「おいしく仕上がり、味もいいと自信を持っている。今後も地域の素材を使った製品の可能性を追求していきたい」と話している。(今井正一)


◎クマに襲われ男性軽傷
 【北斗】5日午前11時半ごろ、北斗市向野の山林で、キノコ採りに来ていた近くに住む無職の男性(60)がクマに出くわし、襲われた。男性は尻を引っかかれ、全治約1週間の軽いけが。自力で下山した男性が函館中央署大野駐在所などに届け出た。

 同署などによると、男性は同11時20分ごろ、ナラタケ(ボリボリ)採りのため1人で入山したところ、林道から約100?の雑木林内で体長約1・5?のクマと鉢合わせた。男性はクマとにらみ合い、近くに止めた車に戻ろうとした際、突然背後から前足で襲われたという。

 その後、男性が大声を出したり、木の枝を振り回したりしたところ、クマは山林内に立ち去った。被害に遭った男性は「最初は夢かと思ったが、クマが立ち上がった瞬間我に返った。これまで何度も入ったことのある山だが、実際にクマを見るのは初めて。もう二度と行かない」と話していた。

 現場は八郎沼公園近くの火葬場から北へ約1?の地点で、付近に民家はない。同署員や同市職員、地元のハンターら10人態勢で捜索したが、クマは見つからなかった。同署は「今後はクマの活動期に入り、人的被害につながる恐れもある。キノコ採りなどで入山する際は十分注意してほしい」としている。


◎豪・レイク市へ訪問団…姉妹提携15周年記念で市
 函館市の西尾正範市長は5日、定例記者会見を開き、姉妹都市提携15周年を迎えたオーストラリアのレイク・マコーリー市へ公式訪問団を派遣すると発表した。日程は24日から29日までの6日間で、現地で交歓会などが開かれるほか、レイク市長への表敬訪問などを予定している。

 訪問団は工藤寿樹副市長を団長に、企画部職員2人、市議会議員1人の計4人で組織。中学生海外派遣事業として中学生の訪問団(20人)も参加する。

 レイク・マコーリー市はシドニーの北約150キロに位置し、湖を中心に発展を遂げている。1992(平成4)年7月に姉妹都市提携を結び、これまで両市が公式訪問団を派遣するなど、友好・交流を深めている。

 函館オーストラリア協会や民間団体が中心となった交流も盛んで、教育やスポーツ分野のほか、青少年や語学教師の相互交流、両市のハーフマラソン大会への選手の相互派遣などを続けている。9月末にはレイク市のジュニアラグビーチームが来函し、函館ラグビースクールと親善試合をした。

 このほか、普通地方交付税が削減されている状況について、西尾市長は「このまま削減が続けば道内の自治体の半分が2、3年で破たんする」とし、今後開かれる全道市長会でも緊急要望の提案を進めていく考えを示した。内部努力として行財政改革も推進し、中期財政試算計画を11月中に策定する。 (鈴木 潤)