2007年10月9日(火)掲載

◎子どもの安全夫婦で守る…永澤勝平、和枝さん
 子どもの安全を第一に―。子どもが犠牲になる凶悪事件や空き巣、車上狙いや自転車盗難などが相次ぐ中、函館市万代町2に住む永澤勝平さん(62)はこのほど、函館方面防犯協会連合会の認可を得て、自家用車に青色回転灯を設置し、自主防犯活動を始めた。妻の和枝さん(55)も同町会役員5人と愛犬のコロン(雄、雑種)で「万代町わんわんパトロール隊」(永澤和枝隊長)を結成。夫婦そろって地域の安全活動に力を注いでいる。

 勝平さんは34年間、道警函館方面本部警務課車両係に勤務。退職を機に「何か町内に貢献できることはないか」と、ことし5月から万代町会防犯部副部長に就いた。防犯部所属になり、万代町内で子どもの安全を見守るパトロールが十分でないと感じ、「市内いくつかの町会で活動する『青色回転灯』を取り付けて巡回活動し、地域住民、特に子どもが安心して生活できるようにしたい」と考えた。

 早速6月に青色回転灯の申請を行い、認可を受けて9月2日、同町会会館前で出陣式を実施。青色回転灯を取り付けた自家用車のドアには「自主防犯活動用自動車」と書かれたステッカーを張り付け、パトロール車であることを強調した。

 パトロールは町内近隣にある小学校の児童の下校時間に合わせ、学校周辺を中心に行っている。「子どもの数が減少してるせいか、1人で下校する児童をよく見かける」と勝平さん。児童に「こんにちは」と声を掛けながら注意を促し、町民同士の絆(きずな)も深めている。

 一方、和枝さんも2002年から同町会女性部長、翌03年に町会副部長を務めるなど、積極的に町会活動に参加。「誰もが安心して暮らせる町づくり」を目指し、パトロール隊を組織した。コロンの散歩を兼ねて、毎日午後8時をめどに町内のパトロールに取り組んでいる。

 勝平さんは「万代町は小路が多く、港に近いため、暗い場所や人が少ない所を狙った小さな事件が多発している。時間のある限り地域のパトロールを強化し、町民が安心して暮らせる万代町にしたい」と意気込んでいる。(小橋優子)


◎足かけ7年 地元はウンザリ…出口見えぬ支庁制度改革
 【江差】支庁制度改革をめぐり、桧山支庁存続運動は足かけ7年に及ぶ。この間、道政の担い手は堀達也氏から高橋はるみ知事に移り、道の方針も渡島支庁との統合から、窓口業務だけを行う地域行政センターへの格下げ、さらに支庁制度に代わる「振興局制」の検討と目まぐるしく変遷してきた。この出口の見えない議論が、過疎化に苦しむマチをほんろうし続けている。

 9月の第3回定例道議会。支庁問題を担当する江差町の総務政策課政策推進係は、志を共にする留萌市や日高管内浦河町、道議会などを通じた情報収集に追われた。当初は支庁存続に向けて手探りの活動だったが、他の支庁所在地や道議会関係の人脈を着実に作ってきたため、情報収集力は高い。

 ただ、係は課長級の参事と主幹3人の小世帯。企画部門として町の“頭脳”を担うが、町内外との折衝や調整は重荷だ。「産業振興や企業誘致など町の浮沈を握る部署が長年、支庁問題など後ろ向きな懸案に縛られているのは町にとって大きな損失」と、ある町議は指摘する。

 江差町は飲食店やサービス業など第3次産業に従事する人の割合が、近隣町の2倍に当たる6割に上る。相次ぐ官公庁の撤退とともに、支庁問題は不況にあえぐ経営者の心理に暗い影を落とす。ある経営者は「案が出るたびに右往左往している。不毛な議論に踊らされている小さなマチの苦悩を考えたことがあるのか。これでは生殺しだ」と憤る。

 建設業界からも「町に支庁廃止という負のイメージが定着してしまった。マチの活気が奪われ、停滞感が広がっている。企業の投資意欲はそがれ、不動産評価も下がる」と語る。飲食店経営者も「官官接待の禁止や公務員の給与削減で客足は減った。支庁廃止は追い打ちだ。先行きが見えない中では、店をたたむことも考えなければならない」と漏らす。

 堀前知事の私的諮問機関の支庁制度検討委員会の発足は99年1月。桧山支庁廃止の方向が示されるとともに、町は存続運動を開始。支庁所在地のネットワーク会議も発足した。

 高橋道政下でも「支庁制度改革プログラム」「新しい支庁の姿(骨格案)」が矢継ぎ早に公表され、運動は緊迫度を増した。9月の定例道議会では新たに「振興局制」が打ち出されたが、現在の支庁制度や従来案との違い、改革による利点が見えないことに、市町村の反発は強まっている。江差町の担当者は「支庁、行政センター、振興局の違いは何か。道議会や市町村を納得させることができず、看板をすり替えているだけにみえる。強引な改革は地方を疲弊させるだけ」と切実に訴える。(松浦 純)



◎五稜郭タワー階段で…初の体験イベント
 五稜郭タワー(函館市五稜郭町43、中野豊社長)で8日、地上から展望台までを階段で上る体験イベントが初めて開かれた。参加者は451段の急こう配に息を乱しながらも、ゴールを目指して懸命に歩を進めた。

 この階段は非常用のため、普段は一般の人には開放されていない場所だが、「体育の日」に合わせて市民らの健康増進に役立ててもらおうと企画した。朝、昼、夕の3回に30人が参加した。

 参加者は、感触を確かめるように一段一段を踏みしめ、途中で休憩を兼ねて同社の社員からタワーの構造や工法の説明を受けた。約20分ほどかけて、ビルの約30階に相当する地上90メートルの展望台に到着すると、国の特別史跡・五稜郭の絶景を眺めて、疲れを癒やしていた。

 函館北美原小5年の植田貫太君は「上る前は大変そうかなと考えていたけど、思ったより短く、楽しめた」と余裕の表情を浮かべていた。(浜田孝輔)


◎JRA秋フェス、大妻高と新函館農協の合作「函館育ち」の秋うま鍋
 JRA函館競馬場(函館市駒場町12)の秋の恒例イベント「道南秋うま!フェスタ2007」で8日、函館大妻高校の生徒らが地場野菜を使った「『函館育ち』の秋うま鍋」を振る舞った。

 新函館農協の野菜ブランド「函館育ち」を使い、同高校がレシピを考案した合作で、同イベントでは初の試み。ダイコンやニンジン、長ネギなどの地場野菜、市内で製造された豆腐やホッケ、タラのすり身などを盛り込んだみそ仕立ての鍋を500人分作り、先着順で無料配布した。

 同校福祉科1―3年生の有志10人が準備・配布スタッフとして参加。配布前から来場者の列ができ、15分ほどで終了した。市内中島町の主婦種田玉枝さん(75)は「体が温まり、とてもおいしかった。ぜひレシピをまねしたい」と絶賛。同校2年の白戸梢さんは「みんなに喜んでもらえてやりがいを感じた」と充実した様子だった。

 同イベントは7日から始まり、食をテーマにした8日は道南のブランド米「ふっくりんこ」の新米の試食・販売や、地場野菜の即売会などが行われ、大勢の来場者が“収穫の秋”を楽しんだ。14日はふっくりんこの新米1年分(50キロ)が当たる抽選会や秋の火災予防運動にちなんだ「ちびっこ消防体験&消火器体験」などを企画している。(宮木佳奈美)


◎4高が練習 成果を発表…演劇フェス開幕
 「函館舞台塾 2007演劇フェスティバル」(市文化・スポーツ振興財団主催)が8日、市芸術ホール(五稜郭37)で始まった。この日は高文連道南支部演劇発表大会が行われ、市内の4校の演劇部員が日ごろの練習の成果を発揮。ステージは高校生の演劇にかける情熱であふれた。

 このフェスティバルは、舞台芸術にかかわる人材育成を目指し、“演劇の風”で地域に輝きを与えようと開催。12月9日までの延べ8日間、同ホールを会場に市内で活動する8つの劇団、高校、大学の演劇部が多彩な舞台を展開する。

 この日発表したのは市立函館、函館白百合学園、函館大妻、函館遺愛女子の4校。キャスト、スタッフすべてが高校生で、自ら制作した舞台を発表。市立函館の演目は「STREET CHILDREN(ストリート・チルドレン)」。親に捨てられた貧しい子どもが路上生活し、覚せい剤の魔の手に落ちる物語で、日常の幸せとは何かを観客に訴えた。

 次回のフェスティバルは13日午後6時、出演団体は「劇団はこだて」、演目は「黄昏」。問い合わせは同ホールTEL0138・55・3521。