2007年11月1日(木)掲載

◎大雪丸よみがえる…北斗市の高校生が模型修理、「チョロQ」2500セット限定発売
 大雪丸の勇姿再び―。青函連絡船で活躍し、現在は長崎に係留されている大雪丸の模型やぜんまい仕掛けのミニカー「チョロQ」が2日から、函館市若松町12のJR函館駅2階「いるか文庫」に登場する。青函連絡船就航から100年。大雪丸の新たな伝説が生まれる。

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 本物そっくりの汽笛を鳴らし、座席など細部まで美しい縮尺約100分の1の大雪丸の模型が“復活”した。30年前に青函連絡船に携わる人が制作し、このほど地元の高校生が中心として傷んでいた部分を修理した。

 この模型は青函連絡船の修理会社に勤務しており昨年5月に亡くなった木村政勝さん(享年81)が1978年ごろに制作した。自宅玄関に飾っていたが、家族が11月、NPO法人(特定非営利活動法人)「語りつぐ青函連絡船の会」(石黒隆理事長)に寄贈した。塗装や内部の痛みが激しく、同会では就航100年の記念事業として修復することにした。

 修理は同会のイベントに参加経験がある函館水産高2年の田中良拓さん(17)ら北斗市在往の高校生2人に依頼。田中さんらは半年間、毎週末に田中さんの家のガレージで作業した。

 模型は全長132センチ、幅18・5センチ。下部が木材、上部はトタン製。作業は各部屋などパーツごとにばらして修理し、組みなおした。「素材が縮み、組み合わず難しかった」と田中さん。客室前方の曲線を蘇えらせたことに笑顔を見せる。赤と緑の塗装を施し、船は輝きを取り戻した。

 室内灯は豆電球だったものが、東京の電器メーカーの協力を得て発光ダイオード(LED)に変更。また、大阪の汽笛メーカーが本物同様の汽笛が鳴るスピーカーを提供した。木村さんの三女の木村英子(松川町)さんは「きれいになり、父も喜んでいると思う」と感慨ひとしお。同会の白井朝子理事は「船の様子を知ることができ、たくさんの人に見てほしい」と話していた。

 いるか文庫の開館時間は午前10時から午後5時まで。水・木は休館。(山崎純一)

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 NPO法人(特定非営利活動法人)「語りつぐ青函連絡船の会」(石黒隆理事長)は、青函連絡船「大雪丸」のチョロQを新たに製作。これまで販売している摩周丸、羊蹄丸、八甲田丸に加え4個1組で「青函連絡船100年記念セット」として、11月2日から2500個を限定販売する。同会は「記念セットの販売は初めて。連絡船の記憶や功績を伝えるためにもぜひどうぞ」とPRしている。

 旧国鉄の青函連絡船は1908年3月7日に比羅夫丸が就航し、青函航路を4時間で結んだ。青函トンネル開業により、連絡船は1988年3月13日で終航。来年は就航100年、終航20年の節目となる。これに合わせて、大雪丸(就航期間65年5月16日―88年1月6日)のチョロQを製作した。

 連絡船は函館の摩周丸をはじめ、青森で八甲丸、東京で羊蹄丸が保存・活用されている。大雪丸も長崎で宿泊施設として活用後、閉館されたが、船自体は保存されている。

 国内に現存する4隻のチョロQを作製・販売することで、同会は「80年にわたり本州と北海道の大動脈として活躍したことを広くアピールしていきたい」と話している。

 大雪丸単品は1個1000円で、10個まで送料は500円。4個セットは4000円で、2つまで送料は500円。JR函館駅2階「いるか文庫」(水・木休館)で11月2日から販売する。

 郵便振替で注文もできる。口座番号02750―1―75533、加入者名「語りつぐ青函連絡船の会」、通信欄に商品名・個数を記入し、送金する。

 申し込み・問い合わせは、いるか文庫?0138・22・6801。(高柳 謙)


◎甘く、飲みやすく…うマイ! ふっくりんこなどのお酒開発
 JA新はこだて(小野寺仁代表理事組合長)が、小樽の老舗酒造「田中酒造」(田中一良社長)と共同で、道南産米「ふっくりんこ」と八雲町産のもち米「風の子もち」を使った酒2種類を新開発した。幅広い年代に飲んでもらえるよう、どちらも甘く、飲みやすいのが特徴。3日、北斗市内で開かれる同JAの本店移転記念イベントでデビューする。

 もち米の消費拡大や新品種米の普及を目指す同JAと、新商品開発を考案していた同酒造の思いが一致し、昨年夏ごろから準備を進めてきた。

 新商品は、ふっくりんこを使った清酒「ふっくりんこ蔵部」と風の子もちを使ったみりん(甘い酒)「もちっこ蔵部」。ふっくりんこ蔵部はどぶろく風に仕上げたため白くにごっており、酒では珍しい甘酸っぱい飲み口。アルコール度数は14・4%。もちっこ蔵部はとろっとしておりすっきりした後味で、アルコール度数は13度前後。どちらも500?ミリリットル。

 同JAの田山光幸米穀課長は「ロックや冷やすなど色んな飲み方が楽しめる」と話している。田中酒造の小山秀人総務部長は「新しいタイプの酒なので、女性や酒の苦手な方にもぜひ飲んでほしい」と力を込める。

 イベント(午前11時―午後2時)では、各50本を1本1300円で限定販売するほか、聞き酒も企画。今月中旬からは、Aコープ木古内・知内・厚沢部各店の店頭で、2本セット(2800円)のみで取り扱う。各店100セットを用意する予定。

 取扱店の紹介など問い合わせは同JATEL0138・84・8737。(新目七恵)


◎日本海の磯焼け防止に期待…イカゴロ海中施肥スタート
 【乙部】深刻化する日本海の磯焼けに歯止めを掛けようと、乙部町の漁業者を中心に、水産加工場で発生するイカ内臓(イカゴロ)を活用して、海藻類の肥料や魚介類の餌として海中に還元する、道内初の試験事業が31日に始まり、乙部沖の2カ所で、金属かごに納めた計200キロのイカゴロを沈めた。

 磯焼け対策として、栄養分に富むイカゴロを活用した「海中施肥(せひ)」の実施は道内初。水産廃棄物の海中投棄が厳しく規制される中、全国的にも例が無いという。上ノ国町でも昨年度、イカゴロをmノに定置網に魚をおびき寄せる集魚試験を開始しており、イカゴロを海中に還元して活用する取り組みとしては道内2例目となる。

 同日は、館浦の館ノ岬、三ツ谷の琴平岬の沖合で、ホタテ養殖用のクレーンを持つ漁船を使い、冷凍したイカゴロを100キロずつ入れた金属かごを水深約10メートルの海底に沈めた。

 水質汚濁などの影響は無かった。イカゴロは数日で分解され、栄養分が周辺海域に拡散。海藻が消失する磯焼け現象の拡大を防ぎ、魚介類の成長を促す効果が期待されている。

 月内には、豊浜沖でも投入を計画している。3地点では定期的にイカゴロを補充して、海藻や魚介類の生育状況を水中カメラで観測するという。

 試験事業は、町内の9漁業者とひやま漁協乙部支所を中心に実施。補助金などは受けず、費用は漁業者が負担する。町内では「豊かな浜づくり協議会」(会長・寺島光一郎町長)も10月19日に発足。全町的な取り組みとして試験事業を支援する。(松浦 純)


◎商工中金と函館高専協定…経済発展へ産学連携推進
 商工中金函館支店(渡辺正支店長)と函館高専(長谷川淳校長)は31日、産学連携の協力推進にかかわる協定を結んだ。同高専の研究成果を活用し、地元の中小企業が技術力として生かすため、同中金が橋渡し役を担い、地域経済の発展に結びつけたい考えだ。

 同中金では、地域活性化や企業支援などの取り組みの一環として、2005年から教育・研究機関などと産学連携に関する協定を締結してきており、今回が全国30例目。同支店管内、及び道内4つの高専では初めてとなる。

 協定の内容は、@同高専の研究成果などのシーズと企業の技術ニーズとの照合を同支店が調整するA同支店の取引先企業からの技術相談に関する支援B技術ニーズの情報収集と、それに対する情報提供―、など。同時に、同支店は必要に応じて企業への融資を行っていく。

 長谷川校長は「技術者を養成する高等教育機関としてだけでなく、地域での産学連携に熱心に取り組んでいる。これまでの活動が、今回の協定を足掛かりとして飛躍的に伸びるものと期待している」とし、渡辺支店長は「役に立たせてもらうことに使命感を抱いており、広いネットワークを活用して、実りのあるものにしていきたい」と話していた。(浜田孝輔)


◎「KOBE ALIVE」でYOSAKOIソーランチーム 函館躍魂いさり火が大賞
 函館のYOSAKOIソーランチーム「函館躍魂(おどるたましい)いさり火」(岡本美貴夫代表、64人)が、27、28両日、神戸市で行われた群舞コンテスト「KOBE ALIVE

 2007〜新舞」(NPO法人 颯爽JAPANなど主催)で、最高賞にあたるKOBE ALIVE大賞を受賞した。岡本代表は「道外の大会で高い評価を受けたことは大変うれしいし、チームにとっても大きな自信につながる」と喜びをかみしめている。

 躍魂いさり火は10代から50代までの幅広い年齢層によって1995年に結成。札幌でのYOSAKOIソーラン祭りで何度もファイナル出場を果たすなど、道南を代表するチームとして実績を積んでいる。

 「KOBE ALIVE」は、新しいダンス文化の創出と育成を目指し、全国から様々な種類のダンスチームを募り、今回初めて開催された。いさり火には昨年から出場の打診があったが、6月のYOSAKOIソーランをスケジュールの中心に組んでいるため、一度は出場を断った。しかし、今年の8月に、主催者代表ら2人が函館を訪れて直接出場要請を行ったため「熱意に打たれて出場を決意した」(岡本代表)と明かす。

 演目は、札幌大会でも披露した三国志をテーマにした「英雄」〜蒼天の魂〜。札幌では惜しくもファイナル進出を逃していることもあり「リベンジの意味も込めて絶対優勝するつもりだった」と言う岡本代表の熱い思いがメンバー全体にも伝わり、見事に最高賞を獲得した。

 岡本代表は「大賞をもらったことはもちろん、神戸の人たちが北海道のYOSAKOIを熱狂的に受け入れてくれたことが何よりうれしかった。来年の札幌大会にもこの勢いをつなげていきたい」と意気込んでいる。(小川俊之)