2007年11月10日(土)掲載

◎蜃気楼 幻想的
 【北斗】北斗市七重浜の海岸から9日、浮き島現象(蜃気楼)が見られた。冬の間、津軽海峡などでよく現れ、船が浮くように見えるなど、幻想的なシーンが“出現”する。

 この現象は、暖かい海水温と冷たい外気温の関係から光が異常に屈折し、物体が浮き上がるように見える。寒暖の差が激しいと発生する。函館海洋気象台によると、この日の函館は12月並みの寒気が入り、最低気温は2・6度だったが、次第に高気圧に覆われ午前中には10度を超えた。

 海岸から函館湾を見ると、海のきらめきの向こうに高速フェリー「ナッチャンRera(レラ)」などの船が浮かび、同市富川方面を見ると海岸沿いにある建物が長く伸びるなど、不思議な場面が展開された。(山崎純一)


◎マニフェスト大賞、福島町議会に最高賞
 【福島、東京】地方議会や議員らの政策などを審査、表彰する「第2回マニフェスト大賞」(ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟など主催、早稲田大学マニフェスト研究所共催)が9日決まり、福島町議会(溝部幸基議長)が議会として最高評価となる「最優秀成果・議会賞」に選ばれた。道内からは各部門を通じて唯一の受賞。議会、議員の自己評価制度など「開かれた議会づくり」活動が評価された。同日、東京都内で開かれた授賞式に臨んだ溝部議長は「地域住民のために出来ることを、出来るところから着実に進めようと心掛けてきた。良い評価はとてもありがたい」と話した。(田中陽介)

 同町議会は「議会賞」と「ベスト・ホームページ賞」の2部門に2年連続でノミネートされ、昨年は最終的に選考から外れ、「審査員特別賞」にとどまった。ことしは各部門に338団体から547件の応募があった。

 同町議会は1999年から「町民起点」「町民主体の議会」を基本に、全国各地の先進的議会を参考に議会改革に取り組んできた。2005年には議会と議員の自己評価制度を導入。議員は自身の活動状況を分析、議会だよりなどで評価結果を明らかにしている。さらに、本会議以外の各種委員会の公開、一般質問の資料を事前にHPに掲載するなど、議会運営を広く公表してきた。

 溝部議長は「町民が誰でも参加できることが議会活動では重要。そのためには議会の敷居を下げることが必要だった」と振り返る。

 情報化時代を見据え、議会事務局と試行錯誤を繰り返しながら、親しまれるHPづくりにも汗を流した。「議会の情報はすべて提供する」を基本に、「利用者が分かりやすく、見やすいように」と、とかく難解になりがちな議会用語なども丁寧に説明している。

 溝部議長は「良いものは継続して、さらに付加価値をつけていこうと努力している。まだまだ可能性はある」としている。

 昨年の第1回マニフェスト大賞では、空知管内の栗山町議会が「栗山町議会基本条例の制定」で、同議会賞を受賞している。


◎市民有志が企画、23日に香雪園園亭で及川恒平さんのコンサート
 1960年代後半からのフォークソング全盛期に、「雨が空から降れば」などのヒット曲で人気を博したグループ「六文銭」の元メンバーでフォーク歌手、及川恒平さんのコンサートが23日午後2時から、香雪園園亭(函館市見晴町56)の茶室で開かれる。市内に住む小林ひろみさん(49)と、友人の宮村智子さんが「及川恒平を聴く会」を立ち上げて企画した。小林さんらは「心安らぐ及川さんの歌を自然に囲まれた園亭で楽しんでもらいたい」と話している。(宮木佳奈美)

 香雪園は道内唯一の名勝指定を受けた純日本庭園で、この中心に位置する園亭からは四季折々の趣のある庭の景色や風情を味わえる。小林さんは「及川さんの歌は自然あふれる場所で聴くのがぴったり」との思いから、会場選びにこだわった。

 及川さんは70年から六文銭のメンバーとなった。六文銭はフォーク界の大御所、小室等さんが中心になって68年に結成し、72年に解散。各メンバーは独自の音楽活動を続けている。

 小林さんは根室管内中標津高校の生徒だった32年前、学校祭に及川さんを招いたことがあり、今年5月に函館市内で開かれた及川さんのライブでは「久々に聴いてなぜか泣けてしょうがなかった」という。小林さんからCDをプレゼントされた宮村さんも「初めて聴いたのに気づいたら口ずさんでいた。とても心地よい音楽」とすっかりファンになった。

 こうした中、2人の間では「及川さんの歌を生で聴きたい」との思いが日増しに強まり、何度か及川さん側にCDやライブの感想をメールで送り、コンサートの実施を打診していた。「すぐには無理だと思っていたので、ゆっくり企画を温めていこうと思った矢先、及川さんから道内ツアーを実施すると連絡があり、夢がかなった」と小林さん。まさに2人の熱意が実った格好だ。

 反響が大きく当初用意した前売り券25枚はすでに完売。このため当日券の販売を中止し、若干の前売り券を用意している。1人2000円。問い合わせは事務局090・6877・0163。


◎函病が大動脈瘤の専門外来開設へ
 市立函館病院(吉川修身院長)は9日までに、大動脈瘤(りゅう)に対応する専門外来を12月1日から開設することを決めた。担当専門医は、ステントグラフト治療と呼ばれる最新技術を持つ心臓血管外科科長の森下清文医師(53)で、月曜、水曜の午前と金曜午後の週3回診療する。同病院は「大動脈瘤の適切な診断、治療方針の確立が可能となる」としている。

 ステントグラフト治療は、血管にできたこぶに特殊な人工血管を装着し、血管破裂を防ぐ医療技術。森下医師は今年1月、札幌医大病院から市立函館病院に着任し、患者を治療しながら専門外来開設に向けて院内の体制を整えてきた。11の医療学会でつくるステンドグラフト実施基準管理委員会からの認定を受けたことなどから、今回の開設に踏み切った。この治療ができるのは道南では同病院だけという。

 大動脈瘤は、大動脈にできるこぶで、破裂寸前まで無症状。主に喫煙や高血圧が原因で発症し、近年、患者数は急増している。

 森下医師は「ようやく体制が整ったので、これまで培った医療技術を発揮していきたい。こぶの破裂予防に対応した生活指導も行いたい」と話している。(鈴木 潤)


◎深堀中生がこもまき体験
 【七飯】函館深堀中学校(内田弘治校長、生徒368人)の2年生が9日、市内の企業や公共機関で職場体験に取り組み、このうち6人は七飯町内の国道5号「赤松街道」沿いで、マツにむしろを巻く「こも巻き」に挑戦した。

 将来の進路選択などを考える機会として実施し、函館開発建設部も協力。6人は同町内の茂辺地高架橋で測量体験を行った後、こも巻き作業に臨んだ。

 生徒は函館開建維持課の猪口弘勝事業専門官から「こも巻きは害虫駆除が目的で、この時期の風物詩」などと説明を受け、作業員に手ほどきを受けながら1人ずつ縄でむしろを縛る作業に取り組んだ。熊谷成泰君(14)は「働いている姿は格好良く、勉強になった」と話していた。(新目七恵)