2007年11月13日(火)掲載

◎国連文庫の寄贈先に磨光小
 函館市尾札部の函館磨光小学校(加藤正男校長、児童148人)がこのほど、日本国際連合協会道本部(事務局・道知事室国際課)の実施する「国連文庫寄贈」事業の対象に選ばれた。同支部の主催する作文コンテストの応募者数が最も多かった小・中学校各1校に贈られるもので、同小は40人が参加。さらに同コンテストでは特賞2つと金・銀賞、佳作の各賞を同小児童が独占し、子どもたちや関係者は「とてもうれしい」と喜んでいる。(新目七恵)

 文庫の寄贈は、青少年への国際思想の普及啓発を目的に毎年実施。中学校の部では桧山管内乙部町の乙部中(豊田收校長)が選ばれた。

 入賞したのは、特賞の日本国連協会道本部長賞に高田葵さん(5年)、道知事賞に坂本玲哉君(4年)、金賞に古内久大君(6年)、銀賞に関根靖浩君(6年)、佳作に村上優香さん(5年)と和井内祐希さん(4年)。

 最高賞を獲得した高田さんの作品は「平和な世界を作りたい」との題で、戦争を経験した祖父の話などから「戦争にならないためには、みんなが友達になってたくさん楽しいことをするといい」と平和への思いをつづった。坂本君の作品は「ひどい戦争のなかで」と題し、戦争に巻き込まれた動物や人間を描いた本を読んだ感想を述べ、「ぼくも、ぼくたちのあとの子どもたちも動物も、これからは戦争を知らない方がいい」と戦争の悲惨さを訴えた。

 高田さんは「祖父も良かったと喜んでくれた」、坂本君は「選ばれると思わなかったので戸惑ったけどうれしい」と話し、入賞した仲間と共に喜んでいる。

 同校は地域の読書感想文コンクールにも積極的に参加するなど、作文教育に力を入れており、加藤校長は「『書く』ことは自分の思いや考えを明らかにするための大事な分野。受賞はうれしい限り」と話している。14日には同校で文庫の寄贈式が行われる。


◎日本人初 寺越さん修士課程修了…ロシア極東大 本学に留学
 ロシア極東大函館校(イリイン・セルゲイ校長)を卒業後、ウラジオストク市の本学・ロシア極東国立総合大学(ウラジミル・クリーロフ学長)に留学したの寺越弓恵さん(25)がこのほど、同大修士課程を修了した。同函館校によると、同大修士の修了は日本人で初めて。寺越さんは「この経験を生かしていきたい」と話している。

 寺越さんは2001年4月、富山県の富山商船高専から同大函館校のロシア地域学科(4年制)に入学。05年3月の卒業後、ロシアについてもっと学びたいと同年9月、本学の国際政治課程(2年制)に進んだ。

 修士課程に進学するためには70科目の単位取得が必要で、1年目に必死で単位を取得。2年目には教育実習などを行い、「日本とロシアのテロ対策」をテーマに修了論文を発表、9月に修了を認められた。「言葉で言い尽くせないほどの達成感と安堵(あんど)感がある」と寺越さん。1年目は講義づけの毎日で、教授らとうまく会話ができず、相談する友人もいなかったために引きこもりがちになったが、「いろいろな人に支えられて乗り切ることができた」と振り返る。

 函館校の小笠原雅専務理事は「学校として誇りに思う。後輩たちの励みなる」とたたえる。

 帰国後は古里の石川県小松市に在住。8日に来函し、13日まで滞在して母校や関係者に修了を報告。今後は「紛争地の開発支援や国際協力の仕事に就きたい」としている。(鈴木 潤)


◎近郊ツアー、散策好評…「第3回オンパク」終了
 湯の川温泉街を中心に繰り広げられた体験参加型イベント「第3回はこだて湯の川温泉泊覧会(はこだて湯の川オンパク)」(実行委主催)が11日終了した。趣向を凝らしたプログラムで市民らを楽しませた16日間。実行委(刈田眞司委員長)によると、定員3783人に対して参加者数は概算で2994人を記録した。力を入れた函館近郊へのツアーや散策は管外からの団体の参加もあり好調だったが、雨天で会場や内容を変更せざるを得ないプログラムもあり、課題として浮上した。開催時期や一層の内容充実に向け、近く話し合いの場が持たれる。

 今回は「湯けむり見聞録―そっと教えるおとなのより道―」をテーマに、用意したプログラム数は前回より4つ少ない70プログラム。ただ、最終日の17プログラムのうち、降雨で「定置網漁業体験!南かやべバスツアー」が、乗船を取りやめて大船遺跡速報展示室(同市大船町)の見学に切り替えられ、「ぶらり元町坂めぐり」は一部の参加者を除き、五島軒(末広町)での食事のみとした。

 一方、湯の川観光ホテル(同市湯川町2)では、第1回から続いている好評の「湯の川温泉卓球大会」が開かれ、カップルや夫婦、親子など44人が参加し、ダブルスの勝ち抜き戦で優勝を目指した。参加者全員が浴衣姿となり、和やかに展開された。

 今回、「おでかけ」「散策」のカテゴリーに属すプログラムでは、恵山や福島町千軒岳へのトレッキングなどを初めて企画。同市元町地区や香雪園の散策には、道内外の自治体や団体が視察を兼ねて参加し、着実に知名度がアップしていることを証明した。

 参加者数は地元商店街で飲み歩きを楽しむ「ゆのぶら」や、函館空港での写真展会場に設けた記帳、会場独自で予約を募ってきた人数を加え、実行委では最終的に3300人前後になると推定する。

 実行委の河内孝善事務局長は「散策には年配者のリピーターが多く、飽きさせない内容の検討が必要で、食事も大事な要素になりそう。既存のプログラムの継続、新たな魅力の創出など、メンバーで知恵を出し合いながら、開催回数や時期を慎重に協議していきたい」と話している。(浜田孝輔)


◎まだ走り始めたばかり… 西尾市長 就任半年会見
 函館市の西尾正範市長は12日の記者会見で、市長就任半年が経過したことを受け、「半年間、走り回ってきた感がある。評価は市民がすることで、まだ走り始めたばかりで(自分としては)分からない」と述べた。新年度予算の展望については「各部局で(自身が市長選時に示した)公約にこだわらず、地域にとって何が大事なのかを検討している。じっくり議論しながら取り組む。乳幼児医療費助成などいろいろな課題を整理していきたい」とした。

 民間からの谷沢広副市長採用、知恵の予算、子ども未来室など3室の設置など、就任後の取り組みに関しては「人口や産業の問題など、マイナスを何とかプラスにする、あるいは平衡で支えていくために、市役所や各団体が元気にならなくてはならない」と述べた。

 市民団体などと直接対話する機会を大切にしていることを自身の姿勢とし、「とにかく現場の話を聞きたい。なかなか時間がないが、直接出向いて話を聞くことに努めている」と振り返った。

 12月で旧渡島東部4町村との合併が丸3年を迎えることを受け、「旧市と旧4町村の住民同士の相互理解、共生意識づくりに全力を尽くしてきている」とした。今後の振興策について「漁村が都市のようになる必要はなく、それぞれの独自性を生かしたまちづくりをしていきたい」と述べ、支所再編なども含め慎重に検討する考えを示した。(今井正一)


◎北大と極東大 学術交流協定…函館で調印式
 北海道大学(札幌、佐伯浩学長)とロシア極東国立総合大学(ロシア・ウラジオストク、ウラジミル・クリーロフ学長)は12日、学術交流協定を締結した。北大水産学部とロシア極東大函館校がある函館市内のホテルで同日、調印式が行われた。

 北大がロシア国内の大学と協定を結ぶのはモスクワ大、サハリン大に続いて3校目。ロシア極東大は1899年に開学した総合大学(47学部)で学生は約4万1000人。日本の大学と学校間協定を交わすのは13校目となる。

 両校はオホーツク海の海洋研究などの分野で交流しており、一層連携を深めるため協定を締結した。年間5人以内の学生の交換留学などを計画している。

 調印式に臨んだ北大の本堂武夫副学長は「これまでにもオホーツク海洋環境やカムチャツカ氷河、漁業資源など多方面で連携してきたが、今後は学生の交流を含めあらゆる分野で活発に交流する」とし、クリーロフ学長も「いろいろな研究分野で協力できる」と期待を示した。(小泉まや)