2007年11月15日(木)掲載

◎ハコセン 民生法申請…負債総額は160億円
 信販会社、ハコセン(函館市千歳町9、辻憲一社長、従業員28人)は14日、札幌地裁に民事再生法の適用を申請し、再生手続きの開始決定を受けた。同社によると負債総額は約160億8200万円で、資産総額を差し引いた債務超過は約40億2900万円となっている。カードローンのサービスは継続され、今後は同業者のほくせん(札幌)の支援を受け、財務体質の健全化を図りながら再建を目指す。

 同日、記者会見した申請代理人によると、主な原因は(1)消費者金融部門が、金利規制や大手との競合により利益低下を招いた(2)2004年12月に乗り出した法人への事業融資で不良債権が発生した(3)取引先金融機関からの融資停止―の3点。

 特に(2)については、地域コミューター航空会社エアトランセ(函館)に対して、法人に約14億円、江村林香会長と中山淑惇社長に合わせて約6億円の貸し付けをしている。事業融資先は約80社だが、ほとんどは100万円以下という。

 ハコセンは1952年、クレジットローンによる割賦販売を目的にした協同組合「函館専門店会」として設立。65年に貸金部門として函専クレジットを法人化、2005年10月に協同組合を株式会社に組織変更して、翌年2月には函専クレジットを吸収合併する形で、ハコセンに商号を変更した。今年3月末時点でカード会員数は約5万3000人、加盟店数は2199店。

 同社によると、融資の最終判断は、協同組合時代から非常勤の社長ではなく、常勤者が決定するのが通例となっており、法人化後もその手続きが常態化していた。こうした経営方針が今後、問われそうだ。

 記者会見に臨んだ辻社長はエアトランセへの融資について「今年2月の定期便運休の報道を受けて、不安があったのは事実。それまでの流れがあり、維持する必要があると思っていたが、6月の社長就任を機に融資額などを確認したところ、これ以上続けられないと判断した」と説明。

 また、当時常勤の専務だった竹ヶ原克司取締役は「江村会長にIT関連の知人とのつながりがあると聞いていたので、資金調達が見込めると思った」と釈明した。

 今後、ハコセンは加盟店に対しては、100万円を上限に弁済に応じ、カード会員は、従来通りのサービス提供を保つ。22日に市内のホテルで債権者説明会を開く予定。再建計画案の提出は、来年4月末を期限とし、現在勤める従業員の雇用を確保しながら経営基盤を立て直し、めどが立ち次第、辻社長と竹ヶ原取締役は退任することを表明している。(浜田孝輔)


◎3個人1団体に白鳳章…函館市文団協 青麒章は2人
 函館市文化団体協議会(加納裕之会長)は14日、本年度の白鳳(はくほう)章と青麒(せいき)章の受章者を発表した。白鳳章は、函館合唱連盟(大坂吉明理事長、17団体)、画家の伊藤郁子さん(72)=松陰町=、日本舞踊家の大西憲一郎(西川登代蔵)さん(75)=宝来町=、尺八奏者の小林栄一(悦山)さん(73)=神山3=の1団体3個人が受章。青麒章には、声楽家の徳永ふさ子さん(51)=中道=と書家の茂呂ひろ子(小袖)さん(71)=湯川町=の2人が選ばれた。贈呈式は30日午後6時から函館ハーバービューホテル(若松町14)で開かれる「市民文化交歓のつどい」の席上で行われる。(鈴木 潤)

 両章は函館、道南を拠点に文化、芸術活動に励む個人・団体が対象で、白鳳章は長年の活動で市の芸術・文化の振興に貢献した個人、団体に、青麒章は、この1年間で著るしい活動をした個人、団体に贈られる。

 協会員が推薦した中から会長諮問の審査委員会で選考。6日に開かれた理事会で正式に決定した。

 各受章者の授章理由と喜びの声は次の通り。

 ◆白鳳章

 函館合唱連盟 2006年に創立50周年を迎えことし記念演奏会を実施。1951年から毎年2回開催する市民合唱祭は通算114回を数える。「加盟団体、愛好者の励みになる。これからは若い人たちが楽しめる事業を企画し、底辺拡大に努めたい」(大坂理事長)。

 伊藤郁子さん 58年から絵画の指導を続け、生徒は400人以上。画家としても個展、グループ展を多数開催し、函館の絵画普及に貢献。「絵を描くことが好きでマイペースでやってきた。とても光栄」

 大西憲一郎さん 58年に函館邦楽協会に入会して以来、数々の舞台に出演し、会員の指導、育成に尽力。同協会理事として組織の発展に力を注いだ。「思いもよらない受章。体が動く限り踊りを続けたい」

 小林栄一さん 40年以上にわたり尺八を愛好。2000年に「青少年と伝統芸能を育てる会」を立ち上げ、小中学生の指導、育成に努める。「これからも次世代を担う子どもたちに伝統芸能を伝えていきたい」

 ◆青麒章 

 徳永ふさ子さん 函館メサイア教育コンサートの音楽監督を務め、ことし7月開催の「函館メサイア2007」ではソリストとして好演。「活動が認められうれしい。市民全体で音楽を楽しめるよう地道に活動を積み重ねていきたい」

 茂呂ひろ子さん ことし3月の第48回北海道書道展で準大賞を受賞。出品作も高い評価を得て、函館・道南の書道振興に貢献。「年を重ね書が楽しくなってきた。これからも自然体でやっていきたい」


◎函館の未来考えよう…23日から「展覧会」 カフェ、ギャラリーなど多彩に
 NPO(非営利活動法人)「npo―kobo(エヌピーオー・コウボ)」(渡辺保史代表)と函館マルチメディア推進協議会(川嶋稔夫会長)は23日から25日までの3日間、函館市地域交流まちづくりセンター(末広町4)で、函館の町並みの歴史を振り返り、今後のあり方について考える展覧会「hakodadigital×shrinking cities(ハコダデジタル・シュリンキング・シティーズ)―縮小する都市の過去・現在そして未来―」を開く。人口の減少や中心市街地の空洞化、産業の衰退など、あらゆる分野で「縮小」の道をたどっている函館を市民らと再考する場にしようと、両団体が初めて企画。同センター1階を「ギャラリー」「カフェ」「シアター」「オフィス」の4つのテーマに分けて、さまざまなプログラムが展開される。

 「ギャラリー」では、デジタルアーカイブ技術により活用できるようになった、函館の古写真と古地図を各20点展示。初日の23日午後1時からは、古写真を観賞しながら当時の思い出を語り、その模様を映像と音声で収録するワークショップを約1時間半にわたって開く。

 「カフェ」では、25日に2回のトークライブを実施。第1部は、将来を担う小学生から大学生による発表に対し、市職員などがコメントをする。第2部は、現代美術ディレクター芹沢高志さんをゲストに迎え、都市の縮小について議論を交わす。

 「シアター」では、1日につき3回程度、函館の町並みを収めた映像などを上映。「オフィス」では、来場者のメッセージを受け付けするポストを設けるなど、交流を図る場にする。

 このほか、19日から12月2日まで、現役の市電で最も古い「530号」の車内に、慶応大の学生が函館で行ったフィールドワークの成果を中刷り広告風に掲示する。

 各日の開催時間は、午前10時―午後7時。25日のトークライブ第2部は事前の申し込みと資料、飲み物代が必要。それ以外は参加無料。

 渡辺代表は「函館はブランド力がありながら、町がさびれている。この現状を踏まえ、市民として今後どう行動していくべきかを考える場にしたい。函館にとどまるイベントではなく、インターネットを通じて全国に情報発信をしていければ」と話している。

 問い合わせは、同NPO法人TEL0138・57・4640。同協議会のホームページアドレスはhttp://www.hakodadigital.net/(浜田孝輔)


◎いよいよ冬…除雪車出陣式
 函館開発建設部(大寺伸幸部長)は14日、函館市桔梗町の函館除雪ステーションで「除雪出陣式」を行い、シーズン中の作業の安全を祈った。

 出陣式は同開建管内の国道の除雪・維持管理を請け負う14の民間事業者でつくる「函館開建維持除雪工事連絡協議会」(館義彦会長)などが主催し、ことしで2回目。関係者ら約80人が参加した。

 大寺部長が「作業を適切に実施し、冬場の円滑な道路確保に務めてほしい」とあいさつした後、館会長が「冬期間の無事故無災害を目指し、事業者一丸となって作業員の安全意識向上などに励みたい」と宣言。続いて、作業員が高規格道路専用のブルドーザーやトラックなど除雪車両のエンジンを点検し、4台の試験走行が行われた。

 同開建管内は渡島・桧山管内の5号線など国道9路線、延長約690キロを担当。除雪車両88台で作業に当たる。(新目七恵)


◎はこしんコミュニティーカレッジ閉講式
 函館信用金庫(黒滝啓洋理事長)主催の市民大学「はこしんコミュニティー・カレッジ」(熊城正勝学長)の本年度閉講式が14日、同庫亀田支店(函館市昭和4)で開かれた。今春に入校した46人のうち、卒業要件を満たした33人が晴れて修了書を手にした。

 同大学は地域貢献活動の一環として、2000年度から毎年実施。ことしは5月から、経済や医療などの各界から講師を招いての講義、施設見学などの学外研修を計6回開き、5回以上出席した人が卒業する。

 最終回は、函館渡辺病院の三上昭広院長が「現代の『うつ』を考える」をテーマに講演。終了後、熊城学長が卒業を迎えた受講者一人ひとりに、労をねぎらいながら修了書を授与した。

 熊城学長は「一生懸命に勉強をし、知識を増やすことが何より人生の糧になる。子どもや孫との会話を大事にし、伝えていくのが義務」とあいさつ。コミュニケーションの手段として、自ら輪ゴムを使った手品を披露して会場を沸かせ、来春の再会を誓っていた。(浜田孝輔)


◎力強く情感豊かに…書藝社会員展
 函館書藝社(高橋海堂会長)の第54回会員展が14日、函館市本町の丸井今井函館店ギャラリーで始まった。会員99人が近代詩文書、漢字などを出品。ざん新な書で来場者を楽しませている。19日まで。

 道南の書道文化振興を目的に毎年開催。作品の内訳は漢字25点、近代詩文書49点、かな13点、刻字・篆(てん)刻2点、墨書10点。漢字や近代詩文書でも淡墨を使った書が多く、会場は淡い美しさに包まれている。

 近代詩文書は、作家の気持ちを大切にし、情感あふれる書で見る人に安らぎを与えている。同会の中村朝山理事は「力量ある書家たちが、常に自分の発展を目指し、前向きに取り組んでいるおかげで、見て楽しめる作品が多く並んだ」と話している。

 なお、第54回会友展は15日から20日まで、函館市梁川町10のテーオーデパート4階イベントホールで開かれる。会友の各賞は次の通り(敬称略)。

 ▽大賞=高橋華径▽太田鶴堂記念賞=種田抱琴▽準大賞=中山春宛、北濱希石(山崎純一)