2007年11月16日(金)掲載

◎冬到来…函館で初雪
 函館海洋気象台は15日、函館市内の初雪を発表した。平年より13日、昨年より3日遅い観測となった。前線が通過し、上空に寒気が入り冷え込んだためで、同市美原の最高気温は11月下旬並みの6・1度までしか上がらず、最低気温は午後6時28分に0度まで下がった。

 市内は積雪にはならなかったが、七飯町の横津岳(1167メートル)では強い吹雪となり、ナナカマドなどに雪が張り付き一面銀世界になっていた。

 同気象台によると16日の函館は冷え込みが厳しくなり、最低気温は氷点下2度まで下がるという。(山崎純一)


◎企画 8区新局面(上)…基盤生かし名前を浸透 民主・逢坂氏
 函館市美原の長崎屋函館店前で初めての街宣を終えた4日午後零時半すぎ、民主党の逢坂誠二衆院議員(48)は「あんなに車の中から手を振ってくれるとは思わなかったよ。選挙戦の最中みたいだ」と人懐こい笑みを満面に浮かべた。その数時間後、小沢一郎代表が辞意を表明したとの情報が流れた。金田誠一衆院議員(60)の後継候補として、第一歩を踏み出した矢先に待ち受けていたのは党の迷走劇だった。

 小沢氏の代表続投で何とか決着をみたが、党の上げ潮ムードに水を差したことは否定できない。9日午後、市内で開かれた自治労渡島地方本部の会合あいさつでは「本当に青天の霹靂(へきれき)だった。党が今回ダメージを受けたのは紛れもない事実だが、しっかりとした決意で立ち向かうので、ご安心いただきたい」とおわびを述べた。

 ニセコ町長時代、地方自治体改革の先駆者として名を上げ、前回の衆院選では道選挙区比例単独1位で当選。逢坂氏は「現職ではあるが、8区では無名の新人候補。国政選挙で自分の名前を書いてもらうのも初めてになる」とし、地域住民と徹底した対話を重ねる決意を語った。「よそ者に排他的」と言われることが多い道南地域で、まずは名前を浸透させることが喫緊の課題となる。

 民主党道第8区総支部や最大の支持母体・連合渡島地域協議会などは、7日に合同選対本部準備室を立ち上げ、基盤固めを始めた。地元での後援会組織も早急に立ち上げる予定だ。

 同総支部の板倉一幸幹事長は、小沢代表の一件の影響は少なからずあるとし、「『民主党は政権交代をするつもりがあるのか』と考えた有権者もいるだろう。なんとか払しょくしなくてはならない」とする。「逢坂氏の知名度は一定程度ある。組織の基盤をしっかりと固めて、一般に浸透させていく。政権交代に向けて、自民の公認候補との一対一の戦いのつもりで臨みたい」と話した。

 一方、共産党の函館、渡島・檜山両地区委員会は9月の党中央委員会方針に従い、8区での小選挙区候補擁立を断念。8区では比例候補の当選に全力を注ぐ。高橋佳大函館地区委員長は「身の丈にあった方針」とした。前回の衆院選小選挙区で同党候補の得票数は2万1000票余り。党内で自民への反発は強く、民主に票が流れるというのが大方の見方だ。

 板倉幹事長は「政権を替えるということで共産党にも理解を求めていきたい」とする一方、高橋委員長は自民、民主との大連立、テロ特措法など国会の流れに触れ「(民主と)選挙協力することはありえない」とし、支持者や党員はすべて自主投票の扱いとする。いずれにしろ、この共産票の行方も選挙戦のひとつの鍵になる。(今井正一)

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 民主・逢坂誠二氏の衆院道8区転出と、迎え撃つ自民新人・中村勉氏(47)を軸とした、次期衆院選の対決構図が固まった。衆院の解散・総選挙を見据え、臨戦態勢に入った各陣営の動きを追う。


◎西部地区の駐車禁止区域拡大
 函館市内の観光名所・西部地区で路上駐車が常態化している現状を踏まえ、函館方面公安委員会は年内にも、特に苦情が多い西部地区内の市道13路線(計約2・5キロ)を新たに駐車禁止区域に指定することを決めた。各路線に標識が設置され次第、規制を開始する見通し。事故の発生が懸念され、景観を損ねてきた路上駐車の一掃が期待される。

 多くの土産店や地元企業が立ち並ぶ大手町、豊川町、末広町では平日でも常に数十台が縦列で駐車し、函館西署が同公安委に駐車禁止区域指定を上申し、10月24日付で決定した。交通事故や車上狙いなどの犯罪発生、緊急車両の通行の妨害になっていることも駐車禁止区域拡大の背景になった。

 西部地区の朝市、金森倉庫群地区は10月から始まった「民間駐車監視員制度」の導入に伴い、同署の最重点取り締まり地区に指定されている。同制度の導入以降、同署管内の駐車違反の摘発件数は10月末現在430件で、前年同期(205件)に比べほぼ倍増した。観光客や周辺住民からも「写真を撮るときに邪魔になる」「見通しが悪い」など、路上駐車について同署に多くの苦情が寄せられていた。

 また、これまで半月ごとに片側車線を交互に駐車禁止としていた末広町、豊川町、元町、弁天町、宝来町、青柳町の市道10路線(計約4・1キロ)も11月上旬から全面駐車禁止区域とした。

 同署の屋代芳彦交通課長は「違法駐車も青空駐車も、ドライバーが道路を私物化していることになる。決められた場所に止めて、マナーを守ってほしい」と訴える。

 東京から西部地区に観光に訪れた男性(47)は「せっかく風情のある観光地に来たのに、こんなに車が止まっているとは。函館全体のイメージダウンにもつながる」と不満を漏らす。同倉庫群の土産店に勤務する男性(46)は「商品の搬入や搬出の際に、駐車車両がぎっしりで不便を感じていた。ドライバーには駐車場を利用してほしい」と話し、駐車禁止措置を歓迎していた。(小林省悟)


◎「審査会への付議怠る」…福祉施設建設問題
 函館市の民間福祉施設建設をめぐる行政手続きに誤りがあり、市に多大な損害を与えたとして住民監査請求をした市内の男性(55)が15日、市監査委員に意見陳述した。問題となった市街化調整区域への介護付き有料老人ホームの建設で、「法律では開発審査会にかけなければならないが、市はかけなかった」などと主張した。

 昨年7月20日、当時の井上博司市長が福祉部長らに「開発審査会に付議して建設できるかどうかの結論を得る方法もある」と述べたことが「認められない施設建設の再検討指示にあたる」と問題になった。男性の主張に沿えば、井上市長は法律に基づいた対応を指示したことになる。

 男性は同老人ホームの建設を計画していた会社の元役員で、建設申請などを担当。陳述では「有料老人ホーム設置の許可権限は道にあるが、開発審査会と開発行為の許可権限は中核市の函館市にある」と指摘。「道は市へ、開発審査会に付議するよう指導したのか」との委員からの質問に、男性は「道の担当者からそう聞いた」とした。

 「市は2005年10月ごろの事前協議の段階で、調整区域に立地することでもいいという認識だったのか」と問いには、「その通りだ」と答え、2006年4月ごろから調整区域だから認められない、との理由に変わったとした。

 男性は建設を認めなかった西尾正範助役(当時、現市長)らの対応に誤りがあり、業務の混乱や市への損害を招いたとし、助役退職金の一部1000万円の返還などを求めている。(高柳 謙)


◎ドップラーレーダー 函館気象台で運用開始
 気象庁は七飯町の横津岳(1167メートル)にある函館気象レーダーをドップラーレーダーに更新し、函館市美原の函館海洋気象台で15日午後3時から運用を開始した。同気象台には早速、観測した風などのデータが送られた。

 ドップラーレーダーは雨雲の中にある風の動きから風の分布を観測することで、従来のレーダーより集中豪雨、積乱雲、突風の監視、予測能力が向上。竜巻本体の観測はできないが、極地的な低気圧を観測することで竜巻災害などの防止、軽減が期待されている。

 運用開始時にドップラーレーダーがとらえたデータが気象庁(東京)に送られ、約2分後に同気象台のモニターに映された。田代照政業務課長が道南上空に北西の風が吹いていることを説明。そのほかレーダーなどの装置が安全に稼動していることが確認された。

 気象庁では全国20カ所の気象レーダーをドップラーレーダーに更新する整備を進めている。函館は9月から工事を開始し、本道では初、全国はこの日までに6カ所で運用している。今後データの蓄積を行い、2010年をめどに突風や局地的な雨の情報を提供する予定だ。(山崎純一)