2007年11月17日(土)掲載

◎道警函本などがサミット前にテロ想定訓練 
 来年7月の北海道洞爺湖サミットを前に、道警函館方面本部やJR北海道函館支社などは16日、公共交通機関を狙った同時多発テロを想定した道内初の対処訓練をJR函館駅構内で行った。利用客の避難誘導や関係機関の連絡体制、爆発物処理の手順を確認し、緊急事態に備えた。

 札幌市営地下鉄の駅構内で有毒の液体が見つかるとともに、函館や旭川など道内のJR主要駅でも相次いで爆発物が発見されたとの想定。函館駅では、道警函本の警備課員やJR北海道函館支社の職員ら約50人が参加した。

 札幌の事件を受けて、駅構内を見回っていた警察官とJR職員の2人が、観光案内所付近で不審な黒いバッグを発見。カーキ色の防護服に身を包んだ警察官がエックス線写真で中に爆発物が入っていることを確認、特殊な器具や車両を使って慎重に駅の外まで運び出した。

 訓練後、同支社の松原光雄函館駅長は「函館は青函トンネルもあり、繁忙期には1日2万人の利用がある重要拠点駅。事故抑止力や危機管理意識を向上させるため、今後も警察などと連携を深め、安全確保に努めたい」とした。(森健太郎)


◎選挙企画(下)自民・保守/また分裂?一本化は微妙
 「逢坂誠二さんは現職で知名度があり、実績も確かにある。佐藤健治さんには佐藤さんのお考えがある。私自身は候補が誰であっても構わない。相手は有権者。市民と一緒に政治を考え、道南から新しい時代、新しい政治を切り開いていかなければならない」―。

 初陣となる次期衆院選に、自民党公認で出馬する中村勉氏(47)はこう強調する。道南で長く続く保守勢力の不協和音。小選挙区が導入された1996年10月の衆院選から2005年9月の前回選挙まで、自民は道8区で民主に4連敗を喫している。最大の要因は保守分裂だ。4回のうち3回は自民・保守系候補が1人だったが、鉢呂吉雄氏(59)=現道4区=や金田誠一氏(60)に敗れた。民主が旧阿部文男派の一部も取り込んだためだ。

 次回も佐藤健治氏(50)の出馬がささやかれている。かつて道南の“保守王国”を築いた佐藤孝行氏(79)の二男で、前回、前々回の2回、自民党公認で出馬した。保守分裂選挙となれば中村氏の戦いは相当厳しくなる。ただ、中村氏は冷静で、民主党の迷走についても「他党のことを語る立場にはないが、逆に民主の結束が強まったことも考えられる。選挙に有利に働くかは分からない」とする。

 そうした中で保守票の取り込みはもちろん、党派を超えた支持を集めようと、これまで選挙への関心が薄かった市民にも「政治」を考えてもらう活動を始めた。

 10月31日に函館市内で「第1回中村DOJO(道場)」と題する催しを開いた。中村氏の中学・高校時代の同窓生が実行委員会をつくり、呼びかけで約80人が参加。中村氏がテロ特措法問題や企業の政治献金など、時局問題を取り上げ、賛否を問うた。「参加者の意思表示は多様だった。眠っていた政治への関心を呼び覚まし、広く市民に連鎖させたい」と語る。年内の早い時期に連合後援会を設立し、態勢を強化する。

 一方の佐藤氏。北朝鮮への拉致被害者を救出する「救う会道南」の代表を務め、函館市内で毎週末、北朝鮮への経済制裁を行使しての被害者救出を訴えている。「次回も出馬するのか」との本紙の問いに「前回選挙の敗戦時に述べた決意は変わらない」と流す。敗戦の弁は「国政をあきらめない」だ。

 平日に渡島・檜山管内を歩き、住民の声を聞いている。道南各町でも共働き率が高く、若者は仕事がなく、函館市と合併した旧4町村地域は「行政サービスが落ちた。知っている職員がいなくなった、など不満が多い」という。

 選挙を戦う体制については「民主のオルグ(組合の組織力)は非常に強い。選挙の準備は進んでいるが、前回の選挙でも組織力は民主の10分の1もなかった」と語る。

 ただ「保守を割ってでも出ようとする佐藤氏の本心はまだ分からない」とみる政界関係者も多く、微妙。民主党の内紛や衆院解散・総選挙の時期と合わせ、波乱含みだ。(高柳 謙)


◎ハコセン破たん/エアトランセ、返済に「めど」
 地域コミューター航空会社「エアトランセ」(函館市高松町511)の江村林香会長が16日、信販会社「ハコセン」の民事再生法適用を受けて、市内で記者会見し、3月末時点でハコセンなどからの借入金総額は約14億円に上り、その返済に充てる資金調達に「めどが立っている」とした。さらに、事業継続を前提に、今月下旬までに具体的な返済計画案を示す考えを明らかにした。

 破たんしたハコセンについては「(地域コミューター航空が)函館地域で発展してほしいとの夢を託して融資してもらっていたので、こういう形になったのは非常に残念に思う」とし、「事業を続けていくことで、できるだけ要望に応じて返していきたい」と語った。

 会見の中で、同社が所有する航空機1機分の固定資産税1500―1600万円を滞納し、札幌国税局から差し押さえられていたことが判明。同社独自で売買はできないものの、使用許可証を申請中のため運航に支障はないという。

 このほか、今月に入ってから函館―仙台線を運休していることについては、仙台空港での保安検査場使用料で折り合いがつかないことを理由に挙げた。なお、7月下旬就航以来の平均搭乗率は仙台発約5割、函館発2割程度で、10人以上の予約で運航するチャーター便として今月就航した大分―那覇間の運航日数は、3日にとどまっていると述べた。

 今月下旬に示される返済計画は長期的なもので、資金の調達先は既存出資者のオーナー経営者らが想定される。江村会長は「路線の変更や定期便の運休と、運航が不安定なイメージがあると思う。函館―仙台線の早期再開を目指し、できる限りのサービスを図りたい」と話していた。(浜田孝輔)


◎元町倶楽部のじろじろ大学があす特別講座
 函館市西部地区の魅力を追求し、それを残そうと活動している市民グループ「元町倶楽部のじろじろ大学」(村岡武司学長)は18日、市地域交流まちづくりセンター(同市末広町4)で特別講座「14年間ありがとう、つぎの一歩へと踏み出そう学科」を開く。同グループでは参加する市民を募集している。

 函館の街、特に西部地区の魅力を探そうと市民が集まり、1990年に「元町倶楽部」と名付けて活動を開始。93年にコミュニティーFM局の「FMいるか」が放送開始1周年を迎えたことを機に、市内の魅力をさらに学ぼうと、「元町倶楽部のじろじろ大学」とグループの名称を変えた。村岡学長は毎週日曜日午後8時から同9時まで、同局で14年間パーソナリティーを務めてきた。

 この番組は、村岡学長と用務員を務める太田誠一さん(市内喫茶店経営)が進行。毎回、市の職員や教師、芸術家をはじめ、銭湯や質屋の店主など市内、近郊在住者はもちろん、全国、海外から14年間で約500人のゲストを招いて、函館への思いや時には苦言などを紹介してきた。

 しかし、同局の番組改編に伴い、ことし9月30日で打ち切りとなり、一般市民がパーソナリティを務めるスタイルとしては、国内最長寿だった番組に幕が降ろされた。

 番組終了を惜しむ声や番組再開を望む市民の声を受け、今回これまで番組に出演した約50人を招き、参加者と14年間を振り返りながら、次世代に伝えるべきことは何かを考えようと、特別講座を企画した。同日は番組が継続していれば700回目の放送日。意見交換後には懇親会も開かれる。

 特別講座は午後6時半から同8時半。参加無料。申し込みは直接会場で受け付ける。懇親会は午後9時からレストラン「ラ・コンチャ」(同市末広町14)で開かれる。参加費は3500円。申し込み、問い合わせは村岡代表TEL0138・27・2961か、同センターTEL同22・9700。(小橋優子)


◎JAFロードサービス競技大会で道本部が全国初V/函館支部の加藤さん大活躍
 日本自動車連盟(JAF)が全国8つの本部のロードサービス隊員の技術向上を目指し、10月に東京で開いた「第10回全国ロードサービス競技大会」の団体総合で、北海道本部チームが初優勝した。同チームには函館支部(函館市西桔梗町589)所属の加藤善史隊員(30)が乗務員として加わり大活躍した。加藤さんは「日ごろの業務が生きた」と振り返り、支部、本部の仲間とともに快挙を喜んでいる。(山崎純一)

 同大会は同連盟に所属する隊員の技術向上を図ろうと、1978年から3年に1回のペースで開催。「日本一のロードサービス隊員」を目指してサービス技術を競う。

 1チームは指令員1人と、同連盟技能別検定級で1から4に区分された乗務員4人の計5人。加藤さんは初出場で乗務3としてエントリー。9月に札幌で開かれた本道の選考会の成績が認められ、全国大会に派遣された。

 大会は団体と個人で行われ、個人では業務、法令などの学科競技と、救援や事故防止に関する乗務競技が行われた。加藤さんは全国大会出場が決まり、日常の業務終了後、同支部内でバッテリー故障車の処理などを練習してきた。

 「客は車の状態に不安を持っている。安心してもらう会話と的確な作業が大切」と加藤さん。競技では身分を伝え、故障個所をすぐに判断、丁寧な接客と早い処置で客に感動を与えることが求められた。加藤さんは見事に2位となった。

 団体競技では、地震で2台の車が事故を起こして横転、道路を封鎖した場面をもとに、速やかに通行路を確保する対応が競われた。本道ではスリップで横転した車の処理での出動が多く、道本部チームは本州の隊員に比べて作業がスムーズに進み、個人と団体の総合点による団体総合で優勝を飾った。

 同支部の山本悟事務所長(56)は「加藤隊員をはじめ、道本部では安全、安心のロードサービスを提供している証し」と話す。加藤さんは「自分の業務内容が客にとって良いものと評価された。今後もより良いサービスを提供していきたい」と張り切っている。