2007年11月18日(日)掲載

◎「七福神丸」の収納庫完成
 函館市西部地区のまちおこしに取り組むグループ「笑福七福神祭実行委員会」(井上清美実行委員長)はこのほど、同市入舟町4の平石造船所(平石健悦社長)の倉庫を改装し、所有する木造和船「七福神丸」の収納庫を完成させた。開閉する扉には、同船をモチーフにした手描きの絵が飾られ、歴史的な町並みを彩っている。

 同船の専用庫を確保しようと、同船を製作した平石社長に相談したところ、場所の提供を受けた。メンバーの一人で板金職人の嶋崎正雄さん(63)が、取引先の建築資材会社「ヤマキ小林」(同市港町1)からトタン板を譲り受け、メンバーが仕事の合間を縫って作業に当たるなどして出費を抑え、約3カ月で仕上げた。

 掲げた絵は同グループの活動に賛同するペン画家、志村功さん(67)が制作。七福神の恵比須(えびす)と大黒天を和船に乗せ、背景には倉庫からも見渡せる函館山を配するというアレンジを加えた。

 井上委員長は「倉庫と絵の全体で、メンバーの情熱のこもった作品になった」と出来栄えに満足した表情。志村さんは「気軽に見物に来てもらえれば」と話している。(浜田孝輔)


◎企画「障害者・就労を目指して」(上)/「自立したい」学生真剣
 道立函館高等技術専門学院(函館市桔梗町、長瀬秀俊学院長)が設ける知的障害者の販売実務科(定員10人)の就職活動が本格化している。仕事に就くための訓練や職場実習などに取り組み、昨年度は8割が就職を決め、成果を挙げた。7月と10月の2回の職場実習を終えた学生たちはいよいよ正念場を迎える。障害者の就労を目指した同科のこれまでの取り組みと学生たちの思い、実習に協力する企業側の意識を2回に分けて紹介する。 (宮木佳奈美)

◇  ◇  ◇

 同科は2004年度から3年間の国のモデル事業を経て、今年度から道の単独事業として継続された。過去3年間の主な就職先は小売業やクリーニング業、水産加工業などで、5月末現在で04年度の修了者9人中6人、05年度は7人中6人が就職を決めた。06年度は11月現在で10人中8人が職に就いている。

 本年度は10代から40代の10人が入学した。このうち3人は、製造・販売業などの面接を受け、その企業で就職を前提にした職場実習に入っている。

 同科は公共職業安定所に求職を申し込み、受講推薦を得ることが入学条件となる。1年制で、販売職に必要な商品管理など、物流に関する知識やパソコン操作の技能を学科、実習で習得する。前期(7月)と後期(10月)には、それぞれ2週間程度の職場実習に参加し、仕事の内容やコミュニケーションの取り方などを学ぶ。最終的に就職に結びつけるのが狙いだ。

 教室には本物の洗剤など日用品を並べた陳列棚を設け、訓練ではこれらを使って商品補充や陳列、こん包などの技術を身に付ける。帳簿の記入や在庫管理、郵便物の取り扱いなどの指導も受ける。

 学生には養護学校高等部の新卒者や就職経験のない若者、離職者もいる。これまで喫茶店やクリーニング店でアルバイト経験がある皆川雅由さん(27)は「早く就職して自立したい」と力を込める。現在は母、姉と暮らすが、「いつまでも頼ることはできない」と、同科でも就労意欲は人一倍強い。

 職場実習では前期、後期とも湯の浜ホテル(湯川町1)で宴会や夕食の準備、風呂掃除、窓ガラスふきなどを体験した。指導に当たった同ホテルの従業員から仕事ぶりを評価され、仲間の学生に指示を出すなどリーダー的な存在として認めらた。「初めて教わることばかりでためになったし、自分の可能性を分かってもらえた」と自信を付けた。

 同科の障がい者職業訓練アドバイザー、飯田幸三さんは「就労意欲を高めるだけでなく、実習を通じて実際に職場の雰囲気を肌で感じてもらい、学生の興味や関心を引き出す狙いもある」と実習の意義を語る。



◎Xマスファンタジー舞台の絵本出版
 函館市の冬の一大イベント「はこだてクリスマスファンタジー」(実行委主催)の象徴で、市内豊川町の赤レンガ倉庫群近くの海上に設置される巨大なクリスマスツリーにちなみ、函館商工会議所青年部のメンバーら10人でつくる「ファンキャラ」(濱野州喜司代表)はこのほど、自作の絵本「うみのうえのツリー」を自費出版した。12月25日まで市内の書店などで販売する。(小橋優子)

 クリスマスファンタジーの巨大ツリーは函館市の姉妹都市、カナダ・ハリファックス市から寄贈されたモミの木(高さ約20メートル)に電飾を施す。

 ファンキャラは、普段からまちづくりに関係する業務などをこなす中で、函館の素晴らしさを追求し、クリスマスファンタジーを舞台とした夢のある物語を作ろうと、2005年から企画、制作に取り組んできた。絵本はB5判20ページのオールカラー刷りで、文章から絵、構成などはすべてメンバーが役割分担し、約3カ月掛けて仕上げた。

 主人公は新米サンタのニッキー。「うみのうえのツリー」が見たいと願う病気の女の子のため、悪役に妨害されながらも、仲間と協力して海の上に浮かぶツリーをプレゼントする物語。表紙には函館山や夜景を背に、トナカイに乗った可愛らしいニッキーが描かれている。濱野代表は「絵本を通じて、函館の街の魅力を市民に伝えたい」と話している。

 絵本は一冊1470円(税込)で、1000部発行。約200部は市内や北斗市の幼稚園、保育園、病院へ寄贈し、残りは市内の書店(文教堂各店ほか)や函館五稜郭タワー(五稜郭町)で販売。12月1日からはクリスマスファンタジー会場(末広町)や金森赤レンガ倉庫内でも販売する。各店ではニッキーをモチーフにした携帯ストラップ(630円)も同時発売している。問い合わせは浜野代理店TEL0138・46・3000。


◎映画「Little リトルDJ」監督らインタビュー
 函館市の西部地区や南茅部地区でメーンロケを行った映画「Little DJ〜小さな恋の物語」が12月15日から函館市本町22のシネマ・アイリスで上映される。鬼塚忠の同名ベストセラー小説(ポプラ社刊)の映画化で、主演は見る人の心を引きつける表情で人気の神木隆之介さん(14)。監督は女性監督として今後期待される永田琴さん(36)。2人に映画や函館の印象を聞いてみた。(山崎純一)

 ――なぜ函館を舞台にしたのですか。

 永田「以前からロケ地として注目していた街でした。この物語は30年前、海辺にある小さな病院が舞台ですが、ぴったりな病院があり、歴史を感じさせる街並みや建物、デートシーンにふさわしい夜景など申し分ない街として選びました」

 ――神木さんは初めての函館だそうですが印象は。

 神木「病院のシーンは南茅部で撮影しましたが、夜に見た星がきれいでした。市内の路面電車や夜景など、街もきれいで、函館山の砲台跡など面白い場所もたくさんありました」

 ――神木さんにとって初めてのラブストーリーですが、演技はいかがでしたか。

 永田「自然体の演技力はレベルが高く驚きました。病気の少年という点も本当に具合が悪いのかと思うくらいの表情でした」

 神木「初めてということが気持ちの変化など演技に役立ったかもしれませんね」

 ――映画の見どころと函館市民にひと言を。

 永田「街の魅力や自身を再発見できると思います。多くの人に見てほしいです」

 神木「映画のテーマである、自分の思いを相手に伝える大切さを知り、そんな気持ちを持てると思います。函館の観光スポットも見てほしいです」


◎中央図書館2周年記念で企画展
 函館中央図書館(中山公子館長、五稜郭町26)所蔵の古地図をパネル写真で展示する企画展「函館図書館と古地図」が17日から、同図書館で始まった。開館2周年の記念イベントの一環で、約400点の所蔵品の中から、江戸時代に書かれた函館や北海道の古地図18点を展示している。27日まで。

 古地図はほとんどが1メートルを越える大きさで、原寸のまま複写して展示。探検家の松浦武四郎が記した地図「正徳蝦夷図」や高田屋嘉兵衛が所蔵したとされる「高田屋旧蔵箱館絵図」など、貴重な史料となる古地図が並んでいる。

 25日午後2時からは、古地図の研究で神山茂賞を受賞した郷土史研究家の高木崇世芝さんを講師に迎え、歴史講座「函館図書館と古地図」を開く。

 2週年記念イベントは12月17日まで行われ、23―25日の3連休には上映会や読み聞かせなどを企画。12月8日には五稜郭タワーと共催し、はこだて外国人居留地研究会の岸甫一代表の講演会「箱館開港と外国人居留地をめぐって」を開く。

 主なイベントは次の通り。

 ◇23日▽午前10時半=図書館探索ツアー▽同サ絵本の読み聞かせ▽午後1時半=親子で一緒「絵本で遊ぼう!」▽午後2時=上映会「トムとジェリー火星へ行く」◇24日▽午前11時=手まわしオルガン演奏会▽午後1時半=自転車de紙芝居▽午後2時=「森のいのち」の映像会と朗読会◇25日▽午前10時、午後1時=ブックモービルとともしび号展示公開▽午前10時=絵本の読み聞かせグループ8団体による「絵本の読み聞かせラリー」▽午前11時=上映会「羅針の先にみた日本 伊能忠敬」◇12月1―17日=企画展示「図書館ボランティアの活動」

 問い合わせは同図書館TEL0138・35・6801(鈴木 潤)