2007年11月19日(月)掲載

◎上空に真冬並みの寒気…きょうも吹雪
 本道の上空に真冬並みの寒気が入った18日、函館市内は午後から雪となり、気温も下がった。同市美原では午後4時に氷点下0・6度まで冷え込んだ。

 同市西部地区では一時、激しく雪が舞い、傘を持たない観光客は急いで目的地に向かったり、建物の中から外を眺め「寒そうだな」と話す姿がみられた。同市東川町の広田幸則さん(55)は「雪が降ると寒さが違う。雪はまだ積もらないでほしいです」と話していた。

 函館海洋気象台によると19日の渡島地方は、曇り時々雪で、ふぶく所がある見込み。桧山地方は雪で、昼すぎから時々曇るが、ふぶく所があると予想している。


◎小砂子、早川小が最優秀賞…ふっくりんこバケツ稲コンテスト
 道南産米ふっくりんこをバケツで育てて、観察日記の出来映えを競う「ふっくりんこバケツ稲コンテスト」(食ねっとわーく道南主催)の審査発表と表彰式が18日、函館市美原の渡島合同庁舎で行われた。保育園など10団体から寄せられた40点のうち、上ノ国町内の小砂子と早川両小学校の合同作品が最優秀賞を受賞した。

 両校が仕上げた作品は、冊子のページを開くと成長の様子を描いた絵が飛び出す仕組みになった観察日記。早川小4年の工藤孝太君(10)は「毎日の水やりが大変でした。賞をもらえて努力したかいがありました」と感想を語った。

 同コンテストは、稲作を身近に感じてもらおうと2005年から毎年1回実施している。参加者は田植えから収穫、精米までを絵や写真を使い、観察日記を仕上げた。

 食ねっとわーくの田中ユサ代表は「コンテストを通して環境や食糧などの問題に目を向けて欲しい。来年も内容の濃い作品を期待します」と話した。(水沼幸三)


◎学びの喜び感じて…函館市で生涯学習フェス
 函館市の生涯学習の祭典「まなびっとフェス2007〜ともに学ぼう」(同運営委員会、市教委主催)が18日、市亀田福祉センターで開かれた。科学実験や大人のマジック教室、リースの壁掛け作りなど20講座を開き、大勢の親子連れなどでにぎわった。

 墨絵教室には約15人が参加。リンゴやカキ、マルメロなど参加者がそれぞれ持ち寄った果物を画材に、墨で輪郭を描き、顔彩(がんさい)で色付けした。講師の菊地則子さん(60)=同市本通3=が筆の握り方や描き方のコツを示し、色付けについては「同じ色でも最初は淡く塗り、徐々に濃くして重ね塗りすることで深みや濃淡が出ます」などと説明。友人親子と長女、長男の5人で参加した七飯町の土谷礼子さん(40)は「色合いを出すのが思ったより難しく、技術が必要。家庭でもやってみたいですね」と話していた。

 講堂では函館悦山会が午前10時のオープニングで民謡や舞踊を披露し、イベントを盛り上げた。公民館文化講演会も行われ、札幌国際大学の小山忠弘教授が「新しい自分との出会い」と題して講演した。「人間の価値を決めるのは学歴ではない。生涯にわたり何を学び続け、何ができるかでその人の人生の豊かさが決まる」と強調し、学びの喜びを発見し、学んだ成果を活用、発揮することで明るい地域が形成されることを指摘した。

 大山勝男運営委員長は「体験を通し、大人と子供が共に学び合うという生涯学習の目的や意義を確認してもらいたい」と話していた。(高柳 謙)


◎市民オペラの会・来月15、16日の公演に向けて合同リハーサル
 12月15、16両日、函館市民会館で開催される函館市民オペラの会(金山正智会長)第17回公演「ヘンデルとグレーテル」(フンパーディンク作曲、全3幕、日本語公演)まで約1カ月。函館市芸術ホールで、キャストとオーケストラ、合唱がそろった初の合同リハーサルがこのほど行われ、音楽に合わせたキャストの登場のタイミングや、舞台を幅広く使った演技法などを細かくチェックした。

 「ヘンゼルとグレーテル」は、おなじみのグリム童話をモチーフにした子どもから大人まで楽しめる作品だが、音楽的には繊細で複雑な技巧をこらしており、アンサンブル全体をまとめあげるのが困難なことでも知られている。これまではキャスト、オーケストラ、合唱がそれぞれ分かれて練習を重ねてきたが、メンバー全体でのリハーサルは初めて。次の合同リハーサルは本番直前のみとなるため、参加者の表情は真剣そのものだった。

 公演日時は、15日が午後6時半から、16日が同2時から。チケットは指定席2500円、自由席2000円、子ども自由席1000円(小学生以下)。なお今回から新たに設けられた親子自由席券は大人1人と小学生以下の子ども1人のペアで2500円で販売している。当日入場券はいずれも500円増し。チケットは函館市民会館、函館市芸術ホール、松柏堂プレイガイドで扱っている。問い合わせは函館市文化・スポーツ振興財団TEL0138・57・3111。(小川俊之)


◎企画「障害者・就労を目指して」(下)/仕事任され楽しさ知る
 道立函館高等技術専門学院(函館市桔梗町、長瀬秀俊学院長)の知的障害者を対象にした販売実務科の職場実習を通じて、就労意欲が高まったという学生もいる。

 中西一彦さん(35)はこれまで工場や配送会社に勤めたが、退職後は1年ほど仕事に就いていなかった。自分では「人と接するのが苦手で接客業を避けてきた」というが、後期の実習先のコープさっぽろかじ店(鍛治2)の小山薫店長は「真面目で飲み込みが早く、一生懸命やってくれてありがたかった」と評価した。中西さんも「スーパーの仕事は向いていないと思ったけど、売り場づくりを任せてもらい仕事の楽しさを覚えた。この業界への就職も考えたい」と意欲を見せている。

 函館公共職業安定所によると、2006年の渡島・桧山管内における民間企業の障害者雇用率は6月1日現在で1・98%。法定雇用率(従業員56人以上)の1・8%、全国平均の1・52%、道内平均の1・65%を上回る。ただ同職安は「道内では高い水準だが、景気低迷の影響で年々雇用率は低下し、障害者を対象にした求人は非常に少ない。一般求人から可能なところを探し出し、面接を受けている」と現状の厳しさを指摘する。

 職場実習の受け入れ先は、同科の障がい者職業訓練アドバイザー、飯田幸三さんがさまざまな企業を回って依頼する。しかし、行く先すべての企業が理解を示すとは限らない。「実習を受け入れたらすぐ採用しなければならないのでは」と思われ、断わられることもあるという。

 一方、社会貢献の一環として協力する企業も少なくなく、本年度は5社が実習を受け入れた。これまで6回実習を受け入れた湯の浜ホテル(湯川町1)の加藤俊二部長は「障害者が普通に働ける社会になるよう手助けできれば。適した業務があれば受け入れたい」と前向きな姿勢を見せる。

 コープさっぽろ(札幌)は店舗が人件費を負担しなくて済むよう本社付で採用し、障害者雇用の拡大を推進している。同社函館地区本部では2年前から職場実習を引き受け、この春に同科の修了生3人をアルバイトで採用した。「障害者の頑張る姿が周囲の励みになっている。雇用側の指導の工夫も必要だが、その人に合った業務を見つけるなど、やり方次第でいくらでも可能性が広がる」としている。(宮木佳奈美)