◎収賄容疑で函館水試場長を逮捕 |
【森】道南のスケトウダラの漁獲枠をめぐり、森漁協(森町港町)の漁獲配分を増やした見返りに現金120万円を受け取ったとして、道警函館方面本部捜査課と函館中央署などは21日、当時の道漁業管理課長で道立函館水産試験場長、奥野英治容疑者(58)=函館市日吉町1=を収賄容疑で、森漁協組合長、松居俊治容疑者(59)=森町港町208=を贈賄容疑で逮捕した。両容疑者とも大筋で容疑を認めている。同捜査課などは同日、渡島支庁や同漁協、両容疑者宅など十数カ所を家宅捜索し、水産資源の利権に絡む癒着の実態解明を進めている。 調べによると、奥野容疑者は2005年1月、国や道が魚種ごとに年間の漁獲可能量(TAC)制度で道内の漁協を指導・監督する立場を利用し、森漁協が新たにスケトウダラの漁獲枠を得られるよう便宜を図り、05年4月、松居容疑者からわいろと知りながら現金120万円を受け取った疑い。 TAC制度に基づき、04年度の渡島5漁協間で設定した自主協定で、森漁協のスケトウダラの漁獲許容量は5933トンだったが、05年1月4日、これに到達するとともに85トンオーバー。同6日には周辺5漁協全体の留保枠も使い切り、森漁協は渡島支庁から同7日付で底建網漁の操業停止を受け、終漁となった。 この際、奥野容疑者は周辺の他漁協で余っていた漁獲枠などを森漁協の追加分として調整。さらに当時の渡島支庁水産課の幹部職員に依頼し、2―3月のスケトウダラも捕獲できる底建網漁を許可し、31トンを余分に水揚げさせたとみられる。奥野容疑者は他の漁協に対しては「補助金などで埋め合わせするから」と説得していたという。 関係者によると、両容疑者は十数年前に水産関連の会合を通じて知り合ったという。奥野容疑者を知る道職員からは「(奥野容疑者が)道議選出馬への意欲を見せていた」との声も聞かれる。これまでの調べで、両容疑者の仲介役として渡島管内の元道議が関与していたことも判明している。 奥野容疑者はこうした便宜を取り計らった後、「金が必要だ。150万円を用立ててほしい」と自ら金銭を要求。松居容疑者が用意できた120万円を札幌市内で手渡したという。松居容疑者は「いろいろお世話になった謝礼のつもりで、退職金で返してもらう約束だった」と供述している。 ◇ スケトウダラの漁獲割り当てをめぐる贈収賄事件で、道幹部職員の道立函館水産試験場長と森漁協組合長が逮捕された21日、家宅捜索を受けた渡島支庁などでは職員に戸惑いが広がった。道水産行政のベテランと漁協トップの癒着という事態に、贈賄側の地元・森町でも漁業関係者や町民が驚きを隠せない様子。汚職の舞台となった静かな漁業の町にこの日、“激震”が走った。 ◇ 森漁協(森町港町)は21日早朝から、報道陣に囲まれ騒然とした雰囲気に包まれた。この日はしけで出漁が少なく、出入りする漁業者もまばら。漁協職員らが取材に対し、沈黙を続ける中、同日午後5時半ごろ、捜査員6人が家宅捜査に入った。 |
◎年金記録「訂正不要」2件…地方第三者委が初判断 |
年金記録確認函館地方第三者委員会(委員長・山崎英二委員長)の第9回会合がこのほど、函館地方合同庁舎で開かれ、未納期間の記録訂正を求めていた事案2件について「納付していたものと認めることはできない」との判断を下した。同委が「訂正不要」と決めた事例は今回が初めて。
対象は、1968年4月から73年3月までの記録がない函館市内の女性(59)と、66年5月から74年3月までの記録がない同市内の女性(61)。いずれも両親が代わりに払っていたと主張していたが、確認できる納付書類などの証拠がなく、それぞれの加入時点では未納期間は制度上時効で、納付できないことなどから総合的に判断した。 また、この日は別の2件の年金記録訂正を認定。事案は69年4月から73年6月までの記録がない市内の女性(66)と、83年3月から85年5月までの記録がない市内の女性(62)で、納付意識の高さや状況証拠などから判断した。20日現在の申し立て件数は、国民年金74件、厚生年金48件。(新目七恵) |
◎不動産価格、医療施設、冠婚葬祭…暮らしの情報満載 市、定住推進パンフを作製 |
定住者誘致を進める函館市は、事業推進パンフレット「函館暮らしがいど」を作製した。函館の四季やイベントのほか、移住希望者にまちの感覚や生活を知ってもらおうと、中古分譲マンションや一戸建て住宅の平均価格、東京と比較した土地の価格、医療施設数や病床数、冠婚葬祭の慣例などの情報を満載した。 日々の生活で温泉やレジャー、食などの楽しみがあり、自分流の生活が送れる地方都市であることをアピール。商業施設や医療・福祉施設、芸術・スポーツ施設などを地図上で紹介した。ごみ収集なども説明し、函館での生活がイメージしやすい内容となっている。 移住に関する総合窓口となる北海道コンシェルジュの業務や移住者の声なども掲載。1万部を作製し、首都圏などで開かれる移住プロモーションイベントで配布するほか、市内の観光案内所や函館空港、市の公共施設などにも置く。 担当する市企画部は「市民にも広く定住促進事業の取り組みを知ってもらい、友人・知人にPRをお願いしたい」と話している。(高柳 謙) |
◎カナダ寄贈のツリー利用し枝葉でしおり作り…よみがえる箱館丸の会 |
函館の冬を彩る一大イベント「2007はこだてクリスマスファンタジー」(実行委主催)が12月1日に開幕するのを前に、市民グループ「よみがえる箱館丸の会」(澤田石久巳代表)が20日、函館市末広町4の函館市地域交流まちづくりセンターで、地元町会の協力を得て、もみの木の枝葉を用いたしおり作りに取り組んだ。 実行委の一員である澤田石代表が、同イベントのシンボルとしてカナダのハリファックス市から毎年寄贈される、もみの木の再利用法として2001年から企画。昨年からは町ぐるみの活動にしようと、イベントの会場となる函館西部地区の町会も製作にかかわるようになった。 使用する枝葉は変色を防ぐために、吸湿性のあるシートに包んで1年かけて乾燥させてきた。大型ツリーや電飾で彩られたベイエリアの風景を印刷した台紙に、枝葉やスパンコールを乗せてからプラスチックフィルムにはさんでラミネート加工をし、角にリボンを通して完成となる。 しおりは約2000枚を用意し、函館国際観光コンベンション協会主催の散策ツアー参加者や、同イベントの運営に携わる関係者などに配布。また、ことしが函館とハリファックスの姉妹都市提携25周年、函館ハリファックス協会(山崎文雄会長)の創立20周年、同イベントの10周年にあたることから、初の試みとして英語版のしおりを道国際交流センター(山崎代表理事)を通じて、ハリファックス市の児童にプレゼントする。 山崎代表理事は「節目の重なった年に、両市間の交流をさらに深める意義のある品になるはず」と歓迎。澤田石代表は「もみの木を毎年提供してもらっている感謝の意を伝えるため、函館から真心を込めて贈りたい」と話している。(浜田孝輔) |
◎吹雪…いつまで |
21日の道内は冬型の気圧配置が強まり、函館市内も朝から断続的な雪となった。函館海洋気象台によると、午後6時の積雪は同市美原6センチ、福島町千軒22センチ、八雲町八雲26センチを観測した。 函館市内は青空が見えてもすぐ吹雪に。JR函館駅の玄関では変わりやすい天気にうんざりした顔付きの観光客が「晴れ間のうちに移動しておけば良かった」と雪を払っていた。 同気象台によると、道南地方は22日も吹雪になると予想。渡島地方は昼すぎから、桧山地方は夕方から時々曇りとなるとしている。(山崎純一) |