2007年11月25日(日)掲載

◎オリガさん 函館の思いで語る…日ロ交流史研特別報告会
 函館日ロ交流史研究会(長谷部一弘世話人代表)が主催する特別報告会「函館で生まれ育ったロシア人 オリガさんを迎えて」が24日、市地域交流まちづくりセンター(末広町4)で開かれた。戦中に函館市松風町で生まれ、14歳まで同所で過ごしたキューバ在往のオリガ・ズヴェーレヴァさん(67)が自身の生涯や函館にいたときの思い出などを話した。

 報告会では、同研究会員の小山内道子さんが「北海道における白系ロシア人の系譜」と題し、ウラル地方などからロシア革命(1917年)を逃れて亡命してきた白系ロシア人について説明。1925年の函館には白系ロシア人が約100人いたことや、着物から洋装に変化する時期であることに着目したロシア人が、洋服売りをしていたことなどを明らかにした。

 続いてオリガさんが自身の生涯について話した。オリガさんは1940年、松風町で6人きょうだいの末っ子として生まれた。他のロシア人同様、父のクジマー・ズヴェーレフさんも亡命し獄中死したが、オリガさんは「あまり記憶になく、母のダーリアに父について尋ねても、亡命者である父のことは教えてくれなかった」と語った。

 また、戦争などの事情で姉らが早くから大連に渡るなど、家族が一緒に暮らしたことはほとんどなかったとし、「寂しかった。もしかすると青函連絡船で姉が帰ってくるかもと思い、船を眺めていた」と振り返った。

 着物を欲しがり、母が手に入れて記念撮影をしたことや、自転車に乗って街を回ったり、縄跳びや紙芝居を楽しんだりしたことに触れ、さらに遺愛女学校では友だちが多く、和暦で学ぶ日本史は難しかったが教師が優しかったことなど、思い出を次々に紹介した。

 会場にいた幼なじみからは「函館では有名な存在。とてもきれいだった。いつまでもお元気で」と声が掛かり、オリガさんは「このような機会があるとは思わなかった。ありがとうございました」と話していた。(山崎純一)


◎地元農業を応援 経済の活性化に…「食ねっとわーく道南」活動5年目
 函館の市民団体「食ねっとわーく道南」(田中ユサ代表)は、道南産米「ふっくりんこ」の子ども向け稲作体験などに取り組んで今年で5年目になる。11月からは農水省が朝食摂取率の向上を目指して始めた「めざましごはんキャンペーン」にも参加し、米食の普及・啓発活動も展開する考えだ。田中代表(46)は「地元農業を応援し、地域経済の活性化につなげたい」と話している。

 「もしかしたら良い米になるのでは」。2000年秋、大野町(現北斗市)の道立道南農業試験場で、ふっくりんこと命名される前の水稲新品種「渡育240」を試食した田中代表はそう直感した。函館市内の米屋に嫁ぎ、さまざまな品種が定着しない道南米の状況も知っていたので、この新品種に期待し、応援ホームページ(HP)を立ち上げた。それが「食ねっとわーく道南」の前身だ。

 函館出身の田中代表は繁華街の大門地区が寂れ、衰退する街並みに寂しさを感じていた。「農業の活性化は経済振興につながる」との思いから、HPでの活動を続け、同じ思いの仲間数人とともに2003年4月、市民団体を発足させた。

 同団体では、子どもたちにバケツで稲を育ててもらう大会や、一般消費者に農作業や収穫を体験してもらう企画などを実施。「米1粒を作るためには、良い水や自然環境が必要。稲作体験を世界のさまざまな問題に目を向けるきっかけにしてほしい」と話す。

 「めざましごはんキャンペーン」には関係行政機関からの勧めで応募。「朝食は体を目覚めさせるために不可欠。米を食べてもらいたいのはもちろん、まず何か食べることから始めてほしい」と訴える。今後、「食ねっとわーく道南」のHPでの情報発信などを行う予定だ。

 「ふっくりんこ」はデビューして5年目。生産農家や関連商品も増え、少しずつ地域に浸透してきている。田中代表は「せっかく良い地元米があるのだから、それを基盤に地域経済を良くしたい。今後もさまざまな取り組みで応援したい」と話している。(新目七恵)


◎空き店舗の利用 若者に売り込め…江差商工会青年部 来月1日Xマスパーティー開催
 【江差】“シャッター通り”に明るい光を―。空き店舗が増える江差町上町(うえまち)商店街の空洞化に歯止めをかけようと、江差商工会青年部(畑澤匡部長)は12月1日、新規創業を志す若者をターゲットに、空き店舗情報や融資制度などのPRを中心とした「江差クリスマスパーティー」を新地町のホテルニューえさしで開催する。営業していない店舗が並ぶ、いわゆる「シャッター通り」の再生を目指す新たな試み。年の瀬が迫る商店街のにぎわいを呼び戻すことで、地域の活性化につなげようというユニークなイベントだ。(松浦 純)

 江差町新地町、橋本町、本町周辺の同商店街では、郊外への大型店進出をはじめ、後継者難や不況に伴う営業悪化で商店の廃業が増加。10数店舗がシャッターを下ろしたままだ。

 パーティーは、こうした状況に危機感を強める同青年部と町中央商店街協同組合(小路政信理事長)による実行委員会が企画。パーティー会場では空き店舗の場所や間取り、オーナーの連絡先などの情報、新規創業に向けた公的な融資制度をパネルで紹介。イベントを知らせるチラシでも空き店舗情報PRして、新規創業に意欲がある若者の発掘を目指している。

 今回のパーティーを通じて、繁華街のにぎわいを呼び起こすことも目的の一つ。開催に合わせて商店街のイルミネーションやクリスマスツリーの飾り付け作業も例年より早めることにした。

 同青年部事務局は「廃業が増える一方、飲食店を開業したり、住民の交流拠点を設ける動きもある。今回の試みで空き店舗の活用が進み、商店街の活性化につながれば」と話している。

 会場では午後6時からコンサートも開かれ、道立江差高校吹奏楽部の演奏、町内出身の民謡歌手、木村香澄さんのライブなどが予定されている。抽選会では12月24日、“サンタクロース”がクリスマスケーキを宅配するプレゼントも用意している。ジュースや軽食と引き換えることができるチケットは1000円。小学生未満無料。ビールや軽食も販売する。チケット購入、問い合わせは同商工会TEL0139・52・0531。(松浦 純)


◎本場の踊り 函館で…内野慶子さん講師のフラダンス教室・来月1日に発表会
 フラダンスの技術を本場ハワイ・オアフ島で習得した東京在住の内野慶子さんが講師を務めるフラダンス教室「フラハラウ オ ケアヌエヌエ オナプア ヴィリプイア」と、現地のハワイアンバンドが12月1日、函館で初の発表会を函館国際ホテル(同市大手町5)で開く。同教室では大勢の市民の来場を呼び掛けている。

 同教室は市内の50、60代の主婦を中心に活動し、当日は生徒18人が日ごろの練習の成果を披露する。オアフ島で活躍するハワイアンバンド「カヴェラ」(3人組)が来函し、ウクレレやベース、ギターの華麗な演奏を添える。生徒たちは鮮やかな衣装に身を包み、約15曲のハワイアンミュージックに合わせて踊り、しなやかで美しいフラダンスの神髄を伝える。

 教室が設立した当初から通う函館市内の福田幸子さん(68)は「念願の函館講演ができてうれしい。残り少ない練習時間で完全にマスターし、本番は楽しく笑顔で披露したい」と張り切っている。

 講師の内野さんは1989年からフラダンスをはじめ、年6回本場ハワイに行き、フラダンスの基本と技術を習得。多くの市民にダンスの楽しさと、ハワイの魅力を伝えようと、99年に函館に教室を開校した。現在もハワイや東京でダンスの技能を高めながら、函館をはじめ、東京や青森など全国5カ所で講師を務めている。

 発表会の開演は午後5時半(開場は午後5時)。入場料は8000円。チケットの問い合わせは担当の高谷さんTEL0138・53・9358。(小橋優子)


◎函館市体育指導委員会が今年度の優良団体に…全国体育指導委員連合
 函館市体育指導委員会(近野功会長)が全国体育指導委員連合(本部・東京)から今年度の優良団体として表彰された。表彰は初めてで、このほど市民体育館で開かれた同指導委の研修会で、近野会長が会員に報告した。

 優良団体表彰は長年にわたり地域のスポーツ普及、発展に貢献した体育指導委員の団体をたたえる制度で、各都道府県から1団体ずつ選ばれる。今年度は42団体が選出され、8日に新潟市で開かれた全国体育指導委員研究協議会で表彰式が行われた。

 表彰式に出席した近野会長は「地域住民を主人公にしたスポーツ振興を提起してきた。これからも委員が力を合わせて住民のニーズに応えた活動をしていきたい」と話した。

 同指導委は1962年に発足。現在の函館ハーフマラソンの前身となる函館市民健康マラソンを提唱し、80年から90年まで主管したほか、生涯スポーツコンベンション(92年)、町会スポーツシンポジウム(95年)などの開催に尽力した。

 近年は総合型地域スポーツクラブの育成、支援にかかわり、こうした地域に根ざしたスポーツ振興、レクリエーション普及が評価された。現在、スポーツのコーチやインストラクターら59人の委員が在籍している。(鈴木 潤)