2007年11月27日(火)掲載

◎函館八幡宮で破魔矢づくり
 函館市谷地頭の函館八幡宮(中島敏幸宮司)で26日、正月用の破魔矢(はまや)やおみくじなどの縁起物づくりが始まった。作業を担当する函館八幡宮敬神婦人会(國立タミ会長)の約40人が手際よくおみくじを丸めたりし、年の瀬の作業奉仕をしていた。

 破魔矢には来年の干支(えと)の子(ネズミ)や「開運招福」の文字が書かれた絵馬を取り付けた。このほか、札や歳神を袋入れたほか、ことしは道内の敬神婦人会の持ち回り作業として、来年の正月に皇居(東京)で行われる新年一般参賀に訪れた人たちが振る国旗1000本を作製した。

 國立会長(79)は「来年も参拝者、函館が平和でありますようにと祈りながら作業している。ことしは当会の50周年事業が無事成功でき、例年以上に感謝と願いを込めています」と話していた。

 作業は27日も行い、破魔矢5000本、鏑矢2000本、おみくじ2万5000本などを準備する。お払いを受け、初詣の参拝客の前に並ぶ。(山崎純一)


◎自宅前で23歳女性刺殺、元同級生の男逮捕
 26日午前7時35分ごろ、函館市北美原3、会社員無量林(むりょうばやし)博昭さん(56)方の玄関先で、無量林さんの長女で会社員の智子(さとこ)さん(23)が突然家の前に現れた男に刃物で首などを刺され、同市内の病院に運ばれたが、失血性ショックで間もなく死亡した。函館中央署が逃げた男の行方を追っていたところ、約20分後に男の声で「人を刺した」と110番通報があり、同署員が函館西署近くにいた同市宮前町35、無職中原哲也容疑者(22)を殺人の疑いで緊急逮捕した。中原容疑者は智子さんの大学時代の同級生だった。

 調べによると、中原容疑者は同日午前7時35分ごろ、出勤のため自宅を出ようとした智子さんを持っていた折りたたみナイフ(刃渡り約10センチ)で胸や顔などをそれぞれ数カ所ずつ刺し、殺害した疑い。

 同署によると、智子さんは同市内にある勤務先に向かうため母親の広子さん(57)が運転する車で自宅を出ようとした際、車の前にいきなり中原容疑者の車が立ちふさがった。広子さんが車外に出て「どいてほしい」と注意を促したところ、中原容疑者が降りてきて助手席にいた智子さんを引きずり降ろし、犯行に及んだという。さらに止めに入った広子さんも同容疑者ともみ合いになり、顔や手などを切る軽傷を負った。

 中原容疑者は同日未明、JR函館駅付近で借りていたレンタカーでそのまま逃走。同署などが行方を捜していたところ同7時55分ごろ、「人を刺した。函館西署の前にいる」と110番通報があり、捜査員が近くにいた中原容疑者を確保して任意で事情を聴いたところ犯行を自供したという。犯行に使ったレンタカーは付近のスーパー駐車場で発見。ドアやハンドルなどには血痕が付着していて、車内からは凶器のナイフも見つかった。

 智子さんがことし3月に卒業した道教育大函館校によると、智子さんは在学中から担当教授に「つきまとわれている気がする」と中原容疑者に関する相談をしていたという。また今月15日にも、智子さんが卒業以来初めて同担当教授を訪ね、「数日前に(中原容疑者が)職場に来てまで呼び出された。家まで来られるかもしれない」と悩みを打ち明けられていたことも明らかにした。

 一方、調べに対し中原容疑者は「(智子さんらの)周囲からいじめを受けていた」と供述しており、同署は2人の関係や犯行の動機などを慎重に調べている。これまで同署などには智子さんからストーカー被害に関する相談は寄せられていなかった。

 現場はJR五稜郭駅から北東へ約5キロ離れた住宅街。


◎函館市の中期財政試算/5年間で財源不足261億円
 函館市は26日、来年度から5カ年の中期財政試算をまとめた。一般会計は5年間で261億5000万円の財源不足が生じるが、行財政改革と起債(借金)の発行、財源調整用の基金活用で263億1400万円を生み出し、収支の均衡を図る。使途が限られている特定目的基金からの借り入れはしない。28日の市議会総務常任委員会の委員協議会に報告する。

 団塊世代の退職金が人件費を増加させ、来年度は退職手当債を28億円発行する。また、来年度から西尾正範市長の公約である乳幼児医療費の助成拡大を予定し、毎年2億円の財源を確保する。

 歳入の柱となる普通交付税が本年度、当初予算に比べ約14億円減少したことが、試算に大きく影響した。財源不足は本年度の決算見込みで45億2000万円。来年度からも単年度で56億円から45億円の財源不足が生じ、この額は退職者の数と比例している。

 歳出では、毎年度の普通建設事業費を本年度比16・2%減の89億円に抑制。歳入では市税収入の伸び率を5年間ゼロ、来年度の普通交付税と、交付税の不足分を起債で賄う臨時財政対策債の総額を本年度より2・5%減とし、以降は同額を見積もった。

 5年間の財源不足261億5000万円は、職員削減や経費節減などの行財政改革で145億1400万円の効果額を生み出す。また行政改革推進債と退職手当債の発行で113億円、財源調整用の基金の取り崩しで13億円の財源を充て、それぞれ単年度黒字を目指す。

 財源調整用の財政調整基金と減債基金、土地開発基金は2010年度でほぼ底を突くが、在宅福祉ふれあい基金や地域振興基金などの特定目的基金には手を付けず、最終的に91億2500万円を残す予定。

 市財政課は「退職手当債より特定目的基金から借り入れした方が金利は安いが、社会情勢の変動などに備え、借り入れをしない方針にした」と話している。(高柳 謙)


◎市が新たな対策目標/5年で職員650人削減
 市がまとめた一般会計予算の中期財政試算で、交付税の大幅な削減や乳幼児医療費の助成拡大に伴う新たな財源確保に対応するため、一層の行財政改革が必要となった。同試算では来年度から2012年度までの5年間で596人の職員削減を掲げ、水道や交通、病院などの企業会計も含めると650人の削減を目指している。現在約3800人いる職員を、12年度には3150人程度にする内容。

 現在の第3次行財政改革後期5カ年計画(05―09年度)では600人の削減を予定。市は同計画の08―09年度分(当初予定263人)を取り込んで、削減の上積みを図る。市はこれまでの議会答弁で、本年度内に新たな職員削減計画を策定する考えを示している。

 西尾市長はこれまで、厳しい財政状況の中で乳幼児医療費の助成拡大などの公約を実現するために、行財政改革を一層推進していく必要性を強調している。当初予算比で本年度の交付税14億円減という大打撃を受け、市の財政は疲弊している。中期財政試算では施策の見直し、使用料や手数料の改定など市民負担の増加も行革の一環としており、市民と職員が痛みを分かち合いながらの市政推進が求められている。(高柳 謙)


◎おさかな青空市場全日程終了/地元魚介類PRに効果
 函館(臼尻)地域マリンビジョン推進協議会(会長・砂田義稔南かやべ漁協理事)が主催し、9月から臼尻漁港で開催した鮮魚即売会「おさかな青空市場」が25日、全6回の日程を終えた。当日朝に定置網で水揚げした旬の魚介類を格安の浜値で提供する企画で、毎回、販売開始直後にほとんどの商品が売り切れるなど、客の評判も上々だった。同協議会は来年度以降も事業を継続する方針で、今後、関係者を交えて開催時期や回数、価格の設定など課題を整理する。

 同協議会は、南かやべ漁協(鎌田光夫組合長)、臼尻町会(加藤詔三会長)、市で構成。水産業と地域活性を目的とする「地域マリンビジョン事業」(国交省道開発局主催)のモデル地域指定に向け発足した。即売会は地元での消費拡大を図るため、初めて企画した。

 同漁協は「ホッケやイナダ、サバなど値段も手ごろな小魚類がよく売れた。喜んでもらえたのでは」と話す。地域の漁業生産物の魅力や、無償で提供した海水氷の鮮度保持能力の高さをPRするという所期の目標は達成したと評価している。

 最終日に旧市内から来場した主婦(62)は「その日に水揚げされたという鮮度に対する安心感がある」と話していた。市水産課は「南茅部地域の住民より、旧市内からの来場者が多く、常連となる客もいた」とし、来年度以降はイベントの周知方法も再検討することにしている。

 ただ、10月7日に尾札部黒鷲漁港で開かれた毎年恒例の「南かやべとことん浜味祭り」の翌週は客足が鈍ったり、11月11日は悪天候としけで、水揚げ量が少ない日もあった。天候の問題や、開始10分もたたずに売り切れる魚種も多く、客数の見込みとニーズに応える品ぞろえのバランス、売り切れ時の追加供給などの課題も残った。同協議会は、来年度以降の事業継続に向けて協議を進めることにしている。(今井正一)


◎函館どつく、ことし最後の進水式
 函館どつく(函館市弁天町20、村井英治社長)は26日、同社函館造船所で通算816番目の新船「GLOBAL ENDEAVOR(グローバル・エンデバー)」(総トン数1万9850トン)の進水式を行った。同社が、本年度に建造を計画する7隻のうちの5隻目。

 同船はパナマ籍の木材兼ばら積貨物船で、全長175・5メートル、幅29・4メートル、載貨重量3万1930トン。同社が独自で開発した通称「スーパーハンディ32」としては21番目となり、船倉が箱型のため幅広く、喫水は9・62メートルと浅いなどの特徴がある。

 進水式には、船主である日本の海運会社や来賓ら約45人が出席。船体をつなぎ止めていた安全装置や支綱などが、合図とともに次々にはずされると、動き出した船は一気に斜面を下っていき、見学に訪れていた市内の小学生らが見守る中、無事に着水を果たした。

 同船は、運航する上で必要な装備を施す「艤装(ぎそう)工事」や内装工事を済ませた後、来年1月中旬に船主へ引き渡される。進水式はことし最後で、次船は同月21日を予定している。(浜田孝輔)