2007年11月28日(水)掲載

◎イカマイスター認定制度創設
 函館水産物マイスター養成協議会(会長・藤原厚函館水産物連合協議会会長)は、来年1月27日に第1回「はこだてイカマイスター」認定試験を実施すると発表した。市の魚でもある「イカ」の生態や回遊の仕組み、漁獲方法、加工・調理方法など、さまざまな知識を問う内容で、合格者は?イカ博士?として、大日本水産会(東京)から認定される予定。藤原会長は「全国的にも珍しい試み。地域の水産物や業界の活性化、消費者の食育への理解につながってほしい」と期待している。

 同協議会は、同連合協議会や市内各漁協でつくる連絡協議会、函館商工会議所で構成。市や公立はこだて未来大、北大大学院水産科学研究院などの協力で、認定制度を創設した。

 公式テキストは、未来大の長野章教授や北大の桜井泰憲教授ら専門家12人が執筆。B5判137?で、市の水産業の現状から生態など、専門的、一般的な知識がまとめられ、イカにかかわるあらゆる事項を網羅。試験前には3日間の日程で養成講習会があり、受験には講習を修了することが条件となる。

 試験は、テキストを中心に出題され、択一式で全100問以内、70点以上で合格となる。問題は専門性を問うものではなく、一般の市民でも合格可能な内容としている。今後も毎年1回程度実施する予定で、同協議会は、コンブなど他の水産物についてもマイスター制度創設を検討している。

 藤原会長は「試験に合格することで、イカ関連製品のブランド化や観光の振興などに役立ててほしい。函館発信の取り組みとして全国にPRしたい」と、受験を呼び掛けている。

 講習会は、1月12、13両日が北大函館キャンパス内、同14日が函館短期大学付設調理師専門学校で開催。時間はいずれも午前9時から。試験は、同27日午前に北大で実施。試験料は5000円(テキスト、受講料込み)。調理師免許や栄養士免許所持者らは、講習科目の一部免除がある。

 試験の募集要項、申込書は、同会議所のホームページ(http://www.hakodate.cci.or.jp)でダウンロードできる。定員は150人で12月20日までに申し込む。問い合わせは同会議所企画情報課TEL0138・23・1181。(今井正一)


◎函館市、特別職の理事設置へ
 函館市は来年4月から、市長の自治体運営を補佐する特別職の理事1人を置く計画だ。12月4日に開会予定の第4回定例市議会に「函館市理事の設置および給与等に関する条例」の制定議案を提出する。

 市人事課によると、理事の職務は従来以上に限られた財源の中でまちづくりを推進し、喫緊の課題として行財政改革を指揮する。市の組織全体を統括的に指揮、監督し、各種調整を図る。

 任期は来年4月1日から4年間で、条例も4年間の時限付き。常勤で、給料月額は水道・交通・病院局長と同額の79万円。市長が任命し、議会の同意は必要としない。副市長2人とともに市長のトップマネジメント機能を強化する。

 市の特別職は市長、副市長2人、常勤監査委員、水道・交通・病院局長と合わせて8人となる。近隣では青森市が常勤の特別職として特別理事3人を置いているという。(高柳 謙)


◎市職労、職員138人削減に同意
 函館市役所職員労働組合(藤盛敏弘委員長)は27日、市から提案を受けた来年度の138人の職員削減に合意し、工藤寿樹副市長に回答した。藤盛委員長は「ここ数年の中でも大幅な人員削減で大変厳しい内容だったが、厳しい財政状況を考えて合意することを決めた」と話している。

 市が10月22日に提案し、各職場支部での議論を経て、一部合意済み18人を含め提案通りの受け入れとなった。主な削減は、合併4支所で業務体制の見直しや地域バスの委託化により24人、保健所の業務執行体制の見直しで12人、市総合計画策定に伴う参事体制の廃止で7人、学校給食調理の委託化で7人、東京事務所の廃止で2人―などとなっている。

 また、組織機構の再編で商工観光部を経済部と観光コンベンション部に分けることで4人を増員し、増減を相殺すると138人減となる。東京事務所は職員の人件費や事務所の家賃、諸経費で年間約3200万円の歳出削減効果がある。

 残る回答は、水道局と交通局に提案している計9人分。市とともに行財政改革に取り組む組合はこれまで、職員削減で143億円、給与制度の見直しで30億円の累積効果額を生んでいる。ただ、生み出した財源が地方交付税の大幅減で飲み込まれてしまうなど、市の財政状況は極めて厳しい。(高柳 謙)


◎棒二森屋、大型地震想定し避難訓練
 函館市若松町17の棒二森屋(井上裕司店長)は27日、大型地震発生を想定した避難誘導訓練を店内で行った。従業員約70人が参加し、地震に対する心構えや対処法を学んだ。

 10月1日から気象庁が緊急地震速報の配信を始めたのを受けて、同店は来店客の安全を確保するため、受信装置の導入を決定。実際に地震が発生した場合、従業員にその情報を伝えるため、店内で流している音楽を遮断し、特定の曲を流す仕組みとなっている。

 訓練は、12月1日からの本格稼働を前に、従業員への周知徹底を図ろうと初めて実施。道内を震源地とするマグニチュード6の地震が発生したとの想定で、各売り場の責任者が点検項目や誘導方法などを確認したほか、素早い避難を体感した。

 井上店長は「いち早くお客様を安全な場所に誘導できるよう、日ごろから心掛けてほしい」と、参加者への地震防災意識の向上を促していた。(浜田孝輔)


◎桧山など5支庁廃止を明記
【札幌、江差】道は27日、現行14支庁のうち桧山など5支庁を廃止し振興局に縮小、渡島など9支庁を総合振興局に改編する、支庁制度改革の具体案を道議会道州制・地方分権改革等推進調査特別委員会に提示した。道教委も同日、支庁が統廃合される5市町の教育局を廃止する方針を明らかにした。江差町など支庁所在の7市町長らは同日、札幌市で会合を開き、今後も連携して支庁制度存続を道や道議会に求める方針で一致した。

 廃止が明記されたのは、桧山のほか、留萌(留萌市)、根室(根室市)、日高(日高管内浦河町)と、道議会で廃止の声が強い石狩(札幌市)の5支庁。旅券発給や保健福祉などの窓口業務を扱う振興局に縮小。農業改良普及センター、水産技術普及所、森づくりセンターなどは総合振興局の出先として残る。

 存続対象の支庁は、渡島のほか、上川(旭川市)、十勝(帯広市)、釧路(釧路市)、網走(網走市)の6支庁と、当初案では廃止対象となっていた胆振(室蘭市)、空知(岩見沢市)、後志(後志管内倶知安町)の計9支庁。これら9支庁は@地域振興・管理A道民生活B産業振興C社会資本―の4部からなる総合振興局に改編する。

 また、道教委も同日、全道14教育局のうち、支庁廃止地域の桧山、石狩、日高、留萌、根室の5教育局を廃止、総合振興局が置かれる地域の9教育局に統合する案を、道議会文教委員会に報告した。道南では、渡島教育局(函館市)に檜山教育局(江差町)を統合する。

 これに対して、支庁が廃止される、留萌・根室の両市と江差・浦河の両町と、当初案では支庁廃止が示されていた室蘭・稚内の両市、倶知安町の7市町長は同日の会合で、今後も連携して道や道議会に支庁制度存続に取り組む方針で一致。道議会自民党との意見交換でも存続運動に理解を求めた。同党は「(28日開会の)定例道議会で市町村の疑問点について議論を尽くす」との意向を示した。濱谷一治江差町長は「今後の地域振興に対する道の姿勢は不明確で具体性に欠けている。7市町で連携して支庁廃止に反対していく」と述べた。

 一方、江差町役場でも同日夕、桧山支庁の担当者が具体案を説明。飴谷逸男副町長は「人口密集地域の大支庁が重視され、過疎化に苦しむ地域の中小支庁が廃止対象される。中央集権的な改革は地方切り捨てそのもの。道庁と支庁の合理化で支庁再編案と同程度のスリム化は可能」と反発した。具体案について、町内の商工業者も「わずかな数でも職員削減は地元には痛手。企業誘致や移住促進で1人でも人口を増やそうと必死だが、支庁廃止は地方の努力に逆行する」と批判した。(松浦 純)